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【必見!】化学反応の「定比例の法則」が大事な理由がわかる

中学理科

「化学反応の【定比例の法則】の何が大事なのかがわからない!」っと疑問に思っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【必見!】化学反応の「定比例の法則」が大事な理由がわかる

おさえておきたいポイント

  • (1)川の水、窓の結露の水が同じであるとわかっていなかったこと
  • (2)混合物と化合物の違いが当時はっきりしていなかったこと
  • (3)産地や製法によって同じ物質でも構成が違うのが当たり前だったこと
定比例の法則によって、混合物と化合物の違いが明確になります。そこから、産地や製法によらず同じ物質は構成も同じとわかり、それを構成する最小単位とはなにか?つまり、元素・原子を考えるきっかけとなった法則です。もちろん、化学反応式を構成する大事な法則ですが、それ以上に元素・原子を考えと導いた点が大きな功績です。

このブログの構成

  • ①思考実験問題
  • ②思考実験問題を作ったわけ
  • ③思考実験問題の解説
  • ④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介
教科書を丸暗記すると化学は全く面白くない。
昔は今とまったく違う定説が信じられている。いくら科学的に正しいとしても群衆に認識させるのは非常に難しい!
理科は暗記するな! 思考して科学せよ!そこがおもろいところ!
学生だけでなく、社会人も一緒に考えて解こう!

①思考実験問題

【8】プルーストによる定比例の法則(1799)
「ある化合物を構成する成分元素の質量比は、その製法のいかんを問わず、常に一定である。」

川の水と、寒い冬に窓ガラスに付く結露の水滴は同じ水であることや
炭素を燃やしてできる二酸化炭素と、呼吸で出す二酸化炭素は同じ二酸化炭素であることは
今では当然ですが、定比例の法則(1799)が出る前は、その逆の説が主流でした

当時の考えでは、鉱物を調べると、産地や製法によって物質の質量比が変化することがわかっていたため、定比例の法則がすぐに受け入れられたわけではありませんでした

当時よくある反論が
① 鉱物を調べると、産地や製法によって物質の質量比が変化すること
② 水の溶解は飽和するし、温度によって溶解度(水と溶質の質量比)は変化すること
③ 金属を加熱すると酸化するが、さまざまな金属と酸素の質量比があること

があるため、多くの科学者が定比例の法則を批判した。

プルーストはこれに対し、炭酸銅が鉱物のクジャク石から得られたものも実験室で合成したものも同じ組成を持つことや、酸化銅や酸化スズに2 種類のものがあることを示し、組成が変化するように見えるのはこれらの混合物であるためであることを示し反論し、定比例の法則が支持されていった。この法則がドルトンの倍数比例の法則が原子論につながる。

(1) 当時よくある反論②③に対して、あなたがプルーストならどうやって反論し、定比例の法則が正しいと言ってもらえる支持者を増やすか?

(2) プルーストは当時主流だった、酸化金属にはさまざまな質量比がある定説を覆し、酸化銅なら2種類しかないことがわかったのだろうか?

(3) 以下の思考実験をしてみよう。
 ある銅鉱物があり、これは2つの酸化銅(Cu2O、CuO)のみしか含んでおらず、銅と酸素の質量比は64:16と現在の原子量と等しい値がわかっていたとしよう。ここで、5か所の場所から銅鉱物を採取し、加熱して酸素を飛ばし、銅を抽出して、飛ばした酸素と、残った銅の質量を測ると下表になったとする。


この表から定比例の法則を否定する派は以下のように言うはずである。
「銅Cuと酸素Oの割合値が鉱物によって変わるので、定比例の法則は成り立たない」
さて、あなたがプルーストならこの意見に対して、どう反論し、定比例の法則が成り立つことを証明するか?
銅鉱物 A B C D E
銅鉱物[g] 89.6 99.2 112 118.4 124.8
割合[%] Cu 82.1% 83.9% 85.7% 86.5% 87.2%
O 17.9% 16.1% 14.3% 13.5% 12.8%

②思考実験問題を作ったわけ

いかがでしょうか。化学反応の1つの法則よりは、
長年信じられてきた定説を覆すベースとなる法則であることがわかります。

だから中学校の教科書に載るくらい偉大な功績なのです。
概念はいくら科学的に客観的に正しくてもすぐには変わらない。
レールに乗っても成功しないこれからの時代だからこそ、仮説思考が大事。これは過去何もわからない時代の人と同じように新発見していく思考練習をすればよいのです。

③思考実験問題の解説

<解説>
定比例の法則は現在では、当たり前すぎて、「何が法則なの?」と印象に残らない感じですが、当時はさまざまな科学者が反論しました。

(1) ②の反論がとても印象的です。②では水溶液は「混合物」ですよね。化学反応は「化合物」の話をしているので、今この反論が出てもすぐ却下できます。つまり、

当時は、混合物と化合物の区別がはっきりしていないことがわかります。

③の反論も、酸化の度合いによって、完全に酸化した金属と、不完全に酸化金属が“混在”しているから金属と酸素の質量比が一定にならないわけです。

確かに、原子量や化合物の化学式がわかっていない時代だと、③の反論も立派に聞こえてきます。

まとめると、定比例の法則の功績は3つあると考えられます。

  1. 定比例の法則によって、「混合物」と「化合物」の区別がはっきりできるようになってきた
  2. 化合物を正確に抽出すると成分元素の質量比は同じとわかる
  3. 産地、製法によらず、質量比は一定なので、元素とは何か?の研究ができる

(2) プルーストに関する記述を見ていくと、

「複数ある酸化物はアルコールなどの溶媒で分離すればよい」

とあり、実験的に取り出せることもプルーストはわかっていたようです。ただし、プルーストの論文において、実験データ値が不正確なものが多く、そのままこの問題集に出すとかえってわかりにくい事実もあります。

(3) 定比例の法則が導くのは、「混合物と化合物」の区別をはっきりすることですね。つまり、各鉱物には、2種類の酸化銅がさまざまな率で混合していると反論すればよいですね。これをもとに、表から各鉱物から銅と酸素の質量を計算し、各鉱物内の酸化銅CuOが含まれる割合をx[%]とおきます。各鉱物において、

銅鉱物 A B C D E
銅鉱物[g] 89.6 99.2 112 118.4 124.8
割合[%] Cu 82.1% 83.9% 85.7% 86.5% 87.2%
O 17.9% 16.1% 14.3% 13.5% 12.8%
質量[g] Cu 73.6 83.2 96 102.4 108.8
O 16 16 16 16 16

鉱物A: 64x+128(1-x) =89.6×0.821 からx=85%
鉱物B: 64x+128(1-x) =99.2×0.839 からx=70%
・・・
と同様に5つの鉱物について混合割合が求められます。つまり、銅と酸素の質量を64,16と固定して混合割合が正しく計算できるので、5つ鉱物から「産地や製法によらず、構成する元素の質量比は一定」と「定比例の法則」が成り立つと言えます。

定比例の法則の偉大さがわかる問いを作ってみました。いかがでしょうか。

レールに乗っても成功しないこれからの時代だからこそ、仮説思考が大事。この問題を解くことより、作る方が重要です。次何がわかるのか?教科書の既成事実ですが、そこから何がわかるか?の思考訓練は学問、ビジネス両方に重要です。

QCプラネッツは理科をサイエンス(科学)できる教科書を現在作っております。

④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介

近日中に公開します。乞うご期待ください。

まとめ

「【必見!】化学反応の「定比例の法則」が大事な理由がわかる」を解説しました。

  • ①思考実験問題
  • ②思考実験問題を作ったわけ
  • ③思考実験問題の解説


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