品質の監査員の階級を作る方法がわかる
「品質の監査リーダーになれる条件をどう決めてよいかがわからない」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①監査員は3つの階級で分ける
- ②階級を上げる基準は自分で決めてよい
- ③監査員は毎年追加すべき
①監査員は3つの階級で分ける
ISOや外部審査の認証機関は2つの階級に分けていますが、実務経験上、監査員は3つの階級に分けた方がよいです。
監査員の階級
階級 | 監査員 | レベル | 第一者 監査 |
第二者 監査 |
第三者 監査 |
1 | 見習い 監査員 |
監査に同席、 記録係 |
● | ● | なし (研修) |
2 | 覚えたて 監査員 |
監査質疑・ 評価できる |
● | ● | ● |
3 | 監査 リーダー |
監査をまとめる | なし (品管) |
なし (品管) |
● |
見習い監査員
自主的に実施する第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)はOJTの方が効果は高いので、時間かけて研修するよりは、実践ベースで見まねしてもらった方が力量向上は早いです。
通常業務で多忙な人に監査員を依頼するので、品質監査を勉強や研修する時間がそんなに取れません。しかも、質疑・評価は簡単ではないため、座学より実践で理解した方がよいでしょう。そのために、「見習い監査員」として同席して体験してもらいます。
一方、第三者監査(外部審査)は認証機関側なので、しっかり研修させてから、監査にのぞみます。
監査リーダー
自主的に実施する第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)のとりまとめは、品質管理部門が事務局としてリーダシップを発揮します。
一方、第三者監査(外部審査)では、認証機関側の監査リーダ1名が各組織の審査を取りまとめます。
監査員階級の定義の注意点
監査員の階級は上表の「●」のように2つですが、
第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)と
第三者監査(外部審査)
では若干定義が違います。3段階に分けて解説しました。
・監査員⇒見習い監査員(監査記録だけ、質疑しない)
・監査リーダー⇒覚えたて監査員(質疑、評価する)
・監査員⇒覚えたて監査員(質疑、評価する)
・監査リーダー⇒監査リーダー(質疑、評価する、全体をとりまとめる)
ISO(ISO9001,ISO19011)では、「監査員」と、「監査チームリーダ」の2段階に使い分けていますが、「第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)」と「第三者監査(外部審査)」では若干定義が異なる点に注意しましょう。
②階級を上げる基準は自分で決めてよい
監査員に階級があるのがわかりますが、階級を上げる基準はどう定義したらよいか?考える必要があります。
ISO(ISO19011)には階級の上げ方は書いていない
実際の要求事項を列挙します。
(略)
・3.14 監査チーム
注記1 監査チームの中の一人は,監査チームリーダー。
(略)
・7.2.3 知識及び技能
監査チームリーダーは,監査チームに対してリーダーシップを発揮するのに必要な付加的な知識及び技能を有する
(略)
・7.2.3.4 監査チームリーダーの共通的な力量
a) 監査を計画し,監査チームメンバーへ業務を割り当てる。
b) 被監査者のトップマネジメントと意見交換する。
(リスク及び機会による課題を評価するため)
c) 監査チームメンバー間に協力的な業務関係を構築・維持
d) 次の事項を含む監査プロセスをマネジメントする。
− 監査中に資源を有効に利用する。
− 監査目的を達成することの不確かさをマネジメントする。
− 監査中の監査チームメンバーの安全衛生を保護する。
− 監査チームメンバーを指揮する。
− 訓練中の監査員を指揮及び指導する。
− 監査中に発生し得る利害抵触及び問題を防ぎ,解決。
e) 監査チームを代表する。
f) 監査チームを導いて,監査結論に達する。
g) 監査報告書を作成し,完成する。
ISO19011の監査チームリーダーへ要求事項は、
●やるべき業務とその業務ができる能力
しか書いていません。
誰がどのように昇格してよいかも書いていない
「困った!」どうしましょう?
基準は自分で決めてよい
ISOに書いていない場合は、基本的には「自分で定義してOK」です。
自分で決める場合は、
・決めやすい基準を見つける
・教育や研修を検討する
・有限なリソースの範囲でできることを探す
くらいですね。
具体的には、次の基準が考えられます。
- 監査出席回数
- 役職、本業の力量
- 監査関連の教育・研修受講歴
- 監査員昇格試験・面接(ここまでやる余裕はないけど)
監査員の理想を考えながら、組織内でできる範囲でリーダーになれる条件を決めたらよいでしょう。運営しながら改善していけばOKです。
監査員として昇格したい工夫も大事
監査員って、基本的には、やりたくない業務です。 やりたくないことをさらにリーダーまでやって!となったらみんな拒否します。
確かに、監査出席回数が多く、監査の雰囲気がつかめた人に、監査リーダーをやって欲しいですが、
やりたい人(少数)と
やりたくない人(多数)に
分かれるので、その人をよく観察して、やってもいいよ!な人だけリーダーへ依頼しましょう
でも、仕組みと運用は別物
ここが、とりまとめ側の腕の見せ所です。
③監査員は毎年追加すべき
監査員、監査リーダーの基準を作ったのはよいとしても、監査員リソースが十分にないと運用できません。監査員は増やしていく前提で考えましょう。
監査員あるある
転勤、定年退職、部門長への昇進があり、
監査員ができなくなることが多いです。
なので、昇格を考えつつ、新しい人へ監査員依頼することも大事です。
監査リーダーまで数年かかる
年1回で、監査体験も多くて3回くらいしかありません。監査質疑レベルになるには、もっと経験を積む必要があります。そうなると3年くらいは見習い監査員として参加してもらってからのリーダー昇格になります。
一気にまとめてたくさん経験させてもよいですが、数年の監査の流れを経験する方が大事です。
監査員スタートから監査リーダーまで5年くらいかかる感じです。なので、50代の人へ監査員依頼するとリーダー時には定年になります。
監査員は経験が必要とはいえ、3,40代の中堅を増やした方がよいです。
監査リーダになった時に居なくなる
転勤、定年退職、部門長への昇進は常にあると心得ておきましょう。
戦力になる人は、どこでも戦力になるから仕方がありません。
複数人を同時に監査リーダーへ育成するように、監査体験させる必要があります。
監査員を毎年増加して育成し続ける
30部門程度ある大きな組織に必要な、品質監査員は20人(リーダー5人、監査員15人)くらいです。
その中には、
・監査NGな人(やる気がない、ズレた質疑する)
・業務が多忙で手が回らない人
・転勤、退職、休職する人
など、いろいろいます。
1人1人に強い思いをもって監査員育成せずに、束で育成計画を見ていく方がよいです。ある程度は監査員として継続しない人がいるという気持ちでいるとよいでしょう。
まとめ
品質の監査員の階級を作る方法をわかりやすく解説しました。
- ①監査員は3つの階級で分ける
- ②階級を上げる基準は自分で決めてよい
- ③監査員は毎年追加すべき
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