品質工学,静特性、誤差因子が1つの場合がわかる

「品質工学の静特性がよくわからない」などと困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- ①静特性、誤差因子が1つの場合とは
- ➁静特性の全変動を導出
- ➂静特性の変動の注意点
- ➃SN比の注意点
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①静特性、誤差因子が1つの場合とは
実験計画法の一元配置実験と同じと見てよい
品質工学の嫌なところは、
あえて違う用語や式を使って独自性を出そうとするところ
この記事も、はっきりいうと
=
実験計画法の一元配置実験
ただし、実験計画法と1つ異なる点があり、
●実験計画法は平均値との差分を見る
ここだけ、注意しましょう。あとは、実験計画法と同じです。
静特性、誤差因子が1つの場合の事例
例えば、下表のようなデータが誤差因子1つの場合と言えます。はっきりいって、
実験計画法の一元配置実験と同じです。表を見ても明らかです。
\(i\)/\(j\) | 1 | 2 | … | n | 合計 |
\(N_1\) | \(y_{11}\) | \(y_{12}\) | … | \(y_{1n}\) | \(Y_1\) |
\(N_2\) | \(y_{21}\) | \(y_{22}\) | … | \(y_{2n}\) | \(Y_2\) |
… | … | … | … | … | … |
\(N_k\) | \(y_{k1}\) | \(y_{k2}\) | … | \(y_{kn}\) | \(Y_k\) |
実験計画法なら 因子NでなくAとしますね。別にNにして品質工学の独自性を出す必要はないですよ。学問は、他の手法と比較しながら学ぶと学習効果が高まります。
実験計画法も関連記事で復習しましょう。
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【必読】一元配置実験(繰返し数が同じ)が解ける【QC検定®2級対策】 QC検定®2級で頻出な、実験計画法の一元配置実験(繰返し数が同じ)が7,8分で解けますか?いろいろな対策本や参考書に手を出しても合格できないで悩んでいませんか?本記事は、7,8分で解ける一元配置実験(繰返し数が同じ)の解法を解説します。QC検定®2級合格に必須な実験計画法を速く習得したい方は必見です。 |
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
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●リンクページ
➁静特性の全変動を導出
静特性を表すデータの構造式を作る
品質工学の目的は、何度も言いますが、
品質工学は、目標値との差分を見る!
静特性を図で表現すると下図になり、この図をもとにデータの構造式を作ります。
静特性、誤差因子が1つの場合のデータの構造式は、
と書けますね。
➂静特性の変動の注意点
教科書に書いてあるデータの構造式
教科書に出て来る式は、なぜか、
であり、目標値の\(m\)がありません。
実は、
品質工学の目的がぼやけてしまい、理解しにくくなる点なのです。
同じ内容を、関連記事でも紹介していますので、ご確認ください。
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品質工学,静特性の変動とSN比の注意点がわかる 品質工学の静特性のデータの構造式に目標値が無い理由が説明できますか? 本記事では、教科書にある簡略化された静特性のデータの構造式の導出を丁寧に解説します。簡略化することで品質工学の目的が見えにくくなる点をわかりやすく解説します。品質工学を学ぶ人は必読です。 |
定義どおり立式しても目標値の項は省ける
じゃー、
\(y_{ij}\)=\(\bar{\bar{y}}\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
の式自体が間違っているんじゃないの?
と思いますよね。
実は、
\((y_{ij}-m)\)=\((\bar{\bar{y}}-m)\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
の2乗和を計算すると、
\(y_{ij}\)=\(\bar{\bar{y}}\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
でもいいことが分かります。
また、シンプルだから教科書では、
\(y_{ij}\)=\(\bar{\bar{y}}\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
のデータの構造式から解説しています。
静特性は何を計算しているかがわかりにくくなる!
2乗和を計算して目標値\(m\)の項が不要か確かめよう!
では、2乗和を計算して、目標値\(m\)が不要になるか確かめましょう。
確かに計算結果みると、目標値\(m\)が不要になっているのがわかります。
分散分析を活用する実験計画法、回帰分析と比較しながら、
読み進めましょう! そうしないと品質工学の
本質が理解できない!
➃SN比の注意点
2乗和の変動成分
2乗和の式が2つあります。目標値を含む場合と含まない場合の2通りですね。
●目標値mを含む方(本来この式であるべき式)
\((y_{ij}-m)\)=\((\bar{\bar{y}}-m)\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
・\(S\)(全変動):\((y_{ij}-m)\)
・\(S_m\)(平均変動):\((\bar{\bar{y}}-m)\)
・\(S_N\)(誤差因子Nによる変動):\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)
・\(S_e\)(ランダムばらつきの変動):\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
●目標値mを含まない方(教科書に書いている式)
\(y_{ij}\)=\(\bar{\bar{y}}\)+\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)+\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
・\(S\)(全変動):\(y_{ij}\)
・\(S_m\)(平均変動):\(\bar{\bar{y}}\)
・\(S_N\)(誤差因子Nによる変動):\((\bar{y_{i・}}-\bar{\bar{y}})\)
・\(S_e\)(ランダムばらつきの変動):\((y_{ij}-\bar{y_{i・}})\)
両者を比較すると、
\(S_m\)(平均変動)
と
\(S\)(全変動)
に違いが出ていますね。
実際にSN比を計算すると、目標値mを除去した方が実用的な値になるから、教科書は目標値mがない式を使っていると考えられます。
でも、本質的な理由ではないですよね。本来、品質工学は目標値を狙うものですが、計算機が未熟な時代では、簡易的な計算から、そこそこ実用的な値が出せる手法も重宝されたはずです。
でも、今はExcelでも相当優秀な計算機があるので、逆に理論を理解する方が大事な時代です。教科書は数十年経過していますから時代錯誤である可能性もあります。そこは、よく考えながら品質工学を勉強していきましょう。
どうあるべきかを自分で熟考せよ!
SN比の定義
SN比は、有効成分と有害成分の比として、
SN比が大きいほど良いとする変数です。
本記事では、いろいろSN比が定義できそうです。
●目標値mを入れる・入れない
●SN比の分母、分子に何を入れるか
SN比の分子は、
(A)(分子)=\(S_m\)、分母=\(S_e\)とする場合
(B)(分子)=\(S_m+S_N\)、分母=\(S_e\)とする場合
(C)(分子)=\(S_m \)、分母=\(S_N+S_e\)とする場合
をそれぞれ、
●目標値mを(1)入れる(2)入れない
の場合があるので、全部で3×2=6通りSN比が定義できますね。
SN比パターン | – | S | N |
(1) | (A) | \(S_{m0}\) | \(S_e\) |
目標値有 | (B) | \(S_{m0}+S_N\) | \(S_e\) |
(\(S_{m0}\)で表記) | (C) | \(S_{m0}\) | \(S_N+S_e\) |
(2) | (A) | \(S_m\) | \(S_e\) |
目標値無 | (B) | \(S_m+S_N\) | \(S_e\) |
(\(S_m\)で表記) | (C) | \(S_m\) | \(S_N+S_e\) |
対象とする実験において、S,Nそれぞれの定義をよく考えながら、
ある程度、実効的な値になるよう、SN比の式を自分で考えた方がよいです。
教科書どおり解くと、品質工学の目的を見失うことが多々あります。
よく考えることが大事です。
まとめ
「品質工学,静特性、誤差因子が1つの場合がわかる」を解説しました。
- ①静特性、誤差因子が1つの場合とは
- ➁静特性の全変動を導出
- ➂静特性の変動の注意点
- ➃SN比の注意点
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119