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多数決系の信頼性・故障率がわかる

信頼性工学

「多数決系の信頼度・故障率・MTTFの計算がわからない」と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

多数決系の信頼性・故障率がわかる
  • ①多数決系とは
  • ➁多数決系は二項定理が必要
  • ➂信頼度の比較(多数決系VS並列系)
  • ➃多数決系の平均寿命

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①多数決系とは

多数決系とは

並列系と比較すると理解が速い!

多数決系とは

並列系は、n個の構成要素のうち、どれか1個が機能していればOK。
多数決系は、n個の構成要素のうち、m個以上が機能していればOK。

多数決系では、例えば、
●電圧V0の電源をn個直列につないだ系があり、全体でm V0以上の電圧があればOKとする場合、
●5本のボルトによる継手があり、そのうち2本が破断しても必要な強度が確保できる場合
など、並列系より細かく信頼度を設定したい場合に使うのが多数決系です。

➁多数決系は二項定理が必要

多数決系の信頼度Rの考え方

多数決系の信頼度Rをどうやって定義するかですが、

  1. 故障確率がある
  2. n個中、mは正常動作
  3. n個中、n個は故障

となる確率を計算すればよいので、二項定理が必要です。

つまり、\(n\)個のうち、\(k\)個が故障せず、残りの\(n-k\)個が故障する確率を多数決系全体の信頼度\(R_s\)とすると、

\(R_s\)=\(\sum_{i=k}^{n} {}_n C_i R_c^i (1-R_c)^{n-i}\)

二項定理の式はQCで頻出!

この式は、

  1. 組み合わせの確率
  2. 二項定理
  3. 抜取検査(OC曲線)

に出て来ますね。必ずマスターしましょう。

➂信頼度の比較(多数決系VS並列系)

多数決系の信頼度

先程の定義式から、具体的に計算してみましょう。

\(R_s\)=\(\sum_{i=k}^{n} {}_n C_i R_c^i (1-R_c)^{n-i}\)

\(n=3\),\(k=2\)の場合

\(R_s\)=\(\sum_{i=k}^{n} {}_n C_i R_c^i (1-R_c)^{n-i}\)
=\(\sum_{i=2}^{3} {}_3 C_i R_c^i (1-R_c)^{3-i}\)
=\( {}_3 C_2 R_c^2 (1-R_c)\)+\( {}_3 C_3 R_c^3 \)
=\(3R_c^2 -2R_c^3\)

信頼度の比較(多数決系VS並列系)

多数決系も並列系も、ある意味、冗長系です。
どっちが良いのか?比較したいですよね!

●どっちが信頼度が高いの?
●並列系なら要素は2個でいいけど、多数決系は3個以上要素が必要
●要素がたくさん必要な多数決系ってメリットあるの?

具体的に計算して比較しましょう。

並列系の場合

\(R_s1\)=1-\((1-R)^2\)より、
=\(2R-R^2\)

多数決系\(n=5\)の場合

\(R_s2\)=\(\sum_{i=k}^{5} {}_5 C_i R_c^i (1-R_c)^{5-i}\)より
\(i=1\)から5まで順に代入しましょう。

具体的には、
\(R_s(0)\)=\((1-R)^5\)
\(R_s(1)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)
\(R_s(2)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)
\(R_s(3)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)+\(10R^3 (1-R)^2\)
\(R_s(4)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)+\(10R^3 (1-R)^2\)+\(5R^4 (1-R)\)
\(R_s(5)\)=\((1-R)^5\)+\(5R(1-R)^4\)+\(10R^2 (1-R)^3\)+\(10R^3 (1-R)^2\)+\(5R^4 (1-R)\)+\(R^5\)

式が長いのでこのままExcelでグラフ化しましょう。

信頼性工学

比較すると、

並列系より信頼度が高い場合もあるが、
多数決系は並列系より信頼度が低い場合が多い

だから、

信頼度だけみると多数決系は不要で並列系で十分では?と思っちゃう。

なので、多数決系は並列系で表現しにくい場合に使うと考えましょう。

多数決系では、例えば、
●電圧V0の電源をn個直列につないだ系があり、全体でm V0以上の電圧があればOKとする場合、
●5本のボルトによる継手があり、そのうち2本が破断しても必要な強度が確保できる場合
など、並列系より細かく信頼度を設定したい場合に使うのが多数決系です。

➃多数決系の平均寿命

ついでに、平均寿命μも計算しましょう。

平均寿命の計算例

\(n=3\),\(k=2\)の場合

\(R_s\)=\( 3R^2 -2R^3\)
を使います。

確率密度関数\(f(t)\)= -\(\displaystyle \frac{dR_s}{dt} \)で、
\(R(t)\)=\(e^{-λt}\)と指数分布としましょう。

\(f(t)\)=\(6R^2 f -6Rf\)

平均寿命μは、
μ= \(\displaystyle \int_{0}^{∞}t f(t) dt\)より

μ=\(\displaystyle \int_{0}^{∞} t (6R^2 f- 6Rf) dt\)
=\(6λ \displaystyle \int_{0}^{∞} t(e^{-2λt}-e^{-3λt})\)
=\(\frac{5}{6} \frac{1}{λ}\)

となります。多数決系でも平均寿命は積分で計算できます。

まとめ

「多数決系の信頼性・故障率がわかる」を解説しました。

  • ①多数決系とは
  • ➁多数決系は二項定理が必要
  • ➂信頼度の比較(多数決系VS並列系)
  • ➃多数決系の平均寿命


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