選別型抜取検査(JISZ9015)の平均出検品質AOQがわかる
「平均出検品質AOQって何?」、「平均出検品質AOQを求めるメリットは何?」と選別型抜取検査や平均出検品質AOQの意義がわからず、困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
選別型抜取検査(JISZ9015)の平均出検品質AOQがわかる
- ➀平均出検品質(AOQ)とは検査後の不良率
- ②規準型抜取検査と選別型抜取検査の平均出検品質(AOQ)
- ③平均出検品質限界(AOQL)の導出
- ④平均出検品質(AOQ)と平均出検品質限界(AOQL)の関係
➀平均出検品質(AOQ)とは検査後の不良率
選別型抜取検査に出て来る難解な用語
平均検査量I、許容不良率LTPD(Lot Torelance Percent Defective)、平均出検品質(AOQ)、平均出検品質限界(AOQL)をよく使います。難しいし、すぐ忘れるので、簡単にまとめます。
(2) 許容不良率LTPD:第2種の誤り(消費者危険)となる不良率pのこと。(L(p)=βのときのp)
(3) 平均出検品質(AOQ):検査後の不良率
(4) 平均出検品質限界(AOQL): 平均出検品質(AOQ)は最大値を持ち、その値のこと
平均検査量Iについては、関連記事で解説しています。
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平均出検品質(AOQ)とは検査後の不良率
検査後の不良率(AOQ)を式で表す
元々、不良率pの製品を抜取検査したとします。
検査後の不良率(AOQ)を次の式で定義します。
わかりにくい「検査後の不良率(AOQ)」の式ですが、
(不良率×ロットの合否確率の和)をロットの合否確率で割った、不良率の平均値みたいな値
と考えましょう。
このわかりにくい「検査後の不良率(AOQ)」の式
規準型抜取検査と選別型抜取検査の違いをうまく表現できます!
②規準型抜取検査と選別型抜取検査の平均出検品質(AOQ)
規準型抜取検査の平均出検品質(AOQ)
不良率はp
ロット合格率はL(p)
ロット不良率は1-L(p)
です。
「検査後の不良率(AOQ)」の式は
検査後の不良率(AOQ)
= \(\frac{pL(p)+p(1-L(p))}{L(p)+(1-L(p))}\)
=p
当然ですよね。何も変わっていないので
選別型抜取検査の平均出検品質(AOQ)
不良率はp
ロット合格率はL(p)
ロット不良率は1-L(p)
です。
全数検査して、不良品があれば良品に取り換えるため、不良率は0%と考えます。
選別型抜取検査の「検査後の不良率(AOQ)」の式は
検査後の不良率(AOQ)
= \(\frac{pL(p)+0(1-L(p)}{L(p)+(1-L(p))}\)
=pL(p)
選別型抜取検査のメリット
規準型抜取検査のAOQはpです。
選別型抜取検査のAOQはpL(p)です。
ロット合格率L(p)は確率なので、0 <L(p) < 1です。
つまり、
p > pL(p)
となります。
この式から、選別型抜取検査は検査後の不良率を低減することができることがわかります。
③平均出検品質限界(AOQL)の導出
平均出検品質限界(AOQL)はAOQの最大値
平均出検品質限界って何? ⇒気にしなくていいです。AOQの最大値です。計算して導出すれば、わかります。
規準型抜取検査の場合、AOQ=pです。y=pのグラフは直線なので、規準型抜取検査のAOQLは考えません。
選別型抜取検査の場合、AOQ=pL(p)です。
L(p)は二項分布やポアソン分布の式が入ります。
pL(p)が最大値を持つ特徴があります。
詳細は関連記事を見てください。
平均出検品質限界(AOQL)の導出
L(p)が二項分布とポアソン分布についてそれぞれ導出します。最大値を求めるのでpL(p)をpで微分します。
L(p)が二項分布の場合
\(\frac{d}{dp} pL(p)\)
=L(p)+p \(\frac{d}{dp} L(p)\)
= \( \sum_{r=0}^{c} {}_nC_r p^r (1-p)^{n-r}\)
+p\( \sum_{r=0}^{c} {}_nC_r (r p^{r-1} (1-p)^{n-r}+(n-r)p^r (-1) (1-p)^{n-r-1})\)
L(p)がポアソン分布の場合
\(\frac{d}{dp} pL(p)\)
=L(p)+p \(\frac{d}{dp} L(p)\)
= \( \sum_{r=0}^{c} \frac{e^{-np} (np)^r}{ r!}\)
+ \( \sum_{r=0}^{c} \frac{e^{-np} (-np+r)}{r!}(np)^r\)
非常に複雑な式になります。
④平均出検品質(AOQ)と平均出検品質限界(AOQL)の関係
平均出検品質(AOQ)と平均出検品質限界(AOQL)を導出しましたので、グラフにしましょう。
赤い直線のy=pより下側にAOQ曲線があることがわかり、
AOQ曲線にそれぞれ最大値AOQLがあることがわかります。
選別型抜取検査もOC曲線をベースに数式を使って、検査の特徴を理解することが重要です。
QCプラネッツは、抜取検査を自力で考え、設計・計画できるよう、解説していきます。
まとめ
選別型抜取検査(JISZ9015)の平均出検品質AOQ とその最大値である平均出検品質限界(AOQL)について解説しました。
- ➀平均出検品質(AOQ)とは検査後の不良率
- ②規準型抜取検査と選別型抜取検査の平均出検品質(AOQ)
- ③平均出検品質限界(AOQL)の導出
- ④平均出検品質(AOQ)と平均出検品質限界(AOQL)の関係
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