カテゴリー: 抜取検査

  • 抜取検査はすべてOC曲線をベースに考える

    抜取検査はすべてOC曲線をベースに考える

    「抜取検査は何をベースに考えたらよいのか、わからず、丸暗記になってしまう。」「OC曲線はどうやって描けばいいの?」

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    抜取検査はすべてOC曲線をベースに考える

    抜取検査はすべてOC曲線をベースに考える

    • ➀OC曲線の式の二項分布を理解する
    • ②OC曲線でチェックする4つのパラメータ
    • ③OC曲線からサンプル数、合否判定基準を決める

    抜取検査の記事はすべてOC曲線をベースに説明しています。OC曲線の構成式と曲線について本記事でしっかり理解しましょう。

    ●You tubeの解説動画もご覧ください。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    本物の「抜取検査」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    ➀OC曲線の式の二項分布を理解する

    二項分布を理解する

    高校数学の確率がわかればOK!

    不良率pの製品がある。製品をn個取り出したとき、不良個数がr個ある確率はいくらか?

    組み合わせの問題です。
    不良品はr個で、不良率はp
    良品はn-r個で、良品率は(1-p)
    n個のうちどのr個が不良なのか、組み合わせは nCr通り
    です。

    確率は
    nCr\(p^r (1-p)^{n-r}\)
    ですね。

    これは、高校数学の確率の問題です。公式ではなく、理解して立式しましょう。

    二項分布の式からOC曲線を作る

    再度、確率の問題を出します。

    不良率pの製品がある。製品をn個取り出したとき、不良個数が1個以下である確率はいくらか?

    不良個数が0個と1個の場合があります。加算します。
    nC0\(p^0 (1-p)^{n-0}\)+nC1\(p^1 (1-p)^{n-1}\)

    不良個数が1個以下でなく、もっとたくさんあった場合、例えば3個以下なら
    (0個の場合の確率)+(1個の場合の確率)+ (2個の場合の確率)+ (3個の場合の確率)
    の和を計算します。

    確率の和はOC曲線の(n,c)のcの変化に関係するので重要です。

    OC曲線を作ってみよう!

    確率の式 nCr\(p^r (1-p)^{n-r}\) からn=5,r=0,p=0~0.1(10%)について計算してみましょう。

    P y
    0 1
    0.02 0.904
    0.04 0.815
    0.06 0.734
    0.08 0.659
    0.1 0.590

    これをグラフにしたものがOC曲線です。

    ②OC曲線でチェックする4つのパラメータ

    グラフ例を下図に描きます。

    OC曲線

    OC曲線の横軸と縦軸を理解する

    OC曲線の縦軸が何か?すぐわかるか?

    横軸は不良率pとすぐわかるはずです。しかし、縦軸は何か?わかりますか?慣れないと、すぐに忘れてしまいます。でも暗記せずに、式から理解しましょう。

    確率の式に戻ります。二項分布(高校数学)⇒OC曲線と考えることが基本です。
    nCr\(p^r (1-p)^{n-r}\)
    nC0\(p^0 (1-p)^{n-0}\)+nC1\(p^1 (1-p)^{n-1}\)
    ですね。不良個数についての確率と、不良個数以下の確率の総和を計算しています。

    抜取検査では、ある不良個数の上限で検査の合否を決めます。

    不良個数以下についての確率の総和を、検査の合格率としてOC曲線の縦軸に描いている。

    となります。

    OC曲線でチェックする4つのパラメータ

    重要な4つのパラメータ

    下図と見ながら説明します。

    OC曲線

    α 第1種の誤り,生産者危険,あわて者の誤り
    β 第2種の誤り,消費者危険,ぶんやりものの誤り
    P0 合格率が1-αとなる確率
    P1 合格率がβとなる確率

    αは、良品なのに、不良品と判定する誤りで、
    βは不良品なのに、良品と判定する誤りですね。
    どちらも避けたいものです。

    OC曲線にとって、第1種の誤りα、第2種の誤りβがどのように関わるかを次で解説します。

    ③OC曲線からサンプル数、合否判定基準を決める

    サンプル数、合否判定基準の決め方

    サンプル数nと合否判定基準の不良個数cを第1種の誤りαと第2種の誤りβから決める。

    サンプル数、合否判定基準の決め方

    1. 第1種の誤りα、第2種の誤りβの値を決める(α=0.05,β=0.10が多い)
    2. 第1種の誤りα、第2種の誤りβとなる不良率p0,P1を決める(検査ごとに異なる)
    3. 2点(p0,1-α), (p1,β) を通るOC曲線を作り(n,c)を決定する

    下図にまとめます。

    OC曲線

    サンプル数nと合否判定基準の不良個数を決める条件は、第1種の誤り、第2種の誤りを決めて、そこを通るOC曲線であることです。

    なお、OC曲線は1つではなく複数できるはずです。その場合は、検査対象に合わせて(n,c)を決めればよいです。

    教科書・JIS規格と本記事の違い

    (i)教科書・JIS規格
    OC曲線(n,c)を決める⇒第1種の誤りα、第2種の誤りβを決める⇒両者の条件が合うまで値を調べる
    (ii)本記事(QCプラネッツ)
    第1種の誤りα、第2種の誤りβを決める⇒OC曲線(n,c)を決める⇒両者の条件が合うものを選ぶ

    とα、βとn,cの決め方が教科書・JIS規格と本記事では逆です。
    それは導出の目的が異なるからです。

    (i)教科書・JIS規格は
    わかりやすく数値を選ばせることですが、
    (ii)本記事(QCプラネッツ)は
    数値がそうなる理由を考え、理解すること

    教科書やJIS規格に基づいて、抜取検査の基礎を習得すると、簡単に使いこなせます。しかし、実務で抜取検査するようになると、理由や背景を説明できる必要があります。説明力を習得するためには、理論を自分で考え抜くことが必要です。

    QCプラネッツは、抜取検査を自力で考え、設計・計画できるよう、解説していきます。

    まとめ

    抜取検査のベースであるOC曲線について解説しました。OC曲線を構成する式の導出、式の意味を理解することが重要です。

    • ➀OC曲線の式の二項分布を理解する
    • ②OC曲線でチェックする4つのパラメータ
    • ③OC曲線からサンプル数、合否判定基準を決める

  • 全数検査と抜取検査と無検査の違いがわかる

    全数検査と抜取検査と無検査の違いがわかる

    全数検査と抜取検査の違いは何? 検査は無検査、全数検査と抜取検査の3つがあるけど、どう違うの?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    全数検査と抜取検査と無検査の違いがわかる

    全数検査と抜取検査と無検査の違いがわかる

    • ➀全数検査と抜取検査と無検査
    • ②無検査と全数検査の違い
    • ③抜取検査と全数検査の違い
    • ④全数検査と抜取検査と無検査のコスト比較(教科書)

    さっそく見ていきましょう。

    本物の「抜取検査」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、抜取検査の本質・理論をしっかり学びたい方におススメです。
    今回、【QC検定®合格】「抜取検査」問題集を販売します! 内容は、①二項分布・ポアソン分布、OC曲線、➁多回抜取検査、➂選別型抜取検査、➃計量抜取検査、⑤逐次抜取検査、⑥調整型抜取検査、⑦抜取検査まとめ の7章全47題を演習できる問題集です。しっかり勉強しましょう。

    ●You tube動画も確認ください。

    全数検査と抜取検査と無検査の違いがわかるについては、次の教科書などで解説しています。だたし、古く絶版なので、簡単に入手できないものです。なので、QCプラネッツのブログ記事で解説をします。

    ⑤新編抜取検査 (品質管理講座)【絶版】

    【まとめ】抜取検査の本を紹介します
    抜取検査の良書を紹介します。

    抜取検査の良書ほど、絶版しています。頑張って入手しても、現代の我々のニーズに合わないものも多々あるため、
    過去の良書に負けない、我々のニーズに合うものを作るためにQCプラネッツで記事を量産しています。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ➀全数検査と抜取検査と無検査

    抜取検査、全数検査、無検査の3種類は考えたらわかる

    いきなり抜取検査から入らないこと!

    教科書では、単元が「抜取検査」なので、抜取検査が前提で勉強しがちです。しかし、検査にはいろいろ種類があり、目的別によって使い分けます。検査の選び方を覚えるのではなく、理解しましょう。

    一部を抜き取る、「抜取検査」があれば、
    すべて見る、「全数検査」と
    全く見ない、「無検査」がある。

    と、抜取検査、全数検査、無検査の3種類があると考えればわかります。

    もちろん、無検査、抜取検査の方が手間は少なく、低コストですが、
    出荷後の品質トラブルリスクを下げたければ、全数検査にすべきです。

    抜取検査、全数検査、無検査の3種類の使い分け方

    どんな場合に、抜取検査、全数検査、無検査でよいかを考えましょう。試験に出るからといって、事例を暗記せず、考えて答えられるようにしましょう。

    無検査でいい場合

    実績がある量産品
    いちいち調べなくても信頼があり大丈夫という品質レベル

    抜取検査でいいor必要な場合

    実績がある量産品で、抜取で良い場合
    破壊検査の場合(全数検査にすると製品が全部破壊されるため)

    全数検査が必要な場合

    要求品質が高い場合
    高品質の実績が無い・少ない場合
    品質トラブルや不正をおかした場合

    検査の違いをさらに、不良率とコストの観点で比較してみます。

    ②無検査と全数検査の違い(臨界不良率の導出)

    無検査と全数検査にかかるコストを考える

    無検査の場合

    検査コストはありません。
    しかし、出荷後に不良があった場合は不良率pに比例して修理費が発生します。
    しかも、検査していないため、全数検査や抜取検査より修理費増大は大きいです。

    式で表現すると、
    検査コストT1=0
    修理費Y1=a1p+ T1= a1p
    ただし、傾きa1 > a2

    全数検査の場合

    全数検査コストが非常に高いです。
    しかし、出荷後の不良は少なく、不良率とともに修理費は増大しますが、無検査に比べて費用増大は大幅に抑えることができます。

    式で表現すると、
    検査コストT2がある
    修理費Y2=a2p+ T2
    ただし、傾きa1 > a2

    無検査と全数検査にかかるコストを比較

    無検査と全数検査のコストをグラフで比較します。

    無検査と全数検査

    無検査と全数検査に交点p0があることがわかります。

    不良率p0なら、検査しない方が低コストであるが、
    不良率p≧p0になると検査した方が良い

    交点p0を臨界不良率と言います。導出しましょう。

    Y1= a1p
    Y2=a2p+ T2
    a1p= a2p+ T2より
    \(p=\frac{T_2}{a_1-a_2}\)

    全数検査と抜取検査にかかるコストを考える

    全数検査の場合

    全数検査コストが非常に高いです。
    しかし、出荷後の不良は少なく、不良率とともに修理費は増大しますが、無検査に比べて費用増大は大幅に抑えることができます。

    式で表現すると、
    検査コストT2がある
    修理費Y2=a2p+ T2
    ただし、傾きa1 > a2

    抜取検査の場合

    検査コストは、全数検査に比べて安価になります。
    しかし、出荷後の不良は少なく、不良率とともに修理費は増大しますが、増加幅は全数検査と同等か少し大きい程度で抑えることができます。

    式で表現すると、
    検査コストT3(< T2)がある
    修理費Y3=a3p+ T3
    ただし、傾きa3 ≧ a2

    全数検査と抜取検査にかかるコストを比較

    全数検査と抜取検査のコストをグラフで比較します。

    全数検査と抜取検査

    全数検査の方が抜取検査より不良率によらず、高コストであることがわかります。

    抜取検査は全数検査の一部で未検査な部分がありますが、OC曲線を描くと、全数検査も抜取検査も同じ曲線に乗るため、検査後の不良率は同程度とみることができると判断しました。

    そのため、グラフはa3 ≒ a2で描いています。

    ④全数検査と抜取検査と無検査のコスト比較(教科書)

    教科書、参考書では抜取検査のコストグラフが本記事と異なる

    教科書では、抜取検査のグラフが曲線であり、下図のように描いています。しかし、なぜそうなるのかがわかりません。本記事は私自身考えて抜取検査も直線型であると考えまとめました。

    抜取検査

    グラフを描くには、理論を式にする必要があります。
    曲線とする理由がわからないため、教科書のグラフを使わずに
    自分で考えたグラフを本記事で採用しました。

    まとめ

    無検査、全数検査、抜取検査の違いを不良率とコストの関係図を使って比較しました。検査の用途は覚えるのではなく、検査の特徴を考えて理解することが重要です。

    また、検査の違いについて教科書等は詳細に書いていますが、かえって頭に入らないはずです。
    そのときは、シンプルなモデルで比較できるようにしましょう。

    シンプルなモデルと1つの軸となる考え方で抜取検査の単元をまとめていきますので、他の関連記事も是非読んでください。

    • ➀全数検査と抜取検査と無検査
    • ②無検査と全数検査の違い
    • ③抜取検査と全数検査の違い
    • ④全数検査と抜取検査と無検査のコスト比較(教科書)

error: Content is protected !!