【必見!】化学反応の「質量保存の法則」が大事な理由がわかる

「化学反応の【質量保存の法則】の何が大事なのかがわからない!」っと疑問に思っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- (1)1700年間もアリストテレスの四元論が信じられていたこと
- (2)質量保存の法則によって四元論が成り立たないと証明できたいこと
- (3)50年間信じられていたプロギストン説(燃素という物質が世の中にある)はないと証明できたこと
- (4)化学反応は反応物からなり、前後の質量は変わらないという現在の当たり前のベースとなったこと
このブログの構成
- ①思考実験問題
- ②思考実験問題を作ったわけ
- ③思考実験問題の解説
- ④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介
①思考実験問題
ラボラジエによる「質量保存の法則」を考えよう。化学反応の前後で質量・エネルギーの保存されるのは感覚的に当たり前であるが、なぜこの法則が大事なのかを当時の定説を見ながら考えてみよう。
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(1) ラボラジエがこの法則を提示する1774年当時、まだ化学がそれほどわかっていなかった。さまざまな物質は古代ギリシャ時代の哲学者のアリストテレスの「四元論」が約1,700年間主流だった。
この「四元論」について説明せよ。また、木を燃やす際、4つ元素から木が構成していることを示せ。
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(2) アリストテレスから長い時間が経過する中で、「錬金術」を人類は経験した。その中で、光、熱、炎を発する燃焼が何者かを注目するようになった。この燃焼という魔法のような現象に対して、燃焼を担う原資(プロギストン、燃素)が含まれているのではないかという考えであるプロギストン説が生まれた。
プロギストン説において、①木の燃焼、②金属の燃焼、③金属が燃焼した灰と木の燃焼 についてプロギストンの動きを説明せよ。
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(3) (2) のプロギストン説はラボラジエの質量保存の法則で説が否定される50年間ほど、定説となった。(2)においてプロギストン説の欠点を指摘せよ。
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(4) ラボラジエは(3)の欠点などから、「正確な質量の計測」の重要さがわかっていた。
まず、ラボラジエによる(1)の四元論の矛盾を突いてみよう。
① 「水元素が化学反応により土元素になる」点は誤りであることを指摘した。実際、水をいれたガラス容器を水が完全に蒸発するまで加熱したのち、ガラス容器の底に土のような粉が発生した。多くの人が、水が土に変化したので四元論は正しいという中、ラボラジエはどのように反論し、四元素は成立しないと証明できたのだろうか?
②「空気元素は1つの元素である」点は誤りである点を指摘したい。どんな実験をすれば空気は混合物であることがわかるか?
③「水元素は1つある」点が誤りであることを下図の実験でラボラジエは証明した。証明内容を説明せよ。
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以上から、ラボラジエは質量保存の法則を活用して、長く信じられてきた「四元素」説などの定説を覆すことができた。
(5) さらに(3)のプロギストン説も否定してみよう。ガラス容器に入れたスズの加熱実験が有名である。質量保存の法則を活用してプロギストン説がないことを証明せよ。ただし、ラボラジエがこの実験をする直前に酸素が発見されているので、酸素の存在は使ってよい。
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以上から、ラボラジエは質量保存の法則を活用して、プロギストン説も否定し、
物質や化学反応は、元素や元素の結合によってできているという現代化学の土台を作ることができた。
この功績は非常に高いといえる。
②思考実験問題を作ったわけ
いかがでしょうか。化学反応の前後の全質量は変化しないというだけの法則よりは、
長年信じられてきた定説を覆すベースとなる法則であることがわかります。
③思考実験問題の解説
<解説>
(1) 四元論はあらゆる物質は4つの「火、土、空気(風)、水」の単体元素から構成され、その割合で成り立っているという説です。
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木の燃焼を例にすると、
(i)燃やすので火が出て、
(ii)燃焼ガスである空気が出て、
(iii)木の水分から水と、
(iv)燃えカスの土ができるので、
確かに木は4つの「火、土、空気(風)、水」の単体元素から構成されているのがわかります。
もし、現代で炭化水素という化合物の概念を知らない人ならこの四元論を信じる人がいてもおかしくありません。
(2) 化学反応式を書くと
① (木) → (プロギストン)+(木の灰)
② (金属)→ (プロギストン)+(金属灰)
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③ ①②を組み合わせます。②を変形すると
(金属灰)→ (金属)― (プロギストン)
この式と①を足すと
(木) → (プロギストン)+(木の灰)
(金属灰)→ (金属)― (プロギストン)
(木)+(金属灰)→(金属)+(木の灰)となり、
プロギストンが移動した式であることわかります。
このように書くと正しい気がします。
(3) 実は「質量」に欠点があります。
① (木) → (プロギストン)+(木の灰) において、
質量は (木)> (木の灰)となるが、
② (金属)→ (プロギストン)+(金属灰) において、
質量は (金属灰)> (金)となり、
金属を燃やすとプロギストンが出ていくのになぜか質量が増える問題があります。
そこで、英才ラボラジエの登場となります。
(4)①確かにガラス容器に水をいれて完全に水を蒸発させると容器の底に粒が当時出てきたので、これは水⇒土に元素が変化したという四元論であると信じられていました。しかし、ラボラジエは粒の質量と、ガラス容器の質量の変化を正確に測定し、ガラス容器が溶けだしたものであり、水が土に変わったわけではないとと証明できました。
② 容器をひっくり返し、外気が入らない状態でろうそくの火を燃やし続けると、容器内の空気がろうそくの燃焼に使われますが、一部の空気が減ったが、完全に空気がなくなったわけではないので、空気は、ろうそくの火をもやす空気と、そうでない空気の混合物であるとなり、空気は1つの元素である四元論は破綻します。
③ ラボラジエは試験管に水を沸騰させ、水蒸気を鉄の入った試験管に送りそこでも加熱させる実験しました。最終的に水素ガスが出てきます。そこで、発生した水素ガスの質量、燃えて増えた鉄の質量、沸騰で失った水の質量を正確に測ると、 水素15g、鉄の灰85g増加、水は100g減がわかりました。ここから、水は鉄と反応して分解され、水素が出ることがわかります。つまり、水は水素の化合物であり、四元論である水は1元素である点に矛盾することがわかります。
(5) 容器の中に金属のスズをいれて容器を密閉します。そのときの全体の質量を測ります。その後、加熱してスズを完全に燃やして灰(金属灰)にして、再度、容器の質量を計測します。当然、質量は変化しません。これは質量保存の法則が成立します。一方、スズからスズの灰に変化した際、重くなります。つまり、スズはプロギストンではなく、空気の一部がスズと反応して結合したから重たくなったという方が納得できます。これによりプロギストン説も否定されていきます。
質量保存の法則によって長年の定説が覆り、元素による結合が化学反応を決める現代の考えになり、さらに化学反応の法則が見つかっていきます。
質量保存の法則の偉大さがわかる問いを作ってみました。いかがでしょうか。
QCプラネッツは理科をサイエンス(科学)できる教科書を現在作っております。
④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介
近日中に公開します。乞うご期待ください。
まとめ
「【必見!】化学反応の「質量保存の法則」が大事な理由がわかる」を解説しました。
- ①思考実験問題
- ②思考実験問題を作ったわけ
- ③思考実験問題の解説
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