QCプラネッツ 品質のプロフェッショナルを育成するサイト

【本記事限定】実験計画法では実験回数を減らすために直交性が必須

実験計画法

「直交表にある直交って何?」、「直交性がなぜ必要なのか?」、「直交性があればなぜ、実験回数が減らせるの?」などが説明できずに困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【本記事限定】実験計画法では実験回数を減らすために直交性が必須

実験計画法の直交性がすぐわかる

  • ➀実験回数が減らせる配置実験
  • ②水準の数が持つ3種類の表記方法
  • ③直交性とは他の因子の効果を見せなくすること

さっそく見ていきましょう。

➀実験回数が減らせる配置実験

実験回数が減らせる配置方法

例に、3因子(A,B,C)、3水準の実験を考えます。

単純に全パターンを実験すると、実験回数は\(3^3\)=27回ですね。

実は、うまく配置すると27回が9回で済みます。実験計画法は、実験回数が減らせると言われる理由です。

実験回数を減らせる立体イメージ

実験を立方体でイメージします。因子A-Bの面、因子A-Cの面、因子B-Cの面の3面で水準数がそれぞれ3ですから、1面あたり9個のブロックがある立方体を考えます。

平面図、側面図と正面図を下図に書いてみます。
すべての実験を実施するのですべてのブロックは青色で詰まっていますね

直交

しかし、この平面図、側面図と正面図を満たす立体は
すべてブロックが詰まっている場合(完全配置実験)
一部のブロックだけが詰まっている場合(部分配置実験)
両方があります。図を見れば一目瞭然ですね。

配置実験

立体図の右側の青いブロックは全部で9個しかありませんが、平面、側面、正面から見るとすべて詰まった27個のブロックからなる立方体と同じに見えます。

実験回数が減らせる場合のデータの構造式

27回の実験が9回に減らせる場合を紹介しましたが、データの構造式を比較します。

直交性

どの主効果α、β、γの合計が0になっています。
これが最も重要です。

例えば、9回の実験の例で\(α_1\)の効果を見るために、
\( x_{111}+x_{122}+x_{133}\)を計算します。すると、β、γの合計は0です。
つまり、因子Aの効果だけ取り出すことができます。
同様に、\(β_1\)の効果や\(γ_1\)の効果も確認できますね。

データの構造式

実験回数が減らせるポイント

調べたい因子以外を、合計0にすれば実験回数を減らしてもよい。

②水準の数が持つ3種類の表記方法

実験回数を減らせるのは、調べたい因子以外を、合計0にすればよいと解説しました。
実験回数を減らせるのと直交性にはどういう関係があるかを解説します。

その前に!

水準の数が持つ3種類の表記方法

(i)データ構造式。
(ii)直交表の成分を算出する場合
(iii)直交性を確認する場合

まとめると、下の表になります。

場合 表示例
(i) データの構造式 1,2,3,・・・,n
(ii) 直交表の成分を
算出する場合
0,1,2,・・・,(n-1)
(iii) 直交性を確認
する場合
偶数: -n,-(n-1),・・・,-1,1,・・・,(n-1),n
奇数:-(n-1),・・・,-1,0,1,・・・,(n-1)

上の表の詳細を下の表で説明します。

場合 表示ルール
(i) データの構造式 1から開始
(ii) 直交表の成分を
算出する場合
0から開始
(➀から1引く)
(iii) 直交性を確認
する場合
・合計が0になるように正負に数字を入れる
・偶数個の場合は中間に0を入れない
・奇数個の場合は中間に0を入れる

(i)のデータの構造式では、添字に該当し、1から数えていきますね。
(ii)の直交表の成分を算出する場合とは、直交表の交互作用列のベクトル成分を求めるときに、(i)の値を1引いて、0スタート表示に変えます。交互作用列のベクトル成分のつくり方はここを見てください。
(iii)は直交性(内積=0かどうか)を調べるために表示を変えます。

実験計画法の教科書は(i)~(iii)の表示方法を使い分けていますが、ルールが規定されていないので、本記事ではルールを紹介しました。

水準の数が持つ3種類の表記方法の例

具体例を挙げます。

水準の数が5の場合

(i)データ構造式: 「1,2,3,4,5」
(ii)直交表の成分を算出する場合: 「0,1,2,3,4」
(iii)直交性を確認する場合: 「-2,-1,0,1,2」

水準の数が6の場合

(i)データ構造式: 「1,2,3,4,5,6」
(ii)直交表の成分を算出する場合: 「0,1,2,3,4,5」
(iii)直交性を確認する場合: 「-3,-2,-1,1,2,3」

具体例をみれば、簡単ですね。

③直交性とは他の因子の効果を見せなくすること

直交といえば、内積が0ですね。大学受験で条件反射的に解きましたよね。

でも、
直交性と内積0は必要条件であるが、十分条件ではありません。
直交性と「他の因子の効果を見せなくすること」が必要十分条件になります。

なお、「他の因子の効果を見せなくすること」ができれば、内積0は満たせます。

解説します!

直交性は内積=0でまずチェック

例として、直交表\(L_9 (3^4) \)を挙げます。

直交表 直交表成分
A B A×B1 A×B2 A B A×B1 A×B2
1 1 1 1 1 -1 -1 -1 -1
2 1 2 2 2 -1 0 0 0
3 1 3 3 3 -1 1 1 1
4 2 1 2 3 0 -1 0 1
5 2 2 3 1 0 0 1 -1
6 2 3 1 2 0 1 -1 0
7 3 1 3 2 1 -1 1 0
8 3 2 1 3 1 0 -1 1
9 3 3 2 1 1 1 0 -1

成分AとB、AとA×Bの内積を計算しましょう。

  • 内積(AとB)=-1(-1+0+1)+0(-1+0+1)+1(-1+0+1)=0
  • 内積(AとA×B1)=-1(-1+0+1)+0(0+1-1)+1(1-1+0)=0

内積0ですから、直交性があると言いたいですね。
なお、直交表の各列どうしを直交性成分に直して、内積を計算すると0になります。

直交性は内積=0では不十分な理由

 直交性はあっても直交表に割当られない場合を考えましょう。つまり、内積は0であるが、他因子効果の相殺しない場合が該当します。下図に一例を紹介します。

 (a)(b)共に、各水準数が同じ3個ずつ用意して、内積が0であることがわかります。続いて、直交表の水準の表記に変えます。

直交表

図から、\(a_1\)を算出すると下図になります。下図の左側は(a)のケースでβの効果が相殺されていますが、(b)のケースはβの効果が相殺されていないことがわかります。

直交表

よって内積0で「直交性」があっても、「調べる要因以外の効果が相殺されて」いなければ、実験回数を減らすなどの実験計画法として活用することができません。

これが、内積0は必要であるが、不十分である理由です

他の因子の効果を見せなくすることが直交性である

内積0だけでは、不十分です。他の因子の効果を見せなくすることが必要です。

つまり、直交表割当が可能な場合は、「ある因子の水準に対して、他の因子の全水準があること」です。
下図にイメージ図に示します。

データの構造式

内積を計算すると、
内積
=\(α_1(β_1+β_2+…+βn)\)+\(α_2(β_1+β_2+…+βn)\)+…+\(α_n(β_1+β_2+…+βn)\)
=\((α_1+α_2+…+αn)(β_1+β_2+…+βn)\)
=0×0
=0

つまり、他の因子の効果を見せなくすることができたら、内積0も担保されます。
「内積0」より「他の因子の効果を見せなくすること」を意識しましょう。

直交性→内積 OK(必要条件)
直交性←内積 NG(十分条件)

直交性→他の因子効果を相殺 OK(必要条件)
直交性←他の因子効果を相殺 OK(十分条件)

まとめ

実験回数を減らすための直交性について、解説しました。

  • ➀実験回数が減らせる配置実験
  • ②水準の数が持つ3種類の表記方法
  • ③直交性とは他の因子の効果を見せなくすること


Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119

    Warning: Invalid argument supplied for foreach() in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 122
error: Content is protected !!