調整型抜取検査の本質がわかる
「調整型抜取検査って、何をやっているのかがわからない」、「検査水準、AQL、検査のきびしさを決める基準がわからない」など困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①JISや教科書に書いていない、自分で考える抜取検査の項目がある
- ②JISや教科書に頼る前に、自分で抜取検査が設計できる
- ③抜取検査は自分で設計してから、JISや教科書を参考にするのが良い
その理論や背景は解説していません。
会社で説明が求められると、
「JISに準拠しました」
しか答えられないはずです。
しかし、うまく答えられない場合が多いのではないでしょうか?
自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。
●You tube動画でも解説しています。ご覧ください。
①JISや教科書に書いていない、自分で考える抜取検査の項目がある
JISや教科書で教えてくれること
調整型抜取検査に限らず、抜取検査は以下の流れで設計するようにと、JISや教科書には書いています。
- 品質判定基準を決める
- AQL(合格品質水準)を決める
- 検査水準を決める
- 抜取検査方式を決める
- 検査のきびしさを決める
抜取検査の教科書には上の手順で解説しています。
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教科書には、下のように解説しています。
1.品質判定基準を決める
良品、不良品に区別する規準を決めます。
2. AQL(合格品質水準)を決める
AQLを設定する際、抜取検査表にあるAQLの値から適当なAQLを選定します。
3.検査水準を決める
一般に検査水準Ⅰ、Ⅱ、Ⅲから選ぶ。特に、指定のないときは、検査水準Ⅱを用います。ただし、特別な水準を使う場合は、特別検査水準S-1、S-2、S-3、S-4を用います。
4.抜取検査方式を決める
抜取回数を決めます。1回、2回、多回、逐次などから抜取方式を決めます。
5.検査のきびしさを決める
なみ検査、きつい検査、ゆるい検査のうち、どれを適用するかを決めます。基本は、なみ検査から始めます。
自分で考えて決めないといけないこと
確かに調整型抜取検査が実施できそうです。
でも、簡単に自分で決められますか?「なぜ、そう決めた?」と言われたら自信もって説明できますか?おそらく「JIS,教科書に準拠しました」と回答しても、相手は納得しないでしょう。
- 品質判定基準を決める
⇒自社の製品検査では、どうやって決めるの? - AQL(合格品質水準)を決める
⇒自社の製品検査では、どうやって決めるの? - 検査水準を決める
⇒自社の製品検査では、どうやって決めるの? - 抜取検査方式を決める
⇒自社の製品検査では、どうやって決めるの? - 検査のきびしさを決める
⇒自社の製品検査では、どうやって決めるの? - サンプル、ロットを決める
⇒自社の製品検査では、どうやって決めるの?
JISや教科書には書いていない所を自分で考えて設計するのが一番難しい
●検査したい対象を、どう検査するかはあなたが考える必要があります
JISや教科書には書いていない所を自分で考えて設計するのが一番難しい
つまり、
- 品質判定基準をどう決めるか?
- AQL(合格品質水準)をいくらにするか?
- 検査水準を何にするか?
- 抜取検査方式を何にするか?
- 検査のきびしさをどれにするのか?
を、考えて設計するのが、一番難しいし、本当はここが、一番知りたい!はずです。
本記事では、一番知りたいところを解説します!
②JISや教科書に頼る前に、自分で抜取検査が設計できる
抜取検査の設計する重要なポイント
一旦は自分で考えてみましょう。
自分で抜取検査を設計する
自分で、抜取検査を設計しましょう。どんな項目を考えますか?
ゼロベースで抜取検査を考えると、検査基準と検査方法の2つだけでよいはずです。
- 品質判定基準(合否規準)をどう決めるか?
- 抜取検査する場合、満たすべき検査条件は何か?
品質判定基準(合否規準)をどう決めるか?
検査の合否判定を決めますが、本来、不良品が皆無なら、すべての検査は合格します。
しかし、実際には不良品がある確率で含まれます。
なので、次の2条件を考えます。
(i) 検査前の製品・システムの不良率を把握する。
(ii) 検査後(出荷後)の製品・システムの不良率をいくらにするかを設定する。
(i)は社内で過去の履歴から不良率は大体わかります。
(ii)は、出荷後の事故対処の費用と不良率低減のためのコストとの兼ね合いで決めます。よく品質コストと言われるものです。社内会議にて、関係者と協議して決めます。
品質コストは、
品質コスト=失敗コスト(事故対処費用)+予防コスト(検査)
と表現されます。
品質コストはある不良率pを変数とし、
失敗コストは不良率の増加とともに増加
予防コストは、不良率の増加とともに減少
します。
品質コストは、下のグラフのように極小値に設定するのが理想です。
抜取検査する場合、満たすべき検査条件は何か?
全数検査か、抜取検査か、無試験か?
ですね。
検査が必須だが、全部はできないなら、抜取検査を選択します。
検査のヌケモレはある確率で発生するデメリットもある。
検査のヌケモレによる、検査後・出荷後の事故対応を考慮して、検査後・出荷後の事故発生や不良発生確率を見積もる必要があります。
●第1種の誤り(生産者危険)α
●第2種の誤り(消費者危険)β
が重要なパラメータとなり、
合否判定をわかりやすくするOC曲線が必須となります。
抜取検査はOC曲線をベースに考える背景が理解できますね。
OC曲線に沿う、サンプル数n,合格判定数c,許容不良率AQLが決まってくる。
ここまで考えると、必要な変数の値が欲しくなります。自分で計算してもよいですが、JISや教科書に値があるので参照すればよいのです。
③抜取検査は自分で設計してから、JISや教科書を参考にするのが良い
- 品質判定基準をどう決めるか?⇒検査前後の不良率を品質コストや経営の影響を考慮して決めればよい。
- AQL(合格品質水準)をいくらにするか?
- 検査水準を何にするか?
- 抜取検査方式を何にするか?
- 検査のきびしさをどれにするのか?⇒2.~5.は、合否基準とするOC曲線に近い条件とすればよい。
OC曲線に沿う、検査水準、検査方式、検査のきびしさも決まります。
調整型抜取検査の検査水準、検査方式、検査のきびしさが読み取れるかについての問題が、頻出問題なので、使い方ばかり勉強しがちになります。
ちゃんと考えて抜取検査を設計しましょう。
その品質を保持するための検査の理論がちゃんと書いた書物がほとんどありません。
JISの使い方より、抜取検査の理論や本質を考えることが重要です。
まとめ
調整型抜取検査にて、自分で考えるべき重要なポイントを解説しました。
- ①JISや教科書に書いていない、自分で考える抜取検査の項目がある
- ②JISや教科書に頼る前に、自分で抜取検査が設計できる
- ③抜取検査は自分で設計してから、JISや教科書を参考にするのが良い
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