【必読】MTBF,MTTFの点推定と推定区間の式がよくわかる
「MTBF,MTTFの点推定と推定区間の式の意味や導出過程がわからない」、と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①MTBF,MTTFの点推定と推定区間の式は暗記するな!
- ➁点推定(打切り有り無し両方)の導出がわかる
- ➂推定区間は、2Tを自由度2nのχ2乗分布で割る理由がよくわかる
- ➃定時打切りと定数打切りではχ2乗分布の自由度が異なる理由がわかる
公式暗記より導出過程を理解せよ!
公式にもてあそばれないよう、ちゃんと式の導出を解説します!
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①MTBF,MTTFの点推定と推定区間の式は暗記するな!
QC検定®1級必須の公式
本記事で対象とする公式です。
– | 打切り無し | 定数打切り | 定時打切り |
点推定 | \(\frac{1}{n} (\sum_{i=1}^{n}t_i) \) | \(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\) | \(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_c)\) |
信頼下限 | \(\frac{2T}{χ^2(2n,\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2(r+1),\frac{α}{2})}\) |
信頼上限 | \(\frac{2T}{χ^2(2n,1-\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,1-\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,1-\frac{α}{2})}\) |
①点推定(打切り有り無し両方)の導出がわかる
1つの式で導出できる
再掲しますが、
– | 打切り無し | 定数打切り | 定時打切り |
点推定 | \(\frac{1}{n} (\sum_{i=1}^{n}t_i) \) | \(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\) | \(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_c)\) |
と3つ式が書いています。よく教科書では、
を最初に説明して、その変形版として、
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\)
や
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_c)\)
を解説していますね。
でも、この流れだと、
から
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\)
には変形できません。
やってみればわかります。やってみてわかったことは、
つまり、
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\)
でよい。
打切りが無い場合は\(r=n\)になるので、
\(\frac{1}{n} (\sum_{i=1}^{n}t_i) \)
と変形できるってことです。
1つずつ詳しくみてきましょう。
(i)打切りデータ無しの場合
打切りデータが無い場合は、下図のように、\(t_1\),\(t_2\),…, \(t_n\)と各故障時間を見ていきます。
MTBF,MTTFの点推定は公式
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\)
が基本形で、
打切りが無い場合は\(r=n\)となるので、
\(\frac{1}{n} (\sum_{i=1}^{n}t_i) \)
と変形できる!
となります。
(ii)定時打切りの場合
定時打切りの場合は、下図のように、ある時刻\(t_c\) (故障が\(r\)回と\(r+1\)回の間に到達する時間とします。)で区切ります。
MTBF,MTTFの点推定は公式
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\)
が基本形で、
は\( t_r \)を\(t_c\)と変えると、
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_c)\)
と変形できる!
となります。
(iii)定数打ち切りの場合
定数打切りの場合は、下図のように、\(r回\)で故障する時刻\(t_r\) で区切ります。
MTBF,MTTFの点推定は公式
\(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\)
が基本形でよいです。
となります。
点推定の求め方を再掲すると
– | 打切り無し | 定数打切り | 定時打切り |
点推定 | \(\frac{1}{n} (\sum_{i=1}^{n}t_i) \) | \(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_r)\) | \(\frac{1}{r} (\sum_{i=1}^{r}t_i +(n-r) t_c)\) |
と3つ式がありますが、1つの考え方で3パタ―ンの式になることが良くわかりますね。
➂推定区間は、2Tを自由度2nのχ2乗分布で割る理由がよくわかる
次に推定区間を求める式を解説します。これ、式の意味がわからないと暗記は正直キツイ。私もQC検定®1級試験時は思い出せなかった! なので、導出過程を理解しましょう。
推定区間の導出式の表を再掲します。
– | 打切り無し | 定数打切り | 定時打切り |
信頼下限 | \(\frac{2T}{χ^2(2n,\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2(r+1),\frac{α}{2})}\) |
信頼上限 | \(\frac{2T}{χ^2(2n,1-\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,1-\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,1-\frac{α}{2})}\) |
指数分布、ガンマ分布、χ2乗分布の関係性を理解する
指数関数なのに、区間はχ2乗分布でしかも、2Tなり、自由度2nだったり、定時打切りと定数打切りでは自由度が若干違うなど、訳が分からないですよね!
ほな、解説行きます!
2Tを自由度2nのχ2乗分布で割る理由がよくわかる
この理由は、
関連記事で詳しく解説しています。ご確認ください。
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理解するポイント
下図のように、
- 指数関数をn回畳み込み積分するとガウス分布になる(数学的帰納法で証明できる)
- ガンマ分布の変数を変換するとχ2乗分布の確率密度関数と一致する
となります。
ここで、χ2乗分布の確率密度関数
\(f(t,n)\)=\(\frac{1}{2^{n/2} Γ(n/2)} t^{n/2 -1} e^{-t/2}\)
に対して、
\(t=2λx\),\(n=2m\)と変換すると
\(f(2λx,2m)\)= \(\frac{1}{2^{m} Γ(m)} (2λx)^{m -1} e^{-λx}\)
=\(\frac{λ^{m-1}}{2Γ(m)} λ^{m-1} e^{-λx}\)
=\(\frac{1}{2λ} g(x)\)
(ここで\(g(x)\)はガンマ分布の確率密度関数)
となります。
ここで、変数\(x\)を総時間\(T\)に、
指数関数の場合の MTBF=\(\frac{1}{λ}\)の関係を代入すると、
\(f(2λx,2m)\)= \(\frac{1}{2λ} g(x)\)から
\(f(\frac{2T}{MTBF},2n)\)= \(\frac{1}{2λ} g(T)\)
ガンマ分布\(g(T)\)に従うが、
これはχ2乗分布\(f(\frac{2T}{MTBF},2n)\)の定数倍の関係になるので、
2Tは自由度2nのχ2乗分布に従って計算してよいとなります!
よって、
と使ってよく、変形すると、
MTBF=\(\frac{2T}{χ^2(2n,α)}\)
という式が成り立ちます。
➃定時打切りと定数打切りではχ2乗分布の自由度が異なる理由がわかる
自由度を2n,2(n+1)と異なる理由
この理由は簡単です。
●定時の場合は時間で区切るので、故障数がr個とr+1個の間になるので、定数打切りと区別するために自由度2(r+1)としている。
これがわかれば、表を再掲しますが、随分、区間推定しやすくなったはずです。
– | 打切り無し | 定数打切り | 定時打切り |
信頼下限 | \(\frac{2T}{χ^2(2n,\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2(r+1),\frac{α}{2})}\) |
信頼上限 | \(\frac{2T}{χ^2(2n,1-\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,1-\frac{α}{2})}\) | \(\frac{2T}{χ^2(2r,1-\frac{α}{2})}\) |
実務上は自由度2nでもOK
でも、
と疑問に思いませんか?
その答えは、
実務上はOKな理由
χ2乗分布の値の表をみると、
\(χ^2(2(n+1),α)\) > \(χ^2(2n,α)\)です。
この逆数を考えたら、大小関係がわかりますね。
でも、試験の時は、求められる公式が使えるかどうかを確かめているので、個別の公式を使ってください。
まとめ
「【必読】MTBF,MTTFの点推定と推定区間の式がよくわかる」を解説しました。
- ①MTBF,MTTFの点推定と推定区間の式は暗記するな!
- ➁点推定(打切り有り無し両方)の導出がわかる
- ➂推定区間は、2Tを自由度2nのχ2乗分布で割る理由がよくわかる
- ➃定時打切りと定数打切りではχ2乗分布の自由度が異なる理由がわかる
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119