外部審査の計画がわかる
「外部審査の計画ってどうやってやるの?」、と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①大きな更新審査時に認証機関から数年計画表を受け取る
- ②監査実施数カ月前から計画・工程を何度も作成
- ③監査実施日の予約や設定対応
- ④「あとは、みんな頑張ってくれ」と監査当日応援
①大きな更新審査時に認証機関から数年計画表を受け取る
更新審査の間に組織内の全部門を一通り監査
外部審査は2つに分けられ
- 更新審査(数年に1回更新のための大規模な審査)
- 定期審査(更新審査の間に実施する小規模な審査)
外部審査は、抜取検査なので、一部の部門の一部の業務しか監査しません。
そのため、大規模な更新審査と小規模な定期審査を用いて、数年かけてISO対象を監査します。
私が所属する事業部では、更新審査は3年おきです。
途中、部門の新設、変更、統合があれば、審査対象
被監査部門は、基本的には審査は嫌がります。一回やったらしばらく来ないと思っているでしょうけど、組織変更があれば、変更部分は審査対象になりますので注意ください。
●事業部の統廃合
●部門の統廃合
●部門、組織の新設
などは、審査対象です。
前年度、A部門が審査を受けて、次年度A部門がA1部門、A2部門に分けたり、A部門とB部門が統合したりすると、次年度も審査対象になります。
被監査部門への配慮
被監査部門は、基本的には審査は嫌がります。
審査対象になると、「当たり年」
審査対象でないと、「外れ年」
です。厄年みたいですけど。。。
けど、審査はいやだ。さっさと終わって欲しいが本音。
なので、審査部門への通知は、相手の配慮をもって伝えることが重要です。
「来年は無いのでちょっと我慢ください」
みないな体で、よく伝えに行っています。
②監査実施数カ月前から計画・工程を何度も作成
実は、計画工程案は何度も作って調整している
認証機関の審査員と事務局と、自組織の品質担当(事務局)で数カ月前から計画と工程を練ります。外部審査の運営を仕切ると、計画・工程業務が8割です。計画が終わったら、あとは、みんなよろしく~って気分になります。
審査したい部門(全国点在している)と日数と審査員の数を決めます。審査費用にからんできるからです。
審査費用は、
●主に自組織の人数と規模ですが、
●日数
●審査員人数
●移動・宿泊費
です。
審査員のリソースも有限なので、最少人数となります。
日数、工程、審査員数をminになるように計画します。
審査対象組織が、全国に点在しており、移動が必要な場合は時間と移動方法も検討が必要です。これが結構手間です。
定期審査において、最初は、近場や移動しやすい事業所を選んでいきますが、だんだん移動がメインの審査年になっていきます。
計画・工程案を実際に検討してみよう
下図のように、審査対象が点在していますが、審査員2名、4日で計画してみましょう。
●審査場所
●東京本社(品川)
●東北支社(仙台)
●北海道工場(室蘭)
●北陸支社(富山)
●奈良研究所(京田辺)
●鳥取工場(鳥取)
●熊本工場(水俣)
としましょう。結構リアルな設定です。毎年こんな感じです。
●審査員
・監査リーダ(70歳) (建設業出身)
・監査員(66歳) (製造業出身)
では、計画表を埋めてみましょう。あなたも、考えてみてください。ただし、初日は1監査員は東京本社で経営陣へのトップインタビューと最終日の午後は、両方の監査員が同席してまとめと終了会議を東京本社で実施するとします。
1日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | 開始とトップ面談 (東京本社) |
?? |
午後(13-17) | ?? | ?? |
夕方移動 | ?? | ?? |
2日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | ?? | ?? |
午後(13-17) | ?? | ?? |
夕方移動 | ?? | ?? |
3日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | ?? | ?? |
午後(13-17) | ?? | ?? |
夕方移動 | ?? | ?? |
4日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | ?? | ?? |
午後(13-17) | まとめと終了会議 (東京本社) |
まとめと終了会議 (東京本社) |
計画を作るポイントは、
- 全審査部門へ期間内に行けるのか?旅行計画を組む
- 移動の際の交通手段を2つくらいおさえておく
- 各事業所滞在時間内に審査できる部門or審査員が希望する部門をアサインする
旅行計画を立てましょう。また、交通手段を2つあるとベストです。当日に限って飛行機や列車が遅延や運行中止があります。どうしても交通手段が1つしかない場合は、行先の事業所の担当に事前連絡して連携を取っておきましょう。
また、移動中の事故・怪我リスクもあります。安全第一、無理のない移動工程を組む必要があります。
全国地図を見ると、東日本、西日本に分けて審査員の工程を考えてみましょう。
●審査員1:東京⇒東北⇒北海道⇒東京
●審査員2:熊本⇒鳥取⇒奈良⇒北陸⇒東京
としました。他のルートでもOKです。あなたなりの計画設計案でOKです。
計画案を提示すると、
1日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | 開始とトップ面談 (東京本社) |
熊本工場 |
午後(13-17) | 東京本社 | 熊本工場 (15時終了) |
夕方移動 | 仙台へ移動 (新幹線) |
鳥取へ移動 (新幹線、JR) |
2日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | 東北支社 | 鳥取工場 |
午後(13-17) | 東北支社 (15時終了) |
鳥取工場 |
夕方移動 | 北海道へ移動 (飛行機) |
奈良へ移動 (JR,新幹線) |
3日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | 北海道工場 | 奈良研究所 |
午後(13-17) | 北海道工場 | 北陸へ移動 |
夕方移動 | 東京へ移動 (飛行機) |
|
4日目 | 審査員1 | 審査員2 |
午前(9-12) | 東京本社 | 北陸支社 11時終了 東京に移動 |
午後(13-17) | まとめと終了会議 (東京本社) |
終了会議(途中から) 東京本社 |
ポイントは、
- 必ず現地は前日入りして移動を確実にする
- 移動のために15時終了とし、審査部門数を調整する
- 最終日午後は、審査員全員そろって評価してもらう
- 審査官は評価まとめする時間がないので、移動中・宿泊中にまとめる
数日と短期間の中で、弾丸旅行して、審査して、まとめる業務なので審査官はアクティブな人でないと務まりませんね。
コロナ禍の恩恵
リモート審査はまじ感謝です!
北海道から九州に切り替わるは一瞬で済む!
コロナは大変だけど、デジタルの加速が進みました。
もちろん、リモート化には課題があります。
●現場が本当に実在するか?
●現場の空気感が感じられない
●リモートQ&Aがスムーズにできない
●音声画像が途中で途切れる
結論から言うと、
わざわざ現地行くのが面倒という声が出て来ました。
もちろん、コロナ禍がある程度落ち着けば、現場の対面審査と、リモート審査の混合でもOKです。
③監査実施日の予約や設定対応
キーパーソンへの早めのアポイント
審査の最初は、経営陣への審査です。経営陣(社長、事業部長)の予定をつけておきましょう。3カ月前くらいがベストです。秘書さんに依頼しましょう。
審査直前(2週間前)くらいに経営陣への説明会を実施します。審査の概要、質問される箇所、組織の説明をしてほしい内容などをインプットします。
被審査部門への通知の仕方
審査は基本嫌がるので、やんわり伝えてください。
「今年、あたってしまったんですけど、来年は無いのでよろしくお願いいたします。」とかですね。
内部監査を外部審査の前に実施しているなら、内部監査の時に通知して、内部監査実施後に外部審査のポイントを伝えてあげてください。
支社店など本社から遠距離にある部門ほど情報が疎になります。丁寧にインプットしましょう。遠距離にある部門長は意外と心細く、事務局からの情報を求めています。
審査当日の対応
●会議室の予約、リモート環境(音声・画像の途切れがない状態にする)
事務局のガイド役、窓口などのアサイン
審査員の連絡先、審査員へのトイレ、喫煙所の場所
くらいおさえておきましょう。
審査員の飲み物や食べ物の配慮は不要で、持参する審査員がほとんどです。
④「あとは、みんな頑張ってくれ」と監査当日応援
審査運営の事務局は、審査当日は意外と暇です。これだけ準備したので、あとは、みんなよろしく~状態です。
備えあれば、憂いなしです。
以上、外部審査の運営の裏側を解説しました。
まとめ
外部審査の計画をわかりやすく解説しました。
- ①大きな更新審査時に認証機関から数年計画表を受け取る
- ②監査実施数カ月前から計画・工程を何度も作成
- ③監査実施日の予約や設定対応
- ④「あとは、みんな頑張ってくれ」と監査当日応援
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