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畳み込み積分がよくわかる(χ2乗分布どうし)

統計学

「畳み込み積分が、わからない、解けない?」と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

畳み込み積分がよくわかる(χ2乗分布どうし)
  • ①畳み込み積分とは
  • ➁畳み込み積分(X+Y=Z)
  • ➂畳み込み積分(X-Y=Z)は計算できない

①畳み込み積分とは

畳み込み積分の基本をまとめた関連記事を確認ください。
簡単にわかる解説と、身近な事例を挙げています。高校数学で理解できるレベルなので安心ください。

畳み込み積分がよくわかる(一様分布どうし)
畳み込み積分が計算できますか?本記事では畳み込み積分のイメージを高校数学を使ってわかりやすく解説し、さらに一様分布を使った畳み込み積分の計算を途中経過を一切端折らずに解説しています。畳み込み積分の計算ができず困っている方は必見です。

➁畳み込み積分(X+Y=Z)

χ2乗分布どうしの畳み込み積分を解析します。ちょっと難しいけど、

●χ2乗分布の確率分布関数に慣れよう!
●Γ(ガンマ)関数やB(ベータ)関数に慣れよう!

畳み込み積分の解析方法は、たとえ関数が複雑でも同じです。

例題

2つの関数
●\(f_n(x)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}x}\) (\(x\) ≥ 0)
●\(f_m(y)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} y^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}y}\) (\(y\) ≥ 0)
において、Z=X+Yを満たす確率密度関数\(h(z)\)を作れ。

難しい!と思ってしまいますが、落ち着いて解きましょう。次の3stepで解いていきます。

  1. 畳み込み積分の式を作る
  2. 積分区間を確認(ここが一番難しい)
  3. 積分区間の場合分けに合わせて丁寧に計算

解法step1(畳み込み積分の式を作る)

\( h(x)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f(t)g(x-t)dt \)

\((t)+(x-t)=x\)の関係が成り立っています。

解法step2(積分区間を確認)

x,yの制約条件は 0 ≤ x ≤ T, 0 ≤ yです。

領域を図示します。

畳み込み積分3-1

その領域内で z=x+yを考えます。

z=x+yをy=-x+zとして、xy平面で傾き-1,y切片zの直線を考える
畳み込み積分2-2
y=-x+zが積分領域内にどう入るかによって場合分けを網羅する!

すると、下図のように積分パターンは2パターンに場合分けされます。

畳み込み積分3-2

●①は(x,y)=(0,0)以上 (つまり0 ≤ z)なので、図のように、x=0~zの区間で積分
●➁は(x,y)=(0,0)以下(つまりz ≤ 0)で、積分領域外なので、h(z)=0
より①だけ積分すればよいわけですね。

難しそうに見えますが、この場合分けも高校数学、領域のところで学ぶ内容です。

x,yの積分領域に制限があると、畳み込み積分は場合分けして積分しないといけない面倒臭さがあります。

解法step3(積分計算)

積分区間は全領域[o,z]で、畳み込み積分をします。

\( h(z)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f_n(x)f_m(z-x)dx \)
\(= \displaystyle \int_{0}^{z} f_n(x)f_m(z-x)dx \)
\(=\displaystyle \int_{0}^{z} \)\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}x}\) \(\frac{1}{2^{\frac{m}{2}}Γ(\frac{m}{2})} (z-x)^{\frac{m}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}(z-x)} dx\)
=(式1)

xに関係のない、定数項やzを∫の前に出しましょう。
(式1)
\(= \frac{1}{2^{\frac{n+m}{2}}Γ(\frac{n}{2})Γ(\frac{m}{2})} e^{-\frac{1}{2}z}\)\(\displaystyle \int_{0}^{z} \)\( x^{\frac{n}{2}-1} (z-x)^{\frac{m}{2}-1}dx\)
=(式2)

さらに、ここで、\(u=\frac{x}{z}\)と置いて、
●\(dx=zdu\)
●積分区間 0~z ⇒ 0~1
に変えて、積分の式をベータ関数表記に持ち込みます。(積分計算が難しいので、他の関数に置き換えるなどの工夫するところが大学数学の難しいところですね。)

(式2)
\(= \frac{1}{2^{\frac{n+m}{2}}Γ(\frac{n}{2})Γ(\frac{m}{2})} e^{-\frac{1}{2}z}\)\(\displaystyle \int_{0}^{1} \)\( (uz)^{\frac{n}{2}-1} (z(1-u))^{\frac{m}{2}-1}dx\)
\(= \frac{1}{2^{\frac{n+m}{2}}Γ(\frac{n}{2})Γ(\frac{m}{2})} e^{-\frac{1}{2}z} z^{\frac{n+m}{2}-1}\)\(\displaystyle \int_{0}^{1} \)\( u^{\frac{n}{2}-1} (1-u)^{\frac{m}{2}-1}du\)
=(式3)

ここで、ベータ関数を導入します。
\(B(\frac{n}{2},\frac{m}{2})\)=\(\displaystyle \int_{0}^{1} \)\( u^{\frac{n}{2}-1} (1-u)^{\frac{m}{2}-1}du\)
(式3)に代入すると

(式3)
=\( \frac{1}{2^{\frac{n+m}{2}}Γ(\frac{n}{2})Γ(\frac{m}{2})} e^{-\frac{1}{2}z} z^{\frac{n+m}{2}-1}\)\(B(\frac{n}{2},\frac{m}{2}) \)
=(式4)

ここで、Γ(ガンマ)関数とB(ベータ)関数の関係を用いると
\(B(\frac{n}{2},\frac{m}{2}) \)=\(\frac{Γ(\frac{n}{2})Γ(\frac{m}{2})}{Γ(\frac{n+m}{2})}\)
となるので、(式4)に代入します。

(式4)
=\( \frac{1}{2^{\frac{n+m}{2}}} Γ(\frac{n+m}{2}) z^{\frac{n+m}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}z}\)
=\(f_{n+m}(x)\)
=(式5)

まとめると、

\(f_{n+m}(x)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f_n(x)f_m(z-x)dx \)
畳み込み積分すると和のすればよいという面白い結果になります。

➂畳み込み積分(X-Y=Z)は計算できない

 

X+Y=ZからX-Y=Zに変えますが、解き方は全く同じです。でも端折らずに解説します。統計学は途中経過を端折ると読者が困ってしまいますから。

計算は途中で終わりますが、そこまではやってみましょう。
計算ができない問いは教科書に出て来ませんが、それでは理解が十分できません。

例題

2つの関数
●\(f_n(x)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}x}\) (\(x\) ≥ 0)
●\(f_m(y)\)=\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} y^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}y}\) (\(y\) ≥ 0)
において、Z=X-Yを満たす確率密度関数\(h(z)\)を作れ。

難しい!と思ってしまいますが、落ち着いて解きましょう。次の3stepで解いていきます。

  1. 畳み込み積分の式を作る
  2. 積分区間を確認(ここが一番難しい)
  3. 積分区間の場合分けに合わせて丁寧に計算

解法step1(畳み込み積分の式を作る)

\( h(x)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f(t)g(t-x)dt \)

\((t)-(t-x)=x\)の関係が成り立っています。

解法step2(積分区間を確認)

x,yの制約条件は 0 ≤ x ≤ T, 0 ≤ yです。

領域を図示します。

畳み込み積分3-1

その領域内で z=x-yを考えます。

z=x-yをy=x-zとして、xy平面で傾き1,y切片-zの直線を考える
畳み込み積分2-5
y=x-zが積分領域内にどう入るかによって場合分けを網羅する!

すると、下図のように積分パターンは2パターンに場合分けされます。

畳み込み積分3-5

●①は(x,y)=(0,0)以上 (つまり0 ≤ z)なので、図のように、x=0~∞の区間で積分
●➁は(x,y)=(0,0)以下(つまりz ≤ 0)で、図のように、x=-z~∞の区間で積分

難しそうに見えますが、この場合分けも高校数学、領域のところで学ぶ内容です。

解法step3(積分計算)

積分区間の場合分けに関係なく、積分が途中までしかできないので、積分区間は全領域[o,∞]の場合のみについて、畳み込み積分をします。

\( h(z)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f_n(x)f_m(x-z)dx \)
\(= \displaystyle \int_{0}^{\infty } f_n(x)f_m(x-z)dx \)
\(=\displaystyle \int_{0}^{\infty } \)\(\frac{1}{2^{\frac{n}{2}}Γ(\frac{n}{2})} x^{\frac{n}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}x}\) \(\frac{1}{2^{\frac{m}{2}}Γ(\frac{m}{2})} (x-z)^{\frac{m}{2}-1} e^{-\frac{1}{2}(x-z)} dx\)
=(式1)

xに関係のない、定数項やzを∫の前に出しましょう。
(式1)
\(= \frac{1}{2^{\frac{n+m}{2}}Γ(\frac{n}{2})Γ(\frac{m}{2})} e^{\frac{1}{2}z}\)\(\displaystyle \int_{0}^{\infty } \)\( x^{\frac{n}{2}-1} (x-z)^{\frac{m}{2}-1} e^{-x}dx\)
=(式2)

実は、(式2)の
\(\displaystyle \int_{0}^{\infty } \)\( x^{\frac{n}{2}-1} (x-z)^{\frac{m}{2}-1} e^{-x}dx\)
がこれ以上解析できません。

なので、ここまでで終わってしまいます。

まとめると、

畳み込み積分は1つの解法で、さまざまな分布関数を代入できるのですが、積分ができる・できない場合があります。教科書では、積分ができる場合のみ解説していますが、事例が少ないため理解が十分できない問題があります。

QCプラネッツでは積分ができない場合も記事で解説しています。

いろいろな関数を使って畳み込み積分を見て慣れていきましょう!

本記事の内容は、ほぼ高校数学で解けましたね!

まとめ

「畳み込み積分がよくわかる(畳み込み積分がよくわかる(正規分布と指数分布)」を解説しました。

  • ①畳み込み積分とは
  • ➁畳み込み積分(X+Y=Z)
  • ➂畳み込み積分(X-Y=Z)は計算できない


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