カテゴリー: ISO

  • ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理

    「不適合やトラブルが発生したら何をしたらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理
    • ①要求事項の簡略化
    • ②不適合発生前提で考えておくこと
    • ③不適合に対する迅速な対応ができる組織力
    • ④特別採用(トクサイ)の拡大解釈に注意
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.7 不適合なアウトプットの管理
    8.7.1 組織は,要求事項に適合しないアウトプットが誤って使用されること又は引き渡されることを防ぐために,それらを識別し,管理することを確実にしなければならない。 組織は,不適合の性質,並びにそれが製品及びサービスの適合に与える影響に基づいて,適切な処置をとらなければならない。これは,製品の引渡し後,サービスの提供中又は提供後に検出された,不適合な製品及びサービスにも適用されなければならない。 組織は,次の一つ以上の方法で,不適合なアウトプットを処理しなければならない。
    a) 修正
    b) 製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止
    c) 顧客への通知
    d) 特別採用による受入の正式な許可の取得 不適合なアウトプットに修正を施したときには,要求事項への適合を検証しなければならない。
    8.7.2 組織は,次の事項を満たす文書化した情報を保持しなければならない。
    a) 不適合が記載されている。
    b) とった処置が記載されている。
    c) 取得した特別採用が記載されている。
    d) 不適合に関する処置について決定する権限をもつ者を特定している。

    シンプルにまとめます。

    8.7 不適合なアウトプットの管理
    8.7.1 組織は,不適合の性質と与える影響について,適切な処置をとる。これは,製品の引渡し後も含む。
    a) 修正
    b) 製品及びサービスの分離,散逸防止,返却又は提供停止
    c) 顧客への通知
    d) 特別採用による受入の正式な許可の取得
    8.7.2 組織は,文書化した情報を保持する。
    a) 不適合を記載。
    b) とった処置を記載。
    c) 取得した特別採用を記載。
    d) 不適合処置を決定する権限者を特定。

    ②不適合発生前提で考えておくこと

    リスク前提で進めるのが現状

    不適合やトラブルは発生させたくはありませんよね。業務は気持ちよく終わりたいし、トラブル処置のための追加業務はダルイです。

    でも、

    リスクが無い仕事はありません。
    他人ができないからあなたが業務しているので、
    他人ができないリスクはあなたを常に狙っています!

    リスクは、組織力、経験、関係者との協力で極力減らせますが、0にはなりません。

    リスクに対して、対価が支払われているともいいます。

    不適合発生しても仕方がないと割り切ること

    トラブルは発生したら、パニックになるし、怒られるし、自分を責めようとなります

    真面目で一生懸命な人ほどそうです。

    ですが、

    リスクが無い仕事はありません。
    他人ができないからあなたが業務しているので、
    他人ができないリスクはあなたを常に狙っています!
    しゃーない!
    組織を頼りながら対処しよう
    と割り切ってください。

    トラブルは、

    あなた1人でどうにか対処しようと考えなくていいです。
    組織で対処します。割り切ってください。

    ③不適合に対する迅速な対応ができる組織力

    トラブルは組織で対処します。なぜなら、誰もトラブル対応したくないから。他人の業務を手助けする程度の気持ちとして淡々と冷静に判断するマインドが必要です。

    そうなると、日ごろの組織力がどれほど高いかどうかが問われます。

    現場担当者からの組織内への素早い報告

    日頃の信頼関係が必要

    担当者と組織管理者との日頃の信頼関係が必要になります。

    なんで!ミスってん!
    と怒らず
    「早急の連絡ありがとう!」
    と管理者は必ず褒めてあげてください。

    トラブル発生時に、「やばい!怒られる!」として隠すのが最悪です。上司に報告できるような関係が日常必要です。

    5W1Hを明確に報告

    落ち着いて、わかった状況を隠さずに5W1Hを組織に報告しましょう。

    担当者の考え、仮説はこの段階では不要です。現場、現物、現実をそのまま組織にインプットしましょう。

    管理職間の連携、応急処置

    管理職間の連携

    管理職間の連携が必須です。大きな組織の場合、情報共有できる電子システムがあるでしょう。その電子システムに入力すると、全社内の関係者に同時発信して情報をさらに共有できるでしょう。

    上司は、トラブル経験を経て出世しているわけですから、落ち着いて対処できるでしょうし、現場の担当者をなだめつつ解決方法を提案してあげてください。

    応急処置

    現場のトラブルに中で、応急処置ができるなら、担当者に指示します。図面や、対処できる他の担当者への現場派遣などの対応が必要になります。

    担当者が勝手に応急処置せず、必ず顧客の指示を受けてからにしましょう。
    良かれと思った行動が逆効果になり、かえって悪い結果になることもあります。

    臨機応変な対応が、逆効果になり、被害拡大や費用増加になることもあります。すぐ片づけたいですが、冷静に対処しましょう。

    恒久処置としての是正処置

    組織外関係者との調整

    ●応急処置ができたら、恒久処置・再発防止、未然防止などの策を組織内や顧客・関係者と協議して詰めていきます。

    被害の程度によっては、製品及びサービスのリリースの一旦禁止になる場合もあり、組織長が顧客へ説明し、リリース禁止の許可をもらう手続きも必要な場合もあります。

    組織内での是正処置

    ●組織内で実施することは、次の4つです。

    1. 不適合理由の真因分析
    2. 是正処置(恒久対策)による再発防止、未然防止
    3. 他組織内への情報展開

    不適合理由の真因分析

    原因の調査です。よく使う分析方法を2つ紹介します。

    1. 現在から過去に戻って原因分析(なぜなぜ分析など)
    2. 過去から現在に進むときにハマった罠を分析(失敗学など)

    ●なぜなぜ分析などでは、
    さらに深堀して真因追究するなかで、何が不足だったか?、何ができなかったか?を抽出します。顧客や組織内上層部などの相手に説明する(なだめる)ために、●●ができなかったと反省の念をこめるのがポイントです。

    ●一方、失敗学などでは、
    担当者が、正しいと思った行動が、実はミスだったという罠にどうはまったか?を再現するもので、担当者が自分事として理解するのに適しています。

    ●前者の「なぜなぜ分析」が有名ですが、よくある分析結果は、○○が不足なため網羅的に調べて準備しておく必要があるのような、「全部やります!」と書く文書が多く見えられます。

    ○○不足だから、全部事前に見ておくなんて、
    担当者はできないし、担当者は何をすればよいかわからない。
    森を見て木を見ず状態になります。

    ●後者の「失敗学」は有名ではありませんが、間違うのは仕方がない、正しいと思ったと一旦正当化すると、担当者がミスした経緯がはっきり見えます。ただし、顧客や組織内上層部などの相手に説明すると炎上するので、担当者向けの分析とした方がよいです。

    報告相手によって、調べたい原因によって分析手法を適用してください。

    是正処置(恒久対策)による再発防止、未然防止

    ポイントは、

    精神論ではなく、ミスしない仕組みを作ること

    今後は気合入れてミスしませんは確率論なので、不適合が再発します。そうしないように、チェック機構、文書などの明確化、承認フローへの追加で、人や機械でもいいので、ミスしないためのチェックを設ける事が重要です。

    組織内の規定や文書のフォーマットが細かく、複雑なのは過去それだけ不適合して再発しないための先輩からのメッセージなのです。

    他組織内への情報展開

    不適合は恥ずかしいと思わず、組織内の在り方を見直すチャンスでもあります。

    他の部門や組織でも同じ不適合に合わないためにも、情報展開しておきましょう。

    不適合の真因を一般化しておくと、他の組織も自分事として事前に警戒し、リスク回避につながります。

    不適合で1,000万円損失しても、各組織への情報展開によって未然に1億円の損失を防ぐことができれば、これは立派な投資でもあります。ピンチをチャンスに変えることが品質管理で重要です。

    リスク回避による損害防止額が、品質管理部門の売上と言っても過言ではない。

    ④特別採用(トクサイ)の拡大解釈に注意

    顧客要求より厳しい社内規定

    不適合、トラブル回避のために顧客要求レベルより高いレベルを達成するように社内で規定します。

    しかし、超短納期やコストカット要求が厳しいなどで、社内規定レベルに届かない場合、例外的に特別採用として顧客要求レベルでも社内合格とする場合があります

    もちろん、顧客、自組織内の了承を得る事が前提です。

    品質不正の温床に注意

    しかし、トクサイが常態化したり、自組織の品質に過信して、顧客が困ってないなら少々社内規定以下でも大丈夫と勝手に判断すると、品質不正の温床につながります。

    トクサイの扱いは注意しましょう。人間は楽になる方へ進みたいからです。

    トクサイ

    図のように、最初は、顧客要求レベルより上になる社内規定レベルですが、トクサイに甘んじると徐々に社内の品質やモラルが低下します。一方、顧客要求レベルは時間が経つにつれて高まる方向になります。

    顧客要求レベルと社内品質レベルが同じになると、不適合や品質トラブルが一気にあふれ出し、隠しきれなくなります。

    よく、経営陣が記者会見で謝罪するシーンになってしまうので、注意しましょう。

    トクサイを常態化させない。
    社内の品質向上に必要な投資を実施すべき

    以上、不適合なアウトプットの管理について注意すべきポイントを解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.7 不適合なアウトプットの管理 をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②不適合発生前提で考えておくこと
    • ③不適合に対する迅速な対応ができる組織力
    • ④特別採用(トクサイ)の拡大解釈に注意

  • ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース

    ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース

    「製品及びサービスのリリースに何を注意したらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 製造及びサービス提供
    • ①要求事項の簡略化
    • ②引渡後も組織の責任は継続
    • ③引渡時にバグは残っていると思え!
    • ④引渡作業時の注意点
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.6 製品及びサービスのリリース
    組織は,製品及びサービスの要求事項を満たしていることを検証するために,適切な段階において,計画した取決めを実施しなければならない。 計画した取決めが問題なく完了するまでは,顧客への製品及びサービスのリリースを行ってはならない。ただし,当該の権限をもつ者が承認し,かつ,顧客が承認したとき(該当する場合には,必ず)は,この限りではない。 組織は,製品及びサービスのリリースについて文書化した情報を保持しなければならない。これには,次の事項を含まなければならない。
    a) 合否判定基準への適合の証拠
    b) リリースを正式に許可した人(又は人々)に対するトレーサビリティ

    わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.6 製品及びサービスのリリース
    組織は,製品及びサービスの要求事項を満たすを検証する。 問題なく完了するまでは,顧客へリリースをしてはならない。組織は,リリースについて文書化した情報を保持する。
    a) 合否判定基準への適合の証拠

    長いけど、すっきり整理できましたね。

    モノを造って、顧客に納めて、終了!とすっきり終わりたいですけど、
    ●リリース時の注意点
    ●リリース後の注意点
    を理解しておく必要があります。むしろ、リリース後からがスタートだ!という業種も多いでしょう。

    ②引渡後も組織の責任は継続

    基本、引渡後、一切関係ありませんとはならないことが多く、引渡後も顧客との関係を継続します。また、使用後に法令や規制の変更による対応も必要な場合があります。

    1. 組織の保守メンテナンス体制の構築
    2. 製品及びサービスのトレーサビリティ
    3. 法令、規制の変更による対応

    上の3点を組織で対応できるようにしましょう。

    組織の保守メンテナンス体制の構築

    例えば、関連会社を作って、関連会社に保守メンテを担当するよう体制を作ります。

    ●製品開発・製造部門
    ●保守メンテ部門
    と専門部門に分けると、業務効率がよいでしょう。

    ●保守メンテ部門が顧客から得た情報(苦情や追加注文)を共有し、リリース後の顧客との良好な関係を維持します。

    ●製品開発・製造部門
    ●保守メンテ部門
    と分けた際、注意なのが、顧客側に近い方が、力を持つことが多く、開発・製造の担当者より保守メンテの担当者の方が強気な態度になることがあります。

    担当者間の偏った力関係によって、顧客への対応が遅延しないよう注意が必要です。

    おそらく、担当者の特性が、
    ●開発・製造はおとなしい人が多く
    ●保守メンテは現場上がりのパワフルな人が多い
    組織も多いでしょう。お互いWin-Winな関係が重要です。

    製品及びサービスのトレーサビリティ

    保守メンテした製品及びサービスの番号、日時、改修内容を保持して、情報がいつでも追えるように整理しておく必要があります。

    保守メンテ依頼は忘れた頃にやってくる

    製品及びサービスによっては、15年ぶりに保守メンテするものもあります。その場合、図面が電子化されておらず、組織内の片隅にある紙ファイルにあるが、見つかるまでに時間を要し、非効率な業務になりかねません。

    将来のことは知らないし、担当しないから関係ない!とせず、少なくとも自分が担当した業務は電子化してまとめておきましょう。数年後の担当者が救われます。

    法令、規制の変更による対応

    近年はあまりありませんが、環境物質など、過去は使用OKなのに、急に禁止になるパターンです。ソフトウェアも、セキュリティー問題によって急に変えないといけないものもあるでしょう。

    この場合、ヌケモレは禁物なので、地味なわりに、結構苦労がかかる業務となります。

    1. 対応製品がどれかのリストアップ
    2. 関係者へのインプットと対応の促進
    3. 期限までの確実な対応

    特に関係者に対応してもらわないといけない場合が多いですが、あまりモチベーションが上がる業務ではないので、対応してもらうよううまく説明して促す必要があります。

    日頃から、組織内の関係者との良好な関係作りが必要です。

    忘れた頃にやってくる保守メンテ
    すぐ動けるように日頃から準備が必要!
    なので、ISO9001要求事項となっています

    「 ISO9001要求事項なら、仕方ない」とみんな動いてくれます。

    ③引渡時にバグは残っていると思え!

    工場でも現地でも動作試験はOKで引渡完了!と安堵しますが、バグは残っていると思っていた方がよいです。

    バグが出てもヘコまなくていい、自責の念は不要

    完璧に引渡まで業務完遂した!
    と思った後の、不適合が来ると
    結構、ヘコミます

    8,9年選手で1人前になってきた技術者ほど、ヘコミます。でも、組織はヘコミに付き合っているヒマはありません。だから、最初からバグは残っていると思っていた方が良いです。

    引渡後よくあるトラブル

    品質管理業務をしているとよく聞くトラブルがあります。

    1. 何らかのミスがあったが引渡時は問題なかった。しかし、数カ月後問題が顕在化した
    2. 数年後、改造が必要になり、改造したら予期した動作をしなかった。よく見ると最初から間違えていた。改造までは使っていなかったから問題になっていなかった。

    経験上、完璧な製品やサービスは作れません。顧客が満足する以上のレベルであって、完璧ではないのです。トラブル時は顧客が怒るのが、こわいし嫌ですけど、完璧な製品やサービスは世にはありません。

    バグはずっと残っていると思っていた方が気は楽
    不適合が起きたら、素直に謝って改善すればよいのです。

    ④引渡作業時の注意点

    引渡作業時のよくあるトラブル

    引渡時は気を抜かないよう注意しましょう。

    よくあるトラブルは、

    1. 作業手順が無く我流で作業して、ミスしてトラブル
    2. 作業手順があるのに我流で作業して、ミスしてトラブル
    3. 作業手順と実際が異なっていた。作業手順を見直さずにその場で作業して、ミスしてトラブル

    社内にトラブル連絡が来ると、「またか?」が多いです。

    引渡作業には、作業原則があり、厳守するよう指示されていますが、現状は守っている人とそうでない人がいて、ばらつきがあります。

    引渡作業の難しさ

    引渡作業の作業原則の徹底は基本ですが、現場は多くの人が同時に作業します。いつ、どこで、誰が、何を作業しているかを意識していないと、現場は訳がわからない状態になります。

    そういう難しい作業をしている意識が大切です。難しい作業と思えば、事前に準備や作業内容をしっかり読んでくるはずです。

    しかし、慣れや経験が作業手順と違う作業をしたり、時にミスすることもあります。

    遠い現場まで行く大変な作業なので、無事故、無トラブルで完遂してほしいです。

    作業手順の厳守もISOの要求事項ではあるが、
    現場作業の人へそれを理解してもらう努力がもっと必要。
    ISOだから、規則だから、では
    人はわかっていても行動しません。

    単にモノを顧客に渡すだけのプロセスですが、トラブルの種がたくさん潜んでいます。ISOの要求事項だけでは全然足りません。経験を組織に共有することがより重要です。

    以上、製品及びサービスのリリースで、業務を通じて注意すべきポイントを解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②引渡後も組織の責任は継続
    • ③引渡時にバグは残っていると思え!
    • ④引渡作業時の注意点

  • ISO9001 2015 8.5 製造及びサービス提供

    ISO9001 2015 8.5 製造及びサービス提供

    「製造及びサービス提供において、ISO9001要求事項の注意点って何かがわからない?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 製造及びサービス提供
    • ①要求事項の簡略化
    • ②製造初期は要求事項通りできない
    • ③ISOはOKでも製造現場の記録と実態は同じか?
    • ④識別とトレーサビリティは後々重要になる
    製造プロセスがISO9001 で一番要求されますが、基本通り製造すれば、ISO9001の要求事項を満たすレベルなります。
    製造プロセスは難しいし、ノウハウのかたまりなので、各組織が積み重ねた努力の結晶があります。努力の結晶は結局ISO9001の要求事項を満たしています。

    一般的な製造プロセスとISO9001の要求事項のポイントは他に任せて、
    本記事では、実際の製造プロセスで起こりうる「あるある」を解説します。

    品質監査は、製造プロセスは8.5の要求事項をチェックするけど、現場の実態はどうなのか?を一番監査員は気にしているのです。見えないところにいっぱいリスクが潜んでいるので、それを見つけたい!
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.5 製造及びサービス提供

    8.5.1 製造及びサービス提供の管理
    組織は,製造及びサービス提供を,管理された状態で実行しなければならない。 管理された状態には,次の事項のうち,該当するものについては,必ず,含めなければならない。
    a) 次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする。
    1) 製造する製品,提供するサービス,又は実施する活動の特性。
    2) 達成すべき結果
    b) 監視及び測定のための適切な資源を利用できるようにし,かつ,使用する。
    c) プロセス又はアウトプットの管理基準,並びに製品及びサービスの合否判定基準を満たしていることを検証するために,適切な段階で監視及び測定活動を実施する。
    d) プロセスの運用のための適切なインフラストラクチャ及び環境を使用する。
    e) 必要な適格性を含め,力量を備えた人々を任命する。
    f) 製造及びサービス提供のプロセスで結果として生じるアウトプットを,それ以降の監視又は測定で検証することが不可能な場合には,製造及びサービス提供に関するプロセスの,計画した結果を達成する能力について,妥当性確認を行い,定期的に妥当性を再確認する。
    g) ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する。
    h) リリース,顧客への引渡し及び引渡し後の活動を実施する。
    8.5.2 識別及びトレーサビリティ
    製品及びサービスの適合を確実にするために必要な場合,組織は,アウトプットを識別するために,適切な手段を用いなければならない。 組織は,製造及びサービス提供の全過程において,監視及び測定の要求事項に関連して,アウトプットの状態を識別しなければならない。 トレーサビリティが要求事項となっている場合には,組織は,アウトプットについて一意の識別を管理し,トレーサビリティを可能とするために必要な文書化した情報を保持しなければならない。
    8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
    組織は,顧客又は外部提供者の所有物について,それが組織の管理下にある間,又は組織がそれを使用している間は,注意を払わなければならない。 組織は,使用するため又は製品及びサービスに組み込むために提供された顧客又は外部提供者の所有物の識別,検証及び保護・防護を実施しなければならない。 顧客若しくは外部提供者の所有物を紛失若しくは損傷した場合,又はその他これらが使用に適さないと判明した場合には,組織は,その旨を顧客又は外部提供者に報告し,発生した事柄について文書化した情報を保持しなければならない。 注記 顧客又は外部提供者の所有物には,材料,部品,道具,設備,施設,知的財産,個人情報などが含まれ得る。
    8.5.4 保存
    組織は,製造及びサービス提供を行う間,要求事項への適合を確実にするために必要な程度に,アウトプットを保存しなければならない。 注記 保存に関わる考慮事項には,識別,取扱い,汚染防止,包装,保管,伝送又は輸送,及び保護が含まれ得る。
    8.5.5 引渡し後の活動
    組織は,製品及びサービスに関連する引渡し後の活動に関する要求事項を満たさなければならない。 要求される引渡し後の活動の程度を決定するに当たって,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 法令・規制要求事項
    b) 製品及びサービスに関連して起こり得る望ましくない結果
    c) 製品及びサービスの性質,用途及び意図した耐用期間
    d) 顧客要求事項
    e) 顧客からのフィードバック
    注記 引渡し後の活動には,補償条項(warranty provisions),メンテナンスサービスのような契約義務,及びリサイクル又は最終廃棄のような付帯サービスの下での活動が含まれ得る。
    8.5.6 変更の管理
    組織は,製造又はサービス提供に関する変更を,要求事項への継続的な適合を確実にするために必要な程度まで,レビューし,管理しなければならない。 組織は,変更のレビューの結果,変更を正式に許可した人(又は人々)及びレビューから生じた必要な処置を記載した,文書化した情報を保持しなければならない。

    長いし、難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.5 製造及びサービス提供
    8.5.1 製造及びサービス提供の管理
    a) 次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする。
    1) 製造及びサービス
    2) 達成すべき結果
    b) 監視及び測定のための適切な資源
    c) プロセス又はアウトプットの管理基準、適切な段階での監視及び測定。
    d) プロセスの運用のためのインフラストラクチャ及び環境。
    e) 力量を備えた人々を任命。
    f) プロセスの能力について定期的に妥当性を再確認。
    g) ヒューマンエラー防止の処置。
    h) リリース,顧客への引渡し及び引渡し後の活動。
    8.5.2 識別及びトレーサビリティ
    組織は,アウトプットの状態を識別する。 トレーサビリティが必要な場合は,文書化した情報を保持する。
    8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
    組織は,顧客又は外部提供者の所有物に注意(所有物の識別,検証及び保護・防護)を払う。
    顧客若しくは外部提供者の所有物を紛失・損傷や使用に適さない場合,顧客又は外部提供者に報告し,発生した事柄について文書化した情報を保持する。
    8.5.4 保存
    組織は,製造及びサービス提供を行う間,アウトプットを保存する。
    8.5.5 引渡し後の活動
    組織は,引渡し後の活動に関する要求事項を満たす。
    a) 法令・規制要求事項
    b) 起こり得る望ましくない結果
    c) 性質,用途及び耐用期間
    d) 顧客要求事項
    e) 顧客からのフィードバック
    8.5.6 変更の管理
    組織は,製造又はサービス提供に関する変更をレビューし,管理する。 組織は,変更のレビューの結果,変更を正式に許可した人(又は人々)及びレビューから生じた必要な処置を記載した,文書化した情報を保持する。

    長いけど、すっきり整理できましたね。

    実際ある工場の製造現場を見ると、各製造工程の作業、人、情報を管理して進めているので、ISO9001要求事項を満たしているのは容易に想像がつきます。

    なので、工場に行っても見えない風景を考えながら、ISO9001要求事項を満たす製造プロセスを解説して行きます。

    ②製造初期は要求事項通りできない

    どんな工場や製造プロセスでも、最初からISO9001要求事項を満たして製造できるわけではありません。製造プロセスの成長段階を見る事で、ISO9001要求事項を満たす流れを理解しましょう。

    製造プロセスの立ち上げは3段階

    製造プロセスの立ち上げは3段階あります。

    1. 導入期(試行錯誤で良品が作れる)
    2. 成長期(良品を効率よく作る)
    3. 成熟期(本格的量産体制)

    導入期

    製造開始したばかりで立ち上げをするよう組織から命じられたとしましょう。立ち上げ当初の製造プロセスってどんなレベル感か、イメージしましょう。

    1. 人、機械、設備、カネが限られている
    2. 製造方法が流動的で、作業工に依存している
    3. 文書管理は甘い

    製造、アウトプットの評価、改善を繰り返すわけですから、ISO9001要求事項レベルには達していません。どんな工場でも、開設当初はこんなものです。

    製造立ち上げ開始から、ISO9001に準拠したものづくりはできない。試行錯誤して製造が成熟してから標準化プロセスに進むから。

    成長期

    最初は、製造なのか?実験なのか?わからなかったけど、良品が作れるプロセスを徐々に確立させていきます。良品ができると、今度は効率よく、うまく良品を量産できる工夫をする段階に入りますね。

    1. 作業者でうまいコツを共有
    2. うまい作り方を文書やマニュアル化していく
    3. 情報共有による組織力がアップ

    良品を量産できる段階になると、いよいよ本格的に製造開始となり、製造プロセスも成熟していくわけですね。

    成熟期

    ここまで来ると

    1. 顧客獲得のためのISO認証取得化
    2. 社内関係者の視察、監査が増加
    3. 社会的責任の増加

    が求められます。社内でも、製造プロセスへの投資も増えて責任ある量産体制に入っていきます。

    ●3段階を整理すると、下表になります。

    製造プロセス ISO9001 作業者のタイプ 設備
    導入期 試行錯誤 取得どころではない 開拓、挑戦心が強い 小規模
    成長期 効率化 取得へ進む いろいろなタイプ 中規模
    成熟期 量産体制 取得必須 素直、従順 大規模

    製造プロセスが時間経過と成熟度によって、戦略や作業者のタイプが変わっていくのがわかります。当初いたタイプから量産体制に入るタイプが変わります。

    属人性が強くても良かった立ち上げ当初から、誰が担当しても同質の製造になるように管理されていきます。

    素直で従順な人が増えていきますが、
    ●素直で従順な人なら、工程ばらつきを抑えやすいですが、
    ●何でも上の指示に従うのはよくありません。

    素直で従順 かつ 改善へモノ言う環境構築が管理者側に求められます。

    ③ISOはOKでも製造現場の記録と実態は同じか?

    品質監査して、書類や口頭試問はOKだけど、実態はどうなん?と疑問に思います。

    素直で従順 だけで 改善へモノ言う環境構築ができていないことが多いから。
    ISO9001要求事項や社内規定は必要だが、十分ではない。

    気になる点をいくつか挙げます。あなたの組織の製造プロセスは大丈夫でしょうか?

    1. 記録した情報と現場の空気は同じか?
    2. 素直でも意見が言える空気か?
    3. 同じ人が同じ業務を何年もやっていないか?
    4. 管理者の管理が行き届く現場か?
    5. キツイノルマが課せられていないか?
    6. 検査は資格を持った人が検査しているか?
    7. ゴミが落ちていないか?整理整頓できているか?

    実は、上の項目は、ISO9001要求事項はクリアーしていても、品質不正につながる温床のもとばかりなんです。

    三現主義とよく言います。現物、現場、現実を見ると実態がわかります。そして、その空気感や違和感が伝わってくると、何か嫌な予感がします。ISO9001要求事項を満たしていても、品質に傷がつく状況になっている可能性があります。

    ●モノが言える環境か?⇒改善機会があるか?
    ●担当者の異動は?⇒その人しかわからないと不正に走りやすい
    ●管理者は管理しているか?⇒社内政治や管理職会議に奔走しているのではないか?
    ●キツイノルマ⇒QCDのCDがキツイからQは下げても仕方がないという空気が生まれる。

    製造プロセスはISO9001認証が目的ではなく、要求された品質をユーザに届けること
    製造プロセスをISO9001で要求するが、そこが終点ではない。

    ④識別とトレーサビリティは後々重要になる

    識別とトレーサビリティとは、出荷番号、出荷後のその製品及びサービスに関する情報が常に追える状況にしていおくことです。

    識別とトレーサビリティは、忘れた頃にやってくる!

    具体的には、

    1. 出荷後、数年後に発生したトラブルを対処した情報
    2. 出荷後、数十年後に法令改正によって対応した情報

    前者は、QMS、ISO9001が多く、後者は、EMS,ISO14001が多いでしょう。

    出荷後、数年後に発生したトラブル

    ●出荷時にバグがあったけど、数年間はその機能は使っていなかった。その後、機能追加でその使っていない機能を使うと動作不良が発生した。ってよくありますよね。このとき、どのシステムのどの製品だっけ?

    数年前に出荷したものだったら、組織内に文書化した情報や当時の担当者がいる可能性が高いです。それでも、情報をかき集めるのが大変ですね。

    出荷後、数十年後に法令改正によって対応

    ●最近では、微量PCB汚染が1989年以前の製造した機器に混入の可能性が否定できない件がありました。30年以上稼働している設備に微量PCB汚染した部品がまだ、ある可能性があります。

    30年前となると、当時の担当者はいませんし、何で今頃?と思いながら対応せざるを得ません。

    過去担当者は気になりませんが、数年後経って、事象を対応する担当者へトレーサビリティが引き継がれていないと、泣きを見るハメになります。

    識別とトレーサビリティは、忘れた頃にやってくる!
    面倒ですが、今対応している製造及びサービスの提供プロセスはしっかり保持すると
    後任者が救われます。

    ISO9001 8.5.2はトレーサビリティせよって書いていますが、その理由はあなたもみんなも後々降ってくるリスクから守るためです。

    以上、製造及びサービス提供で、要求事項を満たしながら、さらに注意すべきポイントを解説しました。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.5 製造及びサービス提供 をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②製造初期は要求事項通りできない
    • ③ISOはOKでも製造現場の記録と実態は同じか?
    • ④識別とトレーサビリティは後々重要になる

  • ISO9001 2015 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理がわかる

    ISO9001 2015 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理がわかる

    「外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理って何を実際やればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②購買プロセスの影響は意外と大きい
    • ③購買元、購買先間の交渉事だから難しい
    • ④購買元、購買先間の良い関係性
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理
    8.4.1 一般
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項に適合していることを確実にしなければならない。 組織は,次の事項に該当する場合には,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスに適用する管理を決定しなければならない。
    a) 外部提供者からの製品及びサービスが,組織自身の製品及びサービスに組み込むことを意図したものである場合
    b) 製品及びサービスが,組織に代わって,外部提供者から直接顧客に提供される場合
    c) プロセス又はプロセスの一部が,組織の決定の結果として,外部提供者から提供される場合 組織は,要求事項に従ってプロセス又は製品・サービスを提供する外部提供者の能力に基づいて,外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの監視,及び再評価を行うための基準を決定し,適用しなければならない。
    組織は,これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について,文書化した情報を保持しなければならない。
    8.4.2 管理の方式及び程度
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客に一貫して適合した製品及びサービスを引き渡す組織の能力に悪影響を及ぼさないことを確実にしなければならない。 組織は,次の事項を行わなければならない。
    a) 外部から提供されるプロセスを組織の品質マネジメントシステムの管理下にとどめることを,確実にする。
    b) 外部提供者に適用するための管理,及びそのアウトプットに適用するための管理の両方を定める。
    c) 次の事項を考慮に入れる。
    1) 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を一貫して満たす組織の能力に与える潜在的な影響
    2) 外部提供者によって適用される管理の有効性
    d) 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが要求事項を満たすことを確実にするために必要な検証又はその他の活動を明確にする。
    8.4.3 外部提供者に対する情報
    組織は,外部提供者に伝達する前に,要求事項が妥当であることを確実にしなければならない。 組織は,次の事項に関する要求事項を,外部提供者に伝達しなければならない。
    a) 提供されるプロセス,製品及びサービス
    b) 次の事項についての承認
    1) 製品及びサービス
    2) 方法,プロセス及び設備
    3) 製品及びサービスのリリース
    c) 人々の力量。これには必要な適格性を含む。
    d) 組織と外部提供者との相互作用
    e) 組織が適用する,外部提供者のパフォーマンスの管理及び監視
    f) 組織又はその顧客が外部提供者先での実施を意図している検証又は妥当性確認活動

    長いし、難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理
    8.4.1 一般
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項に適合していることを確実にして管理する。
    b) 製品及びサービスが,組織に代わって,外部提供者から直接顧客に提供される場合
    c) プロセス又はプロセスの一部が,外部提供者から提供される場合
    組織は,外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの監視,及び再評価を行う基準を決定し,適用し、文書化した情報を保持する。
    8.4.2 管理の方式及び程度
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客へ悪影響を及ぼさないことを確実にする。
    a) 外部から提供されるプロセスを組織の品質マネジメントシステムの管理下に置く。
    c) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たす
    d) 要求事項を満たすことを確実にするために必要な検証
    8.4.3 外部提供者に対する情報
    a) 提供されるプロセス,製品及びサービス
    b) 製品及びサービス、方法、プロセスついての承認
    c) 人々の力量
    d) 組織と外部提供者との相互作用
    e)外部提供者のパフォーマンスの管理及び監視

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    もっと端的に解説すると、

    購買プロセスで何を管理しなければならないか?
    購買元、購買先の要求は異なる中、うまくQMSを監視できるか?

    相手がいる話なので、交渉も必要になってきます。

    ②購買プロセスの影響は意外と大きい

    自社開発した製品及びサービスの中で、
    外から購買したものはどれくらい含まれていますか?

    意外と多くて、原価の半分が購買品(他社製品)など場合があります。

    全部自社で製造はありえない!

    ねじ1本から自社製ですか?
    PCのOSも自社製ですか?
    事務所の空調も自社製ですか?

    んなわけ、ないですよね。他社でよいものは購買の方が良いからですよね。

    ISO9001や品質マネジメントシステムは
    自分の領域だけ考えがちですが、
    購買による他社との関係性も重要なのです!

    とはいえ、利害関係が相反する相手ですから、ストレスな交渉が必要になります。

    ISO9001は「外部を管理せよ!」と要求事項に簡単に書いているけど、実際どうやるの?話が通じる相手ならいいけど、そうでないなら? とか実務ではいろいろ悩むはずです。

    ③購買元、購買先間の交渉事だから難しい

    本来は、

    購買元、購買先の両者の利益が合うから契約、売買が成立します。しかし、時間が経過するとその関係がギクシャクしていきます。

    なので、
    (i)契約時の関係
    (ii)経過後の関係
    を見てみましょう。

    契約時の関係

    購買先と販売元の利害関係は逆

    QCDで考えると、

    ●購買先⇒よりいい品質を、より安く、より早く購入したい!
    ●販売先⇒必要最低限の品質で、より高く、時間に余裕をもって販売したい!
    と利害関係は真逆です。

    購買

    ISO9001や品質マネジメントシステムは、購買側が主語ですが、販売元も配慮しないと交渉や第2者監査してもよい結果につながりません。

    購買先と販売元が売買成立する条件

    購買先が、ここから上の要求レベルなら購買したい領域と
    販売元が、ここまでの要求レベルまでなら対応してもいい領域が
    重なる領域があれば、売買成立しますね。

    購買

    互いが求める領域が重なることが前提です。

    時間経過すると関係がギクシャクしてくる

    時間経過すると

    最初は、売買両側の関係性は良いですが、時間が経つと、
    ●購買先は
    ・この案件だけここの品質だけ良くしてくれないか?
    ・この案件だけ、ちょっと安くしてくれないか?
    ・この案件だけ、来週納期でもいい?
    と「この案件だけ」と例外的にQCD要求を上げてきます。

    これが定着すると、例外だったのが、当たり前の感覚になります。いつの間にか、要求レベルが上がっているし、これに気が付きません。

    ●一方、販売元は
    ・エース級の技術者が退職して、質が落ち始めている
    ・原料のコストが上がっている
    ・他社との販売が増えたから納期を長くしたい
    と、要求レベルを徐々に下げていきます。

    人間なので、気を抜くとレベルは下がりますよね。仕方がない!

    両者の要求がそろわなくなる

    時間が経過すると互いに自分の都合が良い条件にしたくなるので、両者の要求がそろわなくなります。

    購買

    両者の要求がそろわない状態で、QCDの交渉や第2者監査しても効果がありません。

    相手を見る前に、自分もチェックしましょう。自分をチェックすることはISO9001 8.4には書いていませんが、そうしないと交渉が進みません。

    ④購買元、購買先間の良い関係性

    簡単な話で、両者の要求がそろう売買関係を維持すればよいのです。

    購買

    ただ、品物の売買やQCDの交渉だけだと、難航しやすいので、新たな価値をともに作り出す関係性が生まれるとさらにベターですね。

    外部のものを活かすことは、効率が良く、経済も回るのでとても良いことです。さらに、どんな価値が創出できるかを購買先、販売元がともに考えるかも重要です。

    売買や交渉は、パイの取り合いではなく
    win-winの関係にしたもの勝ちです。

    よく、両者の話合いして来い! 第2者監査しろ!とか、購買先の上層部からの指示で動くのですが、せっかく販売元の人と話せる機会なので、さらに両社で何ができるかも考えて話するのもアリと考えましょう。

    良いものを、安く、早く、もいいけど
    それだけではつまらない
    +α何がうまれるか?

    外部から提供、つまり購買プロセスでは、自他両面を配慮して、互いに良くなることを考えてISO9001 8.4の要求事項を読むと深い理解につながります。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理 をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②購買プロセスの影響は意外と大きい
    • ③購買元、購買先間の交渉事だから難しい
    • ④購買元、購買先間の良い関係性

  • ISO9001 2015 8_3 製品及びサービスの設計・開発がわかる

    ISO9001 2015 8_3 製品及びサービスの設計・開発がわかる

    「設計・開発のISO9001 要求事項に対して何を実際やればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 製品及びサービスの設計・開発がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②品質コストのほとんどが設計・開発
    • ③品質を作りこむ設計・開発プロセスを定常的に機能させること
    • ④品質を作りこむ設計・開発プロセスを非常時こそ機能させること
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.3 製品及びサービスの設計・開発
    8.3.1 一般 組織は,以降の製品及びサービスの提供を確実にするために適切な設計・開発プロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。
    8.3.2 設計・開発の計画 設計・開発の段階及び管理を決定するに当たって,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 設計・開発活動の性質,期間及び複雑さ
    b) 要求されるプロセス段階。これには適用される設計・開発のレビューを含む。

    c) 要求される,設計・開発の検証及び妥当性確認活動
    d) 設計・開発プロセスに関する責任及び権限
    e) 製品及びサービスの設計・開発のための内部資源及び外部資源の必要性
    f) 設計・開発プロセスに関与する人々の間のインタフェースの管理の必要性
    g) 設計・開発プロセスへの顧客及びユーザの参画の必要性
    h) 以降の製品及びサービスの提供に関する要求事項
    i) 顧客及びその他の密接に関連する利害関係者によって期待される,設計・開発プロセスの管理レベル

    j) 設計・開発の要求事項を満たしていることを実証するために必要な文書化した情報
    8.3.3 設計・開発へのインプット
    組織は,設計・開発する特定の種類の製品及びサービスに不可欠な要求事項を明確にしなければならない。組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 機能及びパフォーマンスに関する要求事項
    b) 以前の類似の設計・開発活動から得られた情報
    c) 法令・規制要求事項
    d) 組織が実施することをコミットメントしている,標準又は規範(codes of practice)
    e) 製品及びサービスの性質に起因する失敗により起こり得る結果
    インプットは,設計・開発の目的に対して適切で,漏れがなく,曖昧でないものでなければならない。 設計・開発へのインプット間の相反は,解決しなければならない。 組織は,設計・開発へのインプットに関する文書化した情報を保持しなければならない。
    8.3.4 設計・開発の管理
    組織は,次の事項を確実にするために,設計・開発プロセスを管理しなければならない。
    a) 達成すべき結果を定める。
    b) 設計・開発の結果の,要求事項を満たす能力を評価するために,レビューを行う。
    c) 設計・開発からのアウトプットが,インプットの要求事項を満たすことを確実にするために,検証活動を行う。
    d) 結果として得られる製品及びサービスが,指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たすことを確実にするために,妥当性確認活動を行う。
    e) レビュー,又は検証及び妥当性確認の活動中に明確になった問題に対して必要な処置をとる。
    f) これらの活動についての文書化した情報を保持する。 注記 設計・開発のレビュー,検証及び妥当性確認は,異なる目的をもつ。これらは,組織の製品及びサービスに応じた適切な形で,個別に又は組み合わせて行うことができる。
    8.3.5 設計・開発からのアウトプット
    組織は,設計・開発からのアウトプットが,次のとおりであることを確実にしなければならない。
    a) インプットで与えられた要求事項を満たす。
    b) 製品及びサービスの提供に関する以降のプロセスに対して適切である。
    c) 必要に応じて,監視及び測定の要求事項,並びに合否判定基準を含むか,又はそれらを参照している。
    d) 意図した目的並びに安全で適切な使用及び提供に不可欠な,製品及びサービスの特性を規定している。 組織は,設計・開発のアウトプットについて,文書化した情報を保持しなければならない。
    8.3.6 設計・開発の変更 組織は,要求事項への適合に悪影響を及ぼさないことを確実にするために必要な程度まで,製品及びサービスの設計・開発の間又はそれ以降に行われた変更を識別し,レビューし,管理しなければならない。 組織は,次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。

    a) 設計・開発の変更
    b) レビューの結果
    c) 変更の許可
    d) 悪影響を防止するための処置

    長いし、難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.3 製品及びサービスの設計・開発

    組織は,設計・開発プロセスを確立、実施、維持する。
    8.3.2 設計・開発の計画
    a) 設計・開発のプロセス、期間・難しさ
    c) 検証及び妥当性の確認
    d) 責任及び権限
    e) 内部及び外部資源
    f) コミュニケーション
    j) 要求事項を満たすと実証した文書化した情報
    8.3.3 設計・開発へのインプット
    a) 機能及びパフォーマンスに関する要求事項
    c) 法令・規制要求事項や組織の標準・規範
    e) 失敗によるリスク
    インプットは,適切で,漏れがなく,曖昧でないもの。
    組織は,設計・開発へのインプットに関する文書化した情報を保持する。
    8.3.4 設計・開発の管理
    a) 達成すべき結果を定める。
    b) 要求事項を満たす能力を評価するために,レビューを行う。
    c) アウトプットが,インプットの要求事項を満たすことを確実にするための検証。
    e) レビュー,又は検証及び妥当性確認中に明確になった問題に対する処置。
    f) 文書化した情報を保持。
    8.3.5 設計・開発からのアウトプット
    a) インプットで与えられた要求事項を満たす。
    d) 安全で適切な使用に不可欠な,製品及びサービスの特性を規定。
    組織は,設計・開発のアウトプットについて,文書化した情報を保持する。
    8.3.6 設計・開発の変更
    組織は,変更を識別し,レビュー、管理する。文書化した情報を保持する。
    a) 設計・開発の変更
    b) レビューの結果
    c) 変更の許可
    d) 悪影響を防止するための処置

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    もっと端的に解説すると、

    設計・開発を経験すれば、ISO9001 2015 8.3の要求事項はほぼ満たせる。
    しかし、高い品質を作りこむ設計・開発をどう機能させればよいかを考えるべき

    なぜなら、
    ISO9001認証は手段
    品質の作りこみが目的だからですよね。

    ②品質コストのほとんどが設計・開発

    設計・開発者によって、耳の痛い話をします。

    品質トラブル原因の主要因

    下図は、「2020年版ものづくり白書」から引用した図です。
    品質コスト(トラブル発生原因が自分にあり、無償で対処するコスト)の主要因は上流工程ある、仕様・設計になります。

    品質コスト

    上流工程の仕様・設計は自由度が高い良さがあるが、仕様・設計で製品及びサービスの品質がほぼ決まります。
    品質は上流で作りこめ!

    と、上層部からよく言われませんか? 「うるせーな」と思いますが、その理由はここにあります。

    設計・開発が出す品質コスト要因

    設計ミスによるものは少ない
    仕様・設計のヌケモレ、あいまいさ、経験による勘違いが主要因

    前者の設計ミスが主要因なら、単にレベルが低いだけなので、力量をあげればOK。
    ほとんどの組織(技術が成熟した組織)は、後者がほとんどです。なぜなら、ミスは検証で事前にあぶりだせるからです。

    どういう場面でトラブルの種が発生するか?

    次のケースがよくあります。何度もやらかすと、「またか!」と言われますね。

    1. 設計プロセスを取り巻くインターフェース
    2. 仕様のヌケモレ
    3. 仕様には書いていないけど、相手にとって当たり前なもの
    4. 過去案件はすべてOKだったけど、次案件は特例事例と気が付ない場合
    5. 設計者は知っているけど、仕様担当が知らず、いつの間にか変更してて仕様・設計にズレが生じる場合
    ええ!!そんな細かいところで?
    と思いますが、現実はこうです。

    引渡後、ある期間過ぎて、トラブルが発生した原因を特定すると、設計要因が多く、上の5つのどれかになることが経験上多いです。

    なので、設計・開発部門が高い品質を作りこむにはどうすればよいかを考えることが重要です。それを考えて実行すればISO9001の要求事項は満たせます。

    ③品質を作りこむ設計・開発プロセスを定常的に機能させること

    最初はISO9001 2015 8.3 の要求事項を守ること

    基本ですが、基本ができることを第1にしないと、臨機応変な対応はできません。

    基本要素

    1. 5W1Hが明確なインプット、アウトプット
    2. 設計者の力量、責任と権限
    3. 関係者間とのコミュニケーション・レビューの確実な実施
    4. 遵守すべきもの(法令、規制)
    5. 文書化した情報の維持・保持
    6. 変更管理
    7. リスク管理 懸案事項

    暗記しなくても、設計・開発業務を一通り経験すれば身につくものばかりです。

    しかし、これだけでは十分ではありません。特に、非常時の対応が多く、そこで品質を低下させる罠がいっぱい潜んでいます。罠にはまらないために組織として、どんな動きをすればよいかを次に解説します。

    ④品質を作りこむ設計・開発プロセスを非常時こそ機能させること

    設計・開発を悩ます非常時とは?

    1. 設計・開発後半にさしかかった時の仕様・納期変更
    2. 別案件のトラブルでリソースが急に求められた時
    3. コロナ感染で担当者減少・変更を余儀なくされる場合

    など、いつ起こるかわからないものですが、よくありますよね。

    急な変更や対応に、品質低下の罠が潜んでいます。

    非常時でも品質を作りこむには?

    では、非常時にどうすればよいか考えましょう。次が挙げられますね。

    非常時にどんなリスクが起こりうるか?
    リスクを低減するために、どんな行動が必要か?
    1. 設計・開発だけで対処しない周囲を巻き込む
    2. 定常時から営業とのつながりも重要
    3. 営業に代わって顧客への提案・説明も必要
    4. 素早く関係者に情報展開し、完了後は反省会をすること
    5. 苦労した経験を共有(ナレッジするとかいいます)

    自部門の殻に閉じこもるのではなく、プロセス全体の関係者との連携が重要です。必要に応じて、関係者を集めてレビューして懸案事項やリスクの洗い出しをしましょう。

    対顧客の場合は、営業担当も万能ではないため、営業担当と一緒に顧客へ出向いて説明や提案する機会も必要です。

    苦労した経験は共有してみんなでナレッジ化しましょう。

    みんなを巻き込み、リスクを下げつつ、チャンスをものにする動きが取れるためには、日ごろからISO9001 8.3の要求事項を組織内で機能させることと、いつ非常時になっても慌てずに関係者とともに対処できる行動が重要です。

    品質監査は単に8.3の項目を確認してもつまらないので、
    トラブル案件やきつかった業務を挙げてもらって
    そこでの苦労話を聞いて「8.3 設計・開発」が
    有機的に機能できているかを監査することがあります。

    まとめ

    ISO9001 2015 8_3 製品及びサービスの設計・開発がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②品質コストのほとんどが設計・開発
    • ③品質を作りこむ設計・開発プロセスを定常的に機能させること
    • ④品質を作りこむ設計・開発プロセスを非常時こそ機能させること

  • ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる

    ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる

    「要求事項って何をやればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②顧客の要求事項で確認すること
    • ③組織内でうまく運営するには?
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    8.2 製品及びサービスに関する要求事項
    8.2.1 顧客とのコミュニケーション
    顧客とのコミュニケーションには,次の事項を含めなければならない。
    a) 製品及びサービスに関する情報の提供
    b) 引合い,契約又は注文の処理。これらの変更を含む
    c) 苦情を含む,製品及びサービスに関する顧客からのフィードバックの取得

    d) 顧客の所有物の取扱い又は管理
    e) 関連する場合には,不測の事態への対応に関する特定の要求事項の確立
    8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を明確にするとき,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
    a) 次の事項を含む,製品及びサービスの要求事項が定められている。
    1) 適用される法令・規制要求事項
    2) 組織が必要とみなすもの
    b) 組織が,提供する製品及びサービスに関して主張していることを満たすことができる。
    8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
    8.2.3.1 組織は,顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を満たす能力をもつことを確実にしなければならない。組織は,製品及びサービスを顧客に提供することをコミットメントする前に,次の事項を含め,レビューを行わなければならない。
    a) 顧客が規定した要求事項。これには引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。
    b) 顧客が明示してはいないが,指定された用途又は意図された用途が既知である場合,それらの用途に応じた要求事項
    c) 組織が規定した要求事項
    d) 製品及びサービスに適用される法令・規制要求事項
    e) 以前に提示されたものと異なる,契約又は注文の要求事項 組織は,契約又は注文の要求事項が以前に定めたものと異なる場合には,それが解決されていることを確実にしなければならない。 顧客がその要求事項を書面で示さない場合には,組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認しなければならない。 注記 インターネット販売などの幾つかの状況では,注文ごとの正式なレビューは実用的ではない。その代わりとして,レビューには,カタログなどの,関連する製品情報が含まれ得る。
    8.2.3.2 組織は,該当する場合には,必ず,次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。
    a) レビューの結果
    b) 製品及びサービスに関する新たな要求事項
    8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
    製品及びサービスに関する要求事項が変更されたときには,組織は,関連する文書化した情報を変更することを確実にしなければならない。また,変更後の要求事項が,関連する人々に理解されていることを確実にしなければならない。

    難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.2 製品及びサービスに関する要求事項
    8.2.1 顧客とのコミュニケーション
    a) 製品及びサービスに関する情報
    b) 引合い,契約、注文の処理(変更を含む)。
    c) 苦情を含む,顧客からのフィードバック
    d) 顧客の所有物の取扱い、管理
    e) 不測の事態への対応
    8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    a) 適用される法令・規制要求事項や、組織が必要とするもの
    8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
    8.2.3.1 組織は,顧客に要求事項を満たす能力があることを確実にする。組織は,顧客に提供することをコミットメントする前に,レビューする。
    a) 顧客が規定した要求事項。引渡し、引渡し後の活動も含む。
    c) 組織が規定した要求事項
    d) 法令・規制要求事項
    顧客が要求事項を書面で示さない場合には,組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認する。
    8.2.3.2 組織は,必ず文書化した情報を保持する。
    a) レビュー結果
    b) 製品及びサービスに関する新たな要求事項
    8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
    要求事項が変更の場合,組織は,文書化した情報の変更を確実に実施し、関連する人々に確実に伝える。

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    もっと端的に解説すると、

    受注・仕様の上流工程で高い品質を作りこむには、誰が何をすべきか?
    ISO9001の要求事項に準拠すること以上に、
    自分たちで考えて品質を作りこむことの方が重要

    では、受注・仕様の上流工程で高い品質を作りこむには、誰が何をすべきか?を考えましょう。

    受注・仕様の上流工程でやるべきことが自分で説明できた後に、ISO9001 8.2を読めば、「当たり前だ」と思うはず。

    ②要求事項で確認すること

    まず、自分で要求事項を考える

    受注・仕様の上流工程における要求事項を列挙しましょう。

    ポイントは、列挙しながら指摘されたら随時更新・追加していきましょう。

    顧客や組織からの要求は都度、環境条件によって変化します。
    例えば
    ●大災害後の復興の場合は、とにかく納期!最優先の場合
    ●コロナ禍の場合は、現場の対応で感染防止を最優先にする場合
    ●同じ製品でも顧客が都市や田舎では価格の要求度合いが異なる場合
    いろいろ想定されます。

    自分で考えた要求事項を列挙する

    列挙します。

    1. 顧客先(受注関係)
    2. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
    3. 納期
    4. 売上(同時に原価も)
    5. 顧客の所有物の有無
    6. 遵守すべき法令、規制、規格
    7. 受注可否判断
    8. 特記事項(その案件だけの特別な条件、注意事項)
    9. トラブル発生時の対応

    あなたも、上以外に確認すべき内容が思いついたらそれも含めてください。

    要求事項の確認は社内の関係者の協力が必須

    上の確認項目を見ると

    1. 営業担当だけで判断できるもの
    2. 社内の技術担当も必要なもの

    の2種類が必要でしょう。営業も技術もすべてわかる人はいませんから、社内の関係者との協力が上流工程の品質の作りこみには必須です。

    営業担当だけで判断できるもの

    1. 顧客先(受注関係)
    2. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
    3. 納期
    4. 売上(同時に原価も)
    5. 顧客の所有物の有無

    社内の技術担当も必要なもの

    1. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
    2. 納期
    3. 遵守すべき法令、規制、規格
    4. 受注可否判断
    5. 特記事項(その案件だけの特別な条件、注意事項)
    6. トラブル発生時の対応

    ●まず、受注可否判断が最も重要です。
    自社ができない仕事を営業が売上ノルマ必達のためにとってくるパターンです。
    トラブル続きの地獄が待っているので、できないものは受注してはいけません。

    ●次に、契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)と納期を技術側に共有します。
    必要なリソースや開発段階での課題や顧客と調整すべきポイントを確認します。

    ●守るべきルールは技術側の方がよく知っているので、追加がないかどうかの確認でしょう。

    ●特記事項が意外と重要です。
    例えば、
    (1) 製品を置く現場が温泉街の野外を示す住所しか書いていない場合
    (2) 製品を置く現場がお台場の公園の野外住所しか書いていない場合
    (3) 製品設置工期から1年後に施設がオープンする場合
    などがあったら、どんな注意が必要か想像できますか?

    住所だけなら絶対ピンときませんが、設置後、製品動作不良でトラブルになります。
    (1)は硫黄濃度が高いとか、水蒸気が高いなど、普通の場所と外気条件が異なりますね。
    (2)は海に接しているので、塩害が注意です。
    (3)は先に施設の現場に製品を入れる場合ですが、1年間、工事現場の環境でそのまま保管(ほったらかし)です。ホコリ、湿気に注意です。
    など、注意に気づかない要求事項もあるので、社内の関係者にしっかり見てもらってください。

    上流工程で製造、引渡、引渡後に起こりうる課題や注意点を要求事項の段階で洗い出しておくことが大事です。

    ③組織内でうまく運営するには?

    要求事項をヌケモレなく管理するには、どうすればよいでしょうか? いくつか挙げてみましょう。

    1. 文書化した情報の維持と保持
    2. 関係者間の良い関係
    3. 担当者の力量

    文書化した情報の維持と保持

    ISO9001 2015 8.運用は全要求事項に対して、文書化した情報の維持と保持を要求しています。「文書化した情報」の「維持と保持」については、関連記事に解説しています。

    ●ポイントは、次の3点が明確であることです。文書を残すのは手段で、明確なアウトプットにつなぐことが目的です。

    1. 規定された文書と保存先が明確
    2. 文書作成に必要なインプットが明確
    3. 文書に記録するアウトプットが明確

    5W1Hも記載されていることが必須です。

    関係者間の良い関係

    よく見かける光景では、

    ●営業担当と技術担当がいつも喧嘩して仲が悪い
    ●相手のせいにして、責任を押し付けあう

    これでは、要求事項を的確に社内に引き継ぐことはできないし、顧客へリスクがあることを事前に伝えることもできません。結局、下流工程で悲惨な目にあいます。

    経験を共有することが重要

    社内の関係者が集まって、協力し合う体制になるには、若い時から、経験を共有することが重要です。

    営業担当が若い技術担当を連れて顧客の打合せに行くとか、設計レビューに営業担当を出席させてともに作りこんでいく仕組みが必要です。

    一緒になって行動すれば、トラブっても、自分事としてみんな同じ方向に歩みます。これが上流品質の作りこみには必須で、簡単に機械化できないところです。

    品質マネジメントシステムでも重要なところですし、品質監査でも重点的に確認します。

    担当者の力量

    当然ですが、力量がないと、判断できませんよね。力量については、関連記事に解説しています。

    力量不足な営業担当がやってしまうリスク

    実際にあった話を書きます。しんどかったけど。

    1. 超短納期案件を受注してしまった
    2. 赤字案件を受注してしまった
    3. 技術的に受注不可案件を受注してしまった
    4. 重要な特記事項を聞いておらず、あとでトラブってしまった

    ●超短納期案件、赤字案件は力量不足でなくても、売上至上主義な場合、何でもかんでも受注成果のためにとってしまう恐れがあります。事前に関係者でレビューしておけば、NGとなるが、関係者間が仲が悪いとかありありですね。

    ●技術的に受注不可案件を受注は、顧客から「どうしてもやってくれ!」と頼まれて、引き下がれずに受注して、トラブルが連発したことがありました。

    ●重要な特記事項を聞いていない場合は、製造完成後に、全体の納期が半年伸びてしまい、運悪く、沿岸部の空調の効いていない倉庫に半年(春から秋)に保管したら、湿気で錆びてしまい、使い物にならず、修理費用を誰が払うかもめた場合でした。

    3番目の場合は、新人の頃、先輩がこの件でめっちゃ上司に怒られていたのを見て、「湿気、塩害、気温は要注意!」と覚えたことがありました。悪い事例を自分事として覚えるのもリスク管理能力を高める秘訣ですね。

    要求事項を満たすように、活動するのはとても大変です。だからしっかり対処できている方は、品質監査で質疑されてもしっかり熱く、苦労話を語ってくれます。それが最も大事なんです!

    まとめ

    ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②顧客の要求事項で確認すること
    • ③組織内でうまく運営するには?

  • ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる

    「運用の計画及び管理って何をやればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図
    • ③プロセスって何?
    • ④事例紹介
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    8.1 運用の計画及び管理
    組織は,次に示す事項の実施によって,製品及びサービスの提供に関する要求事項を満たすため,並びに箇条6で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを,計画し,実施し,かつ,管理しなければならない(4.4参照)。
    a) 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    b) 次の事項に関する基準の設定
    1) プロセス
    2) 製品及びサービスの合否判定
    c) 製品及びサービスの要求事項への適合を達成するために必要な資源の明確化
    d) b) の基準に従った,プロセスの管理の実施
    e) 次の目的のために必要な程度の,文書化した情報の明確化,維持及び保持
    1) プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつ。
    2) 製品及びサービスの要求事項への適合を実証する。
    この計画のアウトプットは,組織の運用に適したものでなければならない。 組織は,計画した変更を管理し,意図しない変更によって生じた結果をレビューし,必要に応じて,有害な影響を軽減する処置をとらなければならない。 組織は,外部委託したプロセスが管理されていることを確実にしなければならない(8.4参照)。

    難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.1 運用の計画及び管理
    組織は,プロセスを,計画・実施・管理する。
    a) 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    b) プロセスと合否判定を管理する
    c) 必要な資源
    e)文書化した情報の維持及び保持
    1) プロセスの計画と実績の管理
    2) 要求事項への適合を実証
    組織は,変更を管理し,必要に応じてリスクの対する処置をとる

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    ●ISO9001 2015 8.1は8章の構成を書いたものです。全体の構成図を次に解説します。

    ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図

    構成図

    あなたが所属する組織(会社、組織)の関係性とプロセスについて下図にまとめます。

    プロセス

    縦が人間の関係性、横が業務のプロセスの関係性です。

    縦の関係性、横の関係性

    ●縦は、上から顧客・エンドユーザ、下は自社です。自社はさらに三段階に分けて、Top,Middle,Bottomに分かれます。それぞれの段階で求められる品質の要求事項があります。

    ●横は、自社のプロセスの流れと関係性です。ISO9001はあらゆる業種に対応していますが、大まかに、
    受注・仕様⇒設計・開発⇒購買⇒製造⇒引渡(出荷)⇒不適合(保守)
    の流れで製品及びサービスを提供します。

    ISO9001 要求事項

    縦と横の関係性とISO9001の要求事項の関係をまとめます。

    ●縦は4,5,6,7,9,10章の組織の運営について
    ●横は8章のプロセスの在り方(プロセスアプローチ)について

    と分けて考えるとわかりやすいです。

    品質監査でも、
    ●前半は4,5,6,7,9,10章を監査して
    ●後半は8章のプロセス(具体的な製造及びサービスの現在進行形な業務)を監査します。

    ③プロセスって何?

    プロセスって何?

    ●プロセスは日本語では、工程、過程とよく訳します。
    しかし、プロセスアプローチなどの用語になるとプロセスって何か?が理解しにくくなります。

    ●品質におけるプロセスは、次のように解釈するとわかりやすいです。

    プロセスとは、
    インプットをアウトプットに変えるもの

    プロセス

    漠然としていますね、わかったようで、わからない(笑)。
    プロセス=工程、過程よりもう少し広い意味でとらえるとよいです。

    プロセス

    上の図を見ると、いろいろなものがプロセスとして定義できることがわかります。

    プロセス

    ●数学の関数fもプロセスです。インプットxをアウトプットyに変える式ですね。
    ●会議もプロセスです。インプットの資料をもとに協議してアウトプットの議事録を作りますね。
    ●設計もプロセスです。インプットの仕様書をもとに、設計して、アウトプットの設計図に落とし込みます。

    ●関数、会議、設計と粒度がそれぞれ異なりますが、1つにプロセスとまとめてOKです。

    インプット、アウトプットの明確化も大事

    ●プロセスを評価するのと同時に、インプット・アウトプットもしっかり確認します。

    インプットがヌケモレや曖昧だと、よいプロセスでもアウトプットの質は良くありません。また、インプットとアウトプットが明確でもプロセスに不備がある場合もあります。

    ●インプット、プロセス、アウトプットを明確にヌケモレがないように注意しましょう。

    インプット、アウトプットのどこをチェックすべきか?

    ●5W1Hが明確かを最初にチェックします。
    ・誰が?(Who)
    ・いつ(いつまでに)? (When)
    ・どこで? (Where)
    ・何を?(What)
    ・なぜ?(Why)
    ・どのように?(How)
    がインプット、アウトプットともに明確かどうか?を確認します。例えば、設計プロセスを見る場合、アウトプットから逆算して、必要な要素がそろっているかを確認します。

    ●5W1Hが明確な場合は、インプットープロセスーアウトプット間に整合性がとれているか?
    明らかに、要求のアウトプットにできない場合(レベル、期日、価格、安全性など)かどうかを見ましょう。例えば、5W1Hが明確な仕様書をもとに、その設計プロセスのレベルを見て、要求のアウトプットができるかどうかなどです。

    ●品質トラブルになる場合は、インプット、アウトプットが明確でない、インプットープロセスーアウトプット間に整合性が取れていないなどを疑いましょう。

    ④事例紹介

    プロセスの具体例をいくつか挙げて、イメージしやすくしましょう。3例を挙げてみましょう。

    1. 装置製造などのハードウェアの工場
    2. システム開発などのソフトウェア会社
    3. ISO9001を取得した保育園

    ん? 保育園? 保育園がISO9001取得しているの? そうです。取得している保育園があります。Google で「ISO9001 保育園」で検索してください。

    ●では、上の3例のプロセスを具体的挙げてみましょう。

    装置製造などのハードウェアの工場

    ハードウェアの製造業が一番ISO9001 の要求事項と相性が強いです。なぜなら、ISO9001 は1987年から規定していますが、当時はハードウェアの製造業しかなかったためです。なお、要求事項「8章運用」は、ISO9001 の初期からの名残として今も残っています。

    ハードウェアの場合は、要求事項とプロセスは次の関係になります。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 全般の管理
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    受注・仕様
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    製造
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    引渡・出荷
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    保守

    システム開発などのソフトウェア会社

    ここ、20年ほどでソフトウェアーやサービス業にもISO9001を取得する組織が増えています。基本的には、ハードウェアと同じプロセスを通るはずです。

    ソフトウェアの場合は、要求事項とプロセスは次の関係になります。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 全般の管理
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    受注・仕様
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    インプリメンテーション
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    インストール(引渡・出荷)
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    保守・更新

    ●製造をインプリメンテーション
    ●引渡、出荷をインストール
    ●保守に更新を追加
    など、ソフトウェア独自のプロセスが入ります。

    ISO9001を取得した保育園の場合

    製造業なら、わかりやすいですが、保育園の運用って何でしょうね? もし、保育園を品質監査してと言われたら、あなたは何を質疑しますか?

    ●製造業では、
    ①受注・仕様⇒②設計・開発⇒③購買⇒④製造⇒⑤引渡・出荷⇒⑥保守
    でした。

    保育園では、どんなプロセスが該当するのでしょうか?

    例えば、園児を中心に考えると、次の表の案が考えられます。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 運営
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    募集・入園
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    保育計画
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    育児・保育
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    退園・卒園
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    苦情対応
    ISO9001を取得して達成した目標は何か?に合わせてプロセスを考えましょう。上の例は、園児の教育・成長を目標にしたので、それに合わせたプロセスを例に挙げました。その他のプロセスでもOKです。

    ISO9001は手段、目的は達成したいことです。達成したい目標に向かって
    インプット、プロセス、アウトプットが明確で有用に機能していることが重要です。

    まとめ

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図
    • ③プロセスって何?
    • ④事例紹介

  • ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる

    ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる

    「コミュニケーションすれば、本当に品質向上につながるの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②コミュニケーションって何をしたらいいの?
    • ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション
    • ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫
    • ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?
    コミュニケーションが大切なら、単に、ワイワイ会話する職場にすればいいんでしょう!
    でも、そんなんでいいの? コミュニケーションは何をすれば品質向上につながるの?

    半分正解で、半分不足しているので解説します。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説

    ISO9001要求事項

    7.4 コミュニケーション
    組織は,次の事項を含む,品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。
    a) コミュニケーションの内容
    b) コミュニケーションの実施時期
    c) コミュニケーションの対象者
    d) コミュニケーションの方法
    e) コミュニケーションを行う人

    シンプルだからわかりやすい?

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7_4_コミュニケーション ISO9001 2015 7.4
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7_4_コミュニケーション より詳細な説明

    ちょっとわかりにくいので、わかりやすく解説していきます。

    ②コミュニケーションって何をしたらいいの?

    コミュニケーションとは?

    コミュニケーションとは、意思疎通です。
    伝えたい内容を100%正しく相手に伝えることです。

    なので、

    1. 言葉で正しく相手に伝えること
    2. 相手に伝えられる文書であること

    が重要で、相手に要求事項や仕様が正しく伝わらないと、品質悪化につながります。

    コミュニケーションには、相手によって2種類分けます。
    ●内部コミュニケーション⇒社内、組織内
    ●外部コミュニケーション⇒社外、顧客

    それぞれ見ていきましょう。

    内部コミュニケーション

    普段の業務においては次の3点に注意しましょう。よく連絡取りあう仲である分、関係が悪いと嫌ですよね。

    1. 話しかけやすい人になること
    2. 定期会議、朝昼例の運営と記録
    3. リモートワークでの、素早い反応

    ●話しかけやすい人になること
    ⇒基本ですね。けど、話が長く、自分のことばかり話す人もいるので、適度に「話しかけるオーラ」も必要です。友達の関係ではないからです。

    ●定期会議、朝昼例の運営と記録
    ⇒報連相の基本です。社内の記録をいちいち書くのは面倒ですが、外部コミュニケーションで対外への文書を作るための訓練として役立てるといいですね。

    ●リモートワークでの、素早い反応
    ⇒チャット、電話など、来たらすぐに反応しましょう。相手が見えないため、余計な不安や疑心を持ち、関係性が悪化します。

    外部コミュニケーション

    対取引先なので、次の3つがあります。

    1. 対面での対話
    2. 電話
    3. メール、仕様書、請求書、打合せ記録などの文書

    ●対話、電話
    ⇒人間の基本行動ですが、一番難しいし、あとで品質トラブルにもつながりやすいです。あいまいなやりとり、相手に対する思い込むなど、特に対外業務が慣れた人がやりがちです。

    ●文書
    ⇒面倒ですが、精度高く相手に伝える・確認するために、文書を作成し維持保持しておくとよいです。トラブったときのエビデンスになり、自分も相手も守ることにつながります。

    ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション

    なぜコミュニケーションが品質トラブルの主原因か?

    それは、

    品質を作りこむ上流工程では、コミュニケーションがほとんどを占めるから

    ●最初の工程である、仕様では、
    ・顧客と打合せで仕様を詰めていく
    ・仕様が電話・メールなどで頻繁に変わっていく
    ・仕様を決めるときは簡単に内容が変わっていく

    しかし、下流工程になると製造が始まり
    ・簡単に仕様変更ができない
    ・仕様の完成度が悪いとできばえも悪い
    ・出来が悪いと、相手と「言った、言わない」でもめる
    と、営業担当が電話でよく「ぎゃーぎゃー」やるシーンをよく見ますよね。

    品質を作りこむ上流工程では、コミュニケーションがほとんどを占める。上流品質の作りこみが最も大事だから。
    その割に、いい加減なコミュニケーションで仕様を作りこむ現状も多い

    では、高品質につながるために、どんなコミュニケーションをすればよいのでしょうか?
    コミュニケーションの上手な方法って、意外と教えてもらえず、先輩の背中を見て育つことが多いですよね。

    コミュニケーションで品質を作りこむ

    次の3点を提示します。面倒ですが、最初が肝心です。

    1. 電話で決めたことは内容確認書を作ってメールで送る
    2. 5W1Hと主語述語をはっきり書く
    3. 誰が書いても同じ結果になる文書のフォーマットに注意する
    ISO9001というより、営業の基本だよね!
    そうなんです!

    営業の基本が高い品質を作りこむため、
    ISO9001のコミュニケーションは営業の基本です。

    仕事の基本は、若いうちに身に着けないと、いつまで経ってもできない人になりますよね。だから、ISO9001でも要求しているのです。

    電話で決めたことは内容確認書を作ってメールで送る

    電話で、QCDに関わるやりとりをした場合は、記録を残して共有した方が、後々リスクが下がります。そして、誰が仕様面の注意に気が付くと、下流工程でのやり直しリスクも下がります。

    5W1Hと主語述語をはっきり書く

    相手に対して、はっきり書くのは躊躇しがちですが、あえてはっきり伝えましょう。
    「誰が、何を、どこに、いつまでに、どのようにやるか?」をはっきり書くと相手も助かるはずです。

    「言った、言わない」の喧嘩が無くなり、「どう解決するか」を相手と詰めることがすぐできます。

    誰が書いても同じ結果になる文書のフォーマットに注意する

    何でも書けそうな文書枠、記入欄にしないことです。品質監査でもよくチェックします。機械的に記入できるほど、具体的な業務・作業内容が書けるように、文書を作りこむと良いです。

    コミュニケーションは相手に正しく伝えることです。ISO9001というよりは、仕事の基本をちゃんとやりましょう!です。若い時に身に着けてましょう。評価も上がり昇進にもつながります。

    ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫

    コロナ禍でコミュニケーションが難しくなりました。どんな工夫をするかがポイントです。品質監査でもここのポイントを高く評価する流行りがあります。

    コロナ禍では、あなたはコミュニケーションでどんな工夫をしていますか?

    ちょっと考えてみましょう。

    コロナ禍のような大きな環境変化があっても、我々は意外と対応できることも実感できていますよね! 対応能力こそ、生き延びる力!

    いくつか例を挙げます。

    ●対面打合せができなくなったが、客先への移動は不要な分、社内関係者を普段よりたくさんリモート打合せに呼び、情報共有を強化した。

    ●電子ツールやアプリを導入して、報連相を1対1から1対Nに変えた。現場の状況が瞬時に職場の関係者に伝わり、全員ですぐ協議できるメリットがある。

    ●仕様を今まで口頭で決めていたが、DXの波にのって、プラットフォームを使って仕様を詰める方法に切り替えた。営業の経験によらず、プラットフォームからヌケモレを自動チェックするので、仕様品質が一気に向上した。

    監査でもらった回答事例の一部です。
    意外とPCやプログラミングが苦手そうな人からこういう回答をもらうので、いざとなったら、何でも対応できるじゃん!と対応力の高さを改めて理解できました。

    知恵を活かすのも生き延びるために必須です。
    知恵を出しあい、変革するのもコミュニケーションです。

    ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?

    単に会話したり、会議すればいいってことではない!
    コミュニケーションとらないといけない状況を作れているか?
    コミュニケーションしないとできない状況にうまく追い込んでいけているか?
    が大事!

    わかりきった業務なら、会話は不要で、むしろ黙って淡々と仕上げたらいいです。

    1. 初めての業務をさせて、成長させる状況を作っているか?
    2. しゃべったことがない人・部門・パートナーのところに行って、コミュニケーションをとれる状況になっているか?
    3. 初めての状況で不安や緊張させる状況が作れているか?

    コミュニケーションは、相手との相互作用や価値創造を促すものであるため、
    廊下でペチャクチャ同僚と話ししたり、
    惰性の会議をやり続けることではありません。

    初めてで本当は話したくないけど、しないと先に進めない!でも、緊張する! うまく伝えて事を進めるにはどうしたらいい?と緊張と汗をかくことがコミュニケーションでは大事です。

    報連相や日頃の会話も大事ですが、
    コミュニケーションせざるを得ない状況を組織が各担当に上手に追い込むことも必要です。

    新たな業務や配置転換、標準化など定期的に半強制的に実施すると、汗をかいてしゃべったことがない相手とコミュニケーションが進みます。

    その回数が多いほど、人脈もでき、多くの人からの知恵がもらえる恩恵があり、組織が強くなっていきます!

    惰性や忖度は
    コミュニケーションの最大の敵!
    コミュニケーションは緊張と汗の数ともいえます!

    コミュニケーションだけに、口だけではなく行動で実施していきましょう!

    まとめ

    ISO9001 2015 7_4_コミュニケーションがわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②コミュニケーションって何をしたらいいの?
    • ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション
    • ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫
    • ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?

  • ISO9001 2015 7_3_認識がわかる

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる

    「認識って何?」、「どうやれば認識されるの?」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②認識(Awareness)って何?
    • ③何を認識させ、どうやって認識させるか?
    • ④認識がない組織はどうなるか?

    結論

    品質やISOだけの認識ではなく
    あなたの人生が有意義になるよう認識することが重要です。

    ISO9001の要求事項に合わせるレベルではなく、もっと視座を上げて、あなたの人生の意義を先に認識しましょう。そうすれば、やるべきことが明確になるし、人生の質も、業務の質も向上するからです。

    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説

    ISO9001要求事項

    7.3 認識
    組織は,組織の管理下で働く人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。
    a) 品質方針
    b) 関連する品質目標
    c) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
    d) 品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

    認識ってそもその何? でつまづきますよね!

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.3 認識 ISO9001 2015 7.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.3 認識 より詳細な説明

    書いている内容は、それなりに理解できるが、認識って何?を自分の言葉で説明できないと理解できないでしょう。

    では、わかりやすく解説していきます。

    ②認識(Awareness)って何?

    辞書の意味

    認識していない状態は、下図のような感じですね。わかってなくて、ボケっとしている様子です。

    辞書を引くと、

    ●認識⇒その物事を知り、その本質を理解すること

    そして、認識の英訳をAwarenessとしていますが、Awarenessを辞書で引くと、

    ●Awareness⇒自覚すること

    まとめると、

    その物事の本質を理解し、自覚すること

    なるほど、

    認識とは、
    ●業務を認識すること⇒業務の本質を理解し、自覚して取り組むこと
    これだけでも、品質向上しそうですね!

    さらに認識の対象範囲を広げてみましょう。

    ●日々の生活を認識すること⇒何を目指して毎日頑張っているか?を考えてみる
    ●人生を認識すること⇒自分の将来、人生の目標を再設定する
    人生の質が上がりそうですね!まだまだイケる!とテンションが上がりますね!

    本質を理解して、自覚する認識が高まると
    業務の質、品質、人生の質すべてが向上できるパワーがつきます!

    認識の一般的な理解をした上で、ISOやJISにおける認識も理解しましょう。

    ISOやJISにおける「認識」とは?

    人生の質に比べると、業務や組織の質の向上と範囲が狭くなります。認識の一般的な理解をしていれば、仕事の認識はその一部であると考えればOKです。

    ●ISOやJISにおける「認識」とは、次の5つと考えます。

    1. よい品質を作りこむために何をすべきかを理解すること
    2. 品質目標を理解して、貢献すること
    3. 自ら行動すること
    4. 品質マネジメントシステムを有効に機能させたり、できないことを明確にすること
    5. PDCA,継続的改善につなげること

    業務の中の狭い「認識」です。ポイントは、
    ●経営者の意志を反映した品質方針、品質目標とあなたの認識が整合していること
    ●自ら行動するリーダシップを持つこと
    ●ちょっとずつでいいから、改善を継続すること
    です。

    でも、本音は、

    認識を考えるなら、業務に限らず、あなたの人生の質を高めるよう認識することが大事!

    ③何を認識させ、どうやって認識させるか?

    認識の重要性を解説しました。では、何を、どうやって、周囲の人たちに「認識」させればよいでしょうか?

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。

    何を「認識」させるか?

    認識してほしいもの

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上
    3. あなたの人生

    考え方

    最初に、

    1. 目の前の業務

    だけだと、相手は認識したいとなりませんね。もう少し上の目標を与えてもいいでしょう。

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上

    少し上の目標を与えて、組織の品質・収益向上によって、あなたが評価されたり給与がアップすることを伝えると、少し認識しようとなるでしょう。

    でも、仕事だけか?と疑問に思ってくれたら勝ちです!

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上
    3. あなたの人生

    まで提案すると、人生と業務、と長期的視野と、短期的視野の両面で自分の生きる意義が理解できます。自発的な行動が高まり、ISO,JISの「認識」もカバーできるでしょう。

    どうやって「認識」させるか?

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。

    「認識」の響かせ方は、

    1. トップマネジメントとミドルマネジメントが連携して本気さを伝えること
    2. 業務や生活に「認識」が有効であると分からせること
    3. 「認識」して自発的に行動すれば評価される環境を構築
    4. 時間と手間はかかるが諦めないこと

    ですね。
    契約だから、認識して仕事しないとクビとか厳しく縛っても、無意味です。自ら行動できるようにサポートしないと、相手は「認識」しません。

    子供に勉強させようと「認識」させるのと同じ。
    「ヤレっと」言ってもやらないでしょ!
    やらして、褒めて、自信つけさせて、徐々に自分で勉強するのと同じです。

    「認識」できる環境に必要な要素

    1. トップマネジメントの本気さ
    2. トップマネジメントとミドルマネジメントの良い関係性
    3. ミドルマネジメントが組織担当者へのエンパワーメント
    4. 認識できた結果を高評価すること

    ●トップマネジメント(経営陣)が本気でないと、誰もしませんよね。「隗より始めよ」です。

    ●トップマネジメントとミドルマネジメントの良い関係性が難しくて、誰もが納得いく人がトップマネジメントになれば、スムーズです。しかし、「なんであいつや上なん?」な人ならギクシャクするかもしれませんし、何かテコ入れが必要でしょう。

    ●ミドルマネジメントが組織担当者へのエンパワーメントですが、「何度も伝える事」、「少しでも担当者の意識が変わったら褒める!」につきます。人は褒めて伸びます!日頃の変化に着目しましょう。愛が必要ですね。「お前やっとけ!」な指示型だとダメ。

    ●認識できた結果を高評価することですが、業務表彰や、給与への反映などに対応すればよいでしょう。

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。
    最初は少しずつでよいから、継続することが重要です。

    ④認識がない組織はどうなるか?

    逆のパターンですね。当然、組織が悪くなり、腐っていきます。

    1. 業務の意義を理解せずに独断でやっている
    2. ばらばらに動く
    3. 業務が属人化して伝達されない
    4. 業務の質が落ちる結果、不正や隠ぺい・改ざんに走る

    ISO9001認証取得した有名企業で、よく品質不正で非難されますが、その原因の元は、「認識」が有効に機能していないことです。

    過剰なノルマ要求、顧客より社内政治を優先する環境だと、ISO9001 7.3を認証取得しても、実態は「認識」が有効に機能していないのです。

    「認識」が有効に機能するよう、組織全体で改革しなければなりません。

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。
    最初は少しずつでよいから、継続することが重要です。

    ここまで読めば、「認識」の重要さが「認識」できたはずです。

    まとめ

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②認識(Awareness)って何?
    • ③何を認識させ、どうやって認識させるか?
    • ④認識がない組織はどうなるか?

  • ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる(品質目標は期の途中でも変更OK!)

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる(品質目標は期の途中でも変更OK!)

    「品質目標って期の途中でも変更していいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる
    • ①ISO9001要求事項の解説
    • ②品質目標はいつでも変更OKです
    短い記事ですが、どうしても伝えておくべき内容なので解説します。
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項の解説

    ISO9001要求事項

    6.3 変更の計画 組織が品質マネジメントシステムの変更の必要性を決定したとき,その変更は,計画的な方法で行わなければならない(4.4参照)。 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 変更の目的,及びそれによって起こり得る結果
    b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)
    c) 資源の利用可能性 d) 責任及び権限の割当て又は再割当て

    うーん、ちょっと難しいですね。

    かなり正当な理由が無いと、品質目標は変えてはダメ!っと受けてしまいますよね。

    ②品質目標はいつでも変更OKです

    結論

    品質目標はいつでも、期の途中でも変更OKです!
    品質目標を変更したら、履歴書いて、revision管理すればOKです。

    品質目標

    大したことない記事と思うかもしれませんが、

    品質目標は簡単に変えてはいけない!
    「品質目標を途中で変更してもいいですか?」と各部門の部課長からよく問い合わせがきます。
    変更してええよ!(笑)

    なぜ変えてはいけないと思い込んでいるのか?変更して最新の状態に維持しないと何がまずいか?を解説します。これが現状なんですよね。

    品質目標は途中で変えてはいけないと思っている人が多い

    おそらく、
    ●品質管理担当が、ネチネチうるさい人、煙たがられる人がいるとか
    ●経営陣側が「ころころ変えるな!」的な空気感があるとか
    ●単に組織内の手続きが面倒くさいとか
    とかで、「期の途中で更新はしない方がいい」と思うのかもしれません。

    品質目標は維持しなければならない文書です!
    (維持は最新版に更新すること、変更禁止の保持ではありません!)

    「途中で変更してはいけない品質目標」はかえって監査で悪評価とされる

    達成率が100%に行かない目標があり、監査で指摘されると、
    組織長:「期の途中で件数が変わったが、目標値は期初の値だったから、値が100%に行かない。」
    監査員:「期の途中で品質目標を更新して、目標値をあるべき値にしてください」
    として、改善の指摘を受けるハメになります。

    すると、監査員へ
    組織長:「期の途中で品質目標を更新していいんですか?」

    変更してええよ!(笑)

    ただし、履歴管理はしっかりやってください。

    品質目標

    品質目標は維持しなければならない文書です!
    (維持は最新版に更新すること、変更禁止の保持ではありません!)

    まとめ

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項の解説
    • ②品質目標はいつでも変更OKです

error: Content is protected !!