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確率変数の期待値と分散が計算できる【初心者向け】

基本統計量

コインやサイコロの期待値は簡単ですよね。でも、確率変数や期待値の加法性を使って分散・標準偏差を計算するあたりから急に難しくなり、理解しないまま公式暗記して試験を乗り切ろうとしていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【簡単】期待値の公式アレルギーが無くなる【初心者向け】

期待値の公式アレルギーが無くなるポイント

  • ➀コイン・サイコロの期待値が解ければOK
  • ②期待値の計算式を一般化する過程に慣れる
  • ③期待値E[X]と分散V[X]の関係式がわかればOK

さっそく見ていきましょう。

●You tube動画もあります。ご確認ください。

確率変数の期待値と分散が計算できる【初心者向け】

●You tube動画ご覧ください。

➀コイン・サイコロの期待値が解ければOK

いきなり、

  • E[X]=\(\int x_ip_i dx\)
  • E[aX+b]=aE[X]+b
  • V[X]=E[\(X^2\)]-E\([X]^2\)

に入らずに、中学・高校数学の出た期待値問題から始めましょう。上の式から入ると、数学アレルギー反応が出ますよね!算数の簡単な問題で使った式を一般化すると徐々に上の難解な式がすぐわかります

【問】等確率なサイコロ(1から6の目)が1個ある。
(1) サイコロを1回振って出る目の期待値はいくらか?
(2) サイコロを2回振って出る目の期待値はいくらか?

期待値の計算方法は、確率×出る目の合計ですよね。
(1)期待値E=\(\frac{1+2+3+4+5+6}{6}\)=\(\frac{21}{6}\)=3.5
(2)出る目と確率を整理しましょう。

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
確率 \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\) \(\frac{1}{12}\)

期待値E=\(\frac{2×1+3×2+・・・+12×1}{12}\)
=7
また、1個の目の期待値の倍としてもよいですね。

②期待値の計算式を一般化する過程に慣れる

期待値の計算方法を一般化する

統計の難解な数式に早く慣れる方法を提案します。数学の得意・不得意関係なく、数式の意味を読み取るには結構時間がかかります。よく使う方法が2つあります。

難しい数式の読み方

・式を言葉で読んでみて意味を理解する
・簡単な例で式を作ってから、式を一般化する

先の、サイコロ1との出る目の期待値の計算は中高生でもできます。算出式をよく見ましょう。
E=1×\(\frac{1}{6}\)+2×\(\frac{1}{6}\)+・・・+6×\(\frac{1}{6}\)
=\(\frac{21}{6}\)=3.5
ですね。数字1から6は「出る目」の値で、\(\frac{1}{6}\)は確率ですね。

出る目を\(x_i\)、出る目\(x_i\)の確率を\(p_i\)、和をΣで書き直します。

E=\(\sum_{i=1}^{n} x_i p_i\)
が期待値の基本形です。必ずこの式から期待値はスタートします。

ここで確率\(p_i\)を確率密度関数f(x)に変えて定義することもあります。その場合、2つ定義を変えます。

・確率\(p_i\)を確率密度関数f(x)に変える
・数列Σを積分∫に変える

期待値Eは
E=\(\int xf(x) dx\)
となります。∫も関数も出てきましたが、基本は
E=\(\sum_{i=1}^{n} x_i p_i\)
です。見た目は違いますが、サイコロの出る目の期待値を求める式と同じです。

期待値の加法性を理解する

期待値の加法性

a,bは定数、X,Yは変数とする。
・\(E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]\)
・\(E[aX+b]=aE[X]+b\)

加法性の証明を教科書やwebサイトでは数式を使って導出しますが、「何をやっているのか?」「具体的なイメージがつかない」ですよね。

具体的な例で理解しましょう。期待値の基本はサイコロの出た目の計算ですね。

➀等確率で出るサイコロA(1から6)を1個1回振り、その出た目を3倍にする。
②等確率で出るサイコロB(1から4)を1個1回振り、その出た目を2倍にする。
➀と②を足してさらに5を足した場合の期待値を求めよ。

➀は(\(1×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6×\frac{1}{6}\))=\(\frac{21}{6}\)=3.5
を3倍しますから、3.5×3=10.5です。

②は(\(1×\frac{1}{4}\)+・・・+\(4×\frac{1}{4}\))=\(\frac{10}{4}\)=2.5
を2倍しますから、2.5×2=5です。

さらに5を足すので、期待値は10.5+5+5=21.5です

一方、期待値の加法性を使うと、
E=E[aX+bY+c]
に、a=3,b=2,c=5,E[X]=3.5,E[Y]=2.5を代入します。
E[aX+bY+c]=aE[X]+bE[Y]+c=3×3.5+2×2.5+5=21.5
と結果が一致します。

期待値の加法性の公式を使ってもよいし、サイコロの出る目の式のまま解いてもよいのです。
公式の方が一般性があるので説得力があります。しかし、慣れないうちはサイコロの出る目の計算で期待値を理解しましょう。慣れたら一般化の式を理解していきましょう。

期待値の加法性がわかるポイント

3つの式がイメージできること。(サイコロの例で理解しましょう)
➀E[aX]=aE[X]  「例:その出た目を3倍にする」
②E[X+Y]=E[X]+E[Y]  「例:2種類のサイコロの出た目を足した」
③E[X+a]=E[X]+a 「例:さらに5を足した」

期待値E[X]のXにいろいろ値を入れて慣れる

期待値の加法性に少し慣れたら、次の計算をしてみましょう。

➀E[3X+2]
②E[\(X^2\)]

➀は加法性で出たE[aX+bY+c]=aE[X]+bE[Y]+cを使えばよいです。でも、E[\(X^2\)]はどうしましょうか?

基本に戻りましょう。サイコロの出る目の期待値の計算でOKです。サイコロの例で計算しましょう。

等確率で出るサイコロ(X=1から6)の期待値を求めよ。
➀サイコロを1個1回振ったときの出る目の期待値E[X]
②サイコロを1個1回振ったときの出る目を2乗にした期待値E[\(X^2\)]

➀は(\(1×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6×\frac{1}{6}\))=\(\frac{21}{6}\)=3.5ですね。
②は機械的にそのまま2乗を式に入れます

E[\(X^2\)]=(\(1^2×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6^2)×\frac{1}{6}\)
=\(\frac{(1+4+9+16+25+36)}{6}\)
=\(\frac{91}{6}\)ですね。

\(x^2\)の期待値とはどういう意味か?が気になりますが、あまり気にしないで代入してください

いい加減な意見ですが、私は長年E[\(X^2\)]の意味を考えましたが機械的に代入するものでよいと結論に至ったからです。

ですから、E[\(X^3\)]を求めようとすると、
E[\(X^3\)]=(\(1^3×\frac{1}{6}\)+・・・+\(6^3×\frac{1}{6}\))となります。

出る目Xを変数にして、いろいろな変数を代入することに慣れてください。ここが分散の導出に必要です。期待値Eはサイコロの出る目の計算であることは変わりませんが、E[X]に変数Xをいろいろ代入するように慣れていきましょう。

③期待値E[X]と分散V[X]の関係式がわかればOK

分散の定義を理解する

分散の定義

V[X]=E[\((X-E[X])^2\)]=E[\(X^2\)]-\(E[X]^2\)

上の式が理解するための3つのポイントを解説します。

分散の定義で理解したポイント

(A)E\([(X-E[X])^2]\)の意味?
(B)\(E[X^2]-E[X]^2\)になる理由
(C)\(E[X^2] \)の値の算出方法(先ほどやりましたね)

(A)E\((X-E[X])^2\)の意味

分散の定義は、各データと平均との差を2乗した和を個数で割る値ですね。式で書くと、
\(V=\frac{(x_i-μ)^2}{n}\)
になります。

ここで、
(あ)\(x_i\)をX
(い)μをE[X]に変え、
(う)全体の\(\frac{1}{n}\)は平均Eとすると、
\(V=\frac{(x_i-μ)^2}{n}\)
=\(\frac{(X-E[X])^2}{n}\)
=E[\((X-E[X])^2\)]
に変えることができます。

(あ)(い)は文字を変えるだけで理解しやすいです。(う)は理解しづらいので解説します。

個数nで割るは、全体を平均値とすると同じですね。なので、全体に期待値E[]をつけることになります。

(B)\(E[X^2]-E[X]^2\)になる理由

次で解説します。

分散の式を展開してE[X]に慣れる

E[X]に慣れるために、教科書やwebサイトのように途中経過を省かずに計算します。

V[X]
=E[\((X-E[X])^2\)]
=E[\(X^2-2XE[X]+E[X]^2\)]
ここは、\((x+y)^2=x^2+2xy+y^2\)です。
=E[\(X^2\)]-E[2XE[X]]+E[\(E[X]^2\)]

各項をばらばらにしました。
さて、ここでE[X]は平均値μで、変数ではなく定数ですよね。
=E[\(X^2\)]-E[2Xμ]+E[\(μ^2\)]
=E[\(X^2\)]-2μE[X]+\(μ^2\)
平均値μは定数なので、E[]の外に出せます。

さらに、定数μ=E[X]に戻します。ここの変形が強引ですけど。
=E[\(X^2\)]-2 E[X]E[X]+\( E[X]^2\)
= E[\(X^2\)]-\( E[X]^2\)
よって、
V[X]= \(E[X^2]-E[X]^2\)

分散の導出過程をよく見て、期待値E[X]、E[\(X^2\)]アレルギーを無くしていきましょう。ここがクリアーすれば、回帰分析、分散分析、検定などの理解が早くなります。

まとめ

期待値は、確率×出る目の合計です。これを一般化すると期待値の加法性や分散の公式まで導出ができました。他に期待値を使った複雑な式を見たら、アレルギー反応する前にこの記事に戻りましょう。期待値は確率×出る目の合計から始まります。

  • ➀コイン・サイコロの期待値が解ければOK
  • ②期待値の計算式を一般化する過程に慣れる
  • ③期待値E[X]と分散V[X]の関係式がわかればOK


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