【必読】条件つき期待値・条件付き分散がわかる(離散型)

条件つき期待値と分散(離散型)

本記事のテーマ

条件付き期待値・条件付き分散がわかる(離散型)
  • ①【共通】2段サンプリングの分散公式を導出するために知っておくべき内容
  • ➁例題と条件付き確率
  • ➂条件付き期待値
  • ➃条件付き分散がわかる

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①【共通】2段サンプリングの分散公式を導出するために知っておくべき内容

2段サンプリングの分散の式

「2段サンプリングの分散」の式があります。

E(\(\bar{\bar{x}}\))=μ
V(\(\bar{\bar{x}}\))=\(\frac{M-m}{M-1}・\frac{σ_b^2}{m}\)+\(\frac{N-n}{N-1}・\frac{σ_w^2}{mn}\)
・\(m\):1次サンプルの大きさ
・\(n\):2次サンプルの大きさ
・\(σ_b^2\):1次単位間の特性xの分散
・\(σ_w^2\):1次単位内の特性xの分散
・M:1次単位の総数
・N:1次単位の大きさ
・\(\frac{M-m}{M-1},\frac{N-n}{N-1}\):有限修正項
となりますよね。

でも、

この式は何なの?
何でこんな難しい式なの?
覚えられない。。。

と困ってしまいますよね。QCプラネッツも苦労しました。

そこで、

せめて、「2段サンプリングの分散」の式を導出したい!

という思いで、解説していきます。

2段サンプリングの分散の式に必要な内容

まとめると、以下を理解しておく必要があります。

  1. 条件付き確率
  2. 2変数の確率分布関数(同時確率質量関数)
  3. 同時確率分布の分散、共分散の導出
  4. 条件付き確率の期待値・分散
  5. 全分散の公式の導出
  6. 2段サンプリングの分散の公式導出
2段サンプリングは式が複雑!
公式暗記・代入だけでは意味不明!
サンプリングの分散はみんな苦手

なので、1つ1つ解説します。

今回は第4弾として「条件付き確率の期待値・分散」を解説します。

第4弾として「条件付き確率の期待値・分散」を解説します。

➁例題と条件付き確率

例題

関連記事と同じ例題で解説します。関連記事もご確認ください。

本記事では、2変数の確率分布関数(離散系&連続系)の期待値・分散をわかりやすく解説します。

●2次元の確率変数(X,Y)が、下表のような分布を持っている。

X/Y 1 2 3
1 \(\frac{2}{8}\) \(\frac{1}{8}\) \(\frac{1}{8}\) \(\frac{1}{2}\)
2 \(\frac{1}{8}\) \(\frac{1}{8}\) \(\frac{2}{8}\) \(\frac{1}{2}\)
\(\frac{3}{8}\) \(\frac{2}{8}\) \(\frac{3}{8}\) 1

(1)条件付き確率\(f_{Y|X}(y|x)\)を求めよ。
(2)条件付き期待値E(Y|X)、E(Y2|X)、E(Y)を求め、重要公式E(Y)=E(E(Y|X))が成り立つことを確認せよ。
(3)条件付き分散V[Y|X]を求め、全分散の公式が成り立つことを確認せよ。

期待値と分散のフルセットを計算してみましょう。

条件付き確率

(1)条件付き確率\(f_{Y|X}(y|x)\)を求めよ。

まず、確率の式を書いてから、関数の式に変えましょう。

●P(A|B)=\(\frac{P(A∩B)}{P(B)}\)ですから、例えば、
P(Y=1|X=1)=(2/8)/(1/2)=1/4です。同様に全部計算すると、次の表になります。機械的に計算しましょう。

P(Y|X) Y=1 Y=2 Y=3
P(Y|X=1) \(\frac{1}{2}\) \(\frac{1}{4}\) \(\frac{1}{4}\) \(\frac{1}{2}\)
P(Y|X=2) \(\frac{1}{4}\) \(\frac{1}{4}\) \(\frac{2}{2}\) \(\frac{1}{1}\)

➂条件付き期待値

「(2)条件付き期待値E(Y|X)、E(Y2|X)、E(Y)を求め、重要公式E(Y)=E(E(Y|X))が成り立つことを確認せよ。」を確認します。

条件付き期待値の計算

E(Y|X)、E(Y2|X)を計算します。

●E(Y|X=i)=\( \sum_{j} y_j P(Y|X=i)\)で計算します。yで加算しますが、個々のXの値について期待値を計算します。

●E(Y|X=1)= \( \sum_{j} y_j P(Y|X=1)\)
=\(1×\frac{\frac{2}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(2×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(3×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)
=\(\frac{7}{4}\)

●E(Y|X=2)= \( \sum_{j} y_j P(Y|X=2)\)
=\(1×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(2×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(3×\frac{\frac{2}{8}}{\frac{1}{2}}\)
=\(\frac{9}{4}\)

つぎに、E(Y2|X)ですが、
E(Y|X=i)=\( \sum_{j} y_j P(Y|X=i\))から
E(Y|X=i)=\( \sum_{j} y_j^2 P(Y|X=i)\)に変えて加算します。

●E(Y2|X=1)= \( \sum_{j} y_j^2 P(Y|X=1)\)
=\(1^2×\frac{\frac{2}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(2^2×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(3^2×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)
=\(\frac{15}{4}\)

●E(Y 2|X=2)= \( \sum_{j} y_j^2 P(Y|X=2)\)
=\(1^2×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(2^2×\frac{\frac{1}{8}}{\frac{1}{2}}\)+\(3^2×\frac{\frac{2}{8}}{\frac{1}{2}}\)
=\(\frac{23}{4}\)

条件付きの期待値の特徴

上のE(Y|X), E(Y2|X)を計算すると、奇妙な感じになります。なぜなら、

E(Y|X=i)、E(Y2|X=i)と
X=iの個々の値が出るから

これは、実は問題ありません。
連続系の問いでE(Y|X), E(Y2|X)を計算すると、E(Y|X), E(Y2|X)そのものの値ではなく、
関数になります。

重要公式E(Y)=E(E(Y|X))の確認

●E(Y)=E(E(Y|X))を確認します。この式の証明は別途、他の記事で解説します。本記事では、計算が合うことや計算過程を確認します。

●ここで、E(Y)については、関連記事ですでに計算しています。ご確認ください。

本記事では、2変数の確率分布関数(離散系&連続系)の期待値・分散をわかりやすく解説します。

●E(Y)自体は非常に簡単で、
E(Y)=1×\(\frac{3}{8}\)+2×\(\frac{2}{8}\)+3×\(\frac{3}{8}\)=2
でした。

では、重要公式E(Y)=E(E(Y|X))の確認をしましょう。

E(E(Y|X))が難しいですが、E(*) の中「*」を意識して、
E(*)=∑ (*) f(★) で計算すればよいです。

E(E(Y|X))=\(\sum_{i=1}^{2} E(Y|X) f_Y(y_i)\)
=\(\frac{7}{4}・\frac{1}{2}+\frac{9}{4}・\frac{1}{2}\)
=2
と一致しましたね。

➃条件付き分散がわかる

「(3)条件付き分散V[Y|X]を求め、全分散の公式が成り立つことを確認せよ。」を確認します。

条件付き分散の計算

V(Y|X)、E(V(Y|X))、V(E(Y|X))を計算していきます。

●V(Y|X)ですが、焦らず、分散公式を思い出します。
V[X]=E[X2]-E[X]2
でしたね。X⇒Y|Xに変えればOKです。でも、これでも代入しにくいので解いてみましょう。

V(Y|X=i)= E[Y2|X=i]-E[Y|X=i]2
です。X2⇒Y2|Xに注意します。
実は、
E[Y2|X=i]とE[Y|X=i]は計算済です。

V(Y|X=1)= E[Y2|X=1]-E[Y|X=1]2
=\(\frac{15}{4}-(\frac{7}{4})^2\)
=\(\frac{11}{16}\)

V(Y|X=2)= E[Y2|X=2]-E[Y|X=2]2
=\(\frac{23}{4}-(\frac{9}{4})^2\)
=\(\frac{11}{16}\)

●次に全分散の公式への下ごしらえをします。

●E(V(Y|X))を計算します。V(Y|X)の期待値なんて、どうやって計算するか、難しそうです。しっかり見ていきます。Y|XはX=iごとに計算していきます。
E(V(Y|X=i)) = \(\sum_{i} V(Y|X=i) f_X(x=i)\)
=\(\frac{11}{16}・\frac{1}{2}+\frac{11}{16}・\frac{1}{2}\)
=\(\frac{11}{16}\)

●V(E(Y|X))を計算します。E(Y|X)の分散なんて、どうやって計算するか、難しそうです。しっかり見ていきます。xの関数なのでxで積分します。
V(E(Y|X))=E(E(Y|X)2)-E(E(Y|X)) 2
=\(\sum_{i} E(Y|X)^2 f_X(x=i)\)- \((\sum_{i} E(Y|X) f_X(x=i))^2\)
=[\((\frac{7}{4})^2・\frac{1}{2}+(\frac{9}{4})^2・\frac{1}{2}\)]
-\([\frac{7}{4})・\frac{1}{2}+\frac{9}{4}・\frac{1}{2}]^2\)
=\(\frac{1}{16}\)

となります。随分計算が大変でした。

全分散の公式の確認

2段サンプリングの分散導出に必須な全分散の公式

V(Y)= V(E(Y|X))+ E(V(Y|X))
を確認しましょう。

●全分散の公式の(右辺)を合算します。
V(E(Y|X))+ E(V(Y|X))
=\(\frac{11}{16}+\frac{1}{16}\)
=\(\frac{3}{4}\)
=V(Y)
と一致します。

●証明は別途、他の記事で解説しますが、連続型で全分散の公式が成り立つことを確認しました。

重い例題でしたが、ちゃんと計算できました。教科書では、抽象的な公式導出ばかり書いていますが、実例で計算するのは意外と難しいので、何度も確認しましょう。

まとめ

条件付き期待値・条件付き分散がわかる(離散型)をわかりやすく解説しました。

  • ①【共通】2段サンプリングの分散公式を導出するために知っておくべき内容
  • ➁例題と条件付き確率
  • ➂条件付き期待値
  • ➃条件付き分散がわかる

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