カテゴリー: 手法

  • 順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁R管理図の変数d2,d3
    • ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁R管理図の変数d2,d3

    詳しくは、すでに関連記事で書いています。

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    R管理図の変数d2,d3

    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    読んでも理解ができない超難関な式です。でも、これをR管理図の係数表として有名です。どうやってこの式になったのか?と気になるのは当然!

    注意!

    先に謝っておきます!
    完璧に導出できていませんが、日本中の資料をかき集めて、自分で研究した成果を解説します。d2,d3の導出で新たな知見が出たら、ブログを更新します。
    R管理図の関連記事を書いて9カ月経過し、統計学を猛勉強して、順序統計量を解説できるレベルまで高めましたが、やっぱりR管理図の係数d2,d3は導出できない。読んでもわからない

    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)
    は順序統計量を勉強すれば、同時分布の幅の分布から導出するのがわかりますが、その先の導出がやっぱりわからないです。

    ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    要約は関連記事で

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    本記事は、図書の原文を残しておきます

    導出が書いている唯一の図書が、です。大きな図書館でないと借りれません。

    1952年から70年経過しており、著作権の影響がないことと、
    この本の内容以外、R管理図の変数d2,d3の導出が書いていないため、原文を書き残して、導出過程をみなさんと協議したいと思います。

    「新編統計数値表 河出書房」P206-208の原文です。古い漢字や誤植や解釈が難しいと思われるところはQCプラネッツの方で修正しています。

    「新編統計数値表 河出書房」

    36.範囲の分布

    連続型分布で無作為標本\(x_1\),\(x_2\),…, \(x_n\)を大きさの順に並べたものを
    \(x_1\) < \(x_2\) < … < \(x_n\)
    とする。\(x_r\)を\(r\)番目の順序統計量という。

    元の分布関数を\(F(x)\)、確率密度関数を\(f(x)\)とすれば、\(x_r\)の分布は、
    \(Φ(x_r)dx_r\)=\([F(x_r)]^{r-1} [1-F(x_r)]^{n-r} f(x_r)dx_r /B(r,n-r+1)\)

    \(F_1=F(x_r)\), \(F_2=F(x_{n-l+1})\)の同時分布は
    \(F_1^{r-1} (F_2 – F_1)^{n-r-l}(1-F_2)^{l-1} dF_1 dF_2 \)
    に比例する。

    つぎに、
    \(R=x_n – x_1\)と定義すると、\(R\)は範囲という。\(R\)の標本分布において、\(x_2-x_1=w\)と置くと、\(R\)の確率密度関数\(f_W (w)\)は

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} f(x_1)f(x_1+w) dx_1 dx_2\)

    ここで、\(dF_i\)=\(df_i dx_i\)とすると、

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} dF_1 dF_2\)
    となる。

    期待値E[\(w\)]は、
    E[\(w\)]=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} (x_2 -x_1) dF_1 dF_2\)
    となる。

    \((F_2-F_1)^{n-2}\)を展開して、部分積分からまとめると、
    E[\(w\)]=\(n! \sum_{r=0}^{n-2} \frac{(-1)^r}{(r+1)!(n-r-1)!} \displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F_2^{n-r-1})F_2^{r+1} dx_2\)
    =\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F_2^n-(1-F_2)^n)dx_2\)

    同様にしてE[\(w^2\)]は
    E[\(w^2\)]=\(2 \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2}(1-F_2^n-(1-F_1)^n-(F_2-F_1)^n)dx_1 dx_2 \)

    従って\(w\)の母分散は
    \(σ_w^2\)= E[\(w^2\)]- E[\(w\)]2
    で与えられる。

    範囲の分布は、元の分布の母平均の値によらないから、
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} xdF\)=0
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^2dF\)=\(σ^2\)=1
    と置いても、一般性は失わない。\(σ^2\)が存在するなら、
    \( \displaystyle \lim_{x \to -\infty} xF= 0\)
    \( \displaystyle \lim_{x \to +\infty} x(1-F)= 0\)
    より、

    部分積分から、
    E[\(w\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F^n-(1-F)^n)dx\)
    =-\(\displaystyle \int_{0}^{1} xd[1-F^n-(1-F)^n]\)= \(\displaystyle \int_{0}^{1} x[(1-F)^n-F^n]dF\)

    シュワルツの不等式より、
    \(E[w]^2\) ≤ \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^2dF \displaystyle \int_{0}^{1} [(1-F)^n-F^2]^2 dF\)
    =\(\frac{2n^2}{2n-1}(1-\frac{1}{_{2n-2}C_{n-1}})=K\)
    とすると、\(K\)は、
    E[\(w\)]=E[\(\frac{R}{σ}\)]=\(d_2\)
    を与える。

    E[w]の導出までは理解できますが、そのあとの計算がさっぱりわからないですね。式が正しく導出できるかが分からないです。

    導出が分かり次第報告します!

    このテーマはわかるまで研究したいと考えております。

    まとめ

    「順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁R管理図の変数d2,d3
    • ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

  • 順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる

    本記事のテーマ

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量確率密度関数の導出がもっと理解できる
    • ④順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散がよくわかる
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!

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    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量の大事な基礎をまとめています。まず、ここで学習しましょう。

    順序統計量 【まとめ】
    「順序統計量の考え方がよくわかる」
    順序統計量をわかりやすく解説!大事な基礎をすべてまとめています。必見!

    ➁順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出

    (1) 順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出

    関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-1} f(x)\)の導出についてです。

    教科書の導出方法を解説します。

    \(X\)=(\(X_1,…,X_n\))を\(n\)個の独立な確率標本とし、確率密度関数、および分布関数をそれぞれ\(f(x)\),\(F(x)\)とする。また、\(F_{(i)}\),\(i=1,…,n\)を\(i\)番目の順序統計量\(X_{(i)}\)の分布案数とする。

    順序統計量

    上図のように、事象\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx\)(\(δx\)は微小とする)の起こる確率Prは、二項定理を使って
    Pr(\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx)\)
    =\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\) \(F(x)^{i-1} (1-F(x+δx))^{n-i} (F(x+δx)-F(x))\)
    =(式1)
    と表現できる。

    二項定理から見ると、
    ●\(F(x)\)が\(i-1\)個
    ●\(F(x+δx)-F(x)\)が1個
    ●残り\(1F(x+δx)\)が\(n-i\)個
    を選ぶ、場合の数を求めるイメージです。

    (式1)の微分が関数\(f_{(i)}(x)\)になるので、
    \( \displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{ Pr}{δx} \)
    =\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-1} f(x)\)
    =(式2)

    ((式1)の中の、\((F(x+δx)-F(x))/δx\)⇒\(f(x)\)になります。)

    続いて、教科書的な同時確率密度関数の導出も見ましょう。

    (2) 順序統計量の教科書的な同時確率密度関数の導出

    関数\(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)の導出についてです。

    教科書の導出方法を解説します。

    2つの順序統計量\(X_{(i)}\)、\(X_{(ij)}\)について考えるが、
    ●1 < \(i\) < \(j\) < \(n\)
    とする。この場合、
    \(x_i\) < \(X_{(i)}\) \(X_{(i)}\) \(x_i + δx_i\)および\(x_j\) < \(X_{(j)}\) \(X_{(j)}\) \(x_j + δx_j\)が同時に起こる確率Prは、下図と二項定理を使って以下で表現できる。

    順序統計量

    Pr(\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx\),\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx\))
    =\(\frac{n!}{(i-1)!1!(j-i-1)!1!(n-j)!}\) \(F(x)^{i-1} (F(x_j)-F(x_i +δx_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j + δx_j))^{n-j} (F(x_i +δx_i)-F(x_i)) (F(x_j +δx_j)-F(x_j))\)
    =(式3)
    で表現できる。

    二項定理から見ると、
    ●\(F(x_i)\)が\(i-1\)個
    ●\(F(x_i+δx_i)-F(x_i)\)が1個
    ●\(F(x_j)-F(x_i + δx_i)\)が\(j-i-1\)個
    ●\(F(x_j+δx_j)-F(x_j)\)が1個
    ●1-\(F(x_j+δx_j)\)が\(n-j\)個
    を選ぶ、場合の数を求めるイメージです。

    (式3)の微分が関数\(f_{(i),(j)}(x)\)になるので、
    \( \displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{ Pr}{δx_i δx_j} \)
    =\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    (ここで、\(C_{i,j}=\frac{n!}{(i-1)!(j-i-1)!(n-j)!}\))
    =(式4)

    ((式3)の中の、
    \((F(x_i+δx_i)-F(x_i))/δx_i\)⇒\(f_(i)(x)\)と
    \((F(x_j+δx_j)-F(x_j))/δx_j\)⇒\(f_(j)(x)\)に
    なります。)

    ➂順序統計量確率密度関数の導出がもっと理解できる

    二項定理から導出できるのは事実ですが、順序よく並ぶイメージがまったくありません。

    むしろ、順序よく並ぶ関数が先にあって、それを整えて作られたのが順序統計量の確率密度関数の形であるとQCプラネッツでは考えています。

    なので、

    1. 順序よく並ぶ関数の形を探す
    2. 関数の値が綺麗になるように係数で整える

    の順番で順序統計量の確率密度関数を考えていきます。

    高校数学の関数で期待値が昇順に並ぶ例を学ぶ

    1. 順序よく並ぶ関数の形を探す
    2. 関数の値が綺麗になるように係数で整える

    を簡単な事例で解説します! しかも高校数学でできます! 

    高校数学でしかも、\(x^n\)の式で、期待値が昇順に並ばせることができる関数があります。面白い!ので次の例題を提示します!大学入試に出題されてもいい良問です!

    順序統計量の確率密度関数が理解できる高校数学問題

    4次関数
    \(f_1 (x)= 5(1-x)^4\)
    \(f_2 (x)= 5x(1-x)^3\)
    \(f_3 (x)= 5x^2 (1-x)^2\)
    \(f_4 (x)= 5x^3 (1-x)^1\)
    \(f_5 (x)= 5x^4 \)
    (つまり、\(f_i (x)= 5x^{i-1} (1-x)^{5-i}\) (\(i\)=1,2,3,4,5))
    ( 0 < \(x\) < 1)
    を定義する。
    (1) \(f_i (x)= 5x^{i-1} (1-x)^{5-i}\) (\(i\)=1,2,3,4,5))の概形を描け。
    (2) 期待値E[\(x_i\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_i(x)\)を計算せよ。
    (3) 期待値E’ [\(x_i\)]=\(\frac{5!}{i!(5-i)!}\)E[\(x_i\)]を求めよ。
    ただし、以下の式\( \displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\)=\(\frac{(p-1)!}{(q-1)!}{(p+q-1)!}\)は証明せずに使ってよい。

    どうでしょう。見た目、大学入試か高校の実力試験に出ても違和感ないですよね!

    実際に解いてみましょう。

    実は、上の例の(3)
    期待値E’ [\(x_i\)]=\(\frac{5!}{i!(5-i)!}\)E[\(x_i\)]こそが順序統計量の確率密度関数の形になっていますし、この期待値を計算すると\(i/n\)に近い式になり、\(i\)を増やすと期待値もそれに従って順序よく増加し、下の図のイメージになります。

    順序統計量

    順序統計量の確率密度関数を理解する方法

    再掲しますが、

    1. 順序よく並ぶ関数の形を探す
    2. 関数の値が綺麗になるように係数で整える

    最初の、順序よく並ぶ関数の形を探すは、上の例題と関連記事の解説から
    \(x^{i}(1-x)^{n-i}\)が関数の項にあれば、期待値は\(i\)を増やすごとに増加し、順序どおり並びます。

    もっと一般化すると、
    ●\(x^{i}(1-x)^{n-i}\)が関数の項にあること
    ●\(f(x)^{i}(1-f(x))^{n-i}\)が関数の項にあること
    ●\(x^{i}(y-x)^{j-i} (1-y)^{n-j}\)が関数の項にあること
    となると、これらも順序よく並びます。

    まず、二項定理から導出するのではなく、順序よく並ぶ関数を用意することが先とQCプラネッツは考えます。

    次に、関数の値が綺麗になるように係数で整えるために二項定理のような係数がつきます。

    実際に、\(x^{i}(1-x)^{n-i}\)を積分するとベータ関数を適用し、計算結果が階乗!を使いまくる式になります。そのままは使いにくいので、「!」を無くすように関数の前に係数が付きます。

    つまり、下図のように順序統計量の式は構成されています。これは同時確率密度関数の場合も同じです。

    順序統計量

    難しい公式を無理に暗記せず、意味を理解しましょう。順序統計量は意味をよく理解することが大事です。

    ④順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散がよくわかる

    結果を記述しますが、詳しい導出はプレミアムテキストにあります。

    期待値と分散を導出する例題

    確率変数\(X\)の確率密度関数\(f(x)\)および分布関数\(F(x)\)が
    ●\(f(x)\)=1 (0 < \(x\) < 1)
    ●\(F(x)\)=x (0 < \(x\) < 1)
    の一様分布に従うとする。このとき、\(X_{(i)}\)と\(X_{(j)}\) (0 < \(X_{(i)}\) < \(X_{(j)}\) < 1)の同時分布について
    (1)期待値E[\(X_{(i)}\)]
    (2)期待値E[\(X_{(i)} X_{(j)}\)]
    (3)分散V[\(X_{(i)}\)]
    (4)共分散Cov[\(X_{(i)} X_{(j)}\)]
    をそれぞれ求めよ。

    (i)期待値の導出

    期待値をまとめると

    【期待値】
    ●期待値E[\(X_{(i)}\)]= \(\frac{i}{n+1}\)
    ●期待値E[\(X_{(i)} X_{(j)}\)]= \(\frac{i(j+1)}{(n+1)(n+2)}\)

    (ii)分散の導出

    分散、共分散をまとめると

    【分散、共分散】
    ●期待値V[\(X_{(i)}\)]= \(\frac{i(n-i+1)}{(n+1)^2 (n+2)}\)
    ●期待値V[\(X_{(i)} X_{(j)}\)] =\(\frac{i(n-j+1)}{(n+1)^2 (n+2)}\)
    順序統計量(一様分布)の同時確率密度関数の難しい式を使う良い演習ができます!。

    結果を記述しますが、詳しい導出はプレミアムテキストにあります。

    統計学_【まとめ】順序統計量 【QCプラネッツ順序統計量プレミアム勉強プリント】リンク

    まとめ

    「順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量確率密度関数の導出がもっと理解できる
    • ④順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散がよくわかる
  • 【まとめ】順序統計量の考え方がよくわかる

    【まとめ】順序統計量の考え方がよくわかる

    本記事のテーマ

    順序統計量の考え方がよくわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量がよく理解できる例題
    • ③順序統計量の解説プレミアムテキストのご紹介
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!

    QCに必要な数学問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    ●定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量をわかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁順序統計量がよく理解できる例題

    いろいろな関数を使ってよいですが、順序統計量を理解しやすく、簡単な関数を提示すると、
    \(f(x)=x^p (1-x)^{n-p}\)
    とQCプラネッツは考えています。

    QCでもおなじみの二項分布、二項定理、OC曲線、抜取検査でもよく出で来る式ですし、
    統計学でもベータ関数に持ち込めるし、
    xの何とか乗なので、わかりやすいでしょう。

    ベータ関数を復習する

    順序統計量の前に、よく活用するベータ関数を復習します。

    ベータ関数がよくわかる
    ベータ関数は自力で解けますか?本記事ではベータ関数の導出方法や性質、ガンマ関数との関係をわかりやすく解説します。大学の数学のような難解な説明は一切していません。、大学受験で頻出問題となるベータ関数は受験でも統計学でも重要です。受験生と統計学を学ぶ人は必読です。

    メインの公式は、以下です。よく使います!

    \(B(p,q)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx\)
    =\(\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)
    \(B(p,q)\)=\(\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)

    例題

    次の場合を考えます。

    \(n-1\)個のコインを投げる。コインが表になる確率は\(x\) (0 ≤ \(x\) ≤ 1)とする。この場合、\(i-1\)個のコインが表になる確率の\(n\)倍を\(f_{(i)}(x))\)とする。\(f_{(i)}(x))\)はどんな式になるか?

    なぜか、\(n\)個ではなく\(n-1\)個のコインで、
    なぜか、\(i\)個ではなく\(i-1\)個のコインの場合の確率の
    \(n\)倍するって変ですが、

    期待値、分散の計算を簡単にするために、あえてこのように設定しました。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x))\)=\(n _{n-1}C_{i-1} x^{i-1} (1-x)^{n-i}\)
    となりますね。

    コインの表裏の確率問題はよく確率\(\frac{1}{2}\)を使いますが、一般化して\(x\)としました。そうするとベータ関数や順序統計量への応用につながります。

    いきなり難しい数学ではなく、よく勉強した高校数学からつなげて理解を深めましょう。

    期待値E,分散Vの導出

    期待値E[\(x_i\)]、分散V[\(x_i\)]は公式通りです。確認すると、
    E[\(x_i\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_{(i)}(x) dx\)
    E[\(x_i^2\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x^2 f_{(i)}(x) dx\)
    V[\(x_i\)]= E[\(x_i^2\)]- E[\(x_i\)]2
    ですよね。

    素直に代入します。

    期待値E[\(x_i\)]

    E[\(x_i\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_{(i)}(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} x・ n _{n-1}C_{i-1} x^{i-1} (1-x)^{n-i} dx\)
    =\( n _{n-1}C_{i-1} \displaystyle \int_{0}^{1} x^i (1-x)^{n-i} dx\)
    =(式1)

    (式1)において、
    \( \displaystyle \int_{0}^{1} x^i (1-x)^{n-i} dx\)
    はベータ関数を使うと
    \( \displaystyle \int_{0}^{1} x^i (1-x)^{n-i} dx\)
    =\(B(i+1,n-i+1)\)
    =\(\frac{i!(n-i)!}{(n+1)!}\)
    =(式2)

    (式2)を(式1)に代入すると、
    (式1)=\(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!}\)・\(\frac{i!(n-i)!}{(n+1)!}\)
    =\(\frac{i}{n+1}\)

    まとめると、
    期待値E[\(x_i\)]=\(\frac{i}{n+1}\)
    と随分スッキリした式で表現できます!

    期待値E[\(x_i^2\)]

    期待値E[\(x_i\)]と同様に解くと、

    E[\(x_i^2\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x^2 f_{(i)}(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} x^2・ n _{n-1}C_{i-1} x^{i-1} (1-x)^{n-i} dx\)
    =\( n _{n-1}C_{i-1} \displaystyle \int_{0}^{1} x^{i+1} (1-x)^{n-i} dx\)
    =(式3)

    (式3)において、
    \( \displaystyle \int_{0}^{1} x^{i+1} (1-x)^{n-i} dx\)
    はベータ関数を使うと
    \( \displaystyle \int_{0}^{1} x^{i+1} (1-x)^{n-i} dx\)
    =\(B(i+2,n-i+2)\)
    =\(\frac{(i+1)!(n-i)!}{(n+2)!}\)
    =(式4)

    (式4)を(式3)に代入すると、
    (式3)=\(\frac{n!}{(i-1)!(n-i)!}\)・\(\frac{(i+1)!(n-i)!}{(n+2)!}\)
    =\(\frac{i(i+1)}{(n+1)(n+2)}\)

    まとめると、
    期待値E[\(x_i^2\)]=\(\frac{i(i+1)}{(n+1)(n+2)}\)

    分散V[\(x_i\)]

    V[\(x_i\)]= E[\(x_i^2\)]- E[\(x_i\)]2より
    =\(\frac{i(i+1)}{(n+1)(n+2)}\)- \((\frac{i}{n+1})^2\)
    =\(\frac{i(n-i+1)}{(n+1)^2(n+2)}\)

    結果を可視化してチェック

    関数、期待値と分散は、それぞれ、
    ●関数\(f_{(i)}(x)\)=\(n _{n-1}C_{i-1} x^{i-1} (1-x)^{n-i}\)
    ●期待値E[\(x_i\)]=\(\frac{i}{n+1}\)
    ●分散V[\(x_i\)]=\(\frac{i(n-i+1)}{(n+1)^2(n+2)}\)
    でしたね。

    具体的にn=5としてi=1,2,3,4,5を代入しましょう。

    関数を具体的にn=5としてi=1,2,3,4,5を代入すると、
    ●\(f_{(1)}(x)\)=\(5(1-x)^4\)
    ●\(f_{(2)}(x)\)=\(20 x(1-x)^3\)
    ●\(f_{(3)}(x)\)=\(30 x^2 (1-x)^2\)
    ●\(f_{(4)}(x)\)=\(20 x^3 (1-x)\)
    ●\(f_{(5)}(x)\)=\(5 x^4\)

    グラフにしましょう。Iの値によって形が変化しています。

    順序統計量

    期待値E[\(x_i\)]

    ●期待値E[\(x_i\)]=\(\frac{i}{n+1}\)
    を実際に代入すると
    ●期待値E[\(x_1\)]=\(\frac{1}{6}\)
    ●期待値E[\(x_2\)]=\(\frac{2}{6}\)
    ●期待値E[\(x_3\)]=\(\frac{3}{6}\)
    ●期待値E[\(x_4\)]=\(\frac{4}{6}\)
    ●期待値E[\(x_5\)]=\(\frac{5}{6}\)
    これをグラフにすると、確かに順序にそって、右に期待値が増加しているのがわかりますね。

    順序統計量

    分散V [\(x_i\)]

    ●期待値V[\(x_1\)]=\(\frac{5}{6^2 7}\)
    ●期待値V[\(x_2\)]=\(\frac{8}{6^2 7}\)
    ●期待値V[\(x_3\)]=\(\frac{9}{6^2 7}\)
    ●期待値V[\(x_4\)]=\(\frac{8}{6^2 7}\)
    ●期待値V[\(x_5\)]=\(\frac{5}{6^2 7}\)
    となり、i=3の時が分散は最大になることがわかります。

    順序統計量は、視覚的に理解することが大事!

    ③順序統計量の解説プレミアムテキストのご紹介

    以前は、ブログ記事でまとめていましたが、PDFとしてまとめました。ダウンロードして学習ください。

    順序統計量のパターンがたくさんが理解できる関連記事を紹介します。上から下に沿って、それぞれの関連記事を読んでいってください。

    統計学_【まとめ】順序統計量 【QCプラネッツ順序統計量プレミアム勉強プリント】リンク

    No ブログ記事リンク
    1 順序統計量(指数関数)がよくわかる
    2 順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散がよくわかる
    3 順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる
    4 順序統計量の幅の分布がわかる
    5 順序統計量の演習問題

    一緒に勉強しましょう。

    まとめ

    「順序統計量の考え方がよくわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量がよく理解できる例題
  • 【まとめ】正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性がよくわかる

    【まとめ】正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性がよくわかる

    「正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性がわからない」、「公式暗記ばかりで理解できない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性がよくわかる
    • ①分布関数を必要とする理由を理解する
    • ➁正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性
    • ➂分布関数を導出するために必要な数学手法
    • ➃分布関数の学ぶ順番
    高校数学で十分わかる!
    QC検定®2級、1級にも頻出なので、しっかり理解しましょう。
    平方和・分散の導出方法でχ2乗分布、F分布、t分布の関数が作られていることがわかればOK!
    「確率変数の変換」や「畳み込み積分」などはあとでいい!
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    ①分布関数を必要とする理由を理解する

    なんで、いろいろ分布関数があるの?

    分布関数が必要な理由を最初に理解しましょう。

    それは、

    調べたい変数(特に、変位x、変位xのばらつき)があるから

    なので、調べたい変数に合わせた確率密度関数があるわけです。

    何も知らずに、いきなり確率密度関数を勉強しても思考停止になるだけ

    解析したい変数に合わせて分布関数がある

    私たちが知りたい変数の情報は主に3つです。

    1. 変数Xそのもの
    2. 変数Xのばらつき(平方和)
    3. 変数Xの分散の変化(分散比)

    つまり、
    ①データxの値そのものをまず調べて
    ➁その値が妥当かどうかを見たいために、分散・平方和を求める
    ➂また、条件変化によるデータxの変化も分散比から求めたい
    という3つの情報があります。

    知りたい情報を手助けする確率密度関数がそれぞれあります!

    4つの分布関数がありますが、関係性は下表のとおりです。

    変数 分布
    変位x 正規分布(またはt分布)
    平方和S
    分散(V)
    χ2乗分布
    分散比 F分布

    ここまでの内容は大丈夫でしょうか?わかりやすいはずですが、結構重要なエッセンスです。

    この重要なエッセンスを主に、実際数式を解いていきます。数式が複雑なだけで考え方はここまで理解できればOKです。

    ➁正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性

    関係性は図で理解する

    図を見ましょう。

    正規分布,χ2乗分布,F分布,t分布1

    勉強する順番は、

    1. 変数Xそのもの
    2. 変数Xのばらつき(平方和)
    3. 変数Xの分散の変化(分散比)

    ですから、
    ①最初に変位Xを表現する正規分布
    ➁正規分布の2乗和を表現するχ2乗分布で平方和・分散を評価します。
    ➂分散の変化があれば、分散比を使ってF分布を使います。
    ➃t分布はおまけ

    ここで、t分布は (t分布)=(正規分布)×1/√(χ2乗分布/n(自由度))な変換で導出します。イメージは

    正規分布,χ2乗分布,F分布,t分布2

    t分布が何者かわかりにくいですが、これで少しイメージが付いたと思います。

    QC検定®では、
    ①正規分布
    ➁t分布
    ➂χ2乗分布
    ➃F分布
    の順番ですが、

    数学的には、
    ①正規分布
    ➁χ2乗分布
    ➂F分布
    ➃t分布
    の順番の方が理解しやすいです。

    ➂分布関数を導出するために必要な数学手法

    ここは、QC検定®1級以上のレベルなので、初めて確率密度関数を学ぶ人はスキップしてもOKです。

    でも、導出過程を知らないと、わけのわからない関数のままです。

    分布関数を導出するために必要な数学は以下です。すべて関連記事に書いていますのでご覧ください。

    1. ベータ関数、ガンマ関数
      (正規分布の積分に必要)
    2. 確率変数の変換
      (\(Y=X^2\)のχ2乗分布を作るときに必要)
    3. 畳み込み積分
      (自由度1からnのχ2乗分布を作るときに必要)
    4. 確率変数の変換
      (F分布を作るときに必要)

    難しい式を並べず、高校数学の復習をしてから解説しているので、理解しやすいです。1つずつ何度も読んで理解を深めてください。一読でわかるものではないので注意です!

    ベータ関数、ガンマ関数

    ガンマ関数がよくわかる(その2_大学数学編)
    ガンマ関数がさらっと解けますか?本記事では、ガンマ関数の性質とベータ関数との関係式を高校数学を駆使してわかりやすく解説しています。ガンマ関数に慣れずに苦戦している人は必読です。

    ベータ関数がよくわかる
    ベータ関数は自力で解けますか?本記事ではベータ関数の導出方法や性質、ガンマ関数との関係をわかりやすく解説します。大学の数学のような難解な説明は一切していません。、大学受験で頻出問題となるベータ関数は受験でも統計学でも重要です。受験生と統計学を学ぶ人は必読です。

    確率変数の変換

    【まとめ】2変数の確率変数の変換がよくわかる
    2変数の確率変数の変換が計算できますか?本記事では,理解が難しい公式をそのまま使わずに,高校数学で十分解ける解法を解説します。今回は変換したいパターンをすべてを解説!教科書よりわかりやすく、 ほぼ高校数学でイケる方法で解説! t分布、F分布の確率密度関数を導出したい方は必読な記事です。

    畳み込み積分

    【まとめ】畳み込み積分がよくわかる
    畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、 さらに一様分布、指数分布、正規分布、ポアソン分布、χ2乗分布を組み合わせた畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。

    ➃分布関数の学ぶ順番

    何度も書いていますが、

    1. 変数Xの分布は正規分布からスタートする
    2. ばらつきを調べたいので平方和を表現するχ2乗分布が欲しくなる
    3. ばらつきの変化を調べたいので分散比を表現するF分布が欲しくなる
    4. t分布はおまけ

    を理解しましょう。ここからは、実際に数学を駆使して確率密度関数を導出しています。関連記事を見てください。

    変数Xの分布は正規分布からスタートする

    正規分布の導出がよくわかる
    正規分布の導出ができますか? 本記事では専門書を読んでも理解できない正規分布の導出をわかりやすく解説しています。統計学、品質管理に関わる人は必読です。意味不明な式を暗記する前に導出やグラフのイメージを理解しましょう。

    大事なポイントは、
    なぜ、\(e^{-x^2}\)型を正規分布は使うのかを理解することです! この理由を考えながら関連記事を読んでください。

    ばらつきを調べたいので平方和を表現するχ2乗分布が欲しくなる

    【必読】χ2乗分布の導出がよくわかる
    χ2乗分布の確率密度関数が導出できますか? 本記事では、計算に必要な数学を復習しながら、わかりやすく導出過程を解説します。導出過程でつまづきやすいポイントを丁寧に解説! χ2乗分布を勉強している人は必見です。

    大事なポイントは、

    ①確率変数変換\(Y=X^2\)で2乗の変数を作る事です。1つの解法でどんな変換もイケます!実際に使う式は
    \(g(y)\) =\(\frac{1}{2\sqrt{y}}(f(\sqrt{y})+f(-\sqrt{y}))\)
    暗記せず、導出過程も理解していきましょう。

    ➁2乗の変換ができたら、次は、2乗和して平方和・分散の確率密度関数を作ることです。
    和は「畳み込み積分」で表現します。
    \(Z=X_1^2+X_2^2\)⇒ \( g(z)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f_1(x)f_2(z-x)dx \)
    ですね。これをくりかえします。

    \(Z=(X_1^2+X_2^2)+X_3^2\)⇒ \( g(z)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f_{1,2}(x)f_3(z-x)dx \)

    \(Z=(X_1^2+…+X_{n-1}^2)+X_n^2\)⇒ \( g(z)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f_{1,…,n-1}(x)f_n(z-x)dx \)
    こうやってχ2乗分布の確率密度関数を導出します!

    ばらつきの変化を調べたいので分散比を表現するF分布が欲しくなる

    F分布の確率密度関数の導出がよくわかる
    F分布の確率密度関数は導出できますか?本記事では、2つの確率変数の変換の解法パターンでわかりやすく丁寧にF分布の確率密度関数を導出します。統計学を学んでいる方は必読です。

    大事なポイントは、
    \(X,Y⇒Z=X/Y,W=Y\)と確率変数を変換して、
    2変数の同時確率密度関数を導出します。
    そして、変数を1つ減らすために、積分した周辺確率密度関数からF分布の確率密度関数が導出できます。

    t分布はおまけ

    t分布の確率密度関数の導出がよくわかる
    t分布の確率密度関数は導出できますか?本記事では、2つの確率変数の変換の解法パターンでわかりやすく丁寧にt分布の確率密度関数を導出します。統計学を学んでいる方は必読です。

    大事なポイントは、
    \(X,Y⇒Z=X/\sqrt{\frac{Y}{n}},W=Y\)と確率変数を変換して、
    2変数の同時確率密度関数を導出します。
    そして、変数を1つ減らすために、積分した周辺確率密度関数からt分布の確率密度関数が導出できます。

    t分布の導出を最後として、F分布の導出の後にした理由は
    F分布と導出方法が同じで、変換する変数が異なるだけだからです。

    大事なポイントを意識しながら、複雑な数式を関連記事で学んでください。
    QC検定®2級受験の場合は本記事の文章を読んでイメージがつけばOKで、数式はむしろ混乱します。
    QC検定®1級受験以上の場合は、本記事の文章と関連記事の数式を追いかけてしっかり勉強しましょう!
    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    公式暗記に頼らず、確率密度関数の理解が深まります!相当の数学力が高まります!

    まとめ

    「【まとめ】正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性がよくわかる」を解説しました。

    • ①分布関数を必要とする理由を理解する
    • ➁正規分布、カイ二乗分布、t分布、F分布の関係性
    • ➂分布関数を導出するために必要な数学手法
    • ➃分布関数の学ぶ順番

  • 【必読】χ2乗分布の導出がよくわかる

    【必読】χ2乗分布の導出がよくわかる

    「χ2乗分布を勉強してもイメージがつかない」、「χ2乗分布の確率密度関数の式が理解できない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    χ2乗分布の導出がよくわかる
    • ①χ2乗分布は正規分布の和の2乗で理解する
    • ➁χ2乗分布を作るための数学を復習
    • ➂χ2乗分布の導出がよくわかる
    高校数学で十分わかる!
    χ2乗分布について、超わかりやすく解説します。数学が苦手でも大丈夫!QCプラネッツにお任せ下さい!
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    ①χ2乗分布は正規分布の和の2乗で理解する

    χ2乗分布の確率密度関数を見る(わからなくていい!)

    χ2乗分布の式をさらっと見てください。

    見るだけでOK
    \(f_n(x)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}x^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}x\) (\(x\) > 0)
    何じゃこりゃ!という驚きだけでOK

    χ2乗分布の最も大事なエッセンスをおさえる!

    χ2乗分布の最も大事なエッセンスは、煩雑すぎる式ではなく、式の作り方です。

    正規分布に従う変数\(x)の平方和や分散に対応した分布がχ2乗分布

    つまり、

    ●「変数」は正規分布
    ●「分散」はχ2乗分布
    で評価する!

    χ2乗分布の複雑な式の作り方を理解する

    もっかい見ましょう。

    \(f_n(x)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}x^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}x\) (\(x\) > 0)
    ●「変数」は正規分布
    ●「分散」はχ2乗分布
    で評価する!

    なので、簡単にいうと、

    正規分布\(f(x)=e^{-x^2}\)を2乗和したら、
    \(f_1(x)^2\)+\(f_2(x)^2\)+…+\(f_n(x)^2\)してできた関数が、
    \(f_n(x)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}x^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}x\) (\(x\) > 0)
    です。信じにくいけど。

    よく見ると、平均を無視して書くと
    平方和S=\(x_1^2\)+\(x_2^2\)+…+\(x_n^2\)
    です。まさに、平方和を表現した関数が、複雑な式であるχ2乗分布です。

    せっかくなので導出過程も眺めてください。
    式は複雑だけど、計算はシンプルで平方和を計算しているなあと感じたらOKです!

    ➁χ2乗分布を作るための数学を復習

    確率分布関数の2乗和をしますが、数学のルールがあるので、3つの手法を復習しましょう。

    1. 確率変数の変換\(Y=X^2\)
    2. 畳み込み積分
    3. ベータ関数とガンマ関数の関係
    どれも、苦手意識が高い内容なので、QCプラネッツでは十分に解法を解説しています。ご1つの解法で応用が利くよう解説しています。関連記事もご覧ください。

    (i)確率変数の変換\(Y=X^2\)

    関連記事に変換方法をまとめています。先に解き方を理解しておきましょう。

    1変数の確率変数の変換がよくわかる(2次式編)
    1変数の確率変数の変換が計算できますか?本記事では,理解が難しい公式をそのまま使わずに,高校数学で十分解ける解法を解説します。今回は1次式y=x^2型を解説!正規分布からχ2乗分布に変換する大事な問いを、教科書よりわかりやすく、ほぼ高校数学でイケる方法で解説!確率変数の変換が計算したい方は必読な記事です。

    (ii)畳み込み積分

    1つの解法で、いろいろな確率分布関数を畳み込み積分しています。これだけ見れば、解けるようになります!

    【まとめ】畳み込み積分がよくわかる
    畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、 さらに一様分布、指数分布、正規分布、ポアソン分布、χ2乗分布を組み合わせた畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。

    ベータ関数とガンマ関数の関係

    ベータ関数とガンマ関数についても、高校数学・大学入試に出る問題から復習しています。χ2乗分布の導出過程でいい味を引き出してくれる関係式です。関連記事で確認しましょう。

    ガンマ関数がよくわかる(その2_大学数学編)
    ガンマ関数がさらっと解けますか?本記事では、ガンマ関数の性質とベータ関数との関係式を高校数学を駆使してわかりやすく解説しています。ガンマ関数に慣れずに苦戦している人は必読です。

    ここから難しい式が続きますが、わからなくなったら、関連記事で復習しましょう!
    正規分布の関数を2乗和しているだけにすぎないと思って読み進めてください。

    本当に、正規分布の関数を2乗和しているだけにすぎないので。
    数式にビビる必要はありません。

    ➂χ2乗分布の導出がよくわかる

    数学的帰納法で証明する!

    では、いきます。

    【問】確率変数\(X_i\)が平均0、標準偏差1の正規分布に従うとき、
    確率変数\(Z\)=\(X_1^2+X_2^2+…+X_n^2\)で表現される確率変数\(Z\)は次の確率密度関数に従うことを、数学的帰納法を使って証明したい。
    \(f_n(z)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}z^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}z\) (\(z\) > 0)
    (1) 正規分布の確率密度関数を使って、\(f_1(z)\)を計算せよ。
    (2) 数学的帰納法を使って\(f_n(z)\)の式を証明せよ。

    実際に、\(f_n(z)\)が自由度\(n\)のχ2乗分布に従う確率密度関数です。では証明していきます。

    \(f_1(z)\)を計算

    正規分布の確率密度関数を使って、
    変数\(Z=X^2\)を満たす、確率変数\(Z\)の確率密度関数\(f_1(z)\)を求めます。

    さっと解けますか?
    ムズイけど、重要なので解きましょう!
    ムズイと思ったら、復習!

    復習すべきポイントは以下です。

    1. 確率変数の変換\(Z=X^2\)
    2. 畳み込み積分

    確率変数の変換\(Z=X^2\)

    正規分布の2乗変換は次の公式を使います。詳細は関連記事にあります。

    \( g(z) \) =\( \frac{1}{2\sqrt{z}}(f(+\sqrt{z})+ f(-\sqrt{z})\)
    =\( \frac{1}{2\sqrt{z}}(\frac{1}{\sqrt{2π}}e^{-\frac{y}{2}}+\frac{1}{\sqrt{2π}}e^{-\frac{y}{2}})\)
    =\(\frac{1}{\sqrt{2π}}z^{-\frac{1}{2}}e^{-\frac{z}{2}}\) (\(z\) ≥ 0)

    なお、
    \(f_n(z)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}z^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}z\) (\(z\) > 0)
    に\(n\)=1を代入すると、
    \(f_1(z)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{1}{2}}Γ(\frac{1}{2})}z^{\frac{1}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}z\)
    =\(\frac{1}{\sqrt{2π}}z^{-\frac{1}{2}}e^{-\frac{z}{2}}\)
    に一致します。

    よって、\(n=1\)の時は成立します。

    数学的帰納法を使って\(f_n(z)\)を証明

    \(n=k\)のとき、\(f_k(z)\)が問の式になると仮定すると、

    \(n=k+1\)のとき\(f_{k+1}(z)\)を解いてみます。

    さっと解けますか?

    復習すべきポイントは以下です。

    1. 確率変数の変換\(Z=X^2\)
    2. 畳み込み積分

    \(f_{k+1}(z)\)= \(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} f_k(x) f_1(z-x) dx\)
    と畳み込み積分します。もちろん計算が複雑な\((z-x)\)には簡単な式な\(f_1(z)\)とします。

    \(f_{k+1}(z)\)= \(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} f_k(x) f_1(z-x) dx\)
    = \(\displaystyle \int_{0}^{∞} \frac{1}{2^{\frac{k}{2}}Γ({\frac{k}{2}})} x^{\frac{k}{2}-1}e^{-\frac{1}{2}x}・
    \frac{1}{2^{\frac{1}{2}}Γ({\frac{1}{2})}} (z-x)^{-\frac{1}{2}}e^{-\frac{1}{2}(z-x)}dx\)
    =(式1)

    単純に代入しただけでも結構ムズイ式ですね。でも代入しただけです!大丈夫!

    式変形を続けます。

    (式1)
    =\(\frac{1}{2^{\frac{k+1}{2}}Γ({\frac{k}{2}})Γ({\frac{1}{2}})}・e^{-\frac{1}{2}z} \displaystyle \int_{0}^{∞}
    x^{\frac{k}{2}-1} (z-x)^{-\frac{1}{2}}dx\)
    =(式2)
    (細かい式変形は少し端折っていますので、一回は解いてみてください。いい練習になります!)

    式変形の途中では、
    変数\(x\)は正なので、積分区間を[0,∞]に変更しました。

    ここで、やや誘導的ですが、\(x,z\)の2変数を1変数に変換します。
    \(u=\frac{x}{z}\)と置きます。すると、
    ●積分区間が[0,∞]⇒[0,1]に変換 (z/xの比なので)
    ●\(x=zu\)より\(dx=zdu\)と変換
    できます。

    (式2)
    =\(\frac{1}{2^{\frac{k+1}{2}}Γ({\frac{k}{2}})Γ({\frac{1}{2}})}・e^{-\frac{1}{2}z} \displaystyle \int_{0}^{1}
    (zu)^{\frac{k}{2}-1} (z-zu)^{-\frac{1}{2}}zdu\)
    =\(\frac{1}{2^{\frac{k+1}{2}}Γ({\frac{k}{2}})Γ({\frac{1}{2}})}・e^{-\frac{1}{2}z} z^{\frac{k+1}{2}-1}\displaystyle \int_{0}^{1} u^{\frac{k}{2}-1} (1-u)^{-\frac{1}{2}}du\)
    =(式3)

    さらに(式3)の積分
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} u^{\frac{k}{2}-1} (1-u)^{-\frac{1}{2}}du\)
    をよく見ると、ベータ関数が使えないか?、ベータ関数を使ってうまく逃げれないか?を企みましょう。

    復習すべきポイントは以下です。

    1. 確率変数の変換\(Z=X^2\)
    2. 畳み込み積分
    3. ベータ関数とガンマ関数

    ベータ関数は
    \(B(p,q)\)= \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1}dx\)
    です。よく見ると、
    \(p=\frac{k}{2}\),\(q=\frac{1}{2}\)を代入すると
    \(B(\frac{k}{2}, \frac{1}{2})\)= \(\displaystyle \int_{0}^{1} u^{\frac{k}{2}-1} (1-u)^{-\frac{1}{2}}dx\)
    は(式3)の積分部分と全く同じですね!
    この関係を(式3)に代入しましょう。

    (式3)
    =\(\frac{1}{2^{\frac{k+1}{2}}Γ({\frac{k}{2}})Γ({\frac{1}{2}})}・e^{-\frac{1}{2}z} z^{\frac{k+1}{2}-1} B(\frac{k}{2}, \frac{1}{2})\)
    =(式4)

    ここで、うまくできているなあと感心するのは、
    ベータ関数とガンマ関数の関係式から
    \(\frac{ B(\frac{k}{2}, \frac{1}{2})}{Γ{\frac{k}{2}}Γ{\frac{1}{2}}}\)=\(\frac{1}{Γ({\frac{k+1}{2}})}\)
    と上手に整理できる点です。

    (式4)
    =\(\frac{1}{2^{\frac{k+1}{2}}Γ{\frac{k+1}{2}} }・e^{-\frac{1}{2}z} z^{\frac{k+1}{2}-1} \)
    =(式5)

    (式5)を見ると、確かに、
    \(f_{k+1}(z)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{k+1}{2}}Γ({\frac{k+1}{2}})}・e^{-\frac{1}{2}z} z^{\frac{k+1}{2}-1} \)は、
    \(f_n(z)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}z^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}z\) (\(z\) > 0)を
    \(n=k+1\)を代入した式と一致します。

    よって、\(n=k+1\)のときも成立します。

    よって、すべての自然数\(n\)に対して、
    \(f_n(z)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}z^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}}z\) (\(z\) > 0)が成り立つ。

    となります。

    χ2乗分布の確率密度関数の式は非常に複雑で難解だけど、数学的帰納法でシンプルに証明できるのは不思議な感じがします。
    χ2乗分布の確率密度関数の式は非常に複雑で難解だけど、数学の公式からちゃんと導出できます。

    χ2乗分布の導出方法をわかりやすく解説しました。

    まとめ

    「χ2乗分布の導出がよくわかる」を解説しました。

    • ①χ2乗分布は正規分布の和の2乗で理解する
    • ➁χ2乗分布を作るための数学を復習
    • ➂χ2乗分布の導出がよくわかる

  • 正規分布の導出がよくわかる

    正規分布の導出がよくわかる

    「正規分布って何で\(e^{-x^2}\)なの?」、「正規分布の導出が理解できない!」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    正規分布の導出がよくわかる
    • ①正規分布の導出は難しすぎる
    • ➁正規分布は何で\(e^{-x^2}\)の式を使うの?
    • ➂わかりやすい正規分布の導出を伝授!
    高校数学で十分わかる!
    専門書に導出過程あるけど、読んでもわからない。。。
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    最も使う正規分布について、超わかりやすく解説します。数学が苦手でも大丈夫!QCプラネッツにお任せ下さい!

    ①正規分布の導出は難しすぎる

    正規分布の導出方法は専門書を読んでもわからない

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    でも、

    読んでもわからない。。。

    正規分布の導出方法が書いているサイトを見てもわからない。。。

    ネットにも、いろいろ解説がありますが、

    「正規分布 導出」で検索!

    でも、でも、でも

    読んでもわからない。。。
    東大入試よりムズイで! 
    わかる人いるん?くらいムズイ!

    だから、本記事を書くことにしました。

    ➁正規分布は何で\(e^{-x^2}\)の式を使うの?

    正規分布の「正規」って何なの?

    わかります? この質問?

    • 正規分布の「正規」って、何が「正規」なの?
    • なんで、\(e^{-x^2}\)の式を使うの?

    これを簡単に答えると、

    1. 中心が0、標準偏差が1であること
    2. 左右対称な分布関数であること
    3. [-∞,∞]で分布関数を積分しても有限な値であること

    でOKです。

    上の3条件を満たす関数なら、正規分布は\(f(x)=e^{-x^2}\)でなくてもOKです。ですが、\(f(x)=e^{-x^2}\)以外の関数を見たことがありません。

    もしあったら教えてください。

    この定義でいくと、分布関数は
    \(f(x)=x^a+・・・\)とかは、[-∞,∞]で積分すると∞に発散するのでNGです。

    なので、\(f(x)=e^{-g(x)}\)型が有効なのは理解できます。

    ここで、疑問が沸きます!

    \(f(x)=e^{-x}\)の方が、積分簡単なのに、
    なんで、\(f(x)=e^{-x^2}\)と複雑な式を使うの?

    高校数学や大学入試で、出て来る関数は圧倒的に、
    \(f(x)=e^{-x}\)の方です!

    なぜなら、

    \(f(x)=e^{-x}\)は微分も積分も簡単にできて便利!

    じゃー、正規分布も\(f(x)=e^{-x}\)にすればいいじゃん!

    これをわかりやすく解説します。

    ➂わかりやすい正規分布の導出を伝授!<

    モデル式(微分方程式)を作る!

    ガウスの公理というものがあります。感覚的に理解できるものです。

    1. 大きさの大きい正と負の誤差は等しい確率で生じる
    2. 小さい誤差は大きな誤差より起こりやすい
    3. ある限界値より大きな誤差は実際上起こらない
    最初の「大きさの大きい正と負の誤差は等しい確率で生じる」は、
    y軸で対称な確率密度関数\(\f(x))を用意すればOKということ。
    先に最後の「ある限界値より大きな誤差は実際上起こらない」は、
    モデル式とは関係ないので一旦保留にしておきます。

    モデル式で大事なのは、

    モデル式で大事なのは、
    2つ目の「小さい誤差は大きな誤差より起こりやすい」。

    これを式でQCプラネッツ的に考えます。

    ヒントするのは、高校数学・物理で習う、「放射性物質の時間に対する質量の変化率は質量に変化する」です。

    確率密度関数は下図のように、ある点\(x\)での確率\(f(x)\)(<1)の確率の変化\(f’(x)\)は、その確率\(f(x)\)(<1)に関係があるはずで、誤差が増える(\(x\)が増える)ほど、確率\(f(x)\)は0に近づくように値が下がっていきます。

    正規分布1

    これを表現すると
    \(f’(x)\)=\(-af(x)\) (\(a\) >0)
    と置いてもよいでしょう。

    この微分方程式を解くと、
    \(\frac{df}{dx}=-af\)
    \(\frac{df}{f}=-adx\)
    両辺を積分すると
    \(log(f(x))=-ax\)
    \(f(x)=e^{-ax}\)
    となります。

    あれ? 正規分布の式\(f(x)=e^{-x^2}\)じゃない!

    正規分布が\(f(x)=e^{-x}\)でない理由の1つは、
    下図のように尖っているから

    正規分布2

    ヒストグラムを書くと、もう少し滑らかな確率分布関数ですよね!

    正規分布3

    なので、モデル式を改造して再検討しましょう!

    モデル式(微分方程式)を修正して再度解く!

    正規分布は滑らかさが必要!
    これをどうやってモデル式に表現したらよいか?

    ヒストグラムを見ると、滑らかさの秘訣がわかります。

    ある点まではゆっくり\(f(x)\)が下がるが
    ある点を超えると一気に\(f(x)\)が下がる!

    これを表現できるいい方法があります!
    モデル式をこう変えます!

    \(f’(x)\)=\(-af(x)\) (\(a\) >0)を
    \(f’(x)\)=\(-axf(x)\) (\(a\) >0)に
    変える!

    つまり、\(x\)の積を追加すればOK!

    \(x\)は 0 < \(x\) <1 の時、
    \(f’(x)\)= \(axf(x)\) < \(af(x)\)より、
    \(f’(x)\)は小さいから、\(f(x)\)の下がり方は小さい!

    \(x\)は 1 < \(x\) の時、
    \(f’(x)\)= \(axf(x)\) > \(af(x)\)より、
    \(f’(x)\)は大きくなるから、\(f(x)\)は一気に下がる!

    \(x\)の積を追加すれば、
    正規分布の滑らかさが表現できていますね!

    正規分布4

    この微分方程式を解くと、
    \(\frac{df}{dx}=-axf\)
    \(\frac{df}{f}=-axdx\)
    両辺を積分すると
    \(log(f(x))=-\frac{1}{2}ax^2\)
    \(f(x)=e^{-\frac{1}{2}ax^2}\)
    となります。

    正規分布の式になりましたね!

    正規分布5

    この説明の方が、正規分布の導出は理解しやすい!です。

    本記事の注意点

    正規分布の導出を簡易的に理解できる方法を本記事で解説しました。

    ただし、厳密な証明をやっぱり身に着けたい方は、本や他のサイトで勉強してください。

    QCプラネッツも厳密な証明方法をわかりやすく解説したかったのですが、
    難しくて挫折したのと、
    専門書の導出過程は強引な所が多々あるため、

    本記事の簡易的な導出方法としました。

    専門書と本記事を比較しても正規分布の導出については、
    それほど説明力は変わらないのかもしれません。

    難しい式や概念は、精度を下げてもいいから、わかりやすいものから理解する!
    慣れてきたら、専門書で厳密な定義を理解する!

    わかりやすい正規分布の導出方法を解説しました。

    まとめ

    「正規分布の導出がよくわかる」を解説しました。

    • ①正規分布の導出は難しすぎる
    • ➁正規分布は何で\(e^{-x^2}\)の式を使うの?
    • ➂わかりやすい正規分布の導出を伝授!

  • ベータ関数がよくわかる

    ベータ関数がよくわかる

    本記事のテーマ

    ベータ関数がよくわかる
    • ①ベータ関数とは
    • ➁ベータ関数を導出
    • ➂ベータ関数を使った頻出な大学入試問題
    高校数学で十分わかる!
    大学入試問題練習にも復習にもなる!
    ガンマ関数の前に、ベータ関数から理解してきましょう!

    QCに必要な数学問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。勉強してスキルを高めましょう。

    ①ベータ関数とは

    ベータ関数とは

    \(B(p,q)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx\)
    =\(\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)

    なんじゃこりゃ!ですが、大丈夫です!

    高校数学でよく出て来るベータ関数

    一番大事なのは、

    曲線と直線間の面積公式が最初

    そして、よく見かける式がベータ関数の入り口です。

    \(\displaystyle \int_{α}^{β} (x-α)^m (x-β)^n dx \)

    ここで、m=n=1なら、2次関数と直線との面積で、暗記する公式
    \(\displaystyle \int_{α}^{β} (x-α) (x-β)dx \)=\(-\frac{1}{6}(β-α)^3\)
    ですよね!

    ベータ関数

    ベータ関数とガンマ関数の関係式

    大学数学以上では頻繁に使うので、先に紹介します。

    \(B(p,q)=\frac{Γ(p)Γ(q)}{Γ(p+q)} \)

    この証明は、ガンマ関数の記事で解説しますが、ここでは簡単なイメージです。

    \(B(p,q)\)=\(\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)
    \(Γ(p)=(p-1)!\)、\(Γ(q)=(q-1)!\)、\(Γ(p+q)=(p+q-1)!\)より
    \(B(p,q)\)=\(\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)= \(\frac{Γ(p)Γ(q)}{Γ(p+q)} \)と
    階乗「!」でみていけば公式が成り立つのが、わかりますね。

    高校数学で十分説明つきますね!

    ガンマ関数をベータ関数でまとめられないか?を考える

    では、ベータ関数を導出してみましょう。

    ➁ベータ関数を導出

    【大学入試頻出問題】積分から

    次の式を証明しましょう! 大学入試で絶対マスターすべき良問です!

    【問】以下の式を導出せよ。
    \(I(m,n)= \displaystyle \int_{a}^{b} (x-a)^m (x-b)^ndx \)
    =\((-1)^n \frac{m!n!}{(m+n+1)!}(b-a)^{m+n+1}\)

    解法

    まず、部分積分すると、漸化式が作れます。

    \(\left[ \frac{1}{m+1}(x-a)^{m+1} (x-b)^n \right]_{a}^{b}\)=\(I(m,n)+\frac{n}{m+1}I(m+1,n-1)\)
    なお、(左辺)は0なので、
    \(I(m,n)\)=\(-\frac{n}{m+1}I(m+1,n-1)\) (式1)

    (式1)から、
    \(I(m,n)\)=\(-\frac{n}{m+1}I(m+1,n-1)\)= \((-\frac{n}{m+1})(-\frac{n-1}{m+2})I(m+2,n-2)\)
    =…=\((-1)^n \frac{m!n1}{(m+n)!} I(m+n,0)\)
    =\((-1)^n \frac{m!n1}{(m+n+1)!} (b-a)^{m+n+1}\) (式2)

    と証明できます。今後、演習問題として取り上げたいので、計算途中を端折りましたが、一度は見ながら導出してみてください。

    ベータ関数への導出

    問:次の式を導出せよ。
    \(B(a,b)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{a-1}(1-x)^{b-1} dx\)
    =\(\frac{(a-1)!(b-1)!}{(a+b-1)!}\)

    これも、大学入試で出題されてもいい良問です。まさにベータ関数の導出です。

    (式2)を再掲します。
    \(I(m,n)\)=\((-1)^n \frac{m!n1}{(m+n+1)!} (b-a)^{m+n+1}\) (式2)

    ここで、上手な置き換えをします。
    \(t=\frac{x-a}{b-a}\)と置くと、

    ●\((x-a)=t(b-a)\)
    ●\((x-b)=(t-1)(b-1)\)
    ●\(dx=(b-a)dt\)

    積分区間は

    積分区間
    x a b
    t 0 1

    これを(式2)に代入すると
    \(I(m,n)= \displaystyle \int_{a}^{b} (x-a)^m (x-b)^ndx \)
    =\((-1)^n \frac{m!n1}{(m+n+1)!} (b-a)^{m+n+1}\)

    (右辺)=\(\displaystyle \int_{a}^{b} (x-a)^m (x-b)^ndx \)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{1} t^m (b-a)^m (t-1)^n (b-a)^n (b-a) dt \)
    =\((-1)^n (b-a)^{m+n+1} \displaystyle \int_{0}^{1} t^m (1-t)^n dt \)
    =\((-1)^n \frac{m!n1}{(m+n+1)!} (b-a)^{m+n+1}\)
    より、

    \(\displaystyle \int_{0}^{1} t^m (1-t)^n dt \)=\(\frac{m!n!}{(m+n+1)!} \)
    ここで、 \(m⇒m-1,n⇒n-1\)に変えると、
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} t^{m-1} (1-t)^{n-1} dt \)=\(\frac{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!} \)
    となり、ベータ関数が導出できます!

    ➂ベータ関数を使った頻出な大学入試問題

    三角関数の積分とベータ関数

    ベータ関数は

    \(B(a,b)= \displaystyle \int_{0}^{1} x^{a-1}(1-x)^{b-1} dx\)
    =\(\frac{(a-1)!(b-1)!}{(a+b-1)!}\)

    ここで、\(t\)は 0 ≤ \(t\) ≤ 1ですから、何か \(cos,sin\)で置きたくなります。

    \(t=sin^2 θ\)と置くと、
    \(B(a,b)= 2\displaystyle \int_{0}^{\frac{π}{2}} sin^{2a-1}θ cos^{2b-1} θ dθ\)
    =\(\frac{(a-1)!(b-1)!}{(a+b-1)!}\)
    となる。

    これは、よく \(x^{\frac{a}{b}}+y^{\frac{c}{d}}=1\)の曲線の面積を求める時によく使いますし、大学入試でも頻出問題ですね。

    ベータ関数に関する大学入試問題

    過去の入試問題を紹介しましょう。解けるかな?

    自然数\(m,n\)において、第1象限内の曲線\(x^{\frac{1}{m}}+y^{\frac{1}{n}}\)と\(x\)軸、\(y軸\)で囲まれる部分の面積\(A(m,n)\)を求めよ。(東工大)
    正の整数\(m,n\)において、\(A(m,n)\)を次の定積分で定める。(東北大)
    \(A(m,n)=\displaystyle \int_{0}^{\frac{π}{2}} cos^m x sin^n x dx\)
    (1) 等式 \(A(m,n)=A(n,m)\)および \(A(m+2,n)+A(m,n+2)=A(m,n)\)を示せ。
    (2) 等式 \(A(m,n+2)\)=\(\frac{n+1}{m+1}A(m+2,n)\)を示せ。

    ベータ関数を身に着けるための重要な演習問題です。是非解いてみてください。

    いろいろな関数を使って、確率変数の変換を見て慣れていきましょう!

    本記事の内容は、ほぼ高校数学で解けましたね!

    まとめ

    「ベータ関数がよくわかる」を解説しました。

    • ①ベータ関数とは
    • ➁ベータ関数を導出
    • ➂ベータ関数を使った頻出な大学入試問題
  • 2変数の確率変数の変換がよくわかる(Z=X/Y商の場合)

    2変数の確率変数の変換がよくわかる(Z=X/Y商の場合)

    本記事のテーマ

    2変数の確率変数の変換がよくわかる(Z=X/Y商の場合)
    • ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする
    • ➁ Z=X/Y商の場合(事例1)
    • ➂ Z=X/Y商の場合(事例2)

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    ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする

    基本は次の関連記事でまとめていますので、確認ください。

    統計学_2確率変数変換_Z=XY積 2変数の確率変数の変換がよくわかる(1変数の積の場合)
     2変数の変換の基礎と、積の場合をわかりやすく解説しています!

    では、実践編に入ります。最初は簡単な式から行きます!

    ➁ Z=X/Y積の場合(事例1)

    2変数の前に、1変数の変換については、関連記事でまとめていますが、主にZ=X+Y,Z=X-Yの加減についてですね。

    【まとめ】1変数の確率変数の変換がよくわかる
    本記事では,理解が難しい公式をそのまま使わずに,高校数学で十分解ける解法を解説します。今回は変換したいパターンをすべてを解説!

    では、解説していきます。2例解説します。

    (1) 1変数でZ=X/Y(商)の場合の変換方法

    【例題】
    2つの確率変数\(X\),\(Y\)が独立で、それぞれ一様分布U(0,1)に従うとき、確率変数\(Z\)を\(Z=X/Y\)とするときの、確率密度関数\(h(z)\)を求めよ。

    やってみましょう。

    まず、\(X,Y\)の確率密度関数を定義します。
    \(f(x)\)=1 (0 ≤ \(x\) ≤ 1)
    \(g(y)\)=1 (0 ≤ \(y\) ≤ 1)

    解き方は、

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ですから、1つずつ行きましょう。

    (i)\(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す

    ここで、変換する変数を定義します。

    \(Z\)=\(X/Y\)、\(W\)=\(Y\)とおく、つまり
    \(Z\)=\(X/W\)、\(W\)=\(Y\)とおきます。

    \(x=x(z,w),y=y(z,w)\)に直します。
    \(x\)=\(zw\)
    \(y\)=\(w\)

    (ii)\(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する

    次に、ヤコビ行列から行列式ヤコビアンを求めます。

    ヤコビ行列Jは
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial x}{ \partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
    \frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    J=\(\begin{pmatrix}
    w & z \\
    0 & 1
    \end{pmatrix}\)

    次に行列式ヤコビアンは
    \(det J\)=\(w・1-0・z\)
    =\(w \)
    で計算できます。

    ここまで大丈夫ですね!

    (iii)2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)を導出

    代入すると、

    \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)
    \(f(x(z,w)\)=1, \(g(x(z,w)\)=1に注意して、
    =\( 1・1・ w dzdw\)
    =\(p(z,w)dzdw\)
    =(式1)

    結構、スッキリしますね!

    2変数\(z,w\)に関する同時確率密度関数\(p(z,w)dzdw\)が求まりました。
    次に、zについての周囲確率密度関数を求めます。

    なぜなら、\(w=y\)であり、\(w\)は不要な変数だから\(w\)で積分します。

    ここで、注意なのが、

    変数の範囲が限定されているため、積分区間は場合分けが必要
    (0 ≤ \(x\) ≤ 1)
    (0 ≤ \(y\) ≤ 1)

    変数\(w\)については、以下の3つの場合分けが発生します。

    ①\( h(z)\)=0 (\(z\) ≤ 0) (積分区間が無い)
    ➁\( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{1} w dw \)=\(\left[\frac{1}{2}w^2 \right]_{0}^{1}\)=\(\frac{1}{2}\)(0 < \(z\) ≤ 1)
    ➂\( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{z} w dw \)=\(\left[\frac{1}{2}w^2 \right]_{0}^{z}\)=\(\frac{1}{2}z^2\)(1 < \(z\))

    となります。図で解説します。ただし、\(z=x/y\)であり\(w=y\)で積分するので、\(xy\)の軸が通常と逆にしています。

    5-1

    1変数の積の変換は2変数の変換から計算できますね!

    もう1つ事例を挙げます。次は、指数分布どうしです。

    ➂ Z=X/Y商の場合(事例2)

    (2) 1変数でZ=X/Y商の場合の変換方法

    【例題】
    2つの確率変数\(X\),\(Y\)が独立で、それぞれ指数分布に従うとき、
    \(f(x)=λe^{-λx} \)(0 ≤ \(x\))
    \(g(y)=μe^{-μy} \)(0 ≤ \(y\))
    確率変数\(Z\)を\(Z=X/Y\)とするときの、確率密度関数\(h(z)\)を求めよ。

    やってみましょう。

    解き方は、事例1と同じです。

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ですから、1つずつ行きましょう。

    (i)\(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す

    ここで、変換する変数を定義します。

    \(Z\)=\(X/Y\)、\(W\)=\(Y\)とおく、つまり
    \(Z\)=\(X/W\)、\(W\)=\(Y\)とおきます。

    \(x=x(z,w),y=y(z,w)\)に直します。
    \(x\)=\(zw\)
    \(y\)=\(w\)

    (ii)\(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する

    次に、ヤコビ行列から行列式ヤコビアンを求めます。

    ヤコビ行列Jは
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial x}{ \partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
    \frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    J=\(\begin{pmatrix}
    w & z \\
    0 & 1
    \end{pmatrix}\)

    次に行列式ヤコビアンは
    \(det J\)=\(w・1-0・z \)
    =\(w\)
    で計算できます。

    ここまで大丈夫ですね!

    (iii)2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)を導出

    代入すると、

    \(f(x,y)dxdy\)=\(λe^{-λx}・μe^{-μy}\)
    =\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)
    =\(λμe^{-λ(zw)}・e^{-μw} w dw\)
    =(式1)

    よって、2変数\(z,w\)に関する同時確率密度関数\(p(z,w)dzdw\)は、
    \(p(z,w)dzdw\)=\(λμe^{-λ(zw)}・e^{-μw} w \)

    2変数\(z,w\)に関する同時確率密度関数\(p(z,w)dzdw\)が求まりました。
    次に、zについての周囲確率密度関数を求めます。

    なぜなら、\(w=y\)であり、\(w\)は不要な変数だから\(w\)で積分します。

    ここで、注意なのが、

    変数の範囲が限定されているため、積分区間は場合分けが必要
    (0 ≤ \(x\))
    (0 ≤ \(y\))

    変数\(w\)については、以下2つの場合分けが発生します。

    ●\( h(z)\)=0 (\(w\) ≤ 0) (積分区間が無い)
    ●\( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{∞} (λμe^{-λ(zw)}・e^{-μw} w dw \)

    積分すると、
    \( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{∞} (λμe^{-(λz+μ)w)} w dw \)
    =\(\left[-\frac{λμ}{(λz+μ)^2} e^{-(λz+μ)w} \right]_{0}^{∞}\)
    =\(\frac{λμ}{(λz+μ)^2}\)

    計算できました!

    伝えたいことは

    1変数の積の変換は2変数の変換から計算できますね!

    いろいろな関数を使って、確率変数の変換を見て慣れていきましょう!

    本記事の内容は、ほぼ高校数学で解けましたね!

    まとめ

    「2変数の確率変数の変換がよくわかる(Z=X/Y商の場合)」を解説しました。

    • ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする
    • ➁ Z=X/Y商の場合(事例1)
    • ➂ Z=X/Y商の場合(事例2)
  • 2変数の確率変数の変換がよくわかる(1変数の積の場合)

    2変数の確率変数の変換がよくわかる(1変数の積の場合)

    本記事のテーマ

    2変数の確率変数の変換がよくわかる(Z=XY積の場合)
    • ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする
    • ➁ (導入)簡単な事例
    • ③ Z=XY積の場合(事例1)
    • ④ Z=XY積の場合(事例2)

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    ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする

    確率変数の変換は高校数学でほぼイケます!大丈夫!

    確率変数の変換は難しいけど、
    理解しないと、正規分布、t分布、χ2乗分布、F分布との関係が理解できないから困っている!
    確率変数の変換は高校数学でほぼイケます!大丈夫!
    ただし、公式暗記より、実演でマスターしよう!

    慣れてきたら、公式を見ましょう。

    2変数の確率変数の変換の求め方

    1変数の確率変数の変換方法と同様に決まった解法があります。

    変数\(x,y\)を変数\(z,w\)に変換するとします。

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ここで、注意点があります。
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial x}{ \partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
    \frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    また、\(det J\)は行列式ヤコビアンといいますね。

    A=\(\begin{pmatrix}
    a & b \\
    c & d
    \end{pmatrix}\)
    のとき、行列式ヤコビアン\(det A\)は、
    \(det A=ad-bc\)
    で計算できます。

    計算力が求められる場合がありますが、基本は高校数学でイケます!

    では、実践編に入ります。最初は簡単な式から行きます!

    ➁ (導入)簡単な事例

    (1) (導入)簡単な事例

    【例題】
    確率変数(\(X,Y\))の同時確率密度関数\(f(x,y)\)が
    \(f(x,y)\)=\(\frac{1}{2}xy^2\) (0 ≤ \(x\) ≤ 2, 0 ≤ \(y\) ≤ 1)
    に対して、確率変数\(Z,W\)を
    \(Z=2X+Y\)
    \(W=X-2Y\)
    と定義した場合の、確率変数\(Z,W\)についての同時確率密度関数\(g(z,w)\)を求めよ。

    解いていきましょう。解法は、

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ですから、1つずつ行きましょう。

    (i)\(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す

    \(x=x(z,w),y=y(z,w)\)に直します。
    \(x\)=\(\frac{1}{5}(2z+w)\)
    \(y\)=\(\frac{1}{5}(z-2w)\)
    連立方程式から求められます。

    (ii)\(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する

    次に、ヤコビアン行列から行列式ヤコビアンを求めます。

    \(det J\)=\(\frac{2}{5}・(-\frac{2}{5})\)-\(\frac{1}{5}・\frac{1}{5}\)
    =\(-\frac{1}{5}\)
    で計算できます。

    (iii)2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)を導出

    代入すると、

    \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)
    =\(\frac{1}{2} × \frac{1}{5}(2z+w) ×\frac{1}{25}(z-2w)^2 ×|-\frac{1}{5}| dzdw\)
    =\(\frac{1}{1250} (2z+w) (z-2w)^2 dzdw\)

    よって、同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
    \(g(z,w)= \frac{1}{1250} (2z+w) (z-2w)^2 \)
    と計算できます。

    なお、ここから\(z\)または、\(w\)だけの周辺確率分布関数が必要なら、不要な変数について積分が必要となります。

    今回の\(f(x,y)\)は簡単な式ですが、正規分布やχ2乗分布の確率分布関数でも同様の解法で変換していきます!

    ③ Z=XY積の場合(事例1)

    (2) 1変数でZ=XY(積)の場合の変換方法

    【例題】
    2つの確率変数\(X\),\(Y\)が独立で、それぞれ一様分布U(0,1)に従うとき、確率変数\(Z\)を\(Z=XY\)とするときの、確率密度関数\(h(z)\)を求めよ。

    やってみましょう。

    まず、\(X,Y\)の確率密度関数を定義します。
    \(f(x)=1\) (0 ≤ \(x\) ≤ 1)
    \(g(y)=1\) (0 ≤ \(y\) ≤ 1)

    解き方は、

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ですから、1つずつ行きましょう。

    (i)\(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す

    ここで、変換する変数を定義します。

    \(Z\)=\(XY\)、\(W\)=\(Y\)とおく、つまり
    \(Z\)=\(XW\)、\(W\)=\(Y\)とおきます。

    \(x=x(z,w),y=y(z,w)\)に直します。
    \(x\)=\(\frac{z}{w}\)
    \(y\)=\(w\)

    (ii)\(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する

    次に、ヤコビ行列から行列式ヤコビアンを求めます。

    ヤコビ行列Jは
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial x}{ \partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
    \frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{1}{w} & -\frac{z}{w^2} \\
    0 & 1
    \end{pmatrix}\)

    次に行列式ヤコビアンは
    \(det J\)=\(\frac{1}{w}・1-0・(-\frac{z}{w^2}) \)
    =\(\frac{1}{w} \)
    で計算できます。

    ここまで大丈夫ですね!

    (iii)2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)を導出

    代入すると、

    \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)
    \(f(x(z,w)\)=1, \(g(x(z,w)\)=1に注意して、
    =\( 1・1 \frac{1}{w} dzdw\)
    =\(p(z,w)dzdw\)
    =(式1)

    結構、スッキリしますね!

    2変数\(z,w\)に関する同時確率密度関数\(p(z,w)dzdw\)が求まりました。
    次に、zについての周囲確率密度関数を求めます。

    なぜなら、\(w=y\)であり、\(w\)は不要な変数だから\(w\)で積分します。

    ここで、注意なのが、

    変数の範囲が限定されているため、積分区間は場合分けが必要
    (0 ≤ \(x\) ≤ 1)
    (0 ≤ \(y\) ≤ 1)

    変数\(w\)については、以下の3つの場合分けが発生します。

    ●\( h(z)\)=0 (\(w\) ≤ 0) (積分区間が無い)
    ●\( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{w} \frac{1}{w}dw \)=\(\left[log w \right]_{z}^{1}\)=\(-log z\)
    ●\( h(z)\)=0 (\(w\) ≥ 0) (積分区間が無い)

    となります。ここが難しいですね!

    1変数の積の変換は2変数の変換から計算できますね!

    もう1つ事例を挙げます。次は、積分が困難なので、途中で終わる場合です。

    ④ Z=XY積の場合(事例2)

    (3) 1変数でZ=XY(積)の場合の変換方法

    【例題】
    2つの確率変数\(X\),\(Y\)が独立で、それぞれ指数分布に従うとき、
    \(f(x)=λe^{-λx} \)(0 ≤ \(x\))
    \(g(y)=μe^{-μy} \)(0 ≤ \(y\))
    確率変数\(Z\)を\(Z=XY\)とするときの、確率密度関数\(h(z)\)を求めよ。

    やってみましょう。

    解き方は、事例1と同じです。

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ですから、1つずつ行きましょう。

    (i)\(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す

    ここで、変換する変数を定義します。

    \(Z\)=\(XY\)、\(W\)=\(Y\)とおく、つまり
    \(Z\)=\(XW\)、\(W\)=\(Y\)とおきます。

    \(x=x(z,w),y=y(z,w)\)に直します。
    \(x\)=\(\frac{z}{w}\)
    \(y\)=\(w\)

    (ii)\(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する

    次に、ヤコビ行列から行列式ヤコビアンを求めます。

    ヤコビ行列Jは
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial x}{ \partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
    \frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{1}{w} & -\frac{1}{w^2} \\
    0 & 1
    \end{pmatrix}\)

    次に行列式ヤコビアンは
    \(det J\)=\(\frac{1}{w}・1-0・(-\frac{1}{w^2}) \)
    =\(\frac{1}{w} \)
    で計算できます。

    ここまで大丈夫ですね!

    (iii)2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)を導出

    代入すると、

    \(f(x,y)dxdy\)=\(λe^{-λx}・μe^{-μy}\)
    =\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)
    =\(λμe^{-λ\frac{z}{w}}・e^{-μw} \frac{1}{w}dw\)
    =(式1)

    よって、2変数\(z,w\)に関する同時確率密度関数\(p(z,w)dzdw\)は、
    \(p(z,w)dzdw\)=\(λμe^{-λ\frac{z}{w}}・e^{-μw} \frac{1}{w}\)

    2変数\(z,w\)に関する同時確率密度関数\(p(z,w)dzdw\)が求まりました。
    次に、zについての周囲確率密度関数を求めます。

    なぜなら、\(w=y\)であり、\(w\)は不要な変数だから\(w\)で積分します。

    ここで、注意なのが、

    変数の範囲が限定されているため、積分区間は場合分けが必要
    (0 ≤ \(x\))
    (0 ≤ \(y\))

    変数\(w\)については、以下2つの場合分けが発生します。

    ●\( h(z)\)=0 (\(w\) ≤ 0) (積分区間が無い)
    ●\( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{∞} λμe^{-λ\frac{z}{w}}・e^{-μw} \frac{1}{w}dw \)

    実は、この
    \( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{∞} λμe^{-λ\frac{z}{w}}・e^{-μw} \frac{1}{w}dw \)
    の積分が非常に難しいです。なぜなら、

    \(e^{-\frac{1}{w}}・e^{-w}\)の積分で、特に、\(e^{-\frac{1}{w}}\)が難しいです。

    一旦ここで、保留しましょう。

    指数関数の指数が分数で、分母に積分したい変数が入ると計算が一気に難しくなるので、あまりZ=XYのパターンは出ないと思ってよいでしょう。

    うまく計算ができないパターンもブログとして掲載しますね。
    教科書は、うまく計算ができる例だけしかないので、あたかもどんな関数でも変換ができるように錯覚しがちです。

    とは、言っても、伝えたいことは

    1変数の積の変換は2変数の変換から計算できますね!

    いろいろな関数を使って、確率変数の変換を見て慣れていきましょう!

    本記事の内容は、ほぼ高校数学で解けましたね!

    まとめ

    「2変数の確率変数の変換がよくわかる(Z=XY積の場合)」を解説しました。

    • ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする
    • ➁ (導入)簡単な事例
    • ③ Z=XY積の場合(事例1)
    • ④ Z=XY積の場合(事例2)
  • F分布の確率密度関数の導出がよくわかる

    F分布の確率密度関数の導出がよくわかる

    「確率変数の変換が、わからない、解けない?」、「t分布、F分布の確率密度関数への導出がわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    2変数の確率変数の変換がよくわかる(F分布の確率密度関数の導出)
    • ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする
    • ➁F分布の確率密度関数の導出
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    ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする

    確率変数の変換は高校数学でほぼイケます!大丈夫!

    確率変数の変換は難しいけど、
    理解しないと、正規分布、t分布、χ2乗分布、F分布との関係が理解できないから困っている!
    確率変数の変換は高校数学でほぼイケます!大丈夫!
    1つ条件があります!

    それは、

    公式暗記より、実演でマスターした方が速い!
    1つ解法で解ける解法で、たくさんの例題を見る方がマスターは速い!

    慣れてきたら、公式を見ましょう。

    2変数の確率変数の変換の基本をマスターする

    関連記事に2変数の確率変数の変換の求め方をわかりやすく解説しています。

    【まとめ】2変数の確率変数の変換がよくわかる
    2変数の確率変数の変換が計算できますか?本記事では,理解が難しい公式をそのまま使わずに,高校数学で十分解ける解法を解説します。今回は変換したいパターンをすべてを解説!教科書よりわかりやすく、 ほぼ高校数学でイケる方法で解説! t分布、F分布の確率密度関数を導出したい方は必読な記事です。

    同じ1つの解法でイケますので、ご安心ください。

    2変数の確率変数の変換の求め方

    1変数の確率変数の変換方法と同様に決まった解法があります。

    変数\(x,y\)を変数\(z,w\)に変換するとします。

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ここで、注意点があります。
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial x}{ \partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
    \frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    また、\(det J\)は行列式ヤコビアンといいますね。

    A=\(\begin{pmatrix}
    a & b \\
    c & d
    \end{pmatrix}\)
    のとき、行列式ヤコビアン\(det A\)は、
    \(det A=ad-bc\)
    で計算できます。

    計算力が求められる場合がありますが、基本は高校数学でイケます!

    では、実践編に入ります。最初は簡単な式から行きます!

    ➁F分布の確率密度関数の導出

    QCプラネッツでは、5つの事例を関連記事で紹介していきます。ご確認ください。

    1. 簡単な関数の変換事例
    2. t分布の確率密度関数の導出
    3. F分布の確率密度関数の導出
    4. 1変数でZ=XY(積)の場合の変換方法
    5. 1変数でZ=X/Y(商)の場合の変換方法

    今回は、その3「F分布の確率密度関数の導出」です。

    (3)F分布の確率密度関数の導出

    【例題】
    2つの確率変数\(X\),\(Y\)が独立で、\(X\)が自由度mの\(χ^2\)分布、\(Y\)が自由度nの\(χ^2\)分布に従うとき、\(Z\)=\(\frac{\frac{X}{m}}{\frac{Y}{n}}\)で定義される確率変数\(Z\)の確率密度関数を求めよ。

    まず、\(X,Y\)の確率密度関数を定義します。
    \(f(x)=\frac{1}{2^{\frac{m}{2}}Γ(\frac{m}{2})}x^{\frac{m}{2}-1}e^{-\frac{x}{2}}\) (\(x\) ≥ 0)
    \(g(y)=\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}y^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{y}{2}}\) (\(y\) ≥ 0)

    関数が一気に難しくなりましたが、大丈夫!

    解いていきましょう。解法は、

    1. \(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す
    2. \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する
    3. 2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)は
      \(g(z,w)=f(x(z,w),y(z,w)|det J| \)で求まる。
    4. 実際は\(z,w\)のうち、どちらかは不要な変数なので、片方の変数で積分して、残りの変数についての周囲確率密度関数
      (例えば \(g(z)= \displaystyle \int_{w_1}^{w_2} g(z,w)dw \))
      を計算する。

    ですから、1つずつ行きましょう。

    (i)\(x=x(z,w),y=(z,w)\)の式を\(z=z(x,y),w=w(x,y)\)の式に直す

    ここで、変換する変数を定義します。

    \(Z\)=\(\frac{\frac{X}{m}}{\frac{Y}{n}}\)、\(W\)=\(Y\)とおく、つまり
    \(Z\)=\(\frac{nX}{mW}\)、\(W\)=\(Y\)とおきます。

    また、範囲は(\(x\) ≥ 0), (\(y\) ≥ 0)
    (\(z\) ≥ 0), (\(w\) ≥ 0)

    \(x=x(z,w),y=y(z,w)\)に直します。
    \(x\)=\(\frac{m}{n}wz\)
    \(y\)=\(w\)

    (ii)\(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)に変換する

    次に、ヤコビ行列から行列式ヤコビアンを求めます。

    ヤコビ行列Jは
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial x}{ \partial z} & \frac{\partial x}{\partial w} \\
    \frac{\partial y}{\partial z} & \frac{\partial y}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{m}{n}w & \frac{m}{n}z \\
    0 & 1
    \end{pmatrix}\)

    次に行列式ヤコビアンは
    \(det J\)=\(\frac{m}{n}w・1-0・\frac{m}{n}z \)
    =\(\frac{m}{n}w \)
    で計算できます。

    ここまで大丈夫ですね!

    (iii)2変数\(z,w\)の同時確率密度関数\(g(z,w)\)を導出

    代入すると、

    \(f(x,y)dxdy\)=\(f(x(z,w),y(z,w)|det J| dzdw\)

    =\(\frac{1}{2^{\frac{m}{2}}Γ(\frac{m}{2})}(\frac{m}{n}wz)^{\frac{m}{2}-1}e^{-\frac{1}{2}(\frac{m}{n}wz)}\)\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})}w^{\frac{n}{2}-1}e^{-\frac{w}{2}}\frac{m}{n}w dzdw\)

    文字式を整理すると、
    =\(\frac{(\frac{m}{n})^{\frac{m}{2}} z^{\frac{m}{2}-1}}
    {2^{\frac{m+n}{2}}Γ(\frac{m}{2})Γ(\frac{n}{2})}\)\(w^{\frac{m+n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}(\frac{m}{n}z+1)w}dzdw\)

    =\(p(z,w)dzdw\)
    =(式1)

    2変数\(z,w\)に関する同時確率密度関数\(p(z,w)dzdw\)が求まりました。
    次に、zについての周囲確率密度関数を求めます。

    なぜなら、\(w=y\)であり、\(w\)は不要な変数だから\(w\)で積分します。

    \( h(z)=\displaystyle \int_{-∞}^{∞} p(z,w)dw \)
    \(z,w\)はともに0以上ですから
    =\( h(z)=\displaystyle \int_{0}^{∞}p(z,w)dw \)
    =\(\frac{(\frac{m}{n})^{\frac{m}{2}} z^{\frac{m}{2}-1}}{2^{\frac{m+n}{2}}Γ(\frac{m}{2})Γ(\frac{n}{2})}\)\(\displaystyle \int_{0}^{∞} w^{\frac{m+n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}(\frac{m}{n}z+1)w} dw \)
    =(式2)

    t分布の確率密度関数導出と同様に、一旦、次の積分を考えます。
     ここから
    \(\displaystyle \int_{0}^{∞}w^p e^{-aw}dw \)=(式3)
    \(t=aw\)とすると、
    \(w=\frac{t}{a}\),\(\frac{dt}{dw}=a\)となり、これを(式3)に代入します。

    (式3)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞}(\frac{t}{a})^p e^{-t} (\frac{1}{a})dt\)
    =\(\frac{1}{a^{p+1}}\displaystyle \int_{0}^{∞}t^p e^{-t}dt\)
    =\(\frac{Γ(p+1)}{a^{p+1}}\)
    =(式4)

    ここで、Γ関数は
    \(Γ(p+1)= \displaystyle \int_{0}^{∞}t^p e^{-t}dt\)
    です。

    (式2)に代入するため、(式4)の文字を置き換えます。
    \(p=\frac{m+n}{2}-1\)
    \(a=\frac{1}{2}(1+\frac{m}{n}z)\)
    とおいて、(式1)に代入します。

    (式2)
    =\(\frac{(\frac{m}{n})^{\frac{m}{2}} z^{\frac{m}{2}-1}}{2^{\frac{m+n}{2}}Γ(\frac{m}{2})Γ(\frac{n}{2})}\)\(\displaystyle \int_{0}^{∞} w^{\frac{m+n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}(\frac{m}{n}z+1)w} dw \)
    =\(\frac{(\frac{m}{n})^{\frac{m}{2}} z^{\frac{m}{2}-1}}{2^{\frac{m+n}{2}}Γ(\frac{m}{2})Γ(\frac{n}{2})}\)\(\displaystyle \int_{0}^{∞} (\frac{t}{a})^p・e^{-a\frac{t}{a}} \frac{1}{a}dt\)
    =\(\frac{(\frac{m}{n})^{\frac{m}{2}} z^{\frac{m}{2}-1}}{2^{\frac{m+n}{2}}Γ(\frac{m}{2})Γ(\frac{n}{2})}\)\(\frac{1}{a^{p+1}}\displaystyle \int_{0}^{∞} t^p・e^{-t}dt\)
    =\(\frac{(\frac{m}{n})^{\frac{m}{2}} z^{\frac{m}{2}-1}}{2^{\frac{m+n}{2}}Γ(\frac{m}{2})Γ(\frac{n}{2})}\)\(\frac{Γ(p+1)}{a^{p+1}}\)
    =(式5)

    (式5)に対して、
    \(p=\frac{m+n}{2}-1\)
    \(a=\frac{1}{2}(1+\frac{m}{n}z)\)
    から、\(p,a\)を\(m,n,z\)の式に戻します。

    (式5)
    =\(\frac{(\frac{m}{n})^{\frac{m}{2}} z^{\frac{m}{2}-1}}{2^{\frac{m+n}{2}}Γ(\frac{m}{2})Γ(\frac{n}{2})}\)\(\frac{Γ(\frac{m+n}{2})}{(\frac{1}{2}(1+\frac{m}{n}z))^{\frac{m+n}{2}}}\)
    ここで、\(n,2, Γ(\frac{m+n}{2}),Γ(\frac{m}{2}),Γ(\frac{n}{2})\)に注目して変形すると

    =\(\frac{m^{\frac{m}{2}} n^{\frac{n}{2}}}{B(\frac{m}{2},\frac{n}{2})}\frac{z^{\frac{m}{2}-1}}{(mz+n)^{\frac{m+n}{2}}}\)
    となります。

    なんじゃこりゃ!な式ですが、
    使い勝手のよいF分布の式なんです!
    まとめると、
    \(h(z)=\frac{m^{\frac{m}{2}} n^{\frac{n}{2}}}{B(\frac{m}{2},\frac{n}{2})}\frac{z^{\frac{m}{2}-1}}{(mz+n)^{\frac{m+n}{2}}}\)
    が、自由度(\(m,n\))のF分布の確率密度関数となります。
    F分布は、χ2乗分布の関数同士の変数の比から求められます。確かに分散比はF分布使いますよね!!
    F分布、χ2乗分布、正規分布の関係が数式でつながりました。
    今回の\(f(x,y)\)はかなり式が難しいですが、解法は1つでOKで、これが解けたら自信を持ってください。
    簡単だ! 解けるぞ!と自信持ってください!

    いろいろな関数を使って、確率変数の変換を見て慣れていきましょう!

    本記事の内容は、ほぼ高校数学で解けましたね!

    まとめ

    「2変数の確率変数の変換がよくわかる(F分布の確率密度関数の導出)」を解説しました。

    • ①2変数の確率変数の変換の基本をマスターする
    • ➁F分布の確率密度関数の導出

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