並列系の信頼性・故障率がよくわかる
「並列系の信頼度・故障率・MTTFの計算がわからない」と困っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①要素の種類
- ➁並列系の信頼度Rの計算
- ➂並列系の故障率λの計算
- ➃並列系のMTTFの計算
①要素の種類
信頼性工学では、以下の4つの要素について、それぞれ信頼度、故障率、MTTFを計算します。
要素の種類
- 直列系
- 並列系
- 待機系
- 多数決系
よく見るのは、「直列系」と「並列系」ですが、4つとも解説します。
➁並列系の信頼度Rの計算
並列系とは
これは簡単ですよね。下図のように要素を並列に並べた系のことです。
並列系の信頼度Rの計算
並列系の信頼度を求めます。
要素\(i\)の信頼度を\(R_i (t)\)とすると、全体の信頼度\(R_S (t)\)は
\(R_s (t)\)=1―\(\displaystyle \prod_{i=1}^n (1-R_i (t))\)
=1―\(\displaystyle \prod_{i=1}^n F_i (t)\)
たとえば、n=2でR=0.9を並列にすると、並列の2個が両方同時に壊れる確率は(1-0.9)の2乗で1%。なので正常確率は1-0.01=0.99とR=0.9より確率が上昇しますね。
ただし、故障率が低下する分、要素・部品数は増加します。
指数分布の場合
並列については、2つ例を挙げて、計算します。
- n=2,λの値が異なる場合
n=2,λの値が異なる場合
全体の信頼度は、
\(R_s (t)\)=1―\(\displaystyle \prod_{i=1}^2 (1-R_i (t))\)
=\(1-(1-R_1)(1-R_2)\)
=\(R_1 + R_2 -R_1 R_2\)
次に、確率密度関数\(f_s (t)\)、故障率\(λ_s(t)\)、MTTFを計算します。
➂並列系の故障率λの計算
信頼度の確率密度関数\(f_s (t)\)、故障率\(λ_s(t)\)の導出
定義どおり、
●\(f_s (t)\)=\(-\frac{dR_s (t)}{dt}\)
●\(λ_s(t)\)=\(\frac{f_s (t)}{R_s (t)}\)
で計算します。
指数分布の場合
n=2,λの値が異なる場合
(R_s (t))=(R_1 + R_2 -R_1 R_2)より、
●\(f_s (t)\)=\(-\frac{dR_s (t)}{dt}\)
=\(f_1 (t)+f_2 (t)- R_1 (t) f_2 (t) – R_2 (t) f_2 (t)\)
=\((1-R_1 (t)f_2 (t)+ (1-R_2 (t)f_1 (t)\)
=\(F_1 (t) f_2(t) + F_2 (t) f_1 (t)\)
具体的には、
●\(R_1 (t) =e^{-λ_1 t}\)
●\(R_2 (t) =e^{-λ_2 t}\)
を代入します。
●\(λ_s(t)\)=\(\frac{f_s (t)}{R_s (t)}\)
=\(\frac{ F_1 (t) f_2(t) + F_2 (t) f_1 (t)}{R_1 (t) +R_2 (t) – R_1 (t) R_2(t)}\)
➃並列系のMTTFの計算
故障率の逆数である平均寿命μ(MTTF)を計算しますが、
- MTTFの定義式から積分して計算
で計算します。
MTTFの定義式から積分して計算
n=2,λの値が異なる場合
●\(f_s (t)\)=\(F_1 (t) f_2(t) + F_2 (t) f_1 (t)\)
●\(R_1 (t) =e^{-λ_1 t}\)
●\(R_2 (t) =e^{-λ_2 t}\)
をつかいます。
μ(=MTTF)=\( \displaystyle \int_{0}^{∞} t f_s (t) dt\)
=\( \displaystyle \int_{0}^{∞} t (λ_2 (1-e^{-λ_1 t}) e^{-λ_2 t} +λ_1 (1-e^{-λ_2 t}) e^{-λ_1 t} )dt\)
=\( \displaystyle \int_{0}^{∞} t((λ_2 e^{-λ_2 t}+λ_1 e^{-λ_1 t})+(λ_1 +λ_2)e^{-(λ_1 +λ_2}t) dt\)
=\(\left[-te^{λ_2 t} +\frac{1}{λ_2}e^{-λ_2 t}\right]_{0}^{∞}\)+\(\left[-te^{λ_1 t} +\frac{1}{λ_1}e^{-λ_1 t} \right]_{0}^{∞}\)
=\(\left[ te^{-(λ_1 + λ_2)t} \right]_{0}^{∞}\)-\(\frac{1}{λ_1 +λ_2} \left[ e^{-(λ_1 + λ_2)t} \right]_{0}^{∞}\)
=\(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}-\frac{1}{λ_1 +λ_2}\)
結果のまとめ
– | 個別 | 全体 |
R | \(R_i (t)\) | \(R_s (t)\)=1-\(\displaystyle \prod_{i=1}^n R_i (t)\) |
f | \(f_i (t)\)=\(-\frac{dR_i (t)}{dt}\) | \(f_s (t)\)=\(-\frac{dR_s (t)}{dt}\)=\(F_1 f_2 + F_2 f_1 (n=2)\) |
λ | \(λ\)=\(\frac{f_i (t)}{R_i (t)}\) | \(λ\)=\(\frac{f_s (t)}{R_s (t)}\) |
μ | \(μ\)=\(\frac{1}{λ}\) | \(μ\)=\(\frac{1}{λ_1}+\frac{1}{λ_2}-\frac{1}{λ_1 + λ_2} (n=2)\) |
まとめ
「並列系の信頼性・故障率がよくわかる」を解説しました。
- ①要素の種類
- ➁並列系の信頼度Rの計算
- ➂並列系の故障率λの計算
- ➃並列系のMTTFの計算
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