カテゴリー: 実践

  • ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる

    「運用の計画及び管理って何をやればいいの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる
    • ①要求事項の簡略化
    • ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図
    • ③プロセスって何?
    • ④事例紹介
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    ①要求事項の簡略化

    ISO9001要求事項

    8.1 運用の計画及び管理
    組織は,次に示す事項の実施によって,製品及びサービスの提供に関する要求事項を満たすため,並びに箇条6で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを,計画し,実施し,かつ,管理しなければならない(4.4参照)。
    a) 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    b) 次の事項に関する基準の設定
    1) プロセス
    2) 製品及びサービスの合否判定
    c) 製品及びサービスの要求事項への適合を達成するために必要な資源の明確化
    d) b) の基準に従った,プロセスの管理の実施
    e) 次の目的のために必要な程度の,文書化した情報の明確化,維持及び保持
    1) プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつ。
    2) 製品及びサービスの要求事項への適合を実証する。
    この計画のアウトプットは,組織の運用に適したものでなければならない。 組織は,計画した変更を管理し,意図しない変更によって生じた結果をレビューし,必要に応じて,有害な影響を軽減する処置をとらなければならない。 組織は,外部委託したプロセスが管理されていることを確実にしなければならない(8.4参照)。

    難しいですね。わかりやすく理解するために、ポイントを部分的に取り出しましょう。

    8.1 運用の計画及び管理
    組織は,プロセスを,計画・実施・管理する。
    a) 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
    b) プロセスと合否判定を管理する
    c) 必要な資源
    e)文書化した情報の維持及び保持
    1) プロセスの計画と実績の管理
    2) 要求事項への適合を実証
    組織は,変更を管理し,必要に応じてリスクの対する処置をとる

    こう簡略すると、理解しやすいですね。

    ●ISO9001 2015 8.1は8章の構成を書いたものです。全体の構成図を次に解説します。

    ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図

    構成図

    あなたが所属する組織(会社、組織)の関係性とプロセスについて下図にまとめます。

    プロセス

    縦が人間の関係性、横が業務のプロセスの関係性です。

    縦の関係性、横の関係性

    ●縦は、上から顧客・エンドユーザ、下は自社です。自社はさらに三段階に分けて、Top,Middle,Bottomに分かれます。それぞれの段階で求められる品質の要求事項があります。

    ●横は、自社のプロセスの流れと関係性です。ISO9001はあらゆる業種に対応していますが、大まかに、
    受注・仕様⇒設計・開発⇒購買⇒製造⇒引渡(出荷)⇒不適合(保守)
    の流れで製品及びサービスを提供します。

    ISO9001 要求事項

    縦と横の関係性とISO9001の要求事項の関係をまとめます。

    ●縦は4,5,6,7,9,10章の組織の運営について
    ●横は8章のプロセスの在り方(プロセスアプローチ)について

    と分けて考えるとわかりやすいです。

    品質監査でも、
    ●前半は4,5,6,7,9,10章を監査して
    ●後半は8章のプロセス(具体的な製造及びサービスの現在進行形な業務)を監査します。

    ③プロセスって何?

    プロセスって何?

    ●プロセスは日本語では、工程、過程とよく訳します。
    しかし、プロセスアプローチなどの用語になるとプロセスって何か?が理解しにくくなります。

    ●品質におけるプロセスは、次のように解釈するとわかりやすいです。

    プロセスとは、
    インプットをアウトプットに変えるもの

    プロセス

    漠然としていますね、わかったようで、わからない(笑)。
    プロセス=工程、過程よりもう少し広い意味でとらえるとよいです。

    プロセス

    上の図を見ると、いろいろなものがプロセスとして定義できることがわかります。

    プロセス

    ●数学の関数fもプロセスです。インプットxをアウトプットyに変える式ですね。
    ●会議もプロセスです。インプットの資料をもとに協議してアウトプットの議事録を作りますね。
    ●設計もプロセスです。インプットの仕様書をもとに、設計して、アウトプットの設計図に落とし込みます。

    ●関数、会議、設計と粒度がそれぞれ異なりますが、1つにプロセスとまとめてOKです。

    インプット、アウトプットの明確化も大事

    ●プロセスを評価するのと同時に、インプット・アウトプットもしっかり確認します。

    インプットがヌケモレや曖昧だと、よいプロセスでもアウトプットの質は良くありません。また、インプットとアウトプットが明確でもプロセスに不備がある場合もあります。

    ●インプット、プロセス、アウトプットを明確にヌケモレがないように注意しましょう。

    インプット、アウトプットのどこをチェックすべきか?

    ●5W1Hが明確かを最初にチェックします。
    ・誰が?(Who)
    ・いつ(いつまでに)? (When)
    ・どこで? (Where)
    ・何を?(What)
    ・なぜ?(Why)
    ・どのように?(How)
    がインプット、アウトプットともに明確かどうか?を確認します。例えば、設計プロセスを見る場合、アウトプットから逆算して、必要な要素がそろっているかを確認します。

    ●5W1Hが明確な場合は、インプットープロセスーアウトプット間に整合性がとれているか?
    明らかに、要求のアウトプットにできない場合(レベル、期日、価格、安全性など)かどうかを見ましょう。例えば、5W1Hが明確な仕様書をもとに、その設計プロセスのレベルを見て、要求のアウトプットができるかどうかなどです。

    ●品質トラブルになる場合は、インプット、アウトプットが明確でない、インプットープロセスーアウトプット間に整合性が取れていないなどを疑いましょう。

    ④事例紹介

    プロセスの具体例をいくつか挙げて、イメージしやすくしましょう。3例を挙げてみましょう。

    1. 装置製造などのハードウェアの工場
    2. システム開発などのソフトウェア会社
    3. ISO9001を取得した保育園

    ん? 保育園? 保育園がISO9001取得しているの? そうです。取得している保育園があります。Google で「ISO9001 保育園」で検索してください。

    ●では、上の3例のプロセスを具体的挙げてみましょう。

    装置製造などのハードウェアの工場

    ハードウェアの製造業が一番ISO9001 の要求事項と相性が強いです。なぜなら、ISO9001 は1987年から規定していますが、当時はハードウェアの製造業しかなかったためです。なお、要求事項「8章運用」は、ISO9001 の初期からの名残として今も残っています。

    ハードウェアの場合は、要求事項とプロセスは次の関係になります。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 全般の管理
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    受注・仕様
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    製造
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    引渡・出荷
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    保守

    システム開発などのソフトウェア会社

    ここ、20年ほどでソフトウェアーやサービス業にもISO9001を取得する組織が増えています。基本的には、ハードウェアと同じプロセスを通るはずです。

    ソフトウェアの場合は、要求事項とプロセスは次の関係になります。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 全般の管理
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    受注・仕様
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    設計・開発
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    インプリメンテーション
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    インストール(引渡・出荷)
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    保守・更新

    ●製造をインプリメンテーション
    ●引渡、出荷をインストール
    ●保守に更新を追加
    など、ソフトウェア独自のプロセスが入ります。

    ISO9001を取得した保育園の場合

    製造業なら、わかりやすいですが、保育園の運用って何でしょうね? もし、保育園を品質監査してと言われたら、あなたは何を質疑しますか?

    ●製造業では、
    ①受注・仕様⇒②設計・開発⇒③購買⇒④製造⇒⑤引渡・出荷⇒⑥保守
    でした。

    保育園では、どんなプロセスが該当するのでしょうか?

    例えば、園児を中心に考えると、次の表の案が考えられます。

    No 要求事項 プロセス
    8.1 運用の計画及び管理 運営
    8.2 製品及びサービス
    に関する要求事項
    募集・入園
    8.3 製品及びサービス
    の設計・開発
    保育計画
    8.4 外部から提供されるプロセス,
    製品及びサービスの管理
    購買
    8.5 製造及び
    サービス提供
    育児・保育
    8.6 製品及び
    サービスのリリース
    退園・卒園
    8.7 不適合なアウト
    プットの管理
    苦情対応
    ISO9001を取得して達成した目標は何か?に合わせてプロセスを考えましょう。上の例は、園児の教育・成長を目標にしたので、それに合わせたプロセスを例に挙げました。その他のプロセスでもOKです。

    ISO9001は手段、目的は達成したいことです。達成したい目標に向かって
    インプット、プロセス、アウトプットが明確で有用に機能していることが重要です。

    まとめ

    ISO9001 2015 8_1 運用の計画及び管理がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①要求事項の簡略化
    • ②ISO9001要求事項 8 運用の構成図
    • ③プロセスって何?
    • ④事例紹介

  • ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる

    ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる

    「コミュニケーションすれば、本当に品質向上につながるの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_4 コミュニケーションがわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②コミュニケーションって何をしたらいいの?
    • ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション
    • ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫
    • ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?
    コミュニケーションが大切なら、単に、ワイワイ会話する職場にすればいいんでしょう!
    でも、そんなんでいいの? コミュニケーションは何をすれば品質向上につながるの?

    半分正解で、半分不足しているので解説します。

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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説

    ISO9001要求事項

    7.4 コミュニケーション
    組織は,次の事項を含む,品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。
    a) コミュニケーションの内容
    b) コミュニケーションの実施時期
    c) コミュニケーションの対象者
    d) コミュニケーションの方法
    e) コミュニケーションを行う人

    シンプルだからわかりやすい?

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7_4_コミュニケーション ISO9001 2015 7.4
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7_4_コミュニケーション より詳細な説明

    ちょっとわかりにくいので、わかりやすく解説していきます。

    ②コミュニケーションって何をしたらいいの?

    コミュニケーションとは?

    コミュニケーションとは、意思疎通です。
    伝えたい内容を100%正しく相手に伝えることです。

    なので、

    1. 言葉で正しく相手に伝えること
    2. 相手に伝えられる文書であること

    が重要で、相手に要求事項や仕様が正しく伝わらないと、品質悪化につながります。

    コミュニケーションには、相手によって2種類分けます。
    ●内部コミュニケーション⇒社内、組織内
    ●外部コミュニケーション⇒社外、顧客

    それぞれ見ていきましょう。

    内部コミュニケーション

    普段の業務においては次の3点に注意しましょう。よく連絡取りあう仲である分、関係が悪いと嫌ですよね。

    1. 話しかけやすい人になること
    2. 定期会議、朝昼例の運営と記録
    3. リモートワークでの、素早い反応

    ●話しかけやすい人になること
    ⇒基本ですね。けど、話が長く、自分のことばかり話す人もいるので、適度に「話しかけるオーラ」も必要です。友達の関係ではないからです。

    ●定期会議、朝昼例の運営と記録
    ⇒報連相の基本です。社内の記録をいちいち書くのは面倒ですが、外部コミュニケーションで対外への文書を作るための訓練として役立てるといいですね。

    ●リモートワークでの、素早い反応
    ⇒チャット、電話など、来たらすぐに反応しましょう。相手が見えないため、余計な不安や疑心を持ち、関係性が悪化します。

    外部コミュニケーション

    対取引先なので、次の3つがあります。

    1. 対面での対話
    2. 電話
    3. メール、仕様書、請求書、打合せ記録などの文書

    ●対話、電話
    ⇒人間の基本行動ですが、一番難しいし、あとで品質トラブルにもつながりやすいです。あいまいなやりとり、相手に対する思い込むなど、特に対外業務が慣れた人がやりがちです。

    ●文書
    ⇒面倒ですが、精度高く相手に伝える・確認するために、文書を作成し維持保持しておくとよいです。トラブったときのエビデンスになり、自分も相手も守ることにつながります。

    ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション

    なぜコミュニケーションが品質トラブルの主原因か?

    それは、

    品質を作りこむ上流工程では、コミュニケーションがほとんどを占めるから

    ●最初の工程である、仕様では、
    ・顧客と打合せで仕様を詰めていく
    ・仕様が電話・メールなどで頻繁に変わっていく
    ・仕様を決めるときは簡単に内容が変わっていく

    しかし、下流工程になると製造が始まり
    ・簡単に仕様変更ができない
    ・仕様の完成度が悪いとできばえも悪い
    ・出来が悪いと、相手と「言った、言わない」でもめる
    と、営業担当が電話でよく「ぎゃーぎゃー」やるシーンをよく見ますよね。

    品質を作りこむ上流工程では、コミュニケーションがほとんどを占める。上流品質の作りこみが最も大事だから。
    その割に、いい加減なコミュニケーションで仕様を作りこむ現状も多い

    では、高品質につながるために、どんなコミュニケーションをすればよいのでしょうか?
    コミュニケーションの上手な方法って、意外と教えてもらえず、先輩の背中を見て育つことが多いですよね。

    コミュニケーションで品質を作りこむ

    次の3点を提示します。面倒ですが、最初が肝心です。

    1. 電話で決めたことは内容確認書を作ってメールで送る
    2. 5W1Hと主語述語をはっきり書く
    3. 誰が書いても同じ結果になる文書のフォーマットに注意する
    ISO9001というより、営業の基本だよね!
    そうなんです!

    営業の基本が高い品質を作りこむため、
    ISO9001のコミュニケーションは営業の基本です。

    仕事の基本は、若いうちに身に着けないと、いつまで経ってもできない人になりますよね。だから、ISO9001でも要求しているのです。

    電話で決めたことは内容確認書を作ってメールで送る

    電話で、QCDに関わるやりとりをした場合は、記録を残して共有した方が、後々リスクが下がります。そして、誰が仕様面の注意に気が付くと、下流工程でのやり直しリスクも下がります。

    5W1Hと主語述語をはっきり書く

    相手に対して、はっきり書くのは躊躇しがちですが、あえてはっきり伝えましょう。
    「誰が、何を、どこに、いつまでに、どのようにやるか?」をはっきり書くと相手も助かるはずです。

    「言った、言わない」の喧嘩が無くなり、「どう解決するか」を相手と詰めることがすぐできます。

    誰が書いても同じ結果になる文書のフォーマットに注意する

    何でも書けそうな文書枠、記入欄にしないことです。品質監査でもよくチェックします。機械的に記入できるほど、具体的な業務・作業内容が書けるように、文書を作りこむと良いです。

    コミュニケーションは相手に正しく伝えることです。ISO9001というよりは、仕事の基本をちゃんとやりましょう!です。若い時に身に着けてましょう。評価も上がり昇進にもつながります。

    ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫

    コロナ禍でコミュニケーションが難しくなりました。どんな工夫をするかがポイントです。品質監査でもここのポイントを高く評価する流行りがあります。

    コロナ禍では、あなたはコミュニケーションでどんな工夫をしていますか?

    ちょっと考えてみましょう。

    コロナ禍のような大きな環境変化があっても、我々は意外と対応できることも実感できていますよね! 対応能力こそ、生き延びる力!

    いくつか例を挙げます。

    ●対面打合せができなくなったが、客先への移動は不要な分、社内関係者を普段よりたくさんリモート打合せに呼び、情報共有を強化した。

    ●電子ツールやアプリを導入して、報連相を1対1から1対Nに変えた。現場の状況が瞬時に職場の関係者に伝わり、全員ですぐ協議できるメリットがある。

    ●仕様を今まで口頭で決めていたが、DXの波にのって、プラットフォームを使って仕様を詰める方法に切り替えた。営業の経験によらず、プラットフォームからヌケモレを自動チェックするので、仕様品質が一気に向上した。

    監査でもらった回答事例の一部です。
    意外とPCやプログラミングが苦手そうな人からこういう回答をもらうので、いざとなったら、何でも対応できるじゃん!と対応力の高さを改めて理解できました。

    知恵を活かすのも生き延びるために必須です。
    知恵を出しあい、変革するのもコミュニケーションです。

    ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?

    単に会話したり、会議すればいいってことではない!
    コミュニケーションとらないといけない状況を作れているか?
    コミュニケーションしないとできない状況にうまく追い込んでいけているか?
    が大事!

    わかりきった業務なら、会話は不要で、むしろ黙って淡々と仕上げたらいいです。

    1. 初めての業務をさせて、成長させる状況を作っているか?
    2. しゃべったことがない人・部門・パートナーのところに行って、コミュニケーションをとれる状況になっているか?
    3. 初めての状況で不安や緊張させる状況が作れているか?

    コミュニケーションは、相手との相互作用や価値創造を促すものであるため、
    廊下でペチャクチャ同僚と話ししたり、
    惰性の会議をやり続けることではありません。

    初めてで本当は話したくないけど、しないと先に進めない!でも、緊張する! うまく伝えて事を進めるにはどうしたらいい?と緊張と汗をかくことがコミュニケーションでは大事です。

    報連相や日頃の会話も大事ですが、
    コミュニケーションせざるを得ない状況を組織が各担当に上手に追い込むことも必要です。

    新たな業務や配置転換、標準化など定期的に半強制的に実施すると、汗をかいてしゃべったことがない相手とコミュニケーションが進みます。

    その回数が多いほど、人脈もでき、多くの人からの知恵がもらえる恩恵があり、組織が強くなっていきます!

    惰性や忖度は
    コミュニケーションの最大の敵!
    コミュニケーションは緊張と汗の数ともいえます!

    コミュニケーションだけに、口だけではなく行動で実施していきましょう!

    まとめ

    ISO9001 2015 7_4_コミュニケーションがわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②コミュニケーションって何をしたらいいの?
    • ③品質トラブルの原因の多くがコミュニケーション
    • ④コロナ禍でのコミュニケーションの工夫
    • ⑤コミュニケーションさせる状況を作っているか?

  • ISO9001 2015 7_3_認識がわかる

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる

    「認識って何?」、「どうやれば認識されるの?」と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②認識(Awareness)って何?
    • ③何を認識させ、どうやって認識させるか?
    • ④認識がない組織はどうなるか?

    結論

    品質やISOだけの認識ではなく
    あなたの人生が有意義になるよう認識することが重要です。

    ISO9001の要求事項に合わせるレベルではなく、もっと視座を上げて、あなたの人生の意義を先に認識しましょう。そうすれば、やるべきことが明確になるし、人生の質も、業務の質も向上するからです。

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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説

    ISO9001要求事項

    7.3 認識
    組織は,組織の管理下で働く人々が,次の事項に関して認識をもつことを確実にしなければならない。
    a) 品質方針
    b) 関連する品質目標
    c) パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む,品質マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
    d) 品質マネジメントシステム要求事項に適合しないことの意味

    認識ってそもその何? でつまづきますよね!

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    7.3 認識 ISO9001 2015 7.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    7.3 認識 より詳細な説明

    書いている内容は、それなりに理解できるが、認識って何?を自分の言葉で説明できないと理解できないでしょう。

    では、わかりやすく解説していきます。

    ②認識(Awareness)って何?

    辞書の意味

    認識していない状態は、下図のような感じですね。わかってなくて、ボケっとしている様子です。

    辞書を引くと、

    ●認識⇒その物事を知り、その本質を理解すること

    そして、認識の英訳をAwarenessとしていますが、Awarenessを辞書で引くと、

    ●Awareness⇒自覚すること

    まとめると、

    その物事の本質を理解し、自覚すること

    なるほど、

    認識とは、
    ●業務を認識すること⇒業務の本質を理解し、自覚して取り組むこと
    これだけでも、品質向上しそうですね!

    さらに認識の対象範囲を広げてみましょう。

    ●日々の生活を認識すること⇒何を目指して毎日頑張っているか?を考えてみる
    ●人生を認識すること⇒自分の将来、人生の目標を再設定する
    人生の質が上がりそうですね!まだまだイケる!とテンションが上がりますね!

    本質を理解して、自覚する認識が高まると
    業務の質、品質、人生の質すべてが向上できるパワーがつきます!

    認識の一般的な理解をした上で、ISOやJISにおける認識も理解しましょう。

    ISOやJISにおける「認識」とは?

    人生の質に比べると、業務や組織の質の向上と範囲が狭くなります。認識の一般的な理解をしていれば、仕事の認識はその一部であると考えればOKです。

    ●ISOやJISにおける「認識」とは、次の5つと考えます。

    1. よい品質を作りこむために何をすべきかを理解すること
    2. 品質目標を理解して、貢献すること
    3. 自ら行動すること
    4. 品質マネジメントシステムを有効に機能させたり、できないことを明確にすること
    5. PDCA,継続的改善につなげること

    業務の中の狭い「認識」です。ポイントは、
    ●経営者の意志を反映した品質方針、品質目標とあなたの認識が整合していること
    ●自ら行動するリーダシップを持つこと
    ●ちょっとずつでいいから、改善を継続すること
    です。

    でも、本音は、

    認識を考えるなら、業務に限らず、あなたの人生の質を高めるよう認識することが大事!

    ③何を認識させ、どうやって認識させるか?

    認識の重要性を解説しました。では、何を、どうやって、周囲の人たちに「認識」させればよいでしょうか?

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。

    何を「認識」させるか?

    認識してほしいもの

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上
    3. あなたの人生

    考え方

    最初に、

    1. 目の前の業務

    だけだと、相手は認識したいとなりませんね。もう少し上の目標を与えてもいいでしょう。

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上

    少し上の目標を与えて、組織の品質・収益向上によって、あなたが評価されたり給与がアップすることを伝えると、少し認識しようとなるでしょう。

    でも、仕事だけか?と疑問に思ってくれたら勝ちです!

    1. 目の前の業務
    2. 組織の品質・収益向上
    3. あなたの人生

    まで提案すると、人生と業務、と長期的視野と、短期的視野の両面で自分の生きる意義が理解できます。自発的な行動が高まり、ISO,JISの「認識」もカバーできるでしょう。

    どうやって「認識」させるか?

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。

    「認識」の響かせ方は、

    1. トップマネジメントとミドルマネジメントが連携して本気さを伝えること
    2. 業務や生活に「認識」が有効であると分からせること
    3. 「認識」して自発的に行動すれば評価される環境を構築
    4. 時間と手間はかかるが諦めないこと

    ですね。
    契約だから、認識して仕事しないとクビとか厳しく縛っても、無意味です。自ら行動できるようにサポートしないと、相手は「認識」しません。

    子供に勉強させようと「認識」させるのと同じ。
    「ヤレっと」言ってもやらないでしょ!
    やらして、褒めて、自信つけさせて、徐々に自分で勉強するのと同じです。

    「認識」できる環境に必要な要素

    1. トップマネジメントの本気さ
    2. トップマネジメントとミドルマネジメントの良い関係性
    3. ミドルマネジメントが組織担当者へのエンパワーメント
    4. 認識できた結果を高評価すること

    ●トップマネジメント(経営陣)が本気でないと、誰もしませんよね。「隗より始めよ」です。

    ●トップマネジメントとミドルマネジメントの良い関係性が難しくて、誰もが納得いく人がトップマネジメントになれば、スムーズです。しかし、「なんであいつや上なん?」な人ならギクシャクするかもしれませんし、何かテコ入れが必要でしょう。

    ●ミドルマネジメントが組織担当者へのエンパワーメントですが、「何度も伝える事」、「少しでも担当者の意識が変わったら褒める!」につきます。人は褒めて伸びます!日頃の変化に着目しましょう。愛が必要ですね。「お前やっとけ!」な指示型だとダメ。

    ●認識できた結果を高評価することですが、業務表彰や、給与への反映などに対応すればよいでしょう。

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。
    最初は少しずつでよいから、継続することが重要です。

    ④認識がない組織はどうなるか?

    逆のパターンですね。当然、組織が悪くなり、腐っていきます。

    1. 業務の意義を理解せずに独断でやっている
    2. ばらばらに動く
    3. 業務が属人化して伝達されない
    4. 業務の質が落ちる結果、不正や隠ぺい・改ざんに走る

    ISO9001認証取得した有名企業で、よく品質不正で非難されますが、その原因の元は、「認識」が有効に機能していないことです。

    過剰なノルマ要求、顧客より社内政治を優先する環境だと、ISO9001 7.3を認証取得しても、実態は「認識」が有効に機能していないのです。

    「認識」が有効に機能するよう、組織全体で改革しなければなりません。

    相手の心に響かせないと、相手は「認識」しない。
    仕組みをそろえただけでは、「認識」しない。
    最初は少しずつでよいから、継続することが重要です。

    ここまで読めば、「認識」の重要さが「認識」できたはずです。

    まとめ

    ISO9001 2015 7_3_認識がわかる をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②認識(Awareness)って何?
    • ③何を認識させ、どうやって認識させるか?
    • ④認識がない組織はどうなるか?

  • ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる(品質目標は期の途中でも変更OK!)

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる(品質目標は期の途中でも変更OK!)

    「品質目標って期の途中でも変更していいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)がわかる
    • ①ISO9001要求事項の解説
    • ②品質目標はいつでも変更OKです
    短い記事ですが、どうしても伝えておくべき内容なので解説します。
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    ①ISO9001要求事項の解説

    ISO9001要求事項

    6.3 変更の計画 組織が品質マネジメントシステムの変更の必要性を決定したとき,その変更は,計画的な方法で行わなければならない(4.4参照)。 組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 変更の目的,及びそれによって起こり得る結果
    b) 品質マネジメントシステムの“完全に整っている状態”(integrity)
    c) 資源の利用可能性 d) 責任及び権限の割当て又は再割当て

    うーん、ちょっと難しいですね。

    かなり正当な理由が無いと、品質目標は変えてはダメ!っと受けてしまいますよね。

    ②品質目標はいつでも変更OKです

    結論

    品質目標はいつでも、期の途中でも変更OKです!
    品質目標を変更したら、履歴書いて、revision管理すればOKです。

    品質目標

    大したことない記事と思うかもしれませんが、

    品質目標は簡単に変えてはいけない!
    「品質目標を途中で変更してもいいですか?」と各部門の部課長からよく問い合わせがきます。
    変更してええよ!(笑)

    なぜ変えてはいけないと思い込んでいるのか?変更して最新の状態に維持しないと何がまずいか?を解説します。これが現状なんですよね。

    品質目標は途中で変えてはいけないと思っている人が多い

    おそらく、
    ●品質管理担当が、ネチネチうるさい人、煙たがられる人がいるとか
    ●経営陣側が「ころころ変えるな!」的な空気感があるとか
    ●単に組織内の手続きが面倒くさいとか
    とかで、「期の途中で更新はしない方がいい」と思うのかもしれません。

    品質目標は維持しなければならない文書です!
    (維持は最新版に更新すること、変更禁止の保持ではありません!)

    「途中で変更してはいけない品質目標」はかえって監査で悪評価とされる

    達成率が100%に行かない目標があり、監査で指摘されると、
    組織長:「期の途中で件数が変わったが、目標値は期初の値だったから、値が100%に行かない。」
    監査員:「期の途中で品質目標を更新して、目標値をあるべき値にしてください」
    として、改善の指摘を受けるハメになります。

    すると、監査員へ
    組織長:「期の途中で品質目標を更新していいんですか?」

    変更してええよ!(笑)

    ただし、履歴管理はしっかりやってください。

    品質目標

    品質目標は維持しなければならない文書です!
    (維持は最新版に更新すること、変更禁止の保持ではありません!)

    まとめ

    ISO9001 2015 6.3 変更の計画(品質目標)をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項の解説
    • ②品質目標はいつでも変更OKです

  • ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 がわかる

    ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 がわかる

    「品質目標って何を書けばいいの?」、「品質目標を書いて効果があるの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質目標の具体的な書き方
    • ③品質監査でチェックされるポイント

    品質目標って何?

    組織、部門、担当者が、各期にやるべきことを書いたものです。
    品質目標を達成すれば組織全体の品質が高まり、トップが示す品質方針につながります。
    みんな好き勝手やったら、あかんよ!というものです。
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
    6.2.1 組織は,品質マネジメントシステムに必要な,関連する機能,階層及びプロセスにおいて,品質目標を確立しなければならない。
    品質目標は,次の事項を満たさなければならない。
    a) 品質方針と整合している。
    b) 測定可能である。
    c) 適用される要求事項を考慮に入れる。
    d) 製品及びサービスの適合,並びに顧客満足の向上に関連している。
    e) 監視する。
    f) 伝達する。
    g) 必要に応じて,更新する。
    組織は,品質目標に関する文書化した情報を維持しなければならない。
    6.2.2 組織は,品質目標をどのように達成するかについて計画するとき,次の事項を決定しなければならない。
    a) 実施事項
    b) 必要な資源
    c) 責任者
    d) 実施事項の完了時期
    e) 結果の評価方法

    うーん、ちょっと難しいですね。わかりやすく解説しますね。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 ISO9001 2015 5.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定 より詳細な説明

    JIS Q9002に書いている重要なポイント

    いつもISOやJISは書いていることが難しいですが、おさえる重要なポイントもあります。

    重要なポイント

    ●品質目標は、

    1. 品質方針と整合すること
    2. 測定可能な指標で評価すること
    3. ちょっとしんどいけど頑張れば達成できるレベルを目標にすること
    4. 品質目標の達成に向けた進捗を監視すること
    5. 必要に応じて更新すること

    それぞれ解説します。

    ●品質方針と整合すること
    ⇒そりゃ、そうですよね。トップと違う内容を目標にしても意味がありません。

    ●測定可能な指標で評価すること
    ⇒必ず 「10件、100%」などの数字で評価します。状態を目標にすると評価基準があいまいになるからです。

    ●ちょっとしんどいけど頑張れば達成できるレベルを目標にすること
    ⇒簡単でも、無理な目標でもダメで、少し上のレベルにしましょう。

    ●品質目標の達成に向けた進捗を監視すること
    ⇒目標は半年、3カ月、毎月のどれかの間隔で、進捗フォローしましょう。やりっぱなしはだと、目標達成のために期末に成果が集中しがちで、組織内に品質の作りこみが浸透しません。

    ●必要に応じて更新すること
    ⇒期の途中で目標値を更新するのはOKです。ただし、正当な理由が必要です。しんどいからはダメです。

    なお、JIS Q9002には、品質目標に必要な要素を、SMARTに書いています。さすが!

    SMART

    単語 意味
    S Specific 具体的
    M Measurable 測定可能
    A Achievable 達成可能
    R Relevant 関連のある
    T Time-bound 期間が限定

    ②品質目標の具体的な書き方

    品質目標に必要な要素

    もう一度説明すると、品質目標は、

    1. 品質方針と整合すること
    2. 測定可能な指標で評価すること
    3. ちょっとしんどいけど頑張れば達成できるレベルを目標にすること
    4. 品質目標の達成に向けた進捗を監視すること
    5. 必要に応じて更新すること

    ですね。では、品質目標の書き方の順序を解説します。

    品質目標の書き方の順序

    1. 品質方針と整合した目標を作る
    2. 品質目標を達成するための具体的な施策を作ること
    3. 具体的な施策の達成基準を数字で作成すること
    4. ある一定期間ごとに品質目標の達成状況を監視すること
    5. 期末の結果を評価すること
    6. 次年度の目標を考えること

    1つずつ解説しながら、具体的な品質目標を作っていきましょう。

    品質方針と整合した目標を作る

    あなたの会社、組織のトップから今年度の品質方針を指示してきました。

    品質方針
    1 顧客満足
    2 法令遵守
    3 品質向上
    4 技術力向上

    ちょっと淡泊な内容です。実際はもう少し肉付けした文章ですが、まとめると上の4項目だったとしましょう。

    トップから、「品質目標を策定して」っと指示がきたら、どうやって品質目標を作るかを次に解説します。

    品質目標を達成するための具体的な施策を作ること

    何度も書きますが、

    1. 品質方針と整合した目標を作る
    2. 品質目標を達成するための具体的な施策を作ること

    品質方針と整合して、達成できる具体的な施策を考えていきます。1つの品質方針に対して、複数の目標とそれに応じた具体的施策を考えればよいでしょう。

    例えば、次のように作ったとしましょう。

    品質方針 品質目標
    1 顧客満足 顧客からの情報収集
    クレーム対策強化
    2 法令遵守 確実な法令遵守
    コンプライアンス意識向上
    3 品質向上 品質コスト削減
    品質マネジメントシステム向上
    4 技術力向上 人材育成強化
    技術標準の情報共有加速

    品質方針に対して、複数の目標を立てて、品質方針と整合しているかをチェックします。上の表から見ると大丈夫ですね。

    次に具体的な施策を追加します。

    品質方針 品質目標 施策
    1 顧客満足 顧客からの情報収集 顧客アンケート強化
    クレーム対策強化 クレーム分析と対策推進
    2 法令遵守 確実な法令遵守 諸官庁届出
    コンプライアンス意識向上 コンプライアンス教育
    3 品質向上 品質コスト削減 品質コスト低減強化
    品質マネジメントシステム向上 内部監査の確実な実施
    4 技術力向上 人材育成強化 資格取得強化
    技術標準の情報共有加速 社内標準規定作成

    品質方針、品質目標、施策の整合性と、施策が測定可能なものであることを確認します。

    具体的な施策の達成基準を数字で作成すること

    具体的な数値目標を入れてみましょう。ちょっとしんどいけど達成可能な値にしましょう。

    品質方針 品質目標 施策 評価基準P
    1 顧客満足 顧客からの
    情報収集
    顧客アンケート強化 アンケート回収率
    90%以上
    クレーム対策強化 クレーム分析と
    対策推進
    クレーム数
    5件/月以下
    2 法令遵守 確実な
    法令遵守
    諸官庁届出 実施率100%
    コンプライアンス
    意識向上
    コンプライアンス
    教育
    実施率100%
    3 品質向上 品質コスト
    削減
    品質コスト
    低減強化
    品質コスト
    3億円削減
    品質マネジメント
    システム向上
    内部監査の
    確実な実施
    実施率100%
    4 技術力
    向上
    人材育成
    強化
    資格取得
    強化
    年間資格
    取得10人
    技術標準の
    情報共有加速
    社内標準
    規定作成
    規定50件
    作成

    ある一定期間ごとに品質目標の達成状況を監視すること

    例えば、半年ごとに結果をまとめて、評価・監視しましょう。次のような結果が得られました。

    品質目標 施策 評価基準P 達成状況D
    上期 下期 年間
    1 顧客からの
    情報収集
    顧客アンケ
    ート強化
    アンケート
    回収率
    90%以上
    133%
    (60/45)
    78%
    (35/45)
    106%
    (95/90)
    クレーム
    対策強化
    クレーム
    分析と対策
    推進
    クレーム数
    5件/月以下
    4.5/5 6.5/5 5.5/5
    2 確実な
    法令遵守
    諸官庁
    届出
    実施率
    100%
    100%
    (80/80)
    100%
    (43/43)
    100%
    (123/123)
    コンプライ
    アンス
    意識向上
    コンプライ
    アンス
    教育
    実施率
    100%
    48%
    (96人/200人)
    120%
    (240人/200人)
    84%
    (336人/400人)
    3 品質コスト
    削減
    品質コスト
    低減強化
    品質コスト
    3億円削減
    2.6億/1.5億 1.4億/1.5億 4億/3億
    品質マネジメントシステム向上 内部監査の
    確実な実施
    実施率100%
    部門数
    100%
    (20/20)
    100%
    (20/20)
    4 人材育成強化 資格取得強化 年間資格
    取得10人
    5人/5人 6人/5人 11人/10人
    技術標準の
    情報共有加速
    社内標準
    規定作成
    規定50件
    作成
    6件/25件 28件/25件 34件/50件

    期末の結果を評価すること

    結果を評価します。
    ●100%以上なら⇒◎
    ●100%なら⇒〇
    ●100%未満なら⇒×

    品質目標 施策 評価基準P 達成状況D 評価C
    上期 下期 年間
    1 顧客からの
    情報収集
    顧客アンケ
    ート強化
    アンケート
    回収率
    90%以上
    133%
    (60/45)
    78%
    (35/45)
    106%
    (95/90)
    クレーム
    対策強化
    クレーム
    分析と対策
    推進
    クレーム数
    5件/月以下
    4.5/5 6.5/5 5.5/5 ×
    2 確実な
    法令遵守
    諸官庁
    届出
    実施率
    100%
    100%
    (80/80)
    100%
    (43/43)
    100%
    (123/123)
    コンプライ
    アンス
    意識向上
    コンプライ
    アンス
    教育
    実施率
    100%
    48%
    (96人/200人)
    120%
    (240人/200人)
    84%
    (336人/400人)
    ×
    3 品質コスト
    削減
    品質コスト
    低減強化
    品質コスト
    3億円削減
    2.6億/1.5億 1.4億/1.5億 4億/3億 ×
    品質マネジメントシステム向上 内部監査の
    確実な実施
    実施率100%
    部門数
    100%
    (20/20)
    100%
    (20/20)
    4 人材育成強化 資格取得強化 年間資格
    取得10人
    5人/5人 6人/5人 11人/10人
    技術標準の
    情報共有加速
    社内標準
    規定作成
    規定50件
    作成
    6件/25件 28件/25件 34件/50件 ×

    次年度の目標を考えること

    1年間の実績を評価して次年度の目標を考えます。

    1. 目標を継続するか?中止するか?完了するか?
    2. 目標値を更新するか?継続するか?

    大事なのは、

    1. 組織を取り巻く内部・外部の環境や課題の変化に対して、目標内容を考えること。
    2. 少しずつ目標値を変える(継続的改善)こと

    一通り、品質目標の作り方を解説しました。

    ③品質監査でチェックされるポイント

    品質マネジメントシステムが成熟した組織を品質監査する場合、品質マネジメントシステムの上流である品質目標を一番重視して監査します。

    品質目標

    先ほどの結果を図にします。

    品質目標

    よくまとまった品質目標ですね。項目、施策、数値、PDCAの評価が1枚の紙ですべて情報が網羅されています。

    組織・部門の経営・品質状況は品質目標1枚をみればすぐわかるようになっていることが重要です。

    なので、監査の重要なポイントとして、しっかり質疑されます。

    表を埋めるのではなく、自分の組織の経営・品質戦略をよく考えて落とし込んでください。

    次に、品質目標のどこが監査されるかを解説します。

    品質目標で監査されるポイント

    下図の赤枠に質疑例を書きました。いっぱい突っ込まれるのが分かります。

    ここで、監査の半分弱の時間が費やされます。ここで抽出した課題や監査で疑問に思ったことを理解して、個別の要求事項を監査していくからです。

    品質目標

    ポイントは、

    1. 施策・評価基準の内容や数字は品質目標や品質方針と整合しているか?
    2. 目標は達成か?未達か?そして、その理由は?
    3. 期毎の数値にムラやばらつきがあれば、その理由は?あわてて達成させようとしていないか?
    4. 前年度から大きく実績値が変化したら、それはなぜか?
    5. 次年度をとりまく組織の内部・外部の環境や課題に整合した目標になっているか?
    6. 次年度への目標変更はするか、しないか、その理由は?

    ネチネチ聞かれますが、その質疑の中で、
    ●品質マネジメントシステムが機能しているか?
    ●責任者が説明責任を果たしているか(自分の言葉で説明できるか)
    ●組織に必要なリソース・要素が十分あるか?機能しているか?
    を確認していきます。

    品質目標は奥が深いので、よく自分の組織のことを考えて内容を埋めていってください。

    ここまで、読んで理解できたら、品質のかなりのプロのレベルになっています。

    まとめ

    ISO9001 2015 6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質目標の具体的な書き方
    • ③品質監査でチェックされるポイント

  • ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限 がわかる

    ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限 がわかる

    QCプラネッツのISO9001 2015関連ブログを多くの方に読んでいただき、とてもうれしいです。ブログの内容をさらにパワーアップして更新しました。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②責任及び権限の注意点
    • ③組織体制表に必要な要素
    • ④責任と権限が機能しない場合あるある
    • ⑤組織が機能しないと品質不正につながる
    • ⑥有機的に機能する組織をつくる方法
    組織体制表を書けばいいんでしょう!
    部長、課長や管理職が考えるから一般社員は関係ない!
    と一言で終わりそうですが、意識すべきポイントを解説します。

    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    5.3 組織の役割,責任及び権限
    トップマネジメントは,関連する役割に対して,責任及び権限が割り当てられ,組織内に伝達され,理解されることを確実にしなければならない。 トップマネジメントは,次の事項に対して,責任及び権限を割り当てなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムが,この規格の要求事項に適合することを確実にする。
    b) プロセスが,意図したアウトプットを生み出すことを確実にする。
    c) 品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び改善(10.1参照)の機会を特にトップマネジメントに報告する。
    d) 組織全体にわたって,顧客重視を促進することを確実にする。
    e) 品質マネジメントシステムへの変更を計画し,実施する場合には,品質マネジメントシステムを“完全に整っている状態”(integrity)に維持することを確実にする。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    5.3 組織の役割,責任及び権限 ISO9001 2015 5.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    5.3 組織の役割,責任及び権限 より詳細な説明(*)

    上表の JIS9002 での「より詳細な説明(*)」をまとめると、

     ●トップマネジメントがQMSに関連する役割をしっかり割当て、有効なコミュニケーションによって組織の人々が職務を理解し、認識するよう求められている。
    ●権限は委譲してもQMSの全体責任は変わらずトップマネジメントであるとしている。
    ●事業、組織が大きく変更になった際、QMSが”完全に整っている状態”になるように維持することが求められている。当然中の人の責任と権限も状況や目的に応じて有効に割り当てていくことを求めている。
    1. 責任と権限で注意すべきポイント
    2. 組織体制表に入れるべき項目
    3. 組織が機能しないとどうなるのか?

    ②責任及び権限の注意点

    責任及び権限

    責任と権限は相反する言葉ですね。

    ●責任⇒しなければならない、責任をとる、気が重い
    ●権限⇒自由にやっていい、気が楽

    責任は、「やらないといけない」ので、指示された業務はきちっとやればいいですね。ちゃんとやらないのは「無責任」ですから。

    一方、権限は自由が利く範囲ですが、自由も責任が伴います。

    責任と言われると気が重いし、プレッシャーですが、1つずつ仕事をこなして相手が求めるレベルのアウトプットを出し続けて、評価されて、信頼されるように頑張ればよいです。

    権威と権力・権限は違う

    品質管理業務を長年やっていると
    ●担当者は長年やっているので周囲からの評判・認知度が高い。
    ●一方、最近変わった、部課長は他部門からの異動できたばかりで、品質ことをよく知らない

    という場面によく遭遇します。

    権限がある部課長より
    実務経験が豊富な担当者の方が、周囲を動かす力が強い
    こうなると、部下が言うことを聞かなくなる。

    自分事で恐縮ですが、これは、

    品質の経験が少ない管理職(上司)は「権限・権力」は会社から与えられているが、周囲からの評価が低い(経験がすくないから)
    これは「権威」がないといえます。

    だからと言って、

    品質畑から昇進すると、権威も権限・権力も兼ね備えた独裁者による支配にもなりかねません。

    皆さんの職場はいかがでしょうか?

    責任と権限についてISOで要求されているが、権威も頭の片隅に置いて考えてみてください。権威と権限はずらすのもアリです。権威=信用と思います。権威は自分がどれだけ周囲に役立っているかで決まるものと私は思います。

    相手の領域へ超えないよう注意

    人的リソースが足りない所は無関係ですが、よくスタッフ部門(管理部門)はオーバーリソースになりがちで、人事異動がほとんどありません。

    こういう場合は、相手の領域へ超えないよう注意しましょう。

    明らかに不要な仕事をやっている人がいて、その仕事を最適化したらよいと思うのですが、そういう越権行為は組織にとって逆にマイナスな場合もあります。触れてはいけない部分がありますが、上司に相談して組織のあるべき体制を考えてもらえばよいです。

    ③組織体制表に必要な要素

    よく品質監査で確認されるのが、「組織体制表」です。

    改善が必要な組織体制表の例

    下図に具体的な組織図を示します。誰がいて、何を担当するか明確に書いているので、一見問題なさそうですが、品質監査で提出するといっぱい改善要求されますけど、どこに不備があるかわかりますか?

    責任及び権限

    組織体制表に必要な要素を事例で確認

    品質監査の場合、次の質疑をして、改善の指摘に進めていきます。

    1. 「A部長が不在の場合、誰が部長代行をするのですか?」
    2. 「1課のJさんの担当業務と責任・権限は何ですか?」
    3. 「この部のISO9001認証範囲はどこで、何人が対象ですか?」
    4. 「この部の人的リソースにおける課題は何ですか?」

    どれも、

    組織体制表から読み取れない。
    誰が何をやっているのか、読み取れない。
    人的リソースの過不足、力量向上、課題が読み取れない。
    ただ、人が部にいることだけがわかる。

    なので、

    1. 部を運営するキーパーソンの代行役を明記
    2. 各人の責任及び役割を明記
    3. ISO9001認証範囲を明記
    4. それぞれの責任及び役割すれば強みも課題も読み取れる

    組織体制図を改善した結果の図を示します。はっきりわかるようになりましたね。

    責任及び権限

    組織体制表は
    その部の責任及び権限、役割は何か?
    それを達成すべき人的リソースはどれくらいあって
    発展のために何が必要か?
    か語れる状態にしておくことが重要です。

    組織体制表作った。だから、何なの? とならないように注意しましょう。

    ④責任と権限が機能しない場合あるある

    では、あえて考えましょう! 「責任と権限が機能しないヤバい組織ってどんなん?」イメージできますか? また、組織体制表の内容や説明から、その組織がかかえる潜伏している課題が見抜けますか?

    1. ワンマン、独裁
    2. できない上司、できる部下
    3. できたばかりの組織、臨時のプロジェクトチーム
    4. 裏ルールがいっぱいあるネチネチしている職場

    あるあるですね。1つずつ解説します。

    ワンマン、独裁

    ●いわゆる「鶴の一声」ですよね。突然、上司を入れ替えたり、部下の案を受領したりすると、組織はめちゃくちゃになりますよね。独裁者の御機嫌取りする奴が上に上がったりして、責任も何もありません。

    こういう組織は大体、大きな事件や事故を起こして自滅します。まだ、こういう会社多いですよね。

    できない上司、できる部下

    ●能力がないのに管理職だったり、専門外からポストが空いているから異動させられた上司

    その分野のプロで誰より詳しい担当者(部下)
    の場合。

    権限が上司になっても、部下はシカトするし、上司を無視して勝手に承認をとったりします。専門外から来たり、経験年数が浅い上司は慣れるまでが結構大変です。でも部下から見て「給料高いから当たり前だろ!」と言われたり、怒るとパワハラって言われるし。

    組織長、管理職が着任したばかりの組織は、責任と権限のバランスがくずれるので要注意です。

    できたばかりの組織、臨時のプロジェクトチーム

    社内から集められた人で構成するプロジェクトチームなどは、
    最初は意見や価値観の違いから衝突がよく起こります。

    共有すべき高い目標に向かって、衝突を無くしつつ、そこで評価された人をリーダにして、組織内のメンバーが納得のいく関係性を作れば、責任と権限は機能します。

    裏ルールがいっぱいあるネチネチしている職場

    管理部門系にありありです。

    ●共通で目指す目標がない。力量のない人の集まり、何年も異動がなく、互いに仲が悪い。職場の同僚がどんな仕事しているか興味がない。顧客などの外部に共通の敵がないため、圧力が内側にかかる。仲のいい人どおしで決めごとが勝手に進んでいくとか。
    ●役職者と担当者で責任と権限が異なるが、実は30年来の同僚の関係で、会話すると性格の違いから、役職者より担当者が偉そうにしている。
    ●決定事項があるべき方向ではなく、みんなの多数決という暗黙のルールになりがち
    ●必ず同じ人が、決定している事柄や、会議がある(属人性のひどいパターン)

    ヤダヤダ! うちの職場やん! ってマジなんですけど。

    ●外からは見えにくいですが、ありありな話です。責任と権限は機能しないか、機能しても内部からガタガタ文句を言われる環境にあります。って、ちゃんと仕事している側からして、マジで邪魔や奴が多い。

    ⑤組織が機能しないと品質不正につながる

    組織は体制を作れば終わりではありません。有機的に機能させることが重要です。

    組織がダメになると、品質不正の温床につながります。

    品質不正の報告書を読むと、ほとんどが、組織が機能していないことが原因になっています。

    1. 部下の不正に気が付かない、管理しない管理職
    2. 自分の不正やミスに気が付かない、報告しない担当者
    3. 顧客より社内政治を第1に考える部課長
    4. 同じ仕事しかしないもの
    5. 楽な方へ進もうとする部門

    組織を有機的に機能させるために、組織運営の目的を考え、顧客満足、社会的責任、継続的な成長につなげるように組織メンバーに働きかけることが重要です。

    言うのは簡単ですが、組織に属する1人1人の自覚が重要で、「責任及び権限」を上手に使う必要があります。

    ⑥有機的に機能する組織をつくる方法

    1. 組織のあるべき姿・目標を最初にしっかり決める
    2. 残すもの、捨てるものをはっきりする
    3. メンバーをよく知り、目標に進ませる
    4. 現状と同じはダメ

    当たり前のことばかり書いていますが、現状は、

    ●現状から大きく変えない、あるいは現行の体制のままとする
    ●長年の経験者の意見を信じてしまう
    ●少し手を伸ばせば届くちょっとしんどい目標を嫌がる
    ●他部門や経営陣からのクレームを避ける

    ばかりです。

    ●あなたを含め、その組織がなぜあるのか?
    ●社会、会社・組織から何を求められているのか?
    ●求められる期待+αを出せるにはどうしたらよいか?
    ●どうしても必要な人、どうしても切り離さないといけない人がいるが、正しく選別できるか?
    (逆をやるのが現実ですが)
    ●現状に満足せず、ハングリーな状態か
    ●数カ月、数年後の理想状態が描けているか
    ●周囲からの反対や冷たい視線を受けるが、孤独に勝てるか?

    などが組織に求めたいところです。

    こんな組織にいたら、日々しんどいですよ!
    でも半年、1年経過して
    現状と変わらないのがいいのか?
    1つでも成長するのがいいのか?
    自問自答してください。
    特に、品質部門の人が甘い現実があります。
    顧客に接する部門はいやおうなしでも顧客からの厳しい要求があります。それでも、甘い部門が多いですが、そうでない管理部門ならなおさらです。

    毎日、それなりに生きるか?それとも1つでも成長するか?
    そういう集団を組織化し、責任と権限を与えるか?
    どうあるべきか? よく考えましょう。

    まとめ

    ISO9001 2015 5.3 組織の役割,責任及び権限をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②責任及び権限の注意点
    • ③組織体制表に必要な要素
    • ④責任と権限が機能しない場合あるある
    • ⑤組織が機能しないと品質不正につながる
    • ⑥有機的に機能する組織をつくる方法
  • ISO9001 2015 5.2 方針 がわかる

    ISO9001 2015 5.2 方針 がわかる

    「方針って何を書けばいいの?」、「方針書いて効果があるの?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 5.2 方針 がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②方針(品質方針)とは?
    • ③いろいろな会社の経営理念
    • ④経営理念がなぜ必要なのか?
    • ⑤品質方針の例
    • ⑥品質方針の書き方と組織への効果
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    5.2 方針
    5.2.1 品質方針の確立
    トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し,実施し,維持しなければならない。
    a) 組織の目的及び状況に対して適切であり,組織の戦略的な方向性を支援する。
    b) 品質目標の設定のための枠組みを与える。
    c) 適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
    d) 品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。
    5.2.2 品質方針の伝達 品質方針は,次に示す事項を満たさなければならない。
    a) 文書化した情報として利用可能な状態にされ,維持される。
    b) 組織内に伝達され,理解され,適用される。
    c) 必要に応じて,密接に関連する利害関係者が入手可能である。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    5.2 方針 ISO9001 2015 5.2
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    5.2 方針 より詳細な説明
    JIS Q9004 JIS Q9004 品質マネジメント
    -組織の品質-持続的成功を
    達成するための指針
    7.2 方針および戦略 戦略についても解説

    ●品質方針のあるべき理想は書いてあるが、
    具体的に何を書けばよいかがわからない!
    品質方針を書いたら本当に効果があるのか?
    品質方針の内容とその効用を理解する必要があります。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    1. 品質方針って何?
    2. 品質方針ってどんな内容?
    3. 品質方針の書き方って?
    4. 品質方針の効果って?

    1つずつ見ていきましょう。

    ②方針(品質方針)とは?

    簡単に言うと、

    要するに、「組織を目標へ向かわせるためにトップの思いを書いたもの」

    トップの思い

    ダメな例と、良い例を書きます。

    ●ダメな例1
     

    ・気合!
    ・根性!
    ・度胸!
    ・不屈の精神
    ・欲しがりません、勝つまでは!

    根拠のない精神論では、組織が嫌がるし、何をしたらいいかわかりません。。。

    ●ダメな例2

    ・売上5倍
    ・コスト半減
    ・品質向上
    ・絶対達成!

    さっきより、かなりましになりました。目標(ノルマ)が数字で書いているので明確ですが、組織は具体的に何をしたらいいかまだわかりませんよね。。。

    あいまいで、厳しい目標を掲げると、組織は逃げるか、手段を択ばずに達成しようとし、組織全体が荒廃するので要注意です。

    ●良いな例
     

    組織が目指す目標に必要な要素で
    収益向上、事業発展が目標とした場合は、
    ・売上向上につながるもの(例:顧客満足向上)
    ・事業活動停止のリスクを回避するもの(例:安全、環境、品質、法令遵守)
    ・成長につながるもの(挑戦)
    ・コスト削減につながるもの(業務効率改善、組織活動向上)
    ・・・

    まとめると、

    1. 人間味が感じ取れるもの
    2. 対外、対内どちらからも共感が得られるもの
    3. 組織が何をしたら目標達成できるかがわかるもの

    の要素が品質方針には必要です。多くの人を動かす共通の思いとなるのが品質方針です。

    ③いろいろな会社の経営理念

    ISO9001 品質方針が最上位ですが、
    品質方針のもととなるのは、
    各社・組織の理念です。
    理念によって組織の個性があり、
    品質活動があります。
    いきなり品質方針を学ぼうとせず、
    対象とする組織の理念を調べることを
    最初にやってください。

    いろいろな会社の経営理念

    会社のカラーがはっきりするのが経営理念

    ●せっかくなので、何社か経営理念を見てみましょう。

    Panasonic

    産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り
    世界文化の進展に寄与せんことを期す。

    (https://recruit.jpn.panasonic.com/philosophy/ より引用)

    有名な松下幸之助の理念が継承されており、会社というより、産業界、世界レベルの理念になっていますね。

    イオン

    お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する。

    (https://www.aeon.info/company/concept/ より引用)

    イオンもPanasonicと同様に、社会貢献、平和など利益追求より、社会、世界のための理念となっています。

    メルカリ

    新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る

    (https://visionguide.jp/corp/mercari/ より引用)

    ここ10年で急成長した企業です。Panasonicやイオンのように「相手、地域のため」よりは、「これから自分たちが広げていく可能性」を書いています。

    イグニス

    世界にインパクトを与えなければ、気がすまない

    (https://1923.co.jp/about-us/missionより引用)

    ベンチャー企業になると、上の3社より、「尖り」が出て来ます。

    ●経営理念を見ると、

    1. 自分たちのカラーを出す
    2. 利益第一主義ではないこと
    3. 読み手にインパクト、共感を得やすいこと

    などがわかります。

    ④経営理念がなぜ必要なのか?

    ちょこっと書いた文章にすぎないのに、どうして、これが会社・組織の最上位概念なのか?

    立場によって、それぞれ経営理念の大切さがあります。

    経営者にとっての経営理念

    過った方向に進まないため

    ●確かに、利益追求が経営者には厳しく求められます。だからといって、安全・環境・品質より利益を第一に優先すると、大きな事故・事件に遭遇し、事業継続ができなくなる恐れもあります。

    ●経営者は日々の経営と、中長期な成長計画を立てますが、その内容が自社の経営理念と整合しているか?を必ずチェックしています。

    利益の追求は、長期的に見て、何のためにあるのか?

    ●短期的な利益に走らず、中長期的でかつ、高い視座から企業の価値を考えるために、経営理念が必要です。

    企業・組織の存在意義を示したのが経営理念

    従業員にとっての経営理念

    一方、従業員にとっても経営理念は大事です。

    経営理念なんて、ちょこっと書いた文章で、誰が読んでも正しいと言える内容しか書いてないから、どうでもいい!

    という声が、聞こえてきます。

    ただ、従業員も日々悩みながら業務に取り組んでいるのも事実です。

    1. どうしてこの会社に入ったんだっけ?
    2. しんどい、困った時どうしたらいいの?
    3. 何のために働いているんだっけ?
    4. 組織のみんなとどうかかわればいいの?
    5. 不正やヤバい情報聞いた、ていうかやってしまいそう。。。どうしようか?

    ●業務を長年やっていると、上の5つの困った状況に遭遇します。

    ●確かに、あなたの倫理観、正義感と戦うでしょうけど、一旦経営理念に戻りましょう。

    何のために、この会社、組織に属して毎日仕事しているのか?を見直せるのが経営理念です。

    ●会社・組織に入るときは、経営理念なんて見ませんが、属していると、何となく経営理念に合う生活になっているはずです。その価値観とあなたが整合しているか?を確認しましょう。

    ●社会のために働きたいなら、「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」会社に行っても合わないでしょうし、
    自分の限界に挑戦したいなら、「平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」会社に行っても合わないでしょう。

    あなたが勤める会社の経営理念を読んでみましょう。

    利害関係者にとっての経営理念

    ●取引先、エンドユーザー、地域住民にとって、直接的・間接的に関わる会社がどんな会社なのか?気になりますよね。最初に経営理念を確認します。

    自社の利益しか考えていない理念なら、そんな企業が地域に来ても困りますよね。

    外からでは、対象とする組織・会社ははっきり見えないため、経営理念などを確認して、仲間として扱ってよいかをチェックします。

    組織にいる人たちの価値観を抽象化した経営理念。
    その理念が利害関係者・地域・社会と整合しているかを周囲からチェックされています。

    ⑤品質方針の例

    具体的な例を見る

    3社ほど見てみましょう。3社の品質方針を引用させていただきます。

    サントリー(製造業)の場合

    品質方針

    トーケン(建設業)の場合

    品質方針

    ユーエスエス(システム開発)の場合

    品質方針

    いろいろな企業の品質方針を見比べると、それぞれの個性がありますね。正解は1つではなく、各企業の強み、思いが入っているのです。

    共通して書いていること

    3社を例に挙げましたが、共通項を見ましょう。

    1. 顧客ニーズ対応、企業のCSR(社会的責任)が第1に来ていること
    2. 目標への追究(改善、工場、啓発、教育)
    3. 組織の1人1人が行動すること

    この3要素があれば、確かにそうだなあ、頑張ろう!と自発的に行動しようという気持ちになりますね。

    では、どうやって品質方針を書けばよいかを考えましょう。品質のコンサルタントに発注して書かせるより、経営者の思いを自分の言葉で書いて欲しいですよね。

    ⑥品質方針の書き方と組織への効果

    品質方針の書き方

    品質方針の目的をおさえること!

    品質方針の目的は、

    1. 人間味が感じ取れるもの
    2. 対外、対内どちらからも共感が得られるもの
    3. 組織が何をしたら目標達成できるかがわかるもの

    ですね。

    トップが本気で品質を作りこみ、事業を継続・発展していく思い・理念を方針に詰め込みましょう。

    ●人間味が感じ取れるもの
    ⇒責任をもって、日々努力して取り組む姿勢
    ⇒顧客1人1人、従業員1人1人を大切にする思い

    ●対外、対内どちらからも共感が得られるもの
    ⇒顧客ニーズへの対応
    ⇒法令遵守、品質・安全・環境への取り組み
    ⇒コロナ感染防止徹底(ご時世を反映)

    ●組織が何をしたら目標達成できるかがわかるもの
    ⇒業務改善、生産性向上
    ⇒新技術への挑戦、従業員への教育・自己啓発

    などを品質方針に入れるとよいでしょう。

    組織への効果

    ここで、疑問がわきませんか?

    品質方針を書いたら、本当に組織が品質を作りこむ活動をするのか?
    品質目標を書いても、「絵に描いた餅」で終わってしまわないか?

    品質方針を書きっぱなしなら無意味です。

    品質方針って誰も知らないのが現状

    品質方針を書いた経営者、社長を知らない社員が結構多く、
    「品質方針? 何それ? 知らない!」
    となりがちです。

    なので、組織が品質を作りこむ仕組み(品質マネジメントシステム)を回す必要があります。

    品質マネジメントシステムが機能していないと、
    誰も、品質方針を守らない

    皆さんの職場に品質方針が掲げているはずですが、どこにあるかご存じですか?
    私も、品質管理担当になるまでは職場の自席の1m先の柱に品質方針が掲げられていたことすら気が付きませんでした。

    職場に数十枚の品質方針を柱や会議室に掲載しても誰も気が付かない。

    そんなもんです。品質方針の紙にアイドルの写真とか、ちょっと目が行くような写真も付けておいた方が目立つかもしれません。

    品質方針を機能させるために

    組織の品質マネジメントシステムに落とし込む必要があります。

    ●具体的には、次の流れを組織に機能させる必要があります。実際、組織に動機付けするのが品質管理部門の役割です。

    1. 品質方針から品質目標(組織全体、各部課単位)に落とし込む
    2. 各部課単位の品質目標をもとに事業活動する
    3. 各部課単位の品質目標の結果をトップへ報告し、次期へつなぐ

    最後にあなたへの質問

    品質方針について、詳細に解説しました。最後にあなたへの質問があります。

    あなたがトップになったら、どんな品質方針を書きますか?

    自分の思いを書いてください。
    他社の真似とか、無難路線ではなく。

    まとめ

    ISO9001 2015 5.2 方針をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②方針(品質方針)とは?
    • ③いろいろな会社の経営理念
    • ④経営理念がなぜ必要なのか?
    • ⑤品質方針の例
    • ⑥品質方針の書き方と組織への効果

  • ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメント がわかる

    ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメント がわかる

    「リーダーシップって何?」、「コミットメントって何?」、「何をやればいいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメント がわかる

    ここでは、いくつか用語の概念を理解する必要があります。1つずつ解説していきます。

    ●トップマネジメントって何?誰?
    ●品質マネジメントシステムのリーダーシップって何をすればいいの?
    ●コミットメントって何?
    ●トップマネジメントのコミットメントって何?

    さらっと、簡単に説明できますか?
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②トップマネジメント
    • ③リーダーシップ
    • ④リーダーシップは誰でも身につく
    • ⑤エンパワーメントして巻き込む
    • ⑥コミットメント
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    5.1 リーダーシップ及びコミットメント
    5.1.1 一般 トップマネジメントは,次に示す事項によって,品質マネジメントシステムに関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
    a) 品質マネジメントシステムの有効性に説明責任(accountability)を負う。
    b) 品質マネジメントシステムに関する品質方針及び品質目標を確立し,それらが組織の状況及び戦略的な方向性と両立することを確実にする。
    c) 組織の事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合を確実にする。
    d) プロセスアプローチ及びリスクに基づく考え方の利用を促進する。
    e) 品質マネジメントシステムに必要な資源が利用可能であることを確実にする。
    f) 有効な品質マネジメント及び品質マネジメントシステム要求事項への適合の重要性を伝達する。
    g) 品質マネジメントシステムがその意図した結果を達成することを確実にする。
    h) 品質マネジメントシステムの有効性に寄与するよう人々を積極的に参加させ,指揮し,支援する。
    i) 改善を促進する。
    j) その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう,管理層の役割を支援する。
    注記 この規格で“事業”という場合,それは,組織が公的か私的か,営利か非営利かを問わず,組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。
    5.1.2 顧客重視 トップマネジメントは,次の事項を確実にすることによって,顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
    a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を明確にし,理解し,一貫してそれを満たしている。
    b) 製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る,リスク及び機会を決定し,取り組んでいる。
    c) 顧客満足向上の重視が維持されている。

    長いですね。いっぱい要求事項があって、頭の中が整理できないですね。

    5.1 リーダーシップ及びコミットメントで、理解しにくい用語がいくつかあります。

    1. トップマネジメントって何?誰?
    2. 品質マネジメントシステムのリーダーシップって何をすればいいの?
    3. コミットメントって何?
    4. トップマネジメントのコミットメントって何?

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針
    3. JIS Q9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    5.1 リーダーシップ及びコミットメント ISO9001 2015 5.1
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    5.1 リーダーシップ及びコミットメント 具体的な場面を説明がたくさん解説している。
    JIS Q9004 JIS Q9004 品質マネジメント
    -組織の品質-持続的成功を
    達成するための指針
    7 リーダーシップ JIS Q9001 5.1の補足

    ●品質マネジメントシステムはまず、全体像を自分で説明できることが重要です。
    ●品質マネジメントシステム全体像は、他人のものでなくてもいいし、
    常に最新の考えに更新してもOKです。
    ●常にあるべき姿を考えることが重要です。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②トップマネジメント

    トップマネジメントは誰か?

    これは2つ答えがあります。

    1. 基本的には経営者、経営陣、トップ責任者
    2. ローカルには部門長

    基本的には、経営者、経営陣、トップ責任者がトップマネジメントに該当します。トップの責任者ですね。

    社長がトップマネジメントになります。大きな会社ですと、経営陣として、部長より上の役職をすべてトップマネジメントと呼んだりします。

    なお、品質監査で、個別の部門を調べるときに、ローカルな意味で、そこの部門長(部長)をトップ責任者としてトップマネジメントとして扱う場合もあります。

    品質マネジメントシステムを見る場合、
    対象となる領域の中でトップに該当する人を
    トップマネジメントとします。

    トップマネジメントとは何をすればよいのか?

    経営者や部門長がやるべき仕事をすればよいですが、品質マネジメントシステムにおける仕事とは何か?を考えます。

    トップがやるべきことは、

    1. 対外は利害関係者への説明責任
    2. 対内へ品質方針・品質目標を確立
    3. 対内は品質をとりかかるための仕組み、ルールの整備

    利害関係者への説明責任

    ●利害関係者への説明責任は、経営者が常に求められる説明責任そのものです。品質マネジメントシステムやISO9001と関係なく、会計、安全などの観点からも説明責任が求められます。

    品質方針・品質目標を確立

    品質マネジメントシステム、ISO9001は
    トップマネジメントの指示からスタートして、
    期末の結果のトップマネジメントへの報告で終わる

    品質マネジメントシステムは、品質管理部門や担当が勝手にやっているのではありません。必ず、
    ①経営陣であるトップマネジメントの指示を受けてから期初がスタートし、
    ②結果報告を期末にして、次年度の指示を受けます。

    期初の指示として、品質方針、品質目標を掲げて、各部門に指示します。品質方針は数行の内容なので、トップマネジメントが作成し、細かい内容が書かれた品質目標は品質管理部門が代行することがあります。

    また、期末に、品質活動の結果をトップマネジメントへ報告し、次期への活動指示を受けるための、マネジメントレビューなどの会議が開催されます。

    ③リーダーシップ

    リーダーシップとは何か?

    「リーダー」、「リーダーシップ」などよくビジネスに活用されますね。

    「リーダーシップ」とは何か?簡単に説明できますか?

    と聞かれると、「うーん」と困りませんか?

    品質マネジメントシステムやISO9001には、リーダーシップをわかりやすく解説したものがありません。ISOコンサルタントなどが書いた本には書いていますが、それも難しいです。

    なので、簡単に解説します。

    ISO9001のリーダーシップは経営学や組織論に書いているリーダーシップと同じです。

    リーダーシップとは、

    1. メンバーを目標に向かうよう努力すること
    2. ビジョンを提示し、メンバーと共有する
    3. 意見、考えが異なるメンバーに動機づけする
    4. 前向きな姿勢や相手を理解する

    などがあります。要するに、

    みんなをリードするマインドがリーダーシップ

    役職や担当範囲に関係なく、各自が持ってほしいマインドです。

    品質マネジメントシステムのリーダーシップは何をすればよいのか?

    品質活動を社内や組織内で活発にするように導くこと

    社内や組織内で、品質マネジメントシステムがあるとか、ISO9001 認証だからといって、品質目標、品質活動、品質に関する会議、品質監査などを自ら進んで実行する人はほとんどいません。

    なぜなら、面倒だし、品質管理の概念が難しいし、「あれこれやれ!」と言われてうっとうしいからです。

    品質管理は、ダイエットや成績を上げる勉強などのような、苦しいものです。
    それを導くリーダシップがないと誰もやりませんね。

    ●品質マネジメントシステムのリーダーシップの具体的な活動は

    1. 品質活動を各部門へ指示しつつ、活動のポイントをわかりやすく解説
    2. 各部門からの質問、悩みごとを親身になって聞き、提言する
    3. 良い報告もそうでない報告も感謝し、一緒に解決する姿勢で取り組む
    4. 品質活動の良い点を褒めて、改善すべきポイントがあれば取り掛かりやすくするよう工夫して伝える
    5. 品質活動する部門と敵対しないこと
    6. 相手を思いやる心と客観的かつ冷静な目で見る

    などがあります。

    品質活動を社内や組織内で活発にするように導くこと

    強制的なやらされ感ではなく、
    自発的に取り組みやすくなるようエンパワーメントすることが大事です。

    この優しいマインド(易しいではないのがポイント)!で接するには
    自分がトラブルや品質改善に出くわしたらどんなに大変か!という気持ちをもって相手に接する事です。

    私がよくやる手は、
    「お疲れ様です。」
    「(相手の状況を傾聴して)大変だったですね!」
    と同調しつつ、冷静に分析する。
    「○○○○などの案はいかがでしょうか?」
    と決めつけせず、相手に選ばせる手段をいくつか提言する。
    よく、手段を質問されることが多いので、手段より達成したい目的を明確にして共有します。

    品質活動を社内や組織内で活発にするように導くこと

    品質管理担当ですが、相手を目標に導くマインド、行動も立派な
    リーダシップです。

    ④リーダーシップは誰でも身につく

    リーダーシップは天性的と思われがち

    ●子供の頃とかを思い出すと、クラスのリーダー的な人って決まっていたし、自分には縁遠い話と思われがちです。

    ちょっと昔の昭和なドラマなど見ると、「みんな、俺について来い!」的なかっこいいヒーローが1人いるのがリーダシップのイメージです。

    その割に、自分の会社には、「冴えない上司ばかり。なんでコイツが自分の上司なの?」が現実です。

    リーダーシップは天性的で、性格・キャラで決まるような環境で育ったので、ピントと来ません。
    ですが、目立たなかったあなたも本来、リーダーシップを兼ね備えています。そのリーダーシップを発揮して組織・社会に良い効果をもたらせることができます。

    行動理論でリーダーシップは誰でも習得できる

    ●経営学、組織論では、「リーダーシップは後天的に鍛え上げれば伸ばせるもの」としています。

    ●天性的なものではなくても、次のスキルがあれば、少しずつですが、あなたらしいリーダーシップが身に付きます。

    1. 自分を取り巻く環境を理解
    2. 相手を思いやる配慮
    3. 目標に向かって周囲と一緒に走る情熱
    4. 知性、経験

    ●業務で得た、知識・スキル・経験などを駆使すれば、行動理論で挙げているリーダーシップを習得することができます。上の4つはどれも、先天性ではなく、後発性なものばかりです。

    「みんな、俺について来い!」ではなく、
    目標(ゴール)を達成する道筋を示し、周囲をエンパワーメントするのがリーダーシップ

    リーダーシップを取る前に理解しておくこと

    ●組織が向かうべき方向を理解することです。組織が向かうべき方向を考える上で大事なのが、

    1. 組織をとりまく環境分析
    2. 組織に必要な施策

    経営分析としてマーケティングのフレームワーク主に駆使しながら、組織の課題、施策を考えていきます。

    面白いことに、経営分析内容とISO9001 2015の要求事項がそれぞれ対応関係になっています。

    ⑤エンパワーメントして巻き込む

    エンパワーメントリーダシップのやり方

    ●難しそうに見えますが、簡単です。コツは1つだけ

    相手がやりたくなる方向を示せばよい!

    部下、周囲の人も自分にとっての大事な顧客と思えば、相手が満足するように仕向けたら勝ちです!

    一歩引いて、みんなが主役として自発的に成果を出すように仕向けるのが、エンパワーメントリーダシップ!

    エンパワーメントリーダシップのステップ

    5つあります。

    1. 目標・ビジョンの共有
    2. 相手を把握
    3. 適切な業務の割り振り
    4. コーチング・動機付け
    5. 支援

    どのステップも、「命令」、「指示」のニュアンスがありませんね。

    (i)目標・ビジョンの共有

    ●組織の方向性と、相手・部下の方向性をそろえることが大事です。あまりに合わない場合は異動など、環境を変える必要があります。

    方向性を確認することで、互いの納得感を増すことができるし、逆に部下・周囲からの提案ももらうことができる。

    組織は上下関係と言いますが、上の人からすると、下から提案が欲しいというのも現実です。良い提案がいつでも出る環境を作る事が大事です。

    (ii)相手を把握

    ●伝える相手を理解することが大事です。
    ・能力、スキル、経験、適性
    ・家族、健康面などのケア
    ・相手が求めていること

    相手がわかっていると、相手も納得して話を聞いてくれます。話を聞いてくれない、一方的な人がリーダーになると、誰も相手にしません。
    「お前に言っても無駄だろ!」と期待値0なリーダではNGです。

    (iii)適切な業務の割り振り

    ●なかなか適切な業務を質・量で割り振るのは、難しいですが、常に対話して相談を受けながら進めていくことですね。

    業務量が多い、難しい仕事でも、相談を常に乗るだけでも、上手にエンパワーメントできています。

    (iv)コーチング・動機付け

    ●コーチングといっても、「命令・指示」ではありません。アドバイスを求められますが、あくまで自分で考えさせて振り返ってもらうように質問を工夫して、傾聴することです。

    自発的に動けるまでが非常に時間と手間がかかりますが、ここを乗り切れば、自然と
    みんなが自発的に目標に向かって進んでくれます。それを見守ればよいのです。

    (v)支援

    ●支援、援助も時には必要です。やり方がわからなければ指導すればよいですが、本人に考えさせて、失敗してもいいから、自分でやらせることです

    エンパワーメントリーダシップは子育てと同じ。
    ・命令・指示で育った子供は、ストレスが多く、指示待ち型になる
    ・エンパワーメントで育った子供は、ストレスが少なく、自分から行動する

    家も組織も同じですね。

    ⑤コミットメント

    コミットメントとは何か

    あまり使わない言葉なので、理解が難しいです。英語を直訳すると「約束する」です。

    品質マネジメントシステムやISO9001のコミットメントはもう少し、気合いが入った意味で使われています。

    コミットメントとは、絶対やり遂げる!と覚悟をもって取り組むこと

    とりあえず、やってみます。途中で辞めることもあります!は絶対NGです。

    トップマネジメントのコミットメントとは何か

    トップがコミットメントすることは重要です。

    トップマネジメントのコミットメントとは

    トップ自ら、品質マネジメントシステムを絶対やり遂げる!と覚悟をもって取り組むことです。
    できないならクビ!くらい、クビをかけてガチでやると覚悟をもってやるということです。

    トップがクビをかけて活動する意味であるくらい、重要です。その理由を説明します。

    トップマネジメントのコミットメントする意義

    トップがこんな考えだったら、部下はついてきますか?

    品質は最後の砦で、重要だ。
    あとは、お前らでやっとけ!
    俺の出世に傷がつかないようにちゃんとやれよ!

    こんなトップじゃ、「お前がやれよ!」ってみんな心底思いますよね。実は、こんなトップは2000年ごろまで、そこら中にうじゃうじゃいました。

    品質不正がばれて、優良企業でもつぶれる怖さがわかったご時世から、徐々にトップが覚悟をもって品質活動を指示する風潮になってきました。

    トップが覚悟をもって、取り組まなければ、
    組織、担当者はついてこない。
    理念の言葉や社内ルールを整備しても、
    トップが覚悟をもって取り組む姿勢を見せなければ、
    組織、担当者はついてこないし、
    品質マネジメントシステムを回そうとしない

    結構大変なんですね。

    品質マネジメントシステムやISO9001が組織内で有機的に機能するには、トップへの信頼などの人間系、心情的要素が強いです。

    ルール、契約、ギャラで縛っても、人や人の心は動きません。だから、品質マネジメントシステムを回すには、人の心をつかむことが大切です。心をつかむくらいの覚悟がトップマネジメントのコミットメントなのです。

    品質が悪化したり、不正に走る組織は、人の心がつかめていない場合がほとんどです。

    品質マネジメントシステムやプロセスについて十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 5.1 リーダーシップ及びコミットメントをわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②トップマネジメント
    • ③リーダーシップ
    • ④リーダーシップは誰でも身につく
    • ⑤エンパワーメントして巻き込む
    • ⑥コミットメント

  • ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる

    「ISO9001 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定って何?」、「何をやればいいのかわからない」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用
    • ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなければならない。 この適用範囲を決定するとき,組織は,次の事項を考慮しなければならない。
    a) 4.1に規定する外部及び内部の課題
    b) 4.2に規定する,密接に関連する利害関係者の要求事項
    c) 組織の製品及びサービス 決定した品質マネジメントシステムの適用範囲内でこの規格の要求事項が適用可能ならば,組織は,これらを全て適用しなければならない。
    組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態にし,維持しなければならない。適用範囲では,対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し,組織が自らの品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の要求事項全てについて,その正当性を示さなければならない。 適用不可能なことを決定した要求事項が,組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合に限り,この規格への適合を表明してよい。
    4 組織の状況
    4.1 組織及びその状況の理解
    4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    の4つの中で最も、4.3が分かりにくい

    4.3は4 組織の状況のまとめとして理解した方がよいです。

    ●4.1 組織及びその状況の理解
    ⇒外部の課題、内部の課題
    ●4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    ⇒利害関係者、ニーズと期待
    ●4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    ⇒4 組織の状況の章まとめ
    ●4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    ⇒品質マネジメントシステム(QMS)
    (4.1,4.2,4.4は個々で理解しやすいテーマ)

    なので、
    ●4.1 組織及びその状況の理解
    ⇒●4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
    ⇒●4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
    ⇒●4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    の順番で理解したらよいでしょう。

    4 組織の状況は

    4.1で外部の課題と内部の課題を抽出し
    4.2で利害関係者との関係を確認し、
    4.4で自社の品質マネジメントシステム(QMS)を構築して
    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ
    という流れで読むと理解が進みます。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 ISO9001 2015 4.3
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 JIS Q9001 4.3の補足
    よくわからない

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用

    「4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」 のポイントは、

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるとき、
    a) 外部及び内部の課題
    b) 利害関係者の要求事項(相手)
    c) 組織の製品及びサービス(自分)
    について、品質マネジメントシステムを適用しなければならない

    と簡略すれば、こう読めます。相手と自分について品質マネジメントシステムを適用なので、結局

    ●業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用せよ!
    ●適用できない場合はちゃんと説明してね!

    となります。適用できない場合はあまりないとすると、全範囲に品質マネジメントシステムを適用しないといけません。逃げられません!

    ●業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用して、どこかで手抜きしちゃだめよ!と言う意味ですね。

    では、4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定した後、どのように業務を進めていけばよいか?普段何に意識すればよいか?を解説します。

    4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
    組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるとき、
    a) 外部及び内部の課題
    b) 利害関係者の要求事項(相手)
    c) 組織の製品及びサービス(自分)
    について、全領域に品質マネジメントシステムを適用しなければならない
    ⇒何をすればいいの?どうやって理解したらいいの? を解説します。

    ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する

    ISO9001 2015の理解を助けてくれるのは、意外にも対応したくない監査質疑です。2時間くらいねちねち監査員が、チェックする監査ですから、嫌ですよね。しかも、監査を受けるのは、対象部門の部課長とそれと同等のクラスの管理職が多いでしょう。そうなると、ほとんどの一般職の人は、理解できないとなります。

    品質監査の流れを知ると、4組織の状況が理解でき、何を普段から行動や心がけをすればよいかが理解できます。

    品質監査の流れ

    品質監査の目的

    監査の目的は、単に部門の荒さがしをするのではなく、良い仕事、良い結果につながるには、何を改善したらよいかを見つけるためです。 良い仕事をしてもらい、良い結果・収益につながり、皆が喜んでもらうために監査します。

    監査の目的は次の3つです。

    1. 経営・品質課題を抽出し、抽出した各課題を深堀して質疑する。
    2. 掘り下げた質疑と経営・品質課題とのつながりを大事にする
    3. 品質マネジメントシステムのどこをどう改善すれば、品質・経営が良くなるか

    品質監査の流れ

    最初の、
    「経営・品質課題を抽出し、抽出した各課題を深堀」
    をするために、4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」を監査の最初に確認していきます。

    監査の質疑の流れを見ると、4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」が分かりやすく理解できます。

    1. 経営・品質課題を見るために、自社を取り巻く環境を確認したい
    2. 自社を取り巻く環境(外部・内部環境)から影響を受けた課題を見つけたい
    3. 外部・内部環境を明確にするために、自社と関わる相手(利害関係者)を知りたい
    4. 自社の品質・経営状況を見たいため、自社の品質を作りこむ仕組みを確認したい
    5. 品質マネジメントシステムの中の個々を調べて、品質・経営に影響を与える要因を見つけたい

    この流れで監査していきます。監査の最初の流れを見ると

    4 組織の状況は
    4.1で外部の課題と内部の課題を抽出し
    4.2で利害関係者との関係を確認し、
    4.4で自社の品質マネジメントシステム(QMS)を構築して
    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ

    と同じ流れですね。

    4.3で自他社の良い連携を図り品質を作りこむ
    を単独で読んでも理解しにくいため、
    4 組織の状況
    と監査の流れをつけて、まとめて理解するとよいですね。

    ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」で何をすればよいか?

    特別することはありませんが、「4 組織の状況」全体と合わせて
    自分の環境における課題が何かを説明できるように普段から考えておいてください。

    品質マネジメントシステムの適用範囲の決定について十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②業務全範囲に品質マネジメントシステムを適用
    • ③4.3「品質マネジメントシステムの適用範囲」は品質監査の流れで理解する

  • ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる

    ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる

    「ISO9001 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスって何?」、「品質マネジメントシステムって何?」、と困っていませんか?

    こういう疑問に答えます。

    本記事のテーマ

    ISO9001 2015 4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス がわかる
    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる
    • ③プロセスのあるべき姿
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    ①ISO9001要求事項、JISハンドブックの解説

    最初に、自分の言葉でわかりやすく解釈するまえに、本家の解説を紹介します。何となくわかりけど、実際に何をすればいいの?と思う程度でOKです。

    ISO9001要求事項

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス

    4.4.1 組織は,この規格の要求事項に従って,必要なプロセス及びそれらの相互作用を含む,品質マネジメントシステムを確立し,実施し,維持し,かつ,継続的に改善しなければならない。 組織は,品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる適用を決定しなければならない。また,次の事項を実施しなければならない。
    a) これらのプロセスに必要なインプット,及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。
    b) これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。
    c) これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し,適用する。
    d) これらのプロセスに必要な資源を明確にし,及びそれが利用できることを確実にする。
    e) これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
    f) 6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。
    g) これらのプロセスを評価し,これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を実施する。
    h) これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。
    4.4.2 組織は,必要な程度まで,次の事項を行わなければならない。
    a) プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。
    b) プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスで、まずおさえてほしい2点があります。

    ●組織は,品質マネジメントシステムを組織全体に適用する。
    ●プロセスに必要なインプットとアウトプットを明確にする。

    品質マネジメントシステム(QMSと略しますが)は、会社・組織全体を覆います。一部の部署、チームだけではありません。子供の「バリア!、うちの職場だけQMSはしない!」とかはダメです。残念ですけど。

    そして、プロセスという概念が、ISO9001では理解しにくいです。
    プロセスアプローチとか言ったりします。プロセスはいろいろな活動を称したものです。
    営業、技術、設計、サービス、製造、検査、工事、会議、資料作成、相談などのすべての活動をまとめてプロセスと呼んでいます。

    JISハンドブックの解説

    次のように規定されています。

    1. JIS Q9001品質マネジメントシステム-要求事項
    2. JIS Q9002 品質マネジメントシステム-JIS Q 9001の適用に関する指針

    それぞれを読んだ印象をまとめます。

    JIS 名称 単元 感想
    JIS Q9001 品質マネジメントシステム
    -要求事項
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス ISO9001 2015 4.4
    と同じ内容
    JIS Q9002 品質マネジメントシステム
    -JIS Q 9001の適用に関する指針
    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス JIS Q9001 4.4の補足
    QMSの全体像がイメージできてから
    個々の要求事項を
    埋めていくと理解が深まる。

    ●品質マネジメントシステムはまず、全体像を自分で説明できることが重要です。
    ●品質マネジメントシステム全体像は、他人のものでなくてもいいし、常に最新の考えに更新してもOKです。
    ●常にあるべき姿を考えることが重要です。

    ISO,JISのとおり仕事するのではなく、自分で考えて仕事すべきです。その考え方を本記事で解説します。

    ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる

    「品質マネジメントシステム(QMS)って何ですか?わかりやすく教えてください」と質問されても簡単に説明できますか?

    普通は困るでしょう。自分なりの説明でOKですよ。1つ説明例を紹介します。

    品質マネジメントシステム(QMS)の考え方

    1. 社内に全く無い状態を想像
    2. 社内にある場合を想像
    3. 社内にある場合と無い場合を比較
    4. 品質マネジメントシステム(QMS)が機能するための必要条件を抽出

    この流れで解説します。

    考えるために1つ設定しておきます。

    ●設定条件
    ◎あなたは、あるメーカに所属しています。
    ◎あなたが所属するメーカは営業、設計、製造の3つの部門があります。

    チェック項目を列挙します。

    1. 目標があるか?
    2. 業務のやり方は決まっているか?
    3. 責任と権限は決めているか?
    4. コミュニケーションが社内にあるか?
    5. 担当者のスキル(力量)は管理しているか?
    6. 内省(振り返り)する機会はあるか?
    7. その他

    品質を作りこむために必要なチェック項目を7つ挙げました。別にこれ以外でもOKです。

    品質マネジメントシステム(QMS)が社内に全く無い状態

    品質を意識しない会社・組織とはどんなものかを下図に挙げます。

    品質マネジメントシステム

    図からわかることまとめると、

    ●日々何となく仕事している
    ●やり方がばらばらで無責任
    ●基本、他責

    こんなんで、良い製品やシステムが顧客に提供できるとは思えないですね。うまく行きそうな感じがしませんからね。

    でも多くの会社・組織、とりわけ、できたばかりの職場なら、こういう感じになっている場合がほとんどです。
    ビジネスがうまくいかない。顧客に多大な迷惑をかけて反省しないとヤバい!と思って初めて、品質を大切して、職場に機能させないとダメだとみんな気づき始めるのです。

    最初から、手間やコストをかけて品質マネジメントシステム(QMS)をやる所はありません。最初はみんな我流で仕事するものです。

    品質マネジメントシステム(QMS)が社内にある場合

    品質を意識した会社・組織とはどんなものかを下図に挙げます。

    品質マネジメントシステム

    図からわかることまとめると、

    ●目標をもって、業務できている
    ●やり方はルールで決まっており、責任・権限が明確
    ●内省(PDCA)から自責で仕事できている

    どうでしょう。うまく、良い製品やシステムが顧客に提供できる会社になりそうですよね。

    目標、ルール、責任、力量、コミュニケーション、内省(PDCA)が機能すると、リスクや改善点が常にクリアーされ、良い仕事が良い結果につながりますね!

    では、何をどううまくすれば、組織の品質マネジメントシステム(QMS)が機能するかを解説します。

    品質マネジメントシステム(QMS)が機能するための必要条件

    品質マネジメントシステム(QMS)を機能させるのは、手間であり、面倒ですが、組織に大きなパワーを与えてくれます。
    ●トップマネジメント(経営者)のコミットメント(品質ちゃんとやるぞ!)
    ●理念と目標(みんなに共通の思いを浸透)
    ●ルール・規定(業務ばらつき、ヌケモレを防止)
    ●責任と権限(誰が何をするか、させるかが明確)
    ●コミュニケーション(報連相、リスクの未然防止)
    ●プロセスのあるべき姿(あとで解説しますね)
    ●PDCAを全体、各部門で回す姿勢(内省して、ちょっとずつ改善)

    この動きが組織に機能していれば、確かに、良いものが作れる組織になりますよね!

    ③プロセスのあるべき姿

    品質マネジメントシステム(QMS)にはプロセス! 
    プロセスが重要なのです。
    プロセスアプローチが大切なのです!
    プロセスのインプット、アウトプットを明確に!

    そうです! プロセスが重要です。
    が、何のことか、さっぱりわかりません。

    1. プロセスって何?
    2. プロセスのインプット、アウトプットがなぜ重要なの?

    を理解していないと、さっぱりわからないはずです。解説します。

    ③プロセスのあるべき姿

    プロセスとは?

    一般的によく「過程」や「工程」として使われる「プロセス」ですが、
    品質マネジメントシステム(QMS)における「プロセス」はちょっとニュアンスが違います。

    プロセスアプローチの言葉も理解できない!
    「過程」や「工程」にアプローチってどういうこと?
    と混乱します。

    品質マネジメントシステム(QMS)における「プロセス」

    インプットするものがあって、それを何かして、アウトプットするもの

    プロセス

    数学でいう、 関数みたいですね。
    それと、入力するものと出力するものがあれば、入力を出力へ何かしら手を加える活動をプロセスと広くとらえています。

    関数でも、工程でも、会議でも、資料作りでも、何でもプロセスと呼んでいます。

    具体例として、数式、活動、工程の例を挙げてみます。すべて間に入るのがプロセスです。

    プロセス

    インプット、プロセス、アウトプットのセットで考える

    品質監査で、常にチェックされるのが、プロセスです。そのプロセスを監査する際に

    1. 何をインプットするか明確か?
    2. 何をアウトプットするか明確か?
    3. どんな活動(プロセス)をしたか明確か?

    の3点セットで確認されます。
    要するに、

    1. 何となく資料作って集まって
    2. 何となく集まった人で協議して
    3. 何となく終わった

    とならないように、意識して活動しているか(プロセスをまわしているか)が問われます。

    ●会議の場合は、

    1. 会議に必要な情報とメンバーが正しくそろっているか?
    2. 会議で必要な議題が網羅的に協議して結論づけたか?
    3. 会議後の議事録、懸案事項の有無と解消方法が明確か?

    を監査されます。5W1Hは常に意識して行動して記録しておきましょう。

    5W1H、プロセスを明確して業務するのは、結構大変ですが、
    明確なプロセス行動は、仕事効率を高める効果と、リスクの事前解消につながり、
    高い結果と評価につながります。
    人間本来は、だらだらのんびり、楽しく過ごしたいですが、品質の作りこみはその逆ですね。ちょっとしんどいけど、頑張った分、いいことがあります!

    ISOの要求事項

    4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセスの要求事項において、プロセスの部分を再確認しましょう。

    ●ISO9001 要求事項
    a) 必要なインプット,プロセスからのアウトプットを明確にする。

    c) プロセスに必要な判断基準及び方法決定する。
    d) プロセスに必要な資源を明確にする。
    e) プロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
    f) リスク及び機会に取り組む。
    g) プロセスを評価し、
    h) プロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

    確かに、先ほど解説した、

    1. 何をインプットするか明確か?
    2. 何をアウトプットするか明確か?
    3. どんな活動(プロセス)をしたか明確か?

    の3点セットを意識すれば、ISO9001 要求事項が満たせますね。
    ISOを満たすためではなく、良い仕事ができるには
    何をすればよいかを意識して取り掛かればOKです。

    品質マネジメントシステムやプロセスについて十分、理解できましたね!

    まとめ

    ISO9001 2015 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解をわかりやすく解説しました。

    • ①ISO9001要求事項、JISハンドブックISO9001の解説
    • ②品質マネジメントシステムが説明できるようになる
    • ③プロセスのあるべき姿

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