クラメールの連関係数の値が0、1の条件がわかる
「クラメールの連関係数の値が0、1の時はどんな条件かがわからない」など、疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- ➀クラメールの連関係数を導出する
- ②クラメールの連関係数が1の場合
- ➂クラメールの連関係数が0の場合
➀クラメールの連関係数を導出する
関連記事に解説しています。ご確認ください。
(必読)クラメールの連関係数が導出できる
クラメールの連関係数が導出できますか?本記事では、クラメールの連関係数を途中経過を一切端折らず解説します。ここしかない記事なので、必読です。
②クラメールの連関係数が1の場合
導出過程は次の5つです。
- クラメールの連関係数が1となる条件式を作る
- 実測度数を計算
- 期待度数を計算
- ある文字について\(χ^2\)を計算
- 全体の\(χ^2\)を計算
結果的に、
\(χ^2\)=\(N(k-1)\)
となれば、クラメールの連関係数\(r_c\)=1となります。
では、解説します。
1.クラメールの連関係数が1となる条件式
関連記事から、次の条件式を持ってきます。
●\(\sum_{i=1}^{I} n_{ij}\) ≤ \(f_j\)
かつ
●\(\sum_{j=1}^{J} n_{ij}\) ≤ \(g_i\)
に注目すると、
●\( n_{ij}\) ≤ \(g_i\)
かつ
●\( n_{ij}\) ≤ \(f_j\)が共に成立しますね。
ここで、不等号が等号条件になる場合を考えます。つまり、
この等号条件を使っていきます。
実際に式を書き出してみると
●\(n_{i1}+n_{i2}+…+n_{ij}+…+n_{iJ}\)=\(g_i\)=\(n_{ij}\)
●\(n_{1j}+n_{2j}+…+n_{ij}+…+n_{Ij}\)=\(f_j\)=\(n_{ij}\)
を同時に満たすには、
\( n_{ij}\)=0(それ以外)
という条件になってしまいます。
\( n_{ij}\)=\( n_{ij}\) (ただし、\(i=j\)の場合のみ)を
\( n_{ij}\)=\(f_j\) (ただし、\(I\) ≥ \(J\))と置いて、以後解説します。
2.実測度数を計算
\( n_{ij}\)=\(f_j\) (ただし、\(I\) ≥ \(J\))と置くと、実測度数は下表のように置けます。
\(j\)/\(i\) | 1 | 2 | … | \(J\) | \(J+1\) | … | \(I\) | 計 |
1 | \(f_1\) | 0 | … | 0 | 0 | … | 0 | \(f_1\) |
2 | 0 | \(f_2\) | 0 | 0 | … | 0 | \(f_2\) | |
… | … | … | … | … | … | … | … | … |
\(J\) | 0 | 0 | … | \(f_J\) | 0 | … | 0 | \(f_J\) |
計 | \(f_1\) | \(f_2\) | … | \(f_J\) | 0 | 0 | \(N\) |
ここで、
\( n_{ij}\)=\(f_j\) (ただし、\(I\) ≥ \(J\))と置いたので、
\(I\) ≥ \(I\)として考えます。
よって、\(J+1\)から\(I\)までの値は0とします。
3.期待度数を計算
次に期待度数を計算します。期待度数は
\(\frac{f_j}{N}\)×\(\frac{g_i}{N}\)×\(N\)=\(\frac{f_j g_i}{N}\)に注意して解きます。
下表の結果になります。
\(j\)/\(i\) | 1 | 2 | … | \(J\) | \(J+1\) | … | \(I\) | 計 |
1 | \(\frac{f_1^2}{N}\) | \(\frac{f_1 f_2}{N}\) | … | \(\frac{f_1 f_J}{N}\) | 0 | … | 0 | \(f_1\) |
2 | \(\frac{f_2 f_1}{N}\) | \(\frac{f_2^2}{N}\) | \(\frac{f_2 f_J}{N}\) | 0 | … | 0 | \(f_2\) | |
… | … | … | … | … | … | … | … | … |
\(J\) | \(\frac{f_J f_1}{N}\) | \(\frac{f_J f_2}{N}\) | … | \(\frac{f_J^2}{N}\) | 0 | … | 0 | \(f_J\) |
計 | \(g_1\)=\(f_1\) | \(g_2\)=\(f_2\) | … | \(g_J\)=\(f_J\) | \(g_{J+1}\)=0 | \(g_I\)=0 | \(N\) |
ここで、
\( n_{ij}\)=\(f_j\) (ただし、\(I\) ≥ \(J\))と置いたので、
\(I\) ≥ \(I\)として考えます。
よって、\(J+1\)から\(I\)までの値は0とします。
4.\(χ^2\)を計算(その1)
まず、\(j=1\)についての\(χ^2\)を計算します。実測度数と期待度数を比較しましょう。下表のとおりです。
\(j\)/\(i\) | 1 | 2 | … | \(J\) | \(J+1\) | … | \(I\) | 計 |
1(実測) | \(f_1\) | 0 | … | 0 | 0 | … | 0 | \(f_1\) |
1(期待) | \(\frac{f_1^2}{N}\) | \(\frac{f_1 f_2}{N}\) | … | \(\frac{f_1 f_J}{N}\) | 0 | … | 0 | \(f_1\) |
\(j=1\)についての\(χ^2\)は
\(χ^2\)=\(\sum_{i=1}^{I}\frac{(実測度数-期待度数)^2}{期待度数}\)
なので、
\(χ^2\)=\(\frac{(f_1-\frac{f_1^2}{N})^2}{\frac{f_1^2}{N}}\)
+\(\frac{(0-\frac{f_1 f_2}{N})^2}{\frac{f_1 f_2}{N}}\)
+…
+\(\frac{(0-\frac{f_1 f_J}{N})^2}{\frac{f_1 f_J}{N}}\)
となります。
まとめると、
\(χ^2\)=\(N \frac{f_1^2(1-\frac{f_1}{N})^2}{f_1^2}\)+(\(\frac{f_1 f_2}{N}\)+…+\(\frac{f_1 f_J}{N}\))
=\(N \frac{f_1^2(1-\frac{f_1}{N})^2}{f_1^2}\)+\(\frac{f_1}{N}(f_2+…+f_J)\)
ここで、
\((f_2+…+f_J)\)=\(1-f_1\)なので、代入すると
\(χ^2\)=\(N \frac{f_1^2(1-\frac{f_1}{N})^2}{f_1^2}\)+\(\frac{f_1}{N}(1-f_1)\)
=\((1-\frac{f_1}{N})\)\((N(1\frac{f_1}{N}+f_1)\)
=\(N(1-\frac{f_1}{N})\)
=\(N-f_1\)
となります。
5. \(χ^2\)を計算(その2)
同様にすべての\(j\)について\(χ^2\)を計算すると、
\(χ^2\)=\((N-f_1)\)+\((N-f_2)\)+…+\((N-f_J)\)
=\(NJ\)-\((f_1+f_2+…+f_J)\)
=\(N(J-1)\)
となります。
\(J\)は\(I,J\)の小さい方なので、
\(N\)=\(n\),\(J\)=\(k\)と置くと、
\(χ^2\)=\(n(k-1)\)
となります。
よって、クラメールの連関係数\(r_c\)は
\(r_c\)=\(\sqrt{\frac{χ^2}{n(k-1)}}\)
より、
\(r_c\)=\(\sqrt{\frac{ n(k-1)}{n(k-1)}}\)=1
となり、確かに、\(r_c\)=1になりましたね。
面白い!
➂クラメールの連関係数が0の場合
せっかくなので、0の場合も考えてみましょう。
\(χ^2\)=0となる条件を探せばいい
\(χ^2\)はよーく見ると
\(χ^2\)=\((x_1-a_1)^2\)+\((x_2-a_2)^2\)+…+\((x_n-a_n)^2\)
の2乗和の形をしています。この2乗和の値を0にするには、
つまり、\(x_i=a_i\)
という条件が必要です。
なので、
\(χ^2\)=\(\sum_{i=1}^{I}\frac{(実測度数-期待度数)^2}{期待度数}\)
を見ると、
となります。具体的なデータを上げると下表のような感じです。
\(j\)/\(i\) | 1 | 2 | … | \(I\) | 計 |
1 | \(n_{11}\)=\(\frac{f_1^2}{N}\) | \(n_{21}\)=\(\frac{f_2 f_1}{N}\) | … | \(n_{I1}\)=\(\frac{f_I f_1}{N}\) | \(f_1\) |
2 | \(n_{12}\)=\(\frac{f_1 f_2}{N}\) | \(n_{22}\)=\(\frac{f_2^2}{N}\) | … | \(n_{I2}\)=\(\frac{f_I f_2}{N}\) | \(f_2\) |
… | … | … | … | … | … |
J | \(n_{1J}\)=\(\frac{f_1 f_J}{N}\) | \(n_{2J}\)=\(\frac{f_2 f_J}{N}\) | … | \(n_{IJ}\)=\(\frac{f_I f_J}{N}\) | \(f_J\) |
計 | \(g_1\) | \(g_2\) | … | \(g_I\) | N |
すべての\(i,j\)について、実測度数\(n_{ij}\)と期待度数\(\frac{f_j g_i}{N}\)が等しい場合に
クラメールの連関係数は0になります。
つまり、実測度数がまったくばらつかないデータの場合だけであり、実際はそんなことは起きにくいですね。
難しい導出過程でしたが、ちゃんとできましたね!
公式は導出できてから使いましょう。
まとめ
「クラメールの連関係数の値が0、1の条件がわかる」を解説しました。
- ➀クラメールの連関係数を導出する
- ②クラメールの連関係数が1の場合
- ➂クラメールの連関係数が0の場合
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119