投稿者: QCプラネッツ

  • 【信頼性工学】ワイブル分布がわかる

    【信頼性工学】ワイブル分布がわかる

    「ワイブル分布が難しくて、よくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【信頼性工学】ワイブル分布がわかる
    • ①確率密度関数を導出するモデルを理解する
    • ➁ワイブル分布とは
    • ➂故障率λの計算
    • ➃ワイブル分布の期待値と分散の計算
    • ➄故障率曲線との関係
    信頼性工学は数学を駆使する!
    数学も身につけよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    本物の「信頼性工学」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、本物の信頼性工学を学びたい方におススメです。
    【QC検定®合格】「信頼性工学」問題集を販売します! ①QC検定®頻出問題、➁確率分布と順序統計量、➂各確率分布における故障率、➃点推定と区間推定、➄直列系、並列系、待機系、多数決系、⑥独立系と非独立系、⑦アベイラビリティ、⑧確率紙、⑨打切りデータ、⑩信頼性工学と抜取検査の組合せ、10章全54題。しっかり勉強しましょう。

    ①確率密度関数を導出するモデルを理解する

    故障率は指数分布だけではない

    特に信頼性工学の入門を解説している教科書やサイトは、

    信頼性工学=指数分布

    とインプットされがちです。

    でも、ちゃうで!(違うよ!)

    故障分布に合わせた確率密度関数を作る

    例えば、寿命試験結果が以下のヒストグラムになったとします。

    信頼性工学

    この図よく見ると、

    正規分布型ですよね!

    なのに、

    指数分布型の確率密度関数を導出する教科書がほとんど
    でも、ちゃうで!(違うよ!)
    それぞれの分布にあった確率密度関数を使って、寿命予測や故障率を計算しよう!

    分布の種類

    よく使う、確率密度関数で良いです。

    1. 一様分布
    2. 指数分布
    3. 正規分布
    4. ガンマ分布
    5. ワイブル分布

    ガンマ分布とワイブル分布は無理矢理感がありますが、信頼性工学でよく使います。

    大事なのは、

    分布関数で練習したら、あなたが使いやすい分布関数で信頼性を解析すればOK

    例えば、2次関数とかでも使ってもいいと思います。

    信頼性工学≠指数分布 をインプットしてください。

    では、個々の分布関数を見ていきます。

    ➁ワイブル分布とは

    ワイブル分布の確率密度関数の考え方

    ワイブル分布とは、

    変数\(t\)、定数\(α、β\)がともに正として、
    ●信頼度\(R(t)\)=\(exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    ●確率密度関数\(f(t)\)=\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    で表現される難しい関数

    ワイブル分布は指数分布から考えるとわかりやすい

    いきなり、
    ●\(R(t)\)=\(exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    ●\(f(t)\)=\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    と出されても、「何じゃこりゃ!」、「どこから出てきたん?」と思考停止になりますよね。

    なので、式のパーツをよく見ると
    ●\(exp(-t)\) (指数関数)
    ⇒●\(exp(-(\frac{t}{β})\) (定数\(β\)を導入して)
    ⇒●\(exp(-(\frac{t}{β})^α)\) (定数\(α\)乗も追加)
    と式を発展させていったと考えましょう。

    ワイブル分布の定数\(α\),定数\(β\)の意味

    \(f(t)\)=\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    の定数\(α\),定数\(β\)が
    ●\(α\)=1
    ●\(β\)=1
    のとき、
    \(R(t)\)=\(exp(-t)\)
    と指数分布になります。

    定数\(α\)の意味

    では、定数\(β\)=1を固定して、定数\(α\)の値を変えて、\(R(t)\)のグラフを見てみましょう。

    ワイブル分布

    定数\(α\)は指数乗に入る定数なので、
    信頼度を一気に下げるか、上げるかの調整をする定数と考えるとよいでしょう。

    定数\(β\)の意味

    では、定数\(α\)=1を固定して、定数\(β\)の値を変えて、\(R(t)\)のグラフを見てみましょう。

    ワイブル分布

    定数\(β\)は変数\(t\)との比として扱う定数なので、
    変数\(t\)の(主に時間の変化)と信頼度の値を調整するときに使う定数として考えるとよいでしょう。

    故障率\(λ(t)\)=\((\frac{t}{β})^α\)と\(t\)のべき乗として扱いたいときに使うのが、ワイブル分布とよく教科書に書かれますが、ピンと来ません。
    機械部品の故障や材料の故障を考えると、その理論やモデル式からワイブル分布を使いたい場合があります。
    ワイブル分布は図でイメージしにくいので、わかりにくくしている定数\(α\),\(β\)を1つずつ変化させてグラフを見て変化の仕方を見れば少し理解できるかと思います。

    信頼度\(R(x)\)と不信頼度\(F(x)\)の関係

    これ混同しがちなので、きちっと整理しましょう。

    信頼度はReliabilityと英語で書くので、信頼度\(R(x)\)と書きます。
    不信頼度は失敗のFailureを英語で使って、不信頼度(故障度) \(F(x)\)と書きます。

    そして大事な関係式があります。簡単です!

    \(R(x)\)+ \(F(x)\)=1
    \(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)=-\(\displaystyle \frac{dF(x)}{dx} \)
    (\(\)R(x)=1-\(F(x)\)の式を両辺\(x\)で微分)

    また、

    \(f(x)=\displaystyle \frac{dF(x)}{dx} \)=-\(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)

    も成り立ちます。よく使いますが、頭が混乱しやすいので整理して理解しましょう。

    ➂故障率λの計算

    故障率とは、\(f(x)\)と\(R(x)\)との比で計算します。ワイブル分布の場合、

    変数\(t\)、定数\(α、β\)がともに正として、
    ●信頼度\(R(t)\)=\(exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    ●確率密度関数\(f(t)\)=\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    で表現される難しい関数

    機械的に
    \(λ(t)\)=\(f(t)/R(t)\)をします。

    \(λ(t)\)=\(f(t)/R(t)\)
    =\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}exp(-(\frac{t}{β})^α)\)/ \(exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    =\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}\)
    となります。

    ここで、定数\(α\)の値によって、故障率曲線の特徴が3つに分けられます。これはあとで解説します。

    ➃確率密度関数の平均と分散の計算

    ガンマ関数は名脇役!

    先に書いて復習しましょう。関連記事でも解説しています。ご確認下さい。

    ガンマ関数がよくわかる(その2_大学数学編)
    ガンマ関数がさらっと解けますか?本記事では、ガンマ関数の性質とベータ関数との関係式を高校数学を駆使してわかりやすく解説しています。ガンマ関数に慣れずに苦戦している人は必読です。

    大事なのは、

    \(Γ(s)= \displaystyle \int_{0}^{∞} x^{s-1}e^{-x} dx\)=\((s-1)!\)
    \( \displaystyle \int_{0}^{∞} x^{s-1}e^{-x} dx\)の形が出たらガンマ関数に持ち込むことが大事!

    期待値E[\(x\)]の計算

    期待値E[\(x\)]は
    期待値E[\(x\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x f(x) dx\)
    です。積分範囲は正になるので、[0,∞]でOKです。

    さて、問題なのが、\(f(x)\)
    \(f(t)\)=\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    に\(x\)をかけて積分するのが大変! っていうか積分できるの?

    積分できます!お任せ下さい!

    やってみましょう。

    ●E[\(x\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x \frac{α}{β}(\frac{x}{β})^{α-1}exp(-(\frac{x}{β})^α) dx\)
    =(式1)
    結構しんどそうな式ですね。

    どうやって積分します?

    よく見ると、
    \( x exp(-x)dx\)で、\(exp\)の中が\((\frac{t}{β})^α\)と厄介なので、\(u=(\frac{t}{β})^α\)と丸ごと置換してしまおう!作戦で積分します。

    \(t\)=\((\frac{x}{β})^α\)とおくと、
    \(\displaystyle \frac{dt}{dx} \)=\(\frac{α t^{α-1}}{β^α}\)より、
    \(\displaystyle dt\)=\(\frac{α t^{α-1}}{β^α}\displaystyle dx\)より、
    を(式1)に代入します。

    (式1)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x exp(-t) dt\)
    =(式2)
    とすっきりしますが、\(x\)が1つ残ってしまいます。

    \(x\)⇒\(t\)に変えるため、
    \(t\)=\((\frac{x}{β})^α\)
    から
    \(x\)=\(βt^{1/α}\)
    として(式2)へ代入します。

    (式2)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} βt^{1/α} exp(-t) dt\)
    はΓ関数を使うと、
    =\(βΓ(\frac{1}{α}+1)\)
    となります。

    できましたね!

    結果は、
    期待値E[\(x\)]=\(βΓ(\frac{1}{α}+1)\)

    分散の計算

    分散も計算が大変そうですが、期待値が計算できたら、意外と簡単にできます。

    期待値E[\(x^2\)]の計算

    期待値E[\(x^2\)]は
    \(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x^2 f(x) dx\)
    です。

    期待値E[\(x\)]と同様に置換積分で攻略します!

    ●E[\(x^2\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x^2 f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x^2 f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x^2 \frac{α}{β}(\frac{x}{β})^{α-1}exp(-(\frac{x}{β})^α) dx\)
    =(式1)

    \(t\)=\((\frac{x}{β})^α\)とおくと、
    \(\displaystyle \frac{dt}{dx} \)=\(\frac{α t^{α-1}}{β^α}\)より、
    \(\displaystyle dt\)=\(\frac{α t^{α-1}}{β^α}\displaystyle dx\)より、
    を(式1)に代入します。

    (式1)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} x^2 exp(-t) dt\)
    =(式2)
    とすっきりしますが、\(x^2\)が1つ残ってしまいます。

    \(x\)⇒\(t\)に変えるため、
    \(t\)=\((\frac{x}{β})^α\)
    から
    \(x^2\)=\(β^2 t^{2/α}\)
    として(式2)へ代入します。

    (式2)
    =\(\displaystyle \int_{0}^{∞} β^2 t^{2/α} exp(-t) dt\)
    はΓ関数を使うと、
    =\(β^2 Γ(\frac{2}{α}+1)\)
    となります。

    できましたね!

    分散V[\(x\)]の計算

    分散V[\(x\)]は
    分散V[\(x\)]= E[\(x^2\)]- E[\(x\)]2
    より、

    V[\(x\)]= E[\(x^2\)]- E[\(x\)]
    =\(β^2 Γ(\frac{2}{α}+1)\)-\((βΓ(\frac{1}{α}+1))^2\)
    =\(β^2 (Γ(\frac{2}{α}+1)- Γ(\frac{1}{α}+1))\)
    となります。

    できましたね!

    以上、まとめると、

    ワイブル分布の期待値と分散は、
    ●期待値E[\(x\)]=\(βΓ(\frac{1}{α}+1)\)
    ●分散V[\(x\)]=\(β^2 (Γ(\frac{2}{α}+1)- Γ(\frac{1}{α}+1))\)
    ワイブル分布は信頼性工学で頻出ですが、意外と期待値と分散の計算は難しいです。よく読んで解けるようになりましょう。

    ➄故障率曲線との関係

    故障率λの計算

    ➂で計算した通り、ワイブル分布の場合、

    \(λ(t)\)=\(f(t)/R(t)\)
    =\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}exp(-(\frac{t}{β})^α)\)/ \(exp(-(\frac{t}{β})^α)\)
    =\(\frac{α}{β}(\frac{t}{β})^{α-1}\)
    となります。

    ここで、定数\(α\)の値によって、故障率曲線の特徴が3つに分けられます。変数\(t\)の指数が\(α-1\)なので、以下の3つに分けられます。

    1. \(α-1\) < 0 ⇒ 初期故障期(DFR)
    2. \(α-1\) = 0 ⇒ 偶発故障期(CFR)
    3. \(α-1\) > 0 ⇒ 摩耗故障期(IFR)

    バスタブ曲線との関係を考えましょう。

    信頼性工学

    ここで、バスタブ曲線のタイプを3つに分けると

    1. \(α\) < 1 ⇒ 初期故障期(DFR)
    2. \(α\) =1⇒ 偶発故障期(CFR)
    3. \(α\) > 1 ⇒ 摩耗故障期(IFR)

    と分けることができます。

    公式を丸暗記せず、式を理解して故障の時間的関係を学んでいきましょう。

    まとめ

    「【信頼性工学】ワイブル分布がわかる」を解説しました。

    • ①確率密度関数を導出するモデルを理解する
    • ➁ワイブル分布とは
    • ➂故障率λの計算
    • ➃ワイブル分布の期待値と分散の計算
    • ➄故障率曲線との関係

  • 【信頼性工学】確率密度関数がわかる(正規分布)

    【信頼性工学】確率密度関数がわかる(正規分布)

    「信頼性工学で使う確率密度関数が難しくて、よくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【信頼性工学】確率密度関数がわかる(正規分布)
    • ①確率密度関数を導出するモデルを理解する
    • ➁確率密度関数が正規分布の場合
    • ➂故障率λの計算
    • ➃確率密度関数の平均と分散の計算
    • ➄故障率曲線との関係
    信頼性工学は数学を駆使する!
    数学も身につけよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    本物の「信頼性工学」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、本物の信頼性工学を学びたい方におススメです。
    【QC検定®合格】「信頼性工学」問題集を販売します! ①QC検定®頻出問題、➁確率分布と順序統計量、➂各確率分布における故障率、➃点推定と区間推定、➄直列系、並列系、待機系、多数決系、⑥独立系と非独立系、⑦アベイラビリティ、⑧確率紙、⑨打切りデータ、⑩信頼性工学と抜取検査の組合せ、10章全54題。しっかり勉強しましょう。

    ①確率密度関数を導出するモデルを理解する

    故障率は指数分布だけではない

    特に信頼性工学の入門を解説している教科書やサイトは、

    信頼性工学=指数分布

    とインプットされがちです。

    でも、ちゃうで!(違うよ!)

    故障分布に合わせた確率密度関数を作る

    例えば、寿命試験結果が以下のヒストグラムになったとします。

    信頼性工学

    この図よく見ると、

    正規分布型ですよね!

    なのに、

    指数分布型の確率密度関数を導出する教科書がほとんど
    でも、ちゃうで!(違うよ!)
    それぞれの分布にあった確率密度関数を使って、寿命予測や故障率を計算しよう!

    分布の種類

    よく使う、確率密度関数で良いです。

    1. 一様分布
    2. 指数分布
    3. 正規分布
    4. ガンマ分布
    5. ワイブル分布

    ガンマ分布とワイブル分布は無理矢理感がありますが、信頼性工学でよく使います。

    大事なのは、

    分布関数で練習したら、あなたが使いやすい分布関数で信頼性を解析すればOK

    例えば、2次関数とかでも使ってもいいと思います。

    信頼性工学≠指数分布 をインプットしてください。

    では、個々の分布関数を見ていきます。

    ➁確率密度関数が正規分布の場合

    モデル式から確率密度関数の導出

    よく使われるので、解説します。

    正規分布型になる場合のモデル式を考えます。個々の信頼性解析はそれぞれにふさわしいモデル式を作りましょう。

    モデル図を見ましょう。

    信頼性工学

    正規分布型の場合は、故障数の増え方からモデル化するのではなく、サンプル全体の故障確率を正規分布で考えてモデル式を立てます。ここが指数分布をモデル化する場合と大きく違う点です。

    ストレスストリングスモデル

    上図は「ストレスストリングスモデル」といいます。

    機械部品などの量産品を想定し、
    正規分布に従うと仮定した上で、
    正常に動作する範囲(R)の中で、異常動作する範囲(S)に入る
    確率を、故障確率とする考え方。

    微分方程式を作らず、正規分布前提で考えていきます。

    確率密度関数\(f(x)\)は密度関数\(F(x)\)の微分ですね。

    信頼度\(R(x)\)と不信頼度\(F(x)\)の関係

    これ混同しがちなので、きちっと整理しましょう。

    信頼度はReliabilityと英語で書くので、信頼度\(R(x)\)と書きます。
    不信頼度は失敗のFailureを英語で使って、不信頼度(故障度) \(F(x)\)と書きます。

    そして大事な関係式があります。簡単です!

    \(R(x)\)+ \(F(x)\)=1
    \(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)=-\(\displaystyle \frac{dF(x)}{dx} \)
    (\(\)R(x)=1-\(F(x)\)の式を両辺\(x\)で微分)

    また、

    \(f(x)=\displaystyle \frac{dF(x)}{dx} \)=-\(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)

    も成り立ちます。よく使いますが、頭が混乱しやすいので整理して理解しましょう。

    モデル式から確率密度関数の導出

    負荷と強度の正規分布の加法したものが確率密度関数になります。

    ●負荷側: N(\(μ_S, σ_S^2\))の正規分布
    ●強度側: N(\(μ_R, σ_R^2\))の正規分布
    を加法すると、
     N(\(μ_R―μ_S, σ_R^2 + σ_S^2\))の正規分布が確率密度関数になる。

    よって、

    \(f(z)\)=\( \frac{1}{\sqrt{2π(σ_R^2 +σ_S^2)}} exp{-\frac{(z-(μ_R-μ_S))^2}{2(σ_R^2 + σ_S^2)}}\)

    大事なのは、導出過程であるモデル式の立て方です。ここで、確率密度関数の型が決まります。関数の暗記ではなく、導出過程を理解しましょう。

    ➂故障率λの計算

    故障率とは、\(f(x)\)と\(R(x)\)との比で計算します。今回\(f(x))\)が正規分布なので、\(R(x)\)を可視化して確認しましょう。

    信頼性工学

    よって、λは

    λ=\(\frac{f(x)}{\displaystyle \int_{x}^{∞} f(t) dt}\)

    分母の\(\displaystyle \int_{x}^{∞} f(t) dt \)は積分できないので、正規分布表から値を読み取ります。

    ➃確率密度関数の平均と分散の計算

    期待値E[\(x\)]の計算

    期待値E[\(x\)]は
    \(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} x f(x) dx\)
    です。正規分布の期待値と分散は有名なので計算は割愛します。

    結果は、
    期待値E[\(x\)]=\(μ_R ― μ_S\)

    分散の計算

    分散V[\(x\)]は
    =\(σ_R^2 + σ_S^2\)

    です。

    以上、まとめると、

    ●期待値E[\(x\)]=\(μ_R ― μ_S\)
    ●分散V[\(x\)]=\(σ_R^2 + σ_S^2\)

    信頼性工学というよりは、正規分布の話なので、計算過程は教科書にも書いています。

    ➄故障率曲線との関係

    バスタブ曲線との関係を考えましょう。

    信頼性工学

    ここで、バスタブ曲線のタイプを3つに分けると

    1. 減少型 ⇒ 初期故障期(DFR)
    2. 一定型 ⇒ 偶発故障期(CFR)
    3. 増加型 ⇒ 摩耗故障期(IFR)

    と分けることができます。

    正規分布型だと、バスタブ曲線に合う型がないですね。
    暗記せず、式を理解して故障の時間的関係を学んでいきましょう。

    まとめ

    「【信頼性工学】確率密度関数がわかる(正規分布)」を解説しました。

    • ①確率密度関数を導出するモデルを理解する
    • ➁確率密度関数が正規分布の場合
    • ➂故障率λの計算
    • ➃確率密度関数の平均と分散の計算
    • ➄故障率曲線との関係

  • 【信頼性工学】確率密度関数がわかる(指数関数)

    【信頼性工学】確率密度関数がわかる(指数関数)

    「信頼性工学で使う確率密度関数が難しくて、よくわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【信頼性工学】確率密度関数がわかる(指数関数)
    • ①確率密度関数を導出するモデルを理解する
    • ➁確率密度関数が指数関数の場合
    • ➂故障率λの計算
    • ➃確率密度関数の平均と分散の計算
    • ➄故障率曲線との関係
    信頼性工学は数学を駆使する!
    数学も身につけよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    本物の「信頼性工学」問題集を販売します!

    QC検定®1級合格したい方、本物の信頼性工学を学びたい方におススメです。
    【QC検定®合格】「信頼性工学」問題集を販売します! ①QC検定®頻出問題、➁確率分布と順序統計量、➂各確率分布における故障率、➃点推定と区間推定、➄直列系、並列系、待機系、多数決系、⑥独立系と非独立系、⑦アベイラビリティ、⑧確率紙、⑨打切りデータ、⑩信頼性工学と抜取検査の組合せ、10章全54題。しっかり勉強しましょう。

    ①確率密度関数を導出するモデルを理解する

    故障率は指数分布だけではない

    特に信頼性工学の入門を解説している教科書やサイトは、

    信頼性工学=指数分布

    とインプットされがちです。

    でも、ちゃうで!(違うよ!)

    故障分布に合わせた確率密度関数を作る

    例えば、寿命試験結果が以下のヒストグラムになったとします。

    信頼性工学

    この図よく見ると、

    正規分布型ですよね!

    なのに、

    指数分布型の確率密度関数を導出する教科書がほとんど
    でも、ちゃうで!(違うよ!)
    それぞれの分布にあった確率密度関数を使って、寿命予測や故障率を計算しよう!

    分布の種類

    よく使う、確率密度関数で良いです。

    1. 一様分布
    2. 指数分布
    3. 正規分布
    4. ガンマ分布
    5. ワイブル分布

    ガンマ分布とワイブル分布は無理矢理感がありますが、信頼性工学でよく使います。

    大事なのは、

    分布関数で練習したら、あなたが使いやすい分布関数で信頼性を解析すればOK

    例えば、2次関数とかでも使ってもいいと思います。

    信頼性工学≠指数分布 をインプットしてください。

    では、個々の分布関数を見ていきます。

    ➁確率密度関数が指数関数の場合

    モデル式から確率密度関数の導出

    よく使われるので、解説します。

    指数分布型になる場合のモデル式を考えます。個々の信頼性解析はそれぞれにふさわしいモデル式を作りましょう。

    モデル図を見ましょう。

    信頼性工学

    確率密度関数\(f(x)\)は密度関数\(F(x)\)の微分ですね。

    信頼度\(R(x)\)と不信頼度\(F(x)\)の関係

    これ混同しがちなので、きちっと整理しましょう。

    信頼度はReliabilityと英語で書くので、信頼度\(R(x)\)と書きます。
    不信頼度は失敗のFailureを英語で使って、不信頼度(故障度) \(F(x)\)と書きます。

    そして大事な関係式があります。簡単です!

    \(R(x)\)+ \(F(x)\)=1
    \(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)=-\(\displaystyle \frac{dF(x)}{dx} \)
    (\(\)R(x)=1-\(F(x)\)の式を両辺\(x\)で微分)

    また、

    \(f(x)=\displaystyle \frac{dF(x)}{dx} \)=-\(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)

    も成り立ちます。よく使いますが、頭が混乱しやすいので整理して理解しましょう。

    モデル式から確率密度関数の導出

    故障率は図のように傾きを表す確率密度関数(f(x))がキーです。

    故障は、故障していないモノの一部から発生し、健在なモノの量に応じて故障度合いが変わるイメージを考えます。すると、次のモデル式(微分方程式)が作れます。

    \(f(x)\)=\( λR(x)\) (\(λ\)は正の定数)

    大事なのは、導出過程であるモデル式の立て方です。ここで、確率密度関数の型が決まります。関数の暗記ではなく、導出過程を理解しましょう。

    モデル式を解くと、
    \(f(x)\)=\( λR(x)\)
    -\(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)=\(λR(x)\)
    \(\frac{\displaystyle dR}{R} \)=\(-λ \displaystyle dx\)
    (両辺)を積分すると
    \(\displaystyle \int{}^{} \frac{\displaystyle dR}{R}\)=\( \displaystyle \int{}^{} -λ \displaystyle dx \)
    \( log R\)=-\(λx\)
    よって
    \(R(x)\)=\(e^{-λx}\)

    \(f(x)\)は
    -\(\displaystyle \frac{dR(x)}{dx} \)=\(λe^{-λx}\)
    となりますね。

    ➂故障率λの計算

    故障率とは、\(f(x)\)と\(R(x)\)との比で計算します。よって、
    \(λ(x)\)=\(\frac{f(x)}{R(x)}\)=λ と一定になります。

    ➃確率密度関数の平均と分散の計算

    期待値E[\(x\)]の計算

    期待値E[\(x\)]は
    \(\displaystyle \int{0}^{∞} x f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int{0}^{∞} x λe^{-λx}dx\)
    =\(\left[ λ(-\frac{1}{λ} xe^{-λx}-\frac{1}{λ^2} e^{-λx}) \right]_0^∞\)
    =\(\frac{1}{λ}\)

    分散の計算

    期待値E[\(x^2\)]の計算

    期待値E[\(x^2\)]は
    \(\displaystyle \int{0}^{∞} x^2 f(x) dx\)
    =\(\displaystyle \int{0}^{∞} x^2 λe^{-λx}dx\)
    =\(\left[ λ(-\frac{1}{λ} x^2 e^{-λx}-\frac{1}{λ^2} 2x e^{-λx}-\frac{2}{λ^3} e^{-λx}) \right]_0^∞\)
    =\(\frac{2}{λ^2}\)

    分散V[\(x\)]の計算

    分散V[\(x\)]は
    =E[\(x^2\)]- E[\(x\)])2
    =\(\frac{2}{λ^2}\)-\(\frac{1}{λ^2}\)
    =\(\frac{1}{λ^2}\)

    以上、まとめると、

    ●期待値E[\(x\)]=\(\frac{1}{λ}\)
    ●分散V[\(x\)]=\(\frac{1}{λ^2}\)

    ➄故障率曲線との関係

    バスタブ曲線との関係を考えましょう。

    信頼性工学

    ここで、λとの関係を見ると

    1. λ > 0 ⇒ 初期故障期(DFR)
    2. λ = 0 ⇒ 偶発故障期(CFR)
    3. λ < 0⇒ 摩耗故障期(IFR)

    と分けることができます。

    暗記せず、式を理解して故障の時間的関係を学んでいきましょう。

    まとめ

    「【信頼性工学】確率密度関数がわかる(指数関数)」を解説しました。

    • ①確率密度関数を導出するモデルを理解する
    • ➁確率密度関数が指数関数の場合
    • ➂故障率λの計算
    • ➃確率密度関数の平均と分散の計算
    • ➄故障率曲線との関係

  • 【まとめ】順序統計量がわかる

    【まとめ】順序統計量がわかる

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    【まとめ】順序統計量がわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量を導出する
    • ➂順序統計量の同時確率密度関数が計算できる
    • ➃中央値や幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➄結局、R管理図のd2,d3の導出はわからず
    • ⑥順序統計量の演習問題
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    関連記事

    順序統計量の基礎がよくわかる関連記事を紹介します。ご確認ください。

    順序統計量 確率密度関数の考え方がよくわかる
    順序統計量が説明できますか? 順序統計量の確率密度関数の式が理解・導出できますか? 本記事では、確率密度関数の式の構成や理論をわかりやすく解説します。統計学を学ぶ方は必読です。

    順序統計量の考え方がよくわかる
    順序統計量を説明できますか? 本記事では難解な順序統計量をわかりやすく解説します。整式を使い、期待値が順序に従い増加することを視覚的に理解できます。順序統計量を理解したい方は必見です。

    ➁順序統計量を導出する

    順序統計量を理解するには、手を動かして具体的な関数から順序統計量を導出する練習が一番よいです。

    手計算では、一様分布、指数分布で対応できますが、正規分布は関数が複雑で計算できません。正規分布は順序統計量の考え方を変えた新たな表現を提案します。

    関連記事で紹介しています。ご確認ください。

    一様分布の順序統計量

    順序統計量の考え方がよくわかる
    順序統計量を説明できますか? 本記事では難解な順序統計量をわかりやすく解説します。整式を使い、期待値が順序に従い増加することを視覚的に理解できます。順序統計量を理解したい方は必見です。

    指数分布の順序統計量

    順序統計量(指数関数)がよくわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事は指数分布の場合における順序統計量の期待値と分散を丁寧に導出します。順序統計量や統計学を学ぶ人は必読です。

    正規分布の順序統計量

    順序統計量(正規分布)がよくわかる
    順序統計量は説明できますか?本記事では正規分布の順序統計量をわかりやすく解説します。正規分布の順序統計量を定義式から解析的に導出できないため、順序統計量の定義を見直す必要があることを提案します。数学は公式として従うのものではなく式を理解して定義するものでもあります。順序統計量や統計学を学ぶ方は必読です。

    ➂順序統計量の同時確率密度関数が計算できる

    同時分布の場合も順序統計量が計算できます。関連記事で確認ください。

    順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散がよくわかる
    順序統計量の同時確率密度関数の期待値・分散が計算できますか?本記事では、一様分布を使って、期待値、分散を丁寧に導出していきます。順序統計量・統計学を学ぶ方は必見です。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    ➃中央値や幅の分布の確率密度関数がわかる

    順序だけではなく、順序に並べた確率変数の幅や範囲Rについて確率密度関数を求めることができます。関連記事で解説していますので、ご確認ください。

    順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる
    順序統計量は説明できますか?本記事では中央値に確率密度関数の導出と例題をわかりやすく解説します。導出過程を丁寧に解説しているので、必読です。

    順序統計量の幅の分布がわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事はR管理図の係数を導出する入口である順序統計量の幅の分布について解説します。順序統計量や統計学をマスターしたい方は必読です。

    ➄結局、R管理図のd2,d3の導出はわからず

    順序統計量を取り上げたきっかけは、R管理図のd2,d3の導出過程を解明することでしたが、すいません、まだ理解できていません。古書の原文をわかりやすく書き直したものを載せておきます。わかり次第お伝えします。

    R管理図の係数d2,d3の導出がわからないまま、d2,d3の値は使いたくないですよね。JISに決まっているから正しい!という概念は正しいのでしょうか?

    正しいなら、導出がわかるはずなんですけど。

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    順序統計量が説明できますか? 本記事ではR管理図の係数d2,d3の導出を紹介します。導出の計算過程を古書から紹介します。順序統計量や管理図を学ぶ方は必読です。

    ⑥順序統計量の演習問題

    演習問題を解くことで、順序統計量が身に付きます。4問提示していますので、是非解いてみてください。

    順序統計量の演習問題(その1)
    順序統計量が説明できますか?順序統計量が計算できますか? 本記事では、順序統計量を理解できる良問を演習問題として2回に分けて解説します。解説記事と合わせてご覧ください。統計学を学ぶ方は必見です。

    順序統計量の演習問題(その2)
    順序統計量が説明できますか?順序統計量が計算できますか? 本記事では、順序統計量を理解できる良問を演習問題として2回に分けて解説します。解説記事と合わせてご覧ください。統計学を学ぶ方は必見です。

    これだけ、順序統計量を勉強したら大丈夫!

    まとめ

    「【まとめ】順序統計量がわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量を導出する
    • ➂順序統計量の同時確率密度関数が計算できる
    • ➃中央値や幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➄結局、R管理図のd2,d3の導出はわからず
    • ⑥順序統計量の演習問題

  • 順序統計量の演習問題(その2)

    順序統計量の演習問題(その2)

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の演習問題(その2)
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題(その1で解説)
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題(その1で解説)
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)
    • ➄(iv)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    次の4問が解ければ、順序統計量はOKです。

    ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題(その1で解説)

    ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題(その1で解説)

    (その1)では関連記事で解説していますので、先に確認ください。2問演習問題があります。

    順序統計量の演習問題(その1)
    順序統計量が説明できますか?順序統計量が計算できますか? 本記事では、順序統計量を理解できる良問を演習問題として2回に分けて解説します。解説記事と合わせてご覧ください。統計学を学ぶ方は必見です。

    ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)

    演習問題

    \(n\)個の確率変数\(X_1\)、\(X_2\)、…、\(X_n\)が定数λの指数分布に従い、
    \(X_1\)、\(X_2\)、…、\(X_n\)が順序統計量に従うとする。
    (1) \(X_1\)の確率密度関数を求めよ。
    (2) \(X_n\)の確率密度関数を求めよ。
    (3) \(R=X_n – X_1\)の確率密度関数を求めよ。

    難しそうな問ですが、1つ1つ解いていきましょう。

    解法のポイント

    ポイントは、

    1. 順序統計量の同時確率密度関数
    2. 順序統計量の幅の分布

    を使います。

    関連記事も紹介しますので、不安な場合は関連記事の解説を読んでください。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    順序統計量の幅の分布がわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事はR管理図の係数を導出する入口である順序統計量の幅の分布について解説します。順序統計量や統計学をマスターしたい方は必読です。

    解法

    確率密度関数と分布関数

    それぞれ先に導出しておくと、
    ●\(f(x)\)=\(λe^{-λx}\) (\(x\) > 0)
    ●\(F(x)\)=\(1-e^{-λx}\) (\(x\) > 0)
    ですね。

    (1)の解法

    公式
    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)から

    \(f_{(1)}(x)\)=\(\frac{n!}{(1-1)!1!(n-1)!} F(x)^{1-1}[1-F(x)]^{n-1}f(x)\)
    =\(\frac{n!}{(n-1)!} [1-F(x)]^{n-1}f(x)\)
    =\(n [1-(1-e^{-λx})]^{n-1}・λe^{-λx}\)
    =\(nλe^{-nλx}\)

    (2)の解法

    公式
    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)から

    \(f_{(n)}(x)\)=\(\frac{n!}{(n-1)!1!(n-n)!} F(x)^{n-1}[1-F(x)]^{n-n}f(x)\)
    =\(\frac{n!}{(n-1)!} F(x)^{n-1}f(x)\)
    =\(n ^{n-1}f(x)\)
    =\(n(1-e^{-λx})^{n-1} λe^{-λx}\)
    =\(nλ(1-e^{-λx})^{n-1} e^{-λx}\)

    (3)の解法

    \(R=X_n -X_1\)より幅の分布を考えます。

    \(R\)は、同時確率密度関数を用いて、
    公式
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    を使って

    \(f_R(r)\)= \(f_{(1),(n)}(x_1,x_n)\)
    =\(n(n-1)[(F(x_1 +r)-F(x_1)]^{n-2} f(x_1) f(x_1 +r)\)
    =\(n(n-1)[ (1-e^{-λ(x_1+r)})- (1-e^{-λx_1})]^{n-2} λe^{-λx_1} λe^{-λ(x_1+r)}\)
    =\(n(n-1)λ^2 e^{-λ(2x_1+r)} (e^{-λx_1}-e^{-λ(x_1+r})^{n-2}\)
    =(式1)

    (式1)を\(r\)について積分し、\(x_1\)を\(x\)に書き直します。

    \(R\)の確率密度関数は
    \(f_R(x)\)= \( \displaystyle \int_{0}^{∞} (式1) dr \)
    = \( \displaystyle \int_{0}^{∞} n(n-1)λ^2 e^{-λ(2x_1+r)} (e^{-λx_1}-e^{-λ(x_1+r})^{n-2} dr\)
    =\(n(n-1)λ^2 e^{-nλx} \int_{0}^{∞} e^{-λr}(1-e^{-λr})^{n-2} dr \)
    =(式2)

    ここで、\(e^{-λr}=t\)とおくと、\(dt\)=\(-λt dr\)となり、(式2)に代入します。

    (式2)
    =\(n(n-1)λ^2 e^{-nλx} -\frac{1}{λ} \displaystyle \int_{1}^{0} (1-t)^{n-2} dt \)
    =\(n(n-1)λe^{-nλx} \displaystyle \int_{0}^{1} (1-t)^{n-2} dt \)
    =\(nλe^{-nλx}\)
    となります。

    できましたね!

    ➄(iv)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)

    演習問題

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…\(X_n\)を[0,1]の一様分布に従う順序統計量とする。
    標本範囲\(R\)=\(X_n -X_1\)を考える。
    (1) 標本範囲\(R\)確率密度関数\(f_R (x)\)を求めよ。
    (2) 標本範囲\(R\)の期待値E[R]を計算せよ。
    (3) 標本範囲\(R\)が半分の\(\frac{1}{2}\)より大きくなる確率を求めよ。

    解法のポイント

    ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)と同じなので、関連記事を再度確認ください。

    解法

    (1)の解法

    実は、(1)は関連記事の例題と同じなので、途中経過は関連記事を読んでください。

    順序統計量の幅の分布がわかる
    順序統計量が説明できますか? 本記事はR管理図の係数を導出する入口である順序統計量の幅の分布について解説します。順序統計量や統計学をマスターしたい方は必読です。

    (2)の解法

    期待値E[R]は
    E[R] =\( \displaystyle \int_{0}^{1} r f_R (r) dr \)
    =\( n(n-1) \displaystyle \int_{0}^{1} r^{n-1} (1-r)dr \)
    =\(\frac{n-1}{n+1}\)
    (計算してみてください。)
    となり、1に近い値になります。不思議!

    (3)の解法

    確率は確率密度関数\(f_R (x)\)を積分した結果になります。

    Pr(R ≥ 1/2) = \( \displaystyle \int_{1/2}^{1} f_R (r) dr \)
    =\( n(n-1) \displaystyle \int_{1/2}^{1}r^{n-2}(1-r) dr \)
    =1-\((\frac{1}{2})^n (n+1)\)
    となります。

    順序統計量の演習問題(その1)と(その2)の4問を解説しました。これくらい演習しておけば、順序統計量は大丈夫でしょう。重要な問題なので、是非読んでください。

    まとめ

    「順序統計量の演習問題(その2)」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題(その1で解説)
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題(その1で解説)
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)
    • ➄(iv)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)

  • 順序統計量の演習問題(その1)

    順序統計量の演習問題(その1)

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の演習問題(その1)
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)(その2で解説)
    • ➄(iV)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ) (その2で解説)
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    次の4問が解ければ、順序統計量はOKです。

    ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題

    演習問題

    3つの確率変数\(Y_1\)、\(Y_2\)、\(Y_3\)について、
    \(Y_1\) < \(Y_2\) < \(Y_3\)
    が成り立ち、互いに独立で、一様分布[0,1]に従うとする。この場合、
    \(Z\)=\(Y3\)-\(Y1\)
    の確率密度関数を求めよ。

    難しそうな問ですが、1つ1つ解いていきましょう。

    解法のポイント

    ポイントは、2つあり、

    1. 確率変数の変換(2変数)
    2. 順序統計量の同時確率密度関数

    を使います。

    関連記事も紹介しますので、不安な場合は関連記事の解説を読んでください。

    【まとめ】2変数の確率変数の変換がよくわかる
    2変数の確率変数の変換が計算できますか?本記事では,理解が難しい公式をそのまま使わずに,高校数学で十分解ける解法を解説します。今回は変換したいパターンをすべてを解説!教科書よりわかりやすく、 ほぼ高校数学でイケる方法で解説! t分布、F分布の確率密度関数を導出したい方は必読な記事です。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    解法

    一様分布から\(Y_i\)の確率密度関数\(f_i(y)\)と分布関数\(F_i(y)\)は
    ●\(f_i(y)\)=1 (0 < \(y\) < 1)
    ●\(F_i(y)\)=\(y\) (0 < \(y\) < 1)
    です。

    次に\(y_1\)と\(y_3\)の同時確率密度関数は公式
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    から
    \(f_{(1),(3)}(y_{(1)},y_{(3)})\)=\(C_{1,3}F(y_1)^{1-1}\)\((F(y_3)-F(y_1))^{3-1-1}\)\((1-F(x_3))^{3-3}f(x_1)f(x_3)\)
    \(f_{(1),(3)}(y_{(1)},y_{(3)})\)=6\((F(y_3)-F(y_1))\)
    =\(6(y_3-y_1)\)

    そして、\(z=y_3-y_1\)より、2変数の変換をします。
    ●\(z=y_3-y_1\)
    ●\(w\)=\(y1\)
    とおいて、変換すると、
    \(f_{z,w}(z,w)\)= \(f(y_1(z,w),y_3(z,w))|detJ|\)で
    =\(6(y_3-y_1)・1\)
    =\(6z\) (ただし、0 < \(z\) < \(w\) < 1)

    ここでヤコビアン行列から
    Jは
    J=\(\begin{pmatrix}
    \frac{\partial y_1}{ \partial z} & \frac{\partial y_3}{\partial w} \\
    \frac{\partial y_1}{\partial z} & \frac{\partial y_3}{\partial w}
    \end{pmatrix}\)

    ヤコビアン行列を実際に代入すると
    J=\(\begin{pmatrix}
    -1 & 1 \\
    1 & 0
    \end{pmatrix}\)
    から行列式は-1で、その絶対値は1です。

    最後に、\(z\)の周辺確率密度関数を計算します。

    \(f_{z,w}(z,w)\)=\(6z\) (ただし、0 < \(z\) < \(w\) < 1)
    は変数\(z,w\)の式なので、無関係な\(w\)について積分します。

    積分区間は、\(z\) < \(w\) < 1に注意します。

    \(f(z)\)=\( \displaystyle \int_{z}^{1} 6z dz\)
    =\(6z(1-z)\)
    (答え)

    できましたね!

    ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題

    演習問題

    3つの確率変数\(x_1\)、\(x_2\)、\(x_3\)について、
    \(x_1\) < \(x_2\) < \(x_3\)
    が成り立ち、互いに独立で、以下の確率密度関数\(f_i(x)\)
    ●\(f_i(x)=2x\) (0 < \(x\) < 1)
    に従う。
    (1) \(x_1\)、\(x_2\)、\(x_3\)それぞれの確率密度関数を導出せよ。
    (2) \(x_1\)、\(x_2\)、\(x_3\)それぞれの期待値E[\(x_i\)]を計算し、
    E[\(x_1\)] < E[\(x_2\)] < E[\(x_3\)]を確認せよ。

    解法のポイント

    1変数の順序統計量の確率密度関数と期待値の計算ですね。関連記事でも解説しています。

    順序統計量の考え方がよくわかる
    順序統計量を説明できますか? 本記事では難解な順序統計量をわかりやすく解説します。整式を使い、期待値が順序に従い増加することを視覚的に理解できます。順序統計量を理解したい方は必見です。

    解法

    まず、分布関数\(F_i(x)\)は確率密度関数\(f_i(x)\)を積分して、
    ●\(f_i(x)=2x\) (0 < \(x\) < 1)
    ●\(F_i(x)=x^2\) (0 < \(x\) < 1)
    ですね。

    確率密度関数\(f_i(x)\)を計算

    確率密度関数\(f_i(x)\)を計算します。
    \(f_i(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)
    より、

    ●\(i\)=1のとき、
    \(f_1(x)\)=\(\frac{3!}{(1-1)!1!(3-1)!} F_1(x)^{1-1}[1-F_1(x)]^{3-1}f_1(x)\)
    =\(\frac{3!}{2!} [1-F_1(x)]^2 f_1(x)\)
    =\(3(1-x^2)^2 ・2x\)
    =\(6x(1-x^2)^2\)

    ●\(i\)=2のとき、
    \(f_2(x)\)=\(\frac{3!}{(2-1)!1!(3-2)!} F_2(x)^{2-1}[1-F_2(x)]^{3-2}f_2(x)\)
    =\(3! F_2(x) [1-F_2(x)] f_2(x)\)
    =\(6 x^2 (1-x^2) ・2x\)
    =\(12x^3 (1-x^2)\)

    ●\(i\)=3のとき、
    \(f_3(x)\)=\(\frac{3!}{(3-1)!1!(3-3)!} F_3(x)^{3-1}[1-F_3(x)]^{3-3}f_3(x)\)
    =\(\frac{3!}{2!} F_3(x)^2 f_3(x)\)
    =\(3(x^2)^2 ・2x\)
    =\(6x^5\)

    3つの関数をまとめると
    ●\(f_1(x)\)= \(6x(1-x^2)^2\)
    ●\(f_2(x)\)= \(12x^3 (1-x^2)\)
    ●\(f_3(x)\)= \(6x^5\)

    図で描くと、E[\(x_1\)] < E[\(x_2\)] < E[\(x_3\)]に見えますよね。

    順序統計量

    期待値E[\(x_i\)]を計算

    E[\(x_1\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_1(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} 6x^2(1-x^2)^2 dx\)
    =\(\frac{16}{35}\)

    E[\(x_2\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_2(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} 12x^4 (1-x^2) dx\)
    =\(\frac{24}{35}\)

    E[\(x_3\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_3(x) dx\)
    =\( \displaystyle \int_{0}^{1} 6x^6 dx\)
    =\(\frac{30}{35}\)

    \(\frac{16}{35}\) < \(\frac{24}{35}\) < \(\frac{30}{35}\) より
    E[\(x_1\)] < E[\(x_2\)] < E[\(x_3\)]が確認できた。

    ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)

    ➄(iV)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ)

    順序統計量の演習問題(その2)で解説しますね。範囲R(\(x_n – x_1\)の確率密度関数を解く重要な問題なので、是非読んでください。

    まとめ

    「順序統計量の演習問題(その1)」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁(i)順序統計量と確率変数の変換の演習問題
    • ➂(ii)順序統計量の具体例の演習問題
    • ➃(iii)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅰ)(その2で解説)
    • ➄(iV)順序統計量の範囲Rの演習問題(Ⅱ) (その2で解説)

  • 順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁R管理図の変数d2,d3
    • ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁R管理図の変数d2,d3

    詳しくは、すでに関連記事で書いています。

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    R管理図の変数d2,d3

    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)

    読んでも理解ができない超難関な式です。でも、これをR管理図の係数表として有名です。どうやってこの式になったのか?と気になるのは当然!

    注意!

    先に謝っておきます!
    完璧に導出できていませんが、日本中の資料をかき集めて、自分で研究した成果を解説します。d2,d3の導出で新たな知見が出たら、ブログを更新します。
    R管理図の関連記事を書いて9カ月経過し、統計学を猛勉強して、順序統計量を解説できるレベルまで高めましたが、やっぱりR管理図の係数d2,d3は導出できない。読んでもわからない

    ●\(d_2\)=\(\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} [1-(1-φ(x))^n-(φ(x))^n]dx\)
    ●\(d_3\)=\(\sqrt{2\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} \displaystyle \int_{-\infty}^{y}f(x,y)dxdy-d_2^2 }\)
    \(f(x,y)=1-φ(y)^n-(1-φ(x))^n+(φ(y)-φ(x))^n\)
    は順序統計量を勉強すれば、同時分布の幅の分布から導出するのがわかりますが、その先の導出がやっぱりわからないです。

    ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

    要約は関連記事で

    【必読】R管理図の変数d2,d3の導出が(半分)わかる
    R管理図の係数d2,d3はどうやって求めるか説明できますか?本記事では、範囲Rの確率密度関数を順序統計量の同時分布を使って導出し、途中までですが、d2,d3の導出方法を解説します。管理図をマスターしたい方は必見です。

    本記事は、図書の原文を残しておきます

    導出が書いている唯一の図書が、です。大きな図書館でないと借りれません。

    1952年から70年経過しており、著作権の影響がないことと、
    この本の内容以外、R管理図の変数d2,d3の導出が書いていないため、原文を書き残して、導出過程をみなさんと協議したいと思います。

    「新編統計数値表 河出書房」P206-208の原文です。古い漢字や誤植や解釈が難しいと思われるところはQCプラネッツの方で修正しています。

    「新編統計数値表 河出書房」

    36.範囲の分布

    連続型分布で無作為標本\(x_1\),\(x_2\),…, \(x_n\)を大きさの順に並べたものを
    \(x_1\) < \(x_2\) < … < \(x_n\)
    とする。\(x_r\)を\(r\)番目の順序統計量という。

    元の分布関数を\(F(x)\)、確率密度関数を\(f(x)\)とすれば、\(x_r\)の分布は、
    \(Φ(x_r)dx_r\)=\([F(x_r)]^{r-1} [1-F(x_r)]^{n-r} f(x_r)dx_r /B(r,n-r+1)\)

    \(F_1=F(x_r)\), \(F_2=F(x_{n-l+1})\)の同時分布は
    \(F_1^{r-1} (F_2 – F_1)^{n-r-l}(1-F_2)^{l-1} dF_1 dF_2 \)
    に比例する。

    つぎに、
    \(R=x_n – x_1\)と定義すると、\(R\)は範囲という。\(R\)の標本分布において、\(x_2-x_1=w\)と置くと、\(R\)の確率密度関数\(f_W (w)\)は

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} f(x_1)f(x_1+w) dx_1 dx_2\)

    ここで、\(dF_i\)=\(df_i dx_i\)とすると、

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} dF_1 dF_2\)
    となる。

    期待値E[\(w\)]は、
    E[\(w\)]=\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2} (F_2 -F_1)^{n-2} (x_2 -x_1) dF_1 dF_2\)
    となる。

    \((F_2-F_1)^{n-2}\)を展開して、部分積分からまとめると、
    E[\(w\)]=\(n! \sum_{r=0}^{n-2} \frac{(-1)^r}{(r+1)!(n-r-1)!} \displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F_2^{n-r-1})F_2^{r+1} dx_2\)
    =\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F_2^n-(1-F_2)^n)dx_2\)

    同様にしてE[\(w^2\)]は
    E[\(w^2\)]=\(2 \displaystyle \int_{-∞}^{∞} \displaystyle \int_{-∞}^{x_2}(1-F_2^n-(1-F_1)^n-(F_2-F_1)^n)dx_1 dx_2 \)

    従って\(w\)の母分散は
    \(σ_w^2\)= E[\(w^2\)]- E[\(w\)]2
    で与えられる。

    範囲の分布は、元の分布の母平均の値によらないから、
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} xdF\)=0
    \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^2dF\)=\(σ^2\)=1
    と置いても、一般性は失わない。\(σ^2\)が存在するなら、
    \( \displaystyle \lim_{x \to -\infty} xF= 0\)
    \( \displaystyle \lim_{x \to +\infty} x(1-F)= 0\)
    より、

    部分積分から、
    E[\(w\)]=\(\displaystyle \int_{-∞}^{∞} (1-F^n-(1-F)^n)dx\)
    =-\(\displaystyle \int_{0}^{1} xd[1-F^n-(1-F)^n]\)= \(\displaystyle \int_{0}^{1} x[(1-F)^n-F^n]dF\)

    シュワルツの不等式より、
    \(E[w]^2\) ≤ \(\displaystyle \int_{0}^{1} x^2dF \displaystyle \int_{0}^{1} [(1-F)^n-F^2]^2 dF\)
    =\(\frac{2n^2}{2n-1}(1-\frac{1}{_{2n-2}C_{n-1}})=K\)
    とすると、\(K\)は、
    E[\(w\)]=E[\(\frac{R}{σ}\)]=\(d_2\)
    を与える。

    E[w]の導出までは理解できますが、そのあとの計算がさっぱりわからないですね。式が正しく導出できるかが分からないです。

    導出が分かり次第報告します!

    このテーマはわかるまで研究したいと考えております。

    まとめ

    「順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁R管理図の変数d2,d3
    • ➂順序統計量からR管理図の係数d2,d3導出の紹介

  • 順序統計量の幅の分布がわかる

    順序統計量の幅の分布がわかる

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の幅の分布がわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➂順序統計量の幅の分布の例題
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁順序統計量の幅の分布の確率密度関数がわかる

    R管理図の係数導出に必須

    順序統計量をブログに投稿している最大の理由が、「R管理図の係数導出」です。順序統計量からR管理図の係数を求めますが、その導出過程が難しいから解明したい!です。

    同時確率密度関数からスタート

    基本は同時確率密度関数からスタートします。基本的な内容は関連記事で解説していますのでご確認ください。

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    順序統計量が説明できますか?本記事では、順序統計量の同時分布の確率密度関数をわかりやすく解説します。教科書読んでもわからない方は必読です。

    この記事では、同時確率密度関数の式からスタートします。

    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)

    順序統計量の幅の分布の確率密度関数

    同時確率分布の確率密度関数において、
    \(W\)=\(X_{(n)}\)- \(X_{(1)}\)
    と定義して、幅\(W\)の分布を考えます。

    まず、
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    へ、\(i\)=1、\(j\)=\(n\)を代入します。

    \(f_{(1),(n)}(x_{(1)},x_{(n)})\)=\(C_{1,n}\)\((F(x_n)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_n)\)
    まとめると、\(x_n=x_1 +w\)に注意して
    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\((F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)
    =(式1)
    となります。この式を使います。

    順序統計量の幅の分布の確率密度関数を積分

    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\((F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)はまだ、変数\(x_1\)がいて、変数\(w\)だけの式ではないので、変数\(x_1\)で積分します。

    \(W\)についての確率密度関数は
    \(f_W (w)\)= \(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)dx_1\)
    =(式2)
    となります。

    さらに(式2)を積分すると、変数\(W\)についての確率も導出できます。
    Pr(\(W\))=\(n\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-1}\)\(f(x_1)\)dx_1\)
    =(式3)
    となります。

    (式2)⇒(式3)においては、
    \( f(x_1 +w)\)= \(\displaystyle \frac{d(F(x_1+w)-F(x_1))}{dx} \)として、
    \((n-1) (F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2} f(x_1 +w)\)を
    \((n-1) (F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\displaystyle \frac{d(F(x_1+w)-F(x_1))}{dx}\)として、
    \((F(x_1+w)-F(x_1))\)を\((n-2)\)乗から\((n-1)\)乗に1つ指数を上げる計算をしています。

    後で使う式なのでまとめると、

    ●(式1):順序統計量の幅の分布の確率密度関数
    \(f_W (w)\)=\(n(n-1)\)\((F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)
    ●(式2):順序統計量の幅の分布の確率密度関数
    \(f_W (w)\)= \(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)dx_1\)
    ●(式3):順序統計量の幅の分布の確率
    Pr(\(W\))=\(n\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-1}\)\(f(x_1)\)dx_1\)

    ➂順序統計量の幅の分布の例題

    実際に例題を見ながら計算してみましょう。

    順序統計量の幅の分布の例題

    確率変数\(X\)の確率密度関数\(f(x)\)および分布関数\(F(x)\)は
    ●\(f(x)=1\) (0 < \(x\) < 1)
    ●\(F(x)=x\) (0 < \(x\) < 1)
    である一様分布に従うとする。この時の、
    (i)\(W\)=\(X_{(n)}\)- \(X_{(1)}\)と定義する変数\(W\)の確率密度関数\(f_W (w)\)を求めよ。
    (ii) \(W\)=\(X_{(j)}\)- \(X_{(i)}\)と定義する変数\(W\)同時確率密度関数\(f_W(i,j) (w) \)
    をそれぞれ求めよ。

    公式から実際に解いて、イメージをつけましょう。

    (i)確率密度関数\(f_W (w)\)の解法

    (式2)に\(F(x)\)=\(x\),\(f(x)\)=1を代入します。

    (式2)
    =\(f_W (w)\)= \(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{-∞}^{∞}(F(x_1+w)-F(x_1))^{n-2}\)\(f(x_1)f(x_1 +w)\)dx_1\)
    =\(n(n-1)\)\( \displaystyle \int_{0}^{1-w}((x_1+w)-x_1)^{n-2} dx_1\)
    =\(n(n-1)w^{n-2} (1-w)\) (0 < w < 1)

    \(w\)の式ですが、\(x_1\)で積分する点に注意しましょう。
    また、\(x_n=x_1+w\) < 1より \(x_1\) < 1-\(w\)で積分します。

    (ii)同時確率密度関数\(f_W(i,j) (w) \)の解法

    同時確率密度関数は
    \(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    より、\(f(x)=1\)、\(F(x)=x\)を代入すると、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    \(x_j=x_i+w\)と置くと、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_i +w)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_i +w))^{n-j}f(x_i)f(x_i +w)\)

    さらに、\(F(x)=x\),\(f(x)=1\)を代入すると、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j}x_i^{i-1}\)\((w)^{j-i-1}\)\((1- x_i -w))^{n-j}\)

    この式を\(dx_i\)で積分すると、
    \(x_n=x_1+w\) < 1より \(x_1\) < 1-\(w\)で積分する点に注意して、

    \(f_{W(i,j)}(w)\)=\(C_{i,j} \displaystyle \int_{0}^{1-w} x_i^{i-1}\)\((w)^{j-i-1}\)\((1- x_i -w))^{n-j} dx_i\)
    =\(C_{i,j} w^{j-i-1} (1-w)^{n-j+i}\)
    となります。

    幅の分布で具体的な関数になっても、いまいちピンと来ませんが、計算はできますね。

    まとめ

    「順序統計量の幅の分布がわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の幅の分布の確率密度関数がわかる
    • ➂順序統計量の幅の分布の例題

  • 順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる

    順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の中央値の確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量の中央値の確率密度関数の例題
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁順序統計量の中央値の確率密度関数の導出

    順序統計量の確率密度関数の復習

    今回は同時分布は対象外です。

    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-i} f(x)\)
    を復習しよう!

    関連記事で解説していますので、ご確認ください。

    順序統計量の中央値の導出

    確率変数\(X_1,X_2,…,X_n\)の中央値は、\(n\)が奇数のときと、偶数のときで表示が若干変わります。

    (i)奇数のとき:\(\frac{n+1}{2}\)
    (ii)偶数のとき:\(\frac{\frac{n}{2}+(\frac{n}{2}+1)}{2}\)

    例として、\(n\)=7のときは、中央は4です。 \(\frac{7+1}{2}\)=4で計算できます。
    \(n\)=8のときは、中央は4と5の真ん中です。\(\frac{\frac{8}{2}+\frac{8}{2}+1}{2}\)=\(\frac{4+5}{2}\)=4.5で計算できますね。

    これを順序統計量の確率密度関数に代入すればOKです。

    順序統計量の中央値の確率密度関数の導出

    \(n\)が奇数の場合

    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-i} f(x)\)に代入します。

    \(f_M (x)\)=\(\frac{n!}{( \frac{n+1}{2}-1)!1!(n-\frac{n+1}{2})!}\)\(F(x)^{ \frac{n+1}{2}-1}(1-F(x))^{n-\frac{n+1}{2}} f(x)\)
    =\(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)
    となります。

    つまり、
    \(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)

    \(n\)が偶数の場合

    \(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-i} f(x)\)に代入します。

    ここで、式の見た目をよくするために1つトリックを仕込みます。(良くないと思うが)

    \((i-1)\)の\(i\)に \(i=\frac{n}{2}\)を
    \((n-i)\)の\(i\)に \(i=\frac{n}{2}+1\)を
    代入して、共に
    \(\frac{n}{2}-1\)とさせます。

    また、(f(x))の部分を(f(x_1)), (f(x_2))に分けます。

    \(f_M (x)\)=\(\frac{n!}{( \frac{n}{2}-1)!1!( \frac{n}{2}-1)!}\)\(F(x_1)^{ \frac{n}{2}-1}(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)
    =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!}^2\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)
    となります。

    つまり、
    \(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!}^2\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)

    まとめると、

    (i)奇数のとき:\(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)
    (ii)偶数のとき:\(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!}^2\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)

    ➂順序統計量の中央値の確率密度関数の例題

    一様分布を使って、具体的な中央値の確率密度関数の式を作ってみましょう。

    【問】
    確率変数\(X\)の確率密度関数\(f(x)\)および分布関数\(F(x)\)は
    ●\(f(x)\)=1 (0 < \(x\) < 1)
    ●\(F(x)\)=\(x\) (0 < \(x\) < 1)
    である一様分布に従うとする。
    (1) 中央値の確率密度関数を導出せよ。
    (2) 期待値と分散を求めよ。(\(n\)が奇数の場合のみでよい)

    解説します。

    (1)順序統計量の中央値の確率密度関数の導出

    先の、

    (i)奇数のとき:\(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2})!^2}\)\((F(x)(1-F(x))^{\frac{n-1}{2}} f(x)\)
    (ii)偶数のとき:\(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!^2}\)\((F(x_1)(1-F(x_2))^{ \frac{n}{2}-1} f(x_1) f(x_2)\)

    に\(f(x)=1\),\(F(x)=x\)を代入します。

    \(n\)が奇数の場合

    \(f_M (x)\)= \(\frac{n!}{(\frac{n-1}{2}!)^2}\)\((x(1-x)^{\frac{n-1}{2}} \)
    (0 < \(x\) < 1)

    \(n\)が偶数の場合

    \(f_M (x)\) =\(\frac{n!}{(( \frac{n}{2}-1)!)^2}\)\((x_1(1-x_2)^{ \frac{n}{2}-1} \)
    (0 < \(x\) < 1)

    (2)期待値と分散の導出

    期待値と分散の導出は、関連記事で解説しています。

    期待値と分散は

    ●期待値E=\(\frac{i}{n+1}\)
    ●分散V=\(\frac{i(n-i+1}{(n+1)^2 (n+2)}\)

    この式に\(i=\frac{n+1}{2}\)を代入して、

    ●期待値E=\(\frac{i}{n+1}\)=\(\frac{\frac{n+1}{2}}{n+1}\)=\(\frac{1}{2}\)
    ●分散V=\(\frac{i(n-i+1)}{(n+1)^2 (n+2)}\)
    =\(\frac{1}{4(n+2)}\)

    まとめ

    「順序統計量の中央値の確率密度関数がわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の中央値の確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量の中央値の確率密度関数の例題

  • 順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる

    「順序統計量がさっぱりわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる
    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量確率密度関数の導出がもっと理解できる
    高校数学で十分わかる!
    順序にそって、期待値が増加していることを図で理解しよう!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    QCに必要な数学問題集をを販売します!

    QC検定®1級合格したい方、QCに必要な数学をしっかり学びたい方におススメです。
    QC検定®1級、2級、統計検定2級以上の数学スキルを磨くのに苦戦していませんか? 広大すぎる統計学、微分積分からQC・統計に勝てるための60題に厳選した問題集を紹介します。是非ご購入いただき、勉強してスキルを高めましょう。

    ①順序統計量のイメージが理解できる

    順序統計量とは

    順序統計量は意外と使われています。範囲R、R管理図、2点間距離の分布とかです。直観的にはわかりやすけど、数式で書くとめっちゃムズイのが順序統計量!

    定義は、

    確率変数\(X_1\),\(X_2\),…,\(X_n\)が独立の確率分布に従うとき、
    これらを大きい順に並べたとき、\(k\)番目の確率変数を\(X_{(k)}\)と書くと、
    \(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並ぶ統計量を基本統計量という。

    定義は、そうなんだ!と言う感じですが、確率分布関数を見ると「なんじゃこりゃ」とムズくなります。

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!} F(x)^{i-1}[1-F(x)]^{n-i}f(x)\)

    順序統計量の確率分布関数を見たら、勉強辞めようとなっちゃいます!
    順序統計量は式変形の解説が多いので、わかりやすく図で理解できるよう解説します。

    順序統計量のイメージ

    言葉の定義どおり、\(X_{(1)}\) < \(X_{(2)}\) < \(X_{(k)}\) < … < \(X_{(n)}\)
    に並びます。

    面白いのは、

    確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つだが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加していく!

    図で理解しましょう! 下図をご覧ください。

    順序統計量

    もともと確率分布関数\(f_{(i)}(x)\)の式は1つですが、整数\(i\)を0から1ずつ増やして代入してできる確率分布関数の期待値を計算すると、期待値がちゃんと増加しているのがわかりますよね。

    視覚的に順序統計量がイメージできたところで、実際に計算して、上図を作ってみましょう。

    ➁順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出

    (1) 順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出

    関数\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-1} f(x)\)の導出についてです。

    教科書の導出方法を解説します。

    \(X\)=(\(X_1,…,X_n\))を\(n\)個の独立な確率標本とし、確率密度関数、および分布関数をそれぞれ\(f(x)\),\(F(x)\)とする。また、\(F_{(i)}\),\(i=1,…,n\)を\(i\)番目の順序統計量\(X_{(i)}\)の分布案数とする。

    順序統計量

    上図のように、事象\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx\)(\(δx\)は微小とする)の起こる確率Prは、二項定理を使って
    Pr(\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx)\)
    =\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\) \(F(x)^{i-1} (1-F(x+δx))^{n-i} (F(x+δx)-F(x))\)
    =(式1)
    と表現できる。

    二項定理から見ると、
    ●\(F(x)\)が\(i-1\)個
    ●\(F(x+δx)-F(x)\)が1個
    ●残り\(1F(x+δx)\)が\(n-i\)個
    を選ぶ、場合の数を求めるイメージです。

    (式1)の微分が関数\(f_{(i)}(x)\)になるので、
    \( \displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{ Pr}{δx} \)
    =\(f_{(i)}(x)\)=\(\frac{n!}{(i-1)!1!(n-i)!}\)\(F(x)^{i-1}(1-F(x))^{n-1} f(x)\)
    =(式2)

    ((式1)の中の、\((F(x+δx)-F(x))/δx\)⇒\(f(x)\)になります。)

    この導出方法は、数学的に正しいけど、順序統計量の「順序」がどこにあるのかがまったくわからず、むしろ何で二項定理を使って導出するのか?で混乱する

    続いて、教科書的な同時確率密度関数の導出も見ましょう。

    (2) 順序統計量の教科書的な同時確率密度関数の導出

    関数\(f_{(i),(j)}(x_{(i)},x_{(j)})\)=\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)の導出についてです。

    教科書の導出方法を解説します。

    2つの順序統計量\(X_{(i)}\)、\(X_{(ij)}\)について考えるが、
    ●1 < \(i\) < \(j\) < \(n\)
    とする。この場合、
    \(x_i\) < \(X_{(i)}\) \(X_{(i)}\) \(x_i + δx_i\)および\(x_j\) < \(X_{(j)}\) \(X_{(j)}\) \(x_j + δx_j\)が同時に起こる確率Prは、下図と二項定理を使って以下で表現できる。

    順序統計量

    Pr(\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx\),\(x\) < \(X_{(i)}\) < \(x+δx\))
    =\(\frac{n!}{(i-1)!1!(j-i-1)!1!(n-j)!}\) \(F(x)^{i-1} (F(x_j)-F(x_i +δx_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j + δx_j))^{n-j} (F(x_i +δx_i)-F(x_i)) (F(x_j +δx_j)-F(x_j))\)
    =(式3)
    で表現できる。

    二項定理から見ると、
    ●\(F(x_i)\)が\(i-1\)個
    ●\(F(x_i+δx_i)-F(x_i)\)が1個
    ●\(F(x_j)-F(x_i + δx_i)\)が\(j-i-1\)個
    ●\(F(x_j+δx_j)-F(x_j)\)が1個
    ●1-\(F(x_j+δx_j)\)が\(n-j\)個
    を選ぶ、場合の数を求めるイメージです。

    (式3)の微分が関数\(f_{(i),(j)}(x)\)になるので、
    \( \displaystyle \lim_{n \to \infty} \frac{ Pr}{δx_i δx_j} \)
    =\(C_{i,j}F(x_i)^{i-1}\)\((F(x_j)-F(x_i))^{j-i-1}\)\((1-F(x_j))^{n-j}f(x_i)f(x_j)\)
    (ここで、\(C_{i,j}=\frac{n!}{(i-1)!(j-i-1)!(n-j)!}\))
    =(式4)

    ((式3)の中の、
    \((F(x_i+δx_i)-F(x_i))/δx_i\)⇒\(f_(i)(x)\)と
    \((F(x_j+δx_j)-F(x_j))/δx_j\)⇒\(f_(j)(x)\)に
    なります。)

    この導出方法は、数学的に正しいけど、順序統計量の「順序」がどこにあるのかがまったくわからず、むしろ何で二項定理を使って導出するのか?で混乱する

    ➂順序統計量確率密度関数の導出がもっと理解できる

    二項定理から導出できるのは事実ですが、順序よく並ぶイメージがまったくありません。

    むしろ、順序よく並ぶ関数が先にあって、それを整えて作られたのが順序統計量の確率密度関数の形であるとQCプラネッツでは考えています。

    なので、

    1. 順序よく並ぶ関数の形を探す
    2. 関数の値が綺麗になるように係数で整える

    の順番で順序統計量の確率密度関数を考えていきます。

    高校数学の関数で期待値が昇順に並ぶ例を学ぶ

    1. 順序よく並ぶ関数の形を探す
    2. 関数の値が綺麗になるように係数で整える

    を簡単な事例で解説します! しかも高校数学でできます! 

    高校数学でしかも、\(x^n\)の式で、期待値が昇順に並ばせることができる関数があります。面白い!ので次の例題を提示します!大学入試に出題されてもいい良問です!

    順序統計量の確率密度関数が理解できる高校数学問題

    4次関数
    \(f_1 (x)= 5(1-x)^4\)
    \(f_2 (x)= 5x(1-x)^3\)
    \(f_3 (x)= 5x^2 (1-x)^2\)
    \(f_4 (x)= 5x^3 (1-x)^1\)
    \(f_5 (x)= 5x^4 \)
    (つまり、\(f_i (x)= 5x^{i-1} (1-x)^{5-i}\) (\(i\)=1,2,3,4,5))
    ( 0 < \(x\) < 1)
    を定義する。
    (1) \(f_i (x)= 5x^{i-1} (1-x)^{5-i}\) (\(i\)=1,2,3,4,5))の概形を描け。
    (2) 期待値E[\(x_i\)]=\( \displaystyle \int_{0}^{1} x f_i(x)\)を計算せよ。
    (3) 期待値E’ [\(x_i\)]=\(\frac{5!}{i!(5-i)!}\)E[\(x_i\)]を求めよ。
    ただし、以下の式\( \displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1} (1-x)^{q-1} dx\)=\(\frac{(p-1)!}{(q-1)!}{(p+q-1)!}\)は証明せずに使ってよい。

    どうでしょう。見た目、大学入試か高校の実力試験に出ても違和感ないですよね!

    ここからは、関連記事で詳細に解説しているので、読んでください。

    順序統計量 確率密度関数の考え方がよくわかる
    順序統計量が説明できますか? 順序統計量の確率密度関数の式が理解・導出できますか? 本記事では、確率密度関数の式の構成や理論をわかりやすく解説します。統計学を学ぶ方は必読です。

    実は、上の例の(3)
    期待値E’ [\(x_i\)]=\(\frac{5!}{i!(5-i)!}\)E[\(x_i\)]こそが順序統計量の確率密度関数の形になっていますし、この期待値を計算すると\(i/n\)に近い式になり、\(i\)を増やすと期待値もそれに従って順序よく増加し、下の図のイメージになります。

    順序統計量

    順序統計量の確率密度関数を理解する方法

    再掲しますが、

    1. 順序よく並ぶ関数の形を探す
    2. 関数の値が綺麗になるように係数で整える

    最初の、順序よく並ぶ関数の形を探すは、上の例題と関連記事の解説から
    \(x^{i}(1-x)^{n-i}\)が関数の項にあれば、期待値は\(i\)を増やすごとに増加し、順序どおり並びます。

    もっと一般化すると、
    ●\(x^{i}(1-x)^{n-i}\)が関数の項にあること
    ●\(f(x)^{i}(1-f(x))^{n-i}\)が関数の項にあること
    ●\(x^{i}(y-x)^{j-i} (1-y)^{n-j}\)が関数の項にあること
    となると、これらも順序よく並びます。

    まず、二項定理から導出するのではなく、順序よく並ぶ関数を用意することが先とQCプラネッツは考えます。

    次に、関数の値が綺麗になるように係数で整えるために二項定理のような係数がつきます。

    実際に、\(x^{i}(1-x)^{n-i}\)を積分するとベータ関数を適用し、計算結果が階乗!を使いまくる式になります。そのままは使いにくいので、「!」を無くすように関数の前に係数が付きます。

    つまり、下図のように順序統計量の式は構成されています。これは同時確率密度関数の場合も同じです。

    順序統計量

    難しい公式を無理に暗記せず、意味を理解しましょう。順序統計量は意味をよく理解することが大事です。

    まとめ

    「順序統計量の同時確率密度関数の導出がよくわかる」を解説しました。

    • ①順序統計量のイメージが理解できる
    • ➁順序統計量の教科書的な確率密度関数の導出
    • ➂順序統計量確率密度関数の導出がもっと理解できる

error: Content is protected !!