畳み込み積分がよくわかる(一様分布どうし)
「畳み込み積分が、わからない、解けない?」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①畳み込み積分とは
- ➁身近な畳み込み積分の事例
- ➂畳み込み積分(一様分布、離散系の場合)
- ➃畳み込み積分(一様分布、連続系の場合)
①畳み込み積分とは
まず、「畳み込み」でつまづく。。。
畳を込む、積分?
寝ようか?。。。 となっちゃう!
なので、まず定義でつまづきます。さらに、言葉の定義と計算式の定義とリンクしないので、思考停止状態になります。
分布関数を足すために大事な計算!
自分で分布関数を作ったり、信頼性工学などに出て来るガンマ分布のように、
いくつかの分布関数を足し合わせていくプロセスが必要になります。
畳み込み積分の定義
実際の式はこれですね。
ここで、わかりにくいのが、
\((t)+(x-t)=x\)の関係性を抽象的に説明すると、理解できないので、身の回りの事例を紹介します!
➁身近な畳み込み積分の事例
2つ紹介します! 意外な2つです!
展開式の項
さて、問題です。次の式を展開して各係数を求めましょう。高1レベルです。
\((a_3 x^3+ a_2 x^2+ a_1 x^1+ a_0)(b_2 x^2+ b_1 x^1+ b_0)\)
普通に展開すればOKなので、係数表を作ります。
指数 | 係数 | 係数のNoの和 |
\(x^5\) | \(a_3 b_2\) | 3+2=5 |
\(x^4\) | \(a_3 b_1+a_2 b_2\) | 3+1=4,2+2=4 |
\(x^3\) | \(a_3 b_0+a_2 b_1 + a_1 b_2\) | 3+0=3,2+1=3,1+2=3 |
\(x^2\) | \(a_2 b_0+a_1 b_1\) | 2+0=2,1+1=2 |
\(x^1\) | \(a_1 b_0+a_0 b_1\) | 1+0=1,0+1=1 |
定数 | \(a_0 b_0\) | 0+0=0 |
普通に展開しただけですが、係数のNoを見ると、すべての合計が指数の値に一致しており、
\(a_t b_{x-t}\)の関係になっていますね。
このイメージで畳み込み積分に入りましょう。
サイコロ2つ振って出た目の和とその確率の問題
さて、高1レベルの問題です。
確率の計算をすればOKですよね。1つ目のサイコロの出る目をX,2つ目のサイコロの出る目をYとしすると求めたい確率の式はどうなりますか?
P(Z=X+Y) = P(X)×P(Y) ですよね! これは簡単! で、式を書き直すと
P(Z) = P(X)×P(Z-X) で、確率は和を求めるので、
∑P(Z) = ∑P(X)×P(Z-X)
とすると、
X,Z―Xとなっているし、∑や∫に変えると、畳み込み積分の式になります。
高校数学レベルから入ってイメージするとわかりやすいです。
では、畳み込み積分やっていきますね。
➂畳み込み積分(一様分布、離散系の場合)
確率分布は、
●正規分布
●ガンマ分布
…
●自作の分布
などたくさんありますが、ここでは、一番基本的な「一様分布どうしの畳み込み積分」を解説します。ここが分かったら、確率分布関数をいろいろ変えていけば応用できます。
先のサイコロの出る目について、離散系と連続系の両方を計算して結果を比較してみましょう。
例題
一方、連続系の一様分布の場合は、例題の文章を変えます。
\(f(x) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ x ≤ 6) それ以外0
\(g(y) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ y ≤ 6) それ以外0
において、x+y=zにおける確率分布関数h(z)を作れ。
随分文章が違いますが、内容は一緒です。要は、
サイコロの目は1,2,3,4,5,6で等確率1/6であるが、
関数は0~6までの区間はすべて1/6という違いだけです。
解法1(離散系の場合)
目の和Zは2~12まで出ますよね。それぞれの確率を計算すればOKです。下表にまとめます。
X+Y=Z | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
確率 | 1/36 | 2/36 | 3/36 | 4/36 | 5/36 | 6/36 | 5/36 | 4/36 | 3/36 | 2/36 | 1/36 |
グラフで見ると、直線が尖った感じになります。
➃畳み込み積分(一様分布、連続系の場合)
例題の文章を再掲します。
\(f(x) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ x ≤ 6) それ以外0
\(g(y) = \frac{1}{6} \) (0 ≤ y ≤ 6) それ以外0
において、x+y=zにおける確率分布関数h(z)を作れ。
慌てないで!! 絶対解ける解法があります。ご安心ください
- 畳み込み積分の式を作る
- 積分区間を確認(ここが一番難しい)
- 積分区間の場合分けに合わせて丁寧に計算
連続関数で畳み込み積分する場合はすべて上の3つの流れで解いていきます。
1.畳み込み積分の式を作る
定義どおり書きます。
2.積分区間を確認(ここが一番難しい)
領域を図示します。
その領域内で z=x+yを考えます。
すると、下図のように4パターン積分区間が変わります。
●①は(x,y)=(6,6)より上(つまり12 ≤ z)で、積分領域外なので、h(z)=0
●➁は(x,y)=(0,6)以上①以下(つまり6 ≤ z ≤12)なので、図のように、x=z-6~6区間で積分
●➂は(x,y)=(0,0)以上①以下(つまり0 ≤ z ≤6)なので、図のように、x=0~z区間で積分
●➃は(x,y)=(0,0)以下(つまりz ≤ 0)で、積分領域外なので、h(z)=0
という4つの場合分けをして、畳み込み積分をします。
難しそうに見えますが、この場合分けも高校数学、領域のところで学ぶ内容です。
3.積分区間の場合分けに合わせて丁寧に計算
①12 ≤zのとき
積分領域外なので、h(z)=0
➁6 ≤ z ≤12のとき
\( h(z)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f(x)g(z-x)dx \)
=\(\displaystyle \int_{z-6 }^{6} \frac{1}{6} \frac{1}{6}dx \)
=\(\frac{1}{36} \left[ x \right]_{z-6}^6\)
=\(\frac{1}{36}(12-z)\)
➂0 ≤ z ≤6のとき
\( h(z)= \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f(x)g(z-x)dx \)
=\(\displaystyle \int_{0}^{z} \frac{1}{6} \frac{1}{6}dx \)
=\(\frac{1}{36} \left[ x \right]_0^z\)
=\(\frac{1}{36} z\)
①z ≤0のとき
積分領域外なので、h(z)=0
まとめると下図になります。
➂の離散系と結果を比較しましょう。
雰囲気はよく似ていますよね。離散系と連続系との比較をすると理解度が高まります!
いろいろな関数を使って畳み込み積分を見て慣れていきましょう!
本記事の内容は、ほぼ高校数学で解けましたね!
まとめ
「畳み込み積分がよくわかる(一様分布どうし)」を解説しました。
- ①畳み込み積分とは
- ➁身近な畳み込み積分の事例
- ➂畳み込み積分(一様分布、離散系の場合)
- ➃畳み込み積分(一様分布、連続系の場合)
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119