「フロンガスによるオゾン層破壊」が「環境問題を地球レベルに引き上げた」がわかる

本記事のテーマ

’フロンガスによるオゾン層破壊が環境問題を地球レベルに引き上げた
  • ①フロンガスによるオゾン層破壊が環境問題を地球レベルに引き上げた
  • ②フロンガスとは
  • ③フロンガスによるオゾン層破壊のメカニズムがわかる!

①フロンガスによるオゾン層破壊が環境問題を地球レベルに引き上げた

なぜ、環境問題は地球規模へ広がったのか?

フロンガスの化学的特徴や、オゾン層破壊の原因も大事ですが、最も伝えたいことがあり、ブログ記事にしました。

それは、

フロンガスによるオゾン層破壊までは、環境問題は日本の四大公害のように特定地域限定の公害問題で、その場で公害の原因者と被害者は明確でした。

しかし、

フロンガスによるオゾン層破壊は、フロンガス排出者とオゾン層破壊による被害者がわからず、世界中で公害が起こる「地球規模の環境問題」へと発展するきっかけとなりました。
例 四大公害 フロンガスによるオゾン層破壊
地域 局所的(地域限定) 全域(地球全体)
被害者 その地域住民 不定
加害者 その地域企業 不定
環境問題 地域限定 地球規模

上の表から

フロンガス固有の特徴が地球規模の環境問題を考えさせるきっかけとなったことをしっかり理解しましょう!

環境に関する仕組み・法整備ができた背景を理解する

環境の勉強で苦労していませんか?

●100以上ある環境法
●持続可能、サステナブル、SDGsと何でもあり
●範囲が広すぎるし、理解が難しい!だから丸暗記!

環境の勉強で大事なこと

様々な法律や概念ができたり、ひろがった理由や歴史的背景をおさえよう!

QCプラネッツから環境の歴史背景をまとめます。

環境問題の歴史に「フロンガスによるオゾン層破壊」は欠かせない!
  1. 環境問題の最初は地域限定の「公害問題」
  2. 地域限定から世界規模に発展
  3. 地球レベルで環境問題を協議
  4. サステナビリティ、SDGsなどと拡張するが、ここは一旦止めてもいい(何でもありになり、わけがわからなくなる!)
環境問題は
(1)まず「公害対策」が基本! なぜなら、今も報道されないが公害問題は国内各地で水面下である!公害は過去のものではない!
(2)次に、「地域限定から地球規模」で環境を考える! このきっかけがフロンガスであり、様々な法整備につながったきっかけ!
この2点をまずおさえましょう!

②フロンガスとは

フロンガスは冷蔵庫の冷媒として普及。
それまで二酸化硫黄やアンモニアを使っていたが、臭いし、有毒。
無毒で安定な化学物質としてフロンが発明。
家電製品の普及とともにフロンガスの生産・消費が急増。

冷蔵庫に二酸化硫黄やアンモニアを使っていたようですが、あまり想像したくありませんね。

フロンガスは安定した化学構造で、
爆発や有毒性もないので、
便利な人工化学物質だったわけです。

③フロンガスによるオゾン層破壊のメカニズムがわかる!

ここで大事なのは、

  1. フロンガスの大気中濃度を調べてわかったが、なぜ大気中濃度を測定しようと思ったのか?
    (別に危険や物質ではなく、問題もなかったので測定しようとならないはず。)
  2. フロンガスが大気中に放出したらなぜ問題なのか?なぜオゾン層破壊の原因物質になってしまうのか?
    (大気中に滞在すれば他の原子や太陽光によって化学反応し、フロンガスはオゾン層を破壊するに至らないのではないか?)
  3. 他の物質も大気中に放出したらオゾンと反応はするが、なぜフロンガスはそれがマズイのか?
    (オゾンと化学反応すればフロンガスも分解されてるから、オゾンと反応しなくなるのではないか?)
  4. フロンガスがオゾンと反応する化学的知見からなぜ地球規模の環境問題にすぐ発展したのか?(普通は、問題を提起してもすぐには皆動かないもの)

いかがでしょうか。気になりませんか?

フロンガスがオゾン層を破壊する理由を知っていても、
他の物質でも起こりうる!でもなぜ、フロンガスはまずいのか?
なぜすぐ国際問題に発展したのか?
理由を深堀しなければ環境分野を理解するのが難しくなる!

1つずつ解説します。

大気中のフロンガスを測定しようとした理由

安定した物質フロンガスなので、ヤバイという認識はないはず。でも、
南極に向かう船の上で空気を集め、フロン濃度を測定した実験がありました。

なぜ、計測したの?

これは、

興味本位的な要素が強く
1970年初めごろに研究者が調べてみたら
「あれ!ヤバくないか?」
と気づいたようです。
  1. フロンガスは人工合成物質で自然界に存在しないことは1970年以前から既知である。
  2. 大気中に不純物として混入した気体はどのように除去されるかを調べたかった(太陽光による分解、雨水による洗い落とし、大気中の気体原子との化学反応など)

  3. フロンは工業利用のためにきわめて反応しにくいように設計された分子であるため、自然界に放出したらどのように変化するかを知りたかった。
  4. フロンは人工物であり、都市部から放出される。人間が住めない環境(南極や南半球側)の上空にフロンがいるのか?を知りたかった。

大気中のフロンガスを測定してわかったこと

データを取ると、下図のように場所とフロン濃度の関係がわかりました。

(1971年、J.E.Lovelockによる
フロン: 地球を蝕む物質 1990 富永 健 (著)
より引用)

あれ?おかしくねえか?
と気づきませんか?
  1. 北半球の大都市から放出されたフロンの大気中濃度は、なぜか誰も住んでいない数千~数万km離れた南極側の緯度になるほど高い。それだけ長い期間大気中にフロンガスは分解されず、雨に溶けずに上空を漂っていることがわかる。
  2. 南極側での大気中濃度が高い。フロンガスが集まりやすい環境条件が南極の上空ではあるのかもしれない。
でも、これだけだと、単に上空にフロンガスが集まるだけで、地球規模の環境問題までは発展しなさそうですね!

大気中のフロンガスがオゾン層にとってマズイ理由

結論

フロンガスが成層圏まで上がると太陽光の紫外線と反応し、オゾンと反応する。
その際、塩素原子単体が長期的に存在する化学反応を起こすため、
その分、オゾン層のオゾンが分解されてしまう。
これがオゾン層破壊する原因であり、フロンガス使用が大問題となった。

化学反応のメカニズムを下図で解説します。

フロンガスによるオゾン層破壊
が地球規模の環境問題にのし上げた理由は
オレンジ領域にて、何度も塩素原子が生成され、そのたびにオゾンが分解されること。
理論計算では塩素原子1個に対し、10万個のオゾン分子が分解される。
フロンガスは安定物質のよさが仇となり、成層圏まで分解されずにやってくる。
そこで大量のオゾンを破壊することにある。

フロンガスがオゾン層破壊がすぐ世界中に知りわたり対策をとるように進んだ理由

大問題が発生しても何もしないのが世の中。
四大公害で犠牲者が出ても、政府も行政も企業も経済優先でいた。
でもフロンガスによるオゾン層破壊の件はなぜかすぐに世界中の人を動かすことができた!
それはなぜでしょうか?

結論

これまでの環境問題と全く異質なものだったから

つまり、

●加害者と被害者が全く一致しない。
●北半球の都市部で放出したら、南極でオゾンホールができる。
●いつどこで誰がダメージを受けるかわからない。
●環境問題は地球規模で考えなければならないと思い知らされたから。
●フロンガスは安定物質で使いやすさもあり、簡単に辞めることができない。
フロンガスによるオゾン層破壊は、フロンガス排出者とオゾン層破壊による被害者がわからず、世界中で公害が起こる「地球規模の環境問題」へと発展するきっかけとなりました。
例 四大公害 フロンガスによるオゾン層破壊
地域 局所的(地域限定) 全域(地球全体)
被害者 その地域住民 不定
加害者 その地域企業 不定
環境問題 地域限定 地球規模

となることがよくわかりますね!

環境問題は、内容・原因・化学的メカニズム・法的整備など学ぶことが多いですが、その土台となる
「背景」をしっかり考えて理解することが大事です。

まとめ

「フロンガスによるオゾン層破壊が環境問題を地球レベルに引き上げた」を解説しました。

  • ①フロンガスによるオゾン層破壊が環境問題を地球レベルに引き上げた
  • ②フロンガスとは
  • ③フロンガスによるオゾン層破壊のメカニズムがわかる!
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