p管理図の不良率の差の検定ができる
「p管理図で不良率の差を検定せよと聞かれたけど、どうやって解くかわからない」、などと困っていませんか?
こういう期待に答えます。
本記事のテーマ
- ①不良率の差の検定事例
- ②正規分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く
- ③χ2乗分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く
記事の信頼性
記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。
●検定と推定に自信がない場合は関連記事で演習しましょう。何度も解けば身に付きます。
計数値データの検定と推定の演習問題【QC検定®2級対策】 QC検定®2級で必ず出題される計数値に関する検定と推定の演習問題とその解法を解説します。検定から推定区間まで5分以内に解けるための流れとテクニックについて解説します。QC検定®2級合格したい方は必見です。さっと解けるか?チェックしてください。 |
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
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●リンクページ
①不良率の差の検定事例
事例問題
次の問いを考えます。管理図から検定・推定につなぐ重要な応用問題としてとらえてください。QC検定®1級で出題されてもよい良問です。
演習問題
ただし、ある月に生産したものをA(群1~25)、
別の月に生産したものをB(群26~50)に分ける。
A、Bのある品質特性の不良率に差があるかどうかを確認したい。
(1) A、B合わせた全体のp管理図を描け。
(2)A、Bのある品質特性の不良率に差があるかどうか、有意水準5%で検定せよ。
群番号 | 群の 大きさn |
不良個数 pn |
不良率p | 群番号 | 群の 大きさn |
不良個数 pn |
不良率p |
1 | 100 | 8 | 0.08 | 26 | 100 | 1 | 0.01 |
2 | 100 | 11 | 0.11 | 27 | 100 | 2 | 0.02 |
3 | 100 | 6 | 0.06 | 28 | 100 | 3 | 0.03 |
4 | 100 | 9 | 0.09 | 29 | 100 | 2 | 0.02 |
5 | 100 | 8 | 0.08 | 30 | 100 | 5 | 0.05 |
6 | 100 | 9 | 0.09 | 31 | 100 | 4 | 0.04 |
7 | 100 | 5 | 0.05 | 32 | 100 | 5 | 0.05 |
8 | 100 | 12 | 0.12 | 33 | 100 | 7 | 0.07 |
9 | 100 | 7 | 0.07 | 34 | 100 | 6 | 0.06 |
10 | 100 | 8 | 0.08 | 35 | 100 | 4 | 0.04 |
11 | 100 | 9 | 0.09 | 36 | 100 | 5 | 0.05 |
12 | 100 | 11 | 0.11 | 37 | 100 | 4 | 0.04 |
13 | 100 | 4 | 0.04 | 38 | 100 | 3 | 0.03 |
14 | 100 | 5 | 0.05 | 39 | 100 | 2 | 0.02 |
15 | 100 | 8 | 0.08 | 40 | 100 | 4 | 0.04 |
16 | 100 | 8 | 0.08 | 41 | 100 | 5 | 0.05 |
17 | 100 | 9 | 0.09 | 42 | 100 | 6 | 0.06 |
18 | 100 | 12 | 0.12 | 43 | 100 | 4 | 0.04 |
19 | 100 | 14 | 0.14 | 44 | 100 | 3 | 0.03 |
20 | 100 | 15 | 0.15 | 45 | 100 | 4 | 0.04 |
21 | 100 | 7 | 0.07 | 46 | 100 | 3 | 0.03 |
22 | 100 | 5 | 0.05 | 47 | 100 | 2 | 0.02 |
23 | 100 | 4 | 0.04 | 48 | 100 | 2 | 0.02 |
24 | 100 | 5 | 0.05 | 49 | 100 | 3 | 0.03 |
25 | 100 | 7 | 0.07 | 50 | 100 | 5 | 0.05 |
– | – | – | – | – | – | 平均 | 0.06 |
(1)(2)は基本問題で、(3)が本記事のメイン問題となります。
p管理図を作成
必要な値を計算します。
●全体平均\(\bar{p}\)=0.06
●LCL=\(\bar{p}\)-3\(\sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n}}\)
=0.06-3\(\sqrt{\frac{0.06×(1-0.06)}{50}}\)
=-0.041
●UCL=\(\bar{p}\)+3\(\sqrt{\frac{\bar{p}(1-\bar{p})}{n}}\)
=0.06+3\(\sqrt{\frac{0.06×(1-0.06)}{50}}\)
=0.161
p管理図を作成します。
なお、A,Bの違いがわかるようにp管理図を分けてみます。
差がありそうですよね!
AとBの違いを検定しましょう。
正規分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く
検定統計量
教科書に絶対ある式なので、使いこなせてください。
u=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{N_A}+\frac{1}{N_B})}}\)
代入しましょう。各値は、
●\(p_A\)=0.0824
●\(p_B\)=0.0376
●\(\bar{p}\)=0.06
●\(N_A\)=2500
●\(N_B\)=2500
よって、検定統計量uは
u=\(\frac{p_A-p_B}{\sqrt{\bar{p}(1-\bar{p})(\frac{1}{N_A}+\frac{1}{N_B})}}\)
=\(\frac{0.0824-0.0376}{\sqrt{0.06×(1-0.06)(\frac{1}{2500}+\frac{1}{2500})}}\)
=6.67
u=6.67 < 1.96=u(0.05)より
AとBの不良率に差があると言えるとなります。
χ2乗分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く
検定統計量の復習
教科書の定番である、分割表を使った検定で、χ2乗分布を使います。
分割表は下表ですね。
X,Y | Y1 | Y2 | 和 |
X1 | a | b | a+b |
x2 | c | d | c+d |
和 | a+c | b+d | N=a+b+c+d |
ところで、なぜ分割表の検定に、関係なさそうなχ2乗分布を使うのか説明できますか?わからない時は関連記事で確認しましょう。
【6】分割表(χ2乗分布)に関する検定【QC検定®2級対策】 QC検定®2級で頻出な、分割表に関する検定と推定の解法を解説します。検定から推定区間まで5分以内に解けるための流れとテクニックについて解説します。QC検定®2級合格したい方は必見です。 |
検定統計量を計算
今回は、検定統計量を変形したバージョンで解いてみましょう。
もう一度、分割表を描きます。
A,B | 不良品数 | 良品数 | 和 |
A | a | b | a+b |
B | c | d | c+d |
和 | a+c | b+d | N=a+b+c+d |
検定統計量は、
\(χ^2\)=\(\frac{N(ad-bc)^2}{(a+b)(c+d)(a+c)(b+d)}\)
この式の導出は、別途関連記事で紹介します。
関連記事
各値について分割表に代入して確認します。
A,B | 不良品数 | 良品数 | 和 |
A | 206 | 2294 | 2500 |
B | 94 | 2406 | 2500 |
和 | 300 | 4700 | 5000 |
代入しましょう。各値は、
●a=206
●b=2294
●c=94
●d=2406
●N=5000
よって、検定統計量は
\(χ^2\)=\(\frac{N(ad-bc)^2}{(a+b)(c+d)(a+c)(b+d)}\)
=\(\frac{5000(206×2406-2294×94)^2}{(206+2294)(94+2406)(206+94)(2294+2406)}\)
=44.48
\(χ^2\)=44.48 < 3.81=\(χ^2\)(1,0.05)より
AとBの不良率に差があると言えるとなります。
分割表の自由度の導出
分割表から考える方法
ここで、分割表にて、自由度が1になる理由も説明できますか?関連記事に書いていますね。
【6】分割表(χ2乗分布)に関する検定【QC検定®2級対策】 QC検定®2級で頻出な、分割表に関する検定と推定の解法を解説します。検定から推定区間まで5分以内に解けるための流れとテクニックについて解説します。QC検定®2級合格したい方は必見です。 |
いくつかの解法を使って比較すると理解が深まりますね。
まとめ
p管理図で、不良率の差を検定する方法を解説しました。
- ①不良率の差の検定事例
- ②正規分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く
- ③χ2乗分布を使った検定統計量で不良率の差の検定を解く
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