★ 本記事のテーマ
- ①JISZ9020の異常判定ルールは確率で定義している
- ②確率論で異常判定してよいか?
- ③異常判定ルールは自分で設計すべし
「なぜ、一列になって交互に上下する14点があると異常なのか?」など
をわかりやすく解説!
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①JISZ9020の異常判定ルールは確率で定義している
異常判定ルールの紹介
JISZ9020-2 附属書B 図B-1 突き止められる原因に対する異常判定ルールに、8種類の異常判定ルールがあります。
| No | 異常パターン |
| 1 | ゾーンAを超えた1つの点 |
| 2 | 中心線の片側上ゾーンCの中で 又はそれを超えて、一列になった9点 |
| 3 | 一列になって上下方向に増加又は減少する6点 |
| 4 | 一列になって交互に上下する14点 |
| 5 | 中心線の片側上ゾーンAの中で 又はそれを超えて、一列になった3つのうちの2つの点 |
| 6 | 中心線の片側上のゾーンBの中で 又はそれを超えて、一列になった5つのうちの4つの点 |
| 7 | 中心線の上下のゾーンの中で一列になった15点 |
| 8 | 中心線の両側上で一列になった8つの点で、 ゾーンCにはない |
教科書に必ず載っていますが、他のサイトにもあります。参考にリンクを入れておきます。
【リンク】管理図の異常判定ルール(グラフ)
正規分布を確認
異常判定の理由を説明する前に、正規分布と各ゾーンの確率を確認しましょう。

まとめると、
●ゾーンAは 68%/2=34%
●ゾーンBは 27%/2=13/5%
●ゾーンCは 4.5%/2=2.25%
となります。
異常判定とする確率の計算と判断基準
そうです。。。
個別に見てきます。
★①ゾーンAを超えた1つの点
⇒確率Prは0.5%以下に1点あるため、異常と判断します。
★②中心線の片側上ゾーンCの中で
又はそれを超えて、一列になった9点
⇒中心線の片側は上下それぞれあり、それぞれの領域は50%ですから、確率は、
Pr=2×\((\frac{1}{2})^9\)=\(\frac{1}{256}\)=0.39%
と低確率なので異常と判断します。
★③一列になって上下方向に増加又は減少する6点
⇒6点が連続して順番に並ぶ確率と考えて、
Pr=2×\(\frac{1}{6!}\)=0.28%
と低確率なので異常と判断します。
★④一列になって交互に上下する14点
⇒計算式が不明ですが、何かの14乗に2を書けると確率が0.5%以下なのでしょう。
低確率なので異常と判断します。
★⑤中心線の片側上ゾーンAの中で又はそれを超えて、一列になった3つのうちの2つの点
⇒Aゾーンに2点ある確率なので、
Pr=2×\((0.025)^2\) =0.1%
と低確率なので異常と判断します。
★⑥中心線の片側上のゾーンBの中で又はそれを超えて、一列になった5つのうちの4つの点
⇒5点中4点がBゾーンにあると考えると確率Prは
Pr=2×\({}_5C_4\)×\((0.135)^4\)=0.16%
と低確率なので異常と判断します。
★⑦中心線の上下のゾーンの中で一列になった15点
⇒両方のCゾーンに連続して15点ある確率Prは
Pr=\((0.68)^{15}\)=0.3%
と低確率なので異常と判断します。
★⑧中心線の両側上で一列になった8つの点で、ゾーンCにはない
⇒両方のCゾーンにない点が8つあるので、確率Prは
Pr=\((0.32)^8\)=0.01%
と低確率なので異常と判断します。
よって、どの場合も確率0.5%以下と、稀なケースなので、「稀なケース=異常」として判定しているようです。場合によっては、点の数を変えても良いでしょう。
②確率論で異常判定してよいか?
と疑問に思うはずです。本来は、
工程に異常となる要因があるから異常と判定するべきで、
確率論ではないと考えるべきです。
確率論ではなく、工程異常要因を探るべき
工程が異常と考えるケースをJISに頼らず自分で考えましょう。次が挙げられます。
- 基本は管理限界内にあれば異常ではない
- 例外がいくつかある
- 例外1:工程に入ってはいけない要因が含まれ、上昇・下降など、途中でばらつき方が明らかに異なるなどが見られる
- 例外2:周期的な変動がある
③異常判定ルールは自分で設計すべし
JISの異常判定ルールの是非を評価
| No | 異常パターン | 理由 | 評価 |
| 1 | ゾーンAを超えた1つの点 | 管理限界外 | ○ |
| 2 | 中心線の片側上ゾーンCの中で 又はそれを超えて、一列になった9点 |
低確率 | × |
| 3 | 一列になって上下方向に増加又は減少する6点 | 低確率、工程異常可能性有 | ○ |
| 4 | 一列になって交互に上下する14点 | 低確率 | × |
| 5 | 中心線の片側上ゾーンAの中で 又はそれを超えて、一列になった3つのうちの2つの点 |
低確率 | × |
| 6 | 中心線の片側上のゾーンBの中で 又はそれを超えて、一列になった5つのうちの4つの点 |
低確率 | × |
| 7 | 中心線の上下のゾーンの中で一列になった15点 | 低確率 | × |
| 8 | 中心線の両側上で一列になった8つの点で、 ゾーンCにはない |
低確率 | × |
確率が低いから異常という理由は、論理性が低いです。明らかに異常な点や、異常な要因が含まれているもの以外は、管理限界内にあれば、基本正常と判断してもよいでしょう。
③一列になって上下方向に増加又は減少する6点
以外は、正常と判断してもよい。
自分で考えた異常判定ルールを作るべき
JISの異常判定ルール①③以外に自分で考えた異常判定ルールを併せましょう。
⑨「周期的な異常が含まれる」を追加します。下表が、自分で考えた異常判定ルールとなります。
| No | 異常パターン | 理由 |
| 1 | ゾーンAを超えた1つの点 | 管理限界外は異常とみなす |
| 2 | 一列になって上下方向に 増加又は減少する6点 |
上下傾向から工程異常要因が 含まれる可能性あり |
| 9 | 周期性がある | 工程や工程外に予期しない異常が 含まれる可能性あり |
| … | … | … |
表の「…」は、実際の管理対象の特性をみながら、個別に異常ルールを追加してください。
●顧客要求仕様で異常と判定するもの
●トラブル・故障で是正処置した際に追加したルール
などから判定ルールが追加するはずです。
あなたが必要とする異常判定ルールを考えて管理図を使ってください。
まとめ
管理図の異常判定ルールを自分で考える重要さを解説しました。
- ①JISZ9020の異常判定ルールは確率で定義している
- ②確率論で異常判定してよいか?
- ③異常判定ルールは自分で設計すべし

