管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき記事
管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」、などと困っていませんか?
こういう期待に答えます。
本記事のテーマ
管理図を描くのは簡単ですが、
管理図は役に立たないと思う人も多いでしょう。
管理図の特性と注意点を解説します。
管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思う理由
次の4つがあると考えます。
- 管理図のメリットが感じないから
- 管理限界外があっても原因がわからないから
- 異常があっても管理図ではわからない場合があるから
- 管理図の評価と検査結果が一致しないから
それぞれの理由の背景と対策を解説します。
- ①管理図はそもそも必要なのか?
- ②管理限界外があっても原因がわからない
- ③異常があっても管理図ではわからない場合がある
- ④管理図の評価と検査結果が一致しない
記事の信頼性
記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。
●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。
①管理図はそもそも必要なのか?
管理図の御利益を簡単に考えると、3つあります。
- 管理図を描くと、工程異常がはっきりわかる
- 長期間にわたりグラフ化すると、どこで異常が出たか?出やすいかがわかる
- 異常時の処置方法や処置対応したかどうかチェックしやすい
毎日、同じモノを製造、購買しても、いろいろ変化します。
●そのモノの品質特性のばらつき
●担当者、機械、測定のばらつき
●天変地異、季節などの外的環境の変化
…
●いつも違う傾向がみられる
●偏った傾向が出始める
などを長期間、可視化できるツールを共有しておけば、異常時の処置、異常が起こるパターンなどがわかり、現場は冷静に判断できます。
管理図の管理初期は、管理図の価値があまり無いと感じやすいでしょうが、異常・事故・不適合に遭遇した場合、後から振り返るときに工程管理の観点から役立つツールになります。
②管理限界外があっても原因がわからない
これは、2つケースが考えられます。
- 原因特定する風土が社内に無い
- 管理図の描き方が良くない
原因特定する風土が社内に無い
管理図から異常があるのは明らかであるが、原因を特定しようとしないから、原因がわからない!
場合です。
管理図ツールより、社内の問題です。
原因を特定しようと動かない理由
- 責任と権限が不明確
- 異常処置する風土が無い
上の2つを解決すれば、異常処置を社内で対処する動きが生まれます。ただし、これは2つやることがあります。
②モチベーションアップ
責任と権限を明確に与える
異常処置の担当者、責任者を明確化し、彼らに権限を与えることです。
処置をしなければならない強制力と、処置方法は彼らに任せる自由度を社内のトップが決めて、サポートすることが必要です。
トップの指示で担当者・責任者を任命し、社内規定・ルールにどの部門のどの役職者をアサインするかを明確化します。
まず、社内の仕組みができました。しかし、これだけでは、「やらされ感」満載なので、社員自ら異常処置する動機付けが必要です。
異常処置する風土を作る
やりたくないことをやりたくなるようにするにはどうすればよいか?を考えましょう
②下の良い動きを褒める
③良い事例を展開して競争させる
●まず、異常処置を対処するトップの姿勢がないと、誰も動きません。
●次に、やりたくないことなので、「褒める、評価する、成績に反映する」ことが大事ですね。
●そうすれば、社員のモチベーションアップにつながり、少しずつですが、異常処置への行動が加速されます。
管理図の描き方が良くない
●2つ問題があります。
- データのまとめ方が良くない可能性
- 層別の仕方が良くない可能性
データのまとめ方が良くない可能性
データのまとめ方が良くない可能性があります。縦軸、横軸の設定、全データのうち、どのデータをサンプリングして管理図に載せたのか?などをチェックしましょう。管理図の設計が妥当なのか?を担当者間で確認が必要です。
層別の仕方が良くない可能性
層別の仕方が良くない可能性があります。工程、工場、機械、人、日など層別する変数はいろいろありますが、どの変数で層別するかによって、管理限界線(LCL,UCL)の位置が変化するため、管理図の正常・異常の結果は変わります。いくつか管理図を作って、ターゲットとなる工程異常がわかりやすい変数で層別した方が良いでしょう。
③異常があっても管理図ではわからない場合がある
異常があるのに、管理限界外に飛び出さない理由は2つあります。
- 第2種の誤りが数%あるので仕方がない
- 管理図の管理限界幅が広い
第2種の誤り
これが、第2種の誤りですね。関連記事にも解説しています。
【必読】管理図の第1種の誤りと第2種の誤り(検出力)がわかる 管理図において、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力の関係について説明できますか?本記事では、管理図から、第1種の誤り、第2種の誤り、検出力を求める方法を詳細に解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。 |
管理図から異常が出ない場合は、他から異常が発見されることになります。第2種の誤りが確率として数%はあるため、仕方がないとして対処しましょう。
管理図の管理限界幅が広い
管理限界幅が広いと、異常となりにくいですね。各管理図の管理限界を決める変数は、群内のサンプル数nで変化するため、どのnがベストかを関係者で協議した方がよいでしょう。
なお、変数については関連記事をご覧ください。
【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。 |
④管理図の評価と検査結果が一致しない
よく、混同しますが、
●検査結果、出荷合否判定するもので、検査基準で合否を決めるべき
工程が標準通りであれば、不良品が出ても、現場の責任でありません。製造、材料、設計、機械など他の原因を調べるべきです。
製品合格率が低下する原因の1つには、管理図からわかる工程管理の不備がありますが、管理図で検査結果はわかりません。
本記事の結論
まとめます。
- ①管理図はそもそも必要なのか?
⇒管理図のメリットを理解する - ②管理限界外があっても原因がわからない
⇒異常処置するよう社内の活性化と管理図の設計が重要 - ③異常があっても管理図ではわからない場合がある
⇒第2種の誤りを考慮しつつ、管理図の設計を見直す - ④管理図の評価と検査結果が一致しない
⇒管理図と品質検査は別物
まとめ
管理図は「使えない、役に立たない、使い道がない」と思ったら読むべき内容を解説しました。
- ①管理図はそもそも必要なのか?
- ②管理限界外があっても原因がわからない
- ③異常があっても管理図ではわからない場合がある
- ④管理図の評価と検査結果が一致しない
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