QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。
★ 本記事のテーマ
- ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
- ②責任及び権限の注意点
- ③組織体制表に必要な要素
- ④責任と権限が機能しない場合あるある
- ⑤組織が機能しないと品質不正につながる
- ⑥有機的に機能する組織をつくる方法
部長、課長や管理職が考えるから一般社員は関係ない!
と一言で終わりそうですが、意識すべきポイントを解説します。
①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説
最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。
ISO9001要求事項
トップマネジメントは,関連する役割に対して,責任及び権限が割り当てられ,組織内に伝達され,理解されることを確実にしなければならない。 トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てなければならない。
a) 品質マネジメントシステムが,この規格の要求事項に適合することを確実にする。
b) プロセスが,意図したアウトプットを生み出すことを確実にする。
c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善(10.1参照)の機会を特にトップマネジメントに報告する。
d) 組織全体にわたって,顧客重視を促進することを確実にする。
e) 品質マネジメントシステムへの変更を計画し,実施する場合には,品質マネジメントシステムを“完全に整っている状態”(integrity)に維持することを確実にする。
JISハンドブックの解説
次のように規定されています。
- JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
- JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
それぞれを読んだ印象をまとめます。
JIS | 名称 | 単元 | 感想 |
JIS Q9001 | 品質マネジメントシステム -要求事項 |
5.3 組織の役割,責任及び権限 | ISO9001 2015 5.2 と同じ内容 |
JIS Q9002 | 品質マネジメントシステム -JIS Q 9001の適用に関する指針 |
5.3 組織の役割,責任及び権限 | より詳細な説明(*) |
上表の JIS9002 での「より詳細な説明(*)」をまとめると、
●権限は委譲してもQMSの全体責任は変わらずトップマネジメントであるとしている。
●事業、組織が大きく変更になった際、QMSが”完全に整っている状態”になるように維持することが求められている。当然中の人の責任と権限も状況や目的に応じて有効に割り当てていくことを求めている。
- 責任と権限で注意すべきポイント
- 組織体制表に入れるべき項目
- 組織が機能しないとどうなるのか?
②責任及び権限の注意点
責任及び権限
責任と権限は相反する言葉ですね。
●権限⇒自由にやっていい、気が楽
責任は、「やらないといけない」ので、指示された業務はきちっとやればいいですね。ちゃんとやらないのは「無責任」ですから。
一方、権限は自由が利く範囲ですが、自由も責任が伴います。
●責任と言われると気が重いし、プレッシャーですが、1つずつ仕事をこなして相手が求めるレベルのアウトプットを出し続けて、評価されて、信頼されるように頑張ればよいです。
権威と権力・権限は違う
品質管理業務を長年やっていると
●担当者は長年やっているので周囲からの評判・認知度が高い。
●一方、最近変わった、部課長は他部門からの異動できたばかりで、品質ことをよく知らない
という場面によく遭遇します。
実務経験が豊富な担当者の方が、周囲を動かす力が強い
こうなると、部下が言うことを聞かなくなる。
自分事で恐縮ですが、これは、
これは「権威」がないといえます。
だからと言って、
皆さんの職場はいかがでしょうか?
相手の領域へ超えないよう注意
人的リソースが足りない所は無関係ですが、よくスタッフ部門(管理部門)はオーバーリソースになりがちで、人事異動がほとんどありません。
こういう場合は、相手の領域へ超えないよう注意しましょう。
明らかに不要な仕事をやっている人がいて、その仕事を最適化したらよいと思うのですが、そういう越権行為は組織にとって逆にマイナスな場合もあります。触れてはいけない部分がありますが、上司に相談して組織のあるべき体制を考えてもらえばよいです。
③組織体制表に必要な要素
よく品質監査で確認されるのが、「組織体制表」です。
改善が必要な組織体制表の例
下図に具体的な組織図を示します。誰がいて、何を担当するか明確に書いているので、一見問題なさそうですが、品質監査で提出するといっぱい改善要求されますけど、どこに不備があるかわかりますか?
組織体制表に必要な要素を事例で確認
品質監査の場合、次の質疑をして、改善の指摘に進めていきます。
- 「A部長が不在の場合、誰が部長代行をするのですか?」
- 「1課のJさんの担当業務と責任・権限は何ですか?」
- 「この部のISO9001認証範囲はどこで、何人が対象ですか?」
- 「この部の人的リソースにおける課題は何ですか?」
どれも、
誰が何をやっているのか、読み取れない。
人的リソースの過不足、力量向上、課題が読み取れない。
ただ、人が部にいることだけがわかる。
なので、
- 部を運営するキーパーソンの代行役を明記
- 各人の責任及び役割を明記
- ISO9001認証範囲を明記
- それぞれの責任及び役割すれば強みも課題も読み取れる
組織体制図を改善した結果の図を示します。はっきりわかるようになりましたね。
その部の責任及び権限、役割は何か?
それを達成すべき人的リソースはどれくらいあって
発展のために何が必要か?
か語れる状態にしておくことが重要です。
組織体制表作った。だから、何なの? とならないように注意しましょう。
④責任と権限が機能しない場合あるある
では、あえて考えましょう! 「責任と権限が機能しないヤバい組織ってどんなん?」イメージできますか? また、組織体制表の内容や説明から、その組織がかかえる潜伏している課題が見抜けますか?
- ワンマン、独裁
- できない上司、できる部下
- できたばかりの組織、臨時のプロジェクトチーム
- 裏ルールがいっぱいあるネチネチしている職場
あるあるですね。1つずつ解説します。
ワンマン、独裁
●いわゆる「鶴の一声」ですよね。突然、上司を入れ替えたり、部下の案を受領したりすると、組織はめちゃくちゃになりますよね。独裁者の御機嫌取りする奴が上に上がったりして、責任も何もありません。
こういう組織は大体、大きな事件や事故を起こして自滅します。まだ、こういう会社多いですよね。
できない上司、できる部下
●能力がないのに管理職だったり、専門外からポストが空いているから異動させられた上司
と
その分野のプロで誰より詳しい担当者(部下)
の場合。
権限が上司になっても、部下はシカトするし、上司を無視して勝手に承認をとったりします。専門外から来たり、経験年数が浅い上司は慣れるまでが結構大変です。でも部下から見て「給料高いから当たり前だろ!」と言われたり、怒るとパワハラって言われるし。
できたばかりの組織、臨時のプロジェクトチーム
社内から集められた人で構成するプロジェクトチームなどは、
最初は意見や価値観の違いから衝突がよく起こります。
裏ルールがいっぱいあるネチネチしている職場
管理部門系にありありです。
●役職者と担当者で責任と権限が異なるが、実は30年来の同僚の関係で、会話すると性格の違いから、役職者より担当者が偉そうにしている。
●決定事項があるべき方向ではなく、みんなの多数決という暗黙のルールになりがち
●必ず同じ人が、決定している事柄や、会議がある(属人性のひどいパターン)
ヤダヤダ! うちの職場やん! ってマジなんですけど。
●外からは見えにくいですが、ありありな話です。責任と権限は機能しないか、機能しても内部からガタガタ文句を言われる環境にあります。って、ちゃんと仕事している側からして、マジで邪魔や奴が多い。
⑤組織が機能しないと品質不正につながる
組織は体制を作れば終わりではありません。有機的に機能させることが重要です。
組織がダメになると、品質不正の温床につながります。
品質不正の報告書を読むと、ほとんどが、組織が機能していないことが原因になっています。
- 部下の不正に気が付かない、管理しない管理職
- 自分の不正やミスに気が付かない、報告しない担当者
- 顧客より社内政治を第1に考える部課長
- 同じ仕事しかしないもの
- 楽な方へ進もうとする部門
組織を有機的に機能させるために、組織運営の目的を考え、顧客満足、社会的責任、継続的な成長につなげるように組織メンバーに働きかけることが重要です。
言うのは簡単ですが、組織に属する1人1人の自覚が重要で、「責任及び権限」を上手に使う必要があります。
⑥有機的に機能する組織をつくる方法
- 組織のあるべき姿・目標を最初にしっかり決める
- 残すもの、捨てるものをはっきりする
- メンバーをよく知り、目標に進ませる
- 現状と同じはダメ
当たり前のことばかり書いていますが、現状は、
●長年の経験者の意見を信じてしまう
●少し手を伸ばせば届くちょっとしんどい目標を嫌がる
●他部門や経営陣からのクレームを避ける
ばかりです。
●あなたを含め、その組織がなぜあるのか?
●社会、会社・組織から何を求められているのか?
●求められる期待+αを出せるにはどうしたらよいか?
●どうしても必要な人、どうしても切り離さないといけない人がいるが、正しく選別できるか?
(逆をやるのが現実ですが)
●現状に満足せず、ハングリーな状態か
●数カ月、数年後の理想状態が描けているか
●周囲からの反対や冷たい視線を受けるが、孤独に勝てるか?
などが組織に求めたいところです。
でも半年、1年経過して
現状と変わらないのがいいのか?
1つでも成長するのがいいのか?
自問自答してください。
顧客に接する部門はいやおうなしでも顧客からの厳しい要求があります。それでも、甘い部門が多いですが、そうでない管理部門ならなおさらです。
毎日、それなりに生きるか?それとも1つでも成長するか?
そういう集団を組織化し、責任と権限を与えるか?
どうあるべきか? よく考えましょう。
まとめ
ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限をわかりやすく解説しました。
- ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
- ②責任及び権限の注意点
- ③組織体制表に必要な要素
- ④責任と権限が機能しない場合あるある
- ⑤組織が機能しないと品質不正につながる
- ⑥有機的に機能する組織をつくる方法