投稿者: QCプラネッツ

  • ISO9001 2015 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理がわかる

    ISO9001 2015 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理がわかる

    「外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理って何を実際やればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②購買プロセスの影響は意外と大きい
    • ③購買元、購買先間の交渉事だから難しい
    • ④購買元、購買先間の良い関係性
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    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理
    8.4.1 一般
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項に適合していることを確実にしなければならない。 組織は,次の事項に該当する場合には,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスに適用する管理を決定しなければならない。
    a) 外部提供者からの製品及びサービスが,組織自身の製品及びサービスに組み込むことを意図したものである場合
    b) 製品及びサービスが,組織に代わって,外部提供者から直接顧客に提供される場合
    c) プロセス又はプロセスの一部が,組織の決定の結果として,外部提供者から提供される場合 組織は,要求事項に従ってプロセス又は製品・サービスを提供する外部提供者の能力に基づいて,外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの監視,及び再評価を行うための基準を決定し,適用しなければならない。
    組織は,これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について,文書化した情報を保持しなければならない。
    8.4.2 管理の方式及び程度
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客に一貫して適合した製品及びサービスを引き渡す組織の能力に悪影響を及ぼさないことを確実にしなければならない。 組織は,次の事項を行わなければならない。
    a) 外部から提供されるプロセスを組織の品質マネジメントシステムの管理下にとどめることを,確実にする。
    b) 外部提供者に適用するための管理,及びそのアウトプットに適用するための管理の両方を定める。
    c) 次の事項を考慮に入れる。
    1) 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を一貫して満たす組織の能力に与える潜在的な影響
    2) 外部提供者によって適用される管理の有効性
    d) 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが要求事項を満たすことを確実にするために必要な検証又はその他の活動を明確にする。
    8.4.3 外部提供者に対する情報
    組織は,外部提供者に伝達する前に,要求事項が妥当であることを確実にしなければならない。 組織は,次の事項に関する要求事項を,外部提供者に伝達しなければならない。
    a) 提供されるプロセス,製品及びサービス
    b) 次の事項についての承認
    1) 製品及びサービス
    2) 方法,プロセス及び設備
    3) 製品及びサービスのリリース
    c) 人々の力量。これには必要な適格性を含む。
    d) 組織と外部提供者との相互作用
    e) 組織が適用する,外部提供者のパフォーマンスの管理及び監視
    f) 組織又はその顧客が外部提供者先での実施を意図している検証又は妥当性確認活動

    長いし、難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理
    8.4.1 一般
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,要求事項に適合していることを確実にして管理する。
    b) 製品及びサービスが,組織に代わって,外部提供者から直接顧客に提供される場合
    c) プロセス又はプロセスの一部が,外部提供者から提供される場合
    組織は,外部提供者の評価,選択,パフォーマンスの監視,及び再評価を行う基準を決定し,適用し、文書化した情報を保持する。
    8.4.2 管理の方式及び程度
    組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客へ悪影響を及ぼさないことを確実にする。
    a) 外部から提供されるプロセスを組織の品質マネジメントシステムの管理下に置く。
    c) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たす
    d) 要求事項を満たすことを確実にするために必要な検証
    8.4.3 外部提供者に対する情報
    a) 提供されるプロセス,製品及びサービス
    b) 製品及びサービス、方法、プロセスついての承認
    c) 人々の力量
    d) 組織と外部提供者との相互作用
    e)外部提供者のパフォーマンスの管理及び監視

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    もっと端的に解説すると、

    購買プロセスで何を管理しなければならないか?
    購買元、購買先の要求は異なる中、うまくQMSを監視できるか?

    相手がいる話なので、交渉も必要になってきます。

    ②購買プロセスの影響は意外と大きい

    自社開発した製品及びサービスの中で、
    外から購買したものはどれくらい含まれていますか?

    意外と多くて、原価の半分が購買品(他社製品)など場合があります。

    全部自社で製造はありえない!

    ねじ1本から自社製ですか?
    PCのOSも自社製ですか?
    事務所の空調も自社製ですか?

    んなわけ、ないですよね。他社でよいものは購買の方が良いからですよね。

    ISO9001や品質マネジメントシステムは
    自分の領域だけ考えがちですが、
    購買による他社との関係性も重要なのです!

    とはいえ、利害関係が相反する相手ですから、ストレスな交渉が必要になります。

    ISO9001は「外部を管理せよ!」と要求事項に簡単に書いているけど、実際どうやるの?話が通じる相手ならいいけど、そうでないなら? とか実務ではいろいろ悩むはずです。

    ③購買元、購買先間の交渉事だから難しい

    本来は、

    購買元、購買先の両者の利益が合うから契約、売買が成立します。しかし、時間が経過するとその関係がギクシャクしていきます。

    なので、
    (i)契約時の関係
    (ii)経過後の関係
    を見てみましょう。

    契約時の関係

    購買先と販売元の利害関係は逆

    QCDで考えると、

    ●購買先⇒よりいい品質を、より安く、より早く購入したい!
    ●販売先⇒必要最低限の品質で、より高く、時間に余裕をもって販売したい!
    と利害関係は真逆です。

    購買

    ISO9001や品質マネジメントシステムは、購買側が主語ですが、販売元も配慮しないと交渉や第2者監査してもよい結果につながりません。

    購買先と販売元が売買成立する条件

    購買先が、ここから上の要求レベルなら購買したい領域と
    販売元が、ここまでの要求レベルまでなら対応してもいい領域が
    重なる領域があれば、売買成立しますね。

    購買

    互いが求める領域が重なることが前提です。

    時間経過すると関係がギクシャクしてくる

    時間経過すると

    最初は、売買両側の関係性は良いですが、時間が経つと、
    ●購買先は
    ・この案件だけここの品質だけ良くしてくれないか?
    ・この案件だけ、ちょっと安くしてくれないか?
    ・この案件だけ、来週納期でもいい?
    と「この案件だけ」と例外的にQCD要求を上げてきます。

    これが定着すると、例外だったのが、当たり前の感覚になります。いつの間にか、要求レベルが上がっているし、これに気が付きません。

    ●一方、販売元は
    ・エース級の技術者が退職して、質が落ち始めている
    ・原料のコストが上がっている
    ・他社との販売が増えたから納期を長くしたい
    と、要求レベルを徐々に下げていきます。

    人間なので、気を抜くとレベルは下がりますよね。仕方がない!

    両者の要求がそろわなくなる

    時間が経過すると互いに自分の都合が良い条件にしたくなるので、両者の要求がそろわなくなります。

    購買

    両者の要求がそろわない状態で、QCDの交渉や第2者監査しても効果がありません。

    相手を見る前に、自分もチェックしましょう。自分をチェックすることはISO9001 8.4には書いていませんが、そうしないと交渉が進みません。

    ④購買元、購買先間の良い関係性

    簡単な話で、両者の要求がそろう売買関係を維持すればよいのです。

    購買

    ただ、品物の売買やQCDの交渉だけだと、難航しやすいので、新たな価値をともに作り出す関係性が生まれるとさらにベターですね。

    外部のものを活かすことは、効率が良く、経済も回るのでとても良いことです。さらに、どんな価値が創出できるかを購買先、販売元がともに考えるかも重要です。

    売買や交渉は、パイの取り合いではなく
    win-winの関係にしたもの勝ちです。

    よく、両者の話合いして来い! 第2者監査しろ!とか、購買先の上層部からの指示で動くのですが、せっかく販売元の人と話せる機会なので、さらに両社で何ができるかも考えて話するのもアリと考えましょう。

    良いものを、安く、早く、もいいけど
    それだけではつまらない
    +α何がうまれるか?

    外部から提供、つまり購買プロセスでは、自他両面を配慮して、互いに良くなることを考えてISO9001 8.4の要求事項を読むと深い理解につながります。

    まとめ

    ISO9001 2015 8.4 外部から提供されるプロセス,製品及びサービスの管理 をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②購買プロセスの影響は意外と大きい
    • ③購買元、購買先間の交渉事だから難しい
    • ④購買元、購買先間の良い関係性

  • ISO9001 2015 8_3 製品及びサービスの設計・開発がわかる

    ISO9001 2015 8_3 製品及びサービスの設計・開発がわかる

    「設計・開発のISO9001 要求事項に対して何を実際やればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 製品及びサービスの設計・開発がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②品質コストのほとんどが設計・開発
    • ③品質を作りこむ設計・開発プロセスを定常的に機能させること
    • ④品質を作りこむ設計・開発プロセスを非常時こそ機能させること
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    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    8.3 製品及びサービスの設計・開発
    8.3.1 一般 組織は,以降の製品及びサービスの提供を確実にするために適切な設計・開発プロセスを確立し,実施し,維持しなければならない。
    8.3.2 設計・開発の計画 設計・開発の段階及び管理を決定するに当たって,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 設計・開発活動の性質,期間及び複雑さ
    b) 要求されるプロセス段階。これには適用される設計・開発のレビューを含む。

    c) 要求される,設計・開発の検証及び妥当性確認活動
    d) 設計・開発プロセスに関する責任及び権限
    e) 製品及びサービスの設計・開発のための内部資源及び外部資源の必要性
    f) 設計・開発プロセスに関与する人々の間のインタフェースの管理の必要性
    g) 設計・開発プロセスへの顧客及びユーザの参画の必要性
    h) 以降の製品及びサービスの提供に関する要求事項
    i) 顧客及びその他の密接に関連する利害関係者によって期待される,設計・開発プロセスの管理レベル

    j) 設計・開発の要求事項を満たしていることを実証するために必要な文書化した情報
    8.3.3 設計・開発へのインプット
    組織は,設計・開発する特定の種類の製品及びサービスに不可欠な要求事項を明確にしなければならない。組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 機能及びパフォーマンスに関する要求事項
    b) 以前の類似の設計・開発活動から得られた情報
    c) 法令・規制要求事項
    d) 組織が実施することをコミットメントしている,標準又は規範(codes of practice)
    e) 製品及びサービスの性質に起因する失敗により起こり得る結果
    インプットは,設計・開発の目的に対して適切で,漏れがなく,曖昧でないものでなければならない。 設計・開発へのインプット間の相反は,解決しなければならない。 組織は,設計・開発へのインプットに関する文書化した情報を保持しなければならない。
    8.3.4 設計・開発の管理
    組織は,次の事項を確実にするために,設計・開発プロセスを管理しなければならない。
    a) 達成すべき結果を定める。
    b) 設計・開発の結果の,要求事項を満たす能力を評価するために,レビューを行う。
    c) 設計・開発からのアウトプットが,インプットの要求事項を満たすことを確実にするために,検証活動を行う。
    d) 結果として得られる製品及びサービスが,指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たすことを確実にするために,妥当性確認活動を行う。
    e) レビュー,又は検証及び妥当性確認の活動中に明確になった問題に対して必要な処置をとる。
    f) これらの活動についての文書化した情報を保持する。 注記 設計・開発のレビュー,検証及び妥当性確認は,異なる目的をもつ。これらは,組織の製品及びサービスに応じた適切な形で,個別に又は組み合わせて行うことができる。
    8.3.5 設計・開発からのアウトプット
    組織は,設計・開発からのアウトプットが,次のとおりであることを確実にしなければならない。
    a) インプットで与えられた要求事項を満たす。
    b) 製品及びサービスの提供に関する以降のプロセスに対して適切である。
    c) 必要に応じて,監視及び測定の要求事項,並びに合否判定基準を含むか,又はそれらを参照している。
    d) 意図した目的並びに安全で適切な使用及び提供に不可欠な,製品及びサービスの特性を規定している。 組織は,設計・開発のアウトプットについて,文書化した情報を保持しなければならない。
    8.3.6 設計・開発の変更 組織は,要求事項への適合に悪影響を及ぼさないことを確実にするために必要な程度まで,製品及びサービスの設計・開発の間又はそれ以降に行われた変更を識別し,レビューし,管理しなければならない。 組織は,次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。

    a) 設計・開発の変更
    b) レビューの結果
    c) 変更の許可
    d) 悪影響を防止するための処置

    長いし、難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.3 製品及びサービスの設計・開発

    組織は,設計・開発プロセスを確立、実施、維持する。
    8.3.2 設計・開発の計画
    a) 設計・開発のプロセス、期間・難しさ
    c) 検証及び妥当性の確認
    d) 責任及び権限
    e) 内部及び外部資源
    f) コミュニケーション
    j) 要求事項を満たすと実証した文書化した情報
    8.3.3 設計・開発へのインプット
    a) 機能及びパフォーマンスに関する要求事項
    c) 法令・規制要求事項や組織の標準・規範
    e) 失敗によるリスク
    インプットは,適切で,漏れがなく,曖昧でないもの。
    組織は,設計・開発へのインプットに関する文書化した情報を保持する。
    8.3.4 設計・開発の管理
    a) 達成すべき結果を定める。
    b) 要求事項を満たす能力を評価するために,レビューを行う。
    c) アウトプットが,インプットの要求事項を満たすことを確実にするための検証。
    e) レビュー,又は検証及び妥当性確認中に明確になった問題に対する処置。
    f) 文書化した情報を保持。
    8.3.5 設計・開発からのアウトプット
    a) インプットで与えられた要求事項を満たす。
    d) 安全で適切な使用に不可欠な,製品及びサービスの特性を規定。
    組織は,設計・開発のアウトプットについて,文書化した情報を保持する。
    8.3.6 設計・開発の変更
    組織は,変更を識別し,レビュー、管理する。文書化した情報を保持する。
    a) 設計・開発の変更
    b) レビューの結果
    c) 変更の許可
    d) 悪影響を防止するための処置

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    もっと端的に解説すると、

    設計・開発を経験すれば、ISO9001 2015 8.3の要求事項はほぼ満たせる。
    しかし、高い品質を作りこむ設計・開発をどう機能させればよいかを考えるべき

    なぜなら、
    ISO9001認証は手段
    品質の作りこみが目的だからですよね。

    ②品質コストのほとんどが設計・開発

    設計・開発者によって、耳の痛い話をします。

    品質トラブル原因の主要因

    下図は、「2020年版ものづくり白書」から引用した図です。
    品質コスト(トラブル発生原因が自分にあり、無償で対処するコスト)の主要因は上流工程ある、仕様・設計になります。

    品質コスト

    上流工程の仕様・設計は自由度が高い良さがあるが、仕様・設計で製品及びサービスの品質がほぼ決まります。
    品質は上流で作りこめ!

    と、上層部からよく言われませんか? 「うるせーな」と思いますが、その理由はここにあります。

    設計・開発が出す品質コスト要因

    設計ミスによるものは少ない
    仕様・設計のヌケモレ、あいまいさ、経験による勘違いが主要因

    前者の設計ミスが主要因なら、単にレベルが低いだけなので、力量をあげればOK。
    ほとんどの組織(技術が成熟した組織)は、後者がほとんどです。なぜなら、ミスは検証で事前にあぶりだせるからです。

    どういう場面でトラブルの種が発生するか?

    次のケースがよくあります。何度もやらかすと、「またか!」と言われますね。

    1. 設計プロセスを取り巻くインターフェース
    2. 仕様のヌケモレ
    3. 仕様には書いていないけど、相手にとって当たり前なもの
    4. 過去案件はすべてOKだったけど、次案件は特例事例と気が付ない場合
    5. 設計者は知っているけど、仕様担当が知らず、いつの間にか変更してて仕様・設計にズレが生じる場合
    ええ!!そんな細かいところで?
    と思いますが、現実はこうです。

    引渡後、ある期間過ぎて、トラブルが発生した原因を特定すると、設計要因が多く、上の5つのどれかになることが経験上多いです。

    なので、設計・開発部門が高い品質を作りこむにはどうすればよいかを考えることが重要です。それを考えて実行すればISO9001の要求事項は満たせます。

    ③品質を作りこむ設計・開発プロセスを定常的に機能させること

    最初はISO9001 2015 8.3 の要求事項を守ること

    基本ですが、基本ができることを第1にしないと、臨機応変な対応はできません。

    基本要素

    1. 5W1Hが明確なインプット、アウトプット
    2. 設計者の力量、責任と権限
    3. 関係者間とのコミュニケーション・レビューの確実な実施
    4. 遵守すべきもの(法令、規制)
    5. 文書化した情報の維持・保持
    6. 変更管理
    7. リスク管理 懸案事項

    暗記しなくても、設計・開発業務を一通り経験すれば身につくものばかりです。

    しかし、これだけでは十分ではありません。特に、非常時の対応が多く、そこで品質を低下させる罠がいっぱい潜んでいます。罠にはまらないために組織として、どんな動きをすればよいかを次に解説します。

    ④品質を作りこむ設計・開発プロセスを非常時こそ機能させること

    設計・開発を悩ます非常時とは?

    1. 設計・開発後半にさしかかった時の仕様・納期変更
    2. 別案件のトラブルでリソースが急に求められた時
    3. コロナ感染で担当者減少・変更を余儀なくされる場合

    など、いつ起こるかわからないものですが、よくありますよね。

    急な変更や対応に、品質低下の罠が潜んでいます。

    非常時でも品質を作りこむには?

    では、非常時にどうすればよいか考えましょう。次が挙げられますね。

    非常時にどんなリスクが起こりうるか?
    リスクを低減するために、どんな行動が必要か?
    1. 設計・開発だけで対処しない周囲を巻き込む
    2. 定常時から営業とのつながりも重要
    3. 営業に代わって顧客への提案・説明も必要
    4. 素早く関係者に情報展開し、完了後は反省会をすること
    5. 苦労した経験を共有(ナレッジするとかいいます)

    自部門の殻に閉じこもるのではなく、プロセス全体の関係者との連携が重要です。必要に応じて、関係者を集めてレビューして懸案事項やリスクの洗い出しをしましょう。

    対顧客の場合は、営業担当も万能ではないため、営業担当と一緒に顧客へ出向いて説明や提案する機会も必要です。

    苦労した経験は共有してみんなでナレッジ化しましょう。

    みんなを巻き込み、リスクを下げつつ、チャンスをものにする動きが取れるためには、日ごろからISO9001 8.3の要求事項を組織内で機能させることと、いつ非常時になっても慌てずに関係者とともに対処できる行動が重要です。

    品質監査は単に8.3の項目を確認してもつまらないので、
    トラブル案件やきつかった業務を挙げてもらって
    そこでの苦労話を聞いて「8.3 設計・開発」が
    有機的に機能できているかを監査することがあります。

    まとめ

    ISO9001 2015 8_3 製品及びサービスの設計・開発がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②品質コストのほとんどが設計・開発
    • ③品質を作りこむ設計・開発プロセスを定常的に機能させること
    • ④品質を作りこむ設計・開発プロセスを非常時こそ機能させること

  • ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる

    ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる

    「要求事項って何をやればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②顧客の要求事項で確認すること
    • ③組織内でうまく運営するには?
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    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    8.2 製品及びサービスに関する要求事項
    8.2.1 顧客とのコミュニケーション
    顧客とのコミュニケーションには,次の事項を含めなければならない。
    a) 製品及びサービスに関する情報の提供
    b) 引合い,契約又は注文の処理。これらの変更を含む
    c) 苦情を含む,製品及びサービスに関する顧客からのフィードバックの取得

    d) 顧客の所有物の取扱い又は管理
    e) 関連する場合には,不測の事態への対応に関する特定の要求事項の確立
    8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を明確にするとき,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
    a) 次の事項を含む,製品及びサービスの要求事項が定められている。
    1) 適用される法令・規制要求事項
    2) 組織が必要とみなすもの
    b) 組織が,提供する製品及びサービスに関して主張していることを満たすことができる。
    8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
    8.2.3.1 組織は,顧客に提供する製品及びサービスに関する要求事項を満たす能力をもつことを確実にしなければならない。組織は,製品及びサービスを顧客に提供することをコミットメントする前に,次の事項を含め,レビューを行わなければならない。
    a) 顧客が規定した要求事項。これには引渡し及び引渡し後の活動に関する要求事項を含む。
    b) 顧客が明示してはいないが,指定された用途又は意図された用途が既知である場合,それらの用途に応じた要求事項
    c) 組織が規定した要求事項
    d) 製品及びサービスに適用される法令・規制要求事項
    e) 以前に提示されたものと異なる,契約又は注文の要求事項 組織は,契約又は注文の要求事項が以前に定めたものと異なる場合には,それが解決されていることを確実にしなければならない。 顧客がその要求事項を書面で示さない場合には,組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認しなければならない。 注記 インターネット販売などの幾つかの状況では,注文ごとの正式なレビューは実用的ではない。その代わりとして,レビューには,カタログなどの,関連する製品情報が含まれ得る。
    8.2.3.2 組織は,該当する場合には,必ず,次の事項に関する文書化した情報を保持しなければならない。
    a) レビューの結果
    b) 製品及びサービスに関する新たな要求事項
    8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
    製品及びサービスに関する要求事項が変更されたときには,組織は,関連する文書化した情報を変更することを確実にしなければならない。また,変更後の要求事項が,関連する人々に理解されていることを確実にしなければならない。

    難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.2 製品及びサービスに関する要求事項
    8.2.1 顧客とのコミュニケーション
    a) 製品及びサービスに関する情報
    b) 引合い,契約、注文の処理(変更を含む)。
    c) 苦情を含む,顧客からのフィードバック
    d) 顧客の所有物の取扱い、管理
    e) 不測の事態への対応
    8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    a) 適用される法令・規制要求事項や、組織が必要とするもの
    8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー
    8.2.3.1 組織は,顧客に要求事項を満たす能力があることを確実にする。組織は,顧客に提供することをコミットメントする前に,レビューする。
    a) 顧客が規定した要求事項。引渡し、引渡し後の活動も含む。
    c) 組織が規定した要求事項
    d) 法令・規制要求事項
    顧客が要求事項を書面で示さない場合には,組織は,顧客要求事項を受諾する前に確認する。
    8.2.3.2 組織は,必ず文書化した情報を保持する。
    a) レビュー結果
    b) 製品及びサービスに関する新たな要求事項
    8.2.4 製品及びサービスに関する要求事項の変更
    要求事項が変更の場合,組織は,文書化した情報の変更を確実に実施し、関連する人々に確実に伝える。

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    もっと端的に解説すると、

    受注・仕様の上流工程で高い品質を作りこむには、誰が何をすべきか?
    ISO9001の要求事項に準拠すること以上に、
    自分たちで考えて品質を作りこむことの方が重要

    では、受注・仕様の上流工程で高い品質を作りこむには、誰が何をすべきか?を考えましょう。

    受注・仕様の上流工程でやるべきことが自分で説明できた後に、ISO9001 8.2を読めば、「当たり前だ」と思うはず。

    ②要求事項で確認すること

    まず、自分で要求事項を考える

    受注・仕様の上流工程における要求事項を列挙しましょう。

    ポイントは、列挙しながら指摘されたら随時更新・追加していきましょう。

    顧客や組織からの要求は都度、環境条件によって変化します。
    例えば
    ●大災害後の復興の場合は、とにかく納期!最優先の場合
    ●コロナ禍の場合は、現場の対応で感染防止を最優先にする場合
    ●同じ製品でも顧客が都市や田舎では価格の要求度合いが異なる場合
    いろいろ想定されます。

    自分で考えた要求事項を列挙する

    列挙します。

    1. 顧客先(受注関係)
    2. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
    3. 納期
    4. 売上(同時に原価も)
    5. 顧客の所有物の有無
    6. 遵守すべき法令、規制、規格
    7. 受注可否判断
    8. 特記事項(その案件だけの特別な条件、注意事項)
    9. トラブル発生時の対応

    あなたも、上以外に確認すべき内容が思いついたらそれも含めてください。

    要求事項の確認は社内の関係者の協力が必須

    上の確認項目を見ると

    1. 営業担当だけで判断できるもの
    2. 社内の技術担当も必要なもの

    の2種類が必要でしょう。営業も技術もすべてわかる人はいませんから、社内の関係者との協力が上流工程の品質の作りこみには必須です。

    営業担当だけで判断できるもの

    1. 顧客先(受注関係)
    2. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
    3. 納期
    4. 売上(同時に原価も)
    5. 顧客の所有物の有無

    社内の技術担当も必要なもの

    1. 契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)
    2. 納期
    3. 遵守すべき法令、規制、規格
    4. 受注可否判断
    5. 特記事項(その案件だけの特別な条件、注意事項)
    6. トラブル発生時の対応

    ●まず、受注可否判断が最も重要です。
    自社ができない仕事を営業が売上ノルマ必達のためにとってくるパターンです。
    トラブル続きの地獄が待っているので、できないものは受注してはいけません。

    ●次に、契約内容(製品及びサービスの規模、難易度)と納期を技術側に共有します。
    必要なリソースや開発段階での課題や顧客と調整すべきポイントを確認します。

    ●守るべきルールは技術側の方がよく知っているので、追加がないかどうかの確認でしょう。

    ●特記事項が意外と重要です。
    例えば、
    (1) 製品を置く現場が温泉街の野外を示す住所しか書いていない場合
    (2) 製品を置く現場がお台場の公園の野外住所しか書いていない場合
    (3) 製品設置工期から1年後に施設がオープンする場合
    などがあったら、どんな注意が必要か想像できますか?

    住所だけなら絶対ピンときませんが、設置後、製品動作不良でトラブルになります。
    (1)は硫黄濃度が高いとか、水蒸気が高いなど、普通の場所と外気条件が異なりますね。
    (2)は海に接しているので、塩害が注意です。
    (3)は先に施設の現場に製品を入れる場合ですが、1年間、工事現場の環境でそのまま保管(ほったらかし)です。ホコリ、湿気に注意です。
    など、注意に気づかない要求事項もあるので、社内の関係者にしっかり見てもらってください。

    上流工程で製造、引渡、引渡後に起こりうる課題や注意点を要求事項の段階で洗い出しておくことが大事です。

    ③組織内でうまく運営するには?

    要求事項をヌケモレなく管理するには、どうすればよいでしょうか? いくつか挙げてみましょう。

    1. 文書化した情報の維持と保持
    2. 関係者間の良い関係
    3. 担当者の力量

    文書化した情報の維持と保持

    ISO9001 2015 8.運用は全要求事項に対して、文書化した情報の維持と保持を要求しています。「文書化した情報」の「維持と保持」については、関連記事に解説しています。

    ●ポイントは、次の3点が明確であることです。文書を残すのは手段で、明確なアウトプットにつなぐことが目的です。

    1. 規定された文書と保存先が明確
    2. 文書作成に必要なインプットが明確
    3. 文書に記録するアウトプットが明確

    5W1Hも記載されていることが必須です。

    関係者間の良い関係

    よく見かける光景では、

    ●営業担当と技術担当がいつも喧嘩して仲が悪い
    ●相手のせいにして、責任を押し付けあう

    これでは、要求事項を的確に社内に引き継ぐことはできないし、顧客へリスクがあることを事前に伝えることもできません。結局、下流工程で悲惨な目にあいます。

    経験を共有することが重要

    社内の関係者が集まって、協力し合う体制になるには、若い時から、経験を共有することが重要です。

    営業担当が若い技術担当を連れて顧客の打合せに行くとか、設計レビューに営業担当を出席させてともに作りこんでいく仕組みが必要です。

    一緒になって行動すれば、トラブっても、自分事としてみんな同じ方向に歩みます。これが上流品質の作りこみには必須で、簡単に機械化できないところです。

    品質マネジメントシステムでも重要なところですし、品質監査でも重点的に確認します。

    担当者の力量

    当然ですが、力量がないと、判断できませんよね。力量については、関連記事に解説しています。

    力量不足な営業担当がやってしまうリスク

    実際にあった話を書きます。しんどかったけど。

    1. 超短納期案件を受注してしまった
    2. 赤字案件を受注してしまった
    3. 技術的に受注不可案件を受注してしまった
    4. 重要な特記事項を聞いておらず、あとでトラブってしまった

    ●超短納期案件、赤字案件は力量不足でなくても、売上至上主義な場合、何でもかんでも受注成果のためにとってしまう恐れがあります。事前に関係者でレビューしておけば、NGとなるが、関係者間が仲が悪いとかありありですね。

    ●技術的に受注不可案件を受注は、顧客から「どうしてもやってくれ!」と頼まれて、引き下がれずに受注して、トラブルが連発したことがありました。

    ●重要な特記事項を聞いていない場合は、製造完成後に、全体の納期が半年伸びてしまい、運悪く、沿岸部の空調の効いていない倉庫に半年(春から秋)に保管したら、湿気で錆びてしまい、使い物にならず、修理費用を誰が払うかもめた場合でした。

    3番目の場合は、新人の頃、先輩がこの件でめっちゃ上司に怒られていたのを見て、「湿気、塩害、気温は要注意!」と覚えたことがありました。悪い事例を自分事として覚えるのもリスク管理能力を高める秘訣ですね。

    要求事項を満たすように、活動するのはとても大変です。だからしっかり対処できている方は、品質監査で質疑されてもしっかり熱く、苦労話を語ってくれます。それが最も大事なんです!

    まとめ

    ISO9001 2015 8_2 製品及びサービスに関する要求事項がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②顧客の要求事項で確認すること
    • ③組織内でうまく運営するには?

  • ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる

    「運用の計画及び管理って何をやればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図
    • ③プロセスって何?
    • ④事例紹介
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    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    8.1 運用の計画及び管理
    組織は,次に示す事項の実施によって,製品及びサービスの提供に関する要求事項を満たすため,並びに箇条6で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを,計画し,実施し,かつ,管理しなければならない(4.4参照)。
    a) 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    b) 次の事項に関する基準の設定
    1) プロセス
    2) 製品及びサービスの合否判定
    c) 製品及びサービスの要求事項への適合を達成するために必要な資源の明確化
    d) b) の基準に従った,プロセスの管理の実施
    e) 次の目的のために必要な程度の,文書化した情報の明確化,維持及び保持
    1) プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつ。
    2) 製品及びサービスの要求事項への適合を実証する。
    この計画のアウトプットは,組織の運用に適したものでなければならない。 組織は,計画した変更を管理し,意図しない変更によって生じた結果をレビューし,必要に応じて,有害な影響を軽減する処置をとらなければならない。 組織は,外部委託したプロセスが管理されていることを確実にしなければならない(8.4参照)。

    難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.1 運用の計画及び管理
    組織は,プロセスを,計画・実施・管理する。
    a) 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    b) プロセスと合否判定を管理する
    c) 必要な資源
    e)文書化した情報の維持及び保持
    1) プロセスの計画と実績の管理
    2) 要求事項への適合を実証
    組織は,変更を管理し,必要に応じてリスクの対する処置をとる

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    ●ISO9001 2015 8.1は8章の構成を書いたものです。全体の構成図を次に解説します。

    ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図

    構成図

    あなたが所属する組織(会社、組織)の関係性とプロセスについて下図にまとめます。

    プロセス

    縦が人間の関係性、横が業務のプロセスの関係性です。

    縦の関係性、横の関係性

    ●縦は、上から顧客・エンドユーザ、下は自社です。自社はさらに三段階に分けて、Top,Middle,Bottomに分かれます。それぞれの段階で求められる品質の要求事項があります。

    ●横は、自社のプロセスの流れと関係性です。ISO9001はあらゆる業種に対応していますが、大まかに、
    受注・仕様⇒設計・開発⇒購買⇒製造⇒引渡(出荷)⇒不適合(保守)
    の流れで製品及びサービスを提供します。

    ISO9001 要求事項

    縦と横の関係性とISO9001の要求事項の関係をまとめます。

    ●縦は4,5,6,7,9,10章の組織の運営について
    ●横は8章のプロセスの在り方(プロセスアプローチ)について

    と分けて考えるとわかりやすいです。

    品質監査でも、
    ●前半は4,5,6,7,9,10章を監査して
    ●後半は8章のプロセス(具体的な製造及びサービスの現在進行形な業務)を監査します。

    ③プロセスって何?

    プロセスって何?

    ●プロセスは日本語では、工程、過程とよく訳します。
    しかし、プロセスアプローチなどの用語になるとプロセスって何か?が理解しにくくなります。

    ●品質におけるプロセスは、次のように解釈するとわかりやすいです。

    プロセスとは、
    インプットをアウトプットに変えるもの

    プロセス

    漠然としていますね、わかったようで、わからない(笑)。
    プロセス=工程、過程よりもう少し広い意味でとらえるとよいです。

    プロセス

    上の図を見ると、いろいろなものがプロセスとして定義できることがわかります。

    プロセス

    ●数学の関数fもプロセスです。インプットxをアウトプットyに変える式ですね。
    ●会議もプロセスです。インプットの資料をもとに協議してアウトプットの議事録を作りますね。
    ●設計もプロセスです。インプットの仕様書をもとに、設計して、アウトプットの設計図に落とし込みます。

    ●関数、会議、設計と粒度がそれぞれ異なりますが、1つにプロセスとまとめてOKです。

    インプット、アウトプットの明確化も大事

    ●プロセスを評価するのと同時に、インプット・アウトプットもしっかり確認します。

    インプットがヌケモレや曖昧だと、よいプロセスでもアウトプットの質は良くありません。また、インプットとアウトプットが明確でもプロセスに不備がある場合もあります。

    ●インプット、プロセス、アウトプットを明確にヌケモレがないように注意しましょう。

    インプット、アウトプットのどこをチェックすべきか?

    ●5W1Hが明確かを最初にチェックします。
    ・誰が?(Who)
    ・いつ(いつまでに)? (When)
    ・どこで? (Where)
    ・何を?(What)
    ・なぜ?(Why)
    ・どのように?(How)
    がインプット、アウトプットともに明確かどうか?を確認します。例えば、設計プロセスを見る場合、アウトプットから逆算して、必要な要素がそろっているかを確認します。

    ●5W1Hが明確な場合は、インプットープロセスーアウトプット間に整合性がとれているか?
    明らかに、要求のアウトプットにできない場合(レベル、期日、価格、安全性など)かどうかを見ましょう。例えば、5W1Hが明確な仕様書をもとに、その設計プロセスのレベルを見て、要求のアウトプットができるかどうかなどです。

    ●品質トラブルになる場合は、インプット、アウトプットが明確でない、インプットープロセスーアウトプット間に整合性が取れていないなどを疑いましょう。

    ④事例紹介

    プロセスの具体例をいくつか挙げて、イメージしやすくしましょう。3例を挙げてみましょう。

    1. 装置製造などのハードウェアの工場
    2. システム開発などのソフトウェア会社
    3. ISO9001を取得した保育園

    ん? 保育園? 保育園がISO9001取得しているの? そうです。取得している保育園があります。Google で「ISO9001 保育園」で検索してください。

    ●では、上の3例のプロセスを具体的挙げてみましょう。

    装置製造などのハードウェアの工場

    ハードウェアの製造業が一番ISO9001 の要求事項と相性が強いです。なぜなら、ISO9001 は1987年から規定していますが、当時はハードウェアの製造業しかなかったためです。なお、要求事項「8章運用」は、ISO9001 の初期からの名残として今も残っています。

    ハードウェアの場合は、要求事項とプロセスは次の関係になります。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 全般の管理
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    受注・仕様
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    製造
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    引渡・出荷
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    保守

    システム開発などのソフトウェア会社

    ここ、20年ほどでソフトウェアーやサービス業にもISO9001を取得する組織が増えています。基本的には、ハードウェアと同じプロセスを通るはずです。

    ソフトウェアの場合は、要求事項とプロセスは次の関係になります。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 全般の管理
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    受注・仕様
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    インプリメンテーション
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    インストール(引渡・出荷)
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    保守・更新

    ●製造をインプリメンテーション
    ●引渡、出荷をインストール
    ●保守に更新を追加
    など、ソフトウェア独自のプロセスが入ります。

    ISO9001を取得した保育園の場合

    製造業なら、わかりやすいですが、保育園の運用って何でしょうね? もし、保育園を品質監査してと言われたら、あなたは何を質疑しますか?

    ●製造業では、
    ①受注・仕様⇒②設計・開発⇒③購買⇒④製造⇒⑤引渡・出荷⇒⑥保守
    でした。

    保育園では、どんなプロセスが該当するのでしょうか?

    例えば、園児を中心に考えると、次の表の案が考えられます。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 運営
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    募集・入園
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    保育計画
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    育児・保育
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    退園・卒園
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    苦情対応
    ISO9001を取得して達成した目標は何か?に合わせてプロセスを考えましょう。上の例は、園児の教育・成長を目標にしたので、それに合わせたプロセスを例に挙げました。その他のプロセスでもOKです。

    ISO9001は手段、目的は達成したいことです。達成したい目標に向かって
    インプット、プロセス、アウトプットが明確で有用に機能していることが重要です。

    まとめ

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図
    • ③プロセスって何?
    • ④事例紹介

  • ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる

    ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる

    「コミュニケーションすれば、本当に品質向上につながるの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②コミュニケーションって何をしたらいいの?
    • ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション
    • ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫
    • ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?
    コミュニケーションが大切なら、単に、ワイワイ会話する職場にすればいいんでしょう!
    でも、そんなんでいいの? コミュニケーションは何をすれば品質向上につながるの?

    半分正解で、半分不足しているので解説します。

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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説

    ISO9001要求事項

    7.4 コミュニケーション
    組織は,次の事項を含む,品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。
    a) コミュニケーションの内容
    b) コミュニケーションの実施時期
    c) コミュニケーションの対象者
    d) コミュニケーションの方法
    e) コミュニケーションを行う人

    シンプルだからわかりやすい?

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7_4_コミュニケーション ISO9001 2015 7.4
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7_4_コミュニケーション より詳細な説明

    ちょっとわかりにくいので、わかりやすく解説していきます。

    ②コミュニケーションって何をしたらいいの?

    コミュニケーションとは?

    コミュニケーションとは、意思疎通です。
    伝えたい内容を100%正しく相手に伝えることです。

    なので、

    1. 言葉で正しく相手に伝えること
    2. 相手に伝えられる文書であること

    が重要で、相手に要求事項や仕様が正しく伝わらないと、品質悪化につながります。

    コミュニケーションには、相手によって2種類分けます。
    ●内部コミュニケーション⇒社内、組織内
    ●外部コミュニケーション⇒社外、顧客

    それぞれ見ていきましょう。

    内部コミュニケーション

    普段の業務においては次の3点に注意しましょう。よく連絡取りあう仲である分、関係が悪いと嫌ですよね。

    1. 話しかけやすい人になること
    2. 定期会議、朝昼例の運営と記録
    3. リモートワークでの、素早い反応

    ●話しかけやすい人になること
    ⇒基本ですね。けど、話が長く、自分のことばかり話す人もいるので、適度に「話しかけるオーラ」も必要です。友達の関係ではないからです。

    ●定期会議、朝昼例の運営と記録
    ⇒報連相の基本です。社内の記録をいちいち書くのは面倒ですが、外部コミュニケーションで対外への文書を作るための訓練として役立てるといいですね。

    ●リモートワークでの、素早い反応
    ⇒チャット、電話など、来たらすぐに反応しましょう。相手が見えないため、余計な不安や疑心を持ち、関係性が悪化します。

    外部コミュニケーション

    対取引先なので、次の3つがあります。

    1. 対面での対話
    2. 電話
    3. メール、仕様書、請求書、打合せ記録などの文書

    ●対話、電話
    ⇒人間の基本行動ですが、一番難しいし、あとで品質トラブルにもつながりやすいです。あいまいなやりとり、相手に対する思い込むなど、特に対外業務が慣れた人がやりがちです。

    ●文書
    ⇒面倒ですが、精度高く相手に伝える・確認するために、文書を作成し維持保持しておくとよいです。トラブったときのエビデンスになり、自分も相手も守ることにつながります。

    ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション

    なぜコミュニケーションが品質トラブルの主原因か?

    それは、

    品質を作りこむ上流工程では、コミュニケーションがほとんどを占めるから

    ●最初の工程である、仕様では、
    ・顧客と打合せで仕様を詰めていく
    ・仕様が電話・メールなどで頻繁に変わっていく
    ・仕様を決めるときは簡単に内容が変わっていく

    しかし、下流工程になると製造が始まり
    ・簡単に仕様変更ができない
    ・仕様の完成度が悪いとできばえも悪い
    ・出来が悪いと、相手と「言った、言わない」でもめる
    と、営業担当が電話でよく「ぎゃーぎゃー」やるシーンをよく見ますよね。

    品質を作りこむ上流工程では、コミュニケーションがほとんどを占める。上流品質の作りこみが最も大事だから。
    その割に、いい加減なコミュニケーションで仕様を作りこむ現状も多い

    では、高品質につながるために、どんなコミュニケーションをすればよいのでしょうか?
    コミュニケーションの上手な方法って、意外と教えてもらえず、先輩の背中を見て育つことが多いですよね。

    コミュニケーションで品質を作りこむ

    次の3点を提示します。面倒ですが、最初が肝心です。

    1. 電話で決めたことは内容確認書を作ってメールで送る
    2. 5W1Hと主語述語をはっきり書く
    3. 誰が書いても同じ結果になる文書のフォーマットに注意する
    ISO9001というより、営業の基本だよね!
    そうなんです!

    営業の基本が高い品質を作りこむため、
    ISO9001のコミュニケーションは営業の基本です。

    仕事の基本は、若いうちに身に着けないと、いつまで経ってもできない人になりますよね。だから、ISO9001でも要求しているのです。

    電話で決めたことは内容確認書を作ってメールで送る

    電話で、QCDに関わるやりとりをした場合は、記録を残して共有した方が、後々リスクが下がります。そして、誰が仕様面の注意に気が付くと、下流工程でのやり直しリスクも下がります。

    5W1Hと主語述語をはっきり書く

    相手に対して、はっきり書くのは躊躇しがちですが、あえてはっきり伝えましょう。
    「誰が、何を、どこに、いつまでに、どのようにやるか?」をはっきり書くと相手も助かるはずです。

    「言った、言わない」の喧嘩が無くなり、「どう解決するか」を相手と詰めることがすぐできます。

    誰が書いても同じ結果になる文書のフォーマットに注意する

    何でも書けそうな文書枠、記入欄にしないことです。品質監査でもよくチェックします。機械的に記入できるほど、具体的な業務・作業内容が書けるように、文書を作りこむと良いです。

    コミュニケーションは相手に正しく伝えることです。ISO9001というよりは、仕事の基本をちゃんとやりましょう!です。若い時に身に着けてましょう。評価も上がり昇進にもつながります。

    ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫

    コロナ禍でコミュニケーションが難しくなりました。どんな工夫をするかがポイントです。品質監査でもここのポイントを高く評価する流行りがあります。

    コロナ禍では、あなたはコミュニケーションでどんな工夫をしていますか?

    ちょっと考えてみましょう。

    コロナ禍のような大きな環境変化があっても、我々は意外と対応できることも実感できていますよね! 対応能力こそ、生き延びる力!

    いくつか例を挙げます。

    ●対面打合せができなくなったが、客先への移動は不要な分、社内関係者を普段よりたくさんリモート打合せに呼び、情報共有を強化した。

    ●電子ツールやアプリを導入して、報連相を1対1から1対Nに変えた。現場の状況が瞬時に職場の関係者に伝わり、全員ですぐ協議できるメリットがある。

    ●仕様を今まで口頭で決めていたが、DXの波にのって、プラットフォームを使って仕様を詰める方法に切り替えた。営業の経験によらず、プラットフォームからヌケモレを自動チェックするので、仕様品質が一気に向上した。

    監査でもらった回答事例の一部です。
    意外とPCやプログラミングが苦手そうな人からこういう回答をもらうので、いざとなったら、何でも対応できるじゃん!と対応力の高さを改めて理解できました。

    知恵を活かすのも生き延びるために必須です。
    知恵を出しあい、変革するのもコミュニケーションです。

    ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?

    単に会話したり、会議すればいいってことではない!
    コミュニケーションとらないといけない状況を作れているか?
    コミュニケーションしないとできない状況にうまく追い込んでいけているか?
    が大事!

    わかりきった業務なら、会話は不要で、むしろ黙って淡々と仕上げたらいいです。

    1. 初めての業務をさせて、成長させる状況を作っているか?
    2. しゃべったことがない人・部門・パートナーのところに行って、コミュニケーションをとれる状況になっているか?
    3. 初めての状況で不安や緊張させる状況が作れているか?

    コミュニケーションは、相手との相互作用や価値創造を促すものであるため、
    廊下でペチャクチャ同僚と話ししたり、
    惰性の会議をやり続けることではありません。

    初めてで本当は話したくないけど、しないと先に進めない!でも、緊張する! うまく伝えて事を進めるにはどうしたらいい?と緊張と汗をかくことがコミュニケーションでは大事です。

    報連相や日頃の会話も大事ですが、
    コミュニケーションせざるを得ない状況を組織が各担当に上手に追い込むことも必要です。

    新たな業務や配置転換、標準化など定期的に半強制的に実施すると、汗をかいてしゃべったことがない相手とコミュニケーションが進みます。

    その回数が多いほど、人脈もでき、多くの人からの知恵がもらえる恩恵があり、組織が強くなっていきます!

    惰性や忖度は
    コミュニケーションの最大の敵!
    コミュニケーションは緊張と汗の数ともいえます!

    コミュニケーションだけに、口だけではなく行動で実施していきましょう!

    まとめ

    ISO9001 2015 7_4_コミュニケーションがわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②コミュニケーションって何をしたらいいの?
    • ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション
    • ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫
    • ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?

  • ISO9001 2015 7_3_認識がわかる

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる

    「認識って何?」、「どうやれば認識されるの?」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②認識(Awareness)って何?
    • ③何を認識させ、どうやって認識させるか?
    • ④認識がない組織はどうなるか?

    結論

    品質やISOだけの認識ではなく
    あなたの人生が有意義になるよう認識することが重要です。

    ISO9001の要求事項に合わせるレベルではなく、もっと視座を上げて、あなたの人生の意義を先に認識しましょう。そうすれば、やるべきことが明確になるし、人生の質も、業務の質も向上するからです。

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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説

    ISO9001要求事項

    7.3 認識
    組織は,組織の管理下で働く人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。
    a) 品質方針
    b) 関連する品質目標
    c) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
    d) 品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

    認識ってそもその何? でつまづきますよね!

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.3 認識 ISO9001 2015 7.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.3 認識 より詳細な説明

    書いている内容は、それなりに理解できるが、認識って何?を自分の言葉で説明できないと理解できないでしょう。

    では、わかりやすく解説していきます。

    ②認識(Awareness)って何?

    辞書の意味

    認識していない状態は、下図のような感じですね。わかってなくて、ボケっとしている様子です。

    辞書を引くと、

    ●認識⇒その物事を知り、その本質を理解すること

    そして、認識の英訳をAwarenessとしていますが、Awarenessを辞書で引くと、

    ●Awareness⇒自覚すること

    まとめると、

    その物事の本質を理解し、自覚すること

    なるほど、

    認識とは、
    ●業務を認識すること⇒業務の本質を理解し、自覚して取り組むこと
    これだけでも、品質向上しそうですね!

    さらに認識の対象範囲を広げてみましょう。

    ●日々の生活を認識すること⇒何を目指して毎日頑張っているか?を考えてみる
    ●人生を認識すること⇒自分の将来、人生の目標を再設定する
    人生の質が上がりそうですね!まだまだイケる!とテンションが上がりますね!

    本質を理解して、自覚する認識が高まると
    業務の質、品質、人生の質すべてが向上できるパワーがつきます!

    認識の一般的な理解をした上で、ISOやJISにおける認識も理解しましょう。

    ISOやJISにおける「認識」とは?

    人生の質に比べると、業務や組織の質の向上と範囲が狭くなります。認識の一般的な理解をしていれば、仕事の認識はその一部であると考えればOKです。

    ●ISOやJISにおける「認識」とは、次の5つと考えます。

    1. よい品質を作りこむために何をすべきかを理解すること
    2. 品質目標を理解して、貢献すること
    3. 自ら行動すること
    4. 品質マネジメントシステムを有効に機能させたり、できないことを明確にすること
    5. PDCA,継続的改善につなげること

    業務の中の狭い「認識」です。ポイントは、
    ●経営者の意志を反映した品質方針、品質目標とあなたの認識が整合していること
    ●自ら行動するリーダシップを持つこと
    ●ちょっとずつでいいから、改善を継続すること
    です。

    でも、本音は、

    認識を考えるなら、業務に限らず、あなたの人生の質を高めるよう認識することが大事!

    ③何を認識させ、どうやって認識させるか?

    認識の重要性を解説しました。では、何を、どうやって、周囲の人たちに「認識」させればよいでしょうか?

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。

    何を「認識」させるか?

    認識してほしいもの

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上
    3. あなたの人生

    考え方

    最初に、

    1. 目の前の業務

    だけだと、相手は認識したいとなりませんね。もう少し上の目標を与えてもいいでしょう。

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上

    少し上の目標を与えて、組織の品質・収益向上によって、あなたが評価されたり給与がアップすることを伝えると、少し認識しようとなるでしょう。

    でも、仕事だけか?と疑問に思ってくれたら勝ちです!

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上
    3. あなたの人生

    まで提案すると、人生と業務、と長期的視野と、短期的視野の両面で自分の生きる意義が理解できます。自発的な行動が高まり、ISO,JISの「認識」もカバーできるでしょう。

    どうやって「認識」させるか?

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。

    「認識」の響かせ方は、

    1. トップマネジメントとミドルマネジメントが連携して本気さを伝えること
    2. 業務や生活に「認識」が有効であると分からせること
    3. 「認識」して自発的に行動すれば評価される環境を構築
    4. 時間と手間はかかるが諦めないこと

    ですね。
    契約だから、認識して仕事しないとクビとか厳しく縛っても、無意味です。自ら行動できるようにサポートしないと、相手は「認識」しません。

    子供に勉強させようと「認識」させるのと同じ。
    「ヤレっと」言ってもやらないでしょ!
    やらして、褒めて、自信つけさせて、徐々に自分で勉強するのと同じです。

    「認識」できる環境に必要な要素

    1. トップマネジメントの本気さ
    2. トップマネジメントとミドルマネジメントの良い関係性
    3. ミドルマネジメントが組織担当者へのエンパワーメント
    4. 認識できた結果を高評価すること

    ●トップマネジメント(経営陣)が本気でないと、誰もしませんよね。「隗より始めよ」です。

    ●トップマネジメントとミドルマネジメントの良い関係性が難しくて、誰もが納得いく人がトップマネジメントになれば、スムーズです。しかし、「なんであいつや上なん?」な人ならギクシャクするかもしれませんし、何かテコ入れが必要でしょう。

    ●ミドルマネジメントが組織担当者へのエンパワーメントですが、「何度も伝える事」、「少しでも担当者の意識が変わったら褒める!」につきます。人は褒めて伸びます!日頃の変化に着目しましょう。愛が必要ですね。「お前やっとけ!」な指示型だとダメ。

    ●認識できた結果を高評価することですが、業務表彰や、給与への反映などに対応すればよいでしょう。

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。
    最初は少しずつでよいから、継続することが重要です。

    ④認識がない組織はどうなるか?

    逆のパターンですね。当然、組織が悪くなり、腐っていきます。

    1. 業務の意義を理解せずに独断でやっている
    2. ばらばらに動く
    3. 業務が属人化して伝達されない
    4. 業務の質が落ちる結果、不正や隠ぺい・改ざんに走る

    ISO9001認証取得した有名企業で、よく品質不正で非難されますが、その原因の元は、「認識」が有効に機能していないことです。

    過剰なノルマ要求、顧客より社内政治を優先する環境だと、ISO9001 7.3を認証取得しても、実態は「認識」が有効に機能していないのです。

    「認識」が有効に機能するよう、組織全体で改革しなければなりません。

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。
    最初は少しずつでよいから、継続することが重要です。

    ここまで読めば、「認識」の重要さが「認識」できたはずです。

    まとめ

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②認識(Awareness)って何?
    • ③何を認識させ、どうやって認識させるか?
    • ④認識がない組織はどうなるか?

  • ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる(品質目標は期の途中でも変更OK!)

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる(品質目標は期の途中でも変更OK!)

    「品質目標って期の途中でも変更していいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる
    • ①ISO9001要求事項の解説
    • ②品質目標はいつでも変更OKです
    短い記事ですが、どうしても伝えておくべき内容なので解説します。
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    ①ISO9001要求事項の解説

    ISO9001要求事項

    6.3 変更の計画 組織が品質マネジメントシステムの変更の必要性を決定したとき,その変更は,計画的な方法で行わなければならない(4.4参照)。 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 変更の目的,及びそれによって起こり得る結果
    b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)
    c) 資源の利用可能性 d) 責任及び権限の割当て又は再割当て

    うーん、ちょっと難しいですね。

    かなり正当な理由が無いと、品質目標は変えてはダメ!っと受けてしまいますよね。

    ②品質目標はいつでも変更OKです

    結論

    品質目標はいつでも、期の途中でも変更OKです!
    品質目標を変更したら、履歴書いて、revision管理すればOKです。

    品質目標

    大したことない記事と思うかもしれませんが、

    品質目標は簡単に変えてはいけない!
    「品質目標を途中で変更してもいいですか?」と各部門の部課長からよく問い合わせがきます。
    変更してええよ!(笑)

    なぜ変えてはいけないと思い込んでいるのか?変更して最新の状態に維持しないと何がまずいか?を解説します。これが現状なんですよね。

    品質目標は途中で変えてはいけないと思っている人が多い

    おそらく、
    ●品質管理担当が、ネチネチうるさい人、煙たがられる人がいるとか
    ●経営陣側が「ころころ変えるな!」的な空気感があるとか
    ●単に組織内の手続きが面倒くさいとか
    とかで、「期の途中で更新はしない方がいい」と思うのかもしれません。

    品質目標は維持しなければならない文書です!
    (維持は最新版に更新すること、変更禁止の保持ではありません!)

    「途中で変更してはいけない品質目標」はかえって監査で悪評価とされる

    達成率が100%に行かない目標があり、監査で指摘されると、
    組織長:「期の途中で件数が変わったが、目標値は期初の値だったから、値が100%に行かない。」
    監査員:「期の途中で品質目標を更新して、目標値をあるべき値にしてください」
    として、改善の指摘を受けるハメになります。

    すると、監査員へ
    組織長:「期の途中で品質目標を更新していいんですか?」

    変更してええよ!(笑)

    ただし、履歴管理はしっかりやってください。

    品質目標

    品質目標は維持しなければならない文書です!
    (維持は最新版に更新すること、変更禁止の保持ではありません!)

    まとめ

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項の解説
    • ②品質目標はいつでも変更OKです

  • ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 がわかる

    ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 がわかる

    「品質目標って何を書けばいいの?」、「品質目標を書いて効果があるの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質目標の具体的な書き方
    • ③品質監査でチェックされるポイント

    品質目標って何?

    組織、部門、担当者が、各期にやるべきことを書いたものです。
    品質目標を達成すれば組織全体の品質が高まり、トップが示す品質方針につながります。
    みんな好き勝手やったら、あかんよ!というものです。
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
    6.2.1 組織は,品質マネジメントシステムに必要な,関連する機能,階層及びプロセスにおいて,品質目標を確立しなければならない。
    品質目標は,次の事項を満たさなければならない。
    a) 品質方針と整合している。
    b) 測定可能である。
    c) 適用される要求事項を考慮に入れる。
    d) 製品及びサービスの適合,並びに顧客満足の向上に関連している。
    e) 監視する。
    f) 伝達する。
    g) 必要に応じて,更新する。
    組織は,品質目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。
    6.2.2 組織は,品質目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定しなければならない。
    a) 実施事項
    b) 必要な資源
    c) 責任者
    d) 実施事項の完了時期
    e) 結果の評価方法

    うーん、ちょっと難しいですね。わかりやすく解説しますね。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 ISO9001 2015 5.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 より詳細な説明

    JIS Q9002に書いている重要なポイント

    いつもISOやJISは書いていることが難しいですが、おさえる重要なポイントもあります。

    重要なポイント

    ●品質目標は、

    1. 品質方針と整合すること
    2. 測定可能な指標で評価すること
    3. ちょっとしんどいけど頑張れば達成できるレベルを目標にすること
    4. 品質目標の達成に向けた進捗を監視すること
    5. 必要に応じて更新すること

    それぞれ解説します。

    ●品質方針と整合すること
    ⇒そりゃ、そうですよね。トップと違う内容を目標にしても意味がありません。

    ●測定可能な指標で評価すること
    ⇒必ず 「10件、100%」などの数字で評価します。状態を目標にすると評価基準があいまいになるからです。

    ●ちょっとしんどいけど頑張れば達成できるレベルを目標にすること
    ⇒簡単でも、無理な目標でもダメで、少し上のレベルにしましょう。

    ●品質目標の達成に向けた進捗を監視すること
    ⇒目標は半年、3カ月、毎月のどれかの間隔で、進捗フォローしましょう。やりっぱなしはだと、目標達成のために期末に成果が集中しがちで、組織内に品質の作りこみが浸透しません。

    ●必要に応じて更新すること
    ⇒期の途中で目標値を更新するのはOKです。ただし、正当な理由が必要です。しんどいからはダメです。

    なお、JIS Q9002には、品質目標に必要な要素を、SMARTに書いています。さすが!

    SMART

    単語 意味
    S Specific 具体的
    M Measurable 測定可能
    A Achievable 達成可能
    R Relevant 関連のある
    T Time-bound 期間が限定

    ②品質目標の具体的な書き方

    品質目標に必要な要素

    もう一度説明すると、品質目標は、

    1. 品質方針と整合すること
    2. 測定可能な指標で評価すること
    3. ちょっとしんどいけど頑張れば達成できるレベルを目標にすること
    4. 品質目標の達成に向けた進捗を監視すること
    5. 必要に応じて更新すること

    ですね。では、品質目標の書き方の順序を解説します。

    品質目標の書き方の順序

    1. 品質方針と整合した目標を作る
    2. 品質目標を達成するための具体的な施策を作ること
    3. 具体的な施策の達成基準を数字で作成すること
    4. ある一定期間ごとに品質目標の達成状況を監視すること
    5. 期末の結果を評価すること
    6. 次年度の目標を考えること

    1つずつ解説しながら、具体的な品質目標を作っていきましょう。

    品質方針と整合した目標を作る

    あなたの会社、組織のトップから今年度の品質方針を指示してきました。

    品質方針
    1 顧客満足
    2 法令遵守
    3 品質向上
    4 技術力向上

    ちょっと淡泊な内容です。実際はもう少し肉付けした文章ですが、まとめると上の4項目だったとしましょう。

    トップから、「品質目標を策定して」っと指示がきたら、どうやって品質目標を作るかを次に解説します。

    品質目標を達成するための具体的な施策を作ること

    何度も書きますが、

    1. 品質方針と整合した目標を作る
    2. 品質目標を達成するための具体的な施策を作ること

    品質方針と整合して、達成できる具体的な施策を考えていきます。1つの品質方針に対して、複数の目標とそれに応じた具体的施策を考えればよいでしょう。

    例えば、次のように作ったとしましょう。

    品質方針 品質目標
    1 顧客満足 顧客からの情報収集
    クレーム対策強化
    2 法令遵守 確実な法令遵守
    コンプライアンス意識向上
    3 品質向上 品質コスト削減
    品質マネジメントシステム向上
    4 技術力向上 人材育成強化
    技術標準の情報共有加速

    品質方針に対して、複数の目標を立てて、品質方針と整合しているかをチェックします。上の表から見ると大丈夫ですね。

    次に具体的な施策を追加します。

    品質方針 品質目標 施策
    1 顧客満足 顧客からの情報収集 顧客アンケート強化
    クレーム対策強化 クレーム分析と対策推進
    2 法令遵守 確実な法令遵守 諸官庁届出
    コンプライアンス意識向上 コンプライアンス教育
    3 品質向上 品質コスト削減 品質コスト低減強化
    品質マネジメントシステム向上 内部監査の確実な実施
    4 技術力向上 人材育成強化 資格取得強化
    技術標準の情報共有加速 社内標準規定作成

    品質方針、品質目標、施策の整合性と、施策が測定可能なものであることを確認します。

    具体的な施策の達成基準を数字で作成すること

    具体的な数値目標を入れてみましょう。ちょっとしんどいけど達成可能な値にしましょう。

    品質方針 品質目標 施策 評価基準P
    1 顧客満足 顧客からの
    情報収集
    顧客アンケート強化 アンケート回収率
    90%以上
    クレーム対策強化 クレーム分析と
    対策推進
    クレーム数
    5件/月以下
    2 法令遵守 確実な
    法令遵守
    諸官庁届出 実施率100%
    コンプライアンス
    意識向上
    コンプライアンス
    教育
    実施率100%
    3 品質向上 品質コスト
    削減
    品質コスト
    低減強化
    品質コスト
    3億円削減
    品質マネジメント
    システム向上
    内部監査の
    確実な実施
    実施率100%
    4 技術力
    向上
    人材育成
    強化
    資格取得
    強化
    年間資格
    取得10人
    技術標準の
    情報共有加速
    社内標準
    規定作成
    規定50件
    作成

    ある一定期間ごとに品質目標の達成状況を監視すること

    例えば、半年ごとに結果をまとめて、評価・監視しましょう。次のような結果が得られました。

    品質目標 施策 評価基準P 達成状況D
    上期 下期 年間
    1 顧客からの
    情報収集
    顧客アンケ
    ート強化
    アンケート
    回収率
    90%以上
    133%
    (60/45)
    78%
    (35/45)
    106%
    (95/90)
    クレーム
    対策強化
    クレーム
    分析と対策
    推進
    クレーム数
    5件/月以下
    4.5/5 6.5/5 5.5/5
    2 確実な
    法令遵守
    諸官庁
    届出
    実施率
    100%
    100%
    (80/80)
    100%
    (43/43)
    100%
    (123/123)
    コンプライ
    アンス
    意識向上
    コンプライ
    アンス
    教育
    実施率
    100%
    48%
    (96人/200人)
    120%
    (240人/200人)
    84%
    (336人/400人)
    3 品質コスト
    削減
    品質コスト
    低減強化
    品質コスト
    3億円削減
    2.6億/1.5億 1.4億/1.5億 4億/3億
    品質マネジメントシステム向上 内部監査の
    確実な実施
    実施率100%
    部門数
    100%
    (20/20)
    100%
    (20/20)
    4 人材育成強化 資格取得強化 年間資格
    取得10人
    5人/5人 6人/5人 11人/10人
    技術標準の
    情報共有加速
    社内標準
    規定作成
    規定50件
    作成
    6件/25件 28件/25件 34件/50件

    期末の結果を評価すること

    結果を評価します。
    ●100%以上なら⇒◎
    ●100%なら⇒〇
    ●100%未満なら⇒×

    品質目標 施策 評価基準P 達成状況D 評価C
    上期 下期 年間
    1 顧客からの
    情報収集
    顧客アンケ
    ート強化
    アンケート
    回収率
    90%以上
    133%
    (60/45)
    78%
    (35/45)
    106%
    (95/90)
    クレーム
    対策強化
    クレーム
    分析と対策
    推進
    クレーム数
    5件/月以下
    4.5/5 6.5/5 5.5/5 ×
    2 確実な
    法令遵守
    諸官庁
    届出
    実施率
    100%
    100%
    (80/80)
    100%
    (43/43)
    100%
    (123/123)
    コンプライ
    アンス
    意識向上
    コンプライ
    アンス
    教育
    実施率
    100%
    48%
    (96人/200人)
    120%
    (240人/200人)
    84%
    (336人/400人)
    ×
    3 品質コスト
    削減
    品質コスト
    低減強化
    品質コスト
    3億円削減
    2.6億/1.5億 1.4億/1.5億 4億/3億 ×
    品質マネジメントシステム向上 内部監査の
    確実な実施
    実施率100%
    部門数
    100%
    (20/20)
    100%
    (20/20)
    4 人材育成強化 資格取得強化 年間資格
    取得10人
    5人/5人 6人/5人 11人/10人
    技術標準の
    情報共有加速
    社内標準
    規定作成
    規定50件
    作成
    6件/25件 28件/25件 34件/50件 ×

    次年度の目標を考えること

    1年間の実績を評価して次年度の目標を考えます。

    1. 目標を継続するか?中止するか?完了するか?
    2. 目標値を更新するか?継続するか?

    大事なのは、

    1. 組織を取り巻く内部・外部の環境や課題の変化に対して、目標内容を考えること。
    2. 少しずつ目標値を変える(継続的改善)こと

    一通り、品質目標の作り方を解説しました。

    ③品質監査でチェックされるポイント

    品質マネジメントシステムが成熟した組織を品質監査する場合、品質マネジメントシステムの上流である品質目標を一番重視して監査します。

    品質目標

    先ほどの結果を図にします。

    品質目標

    よくまとまった品質目標ですね。項目、施策、数値、PDCAの評価が1枚の紙ですべて情報が網羅されています。

    組織・部門の経営・品質状況は品質目標1枚をみればすぐわかるようになっていることが重要です。

    なので、監査の重要なポイントとして、しっかり質疑されます。

    表を埋めるのではなく、自分の組織の経営・品質戦略をよく考えて落とし込んでください。

    次に、品質目標のどこが監査されるかを解説します。

    品質目標で監査されるポイント

    下図の赤枠に質疑例を書きました。いっぱい突っ込まれるのが分かります。

    ここで、監査の半分弱の時間が費やされます。ここで抽出した課題や監査で疑問に思ったことを理解して、個別の要求事項を監査していくからです。

    品質目標

    ポイントは、

    1. 施策・評価基準の内容や数字は品質目標や品質方針と整合しているか?
    2. 目標は達成か?未達か?そして、その理由は?
    3. 期毎の数値にムラやばらつきがあれば、その理由は?あわてて達成させようとしていないか?
    4. 前年度から大きく実績値が変化したら、それはなぜか?
    5. 次年度をとりまく組織の内部・外部の環境や課題に整合した目標になっているか?
    6. 次年度への目標変更はするか、しないか、その理由は?

    ネチネチ聞かれますが、その質疑の中で、
    ●品質マネジメントシステムが機能しているか?
    ●責任者が説明責任を果たしているか(自分の言葉で説明できるか)
    ●組織に必要なリソース・要素が十分あるか?機能しているか?
    を確認していきます。

    品質目標は奥が深いので、よく自分の組織のことを考えて内容を埋めていってください。

    ここまで、読んで理解できたら、品質のかなりのプロのレベルになっています。

    まとめ

    ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質目標の具体的な書き方
    • ③品質監査でチェックされるポイント

  • ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限 がわかる

    ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限 がわかる

    「組織の役割,責任及び権限って何を注意したらいいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②責任及び権限の注意点
    • ③組織体制表に必要な要素
    • ④責任と権限が機能しない場合あるある
    • ⑤組織が機能しないと品質不正につながる
    組織体制表を書けばいいんでしょう!
    と一言で終わりそうですが、意識すべきポイントを解説します。
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    5.3 組織の役割,責任及び権限
    トップマネジメントは,関連する役割に対して,責任及び権限が割り当てられ,組織内に伝達され,理解されることを確実にしなければならない。 トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムが,この規格の要求事項に適合することを確実にする。
    b) プロセスが,意図したアウトプットを生み出すことを確実にする。
    c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善(10.1参照)の機会を特にトップマネジメントに報告する。
    d) 組織全体にわたって,顧客重視を促進することを確実にする。
    e) 品質マネジメントシステムへの変更を計画し,実施する場合には,品質マネジメントシステムを“完全に整っている状態”(integrity)に維持することを確実にする。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    5.3 組織の役割,責任及び権限 ISO9001 2015 5.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    5.3 組織の役割,責任及び権限 より詳細な説明

    ●責任と権限で注意すべきポイント
    ●組織体制表に入れるべき項目
    ●組織が機能しないとどうなるのか?
    を解説します。

    ②責任及び権限の注意点

    責任及び権限

    責任と権限は相反する言葉ですね。

    ●責任⇒しなければならない、責任をとる、気が重い
    ●権限⇒自由にやっていい、気が楽

    責任は、「やらないといけない」ので、指示された業務はきちっとやればいいですね。ちゃんとやらないのは「無責任」ですから。

    一方、権限は自由が利く範囲ですが、自由も責任が伴います。

    責任が伴うのが「自由」
    無責任でやるのは「勝手」
    「自由」と「勝手」は大違い

    当然、権限があるとはいい、責任が伴います。

    責任と言われると気が重いし、プレッシャーですが、1つずつ仕事をこなして相手が求めるレベルのアウトプットを出し続けて、評価されて、信頼されるように頑張ればよいです。

    相手の領域へ超えないよう注意

    人的リソースが足りない所は無関係ですが、よくスタッフ部門(管理部門)はオーバーリソースになりがちで、人事異動がほとんどありません。

    こういう場合は、相手の領域へ超えないよう注意しましょう。

    明らかに不要な仕事をやっている人がいて、その仕事を最適化したらよいと思うのですが、そういう越権行為は組織にとって逆にマイナスな場合もあります。触れてはいけない部分がありますが、上司に相談して組織のあるべき体制を考えてもらえばよいです。

    ③組織体制表に必要な要素

    よく品質監査で確認されるのが、「組織体制表」です。

    改善が必要な組織体制表の例

    下図に具体的な組織図を示します。誰がいて、何を担当するか明確に書いているので、一見問題なさそうですが、品質監査で提出するといっぱい改善要求されますけど、どこに不備があるかわかりますか?

    責任及び権限

    組織体制表に必要な要素を事例で確認

    品質監査の場合、次の質疑をして、改善の指摘に進めていきます。

    1. 「A部長が不在の場合、誰が部長代行をするのですか?」
    2. 「1課のJさんの担当業務と責任・権限は何ですか?」
    3. 「この部のISO9001認証範囲はどこで、何人が対象ですか?」
    4. 「この部の人的リソースにおける課題は何ですか?」

    どれも、

    組織体制表から読み取れない。
    誰が何をやっているのか、読み取れない。
    人的リソースの過不足、力量向上、課題が読み取れない。
    ただ、人が部にいることだけがわかる。

    なので、

    1. 部を運営するキーパーソンの代行役を明記
    2. 各人の責任及び役割を明記
    3. ISO9001認証範囲を明記
    4. それぞれの責任及び役割すれば強みも課題も読み取れる

    組織体制図を改善した結果の図を示します。はっきりわかるようになりましたね。

    責任及び権限

    組織体制表は
    その部の責任及び権限、役割は何か?
    それを達成すべき人的リソースはどれくらいあって
    発展のために何が必要か?
    か語れる状態にしておくことが重要です。

    組織体制表作った。だから、何なの? とならないように注意しましょう。

    ④責任と権限が機能しない場合あるある

    では、あえて考えましょう! 「責任と権限が機能しないヤバい組織ってどんなん?」イメージできますか?

    1. ワンマン、独裁
    2. できない上司、できる部下
    3. できたばかりの組織、臨時のプロジェクトチーム
    4. 裏ルールがいっぱいあるネチネチしている職場

    あるあるですね。1つずつ解説します。

    ワンマン、独裁

    ●いわゆる「鶴の一声」ですよね。突然、上司を入れ替えたり、部下の案を受領したりすると、組織はめちゃくちゃになりますよね。独裁者の御機嫌取りする奴が上に上がったりして、責任も何もありません。

    こういう組織は大体、大きな事件や事故を起こして自滅します。まだ、こういう会社多いですよね。

    できない上司、できる部下

    ●能力がないのに管理職だったり、専門外からポストが空いているから異動させられた上司

    その分野のプロで誰より詳しい担当者(部下)
    の場合。

    権限が上司になっても、部下はシカトするし、上司を無視して勝手に承認とったりします。専門外から来たり、経験年数が浅い上司は慣れるまでが結構大変です。でも部下から見て「給料高いから当たり前だろ!」と言われたり、怒るとパワハラって言われるし。

    組織長、管理職が着任したばかりの組織は、責任と権限のバランスがくずれるので要注意です。

    できたばかりの組織、臨時のプロジェクトチーム

    社内から集められた人で構成するプロジェクトチームなどは、
    最初は意見や価値観の違いから衝突がよく起こります。

    共有すべき高い目標に向かって、衝突を無くしつつ、そこで評価された人をリーダにして、組織内のメンバーが納得のいく関係性を作れば、責任と権限は機能します。

    裏ルールがいっぱいあるネチネチしている職場

    臭そうな職場ですが、管理部門系にありありです。

    ●共通で目指す目標がなかったり、力量のない人の集まり、クビにもできないし、何年も異動がなく、互いに仲が悪い。職場の同僚がどんな仕事しているか興味がない。顧客などの外部に共通の敵がないため、圧力が内側にかかる。仲のいい人どおしで決めごとが勝手に進んでいくとか。
    ●役職者と担当者で責任と権限が異なるが、実は30年来の同僚の関係で、会話すると性格の違いから、役職者より担当者が偉そうにしている。

    ヤダヤダ! うちの職場やん! ってマジなんですけど。

    ●外からは見えにくいですが、ありありな話です。責任と権限は機能しないか、機能しても内部からガタガタ文句を言われる環境にあります。って、ちゃんと仕事している側からして、マジで邪魔や奴が多い。

    ⑤組織が機能しないと品質不正につながる

    組織は体制を作れば終わりではありません。有機的に機能させることが重要です。

    組織がダメになると、品質不正の温床につながります。

    品質不正の報告書を読むと、ほとんどが、組織が機能していないことが原因になっています。

    1. 部下の不正に気が付かない、管理しない管理職
    2. 自分の不正やミスに気が付かない、報告しない担当者
    3. 顧客より社内政治を第1に考える部課長

    組織を有機的に機能させるために、組織運営の目的を考え、顧客満足、社会的責任、継続的な成長につなげるように組織メンバーに働きかけることが重要です。

    言うのは簡単ですが、組織に属する1人1人の自覚が重要で、「責任及び権限」を上手に使う必要があります。

    まとめ

    ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②責任及び権限の注意点
    • ③組織体制表に必要な要素
    • ④責任と権限が機能しない場合あるある
    • ⑤組織が機能しないと品質不正につながる

  • ISO9001 2015 5.2 方針 がわかる

    ISO9001 2015 5.2 方針 がわかる

    「方針って何を書けばいいの?」、「方針書いて効果があるの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 5.2 方針 がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②方針(品質方針)とは?
    • ③いろいろな会社の経営理念
    • ④経営理念がなぜ必要なのか?
    • ⑤品質方針の例
    • ⑥品質方針の書き方と組織への効果
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    5.2 方針
    5.2.1 品質方針の確立
    トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し,実施し,維持しなければならない。
    a) 組織の目的及び状況に対して適切であり,組織の戦略的な方向性を支援する。
    b) 品質目標の設定のための枠組みを与える。
    c) 適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
    d) 品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。
    5.2.2 品質方針の伝達 品質方針は,次に示す事項を満たさなければならない。
    a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ,維持される。
    b) 組織内に伝達され,理解され,適用される。
    c) 必要に応じて,密接に関連する利害関係者が入手可能である。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    5.2 方針 ISO9001 2015 5.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    5.2 方針 より詳細な説明
    JIS Q9004 JIS Q9004 品質マネジメント
    -組織の品質-持続的成功を
    達成するための指針
    7.2 方針および戦略 戦略についても解説

    ●品質方針のあるべき理想は書いてあるが、
    具体的に何を書けばよいかがわからない!
    品質方針を書いたら本当に効果があるのか?
    品質方針の内容とその効用を理解する必要があります。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    1. 品質方針って何?
    2. 品質方針ってどんな内容?
    3. 品質方針の書き方って?
    4. 品質方針の効果って?

    1つずつ見ていきましょう。

    ②方針(品質方針)とは?

    簡単に言うと、

    要するに、「組織を目標へ向かわせるためにトップの思いを書いたもの」

    トップの思い

    ダメな例と、良い例を書きます。

    ●ダメな例1
     

    ・気合!
    ・根性!
    ・度胸!
    ・不屈の精神
    ・欲しがりません、勝つまでは!

    根拠のない精神論では、組織が嫌がるし、何をしたらいいかわかりません。。。

    ●ダメな例2

    ・売上5倍
    ・コスト半減
    ・品質向上
    ・絶対達成!

    さっきより、かなりましになりました。目標(ノルマ)が数字で書いているので明確ですが、組織は具体的に何をしたらいいかまだわかりませんよね。。。

    あいまいで、厳しい目標を掲げると、組織は逃げるか、手段を択ばずに達成しようとし、組織全体が荒廃するので要注意です。

    ●良いな例
     

    組織が目指す目標に必要な要素で
    収益向上、事業発展が目標とした場合は、
    ・売上向上につながるもの(例:顧客満足向上)
    ・事業活動停止のリスクを回避するもの(例:安全、環境、品質、法令遵守)
    ・成長につながるもの(挑戦)
    ・コスト削減につながるもの(業務効率改善、組織活動向上)
    ・・・

    まとめると、

    1. 人間味が感じ取れるもの
    2. 対外、対内どちらからも共感が得られるもの
    3. 組織が何をしたら目標達成できるかがわかるもの

    の要素が品質方針には必要です。多くの人を動かす共通の思いとなるのが品質方針です。

    ③いろいろな会社の経営理念

    ISO9001 品質方針が最上位ですが、
    品質方針のもととなるのは、
    各社・組織の理念です。
    理念によって組織の個性があり、
    品質活動があります。
    いきなり品質方針を学ぼうとせず、
    対象とする組織の理念を調べることを
    最初にやってください。

    いろいろな会社の経営理念

    会社のカラーがはっきりするのが経営理念

    ●せっかくなので、何社か経営理念を見てみましょう。

    Panasonic

    産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り
    世界文化の進展に寄与せんことを期す。

    (https://recruit.jpn.panasonic.com/philosophy/ より引用)

    有名な松下幸之助の理念が継承されており、会社というより、産業界、世界レベルの理念になっていますね。

    イオン

    お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。

    (https://www.aeon.info/company/concept/ より引用)

    イオンもPanasonicと同様に、社会貢献、平和など利益追求より、社会、世界のための理念となっています。

    メルカリ

    新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る

    (https://visionguide.jp/corp/mercari/ より引用)

    ここ10年で急成長した企業です。Panasonicやイオンのように「相手、地域のため」よりは、「これから自分たちが広げていく可能性」を書いています。

    イグニス

    世界にインパクトを与えなければ、気がすまない

    (https://1923.co.jp/about-us/missionより引用)

    ベンチャー企業になると、上の3社より、「尖り」が出て来ます。

    ●経営理念を見ると、

    1. 自分たちのカラーを出す
    2. 利益第一主義ではないこと
    3. 読み手にインパクト、共感を得やすいこと

    などがわかります。

    ④経営理念がなぜ必要なのか?

    ちょこっと書いた文章にすぎないのに、どうして、これが会社・組織の最上位概念なのか?

    立場によって、それぞれ経営理念の大切さがあります。

    経営者にとっての経営理念

    過った方向に進まないため

    ●確かに、利益追求が経営者には厳しく求められます。だからといって、安全・環境・品質より利益を第一に優先すると、大きな事故・事件に遭遇し、事業継続ができなくなる恐れもあります。

    ●経営者は日々の経営と、中長期な成長計画を立てますが、その内容が自社の経営理念と整合しているか?を必ずチェックしています。

    利益の追求は、長期的に見て、何のためにあるのか?

    ●短期的な利益に走らず、中長期的でかつ、高い視座から企業の価値を考えるために、経営理念が必要です。

    企業・組織の存在意義を示したのが経営理念

    従業員にとっての経営理念

    一方、従業員にとっても経営理念は大事です。

    経営理念なんて、ちょこっと書いた文章で、誰が読んでも正しいと言える内容しか書いてないから、どうでもいい!

    という声が、聞こえてきます。

    ただ、従業員も日々悩みながら業務に取り組んでいるのも事実です。

    1. どうしてこの会社に入ったんだっけ?
    2. しんどい、困った時どうしたらいいの?
    3. 何のために働いているんだっけ?
    4. 組織のみんなとどうかかわればいいの?
    5. 不正やヤバい情報聞いた、ていうかやってしまいそう。。。どうしようか?

    ●業務を長年やっていると、上の5つの困った状況に遭遇します。

    ●確かに、あなたの倫理観、正義感と戦うでしょうけど、一旦経営理念に戻りましょう。

    何のために、この会社、組織に属して毎日仕事しているのか?を見直せるのが経営理念です。

    ●会社・組織に入るときは、経営理念なんて見ませんが、属していると、何となく経営理念に合う生活になっているはずです。その価値観とあなたが整合しているか?を確認しましょう。

    ●社会のために働きたいなら、「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」会社に行っても合わないでしょうし、
    自分の限界に挑戦したいなら、「平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」会社に行っても合わないでしょう。

    あなたが勤める会社の経営理念を読んでみましょう。

    利害関係者にとっての経営理念

    ●取引先、エンドユーザー、地域住民にとって、直接的・間接的に関わる会社がどんな会社なのか?気になりますよね。最初に経営理念を確認します。

    自社の利益しか考えていない理念なら、そんな企業が地域に来ても困りますよね。

    外からでは、対象とする組織・会社ははっきり見えないため、経営理念などを確認して、仲間として扱ってよいかをチェックします。

    組織にいる人たちの価値観を抽象化した経営理念。
    その理念が利害関係者・地域・社会と整合しているかを周囲からチェックされています。

    ⑤品質方針の例

    具体的な例を見る

    3社ほど見てみましょう。3社の品質方針を引用させていただきます。

    サントリー(製造業)の場合

    品質方針

    トーケン(建設業)の場合

    品質方針

    ユーエスエス(システム開発)の場合

    品質方針

    いろいろな企業の品質方針を見比べると、それぞれの個性がありますね。正解は1つではなく、各企業の強み、思いが入っているのです。

    共通して書いていること

    3社を例に挙げましたが、共通項を見ましょう。

    1. 顧客ニーズ対応、企業のCSR(社会的責任)が第1に来ていること
    2. 目標への追究(改善、工場、啓発、教育)
    3. 組織の1人1人が行動すること

    この3要素があれば、確かにそうだなあ、頑張ろう!と自発的に行動しようという気持ちになりますね。

    では、どうやって品質方針を書けばよいかを考えましょう。品質のコンサルタントに発注して書かせるより、経営者の思いを自分の言葉で書いて欲しいですよね。

    ⑥品質方針の書き方と組織への効果

    品質方針の書き方

    品質方針の目的をおさえること!

    品質方針の目的は、

    1. 人間味が感じ取れるもの
    2. 対外、対内どちらからも共感が得られるもの
    3. 組織が何をしたら目標達成できるかがわかるもの

    ですね。

    トップが本気で品質を作りこみ、事業を継続・発展していく思い・理念を方針に詰め込みましょう。

    ●人間味が感じ取れるもの
    ⇒責任をもって、日々努力して取り組む姿勢
    ⇒顧客1人1人、従業員1人1人を大切にする思い

    ●対外、対内どちらからも共感が得られるもの
    ⇒顧客ニーズへの対応
    ⇒法令遵守、品質・安全・環境への取り組み
    ⇒コロナ感染防止徹底(ご時世を反映)

    ●組織が何をしたら目標達成できるかがわかるもの
    ⇒業務改善、生産性向上
    ⇒新技術への挑戦、従業員への教育・自己啓発

    などを品質方針に入れるとよいでしょう。

    組織への効果

    ここで、疑問がわきませんか?

    品質方針を書いたら、本当に組織が品質を作りこむ活動をするのか?
    品質目標を書いても、「絵に描いた餅」で終わってしまわないか?

    品質方針を書きっぱなしなら無意味です。

    品質方針って誰も知らないのが現状

    品質方針を書いた経営者、社長を知らない社員が結構多く、
    「品質方針? 何それ? 知らない!」
    となりがちです。

    なので、組織が品質を作りこむ仕組み(品質マネジメントシステム)を回す必要があります。

    品質マネジメントシステムが機能していないと、
    誰も、品質方針を守らない

    皆さんの職場に品質方針が掲げているはずですが、どこにあるかご存じですか?
    私も、品質管理担当になるまでは職場の自席の1m先の柱に品質方針が掲げられていたことすら気が付きませんでした。

    職場に数十枚の品質方針を柱や会議室に掲載しても誰も気が付かない。

    そんなもんです。品質方針の紙にアイドルの写真とか、ちょっと目が行くような写真も付けておいた方が目立つかもしれません。

    品質方針を機能させるために

    組織の品質マネジメントシステムに落とし込む必要があります。

    ●具体的には、次の流れを組織に機能させる必要があります。実際、組織に動機付けするのが品質管理部門の役割です。

    1. 品質方針から品質目標(組織全体、各部課単位)に落とし込む
    2. 各部課単位の品質目標をもとに事業活動する
    3. 各部課単位の品質目標の結果をトップへ報告し、次期へつなぐ

    最後にあなたへの質問

    品質方針について、詳細に解説しました。最後にあなたへの質問があります。

    あなたがトップになったら、どんな品質方針を書きますか?

    自分の思いを書いてください。
    他社の真似とか、無難路線ではなく。

    まとめ

    ISO9001 2015 5.2 方針をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②方針(品質方針)とは?
    • ③いろいろな会社の経営理念
    • ④経営理念がなぜ必要なのか?
    • ⑤品質方針の例
    • ⑥品質方針の書き方と組織への効果

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