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移動平均と移動範囲の管理図(xs-Rs管理図)がわかる

管理図

「移動平均と移動範囲の管理図って何?」と困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\)管理図)がわかる
  • ①移動平均と移動範囲のデータのとり方
  • ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}- R_s\)管理図)の描き方
  • ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

記事の信頼性

記事を書いている私は、管理図の係数表、群内変動・群間変動の解き方に疑問が残りました。そこで、管理図の理論を研究しました。その成果をブログで解説します。

移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\)管理図)は相当マニアックですが、こんな管理図も考え出されているので、知っておいて損はありません。

①移動平均と移動範囲のデータのとり方

基本は、平均と範囲なので、代表的な\(\bar{X}\)-R管理図さえあればOK。それの特別版な管理図である\(\bar{x_s}-R_s\)管理図をお楽しみください。

平均移動とは?平均範囲とは?

●平均移動⇒次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けした場合の平均値
●平均範囲⇒次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けした場合の範囲

言葉にすると非常にわかりにくいので下表で説明します。

●まず、データを用意します。Noごとに1つのデータxを測定します。

No データx
1 15
2 20
3 24
4 23
5 15
6 18
7 11
8 12
9 19
10 14

●次に、群分けの方法ですが、
次々と出て来るデータを、ある個数n個ずつ順にずらして群分けとあります。
n=3とすると、
●3個ずつ順にずらすので、
(i)1群目:1個目、2個目、3個目のデータ
(ii)2群目:2個目、3個目、4個目のデータ
(iii)3群目:3個目、4個目、5個目のデータ

と区分けしていくことです。

すると、次の表に変形できますね。

No データx 群分け(n=3)
1 15 1
2 20 1 2
3 24 1 2 3
4 23 2 3
5 15 3
6 18
7 11
8 12 8
9 19 8
10 14 8

移動平均と移動範囲のデータのとり方

データを群内、群間の2軸にまとめ直します

データx
1 15 20 24
2 20 24 23
3 24 23 15
8 12 19 14

上表の横方向のデータの作り方が、\(\bar{X}\)-R管理図と異なります。

②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}-R_s\))理図)の描き方

\(\bar{x_s}-R_s\)管理図の注意点

\(\bar{x_s}-R_s\)管理図自体は、\(\bar{X}\)-R管理図と同じ描き方です。

管理限界は
●\(\bar{x_s}\)管理図: \(\bar{\bar{x}}±A_2 \bar{R_s}\)
(\(\bar{\bar{x}}\)は群分けする前の全データの平均。重複するデータは無い点に注意)
●\(R_s\)管理図: \(D_3 \bar{R_s}\),\(D_4 \bar{R_s}\)
と\(\bar{X}\)-R管理図と同じ

\(\bar{x_s}-R_s\)管理図の描き方

元のデータを再掲します。

データx
1 15 20 24
2 20 24 23
3 24 23 15
8 12 19 14

この表に、\(\bar{x_s}\)、\(\bar{\bar{x}}\)、\(R_s\)を追加します。

データx \(\bar{x_s}\) \(\bar{\bar{x}}\) \(R_s\)
1 15 20 24 19.67 17.1 9
2 20 24 23 22.33 17.1 4
3 24 23 15 20.67 17.1 9
4 23 15 18 18.67 17.1 8
5 15 18 11 14.67 17.1 7
6 18 11 12 13.67 17.1 7
7 11 12 19 14 17.1 8
8 12 19 14 15 17.1 7

ここで、\(\bar{x_s}\)、\(\bar{\bar{x}}\)、\(R_s\)の計算方法を解説します。
●第1群の\(\bar{x_s}\)=(15+20+24)/3=19.67
(他の群も同様に計算)
●\(\bar{\bar{x}}\)=(15+20+24+23+15+18+11+12+19+14)/10=17.1
(群分けしない。データが重複しないため)
●第1群の\(R_s\)=(24-15)=9
(他の群も同様に計算)
また、
●\(\bar{R_s}\)=全群の\(R_s\)の平均
=7.375

\(\bar{x_s}\)管理図

●管理限界、LCL,UCLを計算します。
◎LCL=\(\bar{\bar{x}}-A_2 \bar{R_s}\)
=17.1-1.023×7.375
=9.56
◎UCL=\(\bar{\bar{x}}+A_2 \bar{R_s}\)
=17.1+1.023×7.375
=24.64

\(\bar{x_s}\)管理図のデータを下表にまとめます。

\(\bar{x_s}\) \(\bar{\bar{x}}\) LCL UCL
1 19.67 17.1 9.56 24.64
2 22.33 17.1 9.56 24.64
3 20.67 17.1 9.56 24.64
4 18.67 17.1 9.56 24.64
5 14.67 17.1 9.56 24.64
6 13.67 17.1 9.56 24.64
7 14 17.1 9.56 24.64
8 15 17.1 9.56 24.64

グラフは下図になります。

xs管理図

\(R_s\)管理図

●管理限界、LCL,UCLを計算します。
◎LCL=無しというか0
◎UCL=\(D_4 \bar{R_s}\)
=2.575×7.375
=18.99

\(\bar{x_s}管理図のデータを下表にまとめます。

Rs \(\bar{R_s}\) LCL UCL
1 9 7.375 0 18.99
2 4 7.375 0 18.99
3 9 7.375 0 18.99
4 8 7.375 0 18.99
5 7 7.375 0 18.99
6 7 7.375 0 18.99
7 8 7.375 0 18.99
8 7 7.375 0 18.99

グラフは下図になります。

Rs管理図

管理図が完成しましたね。

③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット

\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット

どんなメリットがあるでしょうか?

●1回に1つしか出ないデータをX-R管理図のように表現できる。
でもX管理図だけ描けばいいじゃんと突っ込まれるとその通り。
●横軸の区切る期間を工程、機械、材料の違いによって区切り方を分けてその平均の動きが見える。

\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のデメリット

どんなデメリットがあるでしょうか?

●群内、群間分けができない。同じデータが他の群に重複するから。

まとめると、私の感触では、\(\bar{X}\)-R管理図ほど便利なものではない気がします。でも、こういう管理図も考えられることを知っておいてください。

まとめ

移動平均と移動範囲の管理図\(\bar{x_s}- R_s\)について、解説しました。

  • ①移動平均と移動範囲のデータのとり方
  • ②移動平均と移動範囲の管理図(\(\bar{x_s}- R_s\)管理図)の描き方
  • ③\(\bar{x_s}- R_s\)管理図のメリット、デメリット


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