QCプラネッツ 品質のプロフェッショナルを育成するサイト

【必見!】相対性理論の入り口(時空間の相対性)を中学理科で考える

中学理科

「観測者によって時間が変わる!のは意味不明だ」と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【必見!】相対性理論の入り口(時空間の相対性)を中学理科で考える

おさえておきたいポイント

  • (1) 相対性理論の入り口を簡単な例で考えてみよう!
  • (2) (速さ)=(距離)÷(時間)で、(距離)と(時間)は絶対だから、速さで調整するのが当たり前!
  • (3)でも光だけは光速度不変の原理が成り立つので、光の(速さ)は常に光速度!
  • (4)となると(速さ)=(距離)÷(時間)で相対的に変えるのは距離(空間)と時間?わけがわからないよ
時間と空間(時空間)は観測者の速度によって歪んでいるという奇妙な現象が簡単な事例から考えることができます。
中学の数学、理科の解法でやってみましょう。

このブログの構成

  • ①思考実験問題
  • ②思考実験問題を作ったわけ
  • ③思考実験問題の解説
  • ④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介
教科書を丸暗記すると化学は全く面白くない。
当たり前、暗記!
から離れましょう!
理科は暗記するな! 思考して科学せよ!そこがおもろいところ!
学生だけでなく、社会人も一緒に考えて解こう!

①思考実験問題

【13】
2人の観測者A,Bはそれぞれ、Aは静止系、Bは速度vで等速で走る電車の中にいるとする。
電車の中で光源を高さℓ先の鏡に照射し、反射して元の位置に戻る時間を
A,Bそれぞれ計測することを考える。
光は観測者に影響しないので、当然、2人の光がもとに戻るまでのかかる測定時間ta,tbは等しい。光の速さ(光速)をcとする。(光速度不変の原理が成り立つので、光速cは30km/sと不変とせよ。)

【図1】


(1) ①観測者A,Bから見える測定時間ta,tbはそれぞれ
tb=\(\frac{2l}{c}\)
ta=\(\frac{2l}{\sqrt{c^2-v^2}}\)

を示せ。

(2) (1)において、観測者によって、測定時間ta,tbは変わらないので、
当然ta=tbであるべきだ。
①また、距離ℓと測定時間ta=tbは観測者によらず不変である。
ℓ、c,vについての等式を作れ。

②①の等式は正しい。距離ℓと時間tは不変なので、
速度が値を調整して等式成立としたいが、
光速度不変の原理が成り立つことがわかっている
また、速度v ≠ 0である。
すると\(\frac{2l}{c}\)=\(\frac{2l}{\sqrt{c^2-v^2}}\)が成立しない。

さて困ったとなるわけである。

問いであるが、あなたならどうすればよいか?

(3)① 光速度不変の原理が成り立つことを前提にする。
測定時間ta,tb
距離ℓをA,Bそれぞれが見た距離ℓa,ℓb
を定義して等式を作れ。

②①において、実際に光速度に近い速度で運動することはないので、v < < c である。
このときは、観測者による時空間が歪むことがないことを示せ。

②思考実験問題を作ったわけ

いかがでしょうか。中学数学、理科の範囲内で解けるように作問しましたが、それでもまだわけがわからないほど難しいです。でも、読んで【なるほど】となりますね。

レールに乗っても成功しないこれからの時代だからこそ、仮説思考が大事。何でもかんでも暗記して点数稼いでも無意味である。ちゃんと「なぜ?」と疑問に思い、それを諦めずに解を探しに行こう!それがサイエンスです!

③思考実験問題の解説

アインシュタインの相対性理論の入り口

である問題です。
時間と空間は常に同じで、速度は相対的に変わるものが当たり前」と思いますが、
光速は絶対に不変とわかると、時空間は光速に近づくとゆがむ(変化する)」ことがわかる問いです。

この問を考える絶妙な設定は、

動体を電車のような動くところで動かし、
電車から見た場合と、
電車の外の静止した状態で見た場合」
で比較することです。でもよく考えますよね。

(1) ① 観測者B(電車の中)から光の動きを見ると、
単に光源からまっすぐℓ先の鏡に進み、そのまままっすぐ光源に戻るだけですね。
よって、tbtb=\(\frac{2l}{c}\)です。
これは簡単です。

【図2】

② ①と同じことを静止系の観測者Aが見ると光はどう動くかを作図してみましょう。
動く電車の中で光が動くので、下図のように①より複雑な動きが見えます。
光源から出て戻るまでの時間をtaとします。
光が進む距離c taは折れ曲がった区間となります。
また、電車は速度vで動きます。下図から三平方の定理を使って、

【図3】

\(l^2+(\frac{vt_a}{2})^2\)=\((\frac{ct_a}{2})^2\)
となります。この式を変形して、taの式に直します。
よって、ta=\(\frac{2l}{\sqrt{c^2-v^2}}\)

(2) ①観測者によらず、光が移動した時間は同じです。
ta=tbtb より、
\(\frac{2l}{c}\)= \(\frac{2l}{\sqrt{c^2-v^2}}\)
が当然成り立ちます。
でも式が違いすぎる。。。

②①から\(\frac{2l}{c}\)= \(\frac{2l}{\sqrt{c^2-v^2}}\)を変形します。
\(c^2\)=\(c^2-v^2\)となります。
時間tも距離ℓも不変、速度で調整するなら、
\(c_a^2\)=\(c_b^2-v^2\)
として、
光の速度が観測者によって変わるので、等式が成立する
としたいです。

でも、
光速度不変の原理が成り立つことが証明されているので、cは変えられません。
すると、
\(c^2\)=\(c^2-v^2\)から
\(v^2\)=0でなければ等式が成立しないとなります。
でも、電車は速度v (≠0)で動いている。
だから等式が成り立たない! おかしい! どうしよう!
となるのです。

ここで、発想の転換で、問の解答になりますが、
【時間と空間は観測者によらない前提はそもそも正しいのか?】
と気が付き、相対性理論の入り口の扉が開くわけです。

(3) ①等式を再度書きます。
ta= tb= \(\frac{2l}{\sqrt{c^2-v^2}}\)=\(\frac{2l}{c}\)
ここで、距離ℓも添え字をつけて、観測者によって距離が変わることを意識しましょう。
ta= tb= \(\frac{2l_a}{\sqrt{c^2-v^2}}\)=\(\frac{2l_b}{c}\)

(速さ)=(距離)÷(時間)
(右辺)は不変なので、(左辺)の速さが調整しているのが当たり前だった。

でも、光だけは、光の速度cは不変なので、
光だけは、(左辺)は不変なので
(右辺)の(空間(距離))、(時間)が相対的に変化する。

これが電車に乗る・乗らない観測者からの違いでわかる

②もちろん、速度vが光の速度c(=30万km/s)に比べて無視できるほど小さい(通常そうですが)場合は、vの効果は無視できるので、
結局、ta= tb=\(\frac{2l_b}{c}\)
となります。

この奇妙な思考実験いかがでしょうか。
この難しいことを考えて相対性理論を作ったアインシュタインは超天才ですね。でも、入り口はシンプルな式で解いて、その式の意味を考えるとまだ知らない世界が見えてくる面白さに気づくことが大事です。

レールに乗っても成功しないこれからの時代だからこそ、仮説思考が大事。この問題を解くことより、作る方が重要です。次何がわかるのか?教科書の既成事実ですが、そこから何がわかるか?の思考訓練は学問、ビジネス両方に重要です。

QCプラネッツは理科をサイエンス(科学)できる教科書を現在作っております。

④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介

近日中に公開します。乞うご期待ください。

まとめ

「【必見!】相対性理論の入り口(時空間の相対性)を中学理科で考える」を解説しました。

  • ①思考実験問題
  • ②思考実験問題を作ったわけ
  • ③思考実験問題の解説


Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119

    Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 122
error: Content is protected !!