【必読】品質の外部審査で品質不正は見抜けない
「品質監査したのに、なんで品質不正が見抜けないの?」、「何を審査しているの?」と疑問に思いませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
なぜなら監査の趣旨が違うから。
そうなる理由を解説します。
- ①外部審査は相手を疑う審査ではない
- ②品質不正の本質は別な所にある
- ③品質不正発覚後、ISO認証剥奪と後手後手
①外部審査は相手を疑う審査ではない
適合性、有効性、妥当性をチェック
ISOの認証に値する組織かどうかをチェックします。
判断基準は、関連記事品質監査で高評価がもらえるコツがわかる で解説したとおり、適合性、有効性、妥当性です。
まとめると、
●適合性:規格、法令顧客要求事項 どおり業務しているかどうかを見る。
●有効性:マネジメントシステムに沿って組織が動いているかどうかを見る。
●妥当性:要求事項を満たしているかどうかを客観的証拠から見る。
の3つです。
品質不正に該当するのは、「妥当性」でしょうけど、提示されたエビデンスが要求に満たせば、嘘でも構わないわけです。(もちろん、嘘はいけませんよ!)
品質を作りこむ流れを審査するか
有限時間の中で組織を審査しますから、一連の質疑の流れで全体から細部まで審査します。
個々の文書や回答を疑ってかかると何日あっても時間が足りません。
審査員は被審査側のプロフェッショナルではない
品質不正はそこ分野のプロであれば見抜けるかもしれません。しかし、次の理由で審査員は業種が近い程度の人がアサインされることがほとんどです。
- 全分野のプロから審査員にするのは無理
- 仮にプロでも、他社の不正データを一発では気がつかない
- 同業者の審査員は、審査を受ける側から嫌がられる
- 審査員になれる基準は技術専門性とは別
同業他社出身なら、被審査側の状況を理解しやすく、情報漏洩につながります。だから普通は嫌がります。
そうなると、提示された文書から、品質を作りこむプロセスとして適切かどうかしか審査されません。
②品質不正の本質は別な所にある
品質不正は技術・品質部門の問題だけではない
近年、優良な大企業が続々と品質不正を発表し、批判を浴びています。
同業他社なら、対岸の火事では済まされず、自社の品質点検するようトップから指示が下りたりします。
で、よく経営陣側から、
と指示がきます。
でも、技術・品質部門側の本音は
と白けムード一色です。
なぜかわかりますか?
●無理な目標達成のプレッシャー
●無理な収益要求、納期要求
が品質不正の温床となっています。
QCDのC(コスト),D(納期)の要求がきついと、QCDのバランスが崩れ、最悪、Q(品質)不正に染めていくのです。
最近20年の品質不正を発表した企業の分析結果から言える事です。
(品質不正については、QCプラネッツもしっかり解説していきます!)
なので、
その組織の根深いところまでツッコめないし、
ツッコんではいけないアンタッチャブルなのです。
品質不正は簡単に見抜けない
不正の仕方も、手を込んでいます。その分野のプロが仕込むからわかりません。
だから、
顧客からの苦情がなければわからないし、
苦情があっても別理由で納得すれば、不正はわからない
さらに、
審査員2名 VS 組織側数名で 外部審査します。人数の圧力もあります。
③品質不正発覚後、ISO認証剥奪と後手後手
いつも言われる「監査したのになぜわからないの?」
品質監査は、あくまで、
別にISOの要求事項に合ってなくても組織が良いなら、それでもOK
品質不正を見ていません。でも格好悪いよね。
素人から見えれば、「監査・審査」=「不正を正し、改善させる」ですよね。
実態はそうではありません。
せめて、罰として、ISO認証を剥奪させ、組織に再取得審査へと振り出しに戻すしか手はありません。
審査側も反省会をする
認証機関の審査員の方に聞いた話ですが、
自分が審査した組織が品質不正をした場合、
認証機関の方でも反省会をやるそうです。
実際に、提示されたデータがおかしいと気づいても、深く掘り下げるのは難しいです。
データを作った製造部門、製造部門にいる品質部門など、審査に出席していないメンバーも呼び出す必要があったり、他の項目を審査したいが時間が無くなっていくからです。
審査員の本音は、
ですよね。
品質不正の温床とならない組織経営が重要です。
なぜなら、毎日技術を磨いているから。
それを捻じ曲げる行為をさせる風土が問題であり、
品質監査では対応できません。
まとめ
品質の外部審査で品質不正は見抜けない理由をわかりやすく解説しました。
- ①外部審査は相手を疑う審査ではない
- ②品質不正の本質は別な所にある
- ③品質不正発覚後、ISO認証剥奪と後手後手
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