【簡単】母数因子と変量因子の違いがすぐわかる
主効果や交互作用は母数因子で、反復や誤差は変量因子として分けますが、母数因子と変量因子は何者なのか?分ける理由、分けるときの注意点が理解できずに困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
母数因子と変量因子の違いがすぐわかる
- ➀母数因子と変量因子とは何かがわかる
- ②データの構造式や分散分析における母数因子と変量因子の違いがわかる
- ③母数因子と変量因子の違いは気にしなくていい
さっそく見ていきましょう。
➀母数因子と変量因子とは何かがわかる
【母数因子と変量因子の違い
●変量因子は、因子の水準が指定できないものや指定する意味がないもの。
母数因子と変量因子の例を挙げます。
(i)母数因子:温度を因子として、水準を30℃、50℃、100℃にします。
(ii)変量因子:実験ごとに出てくる誤差は、偶発的に発生する値なので、水準指定できないし、指定してみ意味がありません。
(iii)変量因子:反復因子(ブロック因子)はブロックそのものにデータの価値はありません。
(iv)変量因子:重さを因子とするが、ある集合の一部を抜き取ったサンプルデータである場合。
②データの構造式や分散分析における母数因子と変量因子の違いがわかる
データの構造式で母数因子と変量因子の違いを見る
例として、一元配置実験で母数因子と変量因子の違いを見ましょう。
データの構造式
\( x_{ij}=μ+α_i+ \)+\(ε_{ij}\)
(例:因子A(正規分布N(0,\(σ_A^2\))))
●母数因子:\( \sum_{i=1}^{a} α_i =0 \) 、E[\( \sum_{i=1}^{a} α_i \)]=0
●変量因子:\( \sum_{i=1}^{a} α_i ≠0 \) 、E[\( \sum_{i=1}^{a} α_i \)]=0
(例:因子R(正規分布N(0,\(σ_R^2\))))
●変量因子:\( \sum_{k=1}^{r} r_k ≠0 \) 、E[\( \sum_{k=1}^{r} r_k \)]=0
(例:誤差E(正規分布N(0,\(σ_E^2\))))
●変量因子:\( \sum ε_{ijk} ≠0 \) 、E[\(ε_{ijk} \)]=0
データ構造式でみる母数因子と変量因子の違い
●同じ:和Σの期待値は母数因子も変量因子も0とする。
分散の期待値E[ ] については、ここを読んでください。期待値は単なる平均という意味だけでなく、データ数を∞にした場合の分散の極限値のような意味合いがあることがわかります。
分散分析で母数因子と変量因子の違いを見る
主効果Aにおいて、母数因子と変量因子にそれぞれした場合の分散分析を見てみましょう。
データの構造式を変形
\( x_{ij}=μ+α_i+ \)+\(ε_{ij}\)
\( x_{ij} -\bar{\bar{x}}\)=\((\bar{x_{i‥}}-\bar{\bar{x}})\)+\((\bar{x_{ij}}-\bar{\bar{x_{i‥}}})\)
\( α_i = (\bar{x_{i‥}}-\bar{\bar{x}})\)
ですね。
平方和の期待値E[\(S_A\)]を母数因子と変量因子について、それぞれ求めます。
E[\(S_A\)]=E\( \sum_{i=1}^{a} \sum_{j=1}^{b} (\bar{x_{i‥}}-\bar{\bar{x}})^2 \)]=(あ)
(i)母数因子の場合は次のように変形します。
(あ)=E\([ \sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b} ((μ+α_i+\bar{ε_{i・}})-(μ+\bar{\bar{ε}}) )^2 ]\)
=E[\( \sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b} (α_i+(\bar{ε_{i・}}-\bar{\bar{ε}})) ^2 \)]
=E[\( b \sum_{i=1}^{a} α_i^2\) +・・・]
(ii)変量因子の場合は次のように変形します。
(あ)=E[\( \sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b} ((μ+α_i+\bar{ε_{i・}})-(μ+\bar{α}+\bar{\bar{ε}}) )^2 \)]
=E[\( \sum_{i=1}^{a}\sum_{j=1}^{b} ((α_i-\bar{α})+(\bar{ε_{i・}}-\bar{\bar{ε}})) ^2 \)]
=E[\( b \sum_{i=1}^{a} (α_i-\bar{α})^2 \) ]+・・・
第1項だけが本記事で重要なので、第1項だけ計算します。
期待値の設定がポイント
ここで、期待値を以下のようにします。母数因子・変量因子どちらも分散分析の結果に差はないように設定するのがポイントです。
(ii)変量因子の場合:\(σ_A^2=\frac{E[ \sum_{i=1}^{a} (α_i-\bar{α})^2]}{a-1}\)
変量因子の場合、和Σ \(\sum_{i=1}^{a} α_i\)≠0ですが、平均は\(\bar{α}\)になっています。データの構造式で\( \bar{\bar{x}}\)に、平均\(\bar{α}\)が入り、\(σ_A^2\)の式にうまく入れます。
③母数因子と変量因子の違いは気にしなくていい
なので、どちらでもよいのでは?
と思いませんか?
数学的、論理的には母数因子と変量因子は別物です。ただし、実務上はどちらでも分散分析結果は同じです。あまり気にしなくてもよいところでしょう。
全因子を変量因子で解析してもいいし、全因子を母数因子で解析しても分散分析は同じ結果になります。
反復因子R(ブロック因子)や誤差は変量因子で、その他調べたい主効果の因子は母数因子にすることが多いです。
まとめ
母数因子と変量因子の違いと解説し、データの構造式では違いがあるが、分散期待値で調整して同じ期待値になるので、あまり気にしなくていいことがわかりました。
- ➀母数因子と変量因子とは何かがわかる
- ②データの構造式や分散分析における母数因子と変量因子の違いがわかる
- ③母数因子と変量因子の違いは気にしなくていい
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