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【注意】管理図はシューハートの管理図だけではない

管理図

「管理図はシューハート管理図だけやればいいのか?」、「解き方はわかるが、理論がいまいちピンとこない」など困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【注意】「管理図=シューハートの管理図」という認識が強すぎる
  • ①管理図を勉強した人のありがちな考え方
  • ②管理図の最新JIS規格は3部しかない
  • ③一般指針とシューハートの管理図の違い
  • ④管理図は自分で考えて設計すべき

記事の信頼性

記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

シューハートの管理図は教科書や試験に出しやすいからみんな解ける。
でも、その理論を説明できる人はほぼいない。
理論をわからずに機械的に工程管理するのは良くありません。

困ったときは、最新のJIS規格を見ましょう。ちょっと高価ですが。

●Youtube動画でも解説しています。

●商標使用について、
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
➂QCプラネッツは、QC検定®と品質管理検定®の商標使用許可を受けています。

①管理図を勉強した人のありがちな考え方

”シューハート管理図”脳を一旦リセットすべきです。

管理図でよく勉強する内容(試験で頻出)は、
(i) シューハートの管理図の種類を覚え、LCL,UCLの導出式を暗記
(ii) 計数値管理図の管理限界は、管理図係数表から導出
(iii) 郡内変動、群間変動の分散の式を暗記し、σの推定値をR/d2で導出

この3つがあれば、QC検定®は全級合格できます。

しかし、次の4つの疑問が残りました。

  1. データの特性によらず、管理図係数表の値で管理限界が決まるのは正しいの?
  2. 管理図係数表の値はだれがどうやって数学的に正しく導出したのか?
  3. 全データを管理しているはずなのに、σの推定値を導出する意味はあるのか?
  4. 郡内変動、群間変動の分散の式は正しいのか?

QC検定®1級は一発合格しましたが、管理図の問題は壊滅状態でしたし、今も理解できない解法があります。

”シューハート管理図”脳を一旦リセットすべきです。

QC検定®のための管理図ではなく、自分で考えて工程管理できる管理図を設計してほしいです。

②管理図の最新JIS規格は3部しかない

最新のJIS規格(JISZ9020 (2016))では、
「シューハートの管理図」色が濃かった過去の規格と比べて、
薄くなりました。
QC検定®の出題は、「古いJIS規格」色のままな気がする。
でも、そうしないと作問できないから?

管理図の最新JIS規格

  1. 管理図-一般指針 JISZ9020-1(2016)
  2. 管理図-シューハート管理図 JISZ9020-2(2016)
  3. 管理図-累積和管理図 JISZ9020-48(2018)

ここで、「累積和管理図 JISZ9020-48(2018)」は使う場面がほぼないので割愛します。

最新のJISでは
①一般指針
②シューハートの管理図
の2つだけ。

過去には、シューハート管理図 JIS9021 1998がありましたが、廃止され、シューハート管理図 JISZ9020-2(2016)に統合されました。最新版をみると、過去の規格よりシューハート管理図の内容が薄まったように感じます。

それでも、「シューハートの管理図」の存在感は強いです。しかし、
その前に「一般指針」を理解し、
「シューハートの管理図」は「一般指針」の一部でしかない

と理解しましょう。

最新のJISでは
①管理図は自分でまず考えて設計すべき(一般指針)
②管理図の1例にシューハートの管理図がある
と意識しましょう。

③一般指針とシューハートの管理図の違い

自分で管理図を考えた場合と、シューハートの管理図を適用した場合では、同じ考え方になるところと、考えが異なるところがあります。

シューハートの管理図で「?」な部分は、自分で理論を作って、対象となる工程管理の妥当性を担保してほしいからです。

シューハート管理図の疑問点

  1. データの特性によらず、管理図係数表の値で管理限界が決まるのは正しいの?
  2. 管理図係数表の値はだれがどうやって数学的に正しく導出したのか?
  3. 全データを管理しているはずなのに、σの推定値を導出する意味はあるのか?
  4. 郡内変動、群間変動の分散の式は正しいのか?

一般指針とシューハートの管理図が同じである場合

<項目> <内容>
管理図の目的 中心線と管理限界線2本を作って、
工程の合否を判定
異常判定誤りリスク 第1種の誤り、第2種の誤り
検査対象の変数 計量値(正規分布)、
計数値(二項分布、ポアソン分布)

管理図で調べたいこと、工程の合否など基本的な考え方は同じです。
だから、最初からシューハート管理図に入る傾向が強いと考えます。

一般指針とシューハートの管理図が異なる場合

<項目> <一般的な管理図> <シューハート管理図>
管理限界線
の位置
検査対象ごとに異なる 中心線から両側に3σ
計量値:平均±kσ、
計数値:平均±kσ
計量値:平均±管理図係数×R(or s)、
計数値:平均±kσ
管理図係数表を使って
管理限界線を求める
管理図の種類 検査対象の変数に
合わせて自分で決める
計量値(Xbar-R)、
計数値(pn,p)など
種類が決まっている。
異常判定ルール 製品・サービスの
要求事項を満たすか否か
異常判定ルールが
決まっている
特徴 検査対象に合わせて
工程合否基準を設計する
検査対象に関係なく
同一のルールで合否基準
が決まっている
メリット 理論を詰めて管理できる 機械的に処理できる
デメリット 設計が面倒 与えられた式、係数値の
導出過程が難解すぎる。
QC検定® 出題されない 出題範囲
実務 説明責任が果たせる管理図を使うべき そのまま使ってよいかは
関係者と協議が必要

管理図を自分で考えて作ると、シューハート管理図との違いがはっきりわかるようになります。

”シューハート管理図”脳を一旦リセットすべきです。

④管理図は自分で考えて設計すべき

管理図は手段です。調べたい目的は工程管理の異常を調べることですね。

管理図を使うときに考えること

対象となる工程管理の合否を調べるために必要な事項を挙げます。

  • ①検査対象
  • ②サンプル数の規模
  • ③調べたい特性の値(計数値、計量値)
  • ④工程の合否判定基準(何σなのか?)
  • ⑤工程が異常だったら何をすべきか?

以上の項目をまず考えるはずです。
シューハートの管理図はまだ、出てきませんね。

シューハートの管理図は、見せ方の1つの手段として活用するべきです。

最初から、「pn管理図使おう」などしないことです。

管理図は手段。
目的は工程管理の評価と
異常対策です。

異常時の対策と改善が実務では最も重要になります。改善提案を考えるときは、自分で考えて作った管理図の方が考えやすいし、協議しやすいはずです。

昔はPCが無かったから
データを取るのも大変だったから
速く結果が出るシューハート管理図は必須でした。

でも、今はExcelあれば十分ですね。
むしろ、理論や理由、工程異常のリスクと改善化が重要ではないでしょうか?

計算する手法より、頭で考えることがQCでは求められます。

まとめ

以上、管理図の作る際に、自分で考えて管理図を作ることの重要性を解説しました。

  • ①管理図を勉強した人のありがちな考え方
  • ②管理図の最新JIS規格は3部しかない
  • ③一般指針とシューハートの管理図の違い
  • ④管理図は自分で考えて設計すべき


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