畳み込み積分がよくわかる(ポアソン分布と他の分布関数)
「畳み込み積分が、わからない、解けない?」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①畳み込み積分とは
- ➁ポアソン分布と他の分布関数は畳み込み積分がほとんどできない
- ➂畳み込み積分ができない理由
- ➃一様分布となら畳み込み積分ができる
- ➄畳み込み積分(X+Y=Z)
- ⑥畳み込み積分(X-Y=Z)
①畳み込み積分とは
畳み込み積分の基本をまとめた関連記事を確認ください。
簡単にわかる解説と、身近な事例を挙げています。高校数学で理解できるレベルなので安心ください。
畳み込み積分がよくわかる(一様分布どうし) 畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、さらに一様分布を使った畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。 |
➁ポアソン分布と他の分布関数は畳み込み積分がほとんどできない
他の分布関数
列挙すると、
●一様分布
●指数分布
●正規分布
●χ2分布
と統計学でよく使う分布関数で
ポアソン分布との畳み込み積分をやってみます
ポアソン分布と他の分布関数は畳み込み積分がほとんどできない
計算した結果です。
ー | ポアソン分布 |
一様分布 | △ |
指数分布 | × |
正規分布 | × |
ポアソン分布 | ○ |
χ2分布 | × |
ほとんど他の分布関数とは相性がわるいですね。一様分布の限定的な条件くらいです。
➂畳み込み積分ができない理由
ポアソン分布の式が原因
で特に、
\( \sum_{k=0}^{n} \frac{λ^k}{k!}\)との相性が悪い
たとえば、指数関数、正規分布などの\(e^{-x}\)、\(e^{-x^2}\)を積して積分や和を求めようとしても
\( \sum_{k=0}^{n} \frac{λ^k}{k!} e^{-k}\) とか
\( \sum_{k=0}^{n} \frac{λ^k}{k!} e^{-k^2}\)とか
がどうしても計算できません。
χ2分布も同様に、もっと複雑な式なので計算が困難な理由は想像できますよね。
なので、試した結果をブログで解説しています。
➃一様分布となら畳み込み積分ができる
1つ注意点がある
一様分布はポアソン分布と畳み込み積分ができますが
●注意が不要な場合:\( f(x)=a (全領域でa)\)
●注意が必要な場合:\( f(x)=a \) (\(x_1\) ≤ \(x\) ≤ \(x_2\))と範囲が決まっている場合)
となります。
「●注意が必要な場合」の理由は
で特に、
\( \sum_{k=0}^{n}\)の和の範囲が一様分布によって限定になるから
実際に畳み込み積分やってみましょう。
➄畳み込み積分(X+Y=Z)
ポアソン分布と一様分布の畳み込み積分を解析します。ポアソン分布は1つ注意する特徴があります。
ポアソン分布の式
\(f(x)= \sum_{k=0}^{n} e^{-λ} \frac{λ^k}{k!}\)
のkの値が整数なため、連続関数ではありません。
連続関数ではないので積分∫ができません。当たり前だけど、意外と忘れがちです。
例題
●\(f(x)= \sum_{k=0}^{n} e^{-λ} \frac{λ^k}{k!}\)
●\(g1(y)= a \)
または
●\(g2(y)= a\) (\(x_1\) ≤ \(x\) ≤ \(x_2\))
において、Z=X+Yを満たす確率密度関数\(h(z)\)を作れ。
難しい!と思ってしまいますが、落ち着いて解きましょう。次の3stepで解いていきます。
- 畳み込み積分の式を作る
積分ではなくて和区間を確認- 和区間について丁寧に計算
解法step1(畳み込み積分の式を作る)
積分∫ができないので、和∑で計算します。
\((k)+(n-k)=n\)の関係が成り立っています。
積分ではなくて和区間を確認
和区間はk=0~nで、畳み込み積分(和の計算)をします。
難しそうに見えますが、高校数学、領域のところで学ぶ内容です。
和区間について丁寧に計算
畳み込み積分(\(g1(y)= a \))
\( h(n)= \sum_{k=0}^{n} f(k) g(n-k) \)
=\(\sum_{k=0}^{n} e^{-λ} \frac{λ^k}{k!} ・a \)
=\( a f(n) \)
単なる h(n)=f(n)×g(n)=a×f(n)の積となりましたね。
畳み込み積分(\(g2(y)= a\) (\(x_1\) ≤ \(x\) ≤ \(x_2\))
\( h(n)= \sum_{k=x_1}^{x_2} f(k) g(n-k) \)
=\(\sum_{ k=x_1}^{ x_2} e^{-λ} \frac{λ^k}{k!} ・a \)
これ以上は計算できません。
あとは、実際の\(x_1\)、\(x_2\)の値に合わせて計算するしかありません。
➂畳み込み積分(X-Y=Z)
X+Y=ZからX-Y=Zに変えますが、解き方は全く同じです。
例題
●\(f(x)= \sum_{k=0}^{n} e^{-λ} \frac{λ^k}{k!}\)
●\(g1(y)= a \)
または
●\(g2(y)= a\) (\(x_1\) ≤ \(x\) ≤ \(x_2\))
において、Z=X-Yを満たす確率密度関数\(h(z)\)を作れ。
難しい!と思ってしまいますが、落ち着いて解きましょう。次の3stepで解いていきます。
- 畳み込み積分の式を作る
積分ではなくて和区間を確認- 和区間について丁寧に計算
解法step1(畳み込み積分の式を作る)
積分∫ができないので、和∑で計算します。
\((k)-(k-n)=n\)の関係が成り立っています。
積分ではなくて和区間を確認
和区間はk=0~nで、畳み込み積分(和の計算)をします。
難しそうに見えますが、高校数学、領域のところで学ぶ内容です。
和区間について丁寧に計算
畳み込み積分(\(g1(y)= a \)
\( h(n)= \sum_{k=0}^{n} f(k) g(k-n) \)
=\(\sum_{k=0}^{n} e^{-λ} \frac{λ^k}{k!} ・a \)
=\( a f(n) \)
単なる h(n)=f(n)×g(n)=a×f(n)の積となりましたね。
畳み込み積分(\(g2(y)= a\) (\(x_1\) ≤ \(x\) ≤ \(x_2\)))
\( h(n)= \sum_{k=x_1}^{x_2} f(k) g(k-n) \)
=\(\sum_{ k=x_1}^{ x_2} e^{-λ} \frac{λ^k}{k!} ・a \)
これ以上は計算できません。
いろいろな関数を使って畳み込み積分を見て慣れていきましょう!
本記事の内容は、ほぼ高校数学で解けましたね!
まとめ
「畳み込み積分がよくわかる(ポアソン分布と他の分布関数)」を解説しました。
- ①畳み込み積分とは
- ➁ポアソン分布と他の分布関数は畳み込み積分がほとんどできない
- ➂畳み込み積分ができない理由
- ➃一様分布となら畳み込み積分ができる
- ➄畳み込み積分(X+Y=Z)
- ⑥畳み込み積分(X-Y=Z)
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