【初心者必見】正規分布の標準化や応用問題は怖くない!必勝解法を解説します。

正規分布

本記事のテーマ

【初心者必見】正規分布の標準化や応用問題は怖くない!必勝解法を解説します。
  • ➀正規分布の標準化をする理由がわかる
  • ②正規分布の解法は1つで十分
  • ③正規分布の応用問題が解ける
  • ④一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる
「正規分布の標準化する理由がわからない」、「平均μ、分散\(σ^2\)の一般的な正規分布の確率の計算ができない」、「試験で解ける気がしない」など困っていませんか?。

さっそく見ていきましょう。

●You tube動画もご確認ください。

➀正規分布の標準化をする理由がわかる

正規分布の標準化とは

正規分布の標準化とは、平均0、分散\(1^2\)に直すことです。数式では、平均μ(≠0)、分散\(σ^2≠1^2\)な正規分布を次の式で標準化します。

$$ Z=\frac{\bar{x}-μ}{σ} $$

 標準化した場合のグラフの変化イメージを見ましょう。平均10,分散\(5^2\) (以下N(10,\(5^2\))と書きます)の正規分布を標準化した場合の図です。正規分布は平均、分散によって尖り具合が違いのがわかります。

正規分布

正規分布の標準化は正規分布表が1つで済むから

正規分布の標準化する理由は、正規分布表が1つで済むからです。わかっているなら簡単ですが、そうでない場合は、理由をわからずに標準化の式を使っていることになり、注意が必要です。

世の中には、いろいろな平均・分散から成る正規分布がたくさんあります。
にあるように、正規分布は積分が困難な関数なので、正規分布表を作っていましたね。

あらゆる平均、分散に対して正規分布表を作ると大変になります。だから、平均0、分散\(1^2\)に直します。そうすれば、平均0、分散\(1^2\)の正規分布表1枚で済みますよね。

②正規分布の解法は1つで十分

標準化する理由を理解した次は、いろいろな応用問題に振り回されずに済む必勝方法を解説します。

数学が得意で正規分布に慣れた私でも、出題された瞬間、手が止まります。でも安心!必勝方法に持ち込めば解けます! その方法は次の3つです。簡単な問いでも難しい問いでも必ず3つの方法で解いていきます。

  • (A)正規分布が問題に出たら、正規分布のグラフを手で描く
  • (B)求められる確率の区間を斜線で塗る
  • (C)標準化Z(N(0,1))に直して、正規分布表から確率(面積)を読みとる

次に、資格試験に頻出な応用問題を例に必勝解法で攻略します

③正規分布の応用問題が解ける

3題挙げます。

問1.確率変数Xが正規分布N(10,5^2)に従うとき次の確率を求めよ。
①P(X<15)
②P(X≦3)
③P(12≦X≦14)
④P(5≦X≦11)

これならできそう

問2.ある国の20歳の男性の身長は平均170cm,標準偏差6cmであり、ほぼ正規分布に従うとする。
(1)この国の20歳の男性で身長が180cm以上の人はおよそ何%いるか?
(2)この国の20歳の男性を1000人調べた。身長が160cm以上175cm以下の人はおよそ何%いるか?

ちょっと応用

問3.ある資格試験では合格最低点は70点で、合格率は15%だった。
この試験の点数分布はほぼ正規分布に従うと仮定する。
なお、補欠合格というのもあり、60点以上が対象でその合格率は35%だった。
(1)この試験の平均点と点数の標準偏差はいくらか?
(2)Aさんはこの試験で80点とって合格した。上位何%にいることになるか?
(3)Bさんはこの試験で45点とって不合格だった。上位何%にいることになるか?

かなり応用、手ごわい

重要なのは、どんな問いが出ても次の3つの方法で攻略すれば解けます!

  • (A)正規分布が問題に出たら、正規分布のグラフを手で描く
  • (B)求められる確率の区間を斜線で塗る
  • (C)標準化Z(N(0,1))に直して、正規分布表から確率(面積)を読みとる
問1.確率変数Xが正規分布N(10,5^2)に従うとき次の確率を求めよ。
①P(X<15)
②P(X≦3)
③P(12≦X≦14)
④P(5≦X≦11)
  • (A)正規分布が問題に出たら、正規分布のグラフを手で描く

正規分布のなめらかなグラフを描きます。

  • (B)求められる確率の区間を斜線で塗る

正規分布の①P(X<15)、②P(X≦3)、③P(12≦X≦14)、④P(5≦X≦11)区間を斜線で塗りましょう。

なめらかなグラフを描きます。
正規分布

  • (C)標準化Z(N(0,1))に直して、正規分布表から確率(面積)を読みとる

Z=\(\frac{μ-\bar{x}}{σ}\)=\(\frac{μ-10}{5}\)を代入します。結果は上図のKpになります。
ここまで、機械的に絵を描けば、どの面積を出せば良いかがはっきりしますね。面積は正規分布表から値を求めます。

➀はKp=1以上の面積ですから正規分布表Kp=1のpが答えです。よって、p=0.1587
②は左右対称性で考えれば、Kp=1.4以上の面積ですから正規分布表Kp=1.4のpが答えです。よって、p=0.0808
③はKp=0.4以上の領域から、0.8以上の領域を引けばよいですね。よってp=0.3446-0.2119=0.1327
④はKp=-1から0までの領域と、0から0.2までの領域に分けます。
Kp=-1から0までの領域は、左半分確率0.5からKp=-1以下の領域を引けばよいですね。
Kp=0から0.2までの領域は右半分確率0.5からKp=0.2以上の領域を引けばよいですね。
よって答えは (0.5-0.1587)+(0.5-0.4207)=0.4206

正規分布表はこの4パターンが図から計算できれば完璧です!

問2.ある国の20歳の男性の身長は平均170cm,標準偏差6cmであり、ほぼ正規分布に従うとする。
(1)この国の20歳の男性で身長が180cm以上の人はおよそ何%いるか?
(2)この国の20歳の男性を1000人調べた。身長が160cm以上175cm以下の人はおよそ何%いるか?
  • (A)正規分布が問題に出たら、正規分布のグラフを手で描く

正規分布のなめらかなグラフを描きます。

  • (B)求められる確率の区間を斜線で塗る

正規分布の①P(X>180)、②P(160≦X≦175)区間を斜線で塗りましょう。

なめらかなグラフを描きます。
正規分布

  • (C)標準化Z(N(0,1))に直して、正規分布表から確率(面積)を読みとる

Z=\(\frac{μ-\bar{x}}{σ}\)=\(\frac{μ-170}{6}\)を代入します。結果は上図のKpになります。
ここまで、機械的に絵を描けば、どの面積を出せば良いかがはっきりしますね。面積は正規分布表から値を求めます。

➀はKp=1.66以上の面積ですから正規分布表Kp=1.66のpが答えです。よって、p=4.85%
②は160cm(Kp=-1.66)から170cmまでの確率と170cmから175cm(Kp=0.83)までの確率を求めたらよいですね。
Kp=-1.66から0までの領域は、左半分確率0.5からKp=-1.66以下の領域を引けばよいですね。
Kp=0から0.83までの領域は右半分確率0.5からKp=0.83以上の領域を引けばよいですね。
よって答えは (0.5-0.0485)+(0.5-0.2033)=0.7198
1000人あたりでは719人とわかりますね。

問3.ある資格試験では合格最低点は70点で、合格率は15%だった。
この試験の点数分布はほぼ正規分布に従うと仮定する。
なお、補欠合格というのもあり、60点以上が対象でその合格率は35%だった。
(1)この試験の平均点と点数の標準偏差はいくらか?
(2)Aさんはこの試験で80点とって合格した。上位何%にいることになるか?
(3)Bさんはこの試験で45点とって不合格だった。上位何%にいることになるか?

これも同様にして解けます。平均μと標準偏差σを求める必要があります。

④一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

3つのテーマで考えます。

  • (A)複数個あるサイコロの出る目の確率を求める
  • (B)一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる
  • (C)畳み込み積分で一様分布からの変化を確認
一様分布に従うサイコロの目があり、そのサイコロを複数個同時投げてできる出る目の分布は正規分布に近づきます!でも何で?
一様分布、二項分布から異なる正規分布に近づく様子を実際に見てみましょう。

(A)複数個あるサイコロの出る目の確率を求める

問題

【問題】
どの目も等確率\(\frac{1}{6}\)が出るサイコロを1回、2回、・・・、6回と振る。それぞれの出る目における確率分布関数をグラフにプロットし、サイコロの回数が増えるごとに一様分布から正規分布に変化する様子を確認せよ。

不思議な問題文で、サイコロ1回振った結果は一様分布なのに、その回数を増やすと正規分布と異なる分布に変化していきます。

解法(1回の場合)

確率を計算すると

確率
1 \(\frac{1}{6}\)
2 \(\frac{1}{6}\)
3 \(\frac{1}{6}\)
4 \(\frac{1}{6}\)
5 \(\frac{1}{6}\)
6 \(\frac{1}{6}\)

となり、グラフも確かに一様分布ですね。当たり前ですよね、すべて等確率なので。

一様分布

解法(2回の場合)

確率を計算すると

確率
2 \(\frac{1}{36}\)
3 \(\frac{2}{36}\)
4 \(\frac{3}{36}\)
5 \(\frac{4}{36}\)
6 \(\frac{5}{36}\)
7 \(\frac{6}{36}\)
8 \(\frac{5}{36}\)
9 \(\frac{4}{36}\)
10 \(\frac{3}{36}\)
11 \(\frac{2}{36}\)
12 \(\frac{1}{36}\)

となり、グラフは分布するようになってきましたが、まだ正規分布っぽくはないですね。

一様分布

解法(3回以上の場合)

さすがに手計算では大変なので、プログラムを使って計算してきましょう。
VBAプログラムを紹介して、これを使って計算してみます。

VBAプログラムイメージ

VBAプログラムの一例です。これを使ってサイコロ1回から6回までを計算します。7回以上はExcelで計算すると時間がかかるため、6回までとします。

(B)一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

実際に計算した結果をグラフにまとめると

正規分布

グラフからわかるのは、

  1. を増やすと、一様分布から正規分布に変化している
  2. 3回振ると、結果は正規分布と言える
  3. 正規分布の中心は出る目の平均

となりますね。不思議ですね。

(C)畳み込み積分で一様分布からの変化を確認

なぜ、一様分布を重ねると徐々に正規分布へと異なる分布に変わるのか?はある程度数式で読み取れます。が、場合分けがたくさんあるので、手計算ではちょっと大変です。その1例を挙げます。

1回から2回への変化

関連記事のように、畳み込み積分を使って計算します。

畳み込み積分がよくわかる(一様分布どうし)
畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、さらに一様分布を使った畳み込み積分の計算の途中経過を一切端折らずに解説!

畳み込み積分で分布が変わるところを理解する

例題を挙げると、

一様分布
\(f(x) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ x ≤ 6) それ以外0
\(g(y) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ y ≤ 6) それ以外0
において、x+y=zにおける確率分布関数h(z)を作れ。

関連記事でおさえたいポイントは

積分区間を確認すると、場合分けが乗じる
場合分けは関連記事から見ると
●①は(x,y)=(6,6)より上(つまり12 ≤ z)で、積分領域外なので、h(z)=0
●➁は(x,y)=(0,6)以上①以下(つまり6 ≤ z ≤12)なので、図のように、x=z-6~6区間で積分
●➂は(x,y)=(0,0)以上①以下(つまり0 ≤ z ≤6)なので、図のように、x=0~z区間で積分
●➃は(x,y)=(0,0)以下(つまりz ≤ 0)で、積分領域外なので、h(z)=0

この結果、一様分布から折れ線のような分布に変化します。

一様分布
一様分布

これを繰り返すと、一様分布から正規分布に近づく説明を数式で表現すればOKです。でも、場合分けが大変すぎるので、やり方だけ理解しておきましょう。

以上、
一様分布などを重ねると正規分布に近づく不思議な現象を
をわかりやすく解説しました。

まとめ

本記事では、一般的な正規分布を標準化する理由を解説し、一般の正規分布における任意の区間の確率を1つの方法で解ける解法を紹介しました。

  • ➀正規分布の標準化をする理由がわかる
  • ②正規分布の解法は1つで十分
  • ③正規分布の応用問題が解ける
  • ④一様分布、二項分布が正規分布に近づくのがわかる

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