投稿者: QCプラネッツ

  • ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメント がわかる

    ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメント がわかる

    「リーダーシップって何?」、「コミットメントって何?」、「何をやればいいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメント がわかる

    ここでは、いくつか用語の概念を理解する必要があります。1つずつ解説していきます。

    ●トップマネジメントって何?誰?
    ●品質マネジメントシステムのリーダーシップって何をすればいいの?
    ●コミットメントって何?
    ●トップマネジメントのコミットメントって何?

    さらっと、簡単に説明できますか?
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②トップマネジメント
    • ③リーダーシップ
    • ④リーダーシップは誰でも身につく
    • ⑤エンパワーメントして巻き込む
    • ⑥コミットメント
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    5.1 リーダーシップ及びコミットメント
    5.1.1 一般 トップマネジメントは,次に示す事項によって,品質マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムの有効性に説明責任(accountability)を負う。
    b) 品質マネジメントシステムに関する品質方針及び品質目標を確立し,それらが組織の状況及び戦略的な方向性と両立することを確実にする。
    c) 組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。
    d) プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。
    e) 品質マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。
    f) 有効な品質マネジメント及び品質マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。
    g) 品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成することを確実にする。
    h) 品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ,指揮し,支援する。
    i) 改善を促進する。
    j) その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を支援する。
    注記 この規格で“事業”という場合,それは,組織が公的か私的か,営利か非営利かを問わず,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。
    5.1.2 顧客重視 トップマネジメントは,次の事項を確実にすることによって,顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
    a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確にし,理解し,一貫してそれを満たしている。
    b) 製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る,リスク及び機会を決定し,取り組んでいる。
    c) 顧客満足向上の重視が維持されている。

    長いですね。いっぱい要求事項があって、頭の中が整理できないですね。

    5.1 リーダーシップ及びコミットメントで、理解しにくい用語がいくつかあります。

    1. トップマネジメントって何?誰?
    2. 品質マネジメントシステムのリーダーシップって何をすればいいの?
    3. コミットメントって何?
    4. トップマネジメントのコミットメントって何?

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    5.1 リーダーシップ及びコミットメント ISO9001 2015 5.1
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    5.1 リーダーシップ及びコミットメント 具体的な場面を説明がたくさん解説している。
    JIS Q9004 JIS Q9004 品質マネジメント
    -組織の品質-持続的成功を
    達成するための指針
    7 リーダーシップ JIS Q9001 5.1の補足

    ●品質マネジメントシステムはまず、全体像を自分で説明できることが重要です。
    ●品質マネジメントシステム全体像は、他人のものでなくてもいいし、
    常に最新の考えに更新してもOKです。
    ●常にあるべき姿を考えることが重要です。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②トップマネジメント

    トップマネジメントは誰か?

    これは2つ答えがあります。

    1. 基本的には経営者、経営陣、トップ責任者
    2. ローカルには部門長

    基本的には、経営者、経営陣、トップ責任者がトップマネジメントに該当します。トップの責任者ですね。

    社長がトップマネジメントになります。大きな会社ですと、経営陣として、部長より上の役職をすべてトップマネジメントと呼んだりします。

    なお、品質監査で、個別の部門を調べるときに、ローカルな意味で、そこの部門長(部長)をトップ責任者としてトップマネジメントとして扱う場合もあります。

    品質マネジメントシステムを見る場合、
    対象となる領域の中でトップに該当する人を
    トップマネジメントとします。

    トップマネジメントとは何をすればよいのか?

    経営者や部門長がやるべき仕事をすればよいですが、品質マネジメントシステムにおける仕事とは何か?を考えます。

    トップがやるべきことは、

    1. 対外は利害関係者への説明責任
    2. 対内へ品質方針・品質目標を確立
    3. 対内は品質をとりかかるための仕組み、ルールの整備

    利害関係者への説明責任

    ●利害関係者への説明責任は、経営者が常に求められる説明責任そのものです。品質マネジメントシステムやISO9001と関係なく、会計、安全などの観点からも説明責任が求められます。

    品質方針・品質目標を確立

    品質マネジメントシステム、ISO9001は
    トップマネジメントの指示からスタートして、
    期末の結果のトップマネジメントへの報告で終わる

    品質マネジメントシステムは、品質管理部門や担当が勝手にやっているのではありません。必ず、
    ①経営陣であるトップマネジメントの指示を受けてから期初がスタートし、
    ②結果報告を期末にして、次年度の指示を受けます。

    期初の指示として、品質方針、品質目標を掲げて、各部門に指示します。品質方針は数行の内容なので、トップマネジメントが作成し、細かい内容が書かれた品質目標は品質管理部門が代行することがあります。

    また、期末に、品質活動の結果をトップマネジメントへ報告し、次期への活動指示を受けるための、マネジメントレビューなどの会議が開催されます。

    ③リーダーシップ

    リーダーシップとは何か?

    「リーダー」、「リーダーシップ」などよくビジネスに活用されますね。

    「リーダーシップ」とは何か?簡単に説明できますか?

    と聞かれると、「うーん」と困りませんか?

    品質マネジメントシステムやISO9001には、リーダーシップをわかりやすく解説したものがありません。ISOコンサルタントなどが書いた本には書いていますが、それも難しいです。

    なので、簡単に解説します。

    ISO9001のリーダーシップは経営学や組織論に書いているリーダーシップと同じです。

    リーダーシップとは、

    1. メンバーを目標に向かうよう努力すること
    2. ビジョンを提示し、メンバーと共有する
    3. 意見、考えが異なるメンバーに動機づけする
    4. 前向きな姿勢や相手を理解する

    などがあります。要するに、

    みんなをリードするマインドがリーダーシップ

    役職や担当範囲に関係なく、各自が持ってほしいマインドです。

    品質マネジメントシステムのリーダーシップは何をすればよいのか?

    品質活動を社内や組織内で活発にするように導くこと

    社内や組織内で、品質マネジメントシステムがあるとか、ISO9001 認証だからといって、品質目標、品質活動、品質に関する会議、品質監査などを自ら進んで実行する人はほとんどいません。

    なぜなら、面倒だし、品質管理の概念が難しいし、「あれこれやれ!」と言われてうっとうしいからです。

    品質管理は、ダイエットや成績を上げる勉強などのような、苦しいものです。
    それを導くリーダシップがないと誰もやりませんね。

    ●品質マネジメントシステムのリーダーシップの具体的な活動は

    1. 品質活動を各部門へ指示しつつ、活動のポイントをわかりやすく解説
    2. 各部門からの質問、悩みごとを親身になって聞き、提言する
    3. 良い報告もそうでない報告も感謝し、一緒に解決する姿勢で取り組む
    4. 品質活動の良い点を褒めて、改善すべきポイントがあれば取り掛かりやすくするよう工夫して伝える
    5. 品質活動する部門と敵対しないこと
    6. 相手を思いやる心と客観的かつ冷静な目で見る

    などがあります。

    品質活動を社内や組織内で活発にするように導くこと

    強制的なやらされ感ではなく、
    自発的に取り組みやすくなるようエンパワーメントすることが大事です。

    この優しいマインド(易しいではないのがポイント)!で接するには
    自分がトラブルや品質改善に出くわしたらどんなに大変か!という気持ちをもって相手に接する事です。

    私がよくやる手は、
    「お疲れ様です。」
    「(相手の状況を傾聴して)大変だったですね!」
    と同調しつつ、冷静に分析する。
    「○○○○などの案はいかがでしょうか?」
    と決めつけせず、相手に選ばせる手段をいくつか提言する。
    よく、手段を質問されることが多いので、手段より達成したい目的を明確にして共有します。

    品質活動を社内や組織内で活発にするように導くこと

    品質管理担当ですが、相手を目標に導くマインド、行動も立派な
    リーダシップです。

    ④リーダーシップは誰でも身につく

    リーダーシップは天性的と思われがち

    ●子供の頃とかを思い出すと、クラスのリーダー的な人って決まっていたし、自分には縁遠い話と思われがちです。

    ちょっと昔の昭和なドラマなど見ると、「みんな、俺について来い!」的なかっこいいヒーローが1人いるのがリーダシップのイメージです。

    その割に、自分の会社には、「冴えない上司ばかり。なんでコイツが自分の上司なの?」が現実です。

    リーダーシップは天性的で、性格・キャラで決まるような環境で育ったので、ピントと来ません。
    ですが、目立たなかったあなたも本来、リーダーシップを兼ね備えています。そのリーダーシップを発揮して組織・社会に良い効果をもたらせることができます。

    行動理論でリーダーシップは誰でも習得できる

    ●経営学、組織論では、「リーダーシップは後天的に鍛え上げれば伸ばせるもの」としています。

    ●天性的なものではなくても、次のスキルがあれば、少しずつですが、あなたらしいリーダーシップが身に付きます。

    1. 自分を取り巻く環境を理解
    2. 相手を思いやる配慮
    3. 目標に向かって周囲と一緒に走る情熱
    4. 知性、経験

    ●業務で得た、知識・スキル・経験などを駆使すれば、行動理論で挙げているリーダーシップを習得することができます。上の4つはどれも、先天性ではなく、後発性なものばかりです。

    「みんな、俺について来い!」ではなく、
    目標(ゴール)を達成する道筋を示し、周囲をエンパワーメントするのがリーダーシップ

    リーダーシップを取る前に理解しておくこと

    ●組織が向かうべき方向を理解することです。組織が向かうべき方向を考える上で大事なのが、

    1. 組織をとりまく環境分析
    2. 組織に必要な施策

    経営分析としてマーケティングのフレームワーク主に駆使しながら、組織の課題、施策を考えていきます。

    面白いことに、経営分析内容とISO9001 2015の要求事項がそれぞれ対応関係になっています。

    ⑤エンパワーメントして巻き込む

    エンパワーメントリーダシップのやり方

    ●難しそうに見えますが、簡単です。コツは1つだけ

    相手がやりたくなる方向を示せばよい!

    部下、周囲の人も自分にとっての大事な顧客と思えば、相手が満足するように仕向けたら勝ちです!

    一歩引いて、みんなが主役として自発的に成果を出すように仕向けるのが、エンパワーメントリーダシップ!

    エンパワーメントリーダシップのステップ

    5つあります。

    1. 目標・ビジョンの共有
    2. 相手を把握
    3. 適切な業務の割り振り
    4. コーチング・動機付け
    5. 支援

    どのステップも、「命令」、「指示」のニュアンスがありませんね。

    (i)目標・ビジョンの共有

    ●組織の方向性と、相手・部下の方向性をそろえることが大事です。あまりに合わない場合は異動など、環境を変える必要があります。

    方向性を確認することで、互いの納得感を増すことができるし、逆に部下・周囲からの提案ももらうことができる。

    組織は上下関係と言いますが、上の人からすると、下から提案が欲しいというのも現実です。良い提案がいつでも出る環境を作る事が大事です。

    (ii)相手を把握

    ●伝える相手を理解することが大事です。
    ・能力、スキル、経験、適性
    ・家族、健康面などのケア
    ・相手が求めていること

    相手がわかっていると、相手も納得して話を聞いてくれます。話を聞いてくれない、一方的な人がリーダーになると、誰も相手にしません。
    「お前に言っても無駄だろ!」と期待値0なリーダではNGです。

    (iii)適切な業務の割り振り

    ●なかなか適切な業務を質・量で割り振るのは、難しいですが、常に対話して相談を受けながら進めていくことですね。

    業務量が多い、難しい仕事でも、相談を常に乗るだけでも、上手にエンパワーメントできています。

    (iv)コーチング・動機付け

    ●コーチングといっても、「命令・指示」ではありません。アドバイスを求められますが、あくまで自分で考えさせて振り返ってもらうように質問を工夫して、傾聴することです。

    自発的に動けるまでが非常に時間と手間がかかりますが、ここを乗り切れば、自然と
    みんなが自発的に目標に向かって進んでくれます。それを見守ればよいのです。

    (v)支援

    ●支援、援助も時には必要です。やり方がわからなければ指導すればよいですが、本人に考えさせて、失敗してもいいから、自分でやらせることです

    エンパワーメントリーダシップは子育てと同じ。
    ・命令・指示で育った子供は、ストレスが多く、指示待ち型になる
    ・エンパワーメントで育った子供は、ストレスが少なく、自分から行動する

    家も組織も同じですね。

    ⑤コミットメント

    コミットメントとは何か

    あまり使わない言葉なので、理解が難しいです。英語を直訳すると「約束する」です。

    品質マネジメントシステムやISO9001のコミットメントはもう少し、気合いが入った意味で使われています。

    コミットメントとは、絶対やり遂げる!と覚悟をもって取り組むこと

    とりあえず、やってみます。途中で辞めることもあります!は絶対NGです。

    トップマネジメントのコミットメントとは何か

    トップがコミットメントすることは重要です。

    トップマネジメントのコミットメントとは

    トップ自ら、品質マネジメントシステムを絶対やり遂げる!と覚悟をもって取り組むことです。
    できないならクビ!くらい、クビをかけてガチでやると覚悟をもってやるということです。

    トップがクビをかけて活動する意味であるくらい、重要です。その理由を説明します。

    トップマネジメントのコミットメントする意義

    トップがこんな考えだったら、部下はついてきますか?

    品質は最後の砦で、重要だ。
    あとは、お前らでやっとけ!
    俺の出世に傷がつかないようにちゃんとやれよ!

    こんなトップじゃ、「お前がやれよ!」ってみんな心底思いますよね。実は、こんなトップは2000年ごろまで、そこら中にうじゃうじゃいました。

    品質不正がばれて、優良企業でもつぶれる怖さがわかったご時世から、徐々にトップが覚悟をもって品質活動を指示する風潮になってきました。

    トップが覚悟をもって、取り組まなければ、
    組織、担当者はついてこない。
    理念の言葉や社内ルールを整備しても、
    トップが覚悟をもって取り組む姿勢を見せなければ、
    組織、担当者はついてこないし、
    品質マネジメントシステムを回そうとしない

    結構大変なんですね。

    品質マネジメントシステムやISO9001が組織内で有機的に機能するには、トップへの信頼などの人間系、心情的要素が強いです。

    ルール、契約、ギャラで縛っても、人や人の心は動きません。だから、品質マネジメントシステムを回すには、人の心をつかむことが大切です。心をつかむくらいの覚悟がトップマネジメントのコミットメントなのです。

    品質が悪化したり、不正に走る組織は、人の心がつかめていない場合がほとんどです。

    品質マネジメントシステムやプロセスについて十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメントをわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②トップマネジメント
    • ③リーダーシップ
    • ④リーダーシップは誰でも身につく
    • ⑤エンパワーメントして巻き込む
    • ⑥コミットメント

  • ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる

    「ISO9001 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定って何?」、「何をやればいいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用
    • ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなければならない。 この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 4.1に規定する外部及び内部の課題
    b) 4.2に規定する,密接に関連する利害関係者の要求事項
    c) 組織の製品及びサービス 決定した品質マネジメントシステムの適用範囲内でこの規格の要求事項が適用可能ならば,組織は,これらを全て適用しなければならない。
    組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にし,維持しなければならない。適用範囲では,対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し,組織が自らの品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の要求事項全てについて,その正当性を示さなければならない。 適用不可能なことを決定した要求事項が,組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合に限り,この規格への適合を表明してよい。
    4 組織の状況
    4.1 組織及びその状況の理解
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    の4つの中で最も、4.3が分かりにくい

    4.3は4 組織の状況のまとめとして理解した方がよいです。

    ●4.1 組織及びその状況の理解
    ⇒外部の課題、内部の課題
    ●4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    ⇒利害関係者、ニーズと期待
    ●4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    ⇒4 組織の状況の章まとめ
    ●4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    ⇒品質マネジメントシステム(QMS)
    (4.1,4.2,4.4は個々で理解しやすいテーマ)

    なので、
    ●4.1 組織及びその状況の理解
    ⇒●4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    ⇒●4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    ⇒●4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    の順番で理解したらよいでしょう。

    4 組織の状況は

    4.1で外部の課題と内部の課題を抽出し
    4.2で利害関係者との関係を確認し、
    4.4で自社の品質マネジメントシステム(QMS)を構築して
    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ
    という流れで読むと理解が進みます。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 ISO9001 2015 4.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 JIS Q9001 4.3の補足
    よくわからない

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用

    「4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」 のポイントは、

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるとき、
    a) 外部及び内部の課題
    b) 利害関係者の要求事項(相手)
    c) 組織の製品及びサービス(自分)
    について、品質マネジメントシステムを適用しなければならない

    と簡略すれば、こう読めます。相手と自分について品質マネジメントシステムを適用なので、結局

    ●業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用せよ!
    ●適用できない場合はちゃんと説明してね!

    となります。適用できない場合はあまりないとすると、全範囲に品質マネジメントシステムを適用しないといけません。逃げられません!

    ●業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用して、どこかで手抜きしちゃだめよ!と言う意味ですね。

    では、4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定した後、どのように業務を進めていけばよいか?普段何に意識すればよいか?を解説します。

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるとき、
    a) 外部及び内部の課題
    b) 利害関係者の要求事項(相手)
    c) 組織の製品及びサービス(自分)
    について、全領域に品質マネジメントシステムを適用しなければならない
    ⇒何をすればいいの?どうやって理解したらいいの? を解説します。

    ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する

    ISO9001 2015の理解を助けてくれるのは、意外にも対応したくない監査質疑です。2時間くらいねちねち監査員が、チェックする監査ですから、嫌ですよね。しかも、監査を受けるのは、対象部門の部課長とそれと同等のクラスの管理職が多いでしょう。そうなると、ほとんどの一般職の人は、理解できないとなります。

    品質監査の流れを知ると、4組織の状況が理解でき、何を普段から行動や心がけをすればよいかが理解できます。

    品質監査の流れ

    品質監査の目的

    監査の目的は、単に部門の荒さがしをするのではなく、良い仕事、良い結果につながるには、何を改善したらよいかを見つけるためです。 良い仕事をしてもらい、良い結果・収益につながり、皆が喜んでもらうために監査します。

    監査の目的は次の3つです。

    1. 経営・品質課題を抽出し、抽出した各課題を深堀して質疑する。
    2. 掘り下げた質疑と経営・品質課題とのつながりを大事にする
    3. 品質マネジメントシステムのどこをどう改善すれば、品質・経営が良くなるか

    品質監査の流れ

    最初の、
    「経営・品質課題を抽出し、抽出した各課題を深堀」
    をするために、4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」を監査の最初に確認していきます。

    監査の質疑の流れを見ると、4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」が分かりやすく理解できます。

    1. 経営・品質課題を見るために、自社を取り巻く環境を確認したい
    2. 自社を取り巻く環境(外部・内部環境)から影響を受けた課題を見つけたい
    3. 外部・内部環境を明確にするために、自社と関わる相手(利害関係者)を知りたい
    4. 自社の品質・経営状況を見たいため、自社の品質を作りこむ仕組みを確認したい
    5. 品質マネジメントシステムの中の個々を調べて、品質・経営に影響を与える要因を見つけたい

    この流れで監査していきます。監査の最初の流れを見ると

    4 組織の状況は
    4.1で外部の課題と内部の課題を抽出し
    4.2で利害関係者との関係を確認し、
    4.4で自社の品質マネジメントシステム(QMS)を構築して
    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ

    と同じ流れですね。

    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ
    を単独で読んでも理解しにくいため、
    4 組織の状況
    と監査の流れをつけて、まとめて理解するとよいですね。

    ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」で何をすればよいか?

    特別することはありませんが、「4 組織の状況」全体と合わせて
    自分の環境における課題が何かを説明できるように普段から考えておいてください。

    品質マネジメントシステムの適用範囲の決定について十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用
    • ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する

  • ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる

    ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる

    「ISO9001 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスって何?」、「品質マネジメントシステムって何?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる
    • ③プロセスのあるべき姿
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

    4.4.1 組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。 組織は,品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また,次の事項を実施しなければならない。
    a) これらのプロセスに必要なインプット,及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。
    b) これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。
    c) これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し,適用する。
    d) これらのプロセスに必要な資源を明確にし,及びそれが利用できることを確実にする。
    e) これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
    f) 6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。
    g) これらのプロセスを評価し,これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を実施する。
    h) これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。
    4.4.2 組織は,必要な程度まで,次の事項を行わなければならない。
    a) プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。
    b) プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスで、まずおさえてほしい2点があります。

    ●組織は,品質マネジメントシステムを組織全体に適用する。
    ●プロセスに必要なインプットとアウトプットを明確にする。

    品質マネジメントシステム(QMSと略しますが)は、会社・組織全体を覆います。一部の部署、チームだけではありません。子供の「バリア!、うちの職場だけQMSはしない!」とかはダメです。残念ですけど。

    そして、プロセスという概念が、ISO9001では理解しにくいです。
    プロセスアプローチとか言ったりします。プロセスはいろいろな活動を称したものです。
    営業、技術、設計、サービス、製造、検査、工事、会議、資料作成、相談などのすべての活動をまとめてプロセスと呼んでいます。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス ISO9001 2015 4.4
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス JIS Q9001 4.4の補足
    QMSの全体像がイメージできてから
    個々の要求事項を
    埋めていくと理解が深まる。

    ●品質マネジメントシステムはまず、全体像を自分で説明できることが重要です。
    ●品質マネジメントシステム全体像は、他人のものでなくてもいいし、常に最新の考えに更新してもOKです。
    ●常にあるべき姿を考えることが重要です。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる

    「品質マネジメントシステム(QMS)って何ですか?わかりやすく教えてください」と質問されても簡単に説明できますか?

    普通は困るでしょう。自分なりの説明でOKですよ。1つ説明例を紹介します。

    品質マネジメントシステム(QMS)の考え方

    1. 社内に全く無い状態を想像
    2. 社内にある場合を想像
    3. 社内にある場合と無い場合を比較
    4. 品質マネジメントシステム(QMS)が機能するための必要条件を抽出

    この流れで解説します。

    考えるために1つ設定しておきます。

    ●設定条件
    ◎あなたは、あるメーカに所属しています。
    ◎あなたが所属するメーカは営業、設計、製造の3つの部門があります。

    チェック項目を列挙します。

    1. 目標があるか?
    2. 業務のやり方は決まっているか?
    3. 責任と権限は決めているか?
    4. コミュニケーションが社内にあるか?
    5. 担当者のスキル(力量)は管理しているか?
    6. 内省(振り返り)する機会はあるか?
    7. その他

    品質を作りこむために必要なチェック項目を7つ挙げました。別にこれ以外でもOKです。

    品質マネジメントシステム(QMS)が社内に全く無い状態

    品質を意識しない会社・組織とはどんなものかを下図に挙げます。

    品質マネジメントシステム

    図からわかることまとめると、

    ●日々何となく仕事している
    ●やり方がばらばらで無責任
    ●基本、他責

    こんなんで、良い製品やシステムが顧客に提供できるとは思えないですね。うまく行きそうな感じがしませんからね。

    でも多くの会社・組織、とりわけ、できたばかりの職場なら、こういう感じになっている場合がほとんどです。
    ビジネスがうまくいかない。顧客に多大な迷惑をかけて反省しないとヤバい!と思って初めて、品質を大切して、職場に機能させないとダメだとみんな気づき始めるのです。

    最初から、手間やコストをかけて品質マネジメントシステム(QMS)をやる所はありません。最初はみんな我流で仕事するものです。

    品質マネジメントシステム(QMS)が社内にある場合

    品質を意識した会社・組織とはどんなものかを下図に挙げます。

    品質マネジメントシステム

    図からわかることまとめると、

    ●目標をもって、業務できている
    ●やり方はルールで決まっており、責任・権限が明確
    ●内省(PDCA)から自責で仕事できている

    どうでしょう。うまく、良い製品やシステムが顧客に提供できる会社になりそうですよね。

    目標、ルール、責任、力量、コミュニケーション、内省(PDCA)が機能すると、リスクや改善点が常にクリアーされ、良い仕事が良い結果につながりますね!

    では、何をどううまくすれば、組織の品質マネジメントシステム(QMS)が機能するかを解説します。

    品質マネジメントシステム(QMS)が機能するための必要条件

    品質マネジメントシステム(QMS)を機能させるのは、手間であり、面倒ですが、組織に大きなパワーを与えてくれます。
    ●トップマネジメント(経営者)のコミットメント(品質ちゃんとやるぞ!)
    ●理念と目標(みんなに共通の思いを浸透)
    ●ルール・規定(業務ばらつき、ヌケモレを防止)
    ●責任と権限(誰が何をするか、させるかが明確)
    ●コミュニケーション(報連相、リスクの未然防止)
    ●プロセスのあるべき姿(あとで解説しますね)
    ●PDCAを全体、各部門で回す姿勢(内省して、ちょっとずつ改善)

    この動きが組織に機能していれば、確かに、良いものが作れる組織になりますよね!

    ③プロセスのあるべき姿

    品質マネジメントシステム(QMS)にはプロセス! 
    プロセスが重要なのです。
    プロセスアプローチが大切なのです!
    プロセスのインプット、アウトプットを明確に!

    そうです! プロセスが重要です。
    が、何のことか、さっぱりわかりません。

    1. プロセスって何?
    2. プロセスのインプット、アウトプットがなぜ重要なの?

    を理解していないと、さっぱりわからないはずです。解説します。

    ③プロセスのあるべき姿

    プロセスとは?

    一般的によく「過程」や「工程」として使われる「プロセス」ですが、
    品質マネジメントシステム(QMS)における「プロセス」はちょっとニュアンスが違います。

    プロセスアプローチの言葉も理解できない!
    「過程」や「工程」にアプローチってどういうこと?
    と混乱します。

    品質マネジメントシステム(QMS)における「プロセス」

    インプットするものがあって、それを何かして、アウトプットするもの

    プロセス

    数学でいう、 関数みたいですね。
    それと、入力するものと出力するものがあれば、入力を出力へ何かしら手を加える活動をプロセスと広くとらえています。

    関数でも、工程でも、会議でも、資料作りでも、何でもプロセスと呼んでいます。

    具体例として、数式、活動、工程の例を挙げてみます。すべて間に入るのがプロセスです。

    プロセス

    インプット、プロセス、アウトプットのセットで考える

    品質監査で、常にチェックされるのが、プロセスです。そのプロセスを監査する際に

    1. 何をインプットするか明確か?
    2. 何をアウトプットするか明確か?
    3. どんな活動(プロセス)をしたか明確か?

    の3点セットで確認されます。
    要するに、

    1. 何となく資料作って集まって
    2. 何となく集まった人で協議して
    3. 何となく終わった

    とならないように、意識して活動しているか(プロセスをまわしているか)が問われます。

    ●会議の場合は、

    1. 会議に必要な情報とメンバーが正しくそろっているか?
    2. 会議で必要な議題が網羅的に協議して結論づけたか?
    3. 会議後の議事録、懸案事項の有無と解消方法が明確か?

    を監査されます。5W1Hは常に意識して行動して記録しておきましょう。

    5W1H、プロセスを明確して業務するのは、結構大変ですが、
    明確なプロセス行動は、仕事効率を高める効果と、リスクの事前解消につながり、
    高い結果と評価につながります。
    人間本来は、だらだらのんびり、楽しく過ごしたいですが、品質の作りこみはその逆ですね。ちょっとしんどいけど、頑張った分、いいことがあります!

    ISOの要求事項

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの要求事項において、プロセスの部分を再確認しましょう。

    ●ISO9001 要求事項
    a) 必要なインプット,プロセスからのアウトプットを明確にする。

    c) プロセスに必要な判断基準及び方法決定する。
    d) プロセスに必要な資源を明確にする。
    e) プロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
    f) リスク及び機会に取り組む。
    g) プロセスを評価し、
    h) プロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

    確かに、先ほど解説した、

    1. 何をインプットするか明確か?
    2. 何をアウトプットするか明確か?
    3. どんな活動(プロセス)をしたか明確か?

    の3点セットを意識すれば、ISO9001 要求事項が満たせますね。
    ISOを満たすためではなく、良い仕事ができるには
    何をすればよいかを意識して取り掛かればOKです。

    品質マネジメントシステムやプロセスについて十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる
    • ③プロセスのあるべき姿

  • ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 がわかる

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 がわかる

    「ISO9001 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解って何?」、「普段から何に注意すればよいか?」、「品質監査で質疑されるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ
    • ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?
    • ④品質監査で質疑されること
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    次の事項は,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため,組織は,これらを明確にしなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムに密接に関連する利害関係者
    b) 品質マネジメントシステムに密接に関連するそれらの利害関係者の要求事項 組織は,これらの利害関係者及びその関連する要求事項に関する情報を監視し,レビューしなければならない。

    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    「利害関係者」って何?誰?がわかること
    「利害関係者のニーズ及び期待」って何?
    「利害関係者のニーズ及び期待の理解」ってどうやって理解するの?
    自分の言葉で説明できることです。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 ISO9001 2015 4.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 JIS Q9001 4.2 の補足
    具体例もありわかりやすい
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    5.3密接に関連する利害関係者 JIS Q9001 4.2と似たような内容

    JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 を読んでそのまま、当てはめれば基本OKです。

    でも、なぜ、利害関係者のニーズ及び期待の理解が自分の言葉で説明できるようになってほしいです。JIS Q9002を丸暗記するのは大変ですし、応用が利きません。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ

    利害関係者とは?

    利害関係者は、ステークホルダーという言い方もします。経営者ならよく使う言葉です。

    利害関係者(ステークホルダー)はあなたの仕事に直接、間接的に関わる相手すべて

    利害関係者を書き出してみる

    ●あなたの仕事に直接、間接的に関わる相手すべてを書けばOKですが、
    ●直接的に関わる相手
    ●間接的に関わる相手

    がいます。

    直接的な利害関係者

    ●調達元
    ●あなた
    ●あなたがいる自社の部課の人、関係部門
    ●顧客
    ●エンドユーザー
    などですね。

    間接的な利害関係者

    直接会うことはないが、関わる相手や、ルールなどです。

    ●銀行、株主
    ●法的機関
    ●ISOなどの標準規格
    ●近隣住民
    などですね。

    あなたにとっての利害関係者(ステークホルダー)をまとめると下図のようになるでしょう。もちろん、あなたの立場によって、利害関係者は変わってきます。

    利害関係者

    ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?

    相手はわかりましたね。では、相手は何を求めているのか? それを理解するとはどういうことかを考えます。

    利害関係者のニーズ及び期待

    あなたから見て、いろいろな角度をもった利害関係者がいます。
    彼らはあなたに何を求めて、期待しているでしょうか?

    直接的な利害関係者と、間接的な利害関係者に分けて分析します。

    直接的な利害関係者

    ●具体的なアウトプット(製品出荷、工事完了など)ですね。
    相手から求められたことを完遂すればよいのです。直接お金のやり取りある相手なので、成果と報酬から考えたら、すぐわかることです。

    間接的な利害関係者

    特に、求められてはいないが、当然対応するよね!、当然守るよね!という内容が該当します。

    ●法的ルールを遵守
    ●安全、環境を第1に考えた業務
    ●近隣住民に不安を与えない仕事
    などですね。

    間接的な利害関係者だから、関係ない!としても、新聞、テレビ、SNSなどで抗議が出ると、あなたの仕事に悪影響が出ます。

    直接見ていないから、逆に注意して仕事しましょう。

    ニーズ及び期待を理解するにはどうするの?

    あなたの利害関係者のニーズ及び期待は何となく把握しました。しかし、これも明記した文書があって初めて、ニーズ及び期待を理解するとなります。どんな文書や取り決めが必要かを考えましょう。

    また、利害関係者を直接的、間接的に分けて考えます。

    直接的な利害関係者

    ●顧客要求事項文書(Q,C,D)
    ●要求仕様書
    ●契約書
    ●基本設計図
    など、何をいつまでに、どのレベルでアウトプットするかが書かれた仕様書類ですね。

    上流工程の品質の作りこみが最重要。ここで、利害関係者のニーズ及び期待をよく理解する必要があります。よく相手と仕様を作りこむことが、下流工程の出戻りややり直しの低減につながります。

    何事も初めが肝心ですよね!

    間接的な利害関係者

    ●標準規格
    ●法令
    ●認可
    ●免許
    ●当たり前とされる基本行動(近所に迷惑かけない、ごみは所定の場所に捨てるとか)
    など、ルールは暗記ではなく、自分の言葉で説明できることや、高い倫理観が必要です。

    仕様書に書いていないけど、当たり前の品質が要求されます。普段の業務の中で身に着けておく必要があります。
    仕様書に書いていないけど、やるべきことは何かに気が付く嗅覚と経験が求められます。

    普段からの準備がモノを言うわけです。

    ④品質監査で質疑されること

    他の要求事項とまとめて質疑されるが、利害関係者と、ニーズ及び期待、理解すべき内容は必ず質疑で確認される

    「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」単独で質疑されることはあまりありません。
    利害関係者については、4.1 組織及びその状況の理解()のところで、まとめて質疑されます。

    ニーズ及び期待、理解は、業務プロセスにて、具体的な業務内容を監査するときに、利害関係者が求めることやあなたに期待していることを確認します。そのインプット情報をもとに、業務プロセスによって要求されるアウトプットかどうかを審査します。

    品質監査で直接4.2を聞かれないが、他の要求事項と混ぜて質疑されます。意外と簡単ではないため、日ごろから利害関係者があなたに何を求めているかを考えて必要があります。

    利害関係者のニーズ及び期待の理解を十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②利害関係者をマーケテイングから学ぶ
    • ③利害関係者のニーズ及び期待の理解とは?

  • ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解 がわかる

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解 がわかる

    「ISO9001 4.1 組織及びその状況の理解って何?」、「普段から何に注意すればよいか?」、「品質監査で質疑されるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ
    • ③内部の課題と外部の課題の事例
    • ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?
    [themoneytizer id=”105233-2″]

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.1 組織及びその状況の理解
    4.1 組織及びその状況の理解
    組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。 組織は,これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し,レビューしなければならない。
    注記1 課題には,検討の対象となる,好ましい要因又は状態,及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る。
    注記2 外部の状況の理解は,国際,国内,地方又は地域を問わず,法令,技術,競争,市場,文化,社会及び経済の環境から生じる課題を検討することによって容易になり得る。
    注記3 内部の状況の理解は,組織の価値観,文化,知識及びパフォーマンスに関する課題を検討することによって容易になり得る。

    4.1 組織及びその状況の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    外部の課題
    内部の課題
    網羅的に抽出できるかどうか!

    です。後で解説します。

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.1 組織及びその状況の理解 ISO9001 2015 4.1
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.1 組織及びその状況の理解 JIS Q9001 4.1 の補足
    わかった感じにはなる。

    JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針 4.1組織及びその状況の理解に書いている内容通り、自分の業務に当てはめると、確かに、外部の課題、内部の課題は書き出せます。

    でも、なぜ、JIS Q9002のとおり外部の課題や内部の課題を書かないといけないのか?を自分で考えるようになると、背景となる理論が必要になります。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。そうなると理論を知る必要があります。ISO,JISに書いている外部の課題や内部の課題の項目はどこから来ているのか?を本記事で解説します。

    実は、ISO,JIS外部の課題や内部の課題はマーケテイング用語から来ています。マーケテイングを勉強する記事になります。

    ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ

    技術屋でも品質屋でもマーケテイングは必須

    4.1 組織及びその状況の理解 で大事なのは、

    あなたの仕事でとりまく
    外部の課題
    内部の課題
    網羅的に抽出できるかどうか!

    実は、外部の課題、内部の課題はマーケテイング用語なので、ISO9001に多くの関わる技術屋にとって、馴染みのない用語です。なので、何を課題としてよいか?が理論として体系化しないままに、ISOやJISに書いている内容をそのまま自分の仕事に当てはめていることがほとんどです。

    品質管理業務をやっていて、品管のプロでも「外部の課題、内部の課題がちゃんとわからず、ISO,JISの書いている通りにやっている」人が多いです。

    外部の課題内部の課題
    理解できるように、マーケテイング分野を解説します。

    MBAです! でも、多くの人が「MBAなんて意味が無い」と言いますが、

    経営の基礎であるMBAを知らないのは、
    言葉を知らないでコミュニケーション取ろうとするのと同じです。
    MBAは知っていて損はありません。

    なぜなら、技術、営業、品質といろいろな部門が会社にはありますが、それは手段にすぎず、これらの目的は経営や収益だからです。経営や収益のために、各部門で果たすべき役割があります。

    技術屋、品質だから経営に関係無いでは済まされません。

    4.1 組織及びその状況の理解の
    言葉を知らないでコミュニケーション取ろうとするのと同じです。
    MBAは知っていて損はありません。

    内部の課題と外部の課題を理解するためのマーケテイングアイテム

    3つ紹介します。

    1. 3C分析
    2. 5F(Five Force)分析
    3. SWOT分析

    他にも分析手法がたくさんありますが、この3つあれば十分です。

    3C分析

    外部の課題を考えるときに活用します。

    ●3つのCはそれぞれ次の通りです。

    1. Customer(顧客のニーズ、市場規模、市場動向)
    2. Competitor(競合他社、競争の厳しさ)
    3. Company(自社の強み、弱み)

    3C分析

    まず、
    ●Customerで、市場規模が拡充か縮小か、市場動向を調べ、顧客のニーズを確認します。
    ●Competitorで、競合他社の強さ、数、競争の厳しさを確認します。
    ●Companyは自社がそこで戦っていける強み、弱みを分析します。

    外部の課題は、外なので、コントールが効かないものです。市場、競合、疫病、景気、法改正などの要因がCustomer、Competitor、Companyに対して、どう影響を与えるかを考えます。

    考えた結果を上の図に当てはめると、綺麗に整理ができます。そこから、自社の戦略が見えてきます。

    5F(Five Force)分析

    外部の課題については3C分析だけでも十分ですが、さらに、新規参入、代替による脅威が気になる場合は5F分析も必要です。

    例えば、IT業界のように新製品や代替品が次々に出て来る業界は5F分析は必須です。

    5F分析

    まず、
    ●中心の「業界の脅威」にあなたの自社がいます。
    ●横のラインを見ます。「売り手の脅威」と「買い手の脅威」を見ます。
    ★売り手は、調達元です。本来は、売り手はあなたとって顧客ですが、強気なところもあります。
    ★買い手はあなたにとっての顧客です。顧客の強弱は容易に想像がつきますね。
    次に、縦のラインを見ます
    ●「新規参入」がたくさんあるかどうかを確認します。参入が多いと競争激化します。
    ●さらに「代替品」の脅威も見ましょう。今まで、自社の製品が売れていたのに、他で代替されると自社の市場自体が無くなるリスクがあります。ガラケーからスマホに代わり、ガラケーが一瞬で廃れたのが良い事例です。

    横、縦のラインを見て、自社が入る業界の競争がどれくらい厳しいかを確認しましょう。

    3C分析と5F分析すると、
    競争のきつさが明確になり、どこから脅威が出るかもわかります。
    その分析結果を外部の課題として抽出すればよいのです。

    次に、内部の課題を確認しましょう。

    SWOT分析

    内部の課題を抽出する分析方法がSWOT分析です。

    SWOT分析

    SWOTとは、
    ●S(Strength):自社の強み(内部の強み)
    ●W(Weakness):自社の弱み(内部の弱み)
    ●O(Opportunity):自社のチャンス・機会(外部からのチャンス)
    ●T(Threat):自社の脅威(外部からの脅威)
    をそれぞれ分析します。

    SとWについては、内部の強み・弱みを分析します。社内のことなので、コントロール可能な領域なので、経営陣に説明して、強み、弱みの課題を解消しましょう。

    ③内部の課題と外部の課題の事例

    マーケテイング分析手法の3C,5F,SWOT分析をさっと解説しました。では、具体例を挙げて練習しましょう。

    各分析において、別々の業界を例に分析例を解説します。なるべく、多業種の例を挙げてみましょう。何でも分析ができるからです。

    あなたの仕事を取り巻く環境において、3C分析、5F分析、SWOT分析をやってみてください。正解不正解はありません、思考訓練です!

    1. 3C分析:品質管理プロ(QCプラネッツ本人)
    2. 5F分析:携帯電話(ガラケー全盛期)
    3. SWOT分析:製造業

    3C分析の事例紹介

    私自身を3C分析します。品質管理のブログを書き始めた経緯に、3C分析をやって、「勝てる!」と確信したからです。

    ●品質管理に関わる人がたくさんいる。
    ●技術を究めたいが、いつ事業撤退になるかわからない不安がある一方、品質管理はどの企業にもある。
    ●ライバルはシニア層が多く、時間が経てば継承されて自分が優位に立てる。
    ●品質は「技術×経験」というが、本当は、「技術×経営」です。経営がわからない技術屋が多く、それが人生経験に代用されているのです。MBAで経営が分かれば若くても品質管理はできます。

    なので、QCプラネッツを作ると決意しました。

    3C分析の図にすると、こんな感じです。

    3C分析

    5F分析

    ちょっと古い内容ですが、ガラケーの全盛期の外部環境について分析します。競争が激化する中、いつのまにかスマホに代わってしまいましたね。

    ●業界の脅威は国内メーカ各社の厳しい競争がありました。どの電機メーカも携帯が出ていました。
    ●売り手の脅威ですが、半導体業界はエンドユーザに届く最終製品より、材料・製造機械の方が収益性は高く、強気です。なので、売り手に圧力をかけて値下げすることは難しかったです。
    ●買い手の脅威は、携帯をエンドユーザに渡す側で、半国営企業ですから、相手も強気ですね。
    5F分析の横のラインはどれも厳しい競争とわかります。

    次に縦のラインをみましょう。
    ●新規参入の脅威ですが、携帯電話は海外勢も強く、参入障壁や制約がなかったため、競争が激化しました。
    ●代替品ですが、ガラケーが厳しい競争の中、スマホや登場し、世界を変えてしまいました。

    厳しい競争に生き抜こうとした携帯メーカの各社はスマホという新しいものによって、撤退していきました。近い業界にいたので、強く印象に残っています。

    5F分析の結果を図にすると次のようになります。

    5F分析

    SWOT分析

    製造業によくある、内部環境の分析をしてみましょう。内部の課題や内部環境だけを分析するフレームワークはないため、内外同時に分析するSWOT分析を使います。

    例えば下図のような分析になります。

    SWOT分析

    SWOTとは、
    ●S(Strength):自社の強み(内部の強み)
    ●W(Weakness):自社の弱み(内部の弱み)
    ●O(Opportunity):自社のチャンス・機会(外部からのチャンス)
    ●T(Threat):自社の脅威(外部からの脅威)
    をそれぞれ分析する中で
    特に、内部環境についての強みと弱みを列挙しましょう。

    内部の課題ですから、
    ●人的リソースに課題はないか?
    ●資源に課題はないか?
    ●今は問題ないが、そのうち問題が顕在化することはないか?
    を技術、営業、企画、管理などの各部門から課題を出してみましょう。

    事例を挙げて分析方法を解説しました。

    分析して終わり!ではなく、
    ●課題・リスクを解決する施策
    ●チャンス・機会をものにする施策
    を考える必要があります。

    課題を洗い出し、それをどうするかを品質監査の始めの方で必ず質疑されます。

    ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?

    品質監査(内部監査や外部審査)でよく質疑される流れを解説します。

    監査する側は、決まった質疑をするのではなく、対象とする部門や組織の経営課題を抽出してからそれを解決するための施策や実績などを深く掘り下げて質疑していきます。

    最初の経営課題を抽出するために4.1の要求事項が質疑されます。

    質疑の流れ

    1. 製品分野、売上、収益について確認
    2. 事業継続に対するリスク・機会を確認
    3. リスク・機会の要因についてさらに質疑

    「事業継続に対するリスク・機会を確認」になったら、事前に「内部の課題」、「外部の課題」を
    3C分析,5F分析,SWOT分析を使って抽出した結果を監査員に回答しましょう。

    リスク・機会を与える要因が、
    ●組織体制
    ●目標の見直し
    ●コミュニケーション
    ●人的資源
    ●その他資源
    ●社内の仕組み
    などであれば、さらに個々のテーマを掘り下げながら、監査が続いていきます。

    しっかり分析して、それを解決する道筋を力強く説明できるように日々考えることが重要です。

    外部の課題と内部の課題を考える方法が十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.1 組織及びその状況の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②内部の課題と外部の課題はマーケテイングから学ぶ
    • ③内部の課題と外部の課題の事例
    • ④品質監査で4.1がどのように質疑されるか?

  • ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる

    「ISO9001 7.1 資源って何?」、「普段から何に注意すればよいか?」、「品質監査で質疑されるかわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.1 資源がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    ちょっと長いですが、掲載しますね。

    7.1 資源
    7.1.1 一般 組織は,品質マネジメントシステムの確立,実施,維持及び継続的改善に必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 既存の内部資源の実現能力及び制約
    b) 外部提供者から取得する必要があるもの
    7.1.2 人々 組織は,品質マネジメントシステムの効果的な実施,並びにそのプロセスの運用及び管理のために必要な人々を明確にし,提供しなければならない。
    7.1.3 インフラストラクチャ 組織は,プロセスの運用に必要なインフラストラクチャ,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要なインフラストラクチャを明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 インフラストラクチャには,次の事項が含まれ得る。
    a) 建物及び関連するユーティリティ
    b) 設備。これにはハードウェア及びソフトウェアを含む。
    c) 輸送のための資源
    d) 情報通信技術
    7.1.4 プロセスの運用に関する環境 組織は,プロセスの運用に必要な環境,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な環境を明確にし,提供し,維持しなければならない。 注記 適切な環境は,次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る。
    a) 社会的要因(例えば,非差別的,平穏,非対立的)
    b) 心理的要因(例えば,ストレス軽減,燃え尽き症候群防止,心のケア)
    c) 物理的要因(例えば,気温,熱,湿度,光,気流,衛生状態,騒音)
    これらの要因は,提供する製品及びサービスによって,大いに異なり得る。
    7.1.5 監視及び測定のための資源
    7.1.5.1 一般 要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる場合,組織は,結果が妥当で信頼できるものであることを確実にするために必要な資源を明確にし,提供しなければならない。 組織は,用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
    a) 実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
    b) その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。 組織は,監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として,適切な文書化した情報を保持しなければならない。
    7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合,又は組織がそれを測定結果の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には,測定機器は,次の事項を満たさなければならない。
    a) 定められた間隔で又は使用前に,国際計量標準又は国家計量標準に対してトレーサブルである計量標準に照らして校正若しくは検証,又はそれらの両方を行う。そのような標準が存在しない場合には,校正又は検証に用いたよりどころを,文書化した情報として保持する。
    b) それらの状態を明確にするために識別を行う。
    c) 校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整,損傷又は劣化から保護する。 測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合,組織は,それまでに測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし,必要に応じて,適切な処置をとらなければならない。
    7.1.6 組織の知識 組織は,プロセスの運用に必要な知識,並びに製品及びサービスの適合を達成するために必要な知識を明確にしなければならない。 この知識を維持し,必要な範囲で利用できる状態にしなければならない。 変化するニーズ及び傾向に取り組む場合,組織は,現在の知識を考慮し,必要な追加の知識及び要求される更新情報を得る方法又はそれらにアクセスする方法を決定しなければならない。
    注記1 組織の知識は,組織に固有な知識であり,それは一般的に経験によって得られる。それは,組織の目標を達成するために使用し,共有する情報である。 注記2 組織の知識は,次の事項に基づいたものであり得る。
    a) 内部の知識源(例えば,知的財産,経験から得た知識,成功プロジェクト及び失敗から学んだ教訓,文書化していない知識及び経験の取得及び共有,プロセス,製品及びサービスにおける改善の結果)
    b) 外部の知識源(例えば,標準,学界,会議,顧客又は外部の提供者からの知識収集)

    長い! 関越トンネルくらい長い! そして、頭の中に入ってこない! ですよね!
    品質管理の勉強が足らないとかではなく、頭に入らない!と思うのが正しいです。

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    でも難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    ●品質管理業務をやってわかるのは、自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、大丈夫!

    ●資源を明快に解説します。

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.1 資源 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.1 資源 JIS Q9001 7.1 の補足
    わかった感じにはなる。
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9 資源のマネジメント さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    自分の言葉では説明できないはず

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。
    自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、大丈夫!

    ●資源を明快に解説します。

    ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●資源を明快に解説します。

    経営学から入るとわかりやすい

    経営学では、経営の資源をよく

    ヒト・モノ・カネ

    の3つにまとめることがあります。
    品質管理では「カネ」は対象外なので、

    ヒト・モノ

    の2つの資源に着目します。

    資源と言っても、「金銀」、「ダイヤモンド」、「石油」などの鉱山資源ではありません。経営資源のことです。初めて「資源」と聞くと、前者を想像しがちです。

    ヒト

    ヒトの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    一昔前なら、KKD(気合、根性、度胸)で「24時間戦えますか?」というCMがあり、
    それが日本の強さとか言っていましたが、今はそんな環境には人は行きたいと思いません。

    人が自ら成長したい、そうエンパワーメントする環境が必須な時代です。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.6 組織の知識 a) 内部の知識源、b) 外部の知識源
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    に該当する
    ことがわかります。

    モノ

    モノの資源を詳しく分解すると例えば、次の4つに分解できます。あなたらしい項目に分解してもOKです。一例をあげます。人が働いて、高い業務成果を出すには、何が必要かを考えましょう。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    建屋がないと、仕事になりませんよね。建屋の設備がないと困りますよね。PC,機械、計測器がないと仕事できませんよね。当たり前じゃん!なのですが、その当たり前なモノが十分あるか?十分機能を果たしているか?が重要です。

    照明が暗い、空調がなければ、人への影響が出て、よい仕事ができませんし、熱中症などの事故、感染症の問題など、その職場の問題がいっぱい発生するから、モノの資源をしっかりおさえておくことは重要なのです。

    この4項目を理解してからISO9001 2015 7.1資源を読み直すと
    ①7.1.3 インフラストラクチャ
    ②7.1.4 プロセスの運用に関する環境 a) 社会的要因、b) 心理的要因、c) 物理的要因
    ③7.1.5.2 測定のトレーサビリティ 機械、測定器の校正管理
    に該当する
    ことがわかります。

    7.1 資源は、当たり前の環境が当たり前あるか?をチェックする要求事項なのです。

    ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

    経営の資源「ヒト・モノ」を良くしていけばいいとすぐわかりますよね。個別にみていきましょう。

    7.1 資源を良くして品質・経営を高めることが重要で、
    資源の現状と、資源を高める活動をしているかを品質監査でもチェックします。

    ヒト

    ヒトは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 人の数
    2. 各人の能力(業務経験、力量)
    3. 働きやすさ(雇用体制、労働時間、システムの利便性)
    4. メンタルヘルス、多様性

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●人の数:採用強化が必須ですが、会社の評価が高くないと良い人財が来ません。
    ●各人の能力:将来の力量向上につながる業務を、メンターをつけて育成できるチーム体制が必要です。
    ●働きやすさ:時短勤務、フレックス、最新のシステム導入、残業時間低減による生産性向上などの体制構築が必要です。
    ●メンタルヘルス、多様性:労働環境・労働時間の適正化、産業医などのサポート体制が必要です

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    モノ

    モノは4つの資源に分解して考えました。それぞれをよくしていけばいいわけです。

    1. 施設(事務所、工場の建屋)
    2. 設備(机、椅子、照明、空調、トイレ)
    3. 機械、計測器(工場)
    4. 情報通信(PC,サーバー)

    どうやって、良くしていきますか?

    改善方法

    ●施設:利便性高い立地。最新の施設など。
    床がすべりやすく、段差があるとか、雨漏りするとかはNG。労働災害につながります。
    ●設備:照明・空調・圧迫感のない職場、風通しの良い職場作り。
    ●機械、計測器:校正管理ができていることや、メンテナンスが適正であること。機械が壊れたまま稼働すると大事故につながります。
    ●情報通信:PCの使いやすさとか、サイバーセキュリティ対策など

    改善方法をいろいろ上げると、会社・組織に必要な体制や制度がいっぱいあり、それらが有効的に機能させる必要があります。資源をそろえるのは、結構大変であることがわかりますね。

    品質監査で「資源」を監査

    監査員として、「7.1資源」を監査する場合、どんな質問をしたらよいか?考えましょう。いい勉強になります。

    先ほどから
    ●ヒト:人数、力量、働きやすさ、労働衛生
    ●モノ:施設、設備、機械、情報通信
    を資源として考えてきましたので、これらが十分あるか、十分機能しているかを質疑すればよいです

    質疑内容の例

    ★ヒトについて、
    ●組織内の人数は十分か? 人的リソースにおける課題を挙げよ。
    ●力量向上に必要なリソースは何か?いくつか挙げよ。
    ●平均残業時間はどれくらいか? 半減するにはどうすればよいか提示せよ。
    ●職場の人のメンタルケアをカバーしているか?

    ★モノについて、
    ●職場内は働きやすい環境か?職場における不満を挙げよ。
    ●労働生産性を向上させるために、どんな工夫をしているか?
    ●事業の今後の変革に対応して、どんなリソースが必要か?
    ●セキュリティ対策は何をしているか?

    など、質疑すると、
    ●事業の成長に必要なリソースの明確化
    ●現状のリソースの課題とその解決策
    が見えてきます。

    資源は確かに固定費であり削減対象であるが、
    同時に収益の源泉でもある。
    資源戦略をしっかり整えることが事業成長に必須

    資源のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.1 資源をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②資源は経営資源「ヒト・モノ・カネ」から理解する
    • ③経営をよくするには、ヒト・モノに何が必要なのかを考えればよい。

  • ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる

    「ISO9001要求事項やJISハンドブックを読んでもよくわからない」、「ISOコンサルタントに何を聞けばいいのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_5_文書化した情報がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    7.5 文書化した情報
    7.5.1 一般 組織の品質マネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。
    a) この規格が要求する文書化した情報
    b) 品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報
    注記 品質マネジメントシステムのための文書化した情報の程度は,次のような理由によって,それぞれの組織で異なる場合がある。
    − 組織の規模,並びに活動,プロセス,製品及びサービスの種類
    − プロセス及びその相互作用の複雑さ
    − 人々の力量
    7.5.2 作成及び更新
    文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。
    a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)
    b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
    c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認
    7.5.3 文書化した情報の管理
    7.5.3.1 品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実にするために,管理しなければならない。
    a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。
    b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。
    7.5.3.2 文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の行動に取り組まなければならない。
    a) 配付,アクセス,検索及び利用
    b) 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存
    c) 変更の管理(例えば,版の管理)
    d) 保持及び廃棄
    品質マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書化した情報は,必要に応じて識別し,管理しなければならない。
    適合の証拠として保持する文書化した情報は,意図しない改変から保護しなければならない。

    注記 アクセスとは,文書化した情報の閲覧だけの許可に関する決定,又は文書化した情報の閲覧及び変更の許可及び権限に関する決定を意味し得る。
    要求事項を読んで、正直感想は、「長~いし、多いし、何をすればよいかを読むのが面倒」

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    品質管理のプロな私でも、読みたくない量ですね。なので、実務上、文書の管理方法で何をやればOKかをわかりやすく解説します!

    JISハンドブックの解説

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7_5_文書化した情報 ISO9001 2015 7.5
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7_5_文書化した情報 JIS Q9001 7.5の補足
    詳細に書いている。
    「読みたい人は読んでね!」
    くらいでいい

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。

    品質管理のプロな私でも、読みたくない量ですね。なので、実務上、文書の管理方法で何をやればOKかをわかりやすく解説します!

    「文書化した情報」で実務上、おさえるべきポイントは3つあります。これは実務・品質監査(内部監査、認証の外部審査)の経験からわかったことです。共有しますね。

    1. 「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    2. 必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    3. 「文書化した情報」が十分に保護されていること

    それぞれ解説していきます。

    ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない

    「文書化した情報」の「情報」がポイント

    「文書化した情報」の「情報」がポイントで、情報の手段は問われません。

    つまり、

    紙(アナログ)でも、電子(デジタル)でも構わない
    電子サーバのフォルダーにポンとファイル一式そろっていればいい

    ひと昔前の、ISO9001だと、紙をファイリングして、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように求められていました。また、ISO9001 監査のために、普段そうしていないけど、必要な文書がすべて最新の状態にそろうように、あえて、わざわざ大量コピーしてファイリングして、文書の記録をきちっとやっていることを見せてましたね。

    ISOのための無駄な紙ファイリングは全くしなくよくなりました!

    今は、電子サーバのフォルダーにポンとファイル一式そろえていけばOKです。これは実務上、業務で必ずデータが最新に更新されるので、ISOのための文書を作る必要が一切ありません。

    「文書化された情報」に要求事項が変わり、適合性より有効性を監査するよう、ISO9001 2015版から変わったので、文書の管理が楽になりました。
    ISO監査のためにわざわざ作っていたファイリング作業が無くなることは、監査受ける実担当者によって、ムダな作業が減ります。これは革命的な変化と感じました。

    ISO9001 2008以前の要求事項において、本来は、きちっと文書管理していれば、紙ファイリングでもISOの要求事項を満たすはずとISOは考えていました。しかし、実務者は、いつも完璧な文書管理なんてするわけがないので、ISO監査をクリアするための別のファイリングを作って監査を受けていたのが現状です。

    ちょっと、ぶっちゃけすぎでしょうが、実務側の現状も素直に書いておくべきでしょう。

    では、なぜISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったかを解説します。

    なぜ、ISO9001 2015版からは、特に文書管理で厳しく言わなくなったか

    ISO9001 2008版からISO9001 2015版の大きな変更点は次の通りです。これは品質管理業務する中で、肌で感じたことです。

    1. 適合性より有効性をしっかり監査するようになったこと
    2. 品質から経営を意識した品質監査に変化したこと

    「適合性より有効性をしっかり監査」は、ISO9001 2008版からISO9001 2015版へ大きく変更した背景につながります。それは、優良なISO認証企業から相次いで品質不正が発覚したことです。

    ISO品質監査で優良な評価を受けた企業がなぜ、品質不正をしているか?そしてなぜ、監査で不正が見抜けないのか?と思いませんか?

    でも、監査される企業の担当者から見れば、「だって監査用のファイルをわざわざ作って監査うけているんだもん!」と本音が出てしまいますね。

    つまり、

    適合性を厳しく監査しても、実態と合っていないことがISO側もわかったんですね

    よく、ISOのために実態と合わないファイルを作るので、
    ●ISOでなくUSO⇒「嘘」
    ●ISOでなくQSO⇒「○〇」(下品すぎて書けない…)
    と揶揄していました。

    これじゃーISOやっててもムダやし、アカンよね!となり、ISO9001 2015版からは、

    1. 適合性より実態のありのままの有効性をしっかり監査するようになったこと
    2. 品質から経営を意識した品質監査に変化したこと

    と変わっていきました。最近の認証機関の品質監査では、文書のrevision番号や、日付はそれほど注視しなくなりました。むしろ、文書の中身、書かれた内容によるリスク・機会、目標に到達できるかなどの本質的な内容を審査するようになりました。

    形式より中身・本質を監査するようにISO9001 2015から変化したので、「ようやくまともなISO9001になったなあ」と実感しています。

    ●「文書化された情報」は媒体手段を問わない。
    ●実務上、サーバでデータ管理がほとんどで、
    ありのままの文書を監査に出してもOK。
    ●監査のための文書準備は一切不要(これは革命的!)
    ●適合性もある程度見るが、形式より品質・経営につながる
    中身・本質を監査するようにISOも変化している。

    ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態

    素早く文書が出せるのは重要ですよ!

    要求事項に書いていますが、これ結構重要です。

    普段から、必要な文書が、素早く入手できることが業務改善につながりますし、
    品質監査のときに、「●●文書見せてください」と言われて、もたつくと
    「改善してください」と減点対象になります。

    「必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態」
    になるように、紙・電子サーバの整理をしておいてください。

    文書整理って意外と難しい

    文書化された情報で整理をちゃんとやれ!と言う品質管理側の方が、ライン部門より文書がぐちゃぐちゃなことがあります。品管あるあるなんですけど。

    部・課単位で電子サーバや共有フォルダーをみんなで使うと、
    それぞれ価値観が異なるので、フォルダーやファイルの整理方針が立てにくいです。

    つまり、

    実務担当者がいるほど、情報整理が難しい

    なので、理想的な整理は追求しなくてもよいです。ある程度、整理がうまくできていなくてもOKです。人間は意外と臨機応変に対応できるので、頭で記憶しておけば、ここにファイルがあると認識します。

    よく、部内教育資料があったとして、教育資料フォルダーに資料を置きたいけど、教育資料フォルダーが複数あったり、全然名前が異なるフォルダーに置くように指示されたりします。こんなんでも、必要なときに素早く資料が出る状態であれば、「文書管理できている」と評価します。

    ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

    保持と維持の違い

    保持と維持の違いって説明できますか? 結構重要なので解説します。

    次の例題で、「保持」と「維持」どちらを使うか考えてください。

    (i)社内規定を「●●」する
    (ii)試験成績書を「●●」する
    ●●には、「保持」と「維持」どちらが入るか?

    これを間違えると、大変なことになります!

    「どっちでもええやん」と思いますが、品質管理ではダメです!かなり慎重に聞き分けます。

    保持

    保持とは、「編集してはいけないこと」です

    つまり、変えてはいけない文書は保持です。

    ●承認された文書⇒責任者の承認後、内容が変わってはいけません。
    ●試験成績書⇒内容が変わると改ざんになりますね。

    維持

    維持とは、「編集して最新の状態を保つこと」です

    ●社内規定⇒常に最新であるべきです。
    ●工程図⇒⇒常に最新であるべきです。

    よって、上の例題の答えは

    (i)社内規定を「維持」する
    (ii)試験成績書を「保持

    ISO9001 2015の要求事項では、
    ●保持が28か所、
    ●維持が23か所
    出て来ます。

    維持、保持、保持、維持、維持、維持、保持、…となると
    訳が分からなくなりますよね。

    保持とは、「編集してはいけないこと」
    維持とは、「編集して最新の状態を保つこと」

    をしっかりおさえておきましょう。

    【注意】電子管理の情報保持について

    最近、コロナ禍もあり、リモートワークが進んでいます。デジタル化・リモート化自体はとても良い事ですが、電子管理の情報保持について1点注意があります。

    電子管理ツールが未熟で、例えばofficeソフト(Excel,Word,PPT)を
    編集可能のまま保持しようとする場合が多い。

    これでは、承認後のデータが書き換え可能になっています。なので、承認後は書き換え不可になる仕組みが必要です。

    実際は、ここまで品質監査で見られたことはありませんが、電子化しても情報が保持していない場合が多いでしょう。

    しかし、保持できないから電子から紙に戻すことだけは絶対避けてください。時代遅れはビジネスにとってリスクです。

    「文書化した情報」のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.5 文書化した情報をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②「文書化した情報」は、媒体手段は問わない
    • ③必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態
    • ④「文書化した情報」が十分に保護されていること

  • ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる

    「ISO9001要求事項やJISハンドブックを読んでもよくわからない」、「ISOコンサルタントに何を聞けばいいのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7.2 力量がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【実際考えると意外と難しい】
    • ④力量管理の評価の仕方
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    7.2 力量
    組織は,次の事項を行わなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を明確にする。
    b) 適切な教育,訓練又は経験に基づいて,それらの人々が力量を備えていることを確実にする。
    c) 該当する場合には,必ず,必要な力量を身に付けるための処置をとり,とった処置の有効性を評価する。
    d) 力量の証拠として,適切な文書化した情報を保持する。
    注記 適用される処置には,例えば,現在雇用している人々に対する,教育訓練の提供,指導の実施,配置転換の実施などがあり,また,力量を備えた人々の雇用,そうした人々との契約締結などもあり得る。

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    ●ISO9001 やJISでは力量の要求事項(やらないといけないこと)は詳しく書いていますが、

    1. 力量ってそもそも何?
    2. 力量をなぜ管理しないといけないの?

    を、理解していないか、組織の人によっては力量の定義がばらばらなため、うまく力量管理できていないケースがよくあります。社内で品質内部監査をすると、力量の意味がわかっていない組織長が多いです。

    ●品質管理業務をやってわかるのは、力量の定義を自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、自分で力量管理ができます。

    ●力量の明快な定義を解説します。

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.2 力量 ISO9001 2015 7.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.2 力量 JIS Q9001 7.2の補足
    あまりよくわからない。
    読まなくてもいい
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    9.2.4 人々の力量 さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    何をしたらいいかがわからない

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。
    力量の定義を自分の言葉で明確に説明できれば、ISO,JISに頼らなくても、自分で力量管理ができます。

    ●力量の明快な定義を解説します。

    ②力量とは「その場ですぐできる力」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●簡単に力量がわかる解説をします。

    力量とは
    「その場ですぐできる力」
    であり、
    知っている、習った、理解できるは力量ではない

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    力量の例

    ●学校の勉強で例えます。例えば、こんな問題

    ●次の2次方程式を解きなさい。
    \(3x^2 -4x-6=0\)

    ○力量がある⇒上の2次方程式が解ける!
    ×力量が無い⇒教科書見ながらなら解ける!
    ×力量が無い⇒習った!
    ×力量が無い⇒知っている!
    ×力量が無い⇒わからない!

    ですから、

    品質監査で、力量があるかを監査したければ、
    「その場で、○○の業務をやってください」
    と指示して、その場でちゃんとできるかを診ればよいのです。
    知っている、習った、理解できるは力量ではない

    ●仕事の力量も勉強の例と同じです。
    ●設計の力量がある⇒その場で設計できる、設計図が書ける
    ●加工の力量がある⇒加工場で実際に加工ができる

    その場ですぐできる力が力量です。

    ●次にどんな力量があるのか?どんな力量が求められて、それを管理(力量管理)すべきかを解説します。

    力量管理は、一度は自分で考えて作りましょう。考えて作れば、ISO,JIS見なくても完璧に理解できます!

    ③力量管理項目の考え方【実際考えると意外と難しい】

    自分で力量管理を考えることが重要

    ●次の問いを考えてください。

    あなたの業務、部門、組織で必要な力量はどんなスキルですか?
    (i)どんなスキルが必要か?
    (ii)なぜそのスキルが必要なのか?

    ●品質管理は手段ではなく、目的を考えることが重要です。

    あなたの属する場が目指す目標とそれを達成するために、人々がどうなればよいかを考えれば、何を磨く、習得するべきかがわかるはずです。

    ネットや、コンサルタントが作る力量管理を鵜呑みせず、
    自分で考えた力量管理の方が絶対いい!
    目標を目指す意識が高まるし、愛着ある力量管理表を常にブラッシュアップするから

    力量管理表の作り方

    力量管理項目の考え方は、意外と難しいですが、抽象度、粒度はあなた好みでOKです。部門・祖式がそれで納得するものでOKです。特に、力量管理項目を考える指針や制約を考えなくてよいです。

    そうなると、
    ●抽象度の高い力量管理表
    ●具象度の高い力量管理表
    など、たくさん作ることができます。

    本記事では、両パターンを提示します。

    力量管理項目の例1(抽象度が高い力量管理表)

    ●抽象的に考えるのが好きな人や、抱える部門・組織の規模が数十人と多い場合は、抽象度が高い力量管理表になる傾向が高いでしょう。

    ●例えば、このような管理項目が考えられます。

    ●力量管理表の管理項目
    ①業界の知識、業務の知識・経験
    ②顧客などの対外折衝・交渉力
    ③プレゼンテーション
    ④プロジェクトマネジメント
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界)
     (担当する規模によって力量難易度が変わるのが明確なもの)
     例: 小規模システム導入(入社2,3年目でもできる仕事)
        中規模システム導入(入社5~8年目でないとできない仕事)
        大規模システム導入(熟練かつ資格がないとできない仕事)
    ⑥安全・品質・環境(製造業向け)
    ⑦異文化コミュニケーション(海外、SDGs)
    ⑧ITスキル(コロナ禍のリモートワーク、DX)
    ⑨健康管理(シニア層が多い職場)
    など

    職場でよく見かける項目になったでしょう。
    部門・組織の目標を達成するには、専門性、交渉力、プロジェクトマネジメント、製品・システム担当経験、資格などが必要です。製造業なら、さらに安全・品質・環境マインドも必要ですね。

    最近だと、多様性、コロナ禍によるリモートワーク、建設業に多いシニア層の活躍なども力量管理項目に入れても良さそうですね。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    力量管理項目の例1(具象度が高い力量管理表)

    一方で、小規模な部門・組織や具体的に考える方を好む場合は、具体的な作業を力量管理項目に入れてもOKです。

    例として、私のQCプラネッツに必要な力量管理項目を考えたので、紹介します。

    ●力量管理表の管理項目
    ①WordPressが使いこなせる
    ②ブログの内容・記事の構成ができる
    ③ブログを書くための高い専門性(品質管理、統計など)がある
    ④SNS(Twitter,LINE,note,Youtube,Instagram)ができる
    ⑤商品が作れる
    ⑥SNSを使って集客・商品販売ができる
    ⑦プロジェクトマネジメントができる
    特に今は要らないとする(苦手なので)
    ×対外コミュニケーションがある
    ×顧客対応
    など

    あなたも、目指すことややりたいことを実現するには、どんな力量が必要かを考えて、その力量が十分あるかを確認するとよいでしょう。

    職場にある力量管理表を真似るのではなく
    部門・組織の目標達成するためには、何ができるようになればよいかを考えて列挙しましょう。

    ④力量管理の評価の仕方

    評価方法・基準・レベルは自由に設定してよいです。ただし、社内の品質内部監査やISO9001認証機関による外部審査では力量管理の評価はよく質疑されます。

    例えば、次のような力量管理表を管理していたとします。

    Aさん Bさん Cさん Dさん
    スキル/入社年数 15 10 6 2
    ①業界の知識、業務の知識・経験 S S A C
    ②顧客などの対外折衝・交渉力 S S B C
    ③プレゼンテーション S A A B
    ④プロジェクトマネジメント S A C B
    ⑤製品・システム担当(モノを造る業界) S S A B

    ●評価基準
    S:指導ができる
    A:自分でできる
    B:指導されたらできる
    C:指導が必須

    ●質疑されるポイントをまとめます。

    1. 力量管理項目の妥当性(あなたの部門のリスク・機会・品質目標に沿っているか?)
    2. 評価基準S,A,B,Cの妥当性
    3. 例えば評価Sの人が何ができるか具体的に教えてほしい
    4. 4人のうち、今年度は誰にどんなスキルアップをさせるのか?(教育計画)
    5. オールSのAさんは頭打ちになっているが、次何を目指すのか?
    監査でつっこまれるからではなく、
    部門・組織の目標達成のために上の5つの質疑に対する
    あなたの答えをしっかり持つことが重要です。
    正解・不正解はありません。
    自分の言葉で力量管理項目が説明できることが重要です。

    まとめると、

    ●力量管理項目は目標・目的から考える
    ●力量管理の項目は常に見直す
    ●部下の育成に何が必要かをよく考える
    ●ベテランは次何をするかを考える

    力量と力量管理のエッセンスが十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 7.2 力量をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②力量とは「その場ですぐできる力」
    • ③力量管理項目の考え方【実際考えると意外と難しい】
    • ④力量管理の評価の仕方

  • ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる

    「ISO9001要求事項やJISハンドブックを読んでもよくわからない」、「ISOコンサルタントに何を聞けばいいのかがわからない」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。難しいね~と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    10.3 継続的改善
    組織は,品質マネジメントシステムの適切性,妥当性及び有効性継続的に改善しなければならない。 組織は,継続的改善の一環として取り組まなければならない必要性又は機会があるかどうかを明確にするために,分析及び評価の結果並びにマネジメントレビューからのアウトプットを検討しなければならない。

    ISOコンサルタントや、品質管理の専門家が、この文章に即して解説するのですが、これがまた、理解できないものばかりですね。だから、品質管理は煙たがられるんですよね。

    難解な文章は気にしなくていいです。多くの人が同じ解釈になるように抽象的に書く必要がある分、わかりにくくなるのです。

    ●気にすべき内容は、次の2点です。これだけ意識しましょう。

    1. 適切性,妥当性及び有効性
    2. 継続的に改善

    JISハンドブックの解説

    意外とたくさん規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針
    4. JIS Q9024 マネジメントシステムのパフォーマンス改善 継続的改善の手順及び技法の指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    10.3 継続的改善 ISO9001 2015 10.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    10.3 継続的改善 JIS Q9001 10.3の補足
    あまりよくわからない。
    読まなくてもいい
    JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質
    -持続的成功を達成するための指針
    11.2改善 さらに詳細説明がある。
    わかった感じになるが、
    何をしたらいいかがわからない
    JIS Q9024 マネジメントシステムの
    パフォーマンス改善
    継続的改善の手順及び技法の指針
    全部 改善方法・効果方法を解説。
    その通りやればよいが、
    自分の言葉では説明できないかも。

    なので、結論は、

    JISハンドブックを読めばわかった気がする。
    その通りやればそれなりに改善できそう。
    でも、頭で理解できず、自分の言葉で説明できない。

    なので、品質管理部門へ問い合わせが、よく来ます。

    「継続的改善って何すればいいの?」
    「こんな感じでにすれば継続的改善したと言えるかな?」
    「内部監査の時に、あまり突っ込まないで!」

    ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」

    品質管理はそもそも、シンプルで簡単です。なのに、皆難しくしたがるので困りますね。

    ●簡単に継続的改善がわかる解説をします。

    継続的改善は
    ①ちょっとずつ
    ②改善を
    ③継続すること

    これが一番理解しやすい解説と考えます。

    なぜ、ちょっとずつなのか?

    ①ちょっとずつが最重要です。その理由は

    1. 急な改善では、ついていけないし、逆にストレス
    2. ストレスで嫌なことは終わったらしなくなる
    3. その結果、改善前より悪化するオチになる

    いきなり、大きな目標を立てて改善すると、現行とのひずみが生じたり、無理が生じます。そんなしんどい改善はしたくありませんし、改善の監視が終わると、二度とやらない!となり、逆効果すらなります。

    ですからちょっとずつ負荷をかけて、負荷がかかっても問題なければ、もう少し負荷をかけていく感じで行くのが良いです。

    負荷をかけてもしんどくない状態、それが当たり前の状態になれば、過去から改善できた状態ができたことになります。これを長期的に続けるのが、継続的改善のポイントです。

    継続的改善

    ③わかりやすい継続的改善の例

    継続的改善をわかりやすく解説しました。私生活にも継続的改善例があります。

    1. ダイエット1年で15kg減量
    2. TOEICスコア1年で200点スコアアップ
    3. 相手からの自分の評価・信頼

    どれも、すぐに目標達成したものばかりですが、時間をかけた方が、元の状態に戻ることはありませんよね。

    ダイエットの例で解説しましょう。私も1年で15kgを落とした経験があり、それから10年経過しますが、いまだにもとの肥満状態に戻らず体重を維持しています。

    継続的改善 ~ダイエットの例

    よく広告で見かけませんか?

    3か月で10kg減量

    結構キツイし、そのストレスでリバウンドする人も多いです。

    ダイエットは大変です。それは、1kg落とすのに9,000kcal(脂肪1g 9kcalで計算)と落とす必要があるからです。

    1ヶ月で1kg落とすだけでも大変!でも「たった1kgかあ」と落胆しますよね。

    でも、-1kg=-9,000kgで 1ヶ月で達成するには1日-300kcalが必須です。これは、1食のうち半分減らし、運動習慣をつけないと継続できません。

    「無理」とするか、「ちょっとおかず減らして、ちょっと運動すればいいんでしょう!」となるかが、
    継続的改善の第一歩ですね。

    ポイントは,

    1. ちょっとしんどいけど、できそうな目標から始める
    2. しんどいけど、1ヶ月は続ける
    3. 徐々に、ダイエットの習慣を身に着ける
    4. しんどくないなら、もう少しダイエット対策を増やす
    5. すぐに結果を求めず、半年、1年くらい続ける

    私は、これで1年で15kg落ちていきました。食事、運動、生活習慣を少しずつ変えていけば、時間はかかりますが、目標達成できます。

    ダイエットの例から継続的改善のエッセンスを確認

    ダイエットの内容は、わかりやすかったでしょう。これをISO9001 継続的改善の内容のエッセンスと合わせてみましょう。

    ダイエット 継続的改善
    ちょっとしんどいけど、
    できそうな目標から始める
    ちょっとしんどいけど、
    できる改善目標からスタートする
    しんどいけど、1ヶ月は続ける ある期間は継続して様子をみる
    徐々に、ダイエットの習慣を
    身に着ける
    改善習慣に慣れるのを確認し、
    元の状態ではダメとわかる
    しんどくないなら、
    もう少しダイエット対策を増やす
    もっと、できそうなら
    さらに改善目標を立てる
    すぐに結果を求めず、
    半年、1年くらい続ける
    数年という長期的視野で
    少しずつ確実に改善していく

    ④業務の継続的改善方法

    ここまで読めば、部門、組織、業務での継続的改善は何をしたらよいかが見えてくるはずです。

    私が、よくライン部門に指示している内容をまとめます。

    1. 目指したい高い目標は何か?
    2. 現状と目標の差(ギャップ)を明確化する
    3. ギャップを埋める期間を数年の視野で見るよう指示する
    4. 今できる改善策を立ててもらう
    5. すぐには結果が出ないことを伝えつつ、良くなった効果を評価する
    6. 改善策が部門に浸透してきたら、次の改善策を指示する
    7. ライン部門と一緒に走る姿勢を品質管理部門が見せる
    8. とにかく、ちょっとずつでいいから続けるようエンパワーメントする

    ポイントは、

    継続的改善は
    ①ちょっとずつ
    ②改善を
    ③継続すること

    これが継続的改善につながるのです。

    仕事でもプライベートでも使える
    継続的改善
    テクニックを是非手に入れてください。
    何でもできるようになりますね!

    人間ってすごい!

    まとめ

    ISO9001 2015 10.3 継続的改善をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②継続的改善とは「ちょっとずつ改善し続ける事」
    • ③わかりやすい継続的改善の例
    • ④業務の継続的改善方法

  • 管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    管理図の良書の紹介(QCプラネッツを読む方がベター)

    「管理図の良書が無い」、などと困っていませんか?

    こういう期待に答えます。

    本記事のテーマ

    管理図の良書を紹介するけどQCプラネッツを読む方がベター

    結論

    ●管理図の良書自体少ない。
    ●理論を詳しくまとめたものは古すぎる
    ●QCプラネッツの記事を読んだ方がベター
    理論が詳しい本ほど古いです。
    でも古いため、読んでで「なぜ?」と思う内容も多いです。
    なので、QCプラネッツが今、必要とされる管理図の使い方や理論をまとめました。
    一応、数少ない良書を紹介します。

    ●Youtube動画でも解説しています。ご確認ください。

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    ①良書のご紹介と解説

    良書一覧

    【1】管理図法―品質管理教程 (1962年) 【評価:◎】
    【評価理由】管理図の使い方、事例、理論が最も詳しい。1962年、1986年版があるが、理論多めの1962年の方がベター。

    【2】新編統計数値表 河出書房 1952 【評価:〇】
    【評価理由】R管理図のd2,d3の導出過程を最も詳しく書いている。しかし、それでも導出の途中経過がわからない。その他多くの統計の数理が紹介されている。

    【3】1回で合格!QC検定®2級テキスト&問題集【評価:〇】
    【評価理由】使い方は理解できる。入門書としては良い。

    【4】【新レベル表対応版】QC検定®受検テキスト1級 (品質管理検定集中講座[1])【評価:〇】
    【評価理由】群内、群間変動、工程異常ルールなど管理図全体を網羅している。試験対策には必須。でも理論はわからない。QC検定®1級で管理図を使った問題が一番苦労するはず。

    【5】管理図の作り方と活用 (新版QC入門講座) 日本規格協会【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    【6】管理図活用の基本と応用 管理図を見直そう 日本規格協会 1986【評価:△】
    【評価理由】使い方は理解できるが、理論がわからない。ほとんどの教科書が、管理図の使い方ばかり説明なので、理論・本質が理解できず悩ましいです。

    ●商標使用について、
    ①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
    ➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
    ➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

    ②良書だけでは不十分

    関連記事、でまとめましたが、管理図の理論や本質が教科書では十分わかりません。次の問いは教科書に十分書いていません。

    1. 「管理図=シューハート管理図」と頭がセットされていませんか?
    2. 管理図係数表の値の導出はできますか?
    3. 管理図係数表の値はnが6以上でないと使えない理由は説明できますか?
    4. 管理図係数表が計量値管理図しかない理由は説明できますか?
    5. 管理図で、群内データnを∞にしたら管理図はどうなるか説明できますか?
    6. 分散公式\(σ_x^2\)=\(σ_w^2\)+\(σ_b^2\)と\(σ_\bar{x^2}\)=\(\frac{σ_w^2}{n}\)+\(σ_b^2\)は導出できますか?
    7. データを層別していったら、群内・群間変動は追って計算できますか?
    8. JISにある異常判定ルールはどのように決まっているか説明できますか?
    9. 第1種の誤り、第2種の誤りと管理図の管理限界との関係、検出力への影響が説明できますか?

    これらを研究することで、管理図の理論・本質が理解できるようになります。

    すべてQCプラネッツの記事に書いていますので、関連記事にて確認ください。

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