マハラビノス距離が計算できる

マハラノビス距離

本記事のテーマ

マハラビノス距離が計算できる

おさえておきたいポイント

  • ①マハラビノス距離とは
  • ➁傾いた楕円形でマハラビノス距離を表現する理由
  • ➂マハラビノス距離を計算する
  • ④マハラビノス距離のベースは主成分分析!
  • ⑤マハラビノス距離の定義を理解する
  • ⑥マハラビノス距離を導出する(2次元)
  • ⑦マハラビノス距離の導出過程(2次元)

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マハラビノス距離を実際に計算してみよう!
判別分析は自分で解けます!
Excelや公式は暗記不要!
自力で導出できるぜ!

まずは、

2次元でしっかり導出過程を理解しましょう。

①マハラビノス距離とは

あとの、

  • ④マハラビノス距離のベースは主成分分析!
  • ⑤マハラビノス距離の定義を理解する
  • ⑥マハラビノス距離を導出する(2次元)
  • ⑦マハラビノス距離の導出過程(2次元)

で、詳しく数式を使って導出しますが、ポイントは

  1. マハラビノス距離とは何か?
  2. マハラビノス距離はなぜ主成分分析から考えるのか?
  3. マハラビノス距離の導出方法

➁傾いた楕円形でマハラビノス距離を表現する理由

傾いた楕円形の方程式

よく、マハラビノス距離は傾いた楕円形で表現されますが、その理由を解説しますね。

まず、高校数学にも出て来る、傾いていない楕円の方程式は、
\(\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\)=1
ですね。

この楕円上の点(\(x,y\))を原点中心に角度θ回転させた
座標を(\(X,Y\))とします。

マハラノビス距離

ここで、

回転といえば、複素数平面!

ド・モアブルの定理から、
\(X+Yi\)=\((x+yi)(cosθ+isinθ)\)
が成り立つので、実部、虚部に分けると
●\(X\)=\(xcosθ-ysinθ\)
●\(Y\)=\(xsinθ+ycosθ\)
となるので、

(\(x,y\))を(\(X,Y\))で表現すると
\(x\)=\(Xcosθ+Ysinθ\)
\(y\)=\(-Xsinθ+Ycosθ\)
となります。

先ほどの楕円の式に代入すると
●\(\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}\)=1
\(\frac{( Xcosθ+Ysinθ)^2}{a^2}+\frac{(-Xsinθ+Ycosθ)^2}{b^2}\)=1
\((\frac{cos^2θ}{a^2}+\frac{sin^2θ}{b^2})X^2\)+2\(sinθcosθ(\frac{1}{a^2}-\frac{1}{b^2})XY\)+\((\frac{sin^2θ}{a^2}+\frac{cos^2θ}{b^2})Y^2\)=1
となり、簡略して書くと

●傾いた楕円の式は
\(AX^2+2BXY+CY^2\)=1
で表現できる

傾いた楕円を図で描きます。

マハラノビス距離

マハラビノス距離を展開する

マハラビノス距離(2次元)の場合、
\(D_M^2\)=\((x_1 -\bar{x_1}, x_2 -\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
S_{11} & S_{12} \\
S_{21} & S_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_1 -\bar{x_1}\\
x_2 -\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)

と書けます。

簡略化のため
●\( x-\bar{x}\)=\(X\)
●\(y-\bar{y}\)=\(Y\)
●\(\left(\begin{array}{cccc}
S_{11} & S_{12} \\
S_{12} & S_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)=\(\left(\begin{array}{cccc}
T_{11} & T_{12} \\
T_{21} & T_{22}
\end{array}
\right)
\)
と書き直します。

書き直したマハラビノス距離は
\(D_M^2\)=\((X, Y)\)\(\left(\begin{array}{cccc}
T_{11} & T_{12} \\
T_{21} & T_{22}
\end{array}
\right)
\)\(\left(
\begin{array}{c}
X\\
Y
\end{array}
\right)
\)
となり、展開すると
\(D_M^2\)=\(T_{11} X^2\)+\(2T_{12} XY\)+\(T_{22} Y^2\)
となります。

マハラビノス距離は傾いた楕円の式と同じ

比較すると

●傾いた楕円の式: \(AX^2+2BXY+CY^2\)=1
●マハラビノス距離: \(T_{11} X^2\)+\(2T_{12} XY\)+\(T_{22} Y^2\)=\(D_M^2\)
と同じ式ですね。

また、楕円の式の(右辺)は1ですが、
マハラビノス距離はいろいろ変わるため、距離の値によって楕円の大きさが変化します。

何となく
マハラビノス距離は楕円で表現ではなく
数式を使って、楕円で表現する理由を理解しましょう。

➂マハラビノス距離を計算する

実際計算しましょう。理解を増すために、ユークリッド距離(\(x^2+y^2\))と比較します。

データ事例

N0 x y A=
\(x-\bar{x}\)
B=
\(y-\bar{y}\)
A2 B2 AB
1 4 8 -2 -4 4 16 8
2 6 10 0 -2 0 4 0
3 2 12 -4 0 16 0 0
4 10 16 4 4 16 16 16
5 5 10 -1 -2 1 4 2
6 8 12 2 0 4 0 0
7 7 16 1 4 1 16 4
合計 42 84 合計(平方和) 42 56 30
平均 6 12 (標本分散) \(S_{11}\)
=7
\(S_{12}\)
=9.33
\(S_{22}\)
=5

ここで、
●\(S_{ij}\)は標本分散=(平方和)/(n-1)である点に注意しましょう。

マハラビノス距離とユークリッド距離の比較

マハラノビス距離は、
\(T_{11} X^2\)+\(2T_{12} XY\)+\(T_{22} Y^2\)=\(D_M^2\)
の形をしています。実際に係数を計算すると

●\(\left(\begin{array}{cccc}
S_{11} & S_{12} \\
S_{21} & S_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)=\(\left(\begin{array}{cccc}
7 & 5 \\
5 & 9.33
\end{array}
\right)^{-1}
\)
=\(\left(\begin{array}{cccc}
0.231 & -0.124 \\
-0.124 & 0.174
\end{array}
\right)
\)=\(\left(\begin{array}{cccc}
T_{11} & T_{12} \\
T_{21} & T_{22}
\end{array}
\right)
\)
となります。

つまり、マハラノビス距離は、
\(D_M^2\)=0.231\( X^2\)-0.248\( XY\)+0.174\( Y^2\)
で表現できます。

いろいろな点について、マハラノビス距離とユークリッド距離を計算した結果を下表で比較しましょう。

No x y マハラビノス
距離
ユークリッド
距離
1 6 12 0 0
2 8 11.855 1.00 0.757
3 5 6.57 2.00 1.82
4 0 3 3.00 3.72

ここで、ユークリッド距離はx,y方向をそれぞれの標本分散で割った値として、表にいれました。
Y=\(\frac{X^2}{S_{11}}+\frac{Y^2}{S_{22}}\)
です。

標本分散で割った理由は、マハラビノス距離において、相関係数が0の場合、
●マハラビノス距離=●ユークリッド距離
とするためです。

結果を図にしましょう。

マハラノビス距離

マハラノビス距離とユークリッド距離は若干値が異なるし、
マハラノビス距離は傾いた楕円分布になっていることがわかりますね。

データの平均からマハラノビス距離を取ると、ユークリッド距離と同様に距離は0です。当然ですよね。
なお、上表はマハラノビス距離が1,2,3となる1点を探しました。

マハラノビス距離Dmが
●\(D_M^2\)=0.231\( X^2\)-0.248\( XY\)+0.174\( Y^2\)=0
●\(D_M^2\)=0.231\( X^2\)-0.248\( XY\)+0.174\( Y^2\)=1
●\(D_M^2\)=0.231\( X^2\)-0.248\( XY\)+0.174\( Y^2\)=2
●\(D_M^2\)=0.231\( X^2\)-0.248\( XY\)+0.174\( Y^2\)=3
とそれぞれ満たす点の集合を線で引くと、傾いた楕円形になります。

一方ユークリッド距離は、
●Y=\(\frac{X^2}{S_{11}}+\frac{Y^2}{S_{22}}\)=0
●Y=\(\frac{X^2}{S_{11}}+\frac{Y^2}{S_{22}}\)=1
●Y=\(\frac{X^2}{S_{11}}+\frac{Y^2}{S_{22}}\)=2
●Y=\(\frac{X^2}{S_{11}}+\frac{Y^2}{S_{22}}\)=3
とそれぞれ満たす点の集合を線で引くと、円になりますね。

ここまではマハラビノス距離の計算方法を解説しました。ここからは、マハラビノス距離を導出してみましょう。

④マハラビノス距離のベースは主成分分析!

マハラビノス距離だけでは理解できない

多変量解析をしていると、必ず出て来るのが「マハラビノス距離」ですね。
意味や式を理解しようとしても

でも、マハラビノス距離の意味や式は理解しにくいですよね。

なので、わかりやすく解説します。

先に主成分分析の導出過程を理解しよう

マハラビノス距離を理解するには、主成分分析の導出を理解しておく必要があります。

にて、冊子(PDF)でまとめています。ご確認ください。

前置きは以上で、ここから本題に入ります。

⑤マハラビノス距離の定義を理解する

マハラビノス距離とは

定義と式を書くと

●定義
多変数間の相関に基づく「普通の距離を一般化したもの」
●定義式
\(D_M=\sqrt{(x-μ)^T ∑^{-1}(x-μ)}\)
・\(x\)=\((x_1,x_2,…,x_n)\)
・\(μ\)=\((μ_1, μ_2,…, μ_n)\)

となりますが、

よくわからないですよね。

マハラビノス距離を2次元表示する

定義式から2次元の場合を書いてみると
\(D_M^2\)=\((x_1-\bar{x_1}, x_2-\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{21} & s_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_1 -\bar{x_1}\\
X_2 -\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)
(ここで、\(S_{ij}\)は標本分散=平方和/データ数と見てください)

ちょっと、わかりやすいけど、まだ難しいですよね。

マハラビノス距離を1次元表示する

1次元まで限定すると、
\(D_M^2\)=\((x_1-\bar{x_1}) s_{11}^{-1} (x_1-\bar{x_1})\)
=\(\frac{(x_1 -\bar{x_1})^2}{s_{11}}\)
平方根にすると
\(D_M\)=\(\frac{|x_1 -\bar{x_1}|}{σ_{11}}\)
距離の差を標準偏差で割った、標準化した距離になりますね。

ここまで来て、少し理解できた感じですよね。

マハラビノス距離は、
式を具体的に書き出しても
本質はわかりません。
主成分分析を座標にした距離
というわかりにくい定義だからです

⑥マハラビノス距離を導出する(2次元)

マハラビノス距離を導出しやすい定義から入る

マハラビノス距離は、
ユークリッド座標で定義した\(x_1,x_2\)から
主成分分析座標に変換した\(X_1,X_2\)
と平均値座標間の距離

下図でわかりやすく説明しますね。

マハラビノス距離

基本は、
平均との差分の距離を考えるので、
ユークリッド座標(いつも使っている座標)から
\((x_1,x_2)\)~\((\bar{x_1},\bar{x_2})\)間の距離を考えます。

ただし、変数が増えると、\(x_1\),\(x_2\)間に相関関係が入る可能性があり、
ユークリッド座標では適切な距離として評価できない場合があります。

そこで、ユークリッド座標から、相関関係を考えた主成分分析方向に変換した距離を考える必要があることからマハラビノス距離ができました。

マハラビノス距離\(D_M^2\)は主成分分析方向で変換した長さですが、
標準化するために主成分分析方向の平方和で割ります。
しかも、主成分分析方向の平方和は固有値でしたね。

主成分分析方向の平方和は固有値になる理由は関連記事で解説しています。ご確認ください。

にて、冊子(PDF)でまとめています。ご確認ください。

ここで、ややこしい話をしますが、
主成分分析するときに、データを標準化する場合としない場合があります。
●データを標準化してから分析する場合→標本分散
●データを標準化せず、そのまま分析する場合→平方和
で、関連記事では「データを標準化しない」場合で解説してます。
本記事は、「データを標準化する」場合で解説しているので、
平方和→標本分散に変えて説明します。

マハラビノス距離\(D_M^2\)=\(X_1^2+X_2^2\)のイメージで
標準化したいから一旦、主成分分析方向の標本分散で割ります。
\(D_M^2\)=\(\frac{X_1^2}{S_1}+\frac{X_2^2}{S_2}\)
各主成分分析方向の標本分散は固有値に一致するので、
\( S _1=λ_1\),\( S _2=λ_2\)を代入すると
\(D_M^2\)=\(\frac{X_1^2}{λ_1}+\frac{X_2^2}{λ_2}\)
この式を変形すると
\(D_M^2\)=\((x_1-\bar{x_1}, x_2-\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{21} & s_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_1 -\bar{x_1}\\
X_2 -\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)
になります。

という解釈ですが、少しわかった感じになった程度ですよね。ここから先は数式を見ながらマハラビノス距離に慣れていきましょう。

マハラビノス距離の式を導出する

本記事の定義から、マハラビノス距離は
\(D_M^2\)=\(\frac{X_1^2}{λ_1}+\frac{X_2^2}{λ_2}\)
と定義しましたが、これが教科書で書いている
\(D_M^2\)=\((x_1-\bar{x_1}, x_2-\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{21} & s_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_1 -\bar{x_1}\\
X_2 -\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)
になることを証明しましょう。

導出過程は3ステップで行きます。

  1. 行列表記にして (ベクトル横)(行列)-1(ベクトル縦)の形を作る
  2. \((X_1,X_2)\)を\((x_1,x_2)\)で表現する
  3. >式をまとめる

導出過程の隠し味は、「固有方程式」の
行列とベクトルの積がベクトルの固有値倍に簡略化できるところです。

では、ポイントを知った上で、導出しましょう。

⑦マハラビノス距離の導出過程(2次元)

行列表記にする

本記事の定義から、マハラビノス距離は
\(D_M^2\)=\(\frac{X_1^2}{λ_1}+\frac{X_2^2}{λ_2}\)
=\((X_1,X_2)\)\(\left(\begin{array}{cccc}
\frac{1}{λ_1} & 0 \\
0 & \frac{1}{λ_2}
\end{array}
\right)
\)\(\left(
\begin{array}{c}
X_1\\
X_2
\end{array}
\right)
\)
と変形して、行列表記できます。

次に、逆行列表記します。

逆行列表記

あえて、
\(\left(\begin{array}{cccc}
\frac{1}{λ_1} & 0 \\
0 & \frac{1}{λ_2}
\end{array}
\right)
\)
の逆行列を求めます。これは高校数学レベルなので、公式通り解くと、

\(\left(\begin{array}{cccc}
\frac{1}{λ_1} & 0 \\
0 & \frac{1}{λ_2}
\end{array}
\right)^{-1}
\)=\(λ_1 λ_2\)\(\left(\begin{array}{cccc}
\frac{1}{λ_2} & 0 \\
0 & \frac{1}{λ_1}
\end{array}
\right)
\)
=\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)^{-1}
\)
となります。シンプルな逆行列ができましたね。

マハラビノス距離をまとめると

\(D_M^2\)=\(\frac{X_1^2}{λ_1}+\frac{X_2^2}{λ_2}\)
=\((X_1,X_2)\)\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
X_1\\
X_2
\end{array}
\right)
\)
=(式1)
と書けます。

\((X_1,X_2)\)を\((x_1,x_2)\)で表現する

図を再掲して、\(X_1,X_2\)を、内積を使って\(x_1,x_2\)で表現します。

マハラビノス距離

\(X_1\)=\( \overrightarrow{AP} \)・\( \vec{e_1} \)
=|\( \overrightarrow{AP} \)||\( \vec{e_1} \)|cosθ
=\(\left(
\begin{array}{c}
x_{1i}-\bar{x_1}\\
x_{2i}-\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)・\(\left(
\begin{array}{c}
a_1\\
b_1
\end{array}
\right)
\)
=\(a_1 (x_{1i}-\bar{x_1})+b_1 (x_{2i}-\bar{x_2})\)
となります。

同様に、

\(X_2\)=\( \overrightarrow{AP} \)・\( \vec{e_2} \)
=\(a_2 (x_{1i}-\bar{x_1})+b_2 (x_{2i}-\bar{x_2})\)

よって、
●\(X_1\)=\(a_1 (x_{1i}-\bar{x_1})+b_1 (x_{2i}-\bar{x_2})\)
●\(X_2\)=\(a_2 (x_{1i}-\bar{x_1})+b_2 (x_{2i}-\bar{x_2})\)
の関係式から

\(\left(
\begin{array}{c}
X_1\\
X_2
\end{array}
\right)
\)=\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & b_1 \\
a_2 & b_2
\end{array}
\right)
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_{1i}-\bar{x_1}\\
x_{2i}-\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)

=(式2a)
と、縦横を入れ替えて
\((X_1, X_2)\)=\(( x_{1i}-\bar{x_1}, x_{2i}-\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & a_2 \\
b_1 & b_2
\end{array}
\right)
\)

=(式2b)

両方表現できます。両方とも後で使います。

式をまとめる

マハラビノス距離を再掲します。

\(D_M^2\)=\(\frac{X_1^2}{λ_1}+\frac{X_2^2}{λ_2}\)
=\((X_1,X_2)\)\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
X_1\\
X_2
\end{array}
\right)
\)
=(式1)

(式1)に(式2a),(式2b)を代入します。

\(D_M^2\)=\((X_1,X_2)\)\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
X_1\\
X_2
\end{array}
\right)
\)
=\(( x_{1i}-\bar{x_1}, x_{2i}-\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & a_2 \\
b_1 & b_2
\end{array}
\right)
\)
\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)^{-1}
\)
\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & b_1 \\
a_2 & b_2
\end{array}
\right)
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_{1i}-\bar{x_1}\\
x_{2i}-\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)

マハラビノス距離の式
\((x_1-\bar{x_1}, x_2-\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{21} & s_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_1 -\bar{x_1}\\
X_2 -\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)
の左右が一致しましたね。

線形判別関数

図で見ると、あとは、

\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & a_2 \\
b_1 & b_2
\end{array}
\right)
\)\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)^{-1}
\)
\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & b_1 \\
a_2 & b_2
\end{array}
\right)
\)=\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{21} & s_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)
を証明すれば完成です。

やってみましょう。 

行列の式の証明

ここで、2次の固有方程式を思い出しましょう。

●固有方程式
\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{12} & s_{22}
\end{array}
\right)
\)\(\left(
\begin{array}{c}
a_j\\
b_j
\end{array}
\right)
\)=\(λ_j\)\(\left(
\begin{array}{c}
a_j\\
b_j
\end{array}
\right)
\)
(\(j\)=1,2)
でしたね。

主成分分析の関連記事で解説していますが、\(j=1,2\)をまとめて行列表記すると
\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{12} & s_{22}
\end{array}
\right)
\)\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & a_2 \\
b_1 & b_2
\end{array}
\right)
\)=\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & a_2 \\
b_1 & b_2
\end{array}
\right)
\)\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)
\)
と表現でき、行列表記として、
SH=
と書くことができますね。

なお、証明したい式を行列表記すると、
\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & a_2 \\
b_1 & b_2
\end{array}
\right)
\)\(\left(\begin{array}{cccc}
λ_1 & 0 \\
0 & λ_2
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & b_1 \\
a_2 & b_2
\end{array}
\right)
\)
=\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{21} & s_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)

を行列表記すると
-1HT=S-1
が証明したい式です。

SH=
に両辺に逆行列S-1をかけると
S-1SH= S-1
H= S-1

また、両辺に逆行列Λ-1をかけると
-1= S-1HΛΛ-1
-1= S-1H

さらに、両辺に転置行列H Tをかけると
-1 H T= S-1H H T
=(式4)

ここで、積HTH
HTH=\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & b_1 \\
a_2 & b_2
\end{array}
\right)
\)\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & a_2 \\
b_1 & b_2
\end{array}
\right)
\)
=\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1 & b_1 \\
a_2 & b_2
\end{array}
\right)
\)\(\left(\begin{array}{cccc}
a_1^2+b_1^2 & a_1 a_2 + b_1 b_2 \\
a_1 a_2 + b_1 b_2 & a_2^2+b_2^2
\end{array}
\right)
\)
となります。

単位ベクトルでかつ、内積が0(直交性)があるため、
・\( a_1^2+b_1^2\)=1
・\( a_2^2+b_2^2\)=1
・\( a_1 a_2 + b_1 b_2 \)=0
から

HTH=\(\left(\begin{array}{cccc}
1 & 0 \\
0 & 1
\end{array}
\right)
\)
=E
となります。

よって、(式4)は
-1 H T= S-1H H T
= S-1

-1 H T= S-1
が成り立ちました。

よって、すべてまとめると、

\(D_M^2\)=\(\frac{X_1^2}{λ_1}+\frac{X_2^2}{λ_2}\)
=\((x_1-\bar{x_1},x_2-\bar{x_2})\)\(\left(\begin{array}{cccc}
s_{11} & s_{12} \\
s_{12} & s_{22}
\end{array}
\right)^{-1}
\)\(\left(
\begin{array}{c}
x_1-\bar{x_1}\\
x_2-\bar{x_2}
\end{array}
\right)
\)

できましたね!
主成分分析から入るとマハラビノス距離は理解しやすいですね。

まとめ

「マハラビノス距離が計算できる」を解説しました。

  • ①マハラビノス距離とは
  • ➁傾いた楕円形でマハラビノス距離を表現する理由
  • ➂マハラビノス距離を計算する
  • ④マハラビノス距離のベースは主成分分析!
  • ⑤マハラビノス距離の定義を理解する
  • ⑥マハラビノス距離を導出する(2次元)
  • ⑦マハラビノス距離の導出過程(2次元)

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