スピアマンの順位相関係数が導出できる
「スピアマンの順位相関係数がよくわからない」など、疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- ①スピアマンの順位相関係数とは何か?
- ➁スピアマンの順位相関係数の導出の流れ
- ➂スピアマンの順位相関係数を導出(2通り表現できる)
- スピアマンの順位相関係数とは何か?
- スピアマンの順位相関係数を導出(2通り表現できる)
に注目して解説します。
①スピアマンの順位相関係数とは何か?
スピアマンの順位相関係数とは何か?
2変数をそれぞれ順位に並び替えた場合に求められる相関係数です。個人的にはピアソンの相関係数で十分と思いますが、スピアマンの順位相関係数もあります。
データを下表の左から右のように順位を提示します。
No | x | y | → | x(順位) | y(順位) |
1 | 0.15 | 8.05 | → | 1 | 3 |
2 | 1.2 | 4.05 | → | 2 | 1 |
3 | 2.08 | 5.77 | → | 3 | 2 |
4 | 2.42 | 11.2 | → | 4 | 5 |
5 | 4.82 | 20.17 | → | 5 | 9 |
6 | 5.93 | 17.21 | → | 6 | 7 |
7 | 6.15 | 15.22 | → | 7 | 6 |
8 | 6.5 | 18.38 | → | 8 | 8 |
9 | 7.32 | 30.59 | → | 9 | 10 |
10 | 8.45 | 8.99 | → | 10 | 4 |
ピアソンの相関係数との違いは?
\(r\)=\(\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_{xx} S_{yy}}}\)
一般的な相関係数ですね。
スピアマンの順位相関係数
あとで、導出しますが、ピアソンの相関係数\(r\)=\(\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_{xx} S_{yy}}}\)から、スピアマンの順位相関係数は導出できますが、以下の式になります。
\(r\)=1-\(\frac{6\sum_{i=1}^{n}d_i^2}{n(n^2-1)}\)
ここで、\(d_i\)=\(x_i -y_i\)
ちょっと見かけない式ですが、導出できます。
➁スピアマンの順位相関係数の導出の流れ
変数の準備
\(x,y\)がそれぞれ順位の変数に変わるので、それぞれ
●\(x\): 1,2,3,…\(n\)
●\(y\): 1,2,3,…\(n\)
の変数に変わります。
解法の流れ
以下の通りに計算していきます。
- 最初に平均\(\bar{x}\),\(\bar{y}\)を計算
- 平方和\(S_{xx}\),\(S_{yy}\),\(S_{xy}\)を計算
- 平方和\(S_{yy}\)から解き方が2通りある
➂スピアマンの順位相関係数を導出(2通り表現できる)
(i)平均\(\bar{x}\),\(\bar{y}\)を計算
まず、最初に平均\(\bar{x}\),\(\bar{y}\)を計算します。
●\(\bar{x}\)=E[\(x\)]
=\(\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}x_i\)
=\(\frac{1}{n} \frac{n(n+1)}{2} \)
=\(\frac{n+1}{2} \)
●\(\bar{y}\)=E[\(y\)]
=\(\frac{1}{n}\sum_{i=1}^{n}y_i\)
=\(\frac{1}{n} \frac{n(n+1)}{2} \)
=\(\frac{n+1}{2} \)
となり、平均\(\bar{x}\),\(\bar{y}\)は同じ\(\frac{n+1}{2} \)となります。
(ii)平方和\(S_{xx}\),\(S_{yy}\),\(S_{xy}\)を計算
ここで、平方和\(S_{xx}\),\(S_{yy}\),\(S_{xy}\)を計算します。
平方和\(S_{xx}\)を計算
●\(S_{xx}\)=\(\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})^2\)
=\(\sum_{i=1}^{n}x_i^2\)-2\(\bar{x}\)\(\sum_{i=1}^{n}x_i\)+\((\bar{x})^2\)\(\sum_{i=1}^{n}1^2\)
=\(\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\)-2×\(\frac{n+1}{2}\)×\(\frac{n(n+1)}{2}\)+\(\frac{(n+1)^2}{4}\)×\(n\)
=\(\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\)-\(\frac{n}{2}(n+1)^2\)+\(\frac{n}{4}(n+1)^2\)
=\(\frac{n(n^2-1)}{12}\)
(iii)平方和\(S_{yy}\)を計算
●\(S_{yy}\)も\(S_{xx}\)と同じ
●\(S_{xx}\)=\(\frac{n(n^2-1)}{12}\)
です。
ここで、解き方が2つあります。
「その1」の方が自然の流れで解けますが、できる式が複雑!
「その2」は意図的なので無理矢理感がありますが、シンプルな式になる!
教科書では「その2」の式がよく扱われています。
QCプラネッツでは両方解法を紹介します。
(iv)平方和\(S_{xy}\)を計算(その1)
(その1)は素直に計算します。
●\(S_{xy}\)=\(\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})\)
=\(\sum_{i=1}^{n}(x_i y_i)\)-\(\bar{y}\)\(\sum_{i=1}^{n}(x_i)\)- \(\bar{x}\)\(\sum_{i=1}^{n}(y_i)\)+ \(\bar{x}\)\(\bar{y}\)\(\sum_{i=1}^{n}1\)
=\(\sum_{i=1}^{n}(x_i y_i)\)-\(\frac{n+1}{2}\)×\(\frac{n(n+1)}{2}\)×2+\(\frac{(n+1)^2}{4}\)×\(n\)
=\(\sum_{i=1}^{n}(x_i y_i)\)-\(\frac{n(n+1)^2}{4}\)
ここで、\(\sum_{i=1}^{n}(x_i y_i)\)はこれ以上計算できないので式のまま残します。
そうすると、スピアマンの順位相関係数\(r\)は
\(r\)=\(\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_{xx} S_{yy}}}\)
=\(\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i y_i)-\frac{n(n+1)^2}{4}}{\frac{n(n^2-1)}{12}}\)
となります。
\(r\)=\(\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i y_i)-\frac{n(n+1)^2}{4}}{\frac{n(n^2-1)}{12}}\)
は見た目が煩雑な式なので、もう少し見やすい式になるように変形します。
それが(その2)の方法です。
(v)平方和\(S_{xy}\)を計算(その2)
からスタートします。
●\(\sum_{i=1}^{n}(x_i -y_i)^2\)
=\(\sum_{i=1}^{n}((x_i-\bar{x}) –(y_i-\bar{y}))^2\)
=\(\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})^2\)-2\(\sum_{i=1}^{n}(x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})\)+\(\sum_{i=1}^{n}(y_i-\bar{y})^2\)
=\(S_{xx}\)-2\(S_{xy}\)+\(S_{yy}\)
よって、
●\(\sum_{i=1}^{n}(x_i -y_i)^2\)=\(S_{xx}\)-2\(S_{xy}\)+\(S_{yy}\)
さらに、
\(\sum_{i=1}^{n}(x_i -y_i)^2\)
\(\sum_{i=1}^{n} d_i ^2\)
と整理します。
そして、
\(S_{xx}\)=\(S_{yy}\)=\(\frac{n(n^2-1)}{12}\)
から、
\(S_{xy}\)=\(\frac{1}{2} (S_{xx}+S_{yy}-\sum_{i=1}^{n} d_i ^2)\)
となります。
そうすると、スピアマンの順位相関係数\(r\)は
\(r\)=\(\frac{S_{xy}}{\sqrt{S_{xx} S_{yy}}}\)
=\(\frac{ S_{xx}+S_{yy}-\sum_{i=1}^{n} d_i ^2}{2S_{xx} S_{yy}}\)
となります。
なお、\(S_{xx}\)=\(S_{yy}\)=\(S\)と置くと、
\(r\)=\(\frac{2S-\sum_{i=1}^{n} d_i ^2}{2S}\)
=1-\(\frac{6\sum_{i=1}^{n}d_i^2}{n(n^2-1)}\)
とシンプルな公式ができます。
(vi)スピアマンの順位相関係数の導出結果
\(r\)1-\(\frac{6\sum_{i=1}^{n}d_i^2}{n(n^2-1)}\)
で、
\(r\)=\(\frac{\sum_{i=1}^{n}(x_i y_i)-\frac{n(n+1)^2}{4}}{\frac{n(n^2-1)}{12}}\)
と同じ値になります。
上の式の方がわかりやすい?
難しい導出過程でしたが、ちゃんとできましたね!
公式は導出できてから使いましょう。
まとめ
「スピアマンの順位相関係数が導出できる」を解説しました。
- ①スピアマンの順位相関係数とは何か?
- ➁スピアマンの順位相関係数の導出の流れ
- ➂スピアマンの順位相関係数を導出(2通り表現できる)
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119