QCに必要なラプラス変換がわかる
「QCにラプラス変換って必要なの」と疑問に思っていませんか?
こういう疑問に答えます。
本記事のテーマ
- ①ラプラス変換とは
- ➁ラプラス変換をQCで使う場面
- ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ
①ラプラス変換とは
ラプラス変換は、3つだけ理解しておけばOKです。
- 定義は難しいから無視していい
- ラプラス変換はここだけ理解する
- 微分1回をs倍に変えられるから計算が楽チン
定義は難しいから無視していい
変換する理由は、そのままの計算では難しいから。
ではどうやって変換するかを見ましょう。見るだけでOKです。
大事なのは、変換して計算して、計算結果を変換前に戻す!
ラプラス変換はここだけ理解する
イメージは、
だから、簡単に変換できないか? 例えば、微分1回したら s倍するだけみたいな変換なら微分方程式がsの2次、3次方程式だけに変わると計算しやすい!
つまり、
\(e^{-st}\)を1回微分すると\(-se^{-st}\)とs倍できる!
逆に\(e^{+st}\)をかければ、変換前に戻せる!
これがラプラス変換のイメージです。
大事なのは、
複雑な∫計算は不要です。変換方法は公式で暗記すれば、積分不要になります。
微分1回をs倍に変えられるから計算が楽チン
イメージは、よく物理の運動方程式を使って説明することがあります。
運動方程式は
\(m \displaystyle \frac{d^2 x}{dt^2} + k \displaystyle \frac{dx}{dt} +Y=0\)
これは2次の微分方程式で、解くのが大変です。
一方、ラプラス変換すると、微分1回はs倍ですら
\(m s^2+ ks +Y=0\)
と変換できるので、単純な2次方程式になります。これは解けるハズ!
sの式が出来たら、tの式に逆変換して戻せばOK! 戻し方は公式があるので暗記すればOK
ラプラス変換の注意点
1つだけ知っておきましょう。
\(\displaystyle \frac{dx}{dt}\)⇒ \(sf-f(0)\)と初期条件\(f(0)\)も入れてください。ここだけ!
➁ラプラス変換をQCで使う場面
信頼性工学でラプラス変換を使いたい
QCでは、数学が必要ですが、あまり手を広げたくないのが本音です。だから本当は、ラプラス変換は使わないで行こうと思っていました。けど、信頼性工学で、ラプラス変換を使うと便利とわかりました。
信頼性工学では下の図のように、ある時間dtで状態が\(S_0\)、\(S_1\)、\(S_2\)へと状態変化する確率\(P_i(t)\)を式にする場合です。
関係式を書くと、
\(P_0 (t+dt)=P_0 (t)-μ_0 dt\)
\(P_1 (t+dt)=P_1 (t)+μ_0 dt-μ_1 dt\)
…
\(P_i (t+dt)=P_i (t)+μ_{i-1} dt-μ_i dt\)
…
\(P_n (t+dt)=P_n (t)+μ_{n-1} dt\)
と、長い連立微分方程式になります。計算を楽するためにラプラス変換を使います。これは信頼性工学の関連記事で詳細に解説していきます。
●●でラプラス変換を使いたい
現状は信頼性工学以外のQCでラプラス変換を使う場面はないですが、見つかり次第、解説します。
➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ
2つだけ変換を使う
ー | 変換前 | 変換後 |
① | \(e^{at}\) | \(\frac{1}{s-a}\) |
➁ | \(t^n e^{at}\) | \(\frac{n!}{(s-a)^{n+1}}\) |
\(\frac{1}{s-a}\)か
たまに \(\frac{1}{(s-a)^2}\)の2乗分の1の式とかも
を使います。
で、\(a\)も結構大事なので正しく計算しましょう。
例題
具体的な例題で、理解を深めましょう。
●\(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(-μP_0\)
●\(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μP_0 – μP_1\)
●\(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=\(μP_1 – μP_2\)
初期条件 \(P_0 (0)=1, P_1 (0)=0, P_2 (0)=0\)
1次の微分方程式ですが、連立になると計算が難しいです。なので、ラプラス変換しましょう。
(i)\(P_0 (t)\)の解法
\(\displaystyle \frac{dP_0}{dt} \)=\(μP_0\)をラプラス変換すると、
\(sP_0 – P_0 (0) =-μP_0 \)
\(sP_0 – 1 =-μP_0 \)
\(P_0\)を求めると
\(P_0 = \frac{1}{s+μ}\)
\(P_0\)を逆変換して戻すと、
\(P_0 (t) =e^{-μt}\)
(i)\(P_1 (t)\)の解法
\(\displaystyle \frac{dP_1}{dt} \)=\(μP_0 – μP_1\)をラプラス変換すると、
\(sP_1 – P_1 (0) =μP_0 – μP_1\)
\((s+μ)P_1– 0 =μ\frac{1}{s+μ} \)
\(P_1\)を求めると
\(P_1 = \frac{μ}{(s+μ)^2}\)
ここで、\(\frac{μ}{(s+μ)^2}\)の2乗が出て来ます。
\(P_1\)を逆変換して戻すと、
\(P_1 (t) =μt e^{-μt}\)
(i)\(P_2 (t)\)の解法
\(\displaystyle \frac{dP_2}{dt} \)=\(μP_1 – μP_2\)をラプラス変換すると、
\(sP_2 – P_2 (0) =μP_1- μP_2\)
\((s+μ)P_2– 0 =μ\frac{μ}{(s+μ)^2} \)
\(P_2\)を求めると
\(P_2 = \frac{μ^2}{(s+μ)^3}\)
ここで、\(\frac{μ}{(s+μ)^2}\)の3乗が出て来ます。
\(P_2\)を逆変換して戻すと、
\(P_2(t) =μ^2 \frac{t^2}{2} e^{-μt}\)
まとめ
「QCに必要なラプラス変換がわかる」を解説しました。
- ①ラプラス変換とは
- ➁ラプラス変換をQCで使う場面
- ➂QCで必要なラプラス変換はこれだけ
Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/qcplanets/qcplanets.com/public_html/wp-content/themes/m_theme/sns.php on line 119