検査のきびしさの切替え方法はJISに頼るな!(調整型抜取検査)
「調整型抜取検査の切替えルールの理由がわからない」「どんな検査でもJISの切替えルールに準拠すればOKなの?」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①JISの切替えルールの規準の理論はわからない
- ②切替えルールは検査対象に合わせて考えるべき
自分で抜取検査の理論を理解して、抜取検査を先に自分で設計して、必要な値をJISや教科書を使うようにしたいです。
●You tubeでも解説しています。ご確認ください。
①JISの切替えルールの規準の理論はわからない
JISZ9015を読むと、検査のきびしさ(なみ検査、ゆるい検査、きつい検査)の切替え方法が下図のように書いています。
試験にも頻出です。検査回数と不良品の数でどのタイミングで検査のきびしさを切り替えるかを勉強する必要があります。
ところが、よく考えると、この検査のきびしさの切替える基準の根拠がどこから決まっているのか?疑問に思うはずです。
切替えスコアが30以上なら、ゆるい検査でよい。
⇒30ってどこから決まっているの?
連続5ロット以内に2ロットが不合格ならきつい検査に切り替える。
⇒5ロットと2ロットはどこから求めた値なのか?
連続5ロットが合格ならなみ検査に切り替える。
⇒連続、5ロットの根拠は?
鵜呑みせず、値や判断基準の理由を考えることが重要です。
わからないことをまとめると、次の2つです。
切替える基準のここがわからない!
- 基準を決める値や数式がわからない。
- 実際の検査は対象によって切替え基準はばらばらなはず。1つの規格に従うのは無理がある
QCプラネッツでは、研究中ですが、知っている方は教えてください。
②切替えルールは検査対象に合わせて考えるべき
検査結果で最も重要なことは、
それは、JIS規格どおり検査することではなく、自分たちで抜取検査を設計すること。
検査結果は顧客が評価する
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にあるように、品質は顧客が満足する期待値です。
顧客要求レベルを上回る結果を出すように検査を設計しなければなりません。
抜取検査が調整型だからとして、JISZ9015の切替え基準そのまま準拠しても、顧客は満足しない可能性もあります。
検査対象ごとに要求される検査を考えるのが重要
自分でゼロベースで考えてみましょう。
以下は、QCプラネッツの1つの考え方を紹介します。
検査のきびしさを自分で定義
次のように2つだけでよいと考えます。
●なみ検査: 顧客要求レベルを満たすきびしさ
●きつい検査:初期流動管理の場合、不良品が見つかりトラブル発生した場合
ゆるい検査は、不要としてもよいでしょう。ゆるくしてよい理由が無いからです。ゆるい検査は手抜き検査であってはなりません。
ゆるい検査のきびしさを入れたい場合
検査のきびしさを3段階にしたければ、次のように考えます。
●ゆるい検査:顧客要求レベルを満たすきびしさ
●なみ検査: 重要顧客の要求レベルを満たすきびしさ
●きつい検査:初期流動管理の場合、不良品が見つかりトラブル発生した場合
●ゆるい検査≡なみ検査
●なみ検査≡ちょっときびしい検査
●きつい検査≡最悪の条件以上に厳しくした場合の検査
と、なみ検査ときつい検査がきびしくした条件にした方がよいでしょう。
切替え基準も自分で定義
なみ検査、きつい検査のみで考えた場合に話を戻します。
●なみ検査: 顧客要求レベルを満たすきびしさ
●きつい検査:初期流動管理の場合、不良品が見つかりトラブル発生した場合
担当部門や経営陣との調整で決めるべきで、JIS規格のような値で決めるものではない。
新しい製品を出荷するときは、
きつい検査で始めるでしょう。
その後、
●ある一定期間(半年、年のスパンですが)経過して、製造工程が安定、成熟した場合
●納品後、目立ったトラブルや不良が出ていないことが確認した場合
の条件がそろったら、きつい検査⇒なみの検査へ切り替えてもOKでしょう。
ただし、工場のある部門だけの判断ではなく、営業、技術、工場と顧客との調整で決める必要があります。
不良確率が一定以下だからといって、きつい検査からなみ検査に一方的に変えても、NGとなる場合があります。関係者間の調整が重要となります。
抜取検査では、検査しない製品の不良はそのまま外部に流れてしまいます。そのリスク評価と不良・事故発生の対応も関係者間で調整しておく必要があります。
品質を決める検査だけに、慎重に考える必要があります。
トラブルがあると説明責任が問われます。
なぜ、そのような検査をしたかを技術的に説明できるように
抜取検査を勉強する必要があります。
まとめ
検査のきびしさ(調整型抜取検査)を切り替える方法について解説しました。
- ①JISの切替えルールの規準の理論はわからない
- ②切替えルールは検査対象に合わせて考えるべき
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