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【簡単】F分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

基本統計量

「F分布を使った検定方法がよくわからない」、「F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係がよくわからない」、「F分布表の注意点がわからない」など、実際に分散比の検定や分散分析を計算するときにいろいろ困っていませんか?

こういう疑問に答えます。

本記事のテーマ

【簡単】F分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

F分布でよく出る3つのパターン

  • ➀F分布の導出がわかる
  • ②F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係
  • ③F分布表の注意点

さっそく見ていきましょう。

➀F分布の導出がわかる

F分布の導出の導出のポイント

【簡単】F分布がすぐ使いこなせる【初心者向け】

詳細は、をご覧下さい。まとめると次の3点ですね。

(A) F分布は2つのχ2乗分布の比。
(B)F分布のχ2乗分布の比なので。確率密度関数はx≧0のみ。

②F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係

Xが自由度tのt分布に従うなら、\(X^2\)は自由度(1,n)のF分布に従う

F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布と4つの分布関数の関係を使って確かめてみましょう。

● Z: 正規分布に従う
●X: 自由度nのt分布に従う
●\(Y^2\)/n: 自由度nのχ2乗分布に従う
と定義します。

t分布は
t分布 = 正規分布 / \( \sqrt{χ2乗分布}\)
ですね。X,Y,Z,nを代入します。
\( X=\frac{Z}{1}\)/\({\sqrt{\frac{Y^2}{n}}}\)

両辺を2乗します。
\( X^2 = \frac{Z^2}{1}\)/\(\frac{Y^2}{n}\)

 右辺は\(\frac{Z^2}{1}\)と\(\frac{Y^2}{n}\)の比、つまり
自由度1のχ2乗分布\(Z^2\)と、
自由度nのχ2乗分布\(Y^2\)の比ですから、
これが自由度(1,n)のF分布に従うことを意味しています。

\(X^2\)は自由度(1,n)のF分布に従います。

まとめると、
t分布 = 正規分布 / \(\sqrt{χ2乗分布}\)
を2乗すると
(1,n)F分布 =(自由度1のχ2乗分布)/(自由度nのχ2乗分布)
となることが言えます。

③F分布表の注意点

自由度(m,n)はどちらを先頭にするか?

自由度の順番

比較する対象を前に、比較される対象が後ろにします。
順番が逆になるとF値は逆数になります。

例題を見ましょう。

A,Bにおいて
(1)Aの分散について調べたいとき: F(\(φ_A,φ_B,α\))とします。
(1) Bの分散について調べたいとき: F(\(φ_B,φ_A,α\))とします。
F(\(φ_A,φ_B,α\))=\(\frac{1}{F(φ_A,φ_B,α)}\)

自由度の順番が変わるとF値が逆数になる理由

(1,n)F分布 =(自由度1のχ2乗分布)/(自由度nのχ2乗分布)
を拡張します。つまり、
\( X^2 = \frac{Z^2}{1}\)/\(\frac{Y^2}{n}\)

\( X^2(m,n)= \frac{Z^2}{m}\)/\(\frac{Y^2}{n}\)
とします。両辺を逆数にします。
\( X’^2(n,m)= \frac{1}{ X^2(m,n)}\)=\(\frac{Y^2}{n}\)/\(\frac{Z^2}{m}\)
より、自由度が入れ替わるとF値が逆数に変わりますね。

分散分析して、F値が予定より乖離がある場合は、自由度が入れ替わっている可能性があることがわかります。

直交表を使った実験計画法での注意点

F分布において、自由度1の場合、F値が大きすぎる。
分散分析結果で自由度1のF値をそのまま使って良いかよく考える必要がある。

F表を見ましょう。自由度がφ1、φ2ともに1の色枠部を見てください。
色のない値に比べて、色がついた値は高いですよね。
特にφ2の自由度1の場合は3桁です。

F表(α=0.05)
φ2/φ1 1 2 3 4 5 ・・・
1 161 200 216 225 230 ・・・
2 18.5 19 19.2 19.2 19.3 ・・・
3 10.1 9.55 9.28 9.12 9.01 ・・・
4 7.71 6.94 6.59 6.39 6.26 ・・・
5 6.61 5.79 5.41 5.19 5.05 ・・・
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

直交表の多因子実験で残差の自由度が1の場合は、F値が3桁になるので、ほぼすべての実験が有意でない結果となってしまいます。実際は、F値が高すぎないように、残差の自由度は2または3以上にしています。これも注意点として知っておいてください。

まとめ

F分布について実務や試験に活かせるようにわかりやすく解説しました。かなりイメージがついて、検定・推定、分散分析の解法に自信がついたでしょう。

  • ➀F分布の導出がわかる
  • ②F分布とt分布・χ2乗分布・正規分布の関係
  • ③F分布表の注意点


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