内部監査の進め方がわかる
「内部監査ってどうやって進めるの?」、と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①事務局が立てる計画
- ②監査実施までの準備
- ③内部監査実施
- ④監査まとめ
①事務局が立てる計画
事務局が立てる計画は3つあります。
- 関係者のアサイン
- 工程計画
関係者のアサイン
関係者は、
●監査する監査員(質疑するリーダと、記録するサブ2名1セット)と
●監査される被監査部門の窓口
です。受査されるのは、その部門の役職者ですが、窓口として担当者に割当てることが多いです。
監査員は監査員名簿を作成して、育成目的で監査依頼します。監査員については、関連記事ISO9001 品質監査の監査員ってどんな人?がわかるで解説しています。
被監査部門の窓口担当者は、意外と長年同じ人がやっています。なので早めに内部監査を計画する事務局担当者は、窓口担当者と仲良くなっておきましょう。
品質管理担当とはいえ、低姿勢が重要です。監査を心地よく進めたいからです!
工程計画
具体的に部門と監査日時を決めます。実際は監査員と被監査部門の日程調整が必要になりますが、最初は工程を埋めます。あとで調整できますと説明すればよいです。経験上、8割くらいは先に決めた日程で実施されます。
次に、工程を考えます。例えば、組織内に30部門(15部門は本社、15部門は支社店(全国))としましょう。距離感をつかんでほしいので地図を載せます。まずは、コロナ禍前のリモート監査しない、現地に行く場合を想定します。
下表に具体的な割当表を置きます。
No | 場所 | 部門 | 時間 | 監査リーダー | 監査員 |
1 | 東京 | 営業1 | 午前1 | ?? | ?? |
2 | 東京 | 営業2 | 午前1 | ?? | ?? |
3 | 東京 | 営業3 | 午前1 | ?? | ?? |
4 | 東京 | 営業4 | 午前1 | ?? | ?? |
5 | 東京 | 営業5 | 午前1 | ?? | ?? |
6 | 東京 | 営業6 | 午後1 | ?? | ?? |
7 | 東京 | 営業7 | 午前1 | ?? | ?? |
8 | 東京 | 技術1 | 午後1 | ?? | ?? |
9 | 東京 | 技術2 | 午後1 | ?? | ?? |
10 | 東京 | 技術3 | 午後1 | ?? | ?? |
11 | 東京 | 技術4 | 午後1 | ?? | ?? |
12 | 東京 | 技術5 | 午後1 | ?? | ?? |
13 | 東京 | 技術6 | 午後1 | ?? | ?? |
14 | 東京 | 企画 | 午後1 | ?? | ?? |
15 | 東京 | 品質 | 午後1 | ?? | ?? |
16 | 中部 | 営業1 | 午前1 | ?? | ?? |
17 | 中部 | 営業2 | 午後1 | ?? | ?? |
18 | 中部 | 技術1 | 午後2 | ?? | ?? |
19 | 関西 | 営業1 | 午前1 | ?? | ?? |
20 | 関西 | 営業2 | 午後1 | ?? | ?? |
21 | 関西 | 技術1 | 午後2 | ?? | ?? |
22 | 北陸 | 営業1 | 午前 | ?? | ?? |
23 | 四国 | 営業1 | 午前1 | ?? | ?? |
24 | 中国 | 営業1 | 午後2 | ?? | ?? |
25 | 九州 | 営業1 | 午前1 | ?? | ?? |
26 | 九州 | 技術1 | 午後1 | ?? | ?? |
27 | 東北 | 営業1 | 午前1 | ?? | ?? |
28 | 東北 | 技術1 | 午後1 | ?? | ?? |
29 | 北海道 | 営業1 | 午前1 | ?? | ?? |
30 | 北海道 | 技術1 | 午後1 | ?? | ?? |
割当方法は2つあります。
- 事務局(品質管理担当)2名1セットで全部門回る
- なるべく多くの人に監査員を依頼する
後者をお勧めします。なぜなら、品質を理解するには、質疑することが一番で、監査経験がある人をたくさん組織内に育成すると、組織のQMSが改善しやすくなるからです。
事務局で回る場合と、なるべく多くの人に依頼した場合の割当方法を挙げます。
なお、1日監査できる部門数は3部門
●午前1: 10:00-12:00
●午後1: 13:00-15:00
●午後2: 15:00-17:00
とします。これ以上やると疲れますね。
事務局(品質管理担当)2名1セットで全部門回る場合
本社15、中部3、関西3、北陸1、四国1、中国1、九州2、東北2、北海道2の計30部門なので、
●本社15部門は、3部門/日×5日で、第1週目に終わらせて
●第2週目以降支社に飛び回ります。
本社東京からみて、
【第2週目】
●1日目:中部1日3部門、監査後関西に移動
●2日目:関西1日3部門、監査後四国に移動
●3日目:四国1部門(午前)⇒移動して午後中国1部門、監査後九州に移動
●4日目:九州1日2部門、監査後北海道に移動
●5日目:北海道1日2部門、第2週目終了
【第3週目】
●1日目:東北1日2部門、監査後北陸へ移動
●2日目:北陸1日1部門、監査終了
まとめると
なるべく多くの人に監査員を依頼する場合
ポイントは、
- 営業と技術の両部門を、監査経験させること
- 本社、支社店を監査経験させること
- 各支社店は1日で終わらせる
- 監査リーダは監査員より人数が少ないので、監査リーダは最少人数で
- 監査員は最大人数でアサインして、監査リーダ候補を選ぶ
- 監査リーダと監査員の組み合わせはバラにして、いろいろなリーダの質疑方法を見せる
なお、監査リーダは5名、監査員は15人としましょう。
●監査リーダですが、
・東京本社は3部門ずつ5人で担当
・支社店は①中部、②関西、③北陸・中国・四国、④九州、⑤東北、⑥北海道の6セットを5人に割り振ります。
●監査員は、
・営業、技術の1セット、
・本社と支社店を両方経験
・なるべく多くの人に(30部門を複数部門経験させると最大15人の監査員をアサインできる)
以上を考えると、次の表のように割り当てできます。
No | 場所 | 部門 | 時間 | 監査リーダー | 監査員 |
1 | 東京 | 営業1 | 午前1 | A | ① |
2 | 東京 | 営業2 | 午前1 | B | ⑧ |
3 | 東京 | 営業3 | 午前1 | C | ⑨ |
4 | 東京 | 営業4 | 午前1 | D | ⑩ |
5 | 東京 | 営業5 | 午前1 | E | ⑪ |
6 | 東京 | 営業6 | 午後1 | A | ⑫ |
7 | 東京 | 営業7 | 午前1 | C | ⑬ |
8 | 東京 | 技術1 | 午後1 | A | ⑥ |
9 | 東京 | 技術2 | 午後1 | B | ⑧ |
10 | 東京 | 技術3 | 午後1 | C | ⑨ |
11 | 東京 | 技術4 | 午後1 | D | ⑩ |
12 | 東京 | 技術5 | 午後1 | E | ⑪ |
13 | 東京 | 技術6 | 午後1 | B | ⑫ |
14 | 東京 | 企画 | 午後1 | C | ⑬ |
15 | 東京 | 品質 | 午後1 | E | ⑭ |
16 | 中部 | 営業1 | 午前1 | A | ① |
17 | 中部 | 営業2 | 午後1 | A | ① |
18 | 中部 | 技術1 | 午後2 | A | ① |
19 | 関西 | 営業1 | 午前1 | B | ② |
20 | 関西 | 営業2 | 午後1 | B | ② |
21 | 関西 | 技術1 | 午後2 | B | ② |
22 | 北陸 | 営業1 | 午前1 | C | ⑥ |
23 | 四国 | 営業1 | 午前1 | D | ⑦ |
24 | 中国 | 営業1 | 午後2 | D | ⑦ |
25 | 九州 | 営業1 | 午前1 | C | ③ |
26 | 九州 | 技術1 | 午後1 | C | ③ |
27 | 東北 | 営業1 | 午前1 | D | ④ |
28 | 東北 | 技術1 | 午後1 | D | ④ |
29 | 北海道 | 営業1 | 午前1 | E | ⑤ |
30 | 北海道 | 技術1 | 午後1 | E | ⑤ |
– | – | – | 計 | 5人 | 14人 |
監査リーダ5人、監査員14人を動員して、14人の監査員の評価をみて、監査員の育成や監査リーダへの育成につなげます。
②監査実施までの準備
①の計画が長くなりましたが、計画がすべてなので、最も重要です。計画がしっかりできていれば、あとはよろしく~でOKです。
計画できてから監査実施までの準備は次の3つです。
- 監査員、被監査部門間の日程最終確認
- 監査に必要な書類の共有
- 内部監査員の教育
監査員、被監査部門間の日程最終確認
監査員も被監査側も本業があるので、計画で仮決めした日時に都合が合わない場合があります。随時日程を調整してください。どうせ、日程を調整するから計画時は仮決めしなくてもよさそうですが、
・日程を自由に設定すると調整が手間です。
・仮決めするとOK/NGの判断とNGの場合は仮決めした日時の周辺の日時を選択することが多いです。
仮決めした方が早く調整が済みます。えいや!で日程も計画しておきましょう。
監査に必要な書類の共有
監査に必要な書類
・品質マニュアル
・組織表、力量管理表
・プロセスに使っている文書
・QC工程図
・試験成績書
・是正処置関連書類
など、事前に監査リーダは受領しておいた方がよいです。監査当日いきなり見て質疑できればよいですが、予習も大事です。監査をスムーズに進めて、監査する・される両側がよい空気になることが重要です。
内部監査員の教育
●初めて監査員やる人
●初めて監査リーダで質疑する人
●数年ぶりに監査やる人
を品質管理担当は事前に教育やポイントを伝えてあげましょう。監査のためでもあり、品質管理の力量向上のためでもあります。
③内部監査実施
監査実施
計画表に従って、監査していきましょう。
監査中は事務局(品質管理担当)の業務は特にありませんが、随時質疑や困ったことが起きたら助けたあげてください。
評価
監査リーダが被監査部門を評価します。良いところも、改善してほしいところもたくさん見つけましょう。
結果を事務局へ報告
結果をまとめた報告書を事務局側に提出するよう依頼します。
コロナ禍前は、基本出社していたので、監査員の直筆+印のついた紙を受け取っていました。
しかし、コロナ禍になると、在宅が基本なので、紙を受け取ることができません。
組織内のサーバやシステムを使って電子化しておくのがよいでしょう。紙に手書きする時代も卒業したいですね。
④監査まとめ
監査が終わると品質管理担当は結果を集計して分析評価します。
●全部門の結果を集計します。結果を前年度と比較して異常がないかを確認します。
●各部門の良い点や改善点を列挙し、その傾向を分析します。
●内部監査⇒外部審査の順番で進んでいるなら、結果を早めに被監査部門に連絡し、外部審査までにできる対策を講じるよう依頼しましょう。
外部審査までに対策が終わらなくても、外部審査時に、内部監査の結果を対応する旨とその施策が説明できればOKです。
以上、内部監査の運営の裏側を解説しました。
●スムーズに監査できる日程計画
●早めの関係者への連絡
●監査員を多く集めて品質管理のスキルを向上できるチャンス
など、意識して計画しましょう。
何事も、計画ですべて結果の質が決まりますね。
まとめ
内部監査の流れをわかりやすく解説しました。
- ①事務局が立てる計画
- ②監査実施までの準備
- ③内部監査実施
- ④監査まとめ
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