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ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる

ISO

「要求事項って何をやればいいの?」、と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる
  • ①要求事項の簡略化
  • ②顧客の要求事項で確認すること
  • ③組織内でうまく運営するには?

①要求事項の簡略化

ISO9001要求事項

8.2 製品及びサービスに関する要求事項
8.2.1 顧客とのコミュニケーション
顧客とのコミュニケーションには,次の事項を含めなければならない。
a) 製品及びサービスに関する情報の提供
b) 引合い,契約又は注文の処理。これらの変更を含む
c) 苦情を含む,製品及びサービスに関する顧客からのフィードバックの取得

d) 顧客の所有物の取扱い又は管理
e) 関連する場合には,不測の事態への対応に関する特定の要求事項の確立
8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を明確にするとき,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
a) 次の事項を含む,製品及びサービスの要求事項が定められている。
1) 適用される法令・規制要求事項
2) 組織が必要とみなすもの
b) 組織が,提供する製品及びサービスに関して主張していることを満たすことができる。
8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
8.2.3.1 組織は,顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を満たす能力をもつことを確実にしなければならない。組織は,製品及びサービスを顧客に提供することをコミットメントする前に,次の事項を含め,レビューを行わなければならない。
a) 顧客が規定した要求事項。これには引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。
b) 顧客が明示してはいないが,指定された用途又は意図された用途が既知である場合,それらの用途に応じた要求事項
c) 組織が規定した要求事項
d) 製品及びサービスに適用される法令・規制要求事項
e) 以前に提示されたものと異なる,契約又は注文の要求事項 組織は,契約又は注文の要求事項が以前に定めたものと異なる場合には,それが解決されていることを確実にしなければならない。 顧客がその要求事項を書面で示さない場合には,組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認しなければならない。 注記 インターネット販売などの幾つかの状況では,注文ごとの正式なレビューは実用的ではない。その代わりとして,レビューには,カタログなどの,関連する製品情報が含まれ得る。
8.2.3.2 組織は,該当する場合には,必ず,次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。
a) レビューの結果
b) 製品及びサービスに関する新たな要求事項
8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
製品及びサービスに関する要求事項が変更されたときには,組織は,関連する文書化した情報を変更することを確実にしなければならない。また,変更後の要求事項が,関連する人々に理解されていることを確実にしなければならない。

難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

8.2 製品及びサービスに関する要求事項
8.2.1 顧客とのコミュニケーション
a) 製品及びサービスに関する情報
b) 引合い,契約、注文の処理(変更を含む)。
c) 苦情を含む,顧客からのフィードバック
d) 顧客の所有物の取扱い、管理
e) 不測の事態への対応
8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
a) 適用される法令・規制要求事項や、組織が必要とするもの
8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
8.2.3.1 組織は,顧客に要求事項を満たす能力があることを確実にする。組織は,顧客に提供することをコミットメントする前に,レビューする。
a) 顧客が規定した要求事項。引渡し、引渡し後の活動も含む。
c) 組織が規定した要求事項
d) 法令・規制要求事項
顧客が要求事項を書面で示さない場合には,組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認する。
8.2.3.2 組織は,必ず文書化した情報を保持する。
a) レビュー結果
b) 製品及びサービスに関する新たな要求事項
8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
要求事項が変更の場合,組織は,文書化した情報の変更を確実に実施し、関連する人々に確実に伝える。

こう簡略すると、理解しやすいですね。

もっと端的に解説すると、

受注・仕様の上流工程で高い品質を作りこむには、誰が何をすべきか?
ISO9001の要求事項に準拠すること以上に、
自分たちで考えて品質を作りこむことの方が重要

では、受注・仕様の上流工程で高い品質を作りこむには、誰が何をすべきか?を考えましょう。

受注・仕様の上流工程でやるべきことが自分で説明できた後に、ISO9001 8.2を読めば、「当たり前だ」と思うはず。

②要求事項で確認すること

まず、自分で要求事項を考える

受注・仕様の上流工程における要求事項を列挙しましょう。

ポイントは、列挙しながら指摘されたら随時更新・追加していきましょう。

顧客や組織からの要求は都度、環境条件によって変化します。
例えば
●大災害後の復興の場合は、とにかく納期!最優先の場合
●コロナ禍の場合は、現場の対応で感染防止を最優先にする場合
●同じ製品でも顧客が都市や田舎では価格の要求度合いが異なる場合
いろいろ想定されます。

自分で考えた要求事項を列挙する

列挙します。

  1. 顧客先(受注関係)
  2. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
  3. 納期
  4. 売上(同時に原価も)
  5. 顧客の所有物の有無
  6. 遵守すべき法令、規制、規格
  7. 受注可否判断
  8. 特記事項(その案件だけの特別な条件、注意事項)
  9. トラブル発生時の対応

あなたも、上以外に確認すべき内容が思いついたらそれも含めてください。

要求事項の確認は社内の関係者の協力が必須

上の確認項目を見ると

  1. 営業担当だけで判断できるもの
  2. 社内の技術担当も必要なもの

の2種類が必要でしょう。営業も技術もすべてわかる人はいませんから、社内の関係者との協力が上流工程の品質の作りこみには必須です。

営業担当だけで判断できるもの

  1. 顧客先(受注関係)
  2. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
  3. 納期
  4. 売上(同時に原価も)
  5. 顧客の所有物の有無

社内の技術担当も必要なもの

  1. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
  2. 納期
  3. 遵守すべき法令、規制、規格
  4. 受注可否判断
  5. 特記事項(その案件だけの特別な条件、注意事項)
  6. トラブル発生時の対応

●まず、受注可否判断が最も重要です。
自社ができない仕事を営業が売上ノルマ必達のためにとってくるパターンです。
トラブル続きの地獄が待っているので、できないものは受注してはいけません。

●次に、契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)と納期を技術側に共有します。
必要なリソースや開発段階での課題や顧客と調整すべきポイントを確認します。

●守るべきルールは技術側の方がよく知っているので、追加がないかどうかの確認でしょう。

●特記事項が意外と重要です。
例えば、
(1) 製品を置く現場が温泉街の野外を示す住所しか書いていない場合
(2) 製品を置く現場がお台場の公園の野外住所しか書いていない場合
(3) 製品設置工期から1年後に施設がオープンする場合
などがあったら、どんな注意が必要か想像できますか?

住所だけなら絶対ピンときませんが、設置後、製品動作不良でトラブルになります。
(1)は硫黄濃度が高いとか、水蒸気が高いなど、普通の場所と外気条件が異なりますね。
(2)は海に接しているので、塩害が注意です。
(3)は先に施設の現場に製品を入れる場合ですが、1年間、工事現場の環境でそのまま保管(ほったらかし)です。ホコリ、湿気に注意です。
など、注意に気づかない要求事項もあるので、社内の関係者にしっかり見てもらってください。

上流工程で製造、引渡、引渡後に起こりうる課題や注意点を要求事項の段階で洗い出しておくことが大事です。

③組織内でうまく運営するには?

要求事項をヌケモレなく管理するには、どうすればよいでしょうか? いくつか挙げてみましょう。

  1. 文書化した情報の維持と保持
  2. 関係者間の良い関係
  3. 担当者の力量

文書化した情報の維持と保持

ISO9001 2015 8.運用は全要求事項に対して、文書化した情報の維持と保持を要求しています。「文書化した情報」の「維持と保持」については、関連記事に解説しています。

●ポイントは、次の3点が明確であることです。文書を残すのは手段で、明確なアウトプットにつなぐことが目的です。

  1. 規定された文書と保存先が明確
  2. 文書作成に必要なインプットが明確
  3. 文書に記録するアウトプットが明確

5W1Hも記載されていることが必須です。

関係者間の良い関係

よく見かける光景では、

●営業担当と技術担当がいつも喧嘩して仲が悪い
●相手のせいにして、責任を押し付けあう

これでは、要求事項を的確に社内に引き継ぐことはできないし、顧客へリスクがあることを事前に伝えることもできません。結局、下流工程で悲惨な目にあいます。

経験を共有することが重要

社内の関係者が集まって、協力し合う体制になるには、若い時から、経験を共有することが重要です。

営業担当が若い技術担当を連れて顧客の打合せに行くとか、設計レビューに営業担当を出席させてともに作りこんでいく仕組みが必要です。

一緒になって行動すれば、トラブっても、自分事としてみんな同じ方向に歩みます。これが上流品質の作りこみには必須で、簡単に機械化できないところです。

品質マネジメントシステムでも重要なところですし、品質監査でも重点的に確認します。

担当者の力量

当然ですが、力量がないと、判断できませんよね。力量については、関連記事に解説しています。

力量不足な営業担当がやってしまうリスク

実際にあった話を書きます。しんどかったけど。

  1. 超短納期案件を受注してしまった
  2. 赤字案件を受注してしまった
  3. 技術的に受注不可案件を受注してしまった
  4. 重要な特記事項を聞いておらず、あとでトラブってしまった

●超短納期案件、赤字案件は力量不足でなくても、売上至上主義な場合、何でもかんでも受注成果のためにとってしまう恐れがあります。事前に関係者でレビューしておけば、NGとなるが、関係者間が仲が悪いとかありありですね。

●技術的に受注不可案件を受注は、顧客から「どうしてもやってくれ!」と頼まれて、引き下がれずに受注して、トラブルが連発したことがありました。

●重要な特記事項を聞いていない場合は、製造完成後に、全体の納期が半年伸びてしまい、運悪く、沿岸部の空調の効いていない倉庫に半年(春から秋)に保管したら、湿気で錆びてしまい、使い物にならず、修理費用を誰が払うかもめた場合でした。

3番目の場合は、新人の頃、先輩がこの件でめっちゃ上司に怒られていたのを見て、「湿気、塩害、気温は要注意!」と覚えたことがありました。悪い事例を自分事として覚えるのもリスク管理能力を高める秘訣ですね。

要求事項を満たすように、活動するのはとても大変です。だからしっかり対処できている方は、品質監査で質疑されてもしっかり熱く、苦労話を語ってくれます。それが最も大事なんです!

まとめ

ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる をわかりやすく解説しました。

  • ①要求事項の簡略化
  • ②顧客の要求事項で確認すること
  • ③組織内でうまく運営するには?


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