確率変数の期待値と分散が計算できる【初心者向け】

分散

本記事のテーマ

確率変数の期待値と分散が計算できる【初心者向け】
確率分布、確率密度関数、期待値、分散のアレルギーをなくし、統計学に自信をつけましょう!
  • ➀確率密度関数から確率・期待値・標準偏差が計算できる
  • ②コイン・サイコロの期待値が解ければOK
  • ③期待値の計算式を一般化する過程に慣れる
  • ④期待値E[X]と分散V[X]の関係式がわかればOK
  • ⑤確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1
  • ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2
  • ⑦確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3
  • ⑧確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4
①②③を最初に学び
少し自信がついたら④
一旦すべてを知りたいなら⑤⑥⑦⑧
と何度も読みましょう。

➀確率密度関数から確率・期待値・標準偏差が計算できる

確率密度関数とは

分布に関係なく、確率密度関数があります。その特徴は何でもよいですが、

区間全域の積分値が1
なぜなら全積分値は全確率1のことだから。

確率密度関数の例

何でもいいので、確率密度関数という難しい言葉へのアレルギーを回避しましょう。

\(f(x)=\frac{1}{2500}(-(x-50)^2+2500)\)
\(f(x)=\frac{1}{2} e^{|x|}\)

グラフを描いてみましょう。分布関数の感じが出て、その関数の全区間の積分値が1となっています。

これが確率密度関数です。

確率・期待値・分散を計算

●確率は、∫f(x)dx です。
●期待値E[X]は E[X]=∫xf(x)dx です。
またE[X2]=∫x2f(x)dx です。
●分散はV[X]=E[X]2– E[X2]です。

公式に慣れるよう、記事を進めます。

●You tube動画もあります。ご確認ください。

●You tube動画ご覧ください。

②コイン・サイコロの期待値が解ければOK

いきなり、

  1. E[X]=\(\int x_ip_i dx\)
  2. E[aX+b]=aE[X]+b
  3. V[X]=E[\(X^2\)]-E\([X]^2\)

がすぐわかる例題を紹介します。

【問】等確率なサイコロ(1から6の目)が1個ある。
(1) サイコロを1回振って出る目の期待値はいくらか?
(2) サイコロを2回振って出る目の期待値はいくらか?

期待値の計算方法は、確率×出る目の合計ですよね。
(1)期待値E=\(\frac{1+2+3+4+5+6}{6}\)=\(\frac{21}{6}\)=3.5
(2)出る目と確率を整理しましょう。

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
確率 \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\)

期待値E=\(\frac{2×1+3×2+・・・+12×1}{12}\)
=7
また、1個の目の期待値の倍としてもよいですね。

③期待値の計算式を一般化する過程に慣れる

期待値の計算方法を一般化する

統計の難解な数式に早く慣れる方法を提案します。数学の得意・不得意関係なく、数式の意味を読み取るには結構時間がかかります。よく使う方法が2つあります。

難しい数式の読み方

●式を言葉で読んでみて意味を理解する
●簡単な例で式を作ってから、式を一般化する

先の、サイコロ1との出る目の期待値の計算は。
E=1×\(\frac{1}{6}\)+2×\(\frac{1}{6}\)+・・・+6×\(\frac{1}{6}\)
=\(\frac{21}{6}\)=3.5
ですね。数字1から6は「出る目」の値で、\(\frac{1}{6}\)は確率ですね。

出る目を\(x_i\)、出る目\(x_i\)の確率を\(p_i\)、和をΣで書き直します。

E=\(\sum_{i=1}^{n} x_i p_i\)
が期待値の基本形です。必ずこの式から期待値はスタートします。

ここで確率\(p_i\)を確率密度関数f(x)に変えて定義することもあります。その場合、2つ定義を変えます。

●確率\(p_i\)を確率密度関数f(x)に変える
●数列Σを積分∫に変える

期待値Eは
●E=\(\int xf(x) dx\)
となります。∫も関数も出てきましたが、基本は
●E=\(\sum_{i=1}^{n} x_i p_i\)
です。見た目は違いますが、サイコロの出る目の期待値を求める式と同じです。

期待値の加法性を理解する

期待値の加法性

a,bは定数、X,Yは変数とする。
●\(E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]\)
●\(E[aX+b]=aE[X]+b\)

加法性に慣れるポイントについて、
具体的な例で理解しましょう。期待値の基本はサイコロの出た目の計算ですね。

➀等確率で出るサイコロA(1から6)を1個1回振り、その出た目を3倍にする。
②等確率で出るサイコロB(1から4)を1個1回振り、その出た目を2倍にする。
➀と②を足してさらに5を足した場合の期待値を求めよ。

➀は(\(1×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6×\frac{1}{6}\))=\(\frac{21}{6}\)=3.5
を3倍しますから、3.5×3=10.5です。

②は(\(1×\frac{1}{4}\)+・・・+\(4×\frac{1}{4}\))=\(\frac{10}{4}\)=2.5
を2倍しますから、2.5×2=5です。

さらに5を足すので、期待値は10.5+5+5=21.5です

一方、期待値の加法性を使うと、
●E=E[aX+bY+c]
に、a=3,b=2,c=5,E[X]=3.5,E[Y]=2.5を代入します。
●E[aX+bY+c]=aE[X]+bE[Y]+c=3×3.5+2×2.5+5=21.5
と結果が一致します。

期待値の加法性の公式を使ってもよいし、サイコロの出る目の式のまま解いてもよいのです。
慣れないうちはサイコロの出る目の計算で
慣れたら一般化の式を理解していきましょう。

期待値の加法性がわかるポイント

3つの式がイメージできること。(サイコロの例で理解しましょう)
➀E[aX]=aE[X]  「例:その出た目を3倍にする」
②E[X+Y]=E[X]+E[Y]  「例:2種類のサイコロの出た目を足した」
③E[X+a]=E[X]+a 「例:さらに5を足した」

期待値E[X]のXにいろいろ値を入れて慣れる

期待値の加法性に少し慣れたら、次の計算をしてみましょう。

➀E[3X+2]
②E[\(X^2\)]

➀は加法性で出たE[aX+bY+c]=aE[X]+bE[Y]+cを使えばよいです。でも、E[\(X^2\)]はどうしましょうか? 抵抗感がありますが、次の例題で解決します!

等確率で出るサイコロ(X=1から6)の期待値を求めよ。
➀サイコロを1個1回振ったときの出る目の期待値E[X]
②サイコロを1個1回振ったときの出る目を2乗にした期待値E[\(X^2\)]

➀は(\(1×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6×\frac{1}{6}\))=\(\frac{21}{6}\)=3.5ですね。
②は機械的にそのまま2乗を式に入れます

E[\(X^2\)]=(\(1^2×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6^2)×\frac{1}{6}\)
=\(\frac{(1+4+9+16+25+36)}{6}\)
=\(\frac{91}{6}\)ですね。

\(x^2\)の期待値とはどういう意味か?が気になりますが、あまり気にしないで代入してください

ですから、E[\(X^3\)]を求めようとすると、
E[\(X^3\)]=(\(1^3×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6^3×\frac{1}{6}\))となります。

出る目Xを変数にして、いろいろな変数を代入することに慣れてください。ここが分散の導出に必要です。期待値Eはサイコロの出る目の計算であることは変わりませんが、E[X]に変数Xをいろいろ代入するように慣れていきましょう。

④期待値E[X]と分散V[X]の関係式がわかればOK

分散の定義を理解する

分散の定義

V[X]=E[\((X-E[X])^2\)]=E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)

上の式が理解するための3つのポイントを解説します。

分散の定義で理解したポイント

(A)E\([(X-E[X])^2]\)の意味?
(B)\(E[X^2]-E[X]^2\)になる理由
(C)\(E[X^2] \)の値の算出方法(先ほどやりましたね)

(A)E\((X-E[X])^2\)の意味

分散の定義は、各データと平均との差を2乗した和を個数で割る値ですね。式で書くと、
\(V=\frac{(x_i-μ)^2}{n}\)
になります。

ここで、
(あ)\(x_i\)をX
(い)μをE[X]に変え、
(う)全体の\(\frac{1}{n}\)は平均Eとすると、
\(V=\frac{(x_i-μ)^2}{n}\)
=\(\frac{(X-E[X])^2}{n}\)
=E[\((X-E[X])^2\)]
に変えることができます。

(あ)(い)は文字を変えるだけで理解しやすいです。(う)は理解しづらいので解説します。

個数nで割るは、全体を平均値とすると同じですね。なので、全体に期待値E[]をつけることになります。

(B)\(E[X^2]-E[X]^2\)になる理由

次で解説します。

分散の式を展開してE[X]に慣れる

E[X]に慣れるために、教科書やwebサイトのように途中経過を省かずに計算します。

V[X]
=E[\((X-E[X])^2\)]
=E[\(X^2-2XE[X]+E[X]^2\)]
ここは、\((x+y)^2=x^2+2xy+y^2\)です。
=E[\(X^2\)]-E[2XE[X]]+E[\(E[X]^2\)]

各項をばらばらにしました。
さて、ここでE[X]は平均値μで、変数ではなく定数ですよね。
=E[\(X^2\)]-E[2Xμ]+E[\(μ^2\)]
=E[\(X^2\)]-2μE[X]+\(μ^2\)
平均値μは定数なので、E[]の外に出せます。

さらに、定数μ=E[X]に戻します。ここの変形が強引ですけど。
=E[\(X^2\)]-2 E[X]E[X]+\( E[X]^2\)
= E[\(X^2\)]-\( E[X]^2\)
よって、
V[X]= \(E[X^2]-E[X]^2\)

分散の導出過程をよく見て、期待値E[X]、E[\(X^2\)]アレルギーを無くしていきましょう。ここがクリアーすれば、回帰分析、分散分析、検定などの理解が早くなります。

では、いくつか演習問題を解いて、公式に慣れましょう。

ある点の確率をプロットしたのが確率分布関数で
求めたい区間の確率を数列の和・積分で計算するのが確率

確率分布関数

という感覚でOKです。

⑤確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1

問題

【問1】
1から10まで1枚ずつ記入した10枚のカードがある。この10枚の中から1枚任意に取り出し、k=1,2,3,4,5に対し、取り出したカードの数が2kなら、kをその値に、2k-1なら2k-1をその値にもつ確率変数Xを考える。このとき、E(X),V(X)を求めよ

回答

【解】大学入試で出題された問題です。実際に書き出して、期待値と分散を計算します。

確率変数

上表をもとに、数列を使って期待値、分散を計算します。

●期待値E(X)は
E(X)=1・\(\frac{2}{10}\)+2・\(\frac{1}{10}\)+3・\(\frac{2}{10}\)+4・\(\frac{1}{10}\)+5・\(\frac{2}{10}\)+7・\(\frac{1}{10}\)+9・\(\frac{1}{10}\)=4

●分散V(X)は
V(X)=\((1-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((2-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((3-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((4-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((5-4)^2\)・\(\frac{2}{10}\)+\((7-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)+\((9-4)^2\)・\(\frac{1}{10}\)=6

数列を使った1問でした。

⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2

問題

【問2】
2個のサイコロを同時に1回振るとき、
(1) 2つの目の和の期待値と分散を求めよ。
(2) 2つの目の積の期待値と分散を求めよ。

回答

サイコロの問題は超有名なので、是非解きましょう。

1つ目のサイコロの目と2つ目のサイコロの目の出方はそれぞれ独立とします。
●E(X)=\(\frac{1}{6}\)(1+2+3+4+5+6)=\(\frac{7}{2}\)
●E(X2)=\(\frac{1}{6}(1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2)\)=\(\frac{91}{6}\)
●E(X)E(Y)=E(X)E(Y)= \(\frac{49}{4}\)
を使って問を解きます

期待値E(X2)の計算も慣れましょう。

(1)
● E(X+Y)=E(X)+E(Y)= \(\frac{7}{2}\)+\(\frac{7}{2}\)=7
●E((X+Y)2)=E(X2)+2E(X)E(Y)+E(Y2)
= \(\frac{91}{6}\)+2・\(\frac{7}{2}\)・\(\frac{7}{2}\)+ \(\frac{91}{6}\)= \(\frac{329}{6}\)
●V(X+Y)= E((X+Y) 2)- E(X+Y) 2
=\(\frac{329}{6}\)-49=\(\frac{35}{6}\)

(2)
● E(XY)=E(X)E(Y)= \(\frac{7}{2}\)・\(\frac{7}{2}\)=\(\frac{49}{4}\)
●E((XY)2)=E(X2)・E(Y2)= \(\frac{91}{6}\)・\(\frac{91}{6}\)= \(\frac{8281}{36}\)
●V(XY)= E((XY)2)- E(XY) 2=\(\frac{8281}{36}\)-\(\frac{2401}{16}\)=\(\frac{11515}{144}\)

機械的に計算しながら、公式や数列の計算に慣れていきましょう。

⑦確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3

問題

【問3】
確率密度関数\(f(x)=\frac{1}{36}(-x^2+9)\) (-3 ≤ \(x\) ≤ 3)で定義される確率分布がある。
(1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)を求めよ。
(2) この確率分布の期待値と分散値を計算せよ。

回答

【問3】、【問4】は積分の演習問題です。

高校数学ですね。簡単な式で期待値、分散の積分計算に慣れていきましょう。

(1) \( \displaystyle \int_{-3}^{3} f(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}(-x^2+9)dx \)
=\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{3}x^3+9x \right]_{-3}^{3}\)=1
全区間の積分、つまり、全確率は合計1です。そりゃ、そうですよね!

(2)
●E[X]= \( \displaystyle \int_{-3}^{3} xf(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}x(-x^2+9)dx \)
=\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{4}x^4+\frac{9}{2}x^2 \right]_{-3}^{3}\)=0
となります。確かにy軸に対象な関数なので、平均は0ですね!確かに!

●E[X2]= \( \displaystyle \int_{-3}^{3} x^2f(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{-3}^{3} \frac{1}{36}x^2(-x^2+9)dx \)
=\(\frac{1}{36}\)\(\left[ -\frac{1}{5}x^5+3x^3 \right]_{-3}^{3}\)=\(\frac{9}{5}\)
より、
●V[X]= E[X2]―E[X] 2=\(\frac{9}{5}\)

積分慣れていきましょう。
●E[X]= \( \displaystyle \int_{a}^{b} xf(x)dx \)
●E[X2]= \( \displaystyle \int_{a}^{b} x^2 f(x)dx \)
を定義どおり、積分すれば確率・期待値・分散は計算できます。

⑧確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4

問題

【問4】
正n面体(nは自然数)でできたサイコロがある。どの面も出る確率は同一で1/nとする。
(1) 面i(1≤i≤n)が出る確率を離散型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。
(2) 面i(1≤i≤n)が出る確率を連続型確率変数とする場合の期待値と分散値を計算せよ。

回答

(1)は離散系なので数列∑、(2)は連続系なので積分を使います。同じ問題ですが、連続系と離散系で計算結果が若干変わる点が面白いので、解いてみましょう!

(1)
●期待値E=\(\sum_{i=1}^{n} i \frac{1}{n}\)=\(\frac{1}{n} \frac{1}{2}n(n+1)\)=\(\frac{1}{2}(n+1)\)
●分散V=\(\sum_{i=1}^{n}\frac{1}{n}(i-\frac{n+1}{2})^2 \)=\(\frac{1}{12}(n+1)(n-1)\)

(2)
●期待値E=\( \displaystyle \int_{0}^{n} xf(x)dx \)=\( \displaystyle \int_{0}^{n} x \frac{1}{n})dx \)=\(\frac{n}{2}\)
●分散V=E(X2)-E(X) 2=\( \displaystyle \int_{0}^{n} x^2 f(x)dx \)-\((\frac{n}{2})^2\)=\(\frac{n^2}{12}\)

表にすると、離散系と連続系で結果が若干かわります。

離散系 連続系
期待値E \(\frac{1}{2}(n+1)\) \(\frac{1}{2}n\)
分散V \(\frac{1}{12}(n+1)(n-1)\) \(\frac{n^2}{12}\)

以上、数列・積分を使って、確率・期待値・分散が計算できることを確認しました。

まとめ

「確率変数の期待値と分散が計算できる【初心者向け】」を解説しました。

  • ➀確率密度関数から確率・期待値・標準偏差が計算できる
  • ②コイン・サイコロの期待値が解ければOK
  • ③期待値の計算式を一般化する過程に慣れる
  • ④期待値E[X]と分散V[X]の関係式がわかればOK
  • ⑤確率変数の期待値と分散が解ける演習問題1
  • ⑥確率変数の期待値と分散が解ける演習問題2
  • ⑦確率変数の期待値と分散が解ける演習問題3
  • ⑧確率変数の期待値と分散が解ける演習問題4

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