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取引先監査の監査する側・される側の関係がわかる

第二者監査(取引先監査)

「取引先監査やれって頼まれちゃったけど、不安だよ」、「顧客から監査するって言われたけど」と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

取引先監査の監査する側・される側の関係がわかる
  • ①最もやりたくない監査
  • ②取引先監査当日の注意点
  • ③取引先監査を成功させるポイント

①最もやりたくない監査

第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)、第三者監査(外部審査)と3種類ありますが、第二者監査(取引先監査)が最もやりたくないですね。

顧客(購買先)が販売元に出向いて、品質監査をやる監査ですから。

  • 販売元はできれば避けたい
  • 顧客(購買先)も監査担当者は面倒くさいのでやりたくない
  • 両者の品質管理担当は責任が無いので、モチベーションも低い

顧客が販売元をチェックするのは、品質管理としては重要ですが、実際やれってなると嫌ですね。その理由や現状を解説していきます。

個人的には、他社を見る良い機会ですけど。

ISOに書いているが、強制力はない

ISO19011には、監査の種類と実施が書いていますが、書いているだけで、取引先監査の義務や強制力はありません。「両者の合意のもとで」なのでしょう

監査される側は嫌がる

そりゃ、嫌ですよね。

ただでさえ、QCDに無茶いう顧客なのに、彼らが自社に乗り込んで監査するっていうわけですからね。監査した結果、何かアメでもないと、やってられませんよね。

よっぽど、へまをやった(品質不正やった、顧客に相当の被害や迷惑をかけてしまった)があれば、受け入れる理由がありますが、

監査する方も面倒くさい

実は、顧客側も、「面倒くさい」んですよ。

なぜなら、経営陣や管理職が取引先監査やって来い!と指示されたからとか
監査する本人は直接、販売元から損を受けた関係ではないので、ただの事務業務として扱うからです。

品質管理担当が取引先監査やればいいじゃん! 確かに監査する力量はあるのですが、品質管理側は組織の中でも独立した立ち位置なので、購入側・販売側のどちらの利害関係はありません。だから、モチベーションが低いのです

「品管として、監査をやりました!」くらいな感じです。

普段、購買側、販売側両者が集まって監査することは少ないため、
取引先監査は貴重です。
監査するには、互いに大きなメリットがあるといいのですが、
どうすればよいかを考えましょう。

②取引先監査当日の注意点

第一者監査(内部監査)、第二者監査(取引先監査)、第三者監査(外部審査)とありますが、大きく違う点があります。

  1. 第一者監査(内部監査)は「性善説」を優先
  2. 第二者監査(取引先監査)は「性悪説」を優先
  3. 第三者監査(外部審査)は「性善説」を優先

第二者監査(取引先監査)は、相手との関係性を良くしたい点がメインですが、
基本は相手を疑うことが重要です。なぜなら、不都合なことは隠すから

ここが、自社を診る、内部監査と外部審査の違いです。

  1. 被監査側は都合のよい所しか見せない、言わない
  2. でもそれが正しいなら、品質トラブルにならないはずだが
  3. 監査側は要求をはっきり言う
  4. 両者が決裂したら、販売先を変えればいいだけ

取引先監査自体はお金の流れが無いため、監査側も被監査側も対等です。言いたいこと言いましょう。

被監査側は不都合なことは隠す

監査は本来、相手の良いところを探すものですが、
取引先監査は不備やトラブルが原因で実施するため、
性悪説でのぞみます。

よって、普段相手を疑うことはしませんが、取引先監査は別人格でのぞみます。でも、喧嘩や挑発はNGです。顧客側として、こうして欲しいと率直に伝えるのが目的です。

監査でのぞむべきポイントは

  1. 一番できの良いロットしか見せない
  2. 都合のよい文書やプロジェクト記録しか見せない
  3. 工場現場見学は基本NG。OKな場合でも良い所しか見せない
  4. 都合のよい回答しかしてこない

●逆に、監査される側に立てば、不都合な事実は無くても、うまく伝わらないことが原因で改善をあれこれ指示されたくはありません。また、自社では問題が起きていないことでも、NGと監査されて無理矢理な改善要求はされたくはありません。

●さらに、監査する・される両側をはさむ独立な立場の人はいませんので、揉め事に発展する危険性があります。

互いに相手を配慮しつつ、変な指摘がされないよう守る事も大事です。

監査側が見たいところをはっきり要求する

相手が100%対応してくれるかはわかりませんが、監査に来た以上、監査したい目的や、気になる所ははっきり伝えましょう。監査される側からは、「こういうのが気になる相手だ」と伝わるからです。

この取引先監査は、
減点方式なので、高評価されない監査です。よって、モチベーションは上がりません。
●ちゃんとできていれば、減点0
●不備があれば減点
○良い事例があっても加点されない。

テンションが上がらない監査なので、相手への要求は明確に伝えるべきですが、言い方は注意しましょう。高圧的な言い方ではなく、お願いする体がよいでしょう。

被監査側が説明しない所をよく見る

相手先に行ったら、説明されないところをよく見ておきましょう。説明されない所や、非言語的な情報から相手先の品質レベルがわかるからです。

  1. 事務所や工場にゴミが落ちたまま
  2. なんか埃っぽい
  3. なんか暗い(雰囲気、照明)
  4. そこで働いている人の表情
  5. 整理整頓できていない所がある
  6. 管理要な薬品・劇薬の管理状況

説明されない所や、非言語的な情報から、相手の不備や改善要求点が見えます。直接伝えてもいいし、これらと監査チェックリストを絡めて指摘するのもよいでしょう。

三現主義(現実、現物、現場)を見ると、ほぼ相手がわかる

③取引先監査を成功させるポイント

相手との関係性、取引額、監査のモチベーションなどが交錯する監査なので、実施するだけでも大きな成果です。成功させるポイントを解説します。

  1. 監査員の育成
  2. スムーズな監査
  3. 良好な関係を構築

監査員の育成

社内から監査員を数名選抜して、育成する必要があります。品質管理担当が主にやりますが、品質管理部門は組織内で独立した位置にあるので、販売側・購入側間の利害の程度が小さいです。他人事のように監査する可能性があります。

購買品を直接扱う、営業や技術が監査して、直接ダメージを受けた相手を監査した方が、高いモチベーションで臨めるはずです。

取引先監査は運営や質疑が難しいので、
組織内の内部監査で十分経験を積んでから取引先監査員
として育成するとよいです。
組織内の多くの人に監査できる力をつけると、内部監査や取引先監査できる人が増えて、強い組織ができます。

内部監査員を組織内でたくさん作る理由の1つに、取引先監査の実施があります。

スムーズな監査

互いの言い分や、攻防がありますが、心を開かないと、相手も心を開きません。

監査の前の、よい空気を作ることが大切です。
「いつもありがとうございます。」
「今回は、こういう理由で、もっとよくしたいから、監査させていただきます。」
「今後もっと良い関係にしたいので今日1日よろしくお願いいたします。」
「自社は最近○○で、○○なんですよ」とか
「共通の世間話でもいい」

監査の質疑の合間にも、相手を配慮するような言い方とか、相手が得するような提案をすると、相手も自分ことをよく考えてくれているなとして、本音がポロっと言ってくれるかもしれません。

相手の本音は、ツッコむのではなく
互いの良好な関係維持につながる連結器ととらえておく

記録に書かず、口頭で、こんなこと言っていましたよ。くらいの報告でよいでしょう。

良好な関係を構築

取引先監査の目的は、

両者のWIN-WINな関係を強固にすること

●改善した方がベターなものははっきり伝えましょう。
●せっかく相手と話せる機会なので、相手の価値観や考え方を共有しましょう。
●相手の良い点は自組織に取り込んでもよいでしょう。

良い印象がある相手なら、「がんばろう!」となるはずですし、その逆もあります。

人 対 人 の監査なので、心が通う良い関係になった方が、得です。

海外の場合は、性悪説がベースなので、契約や罰金で縛りますが、本来は心通う人同士のつながりなので、良い関係で悪い事はありません。

以上、取引先監査の両者の関係を解説し、他の内部監査や外部審査よりレベルが高い監査であることがわかりました。

まとめ

取引先監査の監査する側・される側の関係をわかりやすく解説しました。

  • ①最もやりたくない監査
  • ②取引先監査当日の注意点
  • ③取引先監査を成功させるポイント


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