【必見!】水素と酸素の化合で水ができる化学反応からわかること
化学反応式がよくわからないし、面白さがわからず、困っている。
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
おさえておきたいポイント
- (1)分子の存在に気が付く
- (2)水分子が水素2個、酸素1個から構成することがわかる
- (3)水素と酸素の原子量が1:16とわかる。
このブログの構成
- ①思考実験問題
- ②思考実験問題を作ったわけ
- ③思考実験問題の解説
- ④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介
①思考実験問題
「各元素の質量である原子量」と「分子の存在」を身の回りの物を使って思考実験から計算してみたい。まず、水素と酸素の化合物である水蒸気について考えてみたい。水を電気分解すると水素と酸素が取り出せる。これを実験の題材とする。
–
気体反応の法則を1808年に発見され、水素と酸素を反応させて水を得る場合、その体積比は
水素2,酸素1,水(水蒸気)2
と実験からわかっている。なお、体積比と質量比は同じと考える。
–
水蒸気は水素Hと酸素Oの化合物HOと考える。この問では、水が水素、酸素が何個ずつ結合しているかがわかっていないために検証する実験をしている。
–
この実験から化学反応式は
(1) と書ける。
–
しかし、質量保存の法則、定比例、倍数比例の法則を考えると、各元素の個数が両辺等しくならないといけないので、1個のOではつじつまが合わない。
1の係数でOが2個もつにはOは1個の単体ではなく2個で1つである
(2)になっている必要がある。
–
また、水素も酸素と同様に気体であるため、1個の単体ではなく(2)になっていると考えられる。よって、化学反応式(1)(左辺)だけを修正すると、
(3) と書ける。
–
体積比である係数は変えずに(右辺)のH,Oの数を(左辺)と一致させると、(右辺)の水分子はH2Oとならなければならない。よって、この実験の正しい化学反応式は
(4) と書ける。
–
この実験でわかる大事な知見は、以下である。
●水の生成によって、酸素、水素は気体では原子単体ではなく、分子として存在すること
●水は水素原子2個、酸素原子1個が結合した化合物であること
–
化合物の生成した質量を天秤で正確に計測すると、水素は4g、酸素は32gに対して、水蒸気は36gできていた。
このことから、水素と酸素の原子1個分の質量比が求められ、水素:酸素の原子量の比は
(5)である。
②思考実験問題を作ったわけ
いかがでしょうか。ただの水の化合に関する化学反応式ですが、化学反応式が書けて定期試験、入試問題の点数化稼ぎではなく、シンプルな化学反応式でも、分子の存在、化合物の構成、原子量比が発見できる思考実験であることを理解しましょう。
他実験も実施すればさらに化学の知見が増えることです。これは、研究者として鍛え挙げるだけでなく、新規ビジネスにも活用できる思考力です。今は、知識より知恵が大事な時代です。
③思考実験問題の解説
<解説>
水H2Oですが、
どうやってH2Oとわかったのか?
水素、酸素の原子量も1,16ですが、どのようにしてわかったのか?
分子の存在がどうやって気づいたのか?
など教科書では当たり前ですが、
初めて調べるときは何もわかりません。
当時(1800年代)は現在ほどの計測技術もありませんので、何もない環境条件でどこまで知見が得られるかを、当時の科学者になり切って、仮説を立てながら解いていきましょう。
化学反応の法則を駆使するとわかることが多々あります。当然、化学反応の法則だけではまだわからない知見もあります。そこをこの問で味わってください。
(1) 水に電極を当てると水素と酸素が出ることは実験すればわかるので、水(水蒸気)は水素Hと酸素Oの化合物であることもわかります。では、H,Oが何個ずつ結合しているかが実験で得られた体積比と化学反応の法則からわかります。
体積比:水素2,酸素1,水(水蒸気)2 より 化学反応式は
2H+O→2HO ((1)答)
(Oの係数は1なので記載略) となります。
(2) 2H+O → 2HO から (左辺)にHが2個、Oが1個、(右辺)にHが2個、Oが2個と個数が一致しません。
一致させるには、(左辺)のOが2個にしないといけませんが、2×Oと書くと体積比と一致しません。
困りました、どうやってつじつまを合わせようか? ここから分子の存在に気が付くポイントです。
係数は1でOが2個いる状態でなければなりません。ここから元素は原子だけでなく原子が複数結合した「分子」((2)答)(O2)なる必要があるとわかるのです。
(3) 酸素は酸素分子として気体になっていると、水素も同様であろうと仮説が立ちます。
よって、Hで存在するのではなく、H2として気体となっているはずですね。(1)の化学反応式を書き直すと、
2H2+O2→2HO ((3)答)
と書き直せます。
すると、両辺の個数が不一致です。
係数は変えずに元素の個数を合わせるには、
水は分子であり、HOではなくH2Oであることがわかりますね。
以上から(4) 正しい化学反応式は
2H2+O2→2H2O ((4)答え) です。
(5) 質量保存の法則から 水素4g、酸素32g、水36g(=4+32)となりますが、
化学反応式から Hが4個、Oが2個です。1個当たりは水素1gと酸素16gとなります。
よって、原子量の比は1:16 ((5)答)とわかります。
気体発生の化学反応から定比例の法則(係数比)と質量保存の法則から分子の存在や原子量比がわかります。
QCプラネッツは理科をサイエンス(科学)できる教科書を現在作っております。
④QCプラネッツ中学理科問題集のご紹介
近日中に公開します。乞うご期待ください。
まとめ
「【必見!】水素と酸素の化合で水ができる化学反応からわかること」を解説しました。
- ①思考実験問題
- ②思考実験問題を作ったわけ
- ③思考実験問題の解説
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119