【必読】X-Rs管理図が作れる
「X-Rs管理図の作り方がわからない」、「過去のQC検定®1級で出題されて全く解けなかった」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①X-Rs管理図用データで考える
- ②管理限界の係数の導出
- ③範囲Rsの求め方
- ④管理限界の求め方
- ⑤工程管理の確認の仕方
記事の信頼性
記事を書いている私は、QC検定®1級合格しましたが、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。
①QC検定®と品質管理検定®は、一般財団法人日本規格協会の登録商標です。
➁このコンテンツは、一般財団法人日本規格協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
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①X-Rs管理図用データで考える
実際のデータを使いながら、X-Rs管理図を作ってみましょう。
No | X | Rs | No | X | Rs |
1 | 31.72 | ?? | 11 | 32.43 | ?? |
2 | 33.26 | ?? | 12 | 32.53 | ?? |
3 | 33.42 | ?? | 13 | 32.46 | ?? |
4 | 32.22 | ?? | 14 | 32 | ?? |
5 | 32.59 | ?? | 15 | 32.71 | ?? |
6 | 31.75 | ?? | 16 | 31 | ?? |
7 | 31.86 | ?? | 17 | 30.33 | ?? |
8 | 31.37 | ?? | 18 | 31.15 | ?? |
9 | 31.27 | ?? | 19 | 33.41 | ?? |
10 | 32.45 | ?? | 20 | 30.07 | ?? |
– | – | – | 合計 | 640 | ?? |
– | – | – | 平均 | 32 | ?? |
②管理限界の係数の導出
管理限界の係数については、関連記事にまとめていますので、確認ください。
【重要】管理図(計量値)の変数の導出がわかる シューハートの管理図の計量値の各係数表の求め方を解説します。A,B,D,d2とかいっぱい変数がありますが、すべて期待値±倍数×標準偏差で表記できます。シューハートの管理図をマスターしたい方は必見です。 |
X管理図はA3,R管理図はD3,D4を使う
X管理図はA3(n=2)
X管理図はおもに、A1,A2,A3の係数があります。
●A=\(\frac{k}{\sqrt{n}}\)
●\(A_2\)=\(\frac{k}{d_2 \sqrt{n}}\)
●\(A_3\)=\(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)
X管理図では、1つのデータしかないので、範囲Rから算出する\(d_2\)ではなく、標準偏差sから算出する\(c_4\)を使います。JISZ9020に準拠します。
また、データは1つしかありませんが、n=2のときのA3の値を使います。その理由は完全にはわかりませんが、1に近い2だからでしょうか?
●\(A_3\)=\(\frac{k}{c_4 \sqrt{n}}\)
=2.659
Rs管理図はD3,D4 (n=2)
Rs管理図では、管理限界を\(\bar{R}\)の定数倍として表現したいため、係数はD3,D4を使います。なお、係数DについてはD1~D4がありますが、比で表現したD3,D4を使います。
●\(D_1\)=\(max(0,d_2-kd_3)\)
●\(D_2\)=\(d_2+kd_3\)
●\(D_3\)=\(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
●\(D_4\)=\(1+\frac{kd_3}{d_2}\)
ただし、D3は負になる場合があるため、0と大きい方を使います。サンプル数nが6以上でD3が正になります。よって、D3は使わないとします。実際はD3=0です。
また、データは1つしかありませんが、n=2のときのD3, D4の値を使います。その理由は完全にはわかりませんが、1に近い2だからでしょうか?
●\(D_3\)=\(max(0,1-\frac{kd_3}{d_2})\)
=0(なし)
●\(D_4\)=\(1+\frac{kd_3}{d_2}\)
=3.267(n=2)
③範囲Rsの求め方
他のR管理図と異なる求め方になる点が注意です。
Rsの定義
Rs=|x(n)-x(n-1)|
とする。
Rsを計算する。
先ほどのデータで、
Rs=|x(n)-x(n-1)|
から求めてみましょう。
No | X | Rs | No | X | Rs |
1 | 31.72 | – | 11 | 32.43 | 0.02 |
2 | 33.26 | 1.54 | 12 | 32.53 | 0.1 |
3 | 33.42 | 0.16 | 13 | 32.46 | 0.07 |
4 | 32.22 | 1.2 | 14 | 32 | 0.46 |
5 | 32.59 | 0.37 | 15 | 32.71 | 0.71 |
6 | 31.75 | 0.84 | 16 | 31 | 1.71 |
7 | 31.86 | 0.11 | 17 | 30.33 | 0.67 |
8 | 31.37 | 0.49 | 18 | 31.15 | 0.82 |
9 | 31.27 | 0.1 | 19 | 33.41 | 2.26 |
10 | 32.45 | 1.18 | 20 | 30.07 | 3.34 |
– | – | – | 合計 | 640 | 16.15 |
– | – | – | 平均 | 32 | 0.85 |
●ここで、Rsの具体的な算出方法を確認します。
Rs(1)=|X(1)-X(0)|=なし(X(0)がないのでRs(1)=0ではなく、「Rs(0)=無し」とします。
Rs(2)=|X(2)-X(1)|=|33.26-31.72|=1.54
…
Rs(19)=|X(20)-X(19)|=|30.07-33.41|=3.34
Rsのデータは19個
③管理限界の求め方
X管理図について
●平均\(\bar{X}\)は32
●LCL,UCLは\(\bar{X}\)±2.659\(\bar{R_s}\)
=32±2.659×0.85
より、
LCL=29.74
UCL=34.26
Rs管理図について
●平均\(\bar{R_s}\)は0.85
●LCLは0(無し)
●UCLは3.267\(\bar{R_s}\)
=3.267×0.85
=2.777
④工程管理の確認の仕方
管理図を図示
X管理図
Rs管理図
工程管理の分析結果
Rs管理図を見ると1点工程異常な点があります。工程異常とするか、第1種の誤りの範囲とするかは関係者で協議する必要があるます。
まとめ
X-Rs管理図の作り方について、解説しました。
- ①X-Rs管理図用データで考える
- ②管理限界の係数の導出
- ③範囲Rsの求め方
- ④管理限界の求め方
- ⑤工程管理の確認の仕方
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119