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ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース

ISO

「製品及びサービスのリリースに何を注意したらよいかがわからない?」、と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

ISO9001 2015 製造及びサービス提供
  • ①要求事項の簡略化
  • ②引渡後も組織の責任は継続
  • ③引渡時にバグは残っていると思え!
  • ④引渡作業時の注意点

①要求事項の簡略化

ISO9001要求事項

ちょっと長いですが、掲載しますね。

8.6 製品及びサービスのリリース
組織は,製品及びサービスの要求事項を満たしていることを検証するために,適切な段階において,計画した取決めを実施しなければならない。 計画した取決めが問題なく完了するまでは,顧客への製品及びサービスのリリースを行ってはならない。ただし,当該の権限をもつ者が承認し,かつ,顧客が承認したとき(該当する場合には,必ず)は,この限りではない。 組織は,製品及びサービスのリリースについて文書化した情報を保持しなければならない。これには,次の事項を含まなければならない。
a) 合否判定基準への適合の証拠
b) リリースを正式に許可した人(又は人々)に対するトレーサビリティ

わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

8.6 製品及びサービスのリリース
組織は,製品及びサービスの要求事項を満たすを検証する。 問題なく完了するまでは,顧客へリリースをしてはならない。組織は,リリースについて文書化した情報を保持する。
a) 合否判定基準への適合の証拠

長いけど、すっきり整理できましたね。

モノを造って、顧客に納めて、終了!とすっきり終わりたいですけど、
●リリース時の注意点
●リリース後の注意点
を理解しておく必要があります。むしろ、リリース後からがスタートだ!という業種も多いでしょう。

②引渡後も組織の責任は継続

基本、引渡後、一切関係ありませんとはならないことが多く、引渡後も顧客との関係を継続します。また、使用後に法令や規制の変更による対応も必要な場合があります。

  1. 組織の保守メンテナンス体制の構築
  2. 製品及びサービスのトレーサビリティ
  3. 法令、規制の変更による対応

上の3点を組織で対応できるようにしましょう。

組織の保守メンテナンス体制の構築

例えば、関連会社を作って、関連会社に保守メンテを担当するよう体制を作ります。

●製品開発・製造部門
●保守メンテ部門
と専門部門に分けると、業務効率がよいでしょう。

●保守メンテ部門が顧客から得た情報(苦情や追加注文)を共有し、リリース後の顧客との良好な関係を維持します。

●製品開発・製造部門
●保守メンテ部門
と分けた際、注意なのが、顧客側に近い方が、力を持つことが多く、開発・製造の担当者より保守メンテの担当者の方が強気な態度になることがあります。

担当者間の偏った力関係によって、顧客への対応が遅延しないよう注意が必要です。

おそらく、担当者の特性が、
●開発・製造はおとなしい人が多く
●保守メンテは現場上がりのパワフルな人が多い
組織も多いでしょう。お互いWin-Winな関係が重要です。

製品及びサービスのトレーサビリティ

保守メンテした製品及びサービスの番号、日時、改修内容を保持して、情報がいつでも追えるように整理しておく必要があります。

保守メンテ依頼は忘れた頃にやってくる

製品及びサービスによっては、15年ぶりに保守メンテするものもあります。その場合、図面が電子化されておらず、組織内の片隅にある紙ファイルにあるが、見つかるまでに時間を要し、非効率な業務になりかねません。

将来のことは知らないし、担当しないから関係ない!とせず、少なくとも自分が担当した業務は電子化してまとめておきましょう。数年後の担当者が救われます。

法令、規制の変更による対応

近年はあまりありませんが、環境物質など、過去は使用OKなのに、急に禁止になるパターンです。ソフトウェアも、セキュリティー問題によって急に変えないといけないものもあるでしょう。

この場合、ヌケモレは禁物なので、地味なわりに、結構苦労がかかる業務となります。

  1. 対応製品がどれかのリストアップ
  2. 関係者へのインプットと対応の促進
  3. 期限までの確実な対応

特に関係者に対応してもらわないといけない場合が多いですが、あまりモチベーションが上がる業務ではないので、対応してもらうよううまく説明して促す必要があります。

日頃から、組織内の関係者との良好な関係作りが必要です。

忘れた頃にやってくる保守メンテ
すぐ動けるように日頃から準備が必要!
なので、ISO9001要求事項となっています

「 ISO9001要求事項なら、仕方ない」とみんな動いてくれます。

③引渡時にバグは残っていると思え!

工場でも現地でも動作試験はOKで引渡完了!と安堵しますが、バグは残っていると思っていた方がよいです。

バグが出てもヘコまなくていい、自責の念は不要

完璧に引渡まで業務完遂した!
と思った後の、不適合が来ると
結構、ヘコミます

8,9年選手で1人前になってきた技術者ほど、ヘコミます。でも、組織はヘコミに付き合っているヒマはありません。だから、最初からバグは残っていると思っていた方が良いです。

引渡後よくあるトラブル

品質管理業務をしているとよく聞くトラブルがあります。

  1. 何らかのミスがあったが引渡時は問題なかった。しかし、数カ月後問題が顕在化した
  2. 数年後、改造が必要になり、改造したら予期した動作をしなかった。よく見ると最初から間違えていた。改造までは使っていなかったから問題になっていなかった。

経験上、完璧な製品やサービスは作れません。顧客が満足する以上のレベルであって、完璧ではないのです。トラブル時は顧客が怒るのが、こわいし嫌ですけど、完璧な製品やサービスは世にはありません。

バグはずっと残っていると思っていた方が気は楽
不適合が起きたら、素直に謝って改善すればよいのです。

④引渡作業時の注意点

引渡作業時のよくあるトラブル

引渡時は気を抜かないよう注意しましょう。

よくあるトラブルは、

  1. 作業手順が無く我流で作業して、ミスしてトラブル
  2. 作業手順があるのに我流で作業して、ミスしてトラブル
  3. 作業手順と実際が異なっていた。作業手順を見直さずにその場で作業して、ミスしてトラブル

社内にトラブル連絡が来ると、「またか?」が多いです。

引渡作業には、作業原則があり、厳守するよう指示されていますが、現状は守っている人とそうでない人がいて、ばらつきがあります。

引渡作業の難しさ

引渡作業の作業原則の徹底は基本ですが、現場は多くの人が同時に作業します。いつ、どこで、誰が、何を作業しているかを意識していないと、現場は訳がわからない状態になります。

そういう難しい作業をしている意識が大切です。難しい作業と思えば、事前に準備や作業内容をしっかり読んでくるはずです。

しかし、慣れや経験が作業手順と違う作業をしたり、時にミスすることもあります。

遠い現場まで行く大変な作業なので、無事故、無トラブルで完遂してほしいです。

作業手順の厳守もISOの要求事項ではあるが、
現場作業の人へそれを理解してもらう努力がもっと必要。
ISOだから、規則だから、では
人はわかっていても行動しません。

単にモノを顧客に渡すだけのプロセスですが、トラブルの種がたくさん潜んでいます。ISOの要求事項だけでは全然足りません。経験を組織に共有することがより重要です。

以上、製品及びサービスのリリースで、業務を通じて注意すべきポイントを解説しました。

まとめ

ISO9001 2015 8.6 製品及びサービスのリリース をわかりやすく解説しました。

  • ①要求事項の簡略化
  • ②引渡後も組織の責任は継続
  • ③引渡時にバグは残っていると思え!
  • ④引渡作業時の注意点


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