「品質監査はいつ実施するのがベストか」がわかる
「何で毎年、暑い夏に監査するの?」、「新規事業に配属され、年間の動きが見えない。いつ監査しようか」、と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①監査側(管理部門側)の都合
- ②被監査側(ライン部門)の都合
- ③監査側と被監査側の都合があう時期がベストだけど
- ④品質担当は、監査実施時期をよく考えている
①監査側(管理部門側)の都合
監査側は同時期に監査がしたい
監査側や、事務局側は、やるべきこととやりたい時期が決まっています。
監査時期を固定して毎年同期間の品質改善状況がみたい。
監査側(管理部門側)の通年業務
ざっといくと、
●年度初め(主に4月)
・品質方針の更新を経営者と確認
・品質目標の更新と各部門への展開
●年度末(主に3月)
・各部門の品質目標や品質活動の結果評価
・マネジメントレビュー実施
なので、年度初めと年度末の間の6月から12月の間に内部監査と外部審査を実施したいと考えて毎年管理しています。
内部監査は回数に制限がなく、外部審査は年1回ですが、組織内の活動や改善の浸透状況を考えると、内部監査も外部審査も年1回ずつが妥当でしょう。
外部審査は、基本的に監査を受ける側が顧客なので、審査時期、内容、監査員を選ぶことができますが、当然、リソースは有限なので、早め計画を固めたい思いがあります。
②被監査側(ライン部門)の都合
業務の納期によって、監査したい時期が変えたいはず
一方、組織内で監査される側を考えます。
毎年、同じ業務を繰り返す組織なら単純ですが、当然、納期によって閑散期と繁忙期があります。閑散期に監査をさっさと終えて、繁忙期は本業に集中したいのが本音です。
閑散期と繁忙期を考慮して監査日程を決める
被監査側の業務の閑散期と繁忙期を想定します。3つ考えられます。
- 年度初めが閑散期で、年度末につれて繁忙期になる。毎年同じサイクルである場合
- 閑散期と繁忙期期間は毎年同じであるが、年度途中に切り替わる場合
- 閑散期・繁忙期がいつ、期間がどれくらいかわからない場合
1は、設備系や公共工事が該当します。毎年4月にスタートして、6月に製造開始して、12月くらいに出荷して2,3月で現地搬入するパターンです。
2は、1の時期がずれた場合を想定します。
3は、量産品の場合です。
基本、製造業で考えると、インデント品(個別生産)と量産品の2種類があります。どちらかのパターンに該当する人がほとんどでしょう。
③監査側と被監査側の都合があう時期がベストだけど
基本は、
被監査側:閑散期にさっさと終わらせてほしい
の両者の都合があう時期に監査するのがベストです。
年度初めが閑散期で、年度末につれて繁忙期になる場合
このパターンが、監査する側も、される側にとってもベストです。夏の6月に内部監査を実施し、その結果をまとめ、共有して外部審査にのぞむことができます。
●4月:品質方針、品質目標の策定と発信
●5月:内部監査実施発信と監査員アサイン・教育、外部審査計画
●6月:内部監査実施
●7月:内部監査結果まとめ、外部審査実施
●8月:審査結果まとめ、改善の機会指示
●9月以降:各部門にて改善対応と浸透
●2月:年度内の品質活動、実績の集計
●3月:マネジメントレビュー実施と次年度への指示事項共有
これを毎年繰り返す。
各品質活動が順番ごと一定の間隔で進められるため、品質定着しやすい動きが取れるのと同時に、監査日程も毎年決まっているため、監査側もされる側も落ち着いて準備対応ができます。
閑散期と繁忙期が、年度途中に切り替わる場合
監査する月を夏から秋にずらせばよいですが、改善の機会と浸透する時期が冬になり、そのあとすぐにマネジメントレビューで経営者に報告が必要です。
内部監査や外部審査から受けた改善指示事項を浸透したかどうかを十分に経営陣に報告できません。この条件を経営陣に理解してもらうか、または、マネジメントレビューを上期・下期年2回としたらよいでしょう。
上期のマネジメントレビューは、改善の浸透状況を重視して報告し、
下期のマネジメントレビューは年度の品質活動全体を報告する
趣旨にするとか考えるとよいでしょう。
閑散期・繁忙期の時期や期間が不定の場合
量産品の場合が該当します。これは組織内で決めた方がよいです。
- 閑散期に合わせて毎年実施月を変える場合
- 繁忙期でも毎年実施月をそろえる場合
理想は、閑散期に合わせて毎年実施月を変えることですが、監査側も監査される側も事務局も毎年対応が大変でしょう。
繁忙期でも、監査を受審する管理職の日程を確保して監査するケースが多いと考えます。
ISO9001 2015版になって、審査のための書類整理が不要となり、現行の業務やプロジェクトに関する文書を使って監査対応すれば問題ないはずです。
④品質担当は、監査実施時期をよく考えている
理想的な品質活動の流れ
事務局の仕事はたいして難しいものではありませんが、品質活動を順序よく、ほどよい間隔をあけて活動したいのが本音です。
理想的な通年の流れを再掲しますが、
●4月:品質方針、品質目標の策定と発信
●5月:内部監査実施発信と監査員アサイン・教育、外部審査計画
●6月:内部監査実施
●7月:内部監査結果まとめ、外部審査実施
●8月:審査結果まとめ、改善の機会指示
●9月以降:各部門にて改善対応と浸透
●2月:年度内の品質活動、実績の集計
●3月:マネジメントレビュー実施と次年度への指示事項共有
これを毎年繰り返す。
何年か経過すると、監査側、被監査側、事務局、外部審査機関も通年の動きを理解してくるので、よい連携ができてきます。
また、監査・審査実施月をそろえると12月間の品質活動の経過も確認でき、毎年の継続的改善を確認できます。
品質活動を大きく変える必要がある場合
ただし、大災害などの大きな外部課題が発生すると、通年の動きができなくなります。
品質方針・目標⇒審査、監査⇒改善の機会と浸透⇒マネジメントレビューの報告の中で、優先順位を組織内で決めて、外部課題の対応をしながら組織内の品質活動を促します。
良い品質活動につながるための計画を品質部門は考えているのです。
まとめ
「品質監査はいつ実施するのがベストか」をわかりやすく解説しました。
- ①監査側(管理部門側)の都合
- ②被監査側(ライン部門)の都合
- ③監査側と被監査側の都合があう時期がベストだけど
- ④品質担当は、監査実施時期をよく考えている
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