工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現できる
「管理工程が変化した場合の検出力の影響がわからない」、などと困っていませんか?
こういう期待に答えます。
本記事のテーマ
- ①管理図の管理限界を正規分布で考える
- ②工程平均がずれた場合の検出力の影響
- ③管理限界が狭まった場合の検出力の影響
●検出力を正規分布から計算
●工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現する
に慣れてください。
正規分布、検定、OC曲線は別の単元で関係ない!
とせず、応用力を身に着けていきましょう。
記事の信頼性
記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。
●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。
①管理図の管理限界を正規分布で考える
管理図はあまり、確率分布関数との関係がないように思えますが、正規分布で考える習慣をつけましょう。
管理限界は平均±3σでUCL,LCLをそれぞれ定義していますね。
管理限界に入る確率を検出力として、本記事で解説します。
②工程平均がずれた場合の検出力の影響
工程平均のずれと検出力の関係
正規分布と分散は同じであるが、平均がずれた場合、検出力はどう低下するかについて、正規分布を使って調べてみましょう。
工程平均がずれるほど、検出力も低下するのは明らかですが、その変化がOC曲線によく似ています。
検出力の計算
工程平均のずれと、検出力について計算しましょう。
平均 | 0 |
標準偏差 | 1 |
x | 3 |
Δu | 検出力 |
0 | 0.998 |
0.1 | 0.998 |
0.2 | 0.997 |
・・・ | ・・・ |
3 | 0.5 |
・・・ | ・・・ |
6 | 0.001 |
検出力の計算式は、Excelで
検出力=NORM.DIST(3-Δμ,平均=0,標準偏差=1,TRUE)
としました。
ここで、
●「3-Δμ」の「3」は「管理限界3σの3」と工程平均のずれ「Δμ」の差です。
●また、正規分布は平均0、標準偏差1と仮定
●「True」として累積分布関数として計算
と仮定しています。
検出力曲線(OC曲線)
結果をグラフにするとOC曲線のような曲線が描けます。
ここで、横軸のΔμに注目します。値が0~6までしかありません。
●(A)Δμ=0の時は、ずれは無いという意味。
●(B)Δμ=3の時は、3σずれたという意味。
●(C)Δμ=6の時は、6σずれたという意味。
それぞれの場合の位置と検出力の関係を図で示します。
工程平均のずれと検出力の関係が可視化され、すぐ理解できますね。
管理限界が狭まった場合の検出力の影響
変動分散
\(\bar{X}\)管理図の変動分散の式でよく、
\(σ_{\bar{X}}^2\)=\(σ_b^2\)+\(\frac{σ_w^2}{n}\)
とあります。
群内変動\(\frac{σ_w^2}{n}\)がnの値が変化することによる、
検出力の影響を調べてみましょう。
イメージ図を描きます。
工程平均のずれと検出力の関係
正規分布の面積が狭まるので、計算は簡単ですね。
計算結果をまとめます。
平均 | 0 |
標準偏差 | 1 |
x | 3 |
n | 検出力 |
1 | 0.997 |
2 | 0.966 |
3 | 0.917 |
4 | 0.866 |
… | … |
99 | 0.237 |
100 | 0.236 |
… | … |
検出力の計算式は、Excelで
検出力=2*NORM.DIST(3/√n,平均=0,標準偏差=1,累積分布関数)-1
としました。
ここで、
●「3/√n」の「3」は「管理限界3σの3」で、サンプル数nの平方根で管理限界区間を狭くしています。
●また、正規分布は平均0、標準偏差1と仮定
●「True」として累積分布関数として計算
と仮定しています。
n⇒∞にすると、管理限界幅⇒0なので、検出力1-β⇒0となる検出力曲線が得られます。
検出力曲線(OC曲線)
結果をグラフにするとOC曲線のような曲線が描けます。
n⇒∞にすると、管理限界幅⇒0なので、検出力1-β⇒0となる検出力曲線が得られます。
●検出力を正規分布から計算
●工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現する
に慣れてください。
まとめ
工程変化と検出力の関係をOC曲線で表現できることを解説しました。
- ①管理図の管理限界を正規分布で考える
- ②工程平均がずれた場合の検出力の影響
- ③管理限界が狭まった場合の検出力の影響
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