月: 2022年3月

  • 取引先監査の監査する側・される側の関係がわかる

    取引先監査の監査する側・される側の関係がわかる

    本記事のテーマ

    取引先監査の監査する側・される側の関係がわかる
    • ①最もやりたくない監査
    • ②取引先監査当日の注意点
    • ③取引先監査を成功させるポイント

    ①最もやりたくない監査

    第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)、第三者監査(外部審査)と3種類ありますが、第二者監査(取引先監査)が最もやりたくないですね。

    顧客(購買先)が販売元に出向いて、品質監査をやる監査ですから。

    • 販売元はできれば避けたい
    • 顧客(購買先)も監査担当者は面倒くさいのでやりたくない
    • 両者の品質管理担当は責任が無いので、モチベーションも低い

    顧客が販売元をチェックするのは、品質管理としては重要ですが、実際やれってなると嫌ですね。その理由や現状を解説していきます。

    個人的には、他社を見る良い機会ですけど。

    ISOに書いているが、強制力はない

    ISO19011には、監査の種類と実施が書いていますが、書いているだけで、取引先監査の義務や強制力はありません。「両者の合意のもとで」なのでしょう

    監査される側は嫌がる

    そりゃ、嫌ですよね。

    ただでさえ、QCDに無茶いう顧客なのに、彼らが自社に乗り込んで監査するっていうわけですからね。監査した結果、何かアメでもないと、やってられませんよね。

    よっぽど、へまをやった(品質不正やった、顧客に相当の被害や迷惑をかけてしまった)があれば、受け入れる理由がありますが、

    監査する方も面倒くさい

    実は、顧客側も、「面倒くさい」んですよ。

    なぜなら、経営陣や管理職が取引先監査やって来い!と指示されたからとか
    監査する本人は直接、販売元から損を受けた関係ではないので、ただの事務業務として扱うからです。

    品質管理担当が取引先監査やればいいじゃん! 確かに監査する力量はあるのですが、品質管理側は組織の中でも独立した立ち位置なので、購入側・販売側のどちらの利害関係はありません。だから、モチベーションが低いのです

    「品管として、監査をやりました!」くらいな感じです。

    普段、購買側、販売側両者が集まって監査することは少ないため、
    取引先監査は貴重です。
    監査するには、互いに大きなメリットがあるといいのですが、
    どうすればよいかを考えましょう。

    ②取引先監査当日の注意点

    第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)、第三者監査(外部審査)とありますが、大きく違う点があります。

    1. 第一者監査(内部監査)は「性善説」を優先
    2. 第二者監査(取引先監査)は「性悪説」を優先
    3. 第三者監査(外部審査)は「性善説」を優先

    第二者監査(取引先監査)は、相手との関係性を良くしたい点がメインですが、
    基本は相手を疑うことが重要です。なぜなら、不都合なことは隠すから

    ここが、自社を診る、内部監査と外部審査の違いです。

    1. 被監査側は都合のよい所しか見せない、言わない
    2. でもそれが正しいなら、品質トラブルにならないはずだが
    3. 監査側は要求をはっきり言う
    4. 両者が決裂したら、販売先を変えればいいだけ

    取引先監査自体はお金の流れが無いため、監査側も被監査側も対等です。言いたいこと言いましょう。

    被監査側は不都合なことは隠す

    監査は本来、相手の良いところを探すものですが、
    取引先監査は不備やトラブルが原因で実施するため、
    性悪説でのぞみます。

    よって、普段相手を疑うことはしませんが、取引先監査は別人格でのぞみます。でも、喧嘩や挑発はNGです。顧客側として、こうして欲しいと率直に伝えるのが目的です。

    監査でのぞむべきポイントは

    1. 一番できの良いロットしか見せない
    2. 都合のよい文書やプロジェクト記録しか見せない
    3. 工場現場見学は基本NG。OKな場合でも良い所しか見せない
    4. 都合のよい回答しかしてこない

    ●逆に、監査される側に立てば、不都合な事実は無くても、うまく伝わらないことが原因で改善をあれこれ指示されたくはありません。また、自社では問題が起きていないことでも、NGと監査されて無理矢理な改善要求はされたくはありません。

    ●さらに、監査する・される両側をはさむ独立な立場の人はいませんので、揉め事に発展する危険性があります。

    互いに相手を配慮しつつ、変な指摘がされないよう守る事も大事です。

    監査側が見たいところをはっきり要求する

    相手が100%対応してくれるかはわかりませんが、監査に来た以上、監査したい目的や、気になる所ははっきり伝えましょう。監査される側からは、「こういうのが気になる相手だ」と伝わるからです。

    この取引先監査は、
    減点方式なので、高評価されない監査です。よって、モチベーションは上がりません。
    ●ちゃんとできていれば、減点0
    ●不備があれば減点
    ○良い事例があっても加点されない。

    テンションが上がらない監査なので、相手への要求は明確に伝えるべきですが、言い方は注意しましょう。高圧的な言い方ではなく、お願いする体がよいでしょう。

    被監査側が説明しない所をよく見る

    相手先に行ったら、説明されないところをよく見ておきましょう。説明されない所や、非言語的な情報から相手先の品質レベルがわかるからです。

    1. 事務所や工場にゴミが落ちたまま
    2. なんか埃っぽい
    3. なんか暗い(雰囲気、照明)
    4. そこで働いている人の表情
    5. 整理整頓できていない所がある
    6. 管理要な薬品・劇薬の管理状況

    説明されない所や、非言語的な情報から、相手の不備や改善要求点が見えます。直接伝えてもいいし、これらと監査チェックリストを絡めて指摘するのもよいでしょう。

    三現主義(現実、現物、現場)を見ると、ほぼ相手がわかる

    はっきり言おう!【2Sだけみれば相手がわかるよ】

    限られた時間で知らない相手を知るために時間を費やすより、
    取引先の2S(整理整頓)だけ見るだけでも
    かなり優れた審査ができるよ!

    はっきり言って

    十分な取引先監査教育環境を用意するのは難しい。
    審査で重点的に見たいところが実は外していたりすると
    【なんでこんな評価してきたの?】
    という結果が多い。

    むしろ、

    相手の職場、製造現場の整理整頓だけ見よう!
    整理整頓ができていないところは
    品質レベルに問題があるし、
    全部を綺麗に整理整頓するほど相手も時間がない。

    簡単ですが、QCプラネッツの経験上、2Sだけでもかなりの精度の高い審査結果を下すことができます。

    ③取引先監査を成功させるポイント

    相手との関係性、取引額、監査のモチベーションなどが交錯する監査なので、実施するだけでも大きな成果です。成功させるポイントを解説します。

    1. 監査員の育成
    2. スムーズな監査
    3. 良好な関係を構築

    監査員の育成

    社内から監査員を数名選抜して、育成する必要があります。品質管理担当が主にやりますが、品質管理部門は組織内で独立した位置にあるので、販売側・購入側間の利害の程度が小さいです。他人事のように監査する可能性があります。

    購買品を直接扱う、営業や技術が監査して、直接ダメージを受けた相手を監査した方が、高いモチベーションで臨めるはずです。

    取引先監査は運営や質疑が難しいので、
    組織内の内部監査で十分経験を積んでから取引先監査員
    として育成するとよいです。
    組織内の多くの人に監査できる力をつけると、内部監査や取引先監査できる人が増えて、強い組織ができます。

    内部監査員を組織内でたくさん作る理由の1つに、取引先監査の実施があります。

    スムーズな監査

    互いの言い分や、攻防がありますが、心を開かないと、相手も心を開きません。

    監査の前の、よい空気を作ることが大切です。
    「いつもありがとうございます。」
    「今回は、こういう理由で、もっとよくしたいから、監査させていただきます。」
    「今後もっと良い関係にしたいので今日1日よろしくお願いいたします。」
    「自社は最近○○で、○○なんですよ」とか
    「共通の世間話でもいい」

    監査の質疑の合間にも、相手を配慮するような言い方とか、相手が得するような提案をすると、相手も自分ことをよく考えてくれているなとして、本音がポロっと言ってくれるかもしれません。

    相手の本音は、ツッコむのではなく
    互いの良好な関係維持につながる連結器ととらえておく

    記録に書かず、口頭で、こんなこと言っていましたよ。くらいの報告でよいでしょう。

    良好な関係を構築

    取引先監査の目的は、

    両者のWIN-WINな関係を強固にすること

    ●改善した方がベターなものははっきり伝えましょう。
    ●せっかく相手と話せる機会なので、相手の価値観や考え方を共有しましょう。
    ●相手の良い点は自組織に取り込んでもよいでしょう。

    良い印象がある相手なら、「がんばろう!」となるはずですし、その逆もあります。

    人 対 人 の監査なので、心が通う良い関係になった方が、得です。

    海外の場合は、性悪説がベースなので、契約や罰金で縛りますが、本来は心通う人同士のつながりなので、良い関係で悪い事はありません。

    以上、取引先監査の両者の関係を解説し、他の内部監査や外部審査よりレベルが高い監査であることがわかりました。

    まとめ

    取引先監査の監査する側・される側の関係をわかりやすく解説しました。

    • ①最もやりたくない監査
    • ②取引先監査当日の注意点
    • ③取引先監査を成功させるポイント
  • 内部監査の監査する側・される側の関係がわかる

    内部監査の監査する側・される側の関係がわかる

    本記事のテーマ

    内部監査の監査する側・される側の関係がわかる
    • ①役職は監査員の方が下
    • ②監査員へのサポートのコツ
    • ③非言語コミュニケーションスキルが必要

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    ①役職は監査員の方が下

    将来期待できる人に監査員をやってほしい

    ●内部監査で質疑を多くの人に経験してほしいです。品質を身に着けるには、自分の言葉で質疑するのが一番だからです。

    ●しかし、内部監査はそんなに回数がありません。年1回で多くても2,3回質疑するくらいです。監査員育成には数年かかってしまいます。

    ●なので、これからの将来が期待できる3,40代の中堅に監査質疑経験を与えることが組織にとって重要です。

    現状、50代が監査員になることが多いです。数年育成しても定年退職へのカウントダウンが始まるだけで、中長期的に品質を見てほしいプロを組織内に育成したいですよね。

    被監査側の方が役職は上

    将来が期待できる3,40代の中堅に監査質疑経験を与えようとなると、1つ問題があります。

    ●監査する方:課長以下、平もいる
    ●監査される方:部長、課長

    役職が上の目上に質疑しないといけません。これが結構しんどいですよね。普段は逆で、上長から業務指示がくる日々で、内部監査だけは上をチェックするわけです。

    普段言えない上司への不満を、厳しい質疑と厳しい監査結果にしてやろう!
    という悪意は禁物です。
    品質向上につながりません。

    部課長へ質疑するのが嫌だという理由で、監査員を断る人も多いです。品質管理担当としても監査員候補を見つけてOKもらうのが大変です。振られまくりです。

    監査員を部長級以上にするとやらされ感が出る

    「じゃー、監査員に部長級以上をもってきたらいいんじゃないの?」と思いますよね。

    これは絶対いやです。

    1. 経営会議に見たいに、「あれやれこれやれ」といっぱい指示がくる
    2. 監査側、事務局、被監査側に不条理な指示がくる
    3. やらされ感が出てしまう
    4. 自ら品質向上しようとならないため、監査の効果が出ない
    品質は
    「やれ!」と命令しても
    品質向上しません。
    「自ら良くしよう!」と応援しないといけません。

    監査員の選び方は結構考える必要があります。

    監査員へのサポートのコツ

    3つあります。

    1. 品管のシニアをサポートに入れる
    2. ISOのせいにして相手を納得させる
    3. 相手の良さを引き出すよう質疑する

    それぞれ解説します。

    品管のシニアをサポートに入れる

    内部監査に限らず、品質管理の仕事は、

    役職だけでなく年齢も重要

    内部監査、外部審査などの品質管理業務は、相手が各部門の役職者が多いです。平社員だとなかなか伝えづらいし、交渉も難しいです。

    そういうこときは、50代後半の品質管理の人を頼りましょう。

    各部門の役職者が、その50代後半の後輩だったりする

    先輩に頼むと、ことが進みます。先輩の力やサポートを使いましょう。

    ISOのせいにして相手を納得させる

    「 ISOなので、すいません」と言いながら、
    冷静に客観的に質疑する
    タンタンと事実に基づいて機械的に質疑するのもOK

    相手の良さを引き出すよう質疑する

    監査は、若くて平の監査員 VS 年上の管理職の被監査側
    監査は、シニアの平の監査員 VS 管理職の被監査側

    で、基本、管理職の被監査側が強くし、偉いので、高圧になりやすいです

    もちろん、評価する方は監査側なので、被監査側も緊張しています。

    相手の良さを引き出すよう質疑して
    相手を盛り上げましょう。

    毎年、厳しい仕事を勝ち抜いている各部門を監査します。それぞれの良さや強みがたくさんあるはずです。また、もっと改善するとベターな提案できる点もあるでしょう。

    相手を叩く質疑ではなく、相手の良さを見抜く質疑が重要

    相手にとって、当たり前なことを高く評価すると、相手も自信をもってさらに向上しようと自ら行動取ってくれます。

    ③非言語コミュニケーションスキルが必要

    どこにも書いていないスキルが求められる

    内部監査のやり方を教えてくれるのはいいけど、
    実際にやるとなると、いろいろ緊張するなあ

    と、初めて監査する時は特に、緊張や心配事がつのります。その理由は、

    内部監査は、非言語コミュニケーションスキルが必要なのに
    誰も教えてくれないし、誰も気づいていないから

    非言語コミュニケーションの重要さを解説します。この記事を構成しているときに、非言語コミュニケーションの大事さを気づいて良かった!

    監査当日は緊張する

    「準備はしっかりしたけど、なんか心配」なのが、監査リーダの本音です。

    1. 相手の表情が暗い
    2. ダルそうで、嫌そうで、声のトーンも低い
    3. 部門長は手を組んで座っているし
    4. なんか文句あるの?という態度だし
    5. 被監査側は10人も来たけど、監査側はリーダと記録係の2人しかいないし
    6. みんな咳きこんでいるし
    7. 笑顔がないし
    8. 会議室の部屋が暗いし
    9. 相手が時間になってもやってこないし
    10. リモート監査で相手の表情が見えない、怒っている?

    などなど、質疑は淡々と進めていても、相手の表情や言語以外の出て来る負のオーラで、監査する方も結構ビビってしまいます。

    心配事が多く、緊張するのはむしろ自然

    なので、監査の前に、監査する・される両者の緊張をほぐしましょう。互いに緊張していますから。
     ●「今日はありがとうございます」と感謝から入る
     ●「最近寒いですねとか」世間話でもいい
     ●相手が特に監査評価で心配していることがあれば先に聞いて、心配事を無くす
     ●「いいところをたくさん見つける監査です」とか「少々不備や論理に矛盾があっても評価下げませんので、どんどんおっしゃってください」とか先に伝えておくとか
    監査実施前に両者のキャッチボールしておくとスムーズに進みますし、相手の良い点をたくさん見つけられるはずです。

    数回監査やれば身につく

    2、3回監査質疑やれば、ベテランの域に入ります。意外ですけど。

    ポイントは、

    1. 最初は緊張する
    2. 非言語コミュニケーションの難しさに慣れよう!
    3. 完璧な質疑は最初からできなくてもいい
    4. うまく行かないときもあるが、気にせず自分なりにやってみる
    5. 数回監査質疑やれば、力もついてくる
    6. 基本は組織内(社内)の監査なので、皆が守ってくれていると思えばOK

    ●監査質疑を依頼する事務局側は、あえて難しい質疑を依頼することで、品質管理の力を身に着けてほしいという思いがあります。

    ●監査側、被監査側は基本同じ組織に所属するメンバーなので、監査の良し悪しがあっても、組織内でカバーすればよいです。

    ●通常業務で忙しい合間に、監査を実施しているだけでも、品質管理側としては十分感謝の思いがあります。

    緊張しますけど、内部監査を楽しんでください!

    まとめ

    内部監査の監査する側・される側の関係をわかりやすく解説しました。

    • ①役職は監査員の方が下
    • ②監査員へのサポートのコツ
    • ③非言語コミュニケーションスキルが必要
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